会議資料・開催案内等


行政手続法検討会(第9回)議事要旨



1. 日時 平成16年11月24日(水)10時00分〜12時25分

2. 場所 総務省第1会議室

3.  出席者
(委 員)塩野宏座長、宇賀克也座長代理、岩渕正紀、大森政輔、小野邦久、菊池信男、木村裕士、堤富男、常岡孝好、平岡久、水谷克己(敬称略)
(総 務省(事務局))藤井昭夫政策統括官、白岩俊行政管理局行政手続室長

4.  議題
(1)   行政手続法検討会報告(案)の検討
(2)   今後の日程等

5. 会議概要
 
(1)   行政手続法検討会報告(案)の検討について、議論が行われた。主な内容は、以下のとおり。

(「はじめに」、「1 検討会の立脚点」)
  法律の条項を記述しているものについて、注を設けるなどして当該条文の内容を記述してはどうか、また、国民に理解してもらうために、ビジュアルに概要を示した資料の作成をお願いしたい。

(「2−ア−(ア) 行政立法」、「2−ア−(イ) 行政立法機関」)
  「区域の指定」が入らないと記述しているが、断定してしまっていいのか。区域の指定には様々なものがあり、実際にパブコメを実施しているものもある。全てが入るわけではないと考えるが、全てを除外するのはどうか、という感想をもっている。
  一般処分といっても、その定義が固まったものではない。そこで、定義らしきものとして、個別事項へのあてはめは含めないと整理したもの。また、余りに広く網をかけるとどのような影響が生じるのかも考えねばならない。行政立法手続の法制化に当たっては、現在のような案でスタートしたい。
  「(イ)行政立法機関」の部分で、「担当する大臣」という用語が用いられているが、これはあいまいである。政令を例にとると、署名する大臣、主務大臣、閣議請議大臣がある。このうち、どの類型にあたるのかについて、共通の理解をしておく必要がある。
  「処分や区域の指定」という部分に違和感。この部分だけ、例示があって詳細。修文するのならば、もう少し抽象的なものの方がいいのではないか。

(「2−ウ 適用範囲」)
  「(ア)適用範囲」の「なお、・・・」の段落の末尾の「すべきとの指摘もあった。」を「すべきである。」に修正してはどうか。
  「(イ)意見提出手続を義務付ける範囲」の(2)において、「処分又は行政指導に際し」という部分は、「その他これに類するもの」までかかっているのか。また、公務員は「国民の権利又は義務」という際の「国民」に含まれるのか、つまり、人事院規則は対象となるのか。
  前者については、かかっていると理解している。後者については、考え方としては、対象に入っていると理解している。
  (2)の部分だが、現在の文案では、「処分又は行政指導に際し」は「行政機関が拠るべきこととされる」にかかるようにしか読めない。「これに類するもの」までかけるのであれば、必要な修文を行うべき。
  「(イ)意見提出手続を義務付ける範囲」の冒頭には、「直接に国民の権利又は義務に関する」とあるが、(1)においては、「直接に」という用語はなく、「国民の権利又は義務について定めるもの」となっている。両者の範囲は一致しないのではないか。仮に、前者を厳密に解すると、対象となるのは委任政令だけとなるのではないか。権利を制限し、義務を設定するのは、法律により行うことが憲法の要請である。ただし、一定の範囲で下位法令に委任ができるが、省令以下に委任することは考えられず、せいぜい政令までである。意図がそうでないのならば、「直接に」は縛りすぎている。後者であれば、下位法令全てを含むことは可能である。用語の整理と概念の統一を図るべき。
  (1)は学問上の用語では、法規命令のことである。法規命令については、法律からいきなり省令に委任しているものもあるのではないか。いずれにせよ、用語の整理は行いたい。
  「(ウ)の義務付けを解除する場合」の(3)ii2についてだが、「規準の案」とあるが、ここの「案」は、国会で質問された場合に、政令として予定されている事項を国会答弁で答えることで足りるのか。
  国民の目にさらされる必要があり、単にやりとりの中ででてくるだけでは不十分と考えている。
  やりとりの中でも答えることができることもある。ここでの「案」は、意見提出手続の際に示される案と、同程度の情報量があることが必要である。やりとりの中でそのようなことが明らかになれば公にしていると言えるが、それだけの情報量が含まれていなければ、公にしているとは言えないのではないか。
  政令委任規定があり、法制局においても実質審査しており、その内容については、国会審議においてもしばしば尋ねられる。実務上、これに拘束され、確定されるものであり、国会で答弁した内容を超える政令を策定することは実務的にはありえない。国会で答弁した事項について、パブコメをしても修正はできず、余り意味がない。ここでの「案」は、広くとるべきではないか。
  8ページ(3)i1aは、手続の重複を回避するための規定だと思うが、10ページ(5)も、同様の考え方によるものであり、前者の方に吸収できないか。前者の方は、意見提出手続類似の手続が法律又は政令で定められていることを求めるが、縛りがきつすぎるのではないか。他の解除事由にも、重複を回避することを理由とするものがあるが、それらと整合するか。
  審議会との関係は、2パターンあり、審議会がパブコメをやるものと、事務局がパブコメをやるものとがある。事務局がやるものは行政立法手続プロパーの問題。前者につき、法律や政令により審議会において意見提出手続類似の手続が義務付けられる場合は、法律上の義務である意見提出手続の義務付け解除事由たり得る。しかし法律の定めがなく、審議会が運用でやっている場合には、解除事由ではないが、本来義務付けられている意見提出手続をきちんとやっていると位置づけ得ると考えて整理している。
  9ページ(3)ii2の国会審議を経た案というのと、その後制定するものとは、一語一句同じである必要はなく、ある程度の同一性があればよいと思う。
  本来、パブコメと他の制度とは異なるものである。国会審議を経た場合にパブコメの適用除外とするのもあくまで限定的と考えており、そのような強い意味を込めたものとして「通り」と表現していると理解している。
  8ページ(1)は、「〜など著しく軽微な内容」というように括ってもらった方が誤解はないと思われる。
  8ページ(1)は、余りに長すぎる。軽微な内容までで一つ区切り、それ以降は別にした方が読みやすい。
  国会審議を経た場合の適用除外については、非常に大きい問題がある。国会で細かく案を出し、その場で議論をしてしまえば、その後、ほとんどパブコメをかける必要がなくならないか。
  国会審議を経た場合の適用除外を広く解すると、法改正に伴う政省令の制定においては、全部パブコメの義務付け解除ということにならないか。
  新法改正や法改正時の法制局における法令審査においては、政令の内容の合理性まで必ず審査することとしている。従って、法律案の国会審議時においては、政令の内容はすでに決まっているということができる。それを前提とすると、さほど懸念はないと言える。
  9ページ(3)ii2の案に賛成である。法律案のパブコメも、国会審議を経るから不要とされる。パブコメは、参考として国民から広く意見を求める制度にすぎず、憲法上の国会の位置づけを考えると、国会審議が優先するのは当然であろう。
  国会審議において、答弁に出た部分に限って義務付け解除となるのか、答弁に出なかったことも含めて解除となるのか。
  資料として、指針などまで全部付けて、国会審議を経た場合に、それらが義務付け解除となるのはどうかと思われるので、この辺については、従前の案も含めて、ご検討いただきたい。
  国会審議において、案について厳しい審議が尽くされた場合、もはやパブコメをやりようがないというのが役人の正直な気持ち。役人としては、国会審議に案を示してパブコメの義務付けを免れようという方向に動くよりは、むしろ、厳しい国会審議に示すくらいならパブコメをした方がよいという方向に動くと思われる。
  国会でさんざん議論したものを、またパブコメにかけるというのは合理性がない。国会審議の解除事由はこのまま置いてもらい、何をパブコメにかけてかけないかの判断は行政機関にある程度まかせておいてもらってよいと思われる。
  企業側からすると、スルリと抜けた状態で規制を受けているという感覚があるということを申し上げたい。
  規準の案が国会審議に出されたとして、どの程度実質的審議がされるのかが問題だろう。慎重に審議がされなかったとすれば、解除すべきではないと思われる。
  議論の実態をみて解除の有無を決めるのは困難だろう。案が公にされ、議論の対象となり得たということでよいと思われる。仮に運用上問題が生じれば、手続法の見直しという論議を呼ぶことになろう。

(「2−エ 意見提出手続I1」、「2−オ 意見提出手続II2」)
  「行政立法時における公示」について、提出意見は個人情報保護法の関係でそのまま公示することはできず、個人名が分からないように作業をすれば行政の負担が大きくなるので、弾力的な方法を考えるべきではないか。
  報告(案)11ページでは「公示後遅滞なく、提出意見を他の方法で公にしておくことを義務付けるべきである。」と記載しているが、その具体的な方法は、行政の運用に任せるべきではないかとの視点に立ち、細かなことは記載していない。
  10ページのエ(5)の「意見提出手続に準じた手続」の中身は、4ページの「イ規定すべき手続及び目的」冒頭の「案を公表」、「国民の意見を求め」、「意見を考慮して行政立法をすること」、「検討結果の公表」の4つのことを指すのか。また、8ページの(ウ)(3)i1aの手続の中身も4ページの「イ規定すべき手続及び目的」冒頭のものと同様なのか。
  後者については、ご質問のとおり。ただし、若干の疑念としては、審議会が結果を公示できるかといった点はある。
  また、前者の「意見提出手続に準じた手続」については、「2−エ意見提出手続I1」に記載してあるため、「検討結果の公表」までは求めておらず、当該事項については、行政機関が行うことになる。
  某団体から、i1)適用範囲をできるだけ広くすべき、ii2)役員会が月1回であり、団体としての意思決定を行うにはぎりぎり60日かかるので、意見提出期間30日を延長すべき、iii3)意見提出手続を行う際にはテーマを予告すべき、との意見があった。このうち、iii3)については興味深いものであり、運用でできるのではないか。
  意見提出手続を行う際に予告するのは運用で可能なので、10ページのエ(4)で記載できるのではないか。また、審議会が意見提出手続を行う場合の予告についても運用で行うよう記載すべきてはないか。
  予告は興味深いので、10ページのエ(4)に例示として記載するよう検討すべきではないか。ただし、団体の会議が1か月や2か月に1回だから意見提出期間を延長してほしいというのは、そぐわない議論ではないか。
  意見提出期間については30日以上なので、30日でも60日でも案件に応じて運用で行うべきとコンメンタールに書いたらどうか。

(「2−カ 趣旨の明示(理由の提示)」、「2−キ 公示の方法」)
  「趣旨の明示」は、意見提出手続を義務付けられていないものについて、義務付けられていると解してよいか。
  そう考えるのではなくて、意見提出手続を義務付けられているものは、きちんと趣旨を明示していると考えればよいではないか。

(「3 その他の事項について」等)
 
  地方自治法の技術的助言は、国の関与で個別の措置に該当するものであり、原則行政立法ではない。仮に行政立法に当たるものがあっても、意見提出手続の義務付けにならない。他方、法定受託事務の処理基準は、「拠るべき」ものであり、反すると違法となるものもあり、内容が規準に該当すれば、意見提出手続の対象となるのではないかと考えられる。
  条例の中に記載すべき内容を政令で規定しているケースがあるが、意見提出手続の義務付けの対象となりえるのか。
  報告(案)への条文の引用をどのように行うかは検討すべきではないか。また、報告(案)の内容が分かるようなポンチ絵を作るべきではないか。
  14ページの(イ)の後段に関し、苦情を受けて不適切なものがあった場合、総務省は何らかの勧告をすることを予定しているのか。
  勧告という権限行為ではないが、現在のパブコメ実施状況調査結果のように、改善点を指摘するとのことであれば今までと変える必要はなくそのようにしていきたい。
  総務省は、行政手続法の行政評価・監視を実施しているので、行政立法についてもその対象として、勧告することもできるのではないか。

(2)   行政手続法検討会報告(案)については、いくつか整理すべき点は残っているが、大体の意見の集約を見た。整理の必要な箇所は、今後、事務局が各委員と連絡を取りながら、必要な修正を行う。次回検討会で各委員から賛同が得られたら、当検討会の結論とする。

(3)   第10回検討会は、12月17日(金)で調整中。

 
以上
   
    なお、以上の内容は、総務省行政管理局行政手続室の責任において作成した速報版であり、事後修正の可能性がある。

ページトップへ戻る