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第18回独立行政法人評価制度委員会 議事録

日時

平成30年11月29日(木)  15時00分から17時00分まで

場所

中央合同庁舎第2号館8階 第1特別会議室

出席者

(委員)野路國夫委員長、天野玲子委員、梶川融委員、金岡克己委員、
栗原美津枝委員、高橋伸子委員、中村豊明委員、原田久委員

(事務局等)石田総務大臣、吉開官房審議官、栗原管理官他
 

議事

  1. 独立行政法人の中(長)期目標の策定について
    (平成30年度に中(長)期目標期間が終了する法人に係る見込評価及び業務・組織の見直し)
  2. 「独立行政法人の目標の策定に関する指針」、「独立行政法人の評価に関する指針」等の見直しの必要性について
  3. 平成29年度に主務省令期間が終了した行政執行法人に係る効率化評価の結果について
  4. 平成29年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等の結果の点検・確認結果
  5. 法人と地域・企業等との連携や支援の事例
  6. 法人活性化事例について
  7. その他
 配布資料

議事録

【野路委員長】 ただ今から第18回独立行政法人評価制度委員会を開会いたします。
本日は、御多忙の中、石田総務大臣にお越しいただいておりますので、最初に御挨拶をいただきたいと思います。
【石田大臣】 総務大臣の石田でございます。
委員の先生方におかれましては、独立行政法人の評価及び制度について、日頃より精力的にご審議をいただいており、心から厚く御礼申し上げます。
現在、委員会では、人口減少を始めとする様々な課題の解決に向けて、独法がその強みをいかすとともに、地方公共団体や民間企業との連携により、イノベーションの社会実装を促すことで、成長できる社会の実現につなげていくことが重要という問題意識に立って、活発にご議論いただいていると伺っております。
委員の先生方ご承知の通り、我が国は、東京一極集中が孕むリスク、人口減少の深刻化や高齢化による地方の疲弊がすでに限界にきており、今から何かをし始めないと大変なことになるのではないかと、そのような危機感を持っております。また同時に、災害も多発する状態でございまして、これらの問題にしっかり取り組んでいかなければならないというのが現状であろうと思っております。
一方で、「Society5.0」の言葉に代表されるように、狩猟、農耕、工業、情報に続く第5の社会ということで、大きな変革のときを迎えつつあります。これに伴い、産業、雇用、生活、あるいは地方が大きな影響を受けて変わっていくだろうと予想されます。
逆に言いますと、そういうような大きな変化、技術革新、そのようなものをとらえることによって、私は、今、日本が抱えている様々な政策課題を解決していくことができるのではないか、しかし、それをどのようにしていくかは非常に難しいわけです。
今も現実に、例えば、自動運転や遠隔医療、遠隔地での教育などにより、どの場所にいても、社会サービスの維持が可能になっていくだろうと思いますし、また、AI、IoTあるいは5Gを活用することでサテライトオフィスのような形でも、企業の形が分散していくことが可能になっていくのではないかと思っております。そしてまた、私が最近特に感じておりますのは、若い人たちが今までの感覚とは違って、生活環境を変えたいというような意識の変化を感じております。私が吉野川の源流の川上村に行きましたときに、地域おこし協力隊がおられて、なぜここに来られているのかお聞きしましたら、やはり、東京での生活、その環境を変えたいと思ったと、家族一家団らんということを思うようになったというお話がございました。また一方で、ふるさと回帰支援センターというものがありますが、2015年からそこへの問い合わせあるいは訪問が急増しているわけでありまして、学者の先生によると100数十万人が地方への移住を考えているのではないかというご指摘をされる方もおられるわけであります。このように考えていきますと、地方での働く場、あるいは生活の場、そしてそれを担う人、こういうものが今大きな動きとして成り立つのではないかという気がしております。こういうものを、我々としては、しっかり促進していくことで、持続可能な地域社会を実現していきたいと思っております。
委員の先生方におかれましては、人口減少下でも成長できる持続可能な地域社会の実現に向けて、国の行政の一翼を担う独法がこれまで以上に積極的に能力を発揮していくための目標の策定と評価について、忌憚のないご意見をたまわれればと思います。野路委員長をはじめ、みなさま方のご活躍に心から大きな期待を申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。
【野路委員長】 ありがとうございました。公務の都合で、石田大臣はここで御退室されます。
(石田総務大臣 退室)
【野路委員長】 それでは、議題1について、原田評価部会長代理から御説明をお願いいたします。
【原田委員】 10月30日の委員会での議論を踏まえまして、評価部会におきまして本年度の見直し対象法人に係る調査審議を進めてまいりました。まず、本年度の見直し対象法人に関する見込評価、業務・組織の見直しにつきましては、これまでの調査審議を踏まえまして、評価部会としては、ともに「意見なし」という結論に至りました。他方、これまで議論してまいりました結果、目標の策定に当たっての考え方を資料1に整理しておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
【栗原管理官】 資料1について御説明申し上げます。昨年12月4日にも、「独立行政法人の中(長)期目標の策定について」を委員会決定いたしました。今回も昨年とほぼ同様の構成になります。昨年は、過去やってきたこと、現在審議していること、それから将来に向けてという三段構成であり、今年は二番目を二つに分けて四段構成にさせていただいております。
まず資料1から御説明させていただきます。一番目が今年度の活動の概要で、いわば過去に当たる部分です。本年の6月、委員会では、昨年度に引き続きまして、中(長)期目標の策定については昨年の委員会決定の視点に立って調査審議を進めるという方針を確認しました。この方針に従いまして、これまで委員会では、平成30年度末に中(長)期目標期間が終了する法人を取り巻く環境や直面する政策課題を適切に把握するため、主務省からのヒアリング、法人の長との意見交換、それから、今年度から新たに法人を取り巻く関係者、ステークホルダーとの意見交換会を実施してきたところです。また、本年6月には他の組織との連携の実態や法人を取り巻く政策課題について把握するということで、国立研究開発法人の長の方々を交えての意見交換を行っております。それを踏まえて、どのような政策課題があるのかということで、まず評価部会を中心に、法人を取り巻く政策課題について議論いただきました。それを取りまとめたのが資料1の2です。今年度の調査審議を進めてきた結果、今年度の見直し対象法人につきましては、地方に多数の拠点を有する法人が多いこと、それから地域経済の活性化、イノベーションの創出、災害対応などに重要な役割を果たすことが求められている法人が多いことがあげられます。こうした法人が共通して直面する政策課題として以下の(1)、(2)が特に重視されるべきであるという認識に至ったという構成になっております。
一点目について、今日、いわゆるICT機器の爆発的な普及やAI、IoT等の社会実装でデジタル革命が進んでおり、膨大なデジタルデータが新しい価値を生み出す時代となりました。このような環境変化に対し、迅速かつ的確に対応するために、組織や業種等の壁を超えて、技術やノウハウ、人材等を組み合わせて新たな価値を創造する「オープンイノベーション」を推進することが急務であるというのが一点目の政策課題です。
二点目について、人口減少社会の到来により、人材確保やノウハウ継承が困難な分野、特に災害対策や復旧・復興支援、地域における経済活性化、ICT人材の育成等の課題がますます深刻化しています。このようなことが法人を取り巻く重要な政策課題であると、評価部会で議論いただいたところです。
法人が直面するさまざまな政策課題を解決するとともに、それだけではなく、社会実装につながる成果を出していくためということの二つの柱で考えると、昨年度の委員会決定で示したことと同様に、国の行政の一部として政策実施に大きな役割を担う法人が専門性・人材面での強みを最大限発揮して活躍することが重要であることを再認識したところです。
以上の政策課題を認識した上で、今年度見直し対象法人について、このような観点で策定していただきたい、というものが三番目です。2を踏まえまして、大きな柱として、次期目標の策定に当たっては、昨年度の委員会決定では、主務大臣と法人の長と十分に意見交換を行った上で策定していただきたいとしていましたが、今年度、委員方から、政策の実施機関である法人からも、主務大臣に対して、各地域の現場の「気づき」を迅速に提言することが大事であるという御意見がありましたので、今年度、新しい柱として委員会決定の中に明示されております。
それを踏まえまして、(1)、(2)という点を検討いただきたいということでまとめております。(1)はまさに昨年度から引き続きの課題でありますが、各法人がその専門性・人材面での強みをいかして、特に地域を積極的に助けるということを目標に盛り込んではどうかということが一点目です。二番目ですが、法人自身の強み、リソースをさらに伸ばす取組についてどのように目標に掲げるのかを明示すべきではないかというのが(2)の前半部分です。その際に、法人単独での事務、事業の実施に限らず、法人自身に足りないものについては、特にベンチャー企業を含む外部の活力をいかすこと、さらに、今年のポイントですが、府省の枠を超えた他の団体との協働体制を確立、強化するという点について、評価部会の委員方から御意見ありましたので、ここに明確化されております。
これを踏まえまして、法人ごとに特に検討していただきたいこととして、別紙に、昨年同様まとめてあります。
以上を踏まえました、将来に向けた取組が4です。一番目につきましては、昨年度と今年末に委員会決定で委員方に新たな視点を整理していただきましたので、この両方の視点に立って来年度以降も目標を検討していきたいというのが一番目です。それから二番目は委員会の今後の活動方針のようなものになりますが、前回の委員会で樫谷部会長、天野委員から御指摘がありました。目標が終わるタイミングで法人の長や法人の方々と議論し、今後の話をしておりますが、新しい考え方でつくった目標によって運営をしている法人がどうなっているのか、中間的なフォローアップとして、意見交換をしてはどうかという提言がございましたので、(1)番として入っております。それから(2)番について、今年度、ステークホルダーヒアリングや研発法人の理事長等との意見交換を行いました。やはり法人を取り巻く共通的な課題を認識することは当委員会として重要であり、引き続き取り組んでいきたいということで、(2)として整理されております。
次に、参考資料1を御覧いただきたく存じます。委員長からの御示唆を踏まえ、昨年の委員会決定と今年の委員会決定について、考え方が一枚でわかるように作成いたしました。委員会決定のイメージ図ということで、上に書いてあることは法人の使命です。昨年の委員会決定において、また、今年の委員会決定においても、法人の現状、法人を取り巻く環境変化、それから法人が直面する政策課題を分析することが必要であると議論があったところです。具体的に法人が直面する政策課題とは何かということを昨年の委員会決定で書かれておりますが、29年決定の部分を青印、今回の30年決定部分を赤で書いております。赤の部分につきましては、オープンイノベーションの推進、社会が求める専門人材を法人が戦略的に育成していくこと、府省の枠を超えて他の団体との協働体制を確立、強化すること、それから、法人の現場からの「気づき」の提言をしていくということで、模式図的につくらせていただきました。このような観点を踏まえまして、法人が次期目標を策定し、さらに法人が業務運営や計画を行っていくことにより、いわば目標が、法人の現状や課題、環境変化の分析が的確に反映されたものになるとともに、評価がより実効性のあるものになる、また、副次的効果として、法人の計画の質も向上し、法人の長によるトップマネジメントが推進されるということで、このような図を作成させていただきました。議題2と絡む部分もございますが、それと合わせた形で参考資料1を用意させていただきました。
以上です。
【野路委員長】 それでは、ただ今の評価部会からの御報告、または資料1の委員会決定案、平成30年度版「独立行政法人の中(長)期目標の策定について」について、御意見等がございましたら、御発言いただけますでしょうか。天野委員。
【天野委員】 内容については、異議はありません。
具体的に名前が出ましたので説明させていただきます。今まで評価は中(長)期目標期間の最後の年に見せていただいています。例えば日本スポーツ振興センターは、中期目標期間が終わる頃になるとオリンピックが終わってしまいますし、国際観光振興機構についても、社会状況の変化が非常に大きく動いています。そのようなところは、ぜひ中間的に法人の活動や取り巻く状況の変化を見せていただきながら、委員会として支援できることがあるのであれば、積極的に意見を述べさせていただきたいと思いました。
【野路委員長】 中村委員。
【中村委員】 個別の法人についてですが、医薬品医療機器総合機構について、MID-NETをCINと連携させて活用することを新たに入れてはどうかと書いてありますが、これは極めて重要な提言であると思います。また、MID-NETを構築したものの、実際の参加率が非常に低いです。個人情報の問題もありますが、例えば国立病院機構や地域医療機能推進機構が連携して、MID-NETをより活用できるような提言をして、せっかくつくったこのシステムがより活用されるようにしてはどうかと思います。
【栗原管理官】 まさに医薬品医療機器総合機構について、7ページの留意事項にございます。MID-NETとCINを、「経済財政運営と改革の基本方針2018」において連携させると書いてあります。この点、まさに「関係機関と連携することや」という形にさせていただいていますので、御指摘を踏まえてどのような目標になるのか、さらにその目標を踏まえてどのような実施状況になっていくのか、年度評価等で引き続きフォローするようにしていきたいと思います。
【野路委員長】 具体的には来年度の目標の中でということでしょうか。
【栗原管理官】 はい、連携に関する目標が盛り込まれるのかどうかフォローしてまいります。
【中村委員】 今、全員の了承を得られなければ個人情報が表に出ないようなシステムになっております。このようなシステムは国費でつくっており、国の運営システムは膨大なコストがかかっています。本来ならば、方向性としては使うということなので、使わない人に維持費を払っていただく、使う人は個人の診療報酬の3割負担を例えば2割にするというようなことで、公平に国のコストを負担したら良いのではないかと思います。システムの維持にはお金がかかります。受けないことのデメリットが受けないと言った人たちに反映されないという点が、なかなか進まない超民主主義の欠点ではないかと思いますので、法律が絡むので難しいとは思いますが、どこかで踏み込まないと前に進まないかと感じております。
【野路委員長】 それでは、本年度の見直し対象法人に関する見込評価及び業務・組織見直し並びに委員会決定についてお諮りしたいと思います。原田評価部会長代理からの報告のとおり、当委員会としては見込評価及び業務・組織の見直しについては意見なしとの結論とすることにしたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【野路委員長】 また、あわせて資料1の委員会決定について、委員会として決定することについても御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【野路委員長】 それでは、そのように決議いたしました。本日の委員会決定の趣旨については、事務局を通じて各府省に十分にお伝えいただきたいと思います。
それでは、次に議題2について、原田評価部会長代理から御説明をお願いします。
【原田委員】 樫谷部会長から今日の委員会でのメモを頂戴しておりますので、そのメモに沿いながら説明を差し上げます。資料2に基づきまして御紹介したいと存じます。
前回の委員会におきまして、目標策定の指針及び評価指針の二つの指針がございますが、この見直しに向けた意見を述べるための検討について、その検討状況を報告してまいりました。その後も評価部会の委員の中で引き続き議論を深めてきたところです。本日はその結果として資料2を御説明いたします。背景・経緯につきましては前回も説明を差し上げているところですので割愛いたします。2ページの見直しの基本的な考え方を御覧ください。二つの指針の見直しを行うに当たりましては、独立行政法人制度あるいは前回の制度改正の趣旨を十分に踏まえということはもちろんですけれども、一体これからの法人にどのような役割が期待されるのかということについても十分留意していく必要があると思います。そこで、二点申し上げたいと存じます。一点目について、政策目的を達成するために、主務大臣があらかじめ各法人に対して明確なミッションを示す、そして、その達成状況を管理し、業務運営は法人の自主性、自律性に委ねる「目標管理」です。もう一点は、業務の運営、あるいはさらにそこからの改善を進めていく仕組みであるPDCAサイクル、特に螺旋状に業務改善を行っていくという「法人のマネジメント」です。この二つをさらに効果的、効率的に機能させていくことにより、政策実施機関としての法人の能力を最大限に引き出すことが非常に重要であると考えました。さらに、先ほどの参考資料1にもございましたけれども、人口減少社会への対応やイノベーションの社会実装等、これからの時代が求める方向に沿った役割を法人に果たしてもらうことがますます重要になっているかと存じます。
そうした観点から、これまでの委員会における調査審議や主務省、法人から聴取した意見を踏まえて、現在の目標と評価を振り返ると、1ページの(3)に書いているような認識に至ったことから、これらの課題を解決するための方策を今回検討したということです。
改めて、また2ページに戻りますが、今回、現在の目標と評価が抱えている課題を解決するためには、一番目に、目標策定に当たりましては、主務大臣と法人の長が十分な意見交換を行った上で、主務大臣がその法人のミッションを明確化することが求められます。その上で、法人の現状と法人が直面している問題を的確に把握した上で、分析し、さらには、法人や法人が担う政策を取り巻く環境の変化とその変化への対応というものを分析、検討していくこと、そして、それを踏まえて、最終的に政策課題の解決に向けた具体的な道筋を検討し、目標の中に明確に示していくということが必要になってまいります。
一方、法人におきましては、目標の達成に向けて、いつの段階で具体的に何を行うか、あるいはその時点ごとに達成すべき成果を計画の中にきちっと明記した上で、法人の長がリーダーシップを発揮し、法人自身の創意工夫により自主的、自律的に業務を運営することが求められるわけであります。その際に、法人の成果につきましては、法人を取り巻く外部の状況も検証しなければ十分にその成果を把握することはできません。それゆえに、参考資料1にもございましたけれども、法人外部の関係者、ステークホルダーとしっかりつながりを持つということ、また、環境の変化を分析していく必要があるかと存じます。
続いて評価についてです。螺旋状に改善していく形でPDCAサイクルを回していくためには、評価は非常に重要な要素であります。それゆえに、主務大臣や法人の長の業務運営、マネジメントに、より一層活用される、実効性の高いものにしていく必要があります。そのためには、法人の自主性、自律性を促すような柔軟な仕組みにしていくことが有効ではないかと思います。例えば、目標の達成状況が悪い部門がございましたら、その部門に対する「てこ入れ」が必要かどうかの判断に、この評価結果を使っていく等の意識付けをすることによって評価結果の活用を促進していくことが挙げられます。また、複数の評価作業を法人は担っており、できる限り重複がないような効率的な方式に改めていくことなどの検討も有効ではないかと考えました。
このような考え方に基づき、目標の策定と評価の在り方を見直すことにより、三つの効果が期待されると考えました。一つ目には、法人の目標管理との関係であまり意味がないような不適切な目標が設定されることがなくなるとともに、業務の重要性や優先性が明らかとなり業務運営のメリハリ付けが促進されます。二つ目に、法人のマネジメントに資する有効な評価が行われるとともに、三つ目として、国民に対する説明責任の観点からも、公的機関である法人の活動について、透明性がこれまで以上に確保されるといった効果が期待されるのではないかと存じます。その上で、このような考え方に基づき、目標と評価のそれぞれについて検討してまいりました。一つ目に目標についてです。法人の目標につきましては、それによって、法人が目指すべき方向が的確かつ明確に示されることが重要であります。それゆえに、国の政策実施における法人の役割や達成すべき成果とその水準が分かりやすく的確に示されていることが必要です。また、時代の変化に伴い、国の政策課題も、その重点が急速かつ複雑に変化する中、政策実施を担う法人においても、そのような変化を適切に反映した役割を法人に果たしてもらうことが必要となります。このような、今後求められる目標の姿を実現するためには、三つ重要なポイントがございます。一つ目に、主務大臣による法人の使命、一体法人は何をする組織なのかということを明確にしていくということ。二つ目に、法人が直面している課題、あるいは法人が抱えている人材や専門性を的確に把握、分析していくこと。三つ目に、法人を取り巻く環境の変化を的確に把握、分析していくこと。これらを着実に行っていくことが重要です。それゆえに、目標の冒頭にこれらを必ず記載していくこと、具体的には法人のミッション、法人自身の現状や直面する課題の分析、法人を取り巻く法人の外部環境の変化の分析を書いていくことを明示的に求めることにより、分析の実施の徹底を図る必要があると考えました。
また、これに関しまして、当委員会では、これまでも議論してまいりましたが、オールジャパンでの対応を促すために必要な関係機関への支援や協働体制の確立・強化、人口減少に伴って深刻化する人材不足に対応するために必要な人事交流を含めた人材育成等、近年の政策上の重要課題から今後の目標策定に当たり、共通的に考慮する必要があるという視点、主務大臣のための法人ということではなく、日本のための法人といった視点が必要ではないかということです。
また、業績評価を客観的に行うことを過度に考慮すると、結果的に意味の乏しい数値目標を設定するということになり、評価のための評価となります。これは本末転倒であるということを、委員会決定の形で示したところです。そのような考え方につきましても、目標策定の指針に明示していくことが必要かと存じます。
続いて、評価の指針について申し上げます。評価につきましては、主務大臣や法人の長の業務運営、マネジメントにより一層活用される実効性の高いものにしていく必要があるかと存じます。そのためには、主務大臣や法人の業務運営、マネジメントにより活用しやすくするとともに、評価結果の活用を促進していく必要がありますが、主務大臣が行う評価と法人が行う自己評価のそれぞれについて考えていく必要があるかと存じます。
まず、主務大臣が行う評価については、目標期間終了時の評価と年度評価では、目標管理上の役割が異なるにもかかわらず、現在の評価指針では、全く同じやり方や様式等、画一的・一律的な対応が求められています。それゆえに、役割に応じたメリハリ付けが必要であるかと存じます。
具体的に二つ申し上げます。目標期間が終了する段階での評価につきましては、目標期間における業務実績を最終的に判定し、法人が政策実施機関として有効であるかどうかを判断するために行うため、現行程度のやり方、様式を維持していく必要があるかと存じます。他方で、中期目標管理法人や国立研究開発法人のように中(長)期的な期間の中で成果を挙げていくことが求められている法人の年度評価については、評価の重点化を検討すべきではないかと考えました。目標達成に向けまして、目標期間中の各年度における業務運営上の大きな課題等を的確に抽出することを目指した重点化ができるのではないかということです。なお、その際には、先般、前回の委員会で取りまとめられました「独立行政法人の事業報告に関するガイドライン」における事業報告書と自己報告書の関係の整理に沿いまして、見直し後においても、自己評価書が事業報告書に掲載される内容を活用したものになるよう留意していく必要があるかと存じます。
次に、法人の自己評価についてです。評価の業務運営、マネジメントへの活用を促すためには、評価活動として行う目標管理上の実績や課題の把握、分析が実際の業務運営管理に可能な限り直結することが有益であろうと考えます。目標策定の在り方の見直しに伴い、一定の改善が期待はできますが、それでもなお、法人や事務、事業によっては、業務の運営上必要な目標や指標と一致しないことがあり得ます。そこで、自己評価のやり方や報告様式を法人に適した内容にする工夫の余地があるのではないかと考えました。主務大臣の目標期間終了時の評価と年度評価のメリハリ付けを検討する中で、そのような工夫の余地を広げる方策についても検討することを書いてございます。
次に、評価結果の活用の促進です。二つ申し上げます。まずは評価の指針におきまして、達成状況が芳しくない部門への「てこ入れ」、あるいは逆に達成状況の良い部門については更に伸ばしたり、Cとされた分野を翌年度はAやSにした場合にはその業績向上努力に着目して評価するといったことを具体的に明示することにより、主務大臣等に意識付けを図ること、二つ目には、評価結果が法人の職員に十分に周知、浸透され、それにより業務運営上の課題が法人内全体に共有されることを求めることによりまして、評価の活用を促すことが期待されると考えます。
その他、目標の策定につきまして、プロセスマネジメントや人材育成に係る視点といった新たな視点の追加を求めていることから、そのような見直しに対応した評価の方法を示すことや、評価業務の簡素化に配慮することを求めております。
以上です。
【野路委員長】 それでは、ただ今の説明につきまして御発言等ございましたら、委員の方、よろしくお願いします。
【栗原委員】 今、原田部会長代理から説明いただいた報告ですが、これは大変重要な見直しだと思います。この見直しの趣旨と、それからどのように見直していくかという方向性について、各主務省及び法人で理解し、かつそれを各組織に落とし込むことができれば、今までやってきた目標の策定と年度評価の中身も変わりますし、策定や評価のプロセスも大きく変わるのではないかと思います。逆に変わらないようであれば、それは今までもできていたか、あるいは依然として形式化されていて、実際の組織目標とこの制度上の目標が二重管理されているという実態が変わらないかのいずれかではないかと思います。是非、今回の見直しの方向を組織全体に浸透させていくことを、トップマネジメント、理事長の責任としてやっていただきたいと思います。
具体的な中身についてですが、特に年度評価については、目標を達成するための年度毎のチェックであり、結果として出てきたギャップを分析することが大変重要だと思います。そのギャップを埋めるためのリソースの配分と、場合によってはギャップに照らして目標が適切であるかを見直すことも、理事長に求められることだと思いますので、理事長の責務として、そのような観点で年度評価をしていただきたいと思います。
最後に、事業報告書との関係ですが、会計基準等部会でも精力的に纏めていただいたものでございまして、今後、事業報告書で開示していく内容と、この見直しによって評価していく内容とがダブルスタンダードにならないようにすべきだと思います。この目標策定と評価が、事業報告書の開示内容と同調していくよう、組織の実際の目標管理に落とし込んでいただくことを期待します。
【野路委員長】 金岡委員。
【金岡委員】 資料2とは関係のない話ですが、あえて申し上げたいのは、この一年の公的機関における出来事で比較的大きかったのは、やはり障害者雇用の法定雇用率を達成されていなかったことであります。これは地方にも波及しまして、いまだに大きな問題として続いているかと思います。実態面としてどれほど問題あったかは別にして、一般国民の方から見て、公的機関に対する信頼が失われた一つの大きな事柄ではないかと思います。それで、おそらく当委員会で担っている役割は、法人の何年間かにわたる大きな目標を立て、それに対する評価ということですから、非常にポジティブであり、法人そのものがどのように良い方向に向かっていくかという非常に大きな視点での評価だと思います。その一方で、法人が担うべき事柄が一定の品質と生産性を保って確実に行われているかどうかというような業務監査の視点は、おそらくこの委員会とはミッションが全く別とは思いますが、そのようなことにもある程度意を用いていかないといけないと思います。この委員会のミッションとは外れますが、いわゆる業務監査が主務省と法人との間でどのように行われているかというのは少し気になるところです。
【野路委員長】 天野委員。
【天野委員】 今の両委員の御意見に関係する意見だと思いますが、主務省と理事長との話し合いが非常に重要であると、去年と今年を通じて感じました。私は民間企業育ちですので、国の方針というのは会社の経営方針であり、各主務省の方針はその経営方針を受けての各本部長の方針であり、それを実務部隊に流すのが各主務省の役割だというイメージを持っています。資料2の内容を見ていますと、本部長から実務部隊に「このような経営方針があって、このようなことをやりたいから、これを具体的に任せる」ということを言うまでは良いと思います。企業の場合は、それをこなすと利益という形で出るため、評価はおのずとして利益に出てきます。一方で、こちらは行政ですので、そのような形の評価はありません。そのため、私も実際に国立研究開発法人の主務省との評価の場にいて感じておりますが、単にA、B、C、Dをつけるだけではなく、評価する際には、その法人なりの成果が主務省にとってどのように役に立ったのか、結果を主務省としてどう受け止めたかというようなところも示す必要があるのではないかと感じています。今後、事業報告書の内容が見直されて、非財務情報が入りますので、その書き振りも、単に法人の成果を記載するだけではなく、例えば監事の立場で、それが国の社会実装に対して国民のためにどのように反映したのかをお聞きする時には、間に主務省が入ってくるはずです。この評価の視点が、今までの検討の中で抜けていた気がしましたので、発言させていただきました。
【原田委員】 お三方から御意見いただきましたけれども、この新しい指針が実際に主務省あるいは各法人に示されたときに、あまりにスムーズに話が進んでしまうのは、それはそれで怖いと思います。栗原委員がおっしゃったように、議論が一定程度はあってほしいと期待しますが、あまりにスムーズに新しい指針がそのまま定着していくというのは、二つの想像のどちらかというと、あまり良くないほうの想像なのではないかと考えることもできます。どのようにこの指針というものが現場まで降りているのかを見ていく必要があると思いました。
【野路委員長】 中村委員。
【中村委員】 二つあります。一つは、2ページ目に、オールジャパンでの対応で重要な役割を担うという記載がございまして、役割の変化に適切に対応していくことがますます重要であると思います。これについて、実際にオールジャパンで組織を動かすと言うだけで終わってしまう可能性があると思います。各法人の長は、やりたいけれどもミッションからするとなかなかできなかったり、目標に入っていないとできないということがあります。各法人の長が自らオールジャパンの組織をつくるということはあり得ないので、やはり、各府省庁がオールジャパンの目標を関連するところに設定するということをしなければ、結果的には進まないのではないかという気がします。企業では、大きく方向性を動かしたい時には組織のミッションを変えたりしますので、その点が気になりました。もう一点は、6ページのメリハリ付けについて、非常に重要だと思います。以前も申し上げたと思いますが、各目標の評価について、業績評価の時に非常にたくさんの項目があって、一つずつの加重ポイントが例えば2%である一方で、項目は何十もあります。これを総合して評価すると、点数はあまり動きません。改善してもしなくても、あまり変わりません。法人の長や経営陣の評価を行うのであれば、そのリーダーシップの結果を評価すれば良く、そうすると、普通であれば項目はせいぜい三つか四つで良いと思います。法人の長がその組織をいかに動かすのかについては、本人のリーダーシップの問題なので、部下等社内に対しては、このような方向でやってくださいというように、オーナーシップをそれぞれつけて展開すべきだと思います。それを主務省で、理事長の行動のパターンを全て評価するのでは、組織としての理事長への責任やミッションが曖昧になるのではないかという気がいたします。評価を三つほどとして、それを達成するためのいろいろなポイントは理事長が内部で設定すれば良いのではないかと思います。実務が非常に煩雑なわりに、生産性の向上にあまり寄与していない気がするので、目的が法人の長の評価であればそれで良いのではないかという気がいたしました。
【野路委員長】 委員からさまざまな意見をいただきましたが、独立行政法人の中には大きな組織もあれば、小さいところ、ニッチな世界で頑張っているところもあり、一般的にまとめるというのは非常に難しいと思います。
そのため、是非、個別の中でこのような考え方がしっかり身についているかどうかを今後見ていただいて進めたら良いのではないかと思います。
それでは、ただ今の原田評価部会長代理からの評価部会報告の内容を、委員会の独立行政法人通則法第12条の2第1項第5号に基づく意見として、当委員会から総務大臣に述べることとしたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【野路委員長】 それでは、そのように決議いたしました。議題1と議題2、かなりラップするところがあり、私からも一言だけ、お話ししたいと思います。参考資料1に書いてあります図は一番わかりやすいイメージ図ではないかと思います。独立行政法人の一番上に書いてあるのがミッションです。ミッションというのは結局、大きく変化するわけではありません。世の中のために、国民のために、どのように活躍するのかというような大きなところを書いてあるわけで、個別のところを書いてしまうと、ミッションが頻繁に変わってしまうことになります。そのミッションを受けて法人は、法人の現状、法人の直面する政策課題、法人を取り巻く環境を分析するということで、ここが非常に難しいと思います。これは、企業でいうとTQMの方針管理そのものです。法人の現状といっても、結局、この分析が弱いのです。例えば人材についてであれば、年齢構成がどのように変化しているのか、正社員が何人いて、派遣社員などの非正規の人がどのように働いているのか、どのような新入社員が入ってきたのかというところを分析する必要があります。専門性の分析は非常に難しく、オープンイノベーションを推進するという意味では、世の中にどれほどの技術や知見があるのかを知らない限り、自分の専門性はわからないと思います。そこには限界があるのですから、理事長の下にそのような分析をする企画部門がないと、なかなかできないのではないかと思います。あるいは、法人を取り巻く環境変化についても、待ちの姿勢では環境変化は全然わかりません。自分で聞きに行く必要があります。誰に聞きに行くのかといえば、やはりステークホルダーのところに行って、我々の評価を第三者から見てもらう、国民から見てもらう、そして社会から見てもらうという形で環境変化の分析をしなければなりません。ですので、ここまでが勝負であって、政策課題も全く同じです。非常に大変な作業があり、法人によっては、理事長のスタッフを少し強化していただかなければ、なかなか難しいのではないかと思いました。法人の現場からの気づきの提言というのは、そのようなところにあるのではないかと思います。ここが非常に難しく、目標ができてしまえば、あとは計画どおりやっていけばいいわけです。中村委員がおっしゃったように、ここで難しいのは、結局、やりたいことが全てできるわけではないということです。企業の場合は、やめるものを先に決めます。資源は決まっていますので、追加がある場合は、他でやめるものを決めないと前に進みません。そのため、理事長は勇気を持ってやめるものを決めるべきです。先ほど天野委員がおっしゃったように、スポーツ庁の場合は、オリンピックが一番重要なイベントなので大きく変化します。オリンピックまでは、他の仕事は全部ストップするということになるのではないかと思います。そのため、そのようにメリハリをつけるということで、目標設定のときに勇気を持ってやめるものはやめることが重要であると思います。追加は簡単にできますので、選択と集中をして十分絞った上で、最後の四番目の計画を立てる。そこまで行けば、あとはPDCAを回し、年度毎に見直すという形になります。企業でも一番力を入れるところは二番の分析です。これがTQMの方針管理という手法そのものです。このTQMの勉強をするとよく分かると思いますので、是非取り入れながら法人毎に行ってほしいと思います。
そこで、事務局にお願いですが、立派なものをつくっている法人の見本のようなものを、少し具体的に示す必要があります。このように文章だけ書いてあっても、なかなか理解できないのではないかと思います。前回の委員会の事業報告書のガイドラインの見直しの説明の際に、良い事例の見本がありましたが、非常に分かりやすいと思いましたので、あのようなものを見ていただくと、各法人は非常に参考になると思います。そのため、是非事務局で、分析の仕方の上手なところを事例として出し、それを横展開して参考資料として理事長に情報提供していただくということをお願いしたいと思います。
【栗原管理官】 承知いたしました。
【野路委員長】それでは、次の議題3につきまして、原田評価部会長代理から説明をお願いします。
【原田委員】 昨年度に主務省令期間が終了した行政執行法人が1法人ございますけれども、これに係る効率化評価の結果について評価部会で審議を行いました。まず、この制度の趣旨や審議結果につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
【栗原管理官】 資料3の「平成29年度に主務省令期間が終了した行政執行法人に係る効率化評価の結果について」をお手元御用意ください。現在、行政執行法人は7法人ございます。その仕組みを申しますと、独立行政法人通則法におきまして、3年以上5年以下の期間で主務省令で定める期間の最後の事業年度の終了後、当該期間における年度目標に定める業務運営の効率化に関する事項の実施状況について主務大臣の評価を受け、その後、「委員会は、通知された評価の結果について、必要があると認めるときは、主務大臣に意見を述べなければならない」と規定されております。これが制度の概要です。
2についてですが、今年度は三年間の主務省令期間が終わりました、総務省所管の統計センターの業務運営の効率化に関する事項の実施状況について主務大臣による評価が行われ、当委員会に対して評価の結果が通知されたところです。
評価部会におきまして、現在の法人の評価に関する指針に基づき、当該評価の結果を調査審議したところ、いずれの項目につきましても評定を付すに至った根拠、理由等が合理的かつ明確に記述されておりますこと、それから平成27年度から29年度までの三年間における業務の効率化に関する計画を達成していると認められることから、主務大臣に意見を述べる必要があると考えるものはないとの結論に評価部会で至ったところです。
以上です。
【原田委員】 資料3にございますように、最後の結論部分、主務大臣に意見を述べる必要があると考えられるものはないというのが評価部会の意見です。その旨、報告いたします。
【野路委員長】 ただ今の評価部会からの御報告について御意見等ございませんか。よろしいでしょうか。
それでは、原田評価部会長からの報告のとおり、当委員会としては統計センターの効率化評価については意見なしとの結論にすることとしたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【野路委員長】 それでは、そのように決議いたしました。
続きまして、議題4、5について、一括して事務局から説明をお願いいたします。
【栗原管理官】 議題4と議題5について一括して説明させていただきます。
まず資料4を御覧ください。法人の業務の実績評価及び年度評価の点検結果についてです。過去の経緯を申し上げます。本年6月に委員会におきまして樫谷部会長から、委員の先生方及び事務局において点検、確認するように御指示をいただきました。そのときの御指示の内容が、1に書いてあるとおりです。A以上の評定の場合、その根拠が具体的根拠として明確に説明されているかどうか、また、C以下の評定の場合には改善に向けた取組方針や方策が記載されているかどうかという観点からチェックするようにという御指示です。また、その際に、例えば組織運営の活性化につながっているような事例や長期的な成果を見据えて評価方法を工夫しているような例も拾うようにという指示がございました。
それを踏まえて点検、確認した結果が2です。まず一番目に、A以上の評定については、ほぼ全ての評価項目において、具体的な根拠が確認できました。他方、取組の内容は記述されているが、評定に至った根拠の記載が十分でないと考えられる項目が数例見られたため、所管府省に確認を行った結果、著しく適正を欠くというものはございませんでした。C以下についても同様に確認がとれたところです。なお、確認の結果、評価書には十分に記述されていなかったものの、A以上の評定に至った根拠の合理的かつ明確な説明を受けることができたもの、それからC以下の評定を付す場合の改善方策について説明を受けることができたものを別紙1のとおり取りまとめております。それから、評価書において法人の現状や課題を的確に分析している例として、(1)から(4)までございます。定量的指標の達成状況は120%未満でありますので、難易度の高い項目に係る評定を一段階引き上げるにふさわしいとした根拠を明確にした上でA以上にしたものや、定量的に把握が難しい業務の達成状況も含め、その根拠を合理的かつ明確に記述した上でA以上としているものがあります。それから、改善方策を記述しており、Cではありますが、改善方策や原因の分析をしっかりしているというのもございました。また、法人内部の取組を強化し、組織運営の活性化につながっていると見られる例がございましたので、それも別紙のとおり取りまとめております。
別紙1、2も簡単に御説明いたします。別紙1の1ページ目です。A以上の評定に至った根拠の合理的かつ明確な説明を受けることができたものということで、当初、この法人は主務大臣評価ではシステムを新たに構築したことにより万全な準備ができたのでAとしていましたが、確認したところ、いわゆるBPRをしっかり行い、新しいオンラインシステムを構築した結果、申請者にとって事務負担が大幅に軽減されました。このようなことを明示的に説明しており、このように書いてあればAにふさわしいものであると確認できた例です。
それから、別紙2です。定量的指標の達成状況は120%未満ですが、一段階引き上げるにふさわしいということで、国土交通省の海技教育機構の事例がございます。卒業生に対する就職率を95%以上とするという目標でしたが、結果としては100%、99.6%、96.5%ということで、120%には達していないものの、法人が新規開拓や就職指導を的確に行うことによってAにふさわしい成果を上げたということで、A評価を付しているものがございます。
それから、3ページ目です。定量的に把握が難しい業務の達成状況を含めて根拠を合理的かつ明確に記述したという、農林水産消費安全技術センターという法人の例です。農林水産省から依頼のあった調査にプラスして、試験容器の考え方の整理や検証を行い、農林水産省に報告、提案を行った、というような委員会決定でありましたような、いわゆる法人発の提言の例ということで御紹介させていただきます。
それから、4ページ目です。議題6に関係します、製品評価技術基盤機構について、組織運営の活性化を年度評価に記載していただいた結果も良い参考例ということで紹介させていただきます。
次に、資料5の参考になる例として、「法人と地域・企業等との連携や支援の事例」を御覧ください。経緯としましては、今年の6月に、法人が地方に出向という形で地方を助けている例を紹介させていただきましたが、その際に、いわゆる出向という形態にこだわらず、地域を助けている例や委員会決定の問題意識に合った活躍事例を探すよう御指示がございました。事務局で調査しましたので、幾つか御紹介したいと思います。
一点目が、法人が開発した技術をイノベーションの創出や具体的な社会実装に結びつけた例です。総務省所管の国立研究開発法人情報通信研究機構です。政策課題である世界の「言葉の壁」をなくすべく、外国語話者に対し、機械を通して話すようにするというものです。法人の取組として、多言語音声翻訳技術の研究開発・社会実装を推進するということで研究開発を行ってきました。実際の成果としましては、まず、救急現場で使用頻度が高い会話内容を定型文として追加した「救急ボイストラ」を総務省の消防庁と共同で開発し、今、全国の消防本部へ提供しているそうです。現在、728本部中340本部で活用しています。それから、お持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、民間企業でも、法人が開発した多言語音声翻訳技術を活用し、さまざまな商用サービスを提供しているということです。このように、実際に法人の研究開発の成果が社会実装に結びついている例として一点御紹介させていただきます。
二点目は、法人がその強み・リソースをいかして、被災地の復旧・復興を積極的に支援している例です。今年度の見直し法人の中にも多くございましたが、今年度の見直し法人以外でも、例えば、水資源機構では被災地への給水のため、海水を淡水化して給水する浄水装置を提供して給水支援を実施しています。また、海技教育機構が持っている船の入浴施設を港において開放したり、あるいは生活支援ボランティアを搬送するといった支援も行っております。
それから三点目が、法人が有する専門性をいかして、法人を取り巻く状況や環境の変化を的確に分析した上で、外部のリソースを積極的に活用することで、政策効果を高めた例として、国立がん研究センターの例です。これはテレビ報道もあり、委員の先生方の中にも御覧になった方がいらっしゃるかもしれません。政策課題として乳がんの予防及び検診受診率の向上がありましたが、がんと分かることが怖いので行きたくないという方々が多くいらっしゃったようです。そこで、専門性を有する職員が、行動科学やソーシャルマーケティングを活用し、乳がん検診未受診者の特性やマーケティング等を分析した上で、外部の知見を使い、デザイナーやコピーライターの方々と協働して、効果的な通知はがきを策定したという例です。それだけにとどまらず、NHKの番組に法人の室長が自ら出演し、乳がん検診に関する基礎知識等をわかりやすく解説し、個別通知の内容についても紹介しました。さらに、この番組が放送される前に、自治体を通じて、住民一人一人に直接訴えかけるような通知はがきが放送日の直前に届くように送付したということです。これは、法人の職員がその専門性をいかして分析し、外部のリソースをうまく活用した例ということで、今回の委員会決定の問題意識に沿った事例と考え、取りまとめさせていただきました。
いずれにしましても、今後ヒアリングを予定している法人もございますので、このような事例を取りまとめ次第、次回の委員会で報告させていただきたいと思います。
以上です。
【野路委員長】 ただ今の説明について御質問等ございませんか。よろしいでしょうか。
それでは、事務局において引き続き同様の事例を把握し、委員会に御報告いただきたいと思います。
次に、議題6については、法人活性化の取組として参考になる事例を紹介していただくこととしています。本日は、製品評価技術基盤機構の取組について、辰巳理事長、岡野理事からお話しいただきます。よろしくお願いいたします。
【辰巳理事長】 御紹介いただきました、製品評価技術基盤機構理事長、辰巳です。本日は、法人運営の活性化事例としてNITEを取り上げていただきまして、ありがとうございます。取組の詳細につきましては、この後、理事の岡野から御説明申し上げますが、実はNITEは経済産業省傘下では唯一の行政執行法人です。したがいまして、単年度目標、単年度予算管理の組織ですが、将来を見据えてNITEの在り方の検討が必要であるということで、3月に中期方針を作成し、公表いたしました。このような観点から、理事長直轄の組織でございます技術戦略室において中長期的な課題を検討するとともに、全所的なフィージビリティスタディを実施しております。NITEは常勤職員415名程度のそれほど大きくない法人です。したがいまして、内部の融合、連携を通しまして職員全体のモチベーションを上げていくためには、組織が大き過ぎるということはなく、組織運営における意図を全体に浸透させ得る規模と言えるかと思います。本日は、委員の皆様方にNITEの取組について御紹介するとともに、皆様から御助言、御指摘をいただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
【岡野理事】 それでは、引き続きまして、お手元の資料の内容の御説明をいたします。
2ページですが、今理事長が申しましたように、行政執行法人としてのNITEについてです。
3ページ目の事業の内容について申し上げますと、基本的には法律の執行業務がメインであります。一番目は製品安全分野で、洗濯機から火が出て燃えてしまったものについて、製品のどこに原因があったのか、どこに不具合があって燃えたのか、それとも、使用者が間違った使い方をしたのか等を調べます。二番目は化学物質管理分野でございまして、化審法という法律に基づき、新たな化学物質を生産するときには、安全性、人体への影響等を確かめるというものです。三番目はバイオテクノロジー分野でありまして、微生物の遺伝子組換えしたものにつきましては、しっかりと安全な場所で使わないといけないという内容の審査を行います。また、菌や微生物を9万種類ほど持っており、その産業利用を活用しているところです。四番目は、適合性認定分野で、試験所の認定、あるいは測定の計測の正しさの保証をするものです。五番目は国際評価技術分野で、特に大型蓄電池のものを対象としておりますが、その国際標準等をつくるものです。
次に、4ページに沿革がございます。一番大もとになっていますのは昭和3年の絹織物の検査、それから次に工業品、特に機械部品等の検査をしております。いずれも法律に基づいていたもので、日本の産業構造が変遷しており、それに伴ったものになっております。昭和初期は絹織物が一番の高級品で、最も外貨を稼ぐ稼ぎ頭でありましたので、不備があってはいけないということで国が検査し、それ以外の繊維につきましては民間が検査しておりました。それから、工業品については、主に自動車や家電の海外輸出が増えていった頃であり、これもやはり外貨の稼ぎ頭でありましたので、国が検査したということです。その二つが統合し、平成13年から独立行政法人になったという移り変わりがあります。今後ともこの移り変わりが続いていくことを想定しまして、以下の取組があると言うための御説明です。
5ページは、今日申し上げることの全体です。理事長によるトップマネジメントにより二種類のことを行っておりますが、中長期的な話と現在年度の目標管理の双方を理事長の直下で行っているという事例です。一つ目は、中期ビジョン、長期ビジョン、それから基幹目標の設定を検討しております。それから、二番目に、職員に向けた内容の進捗状況の管理や週に一度行う運営会議という意思決定機関での指摘等を、辰巳理事長に直接行っていただいております。三番目に、全所的な取組ということで、取組月間を設定したり、5分野の知見を集約し、分野間連携を必要とする事業を実施しております。例えば化学物質管理分野とバイオテクノロジー分野が連携することによりまして、化学物質は自然に分解されますが、それには微生物の力があり、その微生物というのはどのような環境だとうまく分解するのかを分析し、化学との間で連携をしている事例がございます。それからもう一つは、中にカビが入ったエアコンで製品の事故が起きるといった分析を行っております。四番目が一番大きいのですが、技術戦略室を設置いたしまして、これは理事長直下の組織であり、将来のことを考えていく取組を行っております。
6ページは、時系列的にこれまでどのような動きをしているのかということの御紹介です。技術戦略室の設置は、平成24年度にありますが、平成13年に独立行政法人になってから約10年たち、初期は比較的、法律や政策の執行がほとんどだったものですから、それを粛々とやっていくという形だったものの、それだけでは法人を取り巻く環境変化への対応ができないということで、それを専門に検討する技術戦略室を設置しております。平成28年度からはフィージビリティスタディを始め、29年度に中期方針の検討を始め、それから現在の年度では今後の業務の取捨選択を職員の中から公募し始めております。
その内容は7ページにございます。委員会の参考資料1にもあるような考え方だと思いますが、今日、法人を取り巻く環境変化や社会的要請が変化しています。これまでも絹織物の検査から、自動車部品の検査へ、そして今の分野に移り変わってきておりまして、今後はまさにIndustry4.0、Sociery5.0ということに変わっていくと思いますので、対応を迅速に行うという目的でつくっております。これは理事長直下の組織で検討しており、最初の数年は試行錯誤して分析等を行い、28年度には中期方針、フィージビリティスタディ、それから30年度にはNITEの職員からの公募をいたしまして、未来ボックスという制度を行っております。この中で、野路委員長が先ほどおっしゃったようなマンパワーのリソースは有限ですので、やめるものも含めてさまざまな提案が中には含まれております。やめるもの、あるいは業務の効率化をするという提案のほうがむしろ多かったと言えます。
次に、今の技術戦略室が行った具体的な内容について、まず、8ページは中期方針です。NITEは、当初はほかと一律で5年ごとの中期目標管理型の法人でしたが、その後行政執行法人型になり、単年度型になりました。しかしながら、単視眼的に物を見ているということでは良くないので、中期ビジョンも持つようにしたということです。そこでポイントは、法律の執行を行っているだけではなく、社会経済の制度構築を行政に働きかけたり、企業や産業界にイノベーションを働きかけていくことを主眼にしています。
9ページですが、これは主務省の経済産業省と検討しているものです。基幹目標を定めなければ、何のための法人なのかということが希薄になってしまいますので、それを決めようということです。特に、アウトカムに着目しており、アウトプットで作業を何回行ったということだけではなく、ミッションは経済の振興ですので、実際に産業界、社会経済にどのようなインパクトがあり、実際にどれほど産業が拡大したかというようなことを大きな指標として掲げています。一つの事例ですが、電池システムでは、市場の予測がございますので、国際マーケットの中でどの程度とるのかについて目標を掲げてございます。
10ページですが、基幹目標達成に向けた一つの大きなツールとしまして広報があると思っております。広報は、約1,400万円かけまして、広告効果を換算しますと12億円であり、投入した量のいわば100倍の効果が得られたと思います。例えば製品の事故があった場合、広く一般にテレビ等での広報が効果的だと思いますし、あるいは逆に、最近はテレビや新聞を見ない若年層が出たりしておりますので、ツイッターやユーチューブ等、あらゆるもので働きかけてございます。トピックとしましては、ユーチューブの中でも動画の効果が出ていますが、大きな効果がありましたのは、アマゾンジャパンとの連携です。アマゾンジャパンが提供した製品の中で、危ない事故やリコール製品をNITEで分析し、それをアマゾンジャパンにフィードバックしまして、アマゾンジャパンがその製品を買った方に内容をそれぞれメールで送るという制度がございます。それは「Amazonあんしんメール」と呼ばれております。この制度が始まった途端に、ユーチューブのSNSのヒット数が非常に増えているということで、大きな政策効果が出ていると考えられます。
次の11ページについて、今、中期方針や基幹目標が定まっております。理事長から直接全職員に向けて説明したりしていますが、実際さらに繰り返して説明会等をすることにより、末端まで認識してもらう必要があるということで、理解度が上がっているという内容です。
12ページ、13ページですが、社会環境、取り巻く環境が変化していますので、どのように変わってきているのかについて、理事長直下の組織でフィージビリティスタディを検討しています。二つ例を掲げました。13ページはうまくいった例で、14ページはあまりうまくいかなかったものです。一つ目はバイオの関係ですが、微生物がそれぞれさまざまなところで眠っていて使われていないものがあります。一方で、生物資源についてさまざまなもので可能性を試してみたいというユーザーおり、ミスマッチを起こしていることから、例えば死蔵特許の有効利用のような制度をつくろうというものです。これはプラットフォーム化しておりますが、実際、年度予算要求もしまして、予算をつけていただき、現在構築しているところです。最終的にはビッグデータにしまして、AIで分析し、今まで思いつかなかったような微生物の付加価値や機能を見つけることができればと思っております。Industry4.0を見込んでいるものです。
もう一つは、あくまでもフィージビリティスタディですので、失敗しても良いということでやっており、自由度が高いのですが、我が国も飛行機の国産を始めますので、飛行機の部品の精度が高くないといけないということで、その信頼性を上げるために認定という制度を使っています。認定というものは、部品の信頼性についてお墨つきを与えるということであり、NITEで実施可能なこととして、試験所認定があり得ることが分かりましたが、認証を既に民間の認定機関において実施済みであり、ニーズが少ないのではないかと検討しました。そのため、検討を終了したということす。
15ページですが、基幹目標ということで、定量的な目標を掲げており、例えば製品事故であれば、前年度比4%減らすことであったり、バイオや微生物であれば、微生物を活用した産業の拡大を2%増やすことを目標にしております。毎月その進捗管理を理事長が直接チェックしております。年度末に目標達成が不可能であると言われても意味がありませんので、途中段階から行っております。最後に16ページですが、理事長直下でいかに法人の直面する政策課題を解決するかということを考える中で、経営陣のみが考えるだけでは足りませんので、現場のスタッフや職員の中にもそれが浸透するように、研修を行っております。具体的には、架空の企業をモデルにしまして、職員が四つのチームに分かれ、業績悪化している企業について、業績を上げるためにはどうするべきかというケーススタディーを行い、経営マインドを高めたということです。これは、組織全体としての経営マネジメントセンスを持っていくということで、今後とも継続的に続けていこうと考えております。 以上です。
【野路委員長】 岡野理事、ありがとうございました。それでは、ただ今の説明について御質問等ございませんか。
【天野委員】 ありがとうございました。最後の経営マネジメント能力の育成は素晴らしいと思います。お話を聞いていて、取組が非常に積極的で、理事長の指導力のもとに素晴らしいものと思いました。一点、認証というキーワードを出されたと思いますが、日本の国全体を見たときに、認証機関の育成はグローバルに見て非常に遅れていると思います。経済産業省はそれを気にされています。NITEでは、国内に向けての認証機関はお考えになっているかと思います。一方で、国内のマーケットではなく、自動走行の水素ステーション等、日本で持っている最先端の技術の認証機関を育てるというのは難しいとは思いますが、このような道筋で行えば世界で通用する認証機関が育てられるというような案を出すことはできないのでしょうか。
【辰巳理事長】 御指摘ありがとうございます。認証機関を育てるということの前に、NITEが行っていることを御紹介申し上げます。国際評価技術本部がございまして、ここでは大型蓄電池の評価試験を行っています。大型蓄電池の安全性を確保するために国際標準化を着々と進めており、進捗しています。NITEが日本側でリーダーシップをとり、国際標準化の枠組が今年度中にはできつつあるということです。似たような話で、国際評価技術本部でもう一つ、ファインバブルがございます。ファインバブルは効果はあるものの、本当にファインバブルの効果であるのかがなかなか見極めにくいということでしたが、ISO等で今年の10月に実を結ぶことができました。そのような意味で、国際標準化ということについて、天野委員がおっしゃったように、認証機関が例えばヨーロッパに比べると非常に手薄であるということはまさに間違いないと思いますが、例えば一つの事例としては、PVから直交変換のためのパワコン等の分野では、タイでの事例について日本の認証機関をそのままタイで認めていただく仕組みがあります。それは、まだ小さな成果かもしれませんが、御指摘のように、基準認証政策課のもとにおりますので、意識し、検討しているところです。何とぞよろしくお願いします。
【天野委員】 お話はよくわかりました。非常に心配しているのは、日本は特許をとったり、国際認証やISOにして終わりにしています。日本全体のビジネスモデルについて、知財戦略の上で、国際認証も含め、お考えになっていただけるような場所があると良いのではないかと思っています。
【金岡委員】 一点お聞きしたいことがあるのですが、「製品安全」という言葉が非常に幅広いものですから、例えば一般国民から見て、最近起きた建物のダンパーの問題などはNITEの範疇に入っているのでしょうか。
【辰巳理事長】 ダンパーについてはNITEの範疇に入っていません。
【金岡委員】 例えば10年ほど前に消費者問題を広く扱うように消費者庁ができました。NITEでは、製品安全の考え方で、今は四百数十人の職員がいらっしゃるとお聞きしますが、さらに大きな枠組みで、日常生活、安全・安心に関わるような製品の品質保証を行っていくという動きは何かおありになるのでしょうか。
【辰巳理事長】 今のところは、電気製品、洗濯機あるいはエアコン、それから最近ではリチウムバッテリー等の事故があります。それから、機械製品ですが、自転車も我々の範疇です。また、化学物質による事故がありますが、全て包括的に扱っているわけではありません。輸送器具に関しましても、自動車は管轄外となっています。NITEでは、今の人的リソースでできることに特化しているという現状です。
【金岡委員】 一般の人から見ると、「製品安全」という言葉から受けるイメージで、NITEがどこを範疇とされているのかが分かりにくいのではないかという気がいたします。
【辰巳理事長】 御指摘のとおりです。
【岡野理事】 補足いたしますと、この「製品安全」という言葉は、少し長く言うと「消費生活用製品」という名前になっておりますので、まさに消費者が手に触るようなものという幅はあります。例えば、業務用のクーラーは対象外になるというように、少しグレーゾーンは出ますが、そのようになっております。ただ、製品安全以外のところで横割りの作業がございまして、例えば適合性や認定の分野では、電車の部品を海外マーケットに出すときの安全性についての適合性はNITEで対応したり、大型蓄電池システムは、決して風力や太陽光の発電だけの電池ではなく、自動車用の電池や家に設置する電池も今後出てきますので、そのようなものの安全性はNITEが扱っています。そのあたりは、おそらく省庁間の枠を超えた横割りの取組になるのではないかと思っています。
【高橋委員】 法人内部の連携・融合の取組強化の結果、法人の職員のモチベーションが向上し、組織運営の活性化につながっている好事例として素晴らしいお話を伺いました。トップの御苦労がよくわかりました。
今、製品安全のお話がありましたが、私は消費生活分野を長く取材していたので、NITEといえば平成20年にまだ当時独立行政法人だった頃、国民生活センターと法人同士で連携されたということが非常に強く印象に残っております。両機関の連携・協力推進という合意書を交わされたかと思います。国民の消費生活における安心、安全を確保するという目的で、製品事故の未然防止、拡大防止、それからさまざまな情報収集を両機関で行い、それがこの10年間非常に良い形で続いています。国民生活センターも限られた資源の中で、自らの経費で十分にできるわけでないところをNITEと協力して行っていたり、あるいは両機関が消費者に対してさまざまな情報発信をしているという意味では、非常に良い効果が上がっており、消費者として、そして国民として、ありがたいと思っています。
今日の御説明に、アマゾンジャパンとの連携のお話がありました。連携というのは、今、法人の評価の中でも一つのキーワードとしていますが、NITEは相手の見つけ方が非常に上手だと思います。国民生活センターとNITEの連携は当然だと思いますが、市民講座に出ることで行政との関わりを持ったり、大学等、学校法人との関わりもあります。また、先ほど申し上げたようなアマゾンジャパンやeコマース企業とも連携しており、非常に連携先が幅広いと思います。職員のモチベーションを高めているので、連携先が広がっていったのではないかと想像するのですが、連携について他の法人の参考になる点があれば、お聞かせいただきたいと思いました。
また、広報についても10ページで細かく説明していただきましたが、1,460万の予算の中で12億円相当の広報を行っているということで、これは素晴らしいと思いました。広報については、マスコミとのつながりも非常に重要だと思いますが、広報活動を上手く進めるための工夫があればお聞きしたいと思います。
三点目は、先ほど次から次に新しい職員が入ってくるというような表現がありましたが、他の法人はなかなか新しい職員が入ってこないため、今苦労しているところです。職場に新しい人が入ってきて、先ほど経営マインドを高めたいというお話がありましたが、経営マインドの前に、まずそれぞれの専門性を高めるということがあるかと思います。人材育成について、工夫されている点を教えていただけたらと思います。
以上です。
【辰巳理事長】 三点目からお答えします。毎年15名から20名程度の方々を採用していまして、NITEは基本的に技術者集団であり、行政職で入ってくる方が20%程度で、80%が技術者です。やはり技術者にとっては、専門性を高めるということがまず大事になります。しかしながら、NITEは五つの分野がございますけれども、一つの分野に固まっていてはより発展性がないだろうということで、最近ではキャリアパスを提示しております。最初はある分野で頑張り、少し目を転じて、新しい分野に行って、また新しい観点から勉強し直し、その後は、NITEにこれから必要になる仕事を一緒に考えるというように、若い職員をエンカレッジしていくことを心がけているつもりです。
それから、広報の12億円というのは法人自ら算定したもので、それなりに根拠があるつもりですが、やはり一番国民の皆様の関心が高いのは製品安全の分野かと思います。広報に関しましては、月に一度必ずプレス発表を行っております。この数年間続けているおかげで、マスコミの皆さんが毎月それを待ってくれるようになったということがあり、非常に上手く作用しております。しかしながら、時々、月に一度のプレスはマンネリ化しているのではないかと反省しておりますので、やはり新しい切り口で、初めて取り上げるような見出しをもってプレス発表を行っているところです。また、製品安全センター以外もプレスリリースを積極的に行ってほしいということで、他のセンターにもお願いしているところです。
それから、最初に御質問いただいた連携についてですが、アマゾンジャパンやeコマース企業と具体的な提携をしたのはこの秋が初めてです。そのインパクトに驚かれたということですが、もともとそれ以前から、例えば高橋委員がおっしゃいました予兆システムの構築にも、実はビックカメラからいただいているデータを活用しながら、消費者の方々が感じた異常がどのように事故につながるかというようなところを分析したという事例がございます。その他にも、幾つかの企業と連携しております。製品安全の分野についてだけではなく、例えばバイオや微生物資源をNITEは多く持っており、国内で一、二を争う規模だと思っておりますが、この微生物資源についてどのように企業の方に使っていただくかということも非常に大事なことです。どのように使っていただくのが企業にとって一番使いやすいのかについて、まだこれから工夫が必要かと思い、そのようなところを構築している最中です。
以上です。
【梶川委員】 御説明ありがとうございました。非常に創造的で戦略的な取組をお聞きして、良い勉強になりました。
NITEにお聞きするお話なのか分かりませんが、これほどクリエーティブに動かれている中で、公権力行使等があって行政執行法人という制度になられていると思います。一方で、非常に創造的な取組をされていることを考えると、むしろ中期目標管理型法人のほうが良いのではないかという感想を持ちました。これはNITEにお聞きすべきか、総務省にお聞きすべきなのか分かりませんが、逆に今の制度や組織の建て付けで何か窮屈なことはおありにならないのかという気がしました。新しい分野を創造的にお考えになっているので、そのように感じた次第です。また、その関係で、主務省との対話の中で、本来の行政執行法人という枠以上にクリエーティブな御提案ができているのではないかと思いますが、その辺りの御感想も教えていただければと思います。答えにくい部分は結構です。
【辰巳理事長】 制度に関しては我々が決められることではないですが、梶川委員がおっしゃったように、今の制度でやりにくいことはあるかと思います。やはり、単年度の予算管理というのはつらいところはございます。しかし、その枠の中でできることはできますし、予算管理をしっかりすれば何とかなるというところです。例えば、立入検査のような国の行政執行の最も枢要な業務があり、そのような位置づけから行政執行法人という分類がされているところですので、我々が申し上げることではございません。
やはり、今の行政執行法人という位置づけでできることがありますし、その名前に甘んじることなく、実質的にさまざまな工夫をすれば良いと考えております。
【野路委員長】 ありがとうございました。
私からも、今日の御礼も含めて申し上げますが、非常に素晴らしい発表だったと思います。
私の社長時代の経験について、少しお話しする時間をいただきたいと思います。理事長による積極的な意思伝達について、我々の会社ではステークホルダーとのコミュニケーションと言っておりますが、私の社長時代、半分がこの仕事でした。IR、社員とのミーティング、パートナーとミーティング、協力企業や販売会社、あるいは地域社会の知事との話、市長との話等、私の経験では、半分がこの仕事です。これは非常に重要な仕事で、そこからさまざまなヒントが生まれますし、あるいは経営方針が少しずつ変えられることも必要だと思います。ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
技術戦略についても、私の会社ではCTO室といって、チーフ・テクノロジー・オフィサーという形で社長直轄の組織を作りました。これについては多くのお金を投資しています。どこを自前でやるか、どこをオープンイノベーションでやるかというところが最も難しい部分であり、研究者、技術系の社員は全部自分でやろうとしがちですが、個々の部分の住み分けをCTO室がやっています。我々の会社でもまだ脱自前主義が完璧にできているわけではなく、日本の企業の問題でもありますが、より進めていただくとありがたいと思います。
三つ目がキャリアパスですが、民間企業でも今一番これが問題であります。いわゆる人材流動化です。法人の場合はどのようになるか分かりませんが、所帯が小さいところもあるし、狭い分野もあると思います。人材流動となると、民間企業との人材流動がやはりこれから大事なのではないかと思います。
【辰巳理事長】 今、選考採用を行っております。30代、40代、50代の方を積極的に採用しています。特に、例えば電池の評価を3年前に始めましたが、我々NITEにはノウハウがないので、大手メーカーの方に来ていただいております。
【野路委員長】 それは非常に良い取組と思います。また、NITEの職員も民間企業にぜひ採ってもらうと良いと思います。私の会社でも産業技術総合研究所から一人来ていただき、大活躍しています。結局、我々の知らない人脈を持っています。NITEの技術陣は民間企業でも活躍できると思いますので、ぜひ民間企業と法人で人材流動を進めて、お互いコミュニケーションもスムーズになると良いと思います。
【辰巳理事長】 心を広く持たなければいけないと思っているところです。
【野路委員長】 この三点については非常に感心しました。ぜひ、この良いところにさらに磨きをかけていただければと思います。今日はお忙しいところ、お時間いただきまして、ありがとうございました。他の法人も大変参考になったと思います。
それでは、続きまして、議題7について事務局から説明をお願いします。
【栗原管理官】 次回につきましては別途御連絡させていただきますが、本日いただいた御指摘、特に議題2の指針の関係につきまして、総務省で検討いたしまして、年明けに指針の改定案を御審議いただきたいと思っております。
それから、金岡委員からいただきました、法人の業務監査につきまして、実は監事の皆様と定期的な連絡会議を行っております。その中で良い取組も聞いておりますので、どのようにしているのかヒアリングなどをして相談・報告したいと思います。
また、優良事例についても、幾つかヒアリングを予定しておりますので、結果を御報告できるようにしたいと思います。
今年最後になりますので、早いですが、委員の皆様におかれましても良いお年をお迎えください。
以上です。
【野路委員長】 それでは、以上をもちまして第18回独立行政法人評価制度委員会を閉会いたします。本日は皆様、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。また来年もよろしくお願いいたします。
 
 

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