会議資料・開催案内等


行政手続法検討会(第4回)議事要旨



1. 日時 平成16年6月30日(金)10時00分〜12時00分

2. 場所 麹町会館・2階ルビー

3.  出席者
(委員) 塩野宏座長、宇賀克也座長代理、岩渕正紀、大森政輔、小野邦久、木村裕士、堤富男、常岡孝好、平岡久、水谷克己(敬称略)
(総務省 )滝本純生大臣官房政策評価広報課長、武内信博総合通信基盤局総務課長、山内智生総合通信基盤局電波部電波政策課課長補佐
(金融庁 )三井秀範総務企画局企画課調査室長、岡田大同室課長補佐
(総務省 (事務局))田中大臣官房審議官(行政管理局担当)、白岩行政管理局行政手続室長

4.  議題
(1)  各府省等ヒアリング
総務省
金融庁
(2)  「規制の設定又は改廃に係る意見提出手続」の実施状況(平成15年度実施分仮集計版)
(3)  行政立法手続等の論点(案)
(4)  今後の日程等

5. 会議概要
 
(1)  総務省滝本大臣官房政策評価広報課長及び武内総合通信基盤局総務課長から、総務省の意見提出手続の実施状況等についての説明が行われた。引き続き、質疑応答が行われ、主な内容は、以下のとおり。
 
 電波監理審議会(以下「電監審」という。)とパブコメ手続における意見聴取する内容の差異は何か。また、電監審の答申内容とパブコメ手続における意見がずれたときには、どのように集約するのか。
 電監審の意見の聴取は必要的諮問事項で、形式改正などは含まず。一方、パブコメ手続は省令全体で、告示を行う場合もある。また、パブコメ手続における意見自体に、賛否両論あり、全体をみて判断している。
 電監審の意見の聴取とパブコメ手続は、無関係なのか。電監審の手続にパブコメ手続の結果は来ないのか。
 電監審にパブコメの結果を紹介することもある。当初は電監審がパブコメを行っていたが、省庁再編時に審議会の政策決定機能を整理することとなったが、その際、パブコメ手続は省が行い、必要的諮問事項は電監審で意見聴取をすることとした。
 政省令と比べ、審査基準やガイドラインのパブコメがやりにくいことはあるか。
 特にない。
 審査基準の下位にCS免許方針等を策定しているが、これはパブコメをかけているのか。
 内規で公表していないものもあり、そういうものはパブコメを行うことにはならない。公表するものについては、パブコメにかけるはず。
 懇談会報告書のパブコメについて、中間段階や最終段階で行うものがあるが、省の方針はあるのか。また、最終段階の報告書をパブコメにかけ、重大な修正が必要な場合はどうするのか。
 最終段階のものが多いと思うが、後で調べる。また、平成15年度にNTTの東西接続約款のパブコメを行った際には、意見を踏まえて修正し、再度パブコメを行ったことがある。
 平成15年度のパブコメ案件の内容のうち、「その他」はどのようなものか。
 閣議決定対象外36件は、通達、報告書、政策評価基本計画等がある。パブコメの大半はテレコム関係で、技術的な審査基準などが多い。後日資料を提出する。
 電監審の意見聴取は口頭で行うのか。また、対象たる利害関係人はどのように特定するのか。
 対面により口頭で行う。また、利害関係人は基本的に免許人になる。公示して意見を募集する手続が先立つので、そこから特定される。
 パブコメの対象でありながら実施していないものについては、どういうものについて、どのような理由で実施しなかったのか。
 平成15年度に1件実績がある。対象案件は、電子政府構築計画を踏まえた政省令であり、同計画自体が内閣官房でパブコメ手続が行われているため、同手続を省略したもの。
 パブコメ手続を法制化した場合、何らかの支障はあるか。
 現行でも事務的に大変だが、意見募集期間を一律に定められるとつらい。

(2)  金融庁三井総務企画局企画課調査室長から、金融庁の意見提出手続の実施状況等についての説明が行われた。引き続き、質疑応答が行われ、主な内容は、以下のとおり。
 
 パブコメを行う日程がとれないが、手続を行うべき対象の場合の考え方は。
 ケースバイケース。例えば、金融組織再編特別措置法は、平成14年12月11日に成立し、翌年1月1日施行を目指していたが、政省令を法律の成立日と同時にパブコメを行い、12月26日に官報公示した。時間がなくても極力パブコメを実施している。
 「企業会計審議会第一部会の公開草案の公表について」は現行の閣議決定の対象内案件か。行政指導的なものではないか。
 対象外案件である。企業の会計基準は、法的には、商法上の「公正ナル会計慣行」のことであり、行政指導とは異なる。なお、企業会計基準は、当時は企業会計審議会で検討されていたが、現在は、民間主体の(財)財務会計基準機構が作成することとなっている。
 金融検査マニュアルは閣議決定の対象外案件とのことだが、金融検査そのものは規制ではないか。
 本マニュアルの上位にある自己資本比率規定や早期是正措置が規制であり、同マニュアルは監督の手段。
 金融検査マニュアルや会計基準等は重要な意味があり、これをパブコメする意味はある。閣議決定の対象外案件が重要性を持っている印象を持つがどうか。
 海外から金融検査が甘いなど日本の会計基準への不信、疑念があり、それが金融危機につながった。海外からも評価されるような検査にすることが重要な課題だった。その意味で、パブコメ手続は、国際的に関係者と意見交換もでき、それを通じて信頼確保にもつながり、重要な意味があると思っている。
 いろいろな検査マニュアルについて、パブコメ手続にかけるもの、かけないものがあるのか、その場合、統一的なルールはあるのか。
 検査マニュアルはすべてパブコメ手続を行っている。
 (パブコメを実施した際、)規制の名あて人は関心を持つだろうが、一般人はどの程度意見を出すのか。
 金融機関以外からもコメントが出てきていると思う。法律策定時の与党手続等において、大きなところとは決着しているが、政省令のパブコメ実施時期には、策定された法律の内容が政省令に的確に反映されているか事後チェックする意味合いが強いと思う。
 パブコメ手続には双方向性があるが、金融庁では、意見を求めることよりも、市場に対する情報提供を重視するとの印象を受けたのだが、意見を施策に反映した例はあるか。
 技術的な意見が提出されることがあり、府令について意見のとおり修正したケースがある。パブコメを行うことは大変だが、外部から有意義な意見が出た場合には、それを受け入れることにより、より良い案になることがある。
 (パブコメが法制化されたら、)対象案件が今よりも増えるかもしれないが、どうか。
 事務的には大変で、現行体制では、現行事務でも手一杯。パブコメは重要で意義は認めるが、合理化しないと、実務が動かない。硬直的な仕組みでは困る。
 下位法令への策定を考慮すれば、法律の施行期日の定め方等施行の仕方について、考えるべきではないか。といっても、実際に問題となっているケースは閣議決定ではなく、議員立法のことが多いのかもしれないが。
 施策によっては、緊急にやるべきとの政治的判断がありえる。したがって、パブコメ手続については柔軟性を確保することが必要。
 利害関係人についてはパブコメにプラスして、意見聴取を行うのか。
 政令・府令については、手続的事項が中心であり、パブコメ手続のみで済ませていることが多いのではないか。法案については、与党手続も経るので提出前にいろいろと業界からの意見が反映される機会はある。業界から不満は聞いていない。
  パブコメを行う前に、業界は行政庁からの指導が行われ処理が済んでいる印象を受けたが。
 政令・府令については、法案段階で各界からの要望を受け入れており、それは政令・府令にも反映されている。また、法案策定の前段階に業界団体も含めた有識者の入っている金融審議会で意見を聞くこともある。
 今の閣議決定について、意見があるか。
 何とかやれているとの認識。余裕を持ってはやれておらず、事務量は相当なもの。きちんとするには、体制面で、各省庁の機構・定員を純増させるなり、それなりの予算・体制整備が必要。また、パブリック・リレイションの面では、民主主義との関係が整理されず、(パブリック・コメントをやるべきという)形式面が先行しているように感じる。行政が行うべきことをどうするか、行政と政治との関係について、法制化の機会に整理が必要ではないか。

(3)  事務局から、「規制の設定又は改廃に係る意見提出手続」の実施状況(平成15年度実施分仮集計版)について説明が行われた。引き続き、質疑応答が行われ、主な内容は、以下のとおり。
 
 閣議決定の対象外案件にどのようなものがあるか分析を行ったことはあるか。
 今まではない。
 本来はパブコメにかけるべきであったものを拾うことは困難なのだな。
 法律案要綱をパブコメ手続にかけるのは閣議決定の対象外案件か。
 閣議決定の対象外案件であるが、政省令とセットになってパブコメにかけているものは閣議決定の対象内案件として整理されている場合もある。

(4)  座長から、どのような範囲に重点を置いて議論するか議論の集中について整理することの重要性が高まった旨の発言を踏まえ、多くの委員から行政立法手続等の論点(案)及び進め方について議論が行われ、主な内容は、以下のとおり。
 本検討会の検討対象が不明確、スケジュールが短いと心配している。スケジュールを1年延長すべき。秋までに検討の基本方向を決め、その後、専門家による小グループで検討を行うべき。理由は、本検討会の対象テーマが、開催要領等によると、行政手続法の見直し、第3次行革審の残された課題、行政裁量の問題、行政立法手続の法制化など多岐であり、現在中心に議論されているパブコメの法制化は一部に過ぎない。それに特化するかについても検討が必要である。行政のルールの透明化は重要であり、行政立法手続の法律を作るなら、充実したものにすべき。
 パブコメの法制化を先に行うならば、現行のパブコメ手続にはメリットもあり、法制化するとマイナス面もあるか見極めが必要。
 総務大臣からは11月を目途に検討を行ってほしいと言われたが、何が何でもとは感じられなかった。1、2年遅れても、いいものを作った方が禍根を残さないのではないか。
 意見には同感の点もあるが、重要な点をここで取り上げ、残りはあとにするということもできるのではないか。そうでなければ、秋までに結論を出すのは無理ではないか。
 規制改革・民間開放推進3か年計画において検討が特記されている「パブリック・コメント手続の法制化」について、本検討会で検討するならば、年内でこなせるのではないか。この方針を変えるのはどうか。パブコメの法制化を完成させ、その後、その他の検討事項を取り上げてはどうか。
 行政立法手続は難しく、1年延長しても無理なものは無理。過去の経緯をみても、一つ一つの事項をこなすのは大変。大きなテーマに一つ一つチャレンジするのが現実的ではないか。
 行政手続法は画期的なポイントであり、評価すべき。パブコメ手続については、同法の策定当時からの課題であり、法制化について検討し、残りの論点について、次につなげていけばよい。
 専門的な検討が必要であることには賛同するが、開催要領では11月を目途に開催することとなっている。なんとかパブコメの法制化をしたい。
 パブコメの法制化により、制度が硬直化すると指摘は重要な指摘。行政立法手続の制度化について意見が分かれても仕方がないが、議論すべきではないか。
 専門的な検討を行うには、残り4回では足りないので、検討会の了解が得られれば、ワーキンググループ的なものを作ってはどうか。
 行政手続法全般について検討するなら11月までは無理。行政立法手続に専念し、その他は将来の課題にするべきではないか。
 パブコメは結構行われていると感じた。最初からパブコメの法制化の検討と言えばすっきりしたが、現実的にはパブコメの法制化に特化すべき。
 パブコメを活用しているので、行政立法手続を検討してほしい。パブコメは国民の意見が反映されればよいと思っていたが、行政が失敗を回避するための手段という性格もあるのではないかと感じた。
 パブコメの法制化に特化するとしても、行政改革の中での位置付けを共有したい。専門家だけの議論だとかたよった議論になるので、広い観点から意見を出してほしい。
 将来の課題を残すのも本検討会の使命だと思う。

(5)  ヒアリング会は、7月5日(月)と7月9日(金)に開催。
 
以上
   
   なお、以上の内容は、総務省行政管理局行政手続室の責任において作成した速報版であり、事後修正の可能性がある。

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