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第29次地方制度調査会第20回専門小委員会

日時

平成21年1月30日(金)13時00分〜15時00分

場所

三田共用会議所 第4特別会議室(4階)

議事次第

  1. 開会
  2. 議題
    基礎自治体のあり方等について
  3. 閉会

配付資料(PDF)



○林小委員長 それでは、時間がまいりましたので、第20回の専門小委員会を始めさせていただきたいと思います。
 本日は前回に引き続きまして、基礎自治体のあり方に関する意見交換を行いたいと思います。まず事務局から、資料につきまして説明をいただきまして、その上で意見交換を行いたいと思います。
 それでは、事務局より資料の御説明をお願いいたします。

○市町村課長 市町村課長の丸山でございます。お手元の資料に従いまして、御説明申し上げます。3点資料を準備してございます。
 まず、資料1「基礎自治体のあり方について」でございます。基礎自治体の基本的な考え方、今後の論点等についてまとめたものでございますが、資料の1ページから3ページまでは前回、基礎自治体について総括的な御議論をいただいた際に提出したものと同じものでございます。説明については省略させていただきます。
 4ページをごらんいただきたいと思います。4ページ以降は前回総論として御議論いただきました際にいただいた御意見について、整理させていただいたものでございます。前回御都合により御欠席の先生もいらっしゃいましたので、改めて整理させていただきました。簡単にごらんいただきたいと思います。
 「1.基礎自治体のあり方全般について」でございます。基礎自治体は、総合行政主体として、地域における事務をできる限り担うべきではないか。どのような事務であっても、市町村に任せようとすることは、考え直す必要があるのではないか。基礎自治体には、総合行政として、専門職員が十分に配置されている必要があるのではないか。基礎自治体は多様であり、果たすべき役割は、人口規模等に応じて、より柔軟に考えてもよいのではないかといったことでございました。
 「2.市町村合併のあり方について」でございます。合併促進運動は、合併新法期限の平成22年3月末までで終わりにするべきではないか。ただし、自主的な合併に対応した最低限の障害除去措置を定めた合併特例法は必要ではないか。大都市部の市区町村については、人や物の流れに沿って、行政サービスが一体的に供給される枠組みが望ましく、合併や広域連携が模索されるべきではないか。合併により寂れた周辺地域や消滅の可能性がある限界集落について、どのように考えるのか。自治制度と振興施策の両面からの取組が必要ではないかといった御意見がございました。
 「3.広域連携のあり方について」でございます。現在の広域連携の仕組みは十分なものか。より柔軟な仕組みを考えることはできないのか。合併は限界に来ているのではないか。今後は、定住自立圏の試みも踏まえつつ、多様な広域連携の仕組みにより、周辺の市町村または都道府県と連携することにより、市町村が総合行政主体として成り立っていくのではないかということでございました。
 「4.小規模市町村に対する方策のあり方について」でございます。離島など、広域連携に恩恵を受けることができない地域をどうするのか。自治制度は多様なものであるべきであり、小規模市町村に合わせた特別の条件整備ができないのか。小規模市町村では福祉・保健分野の事務負担が重荷となっているのではないか。住民総会のあり方についても、小規模市町村のあり方の中で議論すべきではないかということでございました。
 「5.『小さな自治』のあり方について」。大きくなる都市の内部に分節化した自治の構造が必要であり、地域自治組織や地域コミュニティのあり方の検討が必要ではないかということでございます。
 「6.その他(これからの審議の進め方など)」に関連してでございます。市町村は多様であるが、今後の議論のために、一定のパターン化を行って議論をすべきではないか。また、合併市町村については、合併パターン別、都市同士、都市と中山間、都市と中山間などによって分析を行うべきではないかといった御意見をいただきました。
 次に、資料2についてでございます。ただいまの整理にもございましたが、パターン別に分析を進めていくという立場で整理した資料でございます。合併に固有の問題については、同じ資料でございますけれども、参考として別に整理させていただきました。
 最初に1ページ「類型別の市町村の現状と課題」について、ごらんいただきたいと思います。1ページが言わば総括したイメージの資料でございまして、2ページ以降にそれぞれの地域についての記述を記載させていただきました。
 まず1ページをごらんいただきますと、市町村の類型につきましては、一定の人口規模を持つ市町村と小規模市町村というふうに大別した上で、一定の規模を持つ市町村につきましては大都市部に所在するもの、指定都市などの地域の中心都市、地域の中心都市の周辺市町村と区分してございます。
 小規模市町村につきましては、点在するもの、各圏域の周辺部に連なっているもの、離島など地理的に他の地域と隔たりのあるものというふうに区分して整理してございます。順番に概要を御説明申し上げたいと思います。
 まず一定の人口規模を有している市町村のうち、大都市部に所在する市町村についてでございます。現状といたしましては、人口密度が高く、財政力も高い。組織体制や職員につきましても、ある程度の行財政基盤が形成されているのではないかと考えております。
 課題といたしましては、面積が小さく、市街地が他の市町村と連たんしていることから、日常生活圏と行政区域の間に不一致が生じており、行政サービスの受益と負担の関係があいまいになっているのではないか。人や物の流れに沿って民間部門の生産性を伸ばすような行政サービスが一体的に供給される枠組みが望ましい。この点はどうなのかという御指摘もあるところでございます。また、今後、高齢者人口が急増すると想定される中で、福祉、医療関係施策などを始めとする財政負担の急増が見込まれているところでもございます。
 2つ目に、指定都市などの地域の中心都市でございます。現状といたしましては、人口密度が比較的高く、財政力も比較的充実している。また、ある程度の行財政基盤も形成されているのではないかと考えてございますが、課題といたしましては、地方分権の受け皿としての期待が強く、更に域内の中心都市としての充実した役割の強化が求められるのではないか。今後、高齢者人口が急増すると想定される中で、財政負担の急増が見込まれるといったことであろうかと思います。
 次に、地域の中心都市の周辺市町村についてでございます。現状といたしましては、一定の人口密度があり、財政力も一定の水準にあるのではないか。域内の中心都市のベッドタウン、あるいは衛星都市となっている場合が多いのではないかと考えてございます。
 課題でございますが、日常生活圏と行政区域の間の不一致という問題、あるいは今後の高齢者人口の急増に対応いたします財政負担の急増という問題があるかと考えてございます。
 次に、小規模市町村についてでございます。まず点在する小規模市町村でございます。中長期的な合併の必要性を認識されながらも、現在に至るまで合併を選択せず、または選択できない市町村が多数存在しているのではないか。これらにおきましては、職員数の削減、公共事業の縮減、広域連携の推進などにより、当面、コストを可能な限り削減しつつ、住民サービスを維持されているのではないかと受け止めております。
 次に、各圏域の周辺部に連なっている小規模市町村であります。こうした場合には、そもそも合併による効果が薄いため、コスト削減を行いながら住民サービスを維持しているという現状にあるのではないかと思いますし、更に離島など地理的に他の地域と隔たりのある小規模市町村におきましては、合併による効果がほとんど期待できず、また広域連携も困難なためにコスト削減によるサービスの維持を検討されているのではないかと思います。
 いずれにいたしましても、この小規模市町村においては、それぞれ厳しい行財政運営の中で、今後どのように住民サービスを維持し、向上を図っていくのかという大きな課題があると認識しているところでございます。
 6ページでございます。別紙といたしまして、合併市町村固有の課題を中心として、地域類型別にとりまとめた資料を準備させていただきました。都市同士の合併、都市と中山間の合併、平地と中山間同士での合併。大きく3つに区分いたしまして、考えたものでございます。
 説明は7ページ以降に記載させていただきました。まず都市同士の合併でございますが、現状といたしましては、こういったケースでは合併後の平均人口が30万人弱となっておりまして、財政力が相当程度強化されていくと考えていきます。
 課題といたしましては、旧市町村単位を始めとした住民自治やコミュニティ活動の振興、地域の一体性の確保が課題になっているのではないかと考えております。
 都市と中山間等との合併につきましては、多くの団体が参加した広域的な合併となるケースや合併後の人口が10万人を超える場合が多くございまして、行財政基盤がある程度強化されているのではないかと現状を見ております。
 財政規模が大きくなり、人口当たりの職員数や人件費が減るなど、特に中山間の小規模な市町村にとっては財政効果が大きくなっていると考えております。
 課題といたしましては、本庁機能の集約・支所等における職員数の削減などが周辺部の不安になっている面があります。地域自治組織の設置、コミュニティの振興、伝統文化の保存・振興などによりまして、地域の一体性の確保、住民自治の充実を図るということが課題になっていると思います。
 平地、中山間同士での合併につきましては、合併後の人口が5万人未満の団体が大部分となっている状況でございます。平地、中山間同士ということですので、共通の歴史や文化を持つため、比較的スムーズな一体化が図られるとは思いますが、課題といたしましては、行財政基盤が十分に整備されているのか、あるいは合併による財政効率化に積極的に取り組むことが必要ではないかといったことが挙げられるのではないかと考えてございます。
 資料3でございます。前回の御議論の中で、広域連携のあり方についての御議論が相当数ございました。それを踏まえまして、現在の地方自治法に定められました共同処理の仕組みと運用につきまして、概要を整理したものでございます。
 1ページに全体の概要について表にして整理させていただきました。上の方の3つと下の方の4つに大別しておりますけれども、上の方は法人の設立を要しない簡便な仕組みというものでございます。下の方が、地方公共団体とは別の法人の設立を要する仕組みということで大別してございます。まず上の方から順にごらんいただきたいと思います。
 まず、協議会でございます。これは制度の概要にございますけれども、地方公共団体が共同して一定の事務を行うための制度ということでございます。具体的には主な事務として、広域行政圏の計画の策定等を行っているものでございます。
 2つ目に機関等の共同設置でございます。地方公共団体のさまざまな委員会などの機関や職員を複数の市町村が共同で設置する仕組みというものでございます。主な事務といたしましては、介護保険の認定審査といったものに広く活用されてございます。
 3つ目に事務の委託ということでございます。地方公共団体が事務の一部につきまして、他の地方公共団体に委ねる仕組みということでございます。この事務の委託が行われますと、委託を受けた地方公共団体が自分の固有の本来の事務と同様に、その事務を行うといったものでございまして、幅広く多数に活用されてございます。主な事務にありますとおり、公平委員会あるいは住民票の交付、その他さまざまな場面で活用されている仕組みでございます。
 下の方に行きまして、地方公共団体とは別の独立した法人格を持つ別法人を設立して行う仕組みということでございます。まず一部事務組合でございます。地方公共団体がその事務の一部を共同して処理するために設ける特別地方公共団体ということでございます。これは数も多く、幅広く利用されてございます。主な事務にありますとおり、ごみ処理、し尿処理、消防、救急、火葬場等、内容的にも多様な格好で利用されているところでございます。
 次に、広域連合でございます。これも組合の一類型ということが言えるかと思いますが、地方公共団体が広域にわたり処理することが適当であると認められる事務を処理するために設けた特別地方公共団体ということでございまして、平成6年の改正によって設けられた比較的新しい仕組みでございます。
 通常の一部事務組合とは違いまして、国等から直接に権限や事務の委任を受けることができるという特徴がございまして、地方分権の進展に対応した制度ということが言えるかと思います。
 主な事務といたしましては、後期高齢者医療あるいは介護保険等に活用されているところでございます。特にこの後期高齢者医療につきましては、法の定めによりまして、この事務のためには各都道府県ごとにすべての市町村が加入した広域連合を設けるということになっておりまして、そういった法の定めに対応して運用されているといったものでございます。
 3つ目に、地方開発事業団というものでございます。地方公共団体が地域開発等の事務を行うために設ける特別地方公共団体ということでございますが、具体的には平成30年代、新産業都市、工業整備特別地域の建設に対応して、そのための工業用地の造成といった特別な事務を処理するための目的のために設けられたものでございます。昭和38年の改正で設けられたものでございますが、現在は設置件数は1件ということになってございます。
 4つ目に、全部事務組合、役場事務組合というものでございます。全部事務組合について、説明をごらんいただきますと、町村がその事務のすべてを共同して処理するために設ける特別地方公共団体ということでございまして、これによりますと議会や執行機関が消滅するということになります。実質は町村の合併と同様と見受けられるものでもございます。制度としては明治の町村制以来のものでございます。また、昭和20年代においては20程度の実績もあったようでございますが、昭和35年以降の活用例はないといった状況でございます。
 以上、簡単でございますけれども、地方自治法上に定められました共同処理の協力関係について、概要を御説明いたしました。
 事務局からの説明は、以上でございます。

○林小委員長 ありがとうございます。
 それでは、意見交換を行いたいと思いますが、課題が非常に多岐にわたっておりまして、この29次の地方制度調査会の残された期間で、何らかの具体的な成果を上げようと思いますと、やはり課題を少し絞っていかざるを得ないだろうと思っております。
 ただ、次回予定をされておりますヒアリングも含めて、当面は基礎自治体が抱えている問題につきまして、自由に御意見をいただければという具合に思っております。その中で少しずつ焦点を絞っていきたいと考えておりますので、今日は前回御発言いただけなかったこと、あるいは繰り返しでも結構ですので、自由に御発言をいただければと思っております。いかがでしょうか。質問でも結構です。どうぞ。

○武田委員 早速ですが、この間少し休んでおりましたのですけれども、事務局から未定稿の会議録を見せていただきまして、大体この間の議論は踏まえたつもりで、特に前回の議論は非常に興味深く読ませていただいた上で、やはりここで確認しておくべきことというのがあるのではないかと一つ思いました。
 大きな論点になりますけれども、一番最初に議題として上げる時点で、大分もめましたところの合併の推進という問題ですね。今後一層その合併を推進するべきかどうか。そこをまずスタート地点として確認した上で議論を進めていくのがいいのではないかと思いました。
 その中で前回のいろいろな御発言を見ると、これ以上の合併推進には無理があるというところで基本的に一致しているのではないかと思われましたので、その線もまずは確認されるのがいいのではないかと思いました。
 私の意見といたしましては、やはり合併が一方で進んだものの、他方でそれに伴う弊害問題も多々出てきているのは事実であると。自治体によっては合併をしてみたものの、むしろ弊害を強く認識するに至っているところも多々あるかと思います。
 合併した後ですぐに戻れというわけにはいきませんけれども、明治の合併のときには、たしか分村というのがあったと聞いております。合併したけれども、やはりうまいこといかないで、しばらく経ってから元に戻るという事例もあったかに聞いております。
 今回の場合、いろいろとそう簡単にはいかないだろうとは思いますけれども、やはりうまくいかなかったというときに、何らかの修正が可能なような仕組みを設けていく可能性を探るべきではないかと。
 分村まではいかなくても、例えば合併特例法で設けられています自治組織をつくれなかったところに、これからつくることを許容するとか、幾つかそのフォローをするような手段を模索していくべきではないかと思われました。
 もう一つ、今回のところで、やはりいろいろなパターンでもって合併後の自治体の像について示されている中で、小規模自治体に関して財政的に厳しいということか非常に言われているわけですけれども、これが何によってもたらされたかというのを特に総務省の立場としては、ちゃんと認めるべきではないかと思うんです。
 合併特例法ないしその前後に行われましたいろいろな財政的な措置の中で、その合併をせざるを得なくなった自治体というのは、概して言うと財政事情が厳しくなって、合併しなければもう生き残れないという危機感に追われて、合併したところが多いかと思うんです。
 その1つの理由としては、交付税制度というものが小規模自治体に対して、非常に厳しく働いたということがあるかと思いますし、これは段階補正の縮小によって、そうしたものがもたらされたわけですし、加えてその後の交付税改革、新型交付税の中で、更に規模の小さいところに不利な働き方もしているわけです。
 そういう中で、小規模自治体に不利に働くような、こうした厳しい行財政運営を迫られている自治体の財政状況をもたらしたところの交付税改革というものを、ここで国としても見直す必要があるのではないかということを一つ申し上げておきたいわけです。
 特に税源移譲によって自治体間の税収の格差が大きくなったという中で、財政調整の機能というのはより一層求められているはずなんだけれども、交付税の財政調整機能が大きく後退してしまっているわけですね。そういうことを踏まえまして、やはり多様な選択を許容していくのであれば、多様な選択を保障する財政システムというものも同時に考えていくべきではないか。そんなものを考えながら、読ませていただいた次第です。
 以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。1つ、合併によってもいろいろな問題が出てきていると。その場合に合併をしたものをもう一回ばらすということは、選択肢としてあり得ますね。そこまでいかなくても、さまざまな副作用が出ている問題に関して、何からの制度的なケアをするということに関して、これはどうやって認めるんですかという話は、やはりやらなければいけないだろうと。これは1つの論点だと思います。
 交付税の話は、見方によってどのように考えるかということだと思うんですが、要するに交付税が減らされたことで合併せざるを得なかったということは、合併の問題なのか。武田委員の場合は交付税の見直しという話になってまいりましたけれども、これはまた交付税の議論をしなければいけないので、この辺りは市町村合併を含めた基礎自治体のあり方というときに、その辺りの交付税の話をどこまでここの場でやるのかという問題で、私はこれはなかなか難しいだろうと。段階補正に関しても、いろいろな意見がありますし、今まで優遇されていたのではないかというような御意見も逆にあるわけだから、その辺をどういう具合にうまく考えていくのか。1つの御意見としては伺っておきたいと思います。
 ほかはいかがでしょうか。

○片山副会長 今、武田さんが言われた交付税問題というのは、小委員長のお考えもあるでしょうけれども、やはり基礎的自治体のあり方を考える場合には避けて通れない問題だと私も思うんです。
 やはり財政的に厳しくなって合併に追い込まれたのが実情です。財政が問題なければ、合併などはだれもしたくないですから。やはり疲弊したから合併に向かわざるを得なかったんです。原因は私もここで何回か言いましたけれども、単独事業やら公共事業やらをどんどん追加しろと言われて、借金したら後で交付税で面倒を見てやると言われて、それで面倒を見てもらえなかったというのが原因です。
 もう一つは、合併したらお得ですよ。合併特例債が借りられて、後で交付税で面倒を見ますよという甘いあめをしゃぶらせることをしたから、みんな合併したんです。実は交付税が合併に非常に大きな影響を与えたということは事実でありまして、その交付税制度を小規模自治体のあり方との関係で、大ざっぱでいいですから点検を加える。悪かったところはきちんと総括をするということは、私は避けて通れない課題だと思うんです。交付税にもてあそばれて合併をせざるを得なくなったというのが私の印象です。
 今日は総務省の自治財政局の人はいないけれども、やはり交付税をもてあそんでいますよ。今度も1兆円増やすとかいって、増やすのはいいですけれども、どうするかというと需要を増やすというんでしょう。交付税というのは客観的に基準財政需要額をとらまえて、基準財政収入額との差額を交付しましょうというのが交付税なのに、最初に1兆円増やすことを決めて、さあどうしようかといったら、基準財政需要額を膨らませましょうなどいうことをやる。こんなのは交付税制度の破壊ですよ。もてあそびです。
 自治財政局の人はいないけれども、そういうことを平気でされていると、交付税はもう明らかに補助金化しているわけです。恣意的な基準財政需要額でね。そういうことも含めて、もうちょっと総務省の皆さんがきちんと身を正されることを、この基礎的自治体のあり方を考える上ではやってもらいたいと私は思うんです。
 もう一つは、私は出ていなかったので、この間どういう議論になっているのかわからないので、とんちんかんなことを申し上げるかもしれませんけれども、最近、総合行政主体ということをしきりに言われるんです。これは何だろうかというと、結局ゴルフで言えばフルセットを全部持ちなさいということなんでしょう。1番ウッドからサンドウェッジまできちんと。すべてをみんなが持ちなさいということなんです。
 そもそも地方自治というのは、自分のやれることをまずやる。やれないことは広域団体がやるという、補完性の原理もそういうことなんでしょうけれども、やれないことまで全国一律にやれるものだとフィクションで決めてしまって、総合行政主体だといって押し付ける。これが自治事務だと言って、いろんなものが次から次へと加わってくる。自治体はアップアップしながら、もうできませんと言う。
 でも、自治事務だと言われて、やらざるを得ないのが現状なんですね。でも、こんなのは地方自治でも何でもない。やはりやれる範囲でやる。やれない範囲は広域団体や国がやるという本来の補完性の原理に基づくべきだと、私などは思うんです。そこを間違えているから、みんながフルセットの自治体でなければいけない、総合行政主体でなければいけないというと、規格に合わないはぐれ者が出てきて、それをどういうふうに扱うかという今の議論になってしまう。
 もっと言えば、先ほどの交付税が配りにくいから、配りやすいようにしなければいけないという、非常にゆがんだ議論にもなってしまうんです。主客転倒してしまっているんです。本来の地方自治というと、やはり粒ぞろいでなくても、いろいろなタイプがあって、それが容認される。それぞれが生きていける仕組みにするのが本来の地方自治だと私などは思うものですから、総合行政主体という変な概念を持ち出して、かくあるべしというようなことを総務省が主導的にやるというのはいかがなものかと思っていますので、申し添えておきます。

○林小委員長 ありがとうございます。
 交付税のあり方というのは、総合行政主体として、どの程度の役割を果たすべきなのかということとセットで考えなければいけないということだろうと思うんです。ですから、これは前回も出ましたように、多様なんだから一律に考えるのはどうかというようなことと、それに併せて財源保障をどうするかという話になってくるだろうと思いますから、その辺りは今後また議論していかなければいけないだろうと。交付税だけを取り上げては議論できないのかなという気もいたします。
 ほかにいかがでしょうか。

○武田委員 今の小委員長のまとめ方で、あれと思ったのですけれども、総合行政主体の定義と交付税の問題は切り離せるようで切り離せないところがあるかと思います。

○林小委員長 切り離せないです。

○武田委員 基準財政需要額の算定の基準として、最低限義務づけられたものは組み入れていかなければいけないわけですから、それを考えると何が最低限の仕事かというのは、一方でいいわけですね。
 だけれども、この委員会としては、その制度の詳細に立ち入る必要はなくて、地方に対する財源配分の原則的な考え方というところで、とりあえず合意をつくれば、この委員会としての役割はそれでいいかと思います。制度の詳細に立ち入る必要はないかと思います。
 もう一つ、ついでに言うと、交付税というのは義務づけられた事務だけではなくて、標準的なものですから、全く任意的な自治事務の余地も含めて、標準的な財政規模を保障されるべきものなので、そういう理念とともに、義務づけ最低限だけを話せばいいというものではないなというふうには思いました。
 片山先生が言われましたように、総合行政主体ですね。私もやはりここの定義というものが何を指すかというところです。要は義務づけられたものをすべて担うことが総合行政主体であるのかどうかという、そこの定義もまず必要かなと思いました。

○林小委員長 総合行政主体という別に厳密な定義があるわけではなくて、むしろそういうものも考えながら、例えば小規模自治体はどの程度の役割を担うべきなのだろうかということも含めて議論をしようということではないかと思います。
 いかがでしょうか。どのような角度からでも結構ですので、御意見をいただければと思います。

○小田切委員 私は2つ申し上げてみたいと思います。1つは、資料2でいただいた「類型別の市町村の現状と課題について」です。前回こういうものを出していただいて、更に再区分する必要があるのではないか。そのことによってリアルな認識が得られるのではないかということを申し上げて、その方向性は出てきたんだろうと思います。
 ただし、この資料の7ページのところを見ると、課題と記されたところについて非常にリアリティーがある。そういう意味で課題は、私たちが地域を歩いている実態がそのまま表現されていると思うんですが、現状と記されたところはいささかシンプルな表現ではないかと思います。
 と申しますのは、よく見てみると、都市同士が人口30万、都市と中山間が人口10万を超える、平地と中山間同士が5万未満ということで、それぞれ30万以上については財政力が強化された。10万人を超えることについては、ある程度強化された。そして、5万未満では、まだまだ課題がある。結局は人口規模別に財政状況、問題状況が決まっているということを書いているに過ぎないと思います。
 その点では、この現状のところ。つまり合併の効果のところももっときめ細かい分析が本来できるのではないかと思います。こういう認識でいると、結局は人口30万以上に合併しなくてはならなくて、そんな結論が出てくるのが自明でございまして、その点でこの点の認識を更に改める必要があると思います。
 2点目は、先ほどの総合行政主体とも関わって、広域的な連携のことについて、幾つか申し上げたいです。
 1つは、今回は制度のことをまとめていただいたわけなんですが、実態を見ると、私どもの歩いている範囲内で、特に農山村を歩くとさまざまな、つまり一部事務組合を使いながら、あるいは広域連合を使いながら、かなり事務の共同化が進んでいるという認識を持っております。
 そういう意味では、例えば1つの町村の事務の共同化率。これは外部化と言ってしまうと間違いだと思いますので、共同化率を算出して、今、現状の自治体の人口規模別に見て、どのような共同化が行われているのか。そういう計算なり資料を出していただくことはできませんでしょうか。
 先ほど申し上げたように、歩いてみるとこの共同化の実態が思ったより進んでいる。そういう点では、いささか極端に言うと、これは正しい表現ではないんですが、言わばスケルトンの部分だけ残っているような自治体がないないわけではなくて、その点で広域化、共同化の実態認識をきちんとするべきだろうと思います。
 それに加えて、これは見解としてお尋ねしたいんですが、当然、今回の資料3につきましては、地方自治法で規定されていることにとどめておりますので、出てきていないわけですが、定住自立圏の動きの中で協定の話が出てきております。相互の自治体が議決によって協定を進めているわけなんですが、これは当然地方自治法の外部ということになりますが、この定住自立圏の協定がこういった中でどのように位置づくのかということも当然、御説明していただく必要があるんだろうと思います。
 その点で地方自治法以外の今、総務省が進めている共同化あるいは広域化、協定の実態についての資料も出していただきたいし、可能であれば、ここで若干の説明もしていただきたいと思っております。

○林小委員長 お答えいただく前に私の方から、共同化が結構進んでいるのではないかということが明らかになったときに、それをどう使おうということでしょうか。そこを教えていただけますか。

○小田切委員 当然1つは、その共同化の仕組みに問題があるのかどうかということを検討することになろうかと思います。つまり実態より進んでいるのであれば、その共同化の仕組みをよりスムーズなものにしていくというものが必要なんだろうと思います。
 一方では、いわゆる特例町村という言い方がされて、新しい仕組みをつくろうとするような意見もないわけではないんですが、そういった意見に対して私どもが考えるのは、既に共同化、外部化がかなり実態として進んでいるのではないか。その認識を持つことが重要だろうと思います。その点で実態認識をきちんと持って、そこから議論をスタートする。そういう意味で申し上げております。

○自治行政局長 共同化の手法というのはいろいろあるわけですけれども、一部事務組合や広域連合、事務委託等のそれぞれの行政分野別に、どういう手法でどれくらいの割合で共同化がなされているかという資料はあります。多いのは例えばごみ処理とかし尿処理、消防、救急。こういうところは非常に広範に進められておりますので、そういう点について、行政分野別の状況については、次回にでも出させていただきたいと思います。

○林小委員長 どうぞ。

○片山副会長 小田切委員の問題提起されたことに関連したことです。合併市町村の現状と課題のところで、これは類型別ではなくて、全体的に点検してみる必要があると思うんです。
 今次の合併を進めるときに、私などはその自治体の抱える問題を見たときに、余りに小さ過ぎるということで、勿論、規模の問題もないわけではなかったとは思うんです。ただ、問題は規模ではなくて、むしろ質だと私などは思っていました。これは都道府県もそうです。小さ過ぎるから問題があるのではなくて、質が良くないから問題がある。例えば、はっきり言って議会が機能していないとか。だから、規模だけを追うのではなくて、質を向上させることが必要ですよということを当時ずっと言っていたんです。
 そこで、多くの自治体がざっと合併が流れて今日になったときに、果たして質が良くなったかどうかという点検をしてみる必要があると思うんです。というのは、当時の総務省の皆さんも合併を進める皆さんも、大きくなれば質が良くなるんだ、おのずから良くなるんだというような論法を持ち出されていたんです。本当にそうかなと私などは思っていましたけれども、そうかもしれないし、そうでないかもしれない。そこはやはり点検してみる必要があると思うんです。本当に規模を拡大したことによって、質の問題も改善が全部とは言わないまでも、ある程度は見られたのかと。
 それを敷衍して言いますと、例えばさっき言った議会などについていえば、合併して、多分定数は一自治体単位でみれば合併前のそれぞれのところよりは多くなっていますけれども、議会の質が向上したかどうかというのは、1つの点検の素材だと思うんです。
 もう一つは、今次の合併の進める側の論理としては、分権の受け皿論というのがあったはずなんです。規模が小さいから権限移譲しようにも、なかなかうまくできないのではないか。やはり規模を拡大することによって、分権の受け皿になってもらいたいというのがあったと思うんです。そうすると、従前、従後で合併を進める前と今日とでどれほどの権限移譲があったのかということです。これを1回整理してみてもらいたいと思うんです。分権の受け皿論で合併を勧めたはずなんだから、さぞかし分権は進んでいるはずなんですね。その点を少し皮肉も込めて申し上げますけれども、これは皮肉でも何でもなく、一回是非出していただきたい。そこをよく認識しておきたい。
 道州制を論ずるときに、地方分権のための道州制という話になるんです。また二の舞になるんですよ。スローガンだけは分権、分権というけれども、結局は何のことはない、規模が大きくなっただけですねという話になりかねないので、やはり道州制の問題をもにらんだ今日では、合併の総括をする上で、今、私が申し上げた自治体の質の点検と分権がどこまで進んだか、進まないのかということの点検をしてみる必要があると思うんです。

○林小委員長 ほかにいかがでしょうか。

○江藤委員 私のところにはまだ議事録が来ていないので、どういう議論をしていたか、よくわからないところもあるんですが、印象としては合併については一段落したというところではないかと思っております。その上で基礎自治体について考えていこうでした。
 そうすると、前回配付していただいたのを確認していないんですが、今日、私は遅れてきてしまいましたが「基礎自治体のあり方ついて」という資料が報告されていると思うんですが、そこのところは修正は加えているんですか。どの辺りが変わっているのかどうなのかをまず教えていただきたいと思います。
 今、総合行政主体という議論がされていますけれども、この中身について、私のイメージとしてもフルセット主義だと思うんです。ただ、これも説明を受けていないので正確ではないんですが、資料1の5ページの3の2番目の○のところです。市町村合併は限界に来ているのではないかというところから始まって、今後、定住自立圏の試みも踏まえつつ、多様な広域連携の仕組みによって、市町村が総合行政主体として成り立っていくのではないかという、この「市町村が」というのは、大規模なところではなくて、小規模がという理解ですね。総合行政主体はフルセット主義で、単独で総合行政主体のイメージだったのですが、連携することによって総合行政主体という読み方でいいのかどうかの確認をとらせていただきたいと思います。
 小田切委員の言われたように、総務省がかなり議論されて、定住自立圏の議論とこの総合行政主体がどう絡むのかをついでにお話を伺いたいと思います。
 あと一点なんですが、整理の仕方として、資料1の3ページについて、これは前回と変わっていないのではないかと思うんですが、基礎自治体のあり方についての検討課題「『大きな自治』の観点から」「『小さい自治』の観点から」と入って、論点がずっと来ています。これは論点のところの3つ目に小規模等々が書いてありますけれども、基本的には大規模のところの検討事項になるんですか。小規模も入って検討しているということなんでしょうか。確認も含めて。それ以降のところについては、基礎自治体の中に小規模が入っているんですけれども、どういう整理の仕方をされているのかを、もう既にお話をされているかどうかわかりませんが、教えていただければと思います。

○林小委員長 前回は3ページまでで、4ページからは追加ということです。

○江藤委員 その3ページ目の基本的なところは、どこが変わっているのかを教えていただきたい。

○林小委員長 3ページは変わっていないです。前回のままです。

○江藤委員 変える必要がないということですね。

○林小委員長 変える必要がないかどうかというのはあれなんですが、視点としては基礎自治体をすべてひっくるめて大きな自治という観点と、特に合併したところでのそれぞれの地域の自治をどのように推進するかという2つの問題として切り分けて、大きな自治と小さな自治という具合に考えましょうと。ということは、これは別に合併しているか、していないかということとは関係なく、両方含まれるという具合に理解していいのではないかと私は思っています。
 それと、これは武田委員の方からも、要するに合併を促進するという視点から出発するのか、そうでないのかという話ですが、今、江藤委員におっしゃっていただいたように、その合併を国として促進をしていくことはいいのではないかというのが、前回の大方の一致だと思っておりますので、むしろ合併だからどうなんだという話は副作用の話もありますから、それについてはやる必要があるだろうと。
 しかしながら、今後、合併を更に進めていくという、合併につながるということになれば、それはもう自主的合併だからいいじゃないかというようなスタンスで、基礎自治体を考えていかなければいけないだろうと思っております。
 私もこの合併をどう考えるかといったときに、例えば合併して10万になった都市と合併せずに以前から10万であったところの問題点が違うのかというところなんです。だから共通の問題点があって、合併したために合併特有の問題点が出てきた。これは恐らく副作用的なものなのではないかという気がするわけです。ですから、むしろ合併をしたために固有の同じ10万でも違う問題が出てきたということに関しては、これは考えていかなければならないだろうと。
 ですけれども、やはり合併する、しないに関わりなく、それぞれの基礎自治体が抱えている問題は共通の問題があるので、それは例えば大都市部の自治体にしても、合併しようがしまいが同じ受益と負担の不一致が起こっているとかいったような問題がありますから、その辺りは特に合併を得出しして議論をするということではないのではないか。私の理解はそういう理解なんです。
 勿論その合併によって出てきた副作用。これは繰り返しで申し訳ありませんが、そういう問題はどうやって解決するのかという議論は必要だろうと思いますが、ことさら合併ということを意識しないで基礎自治体のあり方を議論していただいたらどうなんだろうなという気がいたします。議会の強化といったようなことも、これは合併が関わりなくあったわけですから、そういう議論をいたしました。
 地方分権改革推進委員会で委員長から、地方議会が何%くらい機能していると思いますかということを聞かれたんです。ところがそれもなかなかお答えしにくいし、合併、非合併も関係なく、どれくらいだという話であったわけです。
 分権の話、やはり今後、分権がどの程度進んでいくのか。地方分権改革推進委員会でどのようにこの分権を進めていくと考えているのか。それをどのように実現しようとしているのかということも、恐らくここの議論とも密接につながってくるので、当初、地方分権改革推進委員会と地方制度調査会は両輪で議論をするということであったわけです。
 ただ、私の怠慢で、両委員会の意見の刷り合わせとか、その辺りを今後どのようにして進んでいくんだろうかという御紹介ができていないということもあるので、今後それは1つの大きな課題だろうと思っています。いずれにしても、基礎自治体という視点で合併、非合併は関係なしに議論をしていただいた方がいいのではないかとは思います。

○江藤委員 今の点なんですが、こだわるようですけれども、前回配付された1〜3ページのところで、特に3ページの検討の視点。これは全部変わっていないわけですね。今、林小委員長が言われたようなものの設計で、今度は新しく豊富化されて論点が出てくるならわかるんですが、例えば今後の市町村合併のあり方についてはという。いろいろ問題もあるんですね。

○林小委員長 そうですね。今日はいろんな意見が出るだろうということで、私も今、初めて申し上げた意見ですので、これを踏まえて、次回以降の議論はこの検討の視点とか、こういうことをまた整理しながら残りの期間により効果的な結論が出るような形のたたき台を作っていきたいという具合に思っております。

○江藤委員 先ほどお話があった総合行政主体というのは、意味が変わったんですか。それとも従来どおりの話なんですか。ここの文章に書かれているのは。

○林小委員長 それは単独で総合行政主体とあるべきだという話と、連携して総合行政主体であって、それはどう違うのかという話ですか。

○江藤委員 従来も連携して小規模団体でも総合行政主体だという議論だったんですか。それの確認なんです。

○林小委員長 そこは意見はまだまとまっていないのではないかと。つまり地方がやれることはやったらいいじゃないかという話になってくると、それはもう単独の話になりますし、もっとフルセットでやるべきだという話になってくると、そのときに単独でやるのが難しければ連携でやればいいという話になってきますから、この辺りはまだそれこそ議論をしなければいけないことではないかと思います。

○江藤委員 今後議論した方がいいと思うんですが、要するに5ページの2つ目の○の意味を教えていただきたい。これが今までの評価と同じか違うかというところなんです。


○市町村課長 ただいまの御質問がございましたので、重ねてではございますけれども、資料について御説明申し上げたいと思います。
 資料1「基礎自治体のあり方について」でございますけれども、1〜3ページにつきましては、前回提出したものと全く同じです。
 4〜6ページについては、前回御議論いただきましたときに、いただいた意見を項目別に整理したものでございます。事務局といたしましては、前回と今回にわたって総括的な御議論をいただくと考えておりましたものですから、事務局としての説明資料は変更せずに、前回いただいた御議論について整理したものを付加しているということでございます。
 総合行政主体についてでございますが、資料の1ページをごらんいただきますと、上の方に27次の地制調の答申というものがございます。市町村は基礎自治体として地域において包括的な役割を果たしていくことがこれまで以上に期待されている。こういった部分を総合行政主体とならわしているわけでございますが、その基礎にありますのは、現在の地方自治法の規定の考え方でございます。
 下に枠囲みをしておりますけれども、第1条の2というところで「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」となっています。よく国の役所は縦割り行政であるとか、縦割りについては弊害もあるという議論もされますが、その対比で言いますと、地方公共団体についてはここにありますとおり、地域における行政を自主的かつ総合的に実施すると。ここに大きな意味合いがあると考えておりまして、こういったことを念頭に総合行政主体と言っているものと思います。
 また、同じく地方自治法の規定でございますが、その下にあります第2条第3項をごらんいただきますと「市町村は、基礎的な地方公共団体として、第五項において都道府県が処理するものとされているものを除き、一般的に、前項の事務を処理する」と規定されておりまして、地方公共団体は総合行政主体ということでございますが、その中でも市町村につきましては、基礎的な地方公共団体として、例えば広域性がある事務といったものについては、都道府県が行うことになりますけれども、そういった都道府県が処理するもの以外のものについては一般的にその役割を市町村が担うとされておりまして、ここにいわゆる市町村優先の原則というのが定められているものと承知しております。
 こういった役割を担っているわけでございますが、地域の実情や地方公共団体の考え方により、まさに自主的な立場から必要な広域連携あるいは共同処理ということを行いながら、こういった役割を的確に果たしていくというのが現在の地方自治法の考え方であると理解してございます。補足を申し上げました。


○片山副会長 今の説明は非常に丁寧なんですけれども、ちょっと引っかかるところがあるんです。地方自治法の1条の2で、自主的かつ総合的に実施するというのは、丸山さんがいみじくも言われたように、ばらばらではなくという意味なんです。全部やるという意味ではないんです。
 ところがいつの間にか、定住自立圏などの議論をするときには、連携してか自主的にかはともかく、全部やるべきだという意味合いを込めた用語の使い方をしているんです。そこに論理の飛躍があるんです。どういう範囲でやるかはともかくとして、ばらばらやるのではなくて、一体性を持ってやりましょうねという意味がこの規定の意味のはずなんです。それがメニューは全部フルセットでやらなければいけないと論旨のすり替えをして、自分でやれないなら定住自立圏という話に持っていこうとされているんだと思うんです。そこは気を付けた方がいいと思います。
 参考のところの条文で、せっかく出されているんだけれども、2条の1項を読んでみてもらえないですか。略になっているところです。ここは都道府県の役割でしょう。

○市町村課長 2条の1項でございます。念のため申し上げますと、地方公共団体は法人とすると書いてあります。

○片山副会長 都道府県はどこでしたか。

○市町村課長 都道府県は2条3項にも書いてありますが、5項に規定されてございます。5項を読み上げますと、都道府県は市町村を包括する広域の地方公共団体として、第2項の事務で広域にわたるもの、市町村に関連する連絡調整に関するもの、及びその規模または性質において、一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理する。こういうふうに規定されてございます。

○片山副会長 そこで市町村が処理できないものは、都道府県の事務だということが書いてあるんですね。そうしますと、そこをどうとらえるかで、全般的に平均的な市町村ができないものととらえるのか、本当は地方自治なんだから個別の自治体に照らし合わせてできないものを都道府県が処理するとするのか。
 そこで分かれるんですけれども、丁寧に読めば、やはり小さな自治体でできないことは都道府県がやりましょうという意味合いだと、私などは思うんです。そうすると、今、皆さんの使おうとしている総合行政主体ということが本当に果たしていいのか。フルセット方式というのがね。そういう疑問があるんです。
 フルセット方式を前提にして総合行政主体という話を持ち出したような次第なんでしょうけれども、その辺はもうちょっと柔軟に考えられた方がいいと思うんです。あえて言わなくてもいいことを言いますけれども、こういう定住自立圏みたいなものを構想されると、すぐにそこで財政措置という話になって、また今度もやられようとしているんでしょう。ああいう金で釣るのはやめた方がいいです。金で釣るから変な方向に流れてしまうんです。そもそも政策の内容が良かったら、金で釣らなくてもみんななびくんです。政策のコンテンツが悪いと、金を出さないとなびかないんです。
 だから、定住自立圏構想で幾ら措置するというような報道がなされているけれども、それはもう皆さんの政策が良くないということを実は自分で証明しているようなものなんです。金を付けなければ買わない。ゴージャスなおまけを付けなければ買わない。本当は、おまけなどなくたって、みんなが信服して、これをやってみようかなという政策を考えるのが皆さんの仕事ではないかと私は思うんです。

○林小委員長 ありがとうございます。総合の意味は今、片山副会長がおっしゃったような、要するに縦割りでなくて一体的に処理をすると。
 もう一つの地制調での議論は、フルセットなのか、あるいはもっと多様でいいでないかというような話をしていかなければならないのではないかというのが前回の議論だったのではないかという気がいたします。そうなってくると、それはフルセットで連携でやった方がいいのか。あるいはもう連携でなくて、それは権利でやってもらった方がいいのかという話になってくるので、この辺りが非常に大きなポイントではないかというようには思うんです。
 A〜Zまですべてやれというような話ではないかというのが、今、片山副会長のお考えですので、これはこれでまた一つのより前回よりも絞られた意見になってきているんだろうと私は思います。
 4ページ以降は、要するに出てきた議論をここに載せているということなので、次回以降、また更にこれに追加されるような議論が出てくるだろうと思いますから、それに追加できるような、より焦点の絞られたような形の御意見をいただければと思います。


○斎藤委員 今の点に関連すると思うんですけれども、先ほど出てきた第1条の2で、総合的というところには、自主的かつ総合的とありますから、自治体ができるという点をまず押さえておく必要があると思うんです。つまり総合的の中にも企画あるいは計画をするということから実施ということまで、一貫してある自治体でやれるという権限ですね。裏側から言えば、国にいろいろ制約されない。これも大事な総合性だと思うんです。
 もう一つは、先ほど議論がありましたように、行政領域ごとにいろんな団体があるよりは、1つの自治体が地域における事務をやれるようにした方がいいでしょうと。ここはベースラインだと思うんです。
 その上でどこまでやらなければならないのかというのは、あくまで第1条の2で役割を広く担うものとしているにとどまりますから、できないのであれば、いろいろな連携なりほかの仕組みを考えていくということではないでしょうか。それで現在の連携の仕組みが何か使い勝手が悪くて、法律を改めればより使いやすくなるというのなら、その地域地域で使いやすいように考えるということではないかと思います。
 都道府県との役割分担についても、2条の3項事体、都道府県が一般的に目の子で見れば都道府県がやるような事務であっても、市町村に規模なり能力があればできるんだということにしているので、こういった制度なり法律についての原則というのは、別に数学の公理ではありませんから、規模、能力に応じて、いろいろと柔軟に考えていくという方向ではないですか。
 前回欠席して申し訳ありませんでした。あるいは皆さんも共通して思っておられるかもしれませんが、フルセットというときに何をイメージしておられるかということです。事務をいろいろやれという、いろいろな事務のことをフルセットと言っているのか。そのことは当然あると思いますが、もう一つは市町村である以上、こういう組織編制を持たなければならないとか、あるいはこういう職員が必要であってという、組織体のことも含めてなのか。その辺は制度化する議論をするときには、少し分けて考える必要もあるのではないかと考えます。

○林小委員長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。

○眞柄委員 今、問題になっている点なんですけれども、私はちょっと違う視点を持っています。県と市町村がかなりフレキシブルにやれるところはやって、やれなかったら県がやればいいとか、かなり柔軟にするよりは、今、非常に無駄を省いて合理化をする一方で、27次のときには何かグローバル化をする中での自治体の役割というものが書いてあって、グローバル化をする中でのどういう役割が、例えば合併に取り残された離島などの自治体に求められるのかがよくわからない。非常にギャップを感じているんです。
 ですから、合理化する一方で、そういったところをうまく機能できるような政策が同時に必要だと思うんですけれども、その場合、おっしゃるような、できないところはお互いに県がやったり市町村がやったりというよりは、もうちょっと役割分担を逆に明確化させるというのは1つの案なのではないでしょうか。
 つまり責任の所在をはっきりさせて、できないのであれば、それはやはり制度的な改革がより一層必要だということがはっきりしますね。例えば外国の例などを見ますと、完全に非常に細かい政策分野ごとに、これは市町村がやるとか、これは県レベルでやるとか、具体的に決まっています。逆にそういったことも考えていく余地はあるのではないかと思うんです。余り自由にやったらいいとか、フレキシブルにやったらいいというと、どこに責任があるのか全くわからなくなってしまう可能性がありますね。

○林小委員長 ですから、これも今、斎藤委員がおっしゃった、いわゆる意思決定と言いますか。企画立案から執行までの話を含めてできると考えるのか。あるいは処理をするという段階なのか。
 やはり分権ということであれば、企画立案から執行まで、つまり意思決定がどこにあるのかというところが非常に重要だと思うんです。その場合にこれはできないから県がやるんだという話で行くのか。あるいは意思決定は基礎自治体がやるんだけれども、処理ができないから県にお願いをするのかというような、いろんな多様なお願いをするのかというようないろんな多様なやり方があると思うんです。
 ですから、そこは非常に悩ましい問題だと思います。つまり例えば小規模自治体であっても、これだけの権限はあるんだとした上で、垂直補完とか水平補完という形でやるのか。あるいは当初から制度的に多様な自治体があるんだから、権限はこの主体は県がやって、こういう規模だったら市町村がやるというのは、なかなかこれは難しいかもしれないという問題もあるわけです。
 その辺りをどのように考えていくのかが根本的で、これが恐らく交付税にも関わってくるでしょうし、非常に根本的な問題なのではないかという気がするんです。
 その辺りはに西尾先生、いかがでしょうか。何か御意見をいただけますとありがたいです。

○西尾委員 前回は少ししゃべり過ぎたので、控えた方がいいと思って黙っていたのですけれども、総合行政主体という言葉を自治省以来、非常によく使ってきたのですが、これはもう少し慎重に概念は使うべきではないかという副会長の御意見に私は全く賛成です。
 この点は本当に、基礎自治体は総合行政主体としてと言って、何かこれで決まってしまうような言葉の使い方をしていますが、厳密に中身は明確ではないので、ここはもう少し慎重であるべきではないかと思います。片山意見にほとんど全部賛成であります。
 私自身が聞きたいことは今の話から外れてしまうので、機会を見てから発言しようと思っていたのですけれども、今回の資料1の4ページ目。つまり前回出ていなかった、今回から出始めた論点整理のところからです。
 資料2の類型論のところにも出てくるんですが、4ページの「2.市町村合併のあり方について」の2つ目の○です。「大都市部の市区町村については」というのがありますね。これはどなたがおっしゃった意見だったのか、私には記憶がないのですけれども「人や物の流れに沿って、民間部門の生産性を伸ばすような行政サービスが一体的に供給される枠組みが望ましく、市町村合併や広域連携が模索されるべきではないか」という意見が、だれかが述べられたということになっているんでしょうけれども、私はこの意味が取れないんです。「人や物の流れに沿って、民間部門の生産性を伸ばすような行政サービス」というのは何のことを言っていらっしゃるのだろうか。もしこれを御発言なさった方がいらっしゃるなら、説明してください。

○市町村課長 事務局から御説明申し上げたいと思います。要するにこういう趣旨の御発言があったんですけれども、今日は御欠席のようです。ここの趣旨を事務局として受け止めておりますのは、大都市部におきましては、ほとんど合併が進んでいない。行われていないという実態があります。
 一方で、人や物の流れについては、むしろ相当程度に広域化しているという実態がございまして、大都市部の市区町村のエリアと経済的なと言いますか、人や物の流れのエリアというものが大きくずれているということが認識の基礎にあった上で、行政サービスが的確に供給される適切な枠組みについて市町村合併や広域連携によって模索される必要があるのではないかといった趣旨での御発言であったのではないかと受け止めてございます。

○西尾委員 大都市圏の中心から外れたいわゆる郊外で、サラリーマンたちがベッドタウンにしているような市のことを念頭に置いておられるんでしょうが、これは当然住んでいる場所と職業として働いている場所が違っている。通勤形態を取っているということですから、そういう意味で言えば、日常生活圏と行政区域は一致していないのは当たり前のことなんです。これは日本の全大都市圏で起っていることなんです。それが一致していないのは当然ですが、そのこと自身は何も否定しませんけれども、その後に出てくる「民間部門の生産性を伸ばすような行政サービス」とは何のことなんでしょうか。


○名和田委員 これはひょっとしたら私が言ったことをまとめられたのかなと思いながら聞いていたら、欠席されていた方とおっしゃったので、ほっとしているところですけれども、これに類似したことを私がちょこっと言って、それが事務局のおまとめのイメージ形成にやや寄与しているかもしれないなと思いました。
 私は前回、西尾先生とは違った立派でない意見をたくさん言ってしまったので、今日はおとなしくしていようと思いますけれども、釈明となるのかどうかわかりませんが、私が前回申し上げたのは、世界的に合併をなぜするかということを考えたときに、充実した行政サービス主体をつくるという面と、もう一つは都市というものがコントロール不能な形でどんどん膨張するという傾向があって、この膨張する都市の一体的な管理ということが課題になって、それで合併をすることがあるのではないか。合併という政策をとらせる要因として、この2つがあるのではないか。
 都市区域の一体的管理を合併という手段によって行うということは、結構いろんな国がやっていて、それによって都市という集積のメリットは発揮されるような場において、まさしく都市間競争に勝っていく。そういったために大都市が一つの自治体として合併される。そういうようなことを私はたしか前回申し上げて、そういうことも事務局のおまとめの中のイメージ形成に一役買ったかもしれないなと。釈明なのか何なのかわかりませんが、前回の議論の思い出すよすがとして、一つ申し上げておきます。

○林小委員長 ありがとうございます。「民間部門の生産性を伸ばすような行政サービスが」というのは、これは例えば制度が広域的に起業活動をやっているのに行政が違うので、その辺りの一体的な制度にしてもらえないでしょうかといったようなことも含めてであったのではないかという気もしますが、これも御本人が御欠席ということですので、とりあえず今日はいろんな意味で解釈をしておきたいという具合に思います。

○西尾委員 東京圏について考えて、そういう意味で一体的だといったら、大東京圏は一都三県にまたがった圏域になっているんですね。これを一体的に管理しなければいけないというのなら、これを1つの自治体にせよということなんですよ。そんなことできますか。それがいい方法でしょうかということなので、こういう論理はむちゃくちゃだと私は思います。

○林小委員長 そういう意味では、よく経済圏とか生活圏と行政区域が不一致だ。だから合併という話もあるわけですけれども、生活圏などは一つの大きなショッピングセンターができると随分変わるわけです。そういう意味では、それは非常に乱暴な議論だし、一方でやはり受益と負担の不一致といったような問題も起こっている。だから、そういう問題点をどのようにして解決をしていけばいいのかというのが、食住が分離している大都市圏の一つの課題ではないかということで、これは恐らく大都市圏の課題として、受益と負担の不一致という問題が出されているんだろうと思いますので、その辺りもどのようにして解決をしていけばいいかということは、やはり大きな問題ではないかという気がいたします。
 ほかにいかがでしょうか。

○斎藤委員 先ほど眞柄委員の方から、多様性ということに関しては責任等の点で明確性、あるいは明確な役割分担が必要ではないかという御意見がありました。それは原則としてはおっしゃることはごもっともだと思います。
 ただ、私が多様な制度なり連携というときには、結果として、ある自治体のある住民から見れば、その連携においてだれが責任をとるべきか。あるいは間違ったときに、一番かたいことを言えば、どういう損害賠償になるのか。それは事後的には一対一で決まるべきだと思っていますが、住民なり自治体が事前にどういう制度を選べるのかという点については、もっと多様性を認めて、その上で責任の所在は勿論、最終的には明確でなければいかぬと思います。
 その入り口というか、国全体としてみて、例えばここでは広域連合を使っている、ここでは協議会を使っている。ばらばらだというのは、経済界から見れば、ここでは県に許認可を求めるのに、こちらだと市になる、こちらだと広域連合になるというのは、ある程度の不便はあるかもしれませんけれども、それは事前に情報開示がされていればいいので、問題はやはり住民自治の観点からして、どういう使い勝手のいい制度が用意されていて、それを選んだときの責任の所在がきちんとしているということではないかと思います。

○林小委員長 ほかにいかがでしょうか。

○大山委員 先ほど小田切委員が定住自立圏における協定の利用法についてという質問をされたと思うんです。そのお答えがまだないみたいなんですが、別に今でなくてもよろしいですけれども、私もそこのところは興味があるので、資料なり御説明なりいただきたいと思います。
 何でそう申し上げるかと言いますと、やはりここで何かもうちょっとこれから良くしていく建設的な話というのは、市町村間の広域的な協力関係をもっとやりやすくするとか、県が面倒を見るやり方をどういうふうにしていくかというところくらいしか、多分ないと思うんです。
 そうなると、例えば県市町村で協定をしてやっていくということが、これから多分問題になってくるので、協定の仕方がどういうことが問題なのか。どういうところにメリットがあるのかという辺りを考えていくのが少し効果があるのではないかという気がするので、そういうところの御説明を更にいただきたいと思います。お願いします。

○市町村課長 ただいまの御質問についてでございますけれども、定住自立圏における協定によって実際に協力し合う内容につきましても、それぞれの地域の御判断で多様なものがあると思いますし、それを執行する場合の具体的な処理の仕組みというものにつきましても、今日は地方自治法上の仕組みを複数御説明いたしましたが、そのうちのどれを選ぶのか、あるいはそれ以外の方式を選ぶのかも含めて、いろんな形があり得ると思います。
 そういう意味では、協定というものの形態がどこかに特定される、限定されるといった性格のものではないと思います。定住自立圏の仕組みにつきましては、追って広域連携について御説明をさせていただく時間もあろうかと思いますので、そんな場を通じて御報告、御説明をさせていただきたいと思います。

○林小委員長 ほかにいかがですか。

○武田委員 連携について、私も資料提供と言いましょうか、追加で今後資料を出されるのであれば、お願いしたいと思うのですけれども、やはりこの間、一部事務組合や広域連合のあり方というのは、私もよく理解できないまま、どうも不透明なところが多いというような印象を持っています。自治体の財政システムの中で導入された新しい仕組みの中で、事務組合や広域連合の財政上の問題も自治体の健全化の度合いに含めて、連結させて考えることが盛り込まれてきているにもかかわらず、どうも事務組合や広域連合の財政の仕組みは、住民の目に触れる形では全く出てこないということに非常に不満を感じているわけです。
 これらは独立した法人格を持つのであって、それぞれ別の法人である市町村の住民に直接説明責任を持つものではない。これは仕組みとしてはよくわかるのですけれども、しかしながら、やはり住民の目から非常に遠いところにあるところが非常に不満を持っているわけです。
 その意味で、この広域連携と言ったときに、事務組合や広域連合のあり方は、もう少し使い勝手が良く、かつ住民からのコントロールのあり方をもう少し工夫できないものだろうかと考えるんです。私としても、いいアイデアが出るわけではないので、できれば諸外国における連携形態等の比較みたいなものの情報提供をいただければありがたいなと思っている次第です。

○林小委員長 それはまた後日、資料として出していただければと思います。

○片山副会長 今の話に関連してですけれども、皆さんには悪いですが、私は定住自立圏なんてつまらないことはやめた方がいいと思います。今までさんざん中核都市だ何とか圏だとやってきて、掛け声だけで大体終わるんです。財政措置をして、それだけ。
 そういうのが出て、自治体は何か金をもらえるというと、それに合わせて、手を挙げて申請を持ってくるんです。指定などされると、それがまた首長のポイントになると間違った認識を持っている人も多いから盛り上がるんですけれども、それきりですよ。形ばかり合わせて、お金をもらうんです。もうそんなことはやめた方がいいです。
 それよりも、例えば今の武田さんの話にもありましたけれども、既存の法制度が幾つかあるわけで、それはかなりデリバレットリーに構想された制度なんですが、やはり使い勝手が悪かったり、時代の変化に追い付いていなかったりということはあると思うんです。それは改良して、自主的に自治体が使えるように、それこそ自主的に総合的に使えるようにしてあげるのか皆さんの仕事だと思うんです。法律にないものを交付税などのえさで釣ってというのは、もうやめられた方がいいと思います。
 例えば広域連合で言いますと、今回、矛盾がかなり露呈したのは、後期高齢者医療との関連です。全国47に広域連合をつくったんです。これは国主導で全部つくったんです。いま何が起っているかというと、当事者と広域連合という行政主体との間の余りの縁遠さ。特に弱い立場で物を発言する機会のない後期高齢者の皆さんの医療保険制度を預かる自治体が、何と縁遠いことかということが今回露呈したんです。こういういい教材が身近にあるんです。
 だから、こういうものを見ながら、広域連合というものについて、もっと民主主義の不足を補う。デモクラシーに近づけるにはどうすればいいかということを検討するのが皆さんの仕事だと思うんです。ここでの仕事もそうなんですけれどもね。そういう視点を是非持っていただきたいと思います。これが1つ。
 もう一つは、さっき斎藤委員が言われたことに私も同感なんですけれども、それを敷衍して言いますと、私が言いたかったのは、斎藤さんの言われたことと共通するところがあるんですけれども、フルセットと言ったときに、私が言うのは、仕事の面で国がやりなさいと言ったことは全部やらなければいけない。国が法制化したことは全部やらなければいけないという意味で使っているんですけれども、最近国が法制化した事務で自治体の自治事務と位置づけられたもので、自治体の方が望んでいないものが多いんです。望んでいないものとか、そもそも問題意識自体を持っていないものとか、やったらやった方がいいかもしれないけれども、自分ではやれない、やりにくいとか、要するに自主的でない自治事務がすごく多くなっていると思うんです。自治事務でないものもありますし、法定受託もありますけれども、いずれにしても、自治体の本位でない、望んでいないのにやらなければいけない仕事がフルセットの中にぼんぼん入ってきているわけです。これが自治体を右往左往させているし、自治体をある意味では無能化させているんです。
 ところが、それも全部含めて、国が決めたものは全部総合行政主体だ、やらなければいけない、自分でやれないのなら合併しろというようなのは、やはり論理がさかさまになっていると思うんです。
 問題は一つひとつの法律で、法律以外のものもありますけれども、市町村の事務だと位置づけるときに、スクリーニングがうまくいっていないのではないかと思うんです。本来それが総務省の仕事でもあったんです。変なものが導入されたり、押しつけられたりしないようにということですが、そこがちょっと安易になっているのではないかと思うんです。
 そこで一つ、格好の教材があるので聞きますけれども、例えば今度の定額給付金をどこかの市町村が配れないとか、配りづらいからうちはパスしますと言ったら、その地域の住民と国との関係で言えば、だれの責任になりますか。それは自治体が配らないんだから、自治体の責任だということになるんでしょうか。
 それとも何らかの手立てを駆使して、国が直接でも何でもいいから最終的には責任を持って配るということになるんでしょうか。それはさっき眞柄さんの言った責任の問題とも関連するんですけれども、いかがでしょうか。

○総括審議官 たまたま私がやっておりますので。

○片山副会長 だから聞いたんです。

○総括審議官 同じような質問は国会でもあったんですけれども、基本的には市町村が議会で議論をして、やらないとなれば、一時的には市町村の御判断の責任だろうけれども、国としては、ここは若干ずるいんですけれども、すべての市町村で実施していただけるように、できるだけ簡潔した仕組みを考えて、お願いをしたいという言い方をしております。

○片山副会長 今度のは法律を出していないんでしょう。予算制度なんでしょう。だから、予算の配分を受けなくて、任意で辞退したのは自治体の責任だから、文句があったら自治体に言いなさいという話に多分理屈上なると思うんです。そうなると、これは任意の自治事務だと言いながら、事実上はやはり強制的にやらざるを得ない事務になってしまうんです。そこでまたフルセットが増えるわけです。
 そうすると期日までにできないとか、手間ひまかかるとかいう話になって、不本意ながらやらざるを得ないという自主性の欠如した事務が増えるわけです。これが実は今の地方自治の抱えた大きな問題だと思うんです。
 そういうものまで全部やらせますかということなんです。そこで、自治体がやりにくい事務とかやりたくない事務とか、それはうちはやりませんといえる仕組みが必要だと思います。それは国として、どうしてもやらせなければいけないならどうしますか。都道府県にやってもらいますか、それとも国が直接やりますかとか、そういうふうな柔軟な仕組みを考えたらいいのではないかというのが私の考え方なんです。身近なところにいい教材がありますから、よく考えてみてください。

○林小委員長 いかがでしょうか。

○篠崎委員 いろいろと出ているんですが、今まで少し出ていないことに関しますと、小さい自治の観点から自治組織のあり方や地域コミュニティのあり方ということが言われているんですが、私はさっき林先生がおっしゃったような、いわゆる意思決定と執行ということを少し分けて考えたときに、例えば小さな市町村で担えないから執行を規模をまとめて効率よくやるという発想もあると思うんですけれども、そうでなくて、これは地域性によって違うんですけれども、大都市の団塊世代がリタイヤして、ベッドタウンで担い手になるというところでは、むしろ小分けにして小さな住民の方々が担えるというのも随分あると思うんです。
 特に例えば指定管理者制度でも、執行という意味ではNPOなどが随分担っている部分があります。ですから、そういうふうな感じから言うと、市町村ができないことを例えば県とか一部事務組合や広域連合でやるのか。あるいはもっと住民の自治の方に逆に小分けしていって担ってもらうのか。
 そのときにやはり意思決定のあり方と執行のあり方を少し分けて考えて、やれるところもあるのではないかと。地方の小規模な市町村では、もう担い手もいないというところもあるかもしれないんですけれども、むしろ大都市圏ではそういう発想もあるのではないか。
 それともう一つは、住民のエネルギーという意味で言うと、少し長い時間軸で考えないといけないなと思います。というのは、非常に日本の場合は大都市への移住が一時だったということもありまして、これから10年、20年近くは担い手はいるけれども、それから先はどうなるんだろうということもありますので、私は本来、基本的に市町村が担う事務という意味での基本的な考え方と、それが時間軸の中でどういうふうに執行されていくかというのをうまく仕組みの中に取り入れていければなと思っています。

○林小委員長 ありがとうございます。やはり将来を見据えた制度設計ということは非常に重要だと思うんです。今、府県別に社会保障・人口問題研究所が将来人口推計をやっておりますが、例えば秋田県などは2030年にはもう25%人口減少すると。それを使って私も計算すると、秋田県は2030年には労働力人口が36%くらい減少する。
 こういう状況の中で、やはり行政も考えていかなければいけないということも当然、今、御指摘のようにあるんだろうと思います。ですから、これも議会と監査は足元の問題を何とかしようという話でしたけれども、この基礎自治体のあり方といったときには、そういう視点も少し込めながら議論をしていかないといけないのではないかという認識はしております。ただ、難しいですけれども。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○金子委員 先ほどのフルセットかどうかという話で、国が全部法制化したものはすべてやらなければいけないということに関連してですが、これは私が前回申し上げたのですけれども、国が新たに制度を作ったり改正したりして、地方公共団体に負担が増えるというときには、事前に協議しなければいけないという制度が今、地方自治法にあるわけですけれども、実際のところはそれが余りうまく運用されていない状況もあるので、国が法制化したものをすべてやらなければいけないというような前提に立つのであれば、やはり法制化に当たって、できるだけ地方公共団体の意見を有効に反映させる、吸い上げるような仕組みを新たに考えていくということも必要になってくるという感じがいたしております。
 以上でございます。

○林小委員長 ありがとうございます。分権との絡みというのが非常に強く出てくるんだろうという気がするんです。ですから、この辺りはなかなか両輪とは言いながら、切り分けて議論をすることもできない部分もありますので、この辺はまた県議会との刷り合わせとかいうことも非常に重要になってくるのではないかという気がしています。こちらから課題を向こうの方に持っていくということも一つの考え方だと思います。
 それ以外にいかがでしょうか。政所委員、何か御意見はございますか。

○政所委員 今、議論されていた点の中に関わっていますが、非常に気になる点が、合併の空気によって起きている基礎自治体という単位地域内に起きていること。特に産業面において、同時に下部組織、支援組織、関連組織というのがどんどん合併されてきている事です。
 そうしたときに、例えば今、後期高齢者の話も出ましたが、生産に携わる人たちの環境は非常に厳しくなる一方で、やはり緊急的に議会で起案、立案、議論し、決定して、処理しなければいけないようなことまでも含めて、やはり各々地元や現場から各機関、組織が遠くなってきてしまっている一面はどうしても発生してきています。
 やはり基礎自治体の将来の自立性を高める上でも、長期的、中長期的に切り捨てては決してならない、例えば産業に関することなど、農業も林業も漁業も、あるいは水源地に関わる治水・利水作業分、かなり大きな負担が課せられています。そうした現実を抱える現場から合併合理化、効率化という下に支所がなくなり、商工会議所、商工会、それら関連組織は遠くなって来ていくわけです。
 ですから、それを補助する、補完する、支援するということではなく、基礎自治体の持続的経営方針の下に、主体的に判断をしてもらわなければならない。緊急的措置はきちんと地域の特性に合った形で、だれが判断できるのかというと、それらを一括で中央で管理するとなると、個々都市部とは異なり均一的施策では難しい状態が今、現場ではかなり起きています。
 議会に立ち戻って考えますと、負担が大きくなる一方で処理に追われてしまう基礎自治体の現実が、どうしても多大にあるのではないかということ。
 もう一つ非常に大きな変化ということで、都市部と中山間地が合併したことによって、メリットや大きな期待というのはあったわけですね。中山間地は7〜8割が山林であれば時に評価が低くなり負担を認識する資産でもあったのですが、逆に都市と連携することによって、環境資源として非常に大きな意義が出てくるわけです。地域連携の評価というのも実はデータは難しいとは思うのですが、具体的な事例を挙げて、きちんと検証できたらということを思っております。

○林小委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○斎藤委員 2点ほど手短に指摘したいと思います。1点目は、片山副会長から指摘された、自治体の事務に関する義務づけですね。こちらは地方分権改革推進委員会で義務づけ、枠づけの見直しということで、1万条項のうち4,000条項はみんな不適切な義務づけと判断している。それらがもしうまく見直しになれば、今よりは自主的にやる、やらないを決められる部分が非常に大きくなると思うんです。
 ただ、それでもまだ義務づけというのは残るんでして、例えば国際条約の関係で義務づけることが、メルクマールが挙がっています。現に国際港湾の管理とかテロ対策もあって新しい法律が常にできていますけれども、国際港湾の港湾管理者が自治体の場合、自治事務なのに大臣が命令を出して、私の読み方がまちがっていなければ、命令して従わないと自治体に罰則までかけるという大変なものができているんです。しかも、国際港湾の整備について、国が全部予算の面倒を見るかというと、そうではなくて、幾ばくかは自治体が出して整備するというものは次々に登場します。
 そうだとすれば、そういった法律で義務づけられたものについて、やはりうちではできないという場合に、一体どういう連携を考えるのか。あるいは国が直接やるのか。
 私はあの法律については、条約もそこまで自治体に罰則を科してまでやれというように日本国政府の手を縛っているようものではないと思っておりますけれども、そういう問題があるので、残った義務づけを前提にして、どういうふうに自由度を高めるのかが、義務づけ、枠づけの見直しが進んでもまだ残るだろうと思います。それが一点です。
 もう一点は、個別の連携の仕組みで、参考資料の5ページです。事務の委託というのが出ております。これはいろいろな事務について、こういう委託ができるんですが、民間の発想なり、民法で言えば委託という制度は、委託側、通常の民法の契約で言えば、B町の側にも権利なり権限が残る。ところが、この制度は説明にあるように、B町の権限を全部Aの方に行くという制度ですね。
 これは民間ベースの委託契約に比べれば、それは行政上の任務を委託するんだから、こういうスキームなんだという説明はあると思うんです。ただ現在、行政協定がいろんなところで使われていて、評価はいろいろだと思います。これは行政法の方でも今まで行政契約はどういうふうに活用できるか、そこでのルールのあり方は未開拓だったんですけれども、そこをもう少しそういう契約なり、民間ベースの契約と同じような仕組みでもっとうまくいくものがあれば、非常にかたい、権限全体が移ってしまうという制度以外にも、そういったもののも検討してもいいのではないかと考えます。

○林小委員長 どうぞ。

○江藤委員 論点が拡散するかもしれないですが、そして、前回もお話をしたかもしれないんですけれども、やはり自治体を十分身近にしなければいけないということだと思います。だから、小さな自治というところで地域組織とかコミュニティがすごく充実で、これは大事なんですが、直接請求とか選挙とかいう、今回は全面的に議論できるところではないんですが、サービスの議論と同時にどこか1つに論点として入れておかないと、規模だけ大きくなって、これはどのように住民が統制するのか。むしろ選挙区選挙というのはできることになっていますけれども、一般的には大選挙区、市町村が短期制ですね。
 これは規模が大きくなると本当にいいのがどうなのかとか、片山委員がずっと言われていたように、直接請求で、お金の問題がぽんと落ちてしまうとか、必要署名数の高さとか、手続の問題もある程度抑えておかないと住民自治という観点からするとまずいのではないだろうかと一言述べさせていただきました。

○林小委員長 ありがとうございます。論点は短い限られた期間なので、議論を深めることができるかどうかは別にして、やはりこういう問題あるは課題があるということに関しては、明確にしておかなければいけないだろうと思いますので、それはそのとおりだと思います。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○名和田委員 今の小委員長の言葉に励まされて、1個だけ小さな自治に関連する点です。前回も申し上げたかもわからないんですけれども、再度。今日は鹿児島の薩摩川内市から帰ってきまして、この第29次地制調でも峰山地区の取組がヒアリングで紹介されましたけれども、ああいう事例、その他の特に農村部の事例を見ておりますと、先ほどどなたかおっしゃったと思うんですが、住民が公共サービスの担い手になるという方向が非常に追求されていて、それは賛否両論あると実は私は思っているんですけれども、協同の名の下にそういった政策方向が追求されていて、確かにいろんな成果が上がっていると思います。
 その中の有力なやり方で、コミュニティビジネスと総称されている取組があって、例えばここでもヒアリングのあった峰山地区コミュニティ協議会、あるいは同じ鹿児島の柳谷町内会とか、要するに集落営農のようなことをやっていて、かつそれが自治体が政策的にやっているコミュニティ組織が核になってやっているようなケースもある。
 そうすると、特別地方公共団体とか、あるいは法人格を持たない都市内分権的な仕組みとかではなくて、収益事業を行うようなことも同時にやっているわけです。自治的なこともやっているけれども、収益事業もやって、自らお金を稼いでいるという。
 こういう取組の現状が実はかなり広がっていて、それをするときにみんな苦労しているのは、それに適合する法人形態がなかなかないということですね。株式会社にするのかというと、ちょっと抵抗がありますし、NPO法人では収益事業をやっていると、そのうち一定の時点で課税されるようになってくるんですね。それは収益があるんだから、税金を払うのは国民の義務だと言われればそうかもしれないけれども、ほかの社会福祉法人とか学校法人と比べたら、もうちょっと税法上の優遇があってもよいはずで、地元の広域的なことをやっているわけですから。
 そういった法人類型として適合的なものを制度化していく課題がやはりあると思いまして、これは地方制度の課題なのかとおっしゃるかもわかりませんが、例えば自治会町内会を法人化する支援団体という仕組みは、やはり地方自治法に規定されているわけですね。あれは財産管理のための法人形態なので、収益事業をやるというところまでは見据えていないかと思います。
 これは多分、今期で議論できるようなことではないかと思いますけれども、一応総論的に論点を整理した場合には、現状の政策動向を短期的ではなくて、中期的なレベルでは少なくとも問題になるようなものとして、住民が活動しやすい法人形態というのがあるのではないかということを申し上げておきたいと思います。

○林小委員長 ありがとうございます。西野委員、何か御意見はございませんでしょうか。

○西野委員 しばらく失礼させていただいて、休んでおりましたので、今日は皆さんの御意見を伺わせていただいておりまして、この次にいろいろと申し上げたいと考えております。

○林小委員長 ほかにいかがでしょうか。

○金子委員 先ほど江藤委員の方から、選挙や直接請求みたいな話も論点に含めるべきだというお話があったんですが、私もこの小さな自治のあり方のところで、地域自治組織。これは合併した幾つかの市で実施されているわけなんですけれども、その辺りはいろいろと研究で、研究調査で回ってみますと、やはりメンバーについて公正にするか、このままいいのか。あと市議会議員との関係をどう考えているのか。そういう地域協議会のメンバーと市議会との関係、また地域協議会の役割と市議会の役割、市議会議員との役割分担みたいな話が、現場ではどちらかというと敵対的というんですか。地域協議会でやっていることが市議会の議員さんにとってみては、自分たちの邪魔をしているように感じられている。なかなかやりにくいという状況もあるようでございまして、その辺りの小さな自治をいかにやりやすく進めていくかという辺りについては、この小さな自治のあり方の中で、地方議会との関係とか、その辺りも議論していかないと、使いやすい小さな自治を実現していくような制度にはなっていかないのではないかと思います。以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。これもまたなかなか制度化なのか、それぞれの自治体の取組といいましょうか、意識の問題だというような部分もありますし、その辺りはどの程度、この制度化できるのかという議論も含めて、考えていかなければいけないだろうなと思います。論点はわかりました。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○片山副会長 最後に繰り返しになりますけれども、この小規模市町村、特に小規模自治体の問題を議論するときに、当調査会では制度論が中心になると思うんですけれども、財政制度とか財政の運用と切り離しては考えられない面があるということをよく共通認識として持っておく必要があると思うんです。
 例えば小規模自治体の典型例は過疎自治体がありますけれども、ここでは一様に財政が疲弊している。借金の多さというのがあるわけですが、これを形づくっているのは、過疎債を抜きにしては考えられないんです。過疎債がどういう効果を及ぼしたかというと、勿論いい面もあるんですけれども、副作用で言うとハード事業ばかりやって借金をこしらえたという事情があるわけです。何十年もこれをやってきているわけですね。
 それをずっと続けると、同じような状況がこれからも続くんです。過疎債を使ってハード事業をやれば得だから。そうすると地域経済は土建化するわけです。土建化をずっと構造化するわけです。だから、小規模自治体のあり方を考えようと思ったら、今の過疎債の制度でいいんだろうか。どうしてハード事業ばかりやらせるんだろうかということを考えなければいけないんです。
 というのが1つの例ですけれども、やはり財政制度のあり方というものもセットで見ていかないと、小規模自治体の将来を考えることには十分な議論にならないだろうと思います。

○林小委員長 ありがとうございます。今日はいろいろな御意見をいただきました。これをまた議論として、どのようにまとめていくかということにつきましても、また今後議論をしていかなければならないだろうと思っております。
 それでは、時間もまいりましたので、意見交換はこの程度にとどめたいと思います。事務局から今後の日程等につきまして、御説明をお願いをしたいと思います。

○自治行政局長 ちょっとよろしいですか。

○林小委員長 どうぞ。

○自治行政局長 宿題をいただいた資料につきましては、準備させていただきたいと思います。1つは、片山副会長から御指示がありました、権限の移譲の状況ですけれども、これは条例による事務処理特例で、都道府県から市町村に対して事務を移譲するということについては、私どもは定期的に調査をしているわけではないわけです。ですから、全国的な状況はすぐにはわかりませんが、サンプル的なものでお許しいただければと思います。

○片山副会長 私の問題意識は、専ら国からの移譲です。

○自治行政局長 国から市町村ですか。

○片山副会長 法律で市町村の権限に移譲されたもの。万が一あれば、法律で県から市町村に移譲したとか、そういうものを念頭に置いていまして、県内で移譲したのはわかる範囲で結構です。

○自治行政局長 わかりました。それから、広域連携の諸外国の仕組みにつきましても、今からすぐに調査をかけるのは難しいかと思いますので、そこも主要国の主要な部分について、調べさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○林小委員長 それでは、事務局から。

○行政課理事官 次回の日程でございますけれども、既に御案内させていただきましたとおり、2月6日金曜日の午後2時から午後5時まで3時間となっております。場所は本日とは異なりまして、麹町の都市センターホテルで開催する予定でございます。内容は地方六団体からのヒアリングを予定してございますので、よろしくお願いいたします。

○林小委員長 それでは、これをもちまして、本日の専門小委員会を閉会いたします。長時間どうもありがとうございました。


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