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第16回独立行政法人評価制度委員会 議事録

日時

平成30年6月29日(金)15時30分から17時00分まで

場所

中央合同庁舎第2号館10階 総務省第1会議室

出席者

(委員)野路國夫委員長、樫谷隆夫委員長代理、天野玲子委員、梶川融委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、高橋伸子委員、中村豊明委員、浜野京委員、原田久委員

(事務局等)栗原管理官他

議事

  1. 平成30年度の調査審議に当たって
  2. 平成29年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等の点検について
  3. 「独立行政法人の目標の策定に関する指針」、「独立行政法人の評価に関する指針」等の見直しの必要性に関する検討について
  4. 独立行政法人の職員が地方公共団体等で活躍している事例について
  5. 法人活性化事例について
配付資料

議事録

【野路委員長】  ただ今から第16回独立行政法人評価制度委員会を開会いたします。本年度もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議題1について、まず樫谷評価部会長から御説明をお願いします。
【樫谷委員】  5月21日に評価部会を開催し、昨年12月の委員会決定に沿った調査審議を進めることを確認した後、今年度の見直し対象13法人の調査審議を行いました。
 今後は、7月、8月に、法人の長との意見交換を進める予定です。その結果については、次回の委員会で調査審議の状況等を報告します。
【野路委員長】 ただ今樫谷評価部会長から御報告いただきましたが、今年度の見直し対象13法人について調査審議を開始したとのことです。
 なお、浜野委員から、これまでの委員の御経歴を踏まえ、委員会と評価部会において、日本貿易振興機構、JETROに関する委員による審議、議決を回避したいとの申し出がありましたので、申し合わせに従い、申し出どおり取り扱うこととしましたので、御報告します。
 それでは、今後、13法人の理事長へのヒアリング等、調査審議を本格的に進めていくこととなりますが、それに先立ちまして、御意見等ございましたら、御発言いただきたいと思います。特段ございませんか。
 それでは、引き続き精力的に調査審議を進めていくということでお願いしたいと思います。
 次に、議題2に移ります。平成29年度における法人の業務の実績に係る評価等の点検について、事務局から説明をお願いいたします。
【栗原管理官】 昨年度も同様の点検を行っていただきましたが、今年度も、8月には87全ての独立行政法人、それから準用法人を含めまして88の法人につきまして、昨年度一年間の各法人の業績の評価、いわゆる年度評価と、昨年度見直し対象であった23法人について、昨年度末に終了した目標期間における各法人の確定した業績の評価、いわゆる期間実績評価の二種類の評価が行われ、評価を行った主務大臣が評価結果を公表する予定となっております。この主務大臣が行った評価結果につきましては、評価書を昨年同様、各委員方にも送付させていただきますが、事務局でもこれらの評価結果に関する点検を進めることとしております。この点検作業を進めるに当たりまして、心得ておくべき視点、その他留意すべきことを御指示賜れればと思います。
【野路委員長】  それでは、点検を進める視点について、樫谷評価部会長から御発言あるということなので、お願いします。
【樫谷委員】  委員会、評価部会としては、S、A、B、C、Dといった評価の結果自体に重きを置いているのではなく、評定をするに至った判断の根拠・理由等が合理的かつ明確に説明され、主務大臣において評価結果によって判明した法人の業務運営上の課題や、法人を取り巻く社会経済情勢の変化などを踏まえた業務及び組織の見直し等の対応が行われることが重要と考えております。
 評定を付す場合には、評定に至った根拠を適切に説明していただく必要があります。評定はBが標準であり、A以上の評定を付す場合には、まず、初期の目標を上回る成果が得られていると認められていること、または、難易度を高く設定した目標の水準を満たしていることが具体的根拠として説明される必要があります。また、C以下の評定を付す場合には、評価書において、改善に向けた取組方針、また、具体的改善方策を記載することが必要です。これらは今年度の期間実績評価におきましても全く同様です。
 また、委員会で評点を点検する趣旨は、例えば、法人の職員のモチベーションの向上を目指す取組を行い、組織運営の活性化につながっていると思われているものや、短期的な結果に着目するだけではなく、長期的な成果を見据えて評価方法を工夫していると見られるものなどの他の法人の参考になるような事例についても共有することにも眼目があると考えております。
 事務局におかれましては、年度評価等につきまして、このような視点を踏まえて点検をしていただきたいと思います。委員の皆様も、可能な範囲で評価書を御確認いただきまして、以上の視点に即してお気づきの点がありましたら、事務局まで御連絡いただくようにお願いします。こうした点検の結果について、委員会の場で事務局から報告するようにお願いしたいと思います。
【栗原管理官】  樫谷部会長からのただ今の御指示を踏まえ、点検作業を進めてまいります。
【野路委員長】  議題3に移ります。続いて、「独立行政法人の目標の策定に関する指針」、「独立行政法人の評価に関する指針」等の見直しの必要性に関する検討について、事務局から説明をお願いします。
【栗原管理官】  資料1を御確認ください。
 この見直しの必要性の背景や経緯です。最初の○ですが、平成26年の独立行政法人制度改革において、独立行政法人通則法の一部改正が行われたところですが、その中で、国の行政の一部として政策実施を担う法人については、その政策実施機能の最大化を図るため、主務大臣のもとでPDCAサイクルを貫徹させることとして、主務大臣が目標の策定に加えて、評価も行って、評価結果を法人の組織・事務事業の見直しや改廃、それから国の政策への活用に反映するという仕組みに改められたところです。
 その際、総務大臣が、各省が目標を策定する際、あるいは、評価をする際に、統一的な指針を定めることとされましたので、平成26年9月に、この二つの指針の総務大臣決定をしたところです。
 二つ目の○ですが、当委員会において、これまで制度改正後3年間、調査審議をしてまいりました。昨年度末には、2月の委員会でも工夫が見られる例を取りまとめましたが、一定の知見が蓄積されたことも踏まえて、今一度、法人の政策実施機能の最大化という制度改正の趣旨に立ち返り、新たな制度のもとでの目標の策定や評価のあり方について議論の必要があるのではないか。このようなお考えも、昨年、委員方からいただいたところです。
 これを受けて、昨年末の委員会決定において、各主務大臣や法人の意見を聞きつつ、現行の指針の見直しを検討すべき内容を把握して、これらの指針の将来的な改定に向けて委員会として意見を述べる準備を進めることを表明したところです。これを踏まえて、3月以降、事務局でも具体的に主務省を通じて、ヒアリング等を行っております。
 今後は、本件に係る調査審議を進めていくため、評価部会において、集中的な議論を行いたいと思っております。具体的には、何人かの委員に参画いただいて、いろいろな知見をいただきながら検討する事項等をまとめていきたいと考えております。
【野路委員長】  この件について、御質問、御意見等ございませんか。天野委員。
【天野委員】  是非行っていただければよろしいかと思います。私も国立研究開発法人等、いろいろ見ていますので、申し上げたいことがあれば、遠慮なく言わせていただきます。
【栗原管理官】  よろしくお願いします。
【野路委員長】  他にございませんか。中村委員。
【中村委員】  評価を行う中で、相当な作業を行っていて、改善もされているのですが、この評価の結果、例えば、Aであったらどうなるのか、Sであったらどうなるのかというと、ほとんど何も起きず、理事長や理事の退職金の算出の際に効くというだけです。本来、評価とは政策実現の効率をいかに上げるかということから始まった割に、評価を実際に行っている人たちのインセンティブになっているのか、最近疑問に感じています。もう少しインセンティブになるような検討をされると良い気がいたしました。
 特に、働き方改革の法律が成立しましたが、あれは、もともとは労働生産性を向上させて、国民のQOLを上げていくという目標があるわけで、法人も同じように、生産性が上がるような、モチベーションを上げる評価制度という視点を入れて、是非検討をしていただきたいです。
【栗原管理官】  承知しました。
【天野委員】  私は、特に国立研究開発法人に関係しているのですが、CSTIでもいろいろ評価が行われていますし、こちらでも行われています。それ以外にも、やはりこの評価制度というものはいろいろあると思いますが、そろそろそれぞれの立ち位置を整理していく必要があると思います。
 それと、私は民間出身なので、縦割りというものは非常に気になります。どんどん府省連携していただいて、法人は実務部隊ですから、国のためにいろいろ行っていただくようにお願いします。この実務部隊で連携がうまくいっている例も少し見受けられるようですので、主務省はどんどん法人を褒めてほしいと思います。
【樫谷委員】  まさにおっしゃるとおりだと思います。今後、理事長ヒアリングもございますので、理事長が、特にインセンティブについてどう考えているのか、また、何か突破できないものがないか、そのような議論を是非していきたいと思います。また、委員の皆様からもそのような議論を行っていただきたいと考えております。
【金岡委員】  本年度の見直し対象13法人を見ますと、昨年以上に教育、医療等、一般の国民の方の関心が高い法人が含まれている印象があります。
 そこで、80以上も法人がありますが、法人ごとにどの程度フリーハンドをお持ちなのか、という点に関心を持っています。法人はさまざまな法律に基づいて、また、教育や、特に医療ですと、さまざまな外的な制約条件のもとで活動されていると思います。その中で、法人ごとにどの程度フリーハンドを持った上で、理事長の下、業務を行うことができているのか。さまざまな制約も多く、やはり厳格に定まっているところはフリーハンドにも限界があるかと思いますので、それを少し斟酌するような物の考え方がないのか、議論してみたいと思います。
【樫谷委員】  その点に関しても、まさにおっしゃるとおりだと思います。そこで、我々委員会が議論する時に、法人の理事長と議論するだけではなく、やはり主務省に言うべきことと、法人に言うべきことを、ある程度区分けをして、しっかり発言していかないといけないと思っております。主務省は邪魔をするのではなく、むしろ前を向いて考えていただいて、法人も意欲を持って業務を行っていただくというように、是非議論の方向を行っていきたいと思います。
【野路委員長】  ありがとうございました。他にございませんか。
【浜野委員】  先ほどモチベーションが上がるような評価制度をというようなお話が出ましたので、その点についてコメントしたいと思います。
 どの法人も事務費が膨らんでおり、人件費の弾力性が非常に乏しいと思います。そのため、評価はされても、金額等いろいろな意味で、モチベーションが上がるような結果になっていない可能性がありますので、主務省もそうですが、財務省も含めて、工夫をしていただくようなことができないのかと思います。評価をしても、評価に取られた時間のかけ方に対してリターンが十分ではないということにならないように、御勘案いただければと思います。
【野路委員長】  事務局、どうぞ。
【栗原管理官】  これからまさに評価部会のもとで議論をしていくことになると思います。その中で、今委員から出た、まず評価の話、国の中で政策評価や、行政事業レビュー等、いろいろな評価があると思っております。そういった中で、例えば、数値目標なり評価をどのように活用していくのかを把握した上で、法人はどうあるべきなのかという検討をしていく必要があると思います。
 それから、もう一点、民間企業でも、随分目標や数値等をしっかり立てて、うまくインセンティブに使っているところがあると聞いておりますので、そういったところからもヒアリングをしながら検討していきたいと思っております。例えば、評価の実施方法やテーマを重点化するということも考えられるのではないかと思っておりまして、まずは部会長と何人かの委員に相談させていただきながら議論を進めていきたいと思っております。
【野路委員長】  ありがとうございました。では、事務局で評価の行い方、あるいは、民間企業の例も踏まえて、少しでも前進する方向で、また評価を行っている人たちに達成感が生まれるような仕組みの検討をお願いしたいと思います。
【栗原管理官】  承知いたしました。
【野路委員長】  それでは、樫谷評価部会長から一言お願いいたします。
【樫谷委員】  資料1にございますように、当委員会におきましては、3年間の調査審議を通じて一定の知見が蓄積されたと思っておりますが、今年の秋も、またその作業に入りたいと思っており、前年より少し前倒しのイメージで、評価部会としての考え方を中間報告させていただきたいと考えております。
 また、今年度の見直し対象法人につきましては、この中間報告をもとに、平成31年度からの新たな中(長)期目標を策定していただくことが可能となりますように、調査審議を進めていただきたいと考えております。
【野路委員長】  ありがとうございました。それでは評価部会において、集中的に調査審議を進めていただきたいと思います。
 続きまして議題4ですが、法人の職員が地方公共団体等で活躍している事例について、事務局から説明をお願いします。
【栗原管理官】  資料2、「独立行政法人の職員が地方公共団体等で活躍している事例について」を御覧ください。
 本資料の趣旨です。昨年の委員会決定において、法人の地域支援に関する視点を盛り込ませていただきました。これを踏まえて、その際、特に年度末の委員会の議論の中で、法人の職員が、もっと地方の現場を見てほしいという声がございました。そういった中で、法人の職員が地方公共団体等、地方に人事交流、いわゆる出向の形を通じて、成果を上げている事例や人材育成に貢献している事例を事務局で把握して報告するよう宿題をいただいたところです。今回、事務局において、各府省や法人などへの聞き取り結果をもとに、三つほど事例が挙がってきましたので、その点を報告させていただきたいと思います。
 2番の「具体の活躍事例」を御覧ください。一点目が、国際協力機構、JICAでございます。島根県の海士町という隠岐島にあるところで、地方創生のトップランナーとして知られています。隠岐島は、自然が多く、離島ですが、そういったところで地域を活性化していくという経験や考え方は、JICAが行っている開発途上国が国づくりを行う際の基本的な姿勢や考え方に通ずるということもあり、そういった観点のノウハウが、JICAの行う開発途上国支援にとって非常に役に立つ。一方、海士町についても、JICAの活動を通じて、世界各国の交流を広げて地域の活性化につながるという、両方にとってメリットがあるということで、JICAの職員を海士町の役場に出向の形で派遣して、海士町内でJICAの研修を実施するといった連携を進めているということです。
 特に、この海士町の活性化事例が、高く評価されており、平成30年3月末には、両者が連携協定を締結して、さらに連携を深めていく形になったそうです。
 それから、JICAは、政府が今インフラ輸出を行っておりますので、そういった知見の習得の観点から、国土交通省の地方の道路関係の事務所ですとか、横浜市の水道局、水インフラ輸出の関係でノウハウを得たいということで、積極的に随分職員を派遣しているという事例が一点見受けられたところです。
 二点目は、今年度見直し対象法人の都市再生機構です。一点目の大きなものが、東日本大震災の復興支援の関係で、被災三県に随分人を出しているということでした。実際調べてみたところ、平成30年6月時点ではトータルで24名、被災地については、延べ65名を派遣したというようなところです。
 それから、東日本大震災以降の復興支援ということで、三点ほど派遣しております。一点目が、熊本地震の関係で、熊本県に職員2名を出向させて、復興土地区画整理事業の推進に向けた技術支援を実施しているというのがあります。
 それから、岩手県の岩泉町で台風の被害があったらしく、そこにもやはり職員1名を出向させて、復興の関係をなさっているというところです。
 三点目が、糸魚川市の火事があったところについて、職員3名を出向させて、同じような取組をしているということです。
 それから、地方自治体のまちづくり支援も行っているそうです。一点目がコンパクトシティの実現の観点で、新潟県の長岡市と滋賀県の草津市に職員、それぞれ1名ずつ出向させて、まちづくりの支援を実施しているとか、それから東京でも大都市の再開発等をしていますので、例えば、港区や千代田区などに、それぞれ職員を出向させて、再開発の関係を行っているというようなものがございます。
 三点目が、森林研究・整備機構です。これは島根県から具体の要請があったということで、島根県は、やはり林業が成長産業と位置づけているようですが、他方で、県に豊富な事業実績・経験のある造林技術者がなかなかいないらしく、ノウハウを持っている法人に対して、県から職員の派遣要請があって、平成29年4月から職員1名を派遣しているということです。
 以上、調べた事例ですが、今後、これについてどうするのかに関して、事務局から二点御提案です。
 一点目の第1パラグラフです。まさにいただいた視点に沿って行っていた法人はたくさんございました。ですので、例えば、理事長ヒアリングの意見交換の場において、こういったところのノウハウはどのようなものを有しているのか、あるいは、人材育成についてはどう考えているのかといったことを、是非意見交換をしていただければと思っております。
 それから二点目は、逆のパターン、地方が法人に来て、ノウハウを吸収して、また戻って、その知見を地方に戻しているといった例が幾つかあると聞いております。
 それから、地方を助ける例の一環として、ノウハウに関する研修を実施している法人も多く見られるようです。今回、出向という枠組みで調査をしたので、出向という形式上の枠組みにとらわれず、法人が活躍して地方のようなベクトルでも調査をしてみて、委員会資料として取りまとめて公表させていただきます。そうすることによって、現在は限定された地方・地域になっておりますが、それ以外の方々が資料を見て、「気付き」となるようなこととしてみてはどうかと思っております。
 事務局からの説明は、以上でございます。
【野路委員長】  それでは、この件について、御質問、御意見等ございませんか。天野委員。
【天野委員】  これは、非常に良い取組だと思います。今、法人は地方との連携に熱心に取り組まれています。例えば、環境省の国立環境研究所などは、地方の環境研究所と連携をとって、活動をなさっています。また、国立環境研究所の所管は環境省ですが、最近は経済産業省のお金を使って活動を行っているというようなことで、このような非常に良い取組がたくさん出てきていると思います。文部科学省の防災科学技術研究所でも、各市町村の方が参加する防災のコンテストを長年行っており、それぞれの地方の防災意識を高めています。また、実務的なところで言うと、国土交通省の水資源機構も、地方の防災教育にかなり連携して取り組まれています。このように、現場に近いためか、法人の方が、地方創生に対して、かなり積極的に取り組まれている事例が多いような気がしますので、今年度の調査審議でも、是非積極的に情報を集めて、好事例集のようなものを取り上げていくと良いのではないかなという気がします。
【野路委員長】  ありがとうございます。他にございますか。
【浜野委員】  地方に限らず、人材の不足をどのように解消していくかが課題だと思うのですが、このような連携の取組の中で、法人も含めIoTやAIの活用を日本全体でもっと進めていただいて、そういった知見を地方にも広めていただきたいと考えております。例えば、林業は、スマート林業という取組もあるわけですから、一つの民間団体や地方自治体ではできないようなところを先進的に法人にも行っていただきたいと思います。
【野路委員長】  ありがとうございました。私のところの事例を一つ紹介しますと、今、土木建設現場のオープンプラットホームとして「LANDLOG」という取組を行っております。土木建設現場は、あと5年から7年たつと、120万人ほどの労働力不足だと言われています。それで何とかならないかということで、私の会社でプラットホームをつくりまして、2年間で、8,000ほどの現場の情報の収集・提供を行っています。土木建設業は、10人や20人規模の会社が多いのですが、大体年間5つほどしか工事を行わないのです。その数字を見てわかるとおり、民間でも建設業を一つ行っていても、工事の経験というのは、せいぜい年間5つか6つなのです。それを一カ所のプラットホームでやると、2年間で8,000件行うことができます。その8,000のノウハウが、全国の建設業の中に生きていくわけです。
 ですから、AI、IoTなど、ICTを使って、プラットホームをつくることによって、スマート林業のような形に発展させていき、そこに特別に予算をつけます。インセンティブにするとか、新しいミッションをつくるというような形にしないといけません。特にこの森林もそうですし、震災にも、そのノウハウが全て生きるわけです。
この人手不足の時代に、法人が今こそ活躍できる時代に来たということです。今までは例えば構造改革だという話ばかりしていましたが、そうではなく、法人が今、全国で活躍することによって、社会的な課題を解決できるのだというような視点で、元気の出るような方向で、事例だけではなく、プラットホームのような形で整理してもらうと非常に良いと思います。
【栗原管理官】  分かりました。対応させていただきます。
【野路委員長】  他にありませんか。
【樫谷委員】  行政改革の流れとして、民にできるものは民、地方にできるものは地方ということを、少し曲解されたような感じがあります。確かに、原則は、民は民、地方は地方ですが、やはりノウハウは、一番まとまって、たくさん数をこなしたところが持っているはずなので、そこから良い形で、全体的にどう広げるかを考えるべきだと思います。それが官にできることだと思いますので、民業圧迫などの理由でもって断るということではなく、むしろ民業をどう発展させるためにどうするかのような考え方で積極的に行っていただきたいと考えております。さらに、そのような役割は法人においても十分できるはずなので、前向きに行っていただきたいと思います。
【野路委員長】  ありがとうございました。よろしいですか。
【原田委員】  幾つかのこの事例を拝見すると、国際協力機構、JICAの場合には、双方にとってウィン・ウィンの関係があったりするような説明がありました。他方で、復興支援関係というのは、一見するとそうした関係はないのですが、実はそのような関係でも、おそらく当該法人にとってもプラスの点があると思います。
 先ほどの委員長のお話にもありましたが、依頼があったり、あるいは、自分たちから積極的に人材を出したりというような、人材政策のPDCAを、法人はどのように考えているのでしょうか。もちろん最初は依頼があったのでお引き受けしましたということはおそらくあるのでしょうけれども、そのような機会を当該法人がどのように使っていこうとしているのかということも、是非調査をしていただきたいです。
【野路委員長】  ありがとうございました。事務局、いかがですか。
【栗原管理官】  ありがとうございました。まさに、法人は、いわゆる国の政策実施機能を最大限発揮する、という考えが導入されましたが、実態を調べてみますと、国が政策を実施するに当たって法人を使うもの、民を使うもの、研究機関を使うもの、地方を使うものもあるということで、やはり国全体トータルで考えて、国の政策をどう最大限発揮するかということだと思っております。そういった観点に軸足を置きながら調査審議するとともに、そういった考え方に沿って、今後の見直しを行っていきたいと思っております。
【野路委員長】  いわゆる自治体が社会的な課題を持っているわけですね。それを横串で法人がサポートするような形になると思います。民間ができるものは民間で行ってもいいと思います。しかし、最終的には、あくまでも主役は自治体になるので、やはりそうなると法人のほうが支援を行いやすいと思うので、是非お願いしたいと思います。
 それでは続きまして、今年度以降も昨年度の委員会で決定に織り込んだ視点に沿って調査審議を進めていただくとともに、事務局において、法人と地方の関係についても引き続き事例の把握に努めていただきたいと思います。
 続きまして、議題5については、法人活性化の取組として、参考になる事例を毎回紹介していただいておりますが、本日は、のぞみの園の取組について、のぞみの園理事長の深代様からお話をいただきます。深代様、お願いいたします。
【深代理事長】  本日は、法人の活性化に向けた取組ということで発表の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 まず、施設の概況、あるいは、法人の沿革などを簡単に説明させていただきます。
 所在地は、群馬県の高崎市でして、市街地を望む丘陵地にございます。敷地面積は、70万坪ですが、8割は保安林等の山林となっております。
 生活寮13棟の他、管理棟、日中支援棟、診療所などが配置されており、6月1日現在で、入所利用者が225人、通所の利用者は、定員ベースで50人、児童の通所支援利用者が、定員ベースで40名となっております。この他、市街地でグループホームを4棟、日中支援を2カ所で実施しており、職員数は、正規・非常勤合わせまして330人余となっております。
 沿革は、昭和46年に発足いたしました特殊法人心身障害者福祉協会により開設・運営されてきました国立コロニーにさかのぼります。その後、特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、平成15年10月、旧国立コロニーの利用者の方々、職員、施設、設備、その他一切の権利義務を引き継ぎ、新しい目的のもとに独立行政法人としてスタートいたしました。
 現在、障害のある人たちの自立を総合的に支援することを目的として、モデル的支援の実践、調査・研究、人材の養成・研修という3つの事業を一体的に推進しております。
 モデル的支援といたしましては、旧国立コロニーの利用者の方々の地域移行に取り組むとともに、高齢化した利用者への専門性の高い支援を行っております。また、著しい行動障害を有する人、精神科病院に社会的入院をしている知的障害のある人、矯正施設を退所した知的障害のある人などを対象といたしまして、有期で受け入れ、地域での生活を目指して、本人の特性を考慮した適切な支援プログラムを作成し、きめ細かな支援に努めているところです。
 また、地域の障害のある人たちを対象といたしまして、生活介護、就労支援、グループホームなどの障害福祉サービスを提供するとともに、発達障害のあるお子さんを対象といたしまして、児童発達支援、放課後等デイサービスなどを実施しております。あわせて障害福祉行政が直面する課題に関して、調査・研究事業を実施し、その成果を全国の関係施設・事業所に普及するため、全国的規模の養成・研修事業にも取り組んでいるところです。
 少々前置きが長くなりましたが、本題であります活性化に向けた取組について御説明させていただきます。内容は、「職員意識調査アンケート」の実施、それと、「のそみの園ふれあいゾーン」の運営ということで説明をさせていただきます。
 まず、職員意識調査アンケートですが、平成26年2月に実施いたしました。この職員意識調査アンケートを行うことといたしましたのは、事案の軽重についての軽率な判断や、事案処理の先延ばしと他人任せ、あるいは、役職員間の縦横の不十分なコミュニケーションなどの問題が散見され、事後処理に看過できないような労力を割かれる出来事も発生したことを受けまして、今後、事故防止はもとより、法人の運営管理面も重視し、法人の長によるメッセージの浸透度、職員のコミュニケーションの健全性などを取り上げて、内部統制の向上に取り組んでいく必要があると考え、その状況をアンケート調査したものです。
 3ページを御覧いただきます。これは、のぞみの園において毎月、全職員に対して発行している園内報の「きずな」というものがございますが、この中に、「理事長だより」といたしまして、理事長からのさまざまなメッセージを掲載しているところです。平成26年2月に発行した「きずな」の理事長メッセージといたしまして、法人の長によるメッセージの浸透度や職員間の縦横のコミュニケーションの健全性などを課題として取り上げていくということについて掲載いたしまして、その後、アンケートを実施したところです。
 4ページをご御覧ください。調査の概要ですが、のぞみの園に勤務する常勤職員、非常勤職員、時間勤務職員のうち、育児休業等取得中の6 人を除く354名を対象として実施いたしました。回答者数は351名で、回答率は99.2%でした。
 有効回答者数、その雇用形態、所属、職位等は、御覧のとおりです。なお、全体の質問数ですが、法人運営と法人の長によるメッセージの浸透度、職員間のコミュニケーションの健全性の三つに項目分けいたしまして、自由記載を含めて43問となっておりました。本日は、このうち幾つか抜粋して、その結果を紹介させていただきます。
 まず、法人の長によるメッセージの浸透度というところです。先ほど申し上げた園内報の「きずな」について質問した結果です。毎月配付されている園内報「きずな」を読んでいますかという質問に対しまして、「毎月必ず読んでいる」及び「時々読んでいる」という回答を合わせると、全体で96.8%となります。ほぼ全ての職員が読んでいることになり、法人からの重要な情報伝達ツールとして機能していると考えているところであります。次は、その「きずな」に掲載されます「理事長だより」のコーナーで、理事長から発信されるメッセージについて理解できていますかという質問に対しまして、「理解できている」及び「おおむね理解できている」という回答を合わせますと、全体で87.1%といった状況です。
 雇用形態別に見ますと、常勤職員では95.1%が「理解できている」と回答しておりますが、非常勤職員や時間勤務職員といった勤務時間が限られている職員においては、一部で理解が及んでいないというような結果となりました。
 次に、法人の長によるメッセージの浸透度ということで、定期刊行物の「ニュースレター」について質問した結果であります。「ニュースレター」は年4回発行している冊子でして、調査研究結果や実践事例等を掲載し、障害者支援施設、関係団体、自治体等に送付し、情報発信をしているところですが、あわせて全職員にも配付しております。
 この「ニュースレター」を読んでいますかという質問に対して、「必ず読んでいる」及び「時々読んでいる」という回答を合わせると、全体で90.9%となっておりました。これも法人からの重要な情報伝達ツールとして機能していると考えております。
 この「ニュースレター」の巻頭で理事長から発信されるメッセージについて理解できていますかという質問に対しては、「理解できている」及び「おおむね理解できている」という回答を合わせますと、全体で83.5%というところです。
 雇用形態別に見ますと、先ほど申し上げた「きずな」と同様に、非常勤職員や時間勤務職員といった勤務時間が限られている職員の一部で、内容の理解が必ずしも十分でないということがうかがえるところです。
 次は法人の長によるメッセージの浸透度、ですが、その他メッセージを伝える手段ということで聞いております。職場における会議やミーティングなどで、理事長からのメッセージとして情報が共有されていますかという質問に対して、「頻繁に共有されている」及び「共有されている」という回答を合わせて70%にとどまっております。
 雇用形態別による認識の差というよりも、職位別による認識の差が大きいことから、課室長以外の職員にも周知する方法を検討することが必要であるというような結果になったところであります。
 次のページをお願いします。これは、これからの理事長メッセージについての質問です。今後、「きずな」や「ニュースレター」の見直し以外で、理事長のメッセージがより職員に伝わるために、どのようなことを期待しますかという質問に対しまして、おおむね満遍なく回答が寄せられましたが、「理事長との直接のコミュニケーション機会の拡充」が30.1%、「会議やミーティングなどでの理事長メッセージの周知」が26.9%、「職場での日常のコミュニケーション環境の醸成」が25.3%の順となっております。
 なお、「きずな」や「ニュースレター」の見直しについては、内容の分かりやすさという意見が31.3%を占めておりました。
 次は、職員間のコミュニケーションの健全性というところです。縦のコミュニケーションに関する質問でありますが、職場での情報伝達は主にどのような手段で行われていますかという質問に対しまして、「所属長からの伝達」が37.1%、「部会、ミーティングでの伝達」が31.6%、「同僚とのコミュニケーション」が24.8%の順となっております。これらを全部合わせますと、おおむね職場のコミュニケーションとしては機能しているというようなことがうかがえます。
 続きまして、伝達の内容、あるいは、タイミング等に関する質問でありますが、職場での情報伝達は、適時適切に行われていますかという質問に対しまして、「適切に行われている」「おおむね適切に行われている」という回答を合わせますと、83.7%といった状況です。さらに、時間勤務等職員におきましても、88%と高い割合を示しておりまして、時間が限られている中でも、情報の伝達ということはなされているということがうかがえます。
 次に、職場での会議やミーティングの場で、周囲の参加者に対して遠慮することなく、積極的に意見や提案を言うことができていますかという質問ですが、全体で75.4%の職員が、周囲に遠慮することなく意見を言うことができていると回答しております。一方、24.6%の職員は意見を言うことができていないという結果です。特に、非常勤職員、時間勤務等職員では、30%以上の職員ができていないという結果となっております。
 次のページを御覧ください。ここでは、今申し上げた会議やミーティングの場で、積極的に意見や提案を言うことができないと回答した職員に対して、その理由を尋ねております。「意見を言えない雰囲気だから」との回答が目立って多くなっているところです。
 これまでアンケートの幾つかを抜粋して御紹介いたしましたが、全体としてアンケートの結果の概要を下のほうに書いております。「きずな」及び「ニュースレター」につきましては、職員は高い関心を示しており、法人や理事長から発信されるメッセージの伝達ツールとして有効に機能していると言えます。なお、課題といたしましては、非常勤職員や時間勤務職員の一部で理解が進んでいないということが上げられております。
 次に、会議やミーティングについてですが、法人や理事長からのメッセージにつきましては、職員が出席する会議やミーティングなどで周知されております。ただ、課題といたしましては、課室長以上とそれ以外の職員間に認識差がやや生じていること、あるいは、メッセージが現場に伝達されるまでに内容が抽象化されるというようなことが上げられておりました。
 最後に、縦横のコミュニケーションについてですが、職場の情報伝達は、適時適切に行われておりますが、課題といたしましては、業務多忙、変則勤務などの理由によりコミュニケーションがとれていないとの意見や、業務上の連携関係について、他の職場の業務内容について理解不足、あるいは、連携・協力しようとする意識が希薄化しているというような意見がございました。また、先ほど申し上げましたように、会議等の場で意見や提案ができない雰囲気があるというような意見もございました。
 次のページを御覧ください。これらのアンケート結果を踏まえた対応について御説明させていただきます。まず従前から行っている取組ですが、情報共有・伝達の取り組みといたしましては、毎週開催している役員や部・課室長以上が出席している幹部会議等を開催しております。また、その下に部内での会議というのを持っているところです。
 また、情報の共有と発信では、「きずな」に理事長メッセージのほか、理事会の報告、あるいは、各部からの報告事項を掲載して、毎月、全職員に配布しているところです。
 さらに、年4回発行している「ニュースレター」には、先ほど御説明申し上げましたが調査・研究、実践事例等を掲載し、障害者支援施設や各自治体等に、毎号、約3,900部を配布し、情報発信しているところです。
 次に、調査結果を踏まえた取組について、まず一番上ですが、ランチミーティングの実施であります。これは、理事長室において、昼食時に所属の異なる職員が参加して、意見交換を行う場を設けております。現在、これは、重要なコミュニケーションツールとして機能していると認識しております。
 次に、個別面談をしておりまして、生活支援等の現場の管理職員と非常勤職員との個別面談を年間複数回実施し、風通しの良い職場づくりや、組織内でオープンに意見交換し、情報共通できる体制づくり、あるいは、雰囲気づくりにつなげているところです。
 また、理事長や幹部職員が生活支援等の現場を巡回し、職員と直接コミュニケーションをとることといたしております。
 なお、園内報の「きずな」につきましても、分かりやすい記述や各部からの積極的な情報発信に努めるということにしております。
 このように、組織として、地道な取組を根気強く行っていくことによりまして、内部統制の向上を図り、法人としての使命をしっかり果たしてまいりたいと考えております。
 続きまして、「のぞみの園のふれあいゾーン」の運営に関して、説明させていただきます。
 「のぞみの園のふれあいゾーン」は、ふれあい彩り広場、ふれあい香りガーデン、ふれあい御休所の3つの施設から構成されております。ふれあい彩り広場は、車椅子で散策できる通路を整備するとともに、円形や四角形の花壇に季節の花を植栽した憩いの場所となっております。ふれあい香りガーデンでは、71種161本の樹木と、118種591株の宿根草などが植栽されているところです。また、ふれあい御休所では、日本庭園風に整備された庭を眺めながら休憩をとることができます。
 ふれあい香りガーデンにつきましては、平成26年の環境省主催の「みどり香るまちづくり」企画コンテストに、「香りでつながる共生社会〜障害のある人もない人も花々や木々の香り空間〜」というテーマで応募いたしまして、環境大臣賞を受賞いたしました。この賞の受賞は、応募に向けた職員の自発的な取り組みの面が大きく、大臣賞受賞という栄誉とともに、その後、地域貢献としても、当園にとって非常に価値あるものとなったと考えております。
 次のページを御覧ください。上のほうが、「みどり香るまちづくり」コンテストの企画書です。障害のある人たちが社会の一員として、地域の中で共に生活が送れるようにする取組の一環といたしまして、地域の人たちに障害者施設を身近なものと感じてもらえるよう、そして、地域の人たちに障害者に対する理解を深めていただくために、さらに、施設利用者と地域の人たちの交流を進められるようにという思いを込めて、香り空間を整備することとしております。
 下のほうを御覧ください。その後、平成28年2月に、「のぞみの園のふれあいゾーン」が、過去の「みどり香るまちづくり」企画コンテストの受賞企画53件の中から、特に積極的な活動を継続し、発展させているとして、「みどり香るまちづくり」大賞を受賞いたしました。大賞受賞を記念して、記念式典を行い、大勢の方にご参列いただき、植樹イベントなども行ったところです。
 次のページを御覧ください。一番上が、その「みどり香るまちづくり」大賞の企画書です。企画の目的といたしまして、ふれあい香りガーデン、ふれあい彩り広場、ふれあい御休所の施設全体を、「のぞみの園のふれあいゾーン」と総称いたしまして、のぞみの園の利用者や、のぞみの園を訪れる皆様にも大いに利用していただき、障害のある人もない人も心おきなく触れ合い、語り合うことができる共生社会のシンボルとなる空間の創造を目指すということとしております。
 最後です。一番下の、ふれあいゾーンの現状、効果ですが、花の植栽等の維持管理を行う中で、利用者や職員のコミュニケーションの場となったり、あるいは、大人から子供まで、地域の方々が訪れた際の憩いの場となるなど、まさに障害のある人もない人も触れ合い、交流する空間となっていると考えております。これからもしっかり維持管理してまいりたいと考えております。
 以上、のぞみの園からの説明とさせていただきます。
【野路委員長】  ありがとうございました。非常にすばらしい活動かと思います。
 それでは、ただ今の活動について、御質問等ございましたら、よろしくお願いします。
【栗原委員】  お話ありがとうございました。昨年、のぞみの園が評価対象だったということもありまして、いろいろとお聞かせいただいたこともあり、そのような中で昨年感じましたのは、障害者のサポートのあり方も変わり、役割が変わる中で、トップのメッセージが社内に浸透するかというのが非常に重要だと思いました。その観点から、今回のアンケートの実施については、大変意義があるのではないかと思いました。
 それから、個々の従業員の方々のモチベーションがいかに高いかというのが、サポートをする上で大変重要だと思いますので、その意味からも、このアンケート調査というのは大変重要だと思いました。
 それで、このアンケート調査についてお伺いしたいのですが、内部統制の検証という観点から、まずこれは、自社の中で行われたのか、あるいは、第三者を使って行われたのかということ。また、匿名だったのか、それとも記名だったのか、つまりアンケートに回答する人がどの程度特定されるかということをお伺いしたいと思います。
 というのは、場合によっては記名ですと、誰が答えたかが分かり、それだけで少しバイアスがかかった答えになりかねないと思いますので、その辺りをどのように配慮したかというのをお伺いしたいと思います。
 それから二点目は、これは2014年に行われており、数年たちましたので、その後どうなったのか、あるいは、その結果を受けて実施された取組等により、どのように職員の意識が変化したのかということはフォローされても良い時期ではないかと思うのですが、どのように考えていらっしゃるのか、お伺いできればと思います。
【深代理事長】まず、最初の質問です。外部に頼んだかどうかという話について、ちょうど内部統制運用業務として、監査法人に業務を委託しておりまして、その中の一環としてアンケートを相談しながら実施させていただきました。
 その時の回答ですが、属性ということで、雇用の形態や所属、そして、職位については聞いておりますが、その以外は、名前などは聞いていないということです。
 また、その後、そろそろもう一度行う時期ではないかというお話がございました。その結果でいろいろ取り組んでいることはありますが、それが本当に効果を発揮しているのかどうかというのは、やはり確認する必要があると思いますので、この時点では43項目行いましたが、43項目するかどうかはともかくとして、行ってみる必要はあるのだろうなという思いは持っております。
【栗原委員】  ありがとうございます。どういう頻度でアンケートを行っていくのかは悩みどころでありまして、また、回答した人も、その後のフォローやフィードバックがないと、それで意欲が失せていくということもあり得るのではないかと思います。是非引き続き取り組んでいかれることを期待します。
【野路委員長】  ありがとうございました。どうぞ。
【樫谷委員】  私も去年、精査させていただきまして、ありがとうございました。重度の障害者をお持ちの非常に厳しい環境の中で、本当に一生懸命行われているなとその時感じまして、このようにアンケートをしっかりと行われたからであると思いました。このようなモチベーション、高い意識を、継続して持ち続けるというのは、そう簡単ではないと思いますので、このような取組に対しては高く評価させていただきたいと思っております。
 その上で、アンケート以外にも、いろいろな取組を行っていると思うのですが、例えば、アンケートを行って、あと、どんなことを行ったら良かったか、また、もう少しこのようなことを行いたいというようなことがありましたら、御説明をお願いしたいと思います。
【深代理事長】  アンケートは理事長メッセージがしっかり伝わっているか、コミュニケーションがとれているかということを中心に取組を行っておりますし、そこが重点だと思っております。勤務形態も、非常勤の方がいたり、正規がいたり、勤務時間も少しずつずれたり、泊まりで勤務する職員がいたりしますので、それぞれコミュニケーションをどうとるかが非常に難しいと思っております。
 今、我々ができることというのは、やはり少なくとも経営側というのでしょうか、先ほど申しましたように、ランチミーティングもありますし、理事が積極的に現場を回っておりますので、できるだけそういうところで現場の持っている意見を聞く機会をつくることが大事だと思っております。
 基本的には、日々支援していることをどう見ていてくれるのかということが、一番現場の職員のモチベーションになると思います。よく私も、職員の方々から、現場をよく見てくださいという話をされます。特に新しいことは今の段階では考えていないのですが、できるだけ足を運ぶ、話をするということを肝に銘じていきたいと、私自身思っております。
【樫谷委員】  コミュニケーションしやすいような環境をどうつくるかということですね。
【深代理事長】  その通りです。
【樫谷委員】  分かりました。ありがとうございます。
【野路委員長】  他に御質問はありますか。
【原田委員】  私も、実は昨年、のぞみの園にお邪魔をいたしました。そのときに、ふれあいゾーンも拝見したかったなと思うほど、お話を伺って非常に素敵な公園だと思いました。
 アンケートについて、調査結果を踏まえた取組を幾つかなさっていることは非常にすばらしいと思うのですが、アンケート結果を踏まえた取組として、ランチミーティングを始めたということは、理事長や理事の方から御説明なさっていると理解してよろしいのでしょうか。
【深代理事長】  アンケート調査等を受けて、できるだけ話し合う機会をつくるべきだろうということで、ランチミーティングを始めたと聞いております。
【原田委員】  私も昨年、のぞみの園を拝見して、大変難しい職場であった記憶もございます。現場でこれだけ取り組んでいるのだということを知ってほしいという気持ちが非常に強いのではないかと、その当時思ったものですから、是非、このアンケートの結果を踏まえて、意見を吸い上げてこうした取組を行っているのだというところを職員の皆様にお伝えいただくと、よりコミュニケーションが増すのではないかと思いました。
【野路委員長】  高橋委員、お願いします。
【高橋委員】  私は、今回初めてお話を伺いました。非常に難しい施設の運営をされていると思います。そうした中で、理事長メッセージの重要性、それから、その浸透度をアンケート調査されたというのは非常に良い試みだと思います。
 理解度8割以上という一方で、理解できていない人たちが13%いるところも重要で、なぜかという掘り下げ作業が非常に重要だと思います。「ニュースレター」についても同様のことが言えますし、情報伝達の浸透度についても同様のことが言えます。やはり情報伝達のところで、25%近い職員が意見を言えていないことが、大きな課題ではないかと思います。
 それを解決するために、ランチミーティングや個別面談を行っていらっしゃるようですが、ざっくばらんな意見が言える場になっているか、工夫が必要かと思います。環境大臣賞の応募の理由を見ると、ふれあいゾーンが職員のコミュニケーションの場にも使われるようなことも期待されているようなので、まず、意見を聞く場を整備する必要があるのではないかと感じました。
 それから、アンケート調査では、自由回答の部分が非常に重要だと思います。業務多忙、あるいは、変則勤務でコミュニケーションがうまくとれないとことは、不祥事につながりやすいところですし、リスク認識で内部通報や外部通報がどうなっているのかが気になりました。
 内部統制に関する基本方針や、業務方法書等をインターネットで拝見したところ、内部通報や外部通報の窓口は整備されているようですが、より内部通報を行き渡らせることも必要と感じたので、補足して御説明いただけるとありがたいです。
 それから、意見のくみ取りに関して、私も今まで幾つかの企業に監査役等を経験してまいりましたけれども、特に非常勤、社外の者が第三者的な立場でいろいろ職場の方にお話を聞いて、上の方が決めたことが下にどう浸透しているのかということを伺って、困っていることがあれば、匿名で個人が不利益を被らない形で何でも話すことができる場があると良いと思います。現在ののぞみの園の監事は、非常勤2名いらっしゃいますが、そのような形で動いていらっしゃるのかをお聞きしたいと思いました。それから、監事2名が、もし男女それぞれ一つずつでいらしたら、それはすばらしいことだと感じました。
 最後に、ふれあいゾーンについてですが、先ほど活用法について、職員のコミュニケーションということも申し上げましたが、職員だけではなく、御家族や地域の方等、利用者の声も反映されるような仕組みがきちんと整っていると、さらに良いものになるのではないかと感じました。
 既に行っていることも多いと思いますが、以上、感想と御質問です。
【深代理事長】  まず、非常勤職員との個別面談に関して、理事長が行うというよりも、現場の寮において、寮長が面談をします。また、寮長の上に部課長がいますので、部課長と非常勤職員との面談の機会を設けるというようなことにしております。ですので、理事長が非常勤職員の方と直接面談するということは、今はないです。
 次に、13%が理解できていないことに関して「きずな」などは、編集内容もできるだけ分かりやすくしようと、工夫、努力をしております。
 それと、従来は各部がお知らせしたいことということで出してきましたが、できるだけ各部の情報を上げるということで、皆さんが興味を持てるような工夫もさせていただいております。
 次に、監事は、虐待防止対策委員会や事故防止対策委員会等にはオブザーバーで参加していただき、報告が上がった時にはいていただいて、話を全部聞いていただく体制をとっております。なお、監事は男女1人ずつであります。
 もう一つ、話をしやすい雰囲気、情報が上がってくるシステムが大事ではないかということに関して、おっしゃるとおりだと思います。面談以外にも、去年から「いいねカード」と「はてなカード」をつくりまして、悪いことだけではなく、良い取組について、無記名で書いていただき、各寮のボックスにいつでも入れられる取組を始めました。書いてあること全てが我々の所期の目的どおりいっているかというと、必ずしもそうではないですが、その中から、こんなことに注意しましょうなどといったことを返せるように、事故防止対策委員会や虐待防止対策委員会でまとめて、各寮、各部、所属に返すように努力をしているところであります。
 保護者に関して、保護者会がございます。のぞみの園は、入所者が今225人おり、そのうちの211名は旧国立コロニー時代からの入所者の方々でいらして、その方々の保護者会がずっと残っております。その場に理事が出ていき、年一回の総会は理事長も出ていって、挨拶もしますし、他にも、年三回の理事会で筆頭理事が状況を話したり、保護者会でのいろいろな御意見を伺ったり、寮ごとに保護者会を年一回開いております。そして、保護者の方からは、寮にいろいろなお話が入るようにはなっております。
 以上でよろしいでしょうか。
【高橋委員】  ありがとうございます。追加で、地域の方との関係についてもお伺いしてもよろしいでしょうか。
【深代理事長】  地域の方から直接意見を伺う機会に関して、のぞみの園の懇談会といって、有識者や外部の方から年一、二回、状況を説明して、御意見をいただく機会があります。その時に地区の区長や保護者の代表、弁護士の方、行政の高崎市の職員等、話す機会がございます。
 あとは、地域の学校とかに出ていって、概況説明するというようなことはございますが、それ以外に直接伺う機会というのは今のところは設けておりません。
【野路委員長】 ありがとうございました。他にございませんか。
【天野委員】  皆さんが仰っているとおり、非常にすばらしい取組をされていると思います。また、この取組が良いものであればあるほど、リスク管理体制に関して、これだけ広くてオープンなスペースだと、いろいろ御苦労がおありなのではないかと思いますが、もしその辺で何か取り組まれていることがありましたらお願いします。
【深代理事長】  痛ましい事件があったりして、できるだけ注意するように、夜間の通行も規制しているのですが、確かに、いかんせんスペ-スが広いですから、全部を管理するというのはなかなか難しいところかと思います。ただ、我々が一番思いますのは、地域に開かれた施設にしていくことが、大事なのではないかという思いがございまして、それが、ふれあいゾーンなどの取組になっていると認識しております。
【野路委員長】  貴重なお話をありがとうございました。私からも一つ質問です。ふれあいゾーンには、どのぐらいの人が地域から来られるのですか。
【深代理事長】  具体的な統計はとってないのですが、周辺部が観音山丘陵というところでして、簡単なウォ−キングをする方や、お昼を食べる方もいらっしゃいますし、時々子供たちが来ることもあります。
 できるだけ来ていただきたいと思っておりまして、冬の期間は、イルミネーションを行って、市の広報に載せていただき、あるいは、のぞみふれあいフェスティバルを年一回開催しまして、そこに福祉施設のお店も出たりするので、かなり多くの方に、のぞみの園に来ていただいております。このような取組は、毎年行っております。
【野路委員長】  私も社長時代に、会社のOBや地域社会の人たち、子供たち、お年寄りの方が触れ合う場として、当社発祥の地である石川県の小松駅に「こまつの杜」をつくりました。その後、子供たちがたくさん来るものですから、食育と花育を行って、老人ホームや介護施設に毎年行って、それで触れ合います。そうすると、お年寄りの方は非常に喜んでくれて、毎年楽しみに待ってくれています。
 こうした地域社会との触れ合いが非常に大事なので、是非今後とも、理事長のほうでいろいろなアイデアを出して行っていただくと、特に、職員の方は喜ばれると思います。苦労されて、介護等いろいろなことを行っておられるわけで、周りから、非常に活躍されているということを見ていただくだけでも、職員にとっては非常にモチベーションも上がりますし、非常に大事なことなのではないかと思いました。
 改めて、深代様には、非常に貴重な取組についてお話しいただきまして、本当にありがとうございました。
最後に、次回の日程について、事務局からお願いします。
【栗原管理官】  次回の委員会につきましては、日程が決まり次第、御連絡させていただきます。なお、評価部会の委員方、来週火曜日から理事長との意見交換が始まります。お暑い中、大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
【野路委員長】  以上をもちまして、第16回独立行政法人評価制度委員会を閉会いたします。
 本日は、お忙しいところ、御出席いただきまして、本当にありがとうございました。
 
 

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