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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(平成26年9月25日)議事録

日時

平成26年9月25日(木)13時30分から18時00分まで

場所

中央合同庁舎第4号館 共用会議室

出席者

(委員)
梅里良正独立行政法人評価分科会長代理、石田晴美、森泉陽子の各委員、阿部啓子、荒張健、出雲明子、岡本義朗、河井聡、川合眞紀、齋藤真哉、園田智昭、原田久、宮本幸始、柳澤義一の各臨時委員
(総務省行政管理局)
上村進局長、讃岐建官房審議官、竹中一人管理官、坂井憲一郎企画官、平野誠調査官

議題

  1. 見直し当初案に関する各府省ヒアリング(厚生労働省)
  2. その他

配布資料

資料1−1PDF   国立高度専門医療研究センター説明資料
資料1−2−1PDF 国立健康・栄養研究所説明資料
資料1−2−2PDF 医薬基盤研究所説明資料
資料1−2−3PDF 独立行政法人医薬基盤・健康・栄養研究所説明資料
資料1−3PDF   年金積立金管理運用独立行政法人説明資料
資料2 PDF      厚生労働省所管独立行政法人の見直し当初案整理表等

会議経過

(梅里分科会長代理) それでは定刻になりましたので、ただいまから独立行政法人評価分科会を開催したいと思います。
 本日はお忙しいところ、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 それでは、審議に入ります。
 「中期目標期間終了時における平成26年度の事務・事業の見直し」について、3回に分けまして、今年度の見直し対象となっている12法人の見直し当初案に関する各府省ヒアリングを行っているところでございます。
 本日は、厚生労働省所管9法人の見直し当初案に関するヒアリングを行います。
 それでは、厚生労働省所管の国立高度専門医療研究センター6法人につきまして、ヒアリングを行います。
 本日は厚生労働省の福島審議官をはじめ、ご担当の皆様にお越しいただいております。
 まず最初に、国立長寿医療研究センターの見直し当初案の主要なポイントにつきましてご説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。
 全体の時間の関係もありますので、大変短くて恐縮ですけれども、5分程度でご説明をお願いしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
(福島審議官) 厚生労働省大臣官房審議官の福島でございます。
 国立高度専門研究センター、NCにつきましては、独立行政法人通則の改正に伴いまして、平成27年度から国立研究開発法人となることになっておりまして、研究開発成果の最大化に資するように、第2期の中長期目標の期間においても、しっかりとNCの業務に取り組んでまいりたいと、取り組んでいただきたいと考えております。
(梅里分科会長代理) どうぞ、おかけになって、はい。
(福島審議官) はい。6NC全体共通する部分もございますので、全体のまず話をさせていただきまして、それから、個別のNCの話をさせていただきたいと存じます。
 これまで、厚生労働省におきます独法評価委員会高度専門医療研究部会でご審議していただきました研究開発の推進に係る事項や、昨年の12月に閣議決定されました独立行政法人改革等に関する基本的方針など国の方針を踏まえて、どのようにして見直しをするかということで、お手元に資料の1‐1を用意しておりますので、これに従いまして、ご説明をさせていただきます。
 まず1ページ目をお開きいただきたいと思いますけれども、ここに、NCのこれまでの成果として、第1期の中期目標期間における主な研究成果を記載しております。これは内容をまとめてありますので、時間の関係上、ここについての説明は省略をさせていただきます。
 3ページをお開きいただきたいと思います。
 これは、事務及び事業の見直しに係る当初案についての概要についてご説明いたします。事業単位で整理をしておりますので、事業ごとに説明をしたいと思います。
 まず研究事業及び臨床研究事業につきましては、研究開発成果の最大化、これに資するように、次に述べる点を記載をしております。
 まず(1)として、NCが担う疾患につきまして、症例集積性の向上、臨床研究及び治験手続の効率化、あるいは研究者・専門家の育成・確保、臨床研究及び治験の情報公開、治験に要するコスト・スピード・質の適正化に関して、より一層強化するというふうにしています。
 それから(2)として、これはがんにつきましては(6)のほうとも関連いたしますけれども、NCを拠点とした施設間ネットワーク、患者登録システムの構築をより推進しまして、他の施設に対するサポート体制の確立に資するということによりまして、研究開発成果の最大化を目指すということでございます。(1)、(2)につきましては、今年の7月22日に健康・医療戦略推進本部で決定されました医療分野研究開発推進計画においてもNCに求められている点でございます。
 続きまして(3)でございますけれども、難治性・希少性疾患の原因解明、治験・臨床研究を推進するため、詳細な臨床情報が付帯された良質なバイオリソースを収集・保存するバイオバンク体制、このより一層の充実を図るということ。
 それから(4)として、First in human試験をはじめとする治験・臨床研究体制を整備して、診療部門、企業との連携を図って、これまで以上に、より多くの治験・臨床研究を実施したいということ。
 それから(5)として、医薬品、医療機器の実用化に向けた出口戦略、こういうものを強化していくこと。そして、新しい視点や発想に基づく研究等の推進のためのPMDAやあるいは外国を含めた他施設との人事交流を、これまで以上に推進したいと。
 (6)に関しましては国立がん研究センターのみの事項でございますので、がん研究センターのところで、再度ご紹介をさせていただきます。
 それから2つ目が事務及び、4ページ目は、まず診療事業につきましては、(1)としてここにありますように、国内外の研究機関で医療施設との知見の集積をしながら、研究部門との密接な連携を図りながら、その研究成果を活用して、高度かつ専門的な医療の提供の充実を図る。
 そして(2)として、医師その他の医療従事者等の特性を生かしたチーム医療を推進して、特定の職種への過度な負担を軽減し、継続して質の高い医療の提供を行うと。
 それから(3)として、医療安全管理の体制をより強化して、全職員を対象とした研修会を開催するなど、医療事故防止、感染管理、医療機器等の安全管理に努めていくということです。
 それから教育研修事業といたしまして、これは国内外の有為な人材の育成拠点となるように、各NCが担当しております疾患に対する医療及び研究を推進するためのリーダーとして活躍できる人材の育成を、継続して実施してまいります。
 それから、モデル的な研修、講習の実施、普及に努めてまいります。
 次に情報発信事業でございますけれども、まず(1)として、各NCが担当した疾患に関する知見を収集、整理、評価して、科学的根拠に基づく診断及び治療法について、国民の皆さん、それから医療機関向けの情報提供の充実を図ってまいります。
 それから(2)として、それぞれの疾患に係る中核的な医療機関間のネットワーク化を推進して、高度、専門的な医療の普及を図って医療の標準化に努めていくということでございます。
 これが6NCに共通するものでございます。
 それから5ページ目に、これは国際協力事業と、それから国立看護大学校事業ということでございますが、この2つについては国立国際医療研究センターのみで行っているものでございますので、これは、そのところでご説明をさせていただきます。
 それから6ページからが、組織の見直しに係る当初案の概要、6ページでございますけれども、まず組織、運営の効率化、それから財務内容の改善に係る当初案の概要でございます。
 まず組織の見直しに係ります当初案につきましては、昨年の12月に閣議決定されました独法改革等に関する基本的方針におきまして、分野横断的な疾患あるいは未知の疾患など、そのときの政策課題により柔軟に対応して研究開発力の一層の向上を図る観点から、将来的には6法人の統合など、国立高度専門医療研究センター全体としての組織の在り方について検討を行うというふうにされておるところでございますので、今年度が、第1期中期目標期間の最終年度ということになっておりますので、これまでの5年間について、まず丁寧に検証することが必要だというふうに考えております。その上で研究開発力の一層の向上を図る観点から、NC全体としての組織の在り方について検討を行う必要があると考えているところでございます。
 それから運営の効率化につきましては、これも、先ほど申し上げた独法改革等に関する基本的な方針におきまして、6法人間において共同して実施したほうが効果的・効率的な業務の共同化や人事交流をさらに推進すると、こういうふうにされておりますので、NC間における医療安全相互のチェックあるいは事務用の消耗品などの共同購入を事務部門で進めるとともに、事務部門に加えまして、看護師等の人事交流につきましても、さらに進めることとしております。
 また電子化につきましては、これは、今年の6月の情報セキュリティ政策推進会議で決定されました独法における情報セキュリティ対策の推進についてということで、独法の業務計画の1つとして、情報セキュリティ対策を位置づけて、独法の毎年の年度計画に政府の統一基準分を含む政府機関における情報セキュリティ対策を踏まえて、独法における情報セキュリティ骨子を定めるとともに、これに基づき情報セキュリティ対策を講じる旨、盛り込むこととすると、こういうふうにされておりますので、法人の業務計画、年度計画の1つとして情報セキュリティ対策を位置づけるなど、情報セキュリティ対策を推進してまいります。
 それから、財務内容の改善ということでございますけれども。
(梅里分科会長代理) もうちょっとスピードアップしていただけますかね。少し急いでいただければ。
(福島審議官) はい。随意契約の見直しの項目では、調達の合理化の取り組みを促進する記載がございますので、契約等に関する仕組みの改善を踏まえて一般競争入札を原則としつつ、研究開発業務であることを考慮しながらも、考慮して、随意契約によることができる事由を規定等でおいて明確化して、公正性・透明性の確保をしながら合理的な調達に努めるといたしております。
 それから自己収入の増大ということで、競争的資金あるいは外部資金の調達を獲得をさらに進めてまいりたいと思います。
 以上が、全体を通しての話でございます。
 最後になりますけれども、全体を通しての話としては、各NC、来年度から国立研究開発法人として研究開発成果の最大化を目指していくということにしておりますので、厚生労働省といたしましても、できる限りの財政支援をしていくこととしております。国の財政状況は厳しいわけでございますけれども、それぞれ、そういう中で各NCが次期の中長期の計画を策定していかなければならないということにつきまして、ぜひご理解を賜りたいと思います。
 それでは引き続きまして、国立長寿医療センターにおける具体的な取り組みの柱について、ご説明させていただきます。資料は、ページおめくりいただきまして7ページでございます。
 長寿医療研究センターの全体としての共通する部分については、今申し上げたとおりでございますけれども、具体的な取り組みとして、ここにおきましては、認知症等の早期発見、治療法の開発、それから認知症等の予防法の確立、それから虚弱に関する予防診断治療方法の確立、それから高齢者診断のガイドラインの作成・改訂の提言、あるいは在宅医療・認知症地域ケアというもののモデルの開発・普及、それから高齢者医療関連病院とのネットワーク構築、再生医療の推進、そして、ここにあります高齢者医療や健康促進に関する人材育成、そして情報発信や政策提言と、こういうことを考えております。
 具体的な取り組みは、例えばアルツハイマー病をはじめとした認知症の先制治療薬の開発に向けた治験・臨床研究を実施すること、あるいは、歯髄再生の臨床研究をさらに進めて、再生治療法として確立することなどを進めていきたいと考えております。
 長寿医療研究センターについては、以上でございます。
(梅里分科会長代理) はい、ありがとうございました。6法人共通のご説明があったので少し長くなりましたけれども。
 まずは長寿医療研究センターということで、お話の中にあった6法人の今後の問題、これはかなり大きな問題ですけれども、後ほど、後の法人のところで、まとめてその議論をしたいと思います。とりあえず長寿についての質疑ということで進めたいと思います。
 それでは最初に、こっちのほうからちょっと皮切りで、研究開発の法人ということですので、研究開発事業についてから質問させていただきたいと思います。
 国、独立行政法人として長寿に期待するものがもちろんあると思うんですけれども、実績を見せていただきますと、例えば先進医療とかそういったようなものに採択されるというか、そういったようなものについて、ちょっと声が入りにくいですか。はい、すみません。
 長寿のほうの実績はないというような報告をいただいているんですけれども、そのようなことで、研究開発型の独立行政法人としての役割を果たしてるというように言えるのかどうかということについて、厚労省側のご意見は、いかがでございましょうか。先進医療等の実績はないという、いかがですか。
(福島審議官) はい。先進医療に結びついていないということでございますけども。
(各法人担当者) よろしいですか。25年までの実績ということでないということでご報告させていただいておりますけれども、この7月に、先進医療に1つ承認されたものがございまして、これからも増えていくのではないかと思っております。
(梅里分科会長代理) はい。じゃあ、7月に1件認められて。
(各法人担当者) はい。認知症の早期診断に関するものが先進医療に。
(梅里分科会長代理) さらに、これから進展していく。
(各法人担当者) はい、進展させていきたいというふうに。
(梅里分科会長代理) 進展させていきたいというふうに考えてるということですね。
(各法人担当者) はい。
(梅里分科会長代理) はい、ありがとうございました。
 それで、長寿については基礎研究も実施をされているわけですね、臨床研究だけではなくて基礎も。
(各法人担当者) はい。
(梅里分科会長代理) 基礎の研究というものに対して、基礎だけを専門に研究する研究者もおられるわけですか。臨床をやりながら基礎の研究をしているのか。つまり基礎研究、臨床研究に、どういう研究体制で取り組んでおられるんでしょうか。
(各法人担当者) 1人の研究者が基礎と臨床を両方やっているというケースは、これは当然少ない、そう聞いてございます。組織全体としては、例えば脳の加齢についての基礎研究を行いながら、そのプロセスに応じたアルツハイマーの薬をどういうふうに開発するかといったような形で、全体としては、基礎から臨床までに行くようにという形でやっております。
(梅里分科会長代理) ということは、基礎の研究者が専従して基礎研究を行っているという体制があるということですね。
(各法人担当者) はい。
(梅里分科会長代理) 研究予算的には、基礎研究にどのくらいで臨床研究のほうにどのくらいというような、そういう予算的な配分は、どのようになっておられますか。
(各法人担当者) 基本的には、研究者については、課題ベースで内部の研究費を取るという形にしておりますので、実績とテーマによって配分するという形を取っております。
(梅里分科会長代理) 今のところ、基礎には大体どのぐらいとか臨床っていうのは、お分かりになりますか。あとでもけっこうですけど。
(各法人担当者) ちょっと今、あと、はい。多少のこの数字がございますので、はい。
(梅里分科会長代理) あと競争的な研究費の獲得についてですけれども、国の、独立行政法人として、国の政策上必要な研究を実施してもらうということで運営費交付金で研究をするというのは一応基本かなと思うんですが、そのほか競争的な研究も確保されておられますよね。
 これは、厚労省としては、どういう考え方なんでしょうか。いわゆる競争的資金を確保するというのは、基本的には個人の研究での申請になると思うんですけれども、この辺のところについてのお考えは、どういうふうに。本来であれば、運営費交付金で国の政策に必要な研究を実施していくというのが基本的なスタンスかなと思うんですけど。
(福島審議官) もちろんNCというのは、政策医療の実現に向けた取り組みとして中長期、中期目標を踏まえて実施をすべき研究をしておるわけでありますけれども、基本的には、中期目標を踏まえてNCとして実施すべきものについては運営費交付金を財源としていくと。担当してる領域におけるテーマとして、その時代に応じて最先端のものをやっていく部分については、運営費交付金による研究開発に加えて、競争的資金も含めて財源を取ってもらうというふうに考えております。
(梅里分科会長代理) でも、国の政策にあまり関係しない個人的な興味など、これはそっちでやれという感じですか。
(福島審議官) 今、ただ、そこは、すべて研究に関しては、特に今、健康・医療戦略の中でライフサイエンスに関する研究を一元化して進めていくということになっておるわけでありまして、そういうものについては、できるだけ競争的資金で進めていくという方向性になっておるわけであります。それを、NCであっても、まず全体でそこを競合して取っていかないといけないような状況になっているということです。
(梅里分科会長代理) あと1つだけ、すみません。
 厚労省のほうで臨床研究中核病院の指定をされておられますね。このほかに、早期・探索的臨床試験拠点等の政策もあると思うんですけれども、このいずれにも長寿は選定されていないというような状況なんですが、これは申請はされてるわけですね。それで、資格要件を満たさないということで選定されていないということだろうと思うんですけれども、厚労省としては、長寿とそういう研究の中核的な病院として位置づけていないと、評価をしていないということになろうかと思うんですが、これはいかがなんですか。
(福島審議官) まず、早期・探索的臨床試験拠点とか、あるいは臨床研究中核病院というものについては、これもともとが日本における臨床研究のレベルアップを国際的な、例えば国際水準に、ICI実施基準とかいうものに準拠するような研究ができるようにしていこうというために補助金を付けてやっておるわけです。これについては、これから途上にあるというところ、あるいは、そこに施設整備・人的整備をすることによって、NCだけでなく大学を含めそういうことを進めていこうとしてるわけです。
 
(梅里分科会長代理) もちろんそうですね。でも、長寿はそれに入らないんですか。
(福島審議官) 現在、現時点では、確かにそれは入っておりませんけれども、それは補助金として運営しているところです。
 今度、医療法の改正によりまして、臨床研究中核病院が法定化されて、今、実際の指定基準の検討会をやっておるところでございますけれども、それは多分、現在補助金をもらっているところも、ただちにそれがなれるようなものではなくて、もう少し多分、高いハードルになる可能性もありますけれども、そこに目指して日本のNC、長寿も含めてです。
(梅里分科会長代理) 分かるんですけど、この5年間の実績を、先ほど、今年、先進医療に1つ入ったという話がありましたけど、この5年間の実績を見せていただいていると、どうも今までのところ、研究開発法人、独立行政法人研究開発型という位置づけが必要なのかなというような、ちょっとそういう認識を持ちましたので、質問させていただいたということでございます。
(福島審議官) 長寿の領域も、認知症をはじめとして非常に重要な問題がございますので、そういうものについては重点的に研究を進めていく必要があるとは、私どもも考えております。
(梅里分科会長代理) じゃあ、研究開発以外にも質問があると思いますので。
(各法人担当者) ちょっと1点よろしゅうございましょうか。
 ナショナルセンターで持つべき高度先進性というところについてなんですけど、もちろんいろんな意味のものがあって、試験管でやるようなものから高度な手術ロボットみたいなものがあると思うんですけれども、長寿医療の場合に、社会システムとしてどういう医療が、これから75歳以上が入院者の半分を占め、街中に独居老人とか在宅で医療を行う人が増えていく中で、どういうシステムであれば医療がうまく流れていくかというのも1つの先進性だと思うんです。
 私ども取り組んでいる例えば在宅医療を支援する病棟とかこういった試みについては、それが医療保険のシステムとして採用されるといったような、そういった取り組みもありますので、そういった意味で、新しい医療のモデルを提供していくというのも、十分なNCの使命じゃないかというふうに、私どもでは考えております。
(梅里分科会長代理) そういうモデルについては実績があるということですね。
(各法人担当者) はい、ございます。
(梅里分科会長代理) それをちょっと、後でお示しいただけますか。
(各法人担当者) はい。
(梅里分科会長代理) それじゃあ、ほかの点については、いかがでしょうかね。委員のほうから何か追加でご質問は。
(柳澤臨時委員) ちょうど今お話しになったことと、つながると思うんですけれども。
 機能の1つとして政策提言機能というのは、これはNC6法人全部につながる話なんですけど、政策提言機能というものが明確化されていると思うんですけども、これは具体的に何か政策提言ということはされたことというのは、実績としては、どうでしょうか。
(各法人担当者) 長寿医療研究センターで主催して在宅医療推進会議というものを持っております。私どもが主催者となり、日本医師会から病院関係の団体、それから関係学会、こういった方々に参加をしていただいて、在宅医療の在り方についての検討を進めてきたんですけれども、そこで医療法の改正に際しまして、これからやっぱり在宅医療を推進していくべきだと、具体的な目標も含めて、どういう形で在宅医療を進めていくかというような提言を、その推進会議として出したことがございます。
 形としてまとめたのは、そういうことですけれども、もちろん、それ以外にいろいろ様々な研究を通じて、例えば認知症について言えば、最近は初期集中支援というのが十分なテーマになってますけど、そのモデルはどういうモデルで実施すべきかといったようなことで、厚労省と一緒にビジネス、サイエンスモデルを作り上げるとか、そういった様々なモデル事業の中で、長寿がその中の主導的な役割を果たすことによって、それを全国的に政策として展開するための形を作るという、こういった作業を様々な形でやっております。これもまた、リストはご提供できるかと思います。
(柳澤臨時委員) 時間がないので1点だけ。
 センターの名前で何か提言されたという、そういう提言という形で取られたものというのはあるんですか。実績として、いろんな仕組みを作りました、こういうことをやりましたというのは、当然ご尽力されてることはよく分かるんですけど、いわゆるセンターとして、政府に対して、もしくは官庁に対して、こういう政策、提言というレポートを出したようなことというのは。
(江野補佐) 提言という形は取ってませんけど、さっきの推進会議は、ほんとに長寿で出してるものと同じだと思っていただいてけっこうですし、それから様々な研究方法というモデル事業の実施の報告書というものが、そういう意味では、それに当たるのかと思います。
(柳澤臨時委員) はい、分かりました。
(梅里分科会長代理) じゃあ、阿部委員、どうぞ。
(阿部臨時委員) 人材育成のことを聞かさせてください。
 ここはレジデントは専門修練医っていうんですか、それよりもさらに高度な医師に対してNCが、これは6法人すべてなんですけれども、より先進的な医療、そういう研修を行うというふうになってるんですが、実際には行われているんでしょうか。
(各法人担当者) レジデントの受け入れは、私どもの病院としてはもちろんございますが、1つお考えいただきたいのは、これから人口なども4分の1が高齢者で、あと2025年には団塊の世代はみんな75歳以上を超えて、ほんとに高齢者のいろんな病気の本番になるわけですね。
 そのときの医療体制はどうなのかというと、少数のごく高度な技術を持った医療者だけがこれに対応するのではなくて、大きなボリュームの人たちが認知症のことをし、老人の病気というのは、個別の臓器だけが悪くなるわけじゃなくて全体、全身が弱っていくと、そういう全身もろもろの問題が起きていく、これ全体像ですから、それを理解した医療を提供するということが、これからの長寿としての人材育成の大きな柱になるんだと思います。
 それは日本の大学で、なかなか老年科の教室はそんな多くないと思いますけれども、それが増えていって、専門家をもっと養成していただきたいというのも1つですが、それ以上に、街中で現在臨床をやってらっしゃる方に、認知症とか老年医学の知識をということが、1つの大きなテーマになると思います。
 そういった意味で、認知症のサポート医ですとか在宅医に関する様々な研修とか、今度は人生の最終段階エンド・オブ・ライフ・ケアの研修もしてますけども、そういった様々なルートを通じて2025年問題にどう対応していくのかと、こういったような形の人材育成というのが大きな使命ではないかなというふうに、私どもは考えております。
(阿部臨時委員) はい。お考えを聞いて少し分かりました、理解させていただきましたが、少なくとも数値的にはレジデントとか専門修練医というのが非常に少のうございますが、これは数値に出ないような、先ほどおっしゃったようなことをやっているので、この改まった数値には少ないというふうに理解してよろしいんでしょうか。
(各法人担当者) はい。レジデントだけで実績が測れるとは思ってません。認知症サポート医を3000人養成しました。そういったことも含めて考えていただければというふうに思います。
(阿部臨時委員) そういうのが、少しそのご努力というんですか、人材育成のコンセプトとか実際の実施というのが、こういった報告書に数値として、あるいは記述として書かれたほうがいいような気がいたします。
(各法人担当者) はい。お届けしている資料かと思いますけれども、外部に対する研修実績なども書かせていただいておりますので、長寿らしさが出るような報告を出させていただきたいと思います。
(石田委員) 医療提供について質問させてください。
 今、長期の患者さんの出身地割合は、どういう分布になっているんでしょうか。都道府県別でいくとやはり所在地の愛知県内とか東海圏の患者が多数を占めるという状況でしょうか。
(各法人担当者) 出身地というか現住所では、愛知県の方がほとんどです、はい。
(石田委員) そうすると、高度先進医療でNCといっても、結局は地域医療を担っているローカルな病院じゃないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
(各法人担当者) ナショナルセンターにおける病院の役割とは何かということだと思います。例えば、おばあちゃんが認知症になったので、北海道の有名病院に行こうという形の医療があるのかというと、認知症については、多分そんなことはないと思います。患者さんは、長寿が愛知県にありますので、愛知県からほとんど来てます。
 ただ、一般の地域医療を行う病院と違うのは、単にそこで医療を提供するだけではなくて、その中で様々な臨床に関するケースを収集して、その中でより深い分析をして、そのことによって全国につながるような成果を、例えばBPSD、認知症の周辺症状というようなことで、認知機能が衰えるだけではなくて、いろんな暴言とか問題行動が起こすような症状もありますけれども、それがどういったときに出るのか、どういう治療をすれば、それに対処できるのか、こういったものを、愛知県内の患者さんのデータを通じて集積して、それをガイドラインにまとめて全国に均てん化していくというのが、この分野での仕事だというふうに思っています。
 ですから、患者さんは地元の人だということが、地元にしか貢献してないということでは、研究を一緒にやってる以上はそうではないというふうに思ってます。
(石田委員) おっしゃることは、よく分かるんですが。
 そうすると、私どもは、やはりこれから研究開発法人になるわけですから、NCとして、長寿関係については全国の日本の中でトップを走っていただきたいと思ってるんですね。
 ただ、一番最初の梅里委員のお話にもありましたように、じゃあ今トップなのかというと、なかなか研究の成果が、他と比べると一番じゃないように見える。例えば東京都の健康長寿医療センターと比較すると、論文の研究者1人当たりの数、あるいは論文の引用数、さらに科研費の獲得の実績も劣ってらっしゃいますね。
 私たちは1番になってほしいと思っているので、なぜ今1番でない分野があるのかというその原因分析をどうお考えになってるんでしょうか。
(各法人担当者) なかなか難しいご質問だと思います。
 それは患者さんの出身地の話は別として、都の長寿センターは大変長い歴史もあり、病床数、病床数はあんまり関係ないかもしれない、研究者の数にしても予算規模にしても、相当のものがつぎ込まれておりますので。
 私どもは、ナショナルセンターになって10年です。そういった中で、新たな研究者の育成もしながら実績を上げてきたというふうには思いますが、まだ、おっしゃるように、今おっしゃったようなスペックという面では追いついてない面もあるのかもしれません。
 ただ、われわれは当長寿センターでできないことは、全国レベルの医療の均てん化であり、各全国の医療機関の旗揚げ、それから国の政策との直接のリンケージ、こういったことは都のセンターではなかなかできないことだと思いますので、そっちを伸ばしつつ、厚労省のご理解も得て少し研究体制も強化しながら、追いついていけるような形に何とかしていきたいというふうに考えております。
(石田委員) 追いついていけるようにというお話でしたが、具体的に何をどうすると、追いつくんですか。それは予算が増えるということですか。
(各法人担当者) 予算は欲しいんですけども。
 それと同時にあともう1つは、やっぱり何を伸ばしていくべきか、何が強みかということが一番大きな問題だと思います。今われわれが持っている資産としてすごく大きいのはバイオバンクでありまして、これは、地元の患者さん中心に多くの症例を集めて、バイオバンクって、もちろん先生方ご存知のとおり、資料だけがあればいいんじゃなくて、それにどれだけの情報がくっついてるかが、その成否を分けるわけです。
 これまでの取り組みで大きな情報と一緒になってるバイオバンクのものが集まりつつありますので、この成果をうまく使っていけば非常に大きな宝庫、宝の山だというふうに思っていますので、こういったものは、1例ですけども、われわれの持ってる強みを伸ばしていくような形でリクルートもし、研究能力というのをそれこそ最大限に、今の予算、人員の範囲内のもっと成果があるような形に伸ばしていくということが大事なことであるというふうに私どもは思っています。
(梅里分科会長代理) はい。よろしゅうございましょうか。
 最初の法人ですので、全体の説明が入ったので、少し時間延長しますけれども。
 今のご説明の中で、高齢化に伴う特定いろいろな疾患があると思うんですが、これについての診療のガイドライン、これを開発していくって1つはありますね。
 それから、これからの高齢社会における地域包括ケアのモデルを作っていくと、これも重要な仕事だと思うんですが、この辺のところについて実績がある程度あるというようなご説明だったと思うんですね。
 これについて具体的に、どういった疾患のガイドラインを開発をされ、その均てん化に、今までどれだけの実績があるのかということと、それから、地域包括ケアのモデル、あるいは高齢者の地域でのケアのモデル、こういったようなものについての実績、これはまた具体的にお示しいただきたい。
 それから、今お話のあったバイオバンク等を活用した、これから5年間、研究開発型の独立行政法人としての重要な役割を担っていけるんだと、この先の計画ですね、これについても、かなりこれちょっと具体的にお見せいただくことはできますでしょうか。
(各法人担当者) はい。ちょっと時間をいただいて、まとめてご紹介したいと思います。(梅里分科会長代理) はい、ありがとうございました。
 じゃあ、少し時間が過ぎてしまいましたので、よろしければ次の法人に移らせていただいてよろしいでしょうか。はい。
 どうもありがとうございました。
(各法人担当者) どうもありがとうございました。
(梅里分科会長代理) それでは、国立長寿医療研究センターの皆様方は、ここでご退席いただいて、けっこうでございます。
(法人交代)
(梅里分科会長代理) よろしゅうございましょうか、はい。
 では次に、厚生労働省所管の国立国際医療研究センターにつきまして、ヒアリングを行います。国立国際医療研究センターの見直し当初案の主要なポイントにつきましてご説明をいただき、その後、質疑応答も行いたいと思います。
 全体の時間の関係もありますので、5分程度で、ご説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
(福島審議官) はい。それでは、資料1‐1の5ページをご覧いただきたいと思います。
 国立国際医療研究センターにつきましては、先にご説明させていただいたとおり、事務及び事業見直しに係る当初案の中に、ほかのNCとの共通項目以外に国際協力事業と国立看護大学校事業がございますので、この点について、まずご説明をさせていただきたいと思います。
 国際協力事業でありますけれども、これは(1)として、緊急援助等の支援活動を行うとともに、開発途上国における保健システムの向上を推進するために、専門家の派遣や研修生の受け入れを行うと。
 それから(2)として、国際機関やJICA等の依頼に応じて調査研究あるいは評価事業を実施して、また国際医療協力を実施している期間とのネットワークを構築して、途上国等におけます保健医療分野の共同研究、人材育成等の諸協力をするということでございます。
 それから国立看護大学校事業でございますけれども、(1)として、NCに必要な人材を養成するために、看護学部及び研究課程部における教育の充実を図るということ、そして、研究課程部に後期課程、博士課程相当でございますけれども、そういうものを設置するということ。
 そして(2)として、NC等に勤務する看護師等を対象とした専門性の高い研修を実施するということでございます。
 また、組織見直しに係る当初案の中でも、共通項目以外に、健康・医療戦略あるいは再興戦略においても同様の記載がございますことから、医療の国際展開という観点から、保健医療分野における国際貢献、国際協力を行うグローバル医療戦略を推進して、センター全体による取り組みを実施するということを記載をしております。
 8ページのほうを、またお開きいただければと思います。
 具体的な取り組みの柱としては、今申し上げたように、産学官連携を基盤とした実用化につながる国際的な医学研究の推進。そして、国際的に重要な疾患分野での創薬等につながるような国際水準の治験・臨床研究の推進、国内外の医療研究期間とのネットワークの充実・強化等々、国際的な課題に対する対応ができるような取り組みを進めていくということを考えています。
 具体的中身として、取り組みの内容としては、例えば革新的な新しいAIDSの治療薬、あるいはB型肝炎の新しい治療というものを開発して、それらの全臨床試験及び、人に初めて使うというFirst in humanの臨床試験の取り組みと。それから、WHO等の国内外の機関とのネットワークを充実・強化するとともに、このネットワークを基にして海外拠点の研究活動を実施するなどとしております。
 国際医療研究センターについては以上でございます。
(梅里分科会長代理) はい、ありがとうございました。
 それでは、質疑に入りたいと思いますけれども。じゃあ、私のほうから先に。
 研究開発について、先ほどと同じように、見せていただくと、やっぱりここのセンターも先進医療等の実績はないというご報告をいただいているんですが、そういった意味では、独立行政法人としての役割ということを、厚労省はどのようにお考えでございましょうか。
(福島審議官) これは、先ほど申し上げたとおりなんですけれども、予算事業で行いますので数が限られているということもありまして、確かに早期・探索的臨床試験拠点とかあるいは臨床研究中核病院というものには、現在のところ選ばれてないということでありますけれども、それをもって、ただちにNCとしての機能を果たしていないというふうには考えていないところでございます。
 実際に。
(梅里分科会長代理) 逆に、じゃあ、どういう面で、果たしているというふうにお考えですか。
(福島審議官) 例えば感染症の、今回もエボラ出血熱例えば事案でも担当の医師を派遣する等、これは行ける医療機関はここしかありませんし。ほかにも何箇所かありますけども、ほぼ東京の近辺では、ここへ持ってくることになっています。
 またAIDSあるいは肝炎においても非常に高度の研究を行っていると、先進的な治療を行っておりますし、また拠点病院としても機能しているということでありまして、NCとしての、確かに臨床研究中核病院にはなっておりませんけれども、補助金は付けておりませんけれども、それをもって、ただちに、ということを果たしてないというふうには思っております。
(梅里分科会長代理) はい、どうぞ。
(各法人担当者) 先ほどご指摘的いただきました先進医療でございますが、平成25年度は、先進医療、新規技術3件を申請いたしますとともに、先進医療既存技術2件の取得、及び6件の申請準備を行っておりまして、ややスタートダッシュが遅れたきらいはございますが、鋭意、先進医療について進めていく準備をしつつあるところでございます。
(梅里分科会長代理) そうですか。はい、ありがとうございます。
 国際の場合は、そういう対象としているのは感染症、肝炎から、先日、訪問させていただいたときに、糖尿病までということで実施をされているということなんですけれども、そのときに臨床の先生から、基本的には、糖尿病の研究治療というのは、ほかとは変わらないんだというようなご説明もいただいていたりするんですけれども、その辺はいかがなんでしょうか。NC国際で糖尿をやっていく必要があるのかどうか。
(各法人担当者) まず、国際保健グローバルヘルスを提供するために、従来でありますと、国際保健の大きな課題として感染症が挙げられていたわけですが、最近は、非感染性の疾患に対しても、発展途上国からの要請は極めて大きいということでございまして、世界の。
(梅里分科会長代理) 発展途上国の支援ということになると、すべての疾患をしていかなきゃいけないということになりますよね。
(各法人担当者) 疾病負荷という考え方がございまして、世界中の健康寿命にインパクトをどれぐらい負荷を与えてるかという疾病負荷という概念があるんですが、それで見ましても、感染症は入っていることはもちろん、糖尿病ですとか肝炎ですとかも20位以内に入っておりますので、そのような重点的な慢性疾患に対してもNCとしてチャレンジをしていくと、そういう支援でございます。
(梅里分科会長代理) そういう支援になると、がんだとか循環器だとか呼吸器だとかすべてが入ってくるんじゃないんですか、国際支援ということになったら。
(各法人担当者) がんに関しては国立がん研究センターがございますので、多分、NCと連携を取りながらの支援ということが考えられるかと思います。
(梅里分科会長代理) はい、分かりました。
 先ほどと同じ質問なんですけど、国際の場合は、基礎研究と臨床研究での支援配分のウエートはいかがでございますか。
(各法人担当者) これについては、申し訳ないんですが、手元にございませんので、後ほど提供させていただきたいと思います。
 なお発言を許していただくならば、われわれはbedside to bench、bench to bedsideと言ってまして、臨床での様々な疑問ですとかというものを基礎研究者に届け、基礎研究の成果を臨床にまた循環させていくという考え方を取っておりまして、そこにNCとしてのバリューもあるだろうというふうな考え方で運営をしております。
(梅里分科会長代理) 国立感染症研究所もあるわけですけれども、そこと一体となった研究というような形で、両方なければいけないのか、逆に言うと、その辺のところはいかがですか。
(各法人担当者) NC国際では、感染症やその他疾患に対する人の病気としての感染症を研究いたしまして、新しい医療技術の開発ですとか標準医療の確立や、その普及を目的として研究を行ってきてございます。
 一方、国立感染症研究所は、病原体に注目して、病原体からのアプローチする研究ということを行っております。
 それから今回、先生方にご視察いただきましたが、非常に近くございますので、メディアセミナーなど、今回もエボラ出血熱やそれからデング熱ございましたが、デング熱についても双方でメディアセミナーを開催しまして、例えば蚊の生態ですとかそういったようなことは国立感染研のほうが強うございますので、そういったことを一緒になってやっていっているということでございます。
(梅里分科会長代理) そういう共同の研究というのは、どのくらいの頻度でどのくらいやられているかというような、その辺の実績というのは何かございますか。
(各法人担当者) これにつきましても今すぐ手元にはございませんので、後ほど提出したいと思います。
(梅里分科会長代理) はい、ありがとうございます。
 それでは、ほかの委員からも質問があるかと思いますけれども、いかがでしょうか。
(柳澤臨時委員) じゃあ、私から。
(梅里分科会長代理) じゃあ柳澤委員、お願いします。
(柳澤臨時委員) 先ほど、研究事業と、要するに臨床とは、ここは不可分一体とやってるという、その理念は大変分かります。私も拝見させていただいて、大変素晴らしい病院だと思うんですが。
 これは単純に言えないんですが、セグメントの事業損益を見ますと、研究事業にかかわる費用と診療事業では二十数倍違うと。おそらく薬品の購入とか費用項目によっては全然また違うんですが、当然なんですけど。ただ、やはり拝見しましても、数字を見ましても、診療事業が中心で、研究事業のウエートというのは、今のお話だとフィフティ・フィフティのようなお話ですけども、どうもフィフティ・フィフティという印象がないと。
 さらにヒアリングの中で、例えば救急医療は、この地域では1番なんですみたいな話もされてました。ただ、もちろん救急医療にチームで取り組むことは大変大切だと思いますけれども、地域医療がメインではなくて、やっぱり研究センターとしての今お話があったような臨床が研究につながるというのが、何か数字とかデータでうまく説明できるところが1つありませんか。
(各法人担当者) 大変貴重なご指摘ありがとうございます。
 私どもでは、平成14年度からリトリートカンファレンスというのをやっておりまして、それはフロントに対するリトリートで退却という意味らしいんですが、一歩下がって自分の診療を見るというようなカンファレンスでございまして、臨床の先生方に、このような話題提供をしていただくことによって、基礎研究のほう先生方に研究のイマジネーションといいますか、こういった治療研究を進めたらどうだろうとかいうようなヒントを、臨床から基礎研究に渡していくということをやっております。これは国際センター内部だけではなくて、外部にも開放されたカンファレンスでございますので、このような活動成果を通して、研究志向のある病院であるというようなことを十分訴えてまいりたいと思いますし、その役割を負わせていきたいというふうに考えております。
(石田委員) はい。
(梅里分科会長代理) はい、よろしいですか。じゃあ、石田委員、お願いします。
(石田委員) すみません。今の柳澤委員の質問と、それへの回答に関連するんですが。
 私も8月に視察に行かせていただきました。関係者の皆さまには、感謝を申し上げたい。ありがとうございました。
 やはり行ってみると、これから研究開発法人になるんだけれども、実は、先ほどもありましたが地域拠点病院なんですね。実際の予算額も全然規模が、研究と医療の提供と違いますよと。そのときに研究開発法人として、こんなに大きな臨床というか拠点病院、総合病院はやはり持つ必要があるのでしょうか。国立病院機構とどこが違うのかと思ったりもしたんですが、その辺は、いかがなんでしょうか。
(各法人担当者) そこは先生方にご評価いただいているように、当センターは非常にオーセンティックな総合病院でございまして、総合病院を有するという機能を最大限に生かして政策提言につなげていきたいと思いますし、また、First in human試験などでも、これはFirst in humanでございますので、どのような副反応が起こるか分からないと、こういったようなチャレンジングなトランスレーショナルリサーチには総合診療機能が必要ではないかというふうに、われわれは考えております。
(石田委員) 視察に伺ったときも、これはFirst in humanなんだから耳鼻咽喉科も眼科も産婦人科もみんないるんですというご回答をいただいたんですが、First in humanの治験数、年度の比較はありますか、今数字として。First in humanが必要だから、こんなに大きな総合病院が必要ですというご回答だったんですが、First in humanは、年間に何回やってらっしゃるんですか。
(各法人担当者) First in humanについては、承知してる限りでは、1例というふうに聞いておりますけれども。
(石田委員) 何年間でですか。
(各法人担当者) 一昨年1例あったということでございます。
(石田委員) すみません。ここの一昨年1例は、国際医療研究センターができて、ここ10年間で1件と考えていいですか。一昨年1件あったんですよね。だから、ここ10年間でも1件と考えていいんですか。
(各法人担当者) はい、おそらく。
(石田委員) そうすると、ここ10年間で1件だけど、総合病院がやはり必要ということなんですね。それは、これからFirst in humanをどんどん増やしていくとお考えなんですか。
(各法人担当者) そのとおりです。
(石田委員) そのとおりですと言っても、過去10年間で1件なんですよね。
 あと、視察に伺ったときに、国府台の病院の先生にも、いろいろと質問させていただきました。国府台の先生も、副院長先生だったか、副理事長先生かな、「うちは総合病院です」というお話があって、それは、地域のニーズがあるから総合病院としてやってるんですというようなニュアンスだったんですが。
 なので、何故、研究開発法人の看板を大きく掲げなければいけないのか、どうしてもそこが引っかかるんですが。国府台も精神から分かれたんですね。今、国府台も救急で精神があるので142床もあるわけですが、やはり精神との連携というのは密に取っていらっしゃるんですか。国府台が、なぜ精神で142床なければいけないのか疑問に思ってるんですけど。
(各法人担当者) そこは先生ご指摘のとおり歴史的な経緯もあるのですが、連携としては病院間の連携を取っておりますし、例えば臨床研修医の受け入れについても、精神科については、国府台へのローテーションというようなこともなされております。
 それから、研究開発型独法、現在37ありますが、その中で病床を内包しているのはナショナルセンターだけでございますので、病床を内包している研究開発型独法として、ライフサイエンスの基礎研究を実用化に向けるトランスレーショナルリサーチについて大いに機能を発揮していきたいと思っておりますし、また、そのようなセンターでありたいというふうに考えております。
(佐藤課長) すみません、1点だけ。
 国府台につきましては、平成19年に千葉県から、地域の中核病院として精神を残してほしいという要望がございまして、一部そういうこともあって残してるという事実関係があります。そのことだけ、ちょっと付け加えさせていただきます。
(梅里分科会長代理) はい、じゃあ。
(阿部臨時委員) ちょっと質問の質が違うんですけども。
 政策提言機能というのが、NC6法人ともそうなんですけれども、これが法人化されたときに追加された目的なんですね。つまり、個人個人の先生が有識者会議に出ていろいろご発言するというのは、これはあってよろしい、当然だと思うんですけれども、この独法の精神そのものは、そうじゃなくて、NCの法人として提言をして、そして、それを国に提言するということが目的の1つだったと思うんですね。
 そうすると、国際は特にやはり国際的な問題を抱えているので、国への提言というのが非常に大きなファクターを持つと思うんですけども、実際にこの5年間で、そのような実績は、おありになったんでしょうか。
(各法人担当者) はい。例えば重症新型インフルエンザ診断と治療の手引を作成いたしまして医療の標準化・均てん化の推進を行ったほか、先生ご指摘の国際関係でございますと、WHOの総会や執行理事会、世界基金理事会等の国際会議に、政府代表団の一員として出席し、政府対処方針の策定等に専門的見地から寄与しているというふうにお答えを申し上げさせていただきます。
(阿部臨時委員) はい、厚労省の方にもお伺いしたいんですけども。
 今のようなことは、もちろん参加はなさってるんですけど、もっと積極的に国際的にそういう提言を行うために、まずはNCの独法から国に対して非常に大きな提言をしていただいて、それをある程度、国際的にもイニシアチブを取るような形での提言というのが必要になってくると思うし、そういう役割を担ってらっしゃるんじゃないかと思うんですけども、その辺については、どういったお考えなんでしょうか。
(福島審議官) 実際に各NCが例えばガイドラインを作る、その成果を普及、やっぱり政策的にどういうものをやるべきかということについての研究をしていると。それ自体が、政策課題に対する研究をやってること自体が、提言機能を担っているというふうに私どもは思っているわけです。
 一方、個別の例えばがんに関して言うと、がん対策基本法に基づく例えば法人というものを国が決めないといけないということになっておりますから、そこに対して、がんセンターとしては、いろんなご意見を公式、非公式の場で、私ども日ごろから担当が接しておりますので、いろんなご提言もいただいており、実際、意見交換をさせていただいておりまして、そういう意見を踏まえて私どもが、例えばいろんなものの議論を作っていくと、そういうことをやっておりますので、実際には各NCというのは、ボイスとしてまとまった文書としての提言書というものでなくても、実際にそういう提言機能は十分に果たしているし、これからも果たしていっていただきたいというふうに、私どもは考えています。
(阿部臨時委員) 対応というのも、ものすごい大切なんですけども、パースペクティブな今後どうあるべきなのかということが多分提言だっていうふうに思いますので、ぜひ、その辺の視点を明確にしていただければと思います。
(梅里分科会長代理) ほかに、いかがでしょうか、質問どうでしょうか。
 先ほど、国府台について千葉県からのってありましたけど、千葉県としては、精神疾患の治療の機能がそのまま残ってほしいという意味で残してくれということですね。だから、それは、独法として研究開発型の法人の中に精神の機能を持たなきゃいけないって、NC精神もありますので、それとは話が違うと思うんですね。
 だから、もしそういった意味で、千葉県の中にそういう機能が残ってほしいんだということであれば、必ずしもナショナルセンターのほうに組み込む必要はなくて、それこそ国立病院機構の中に組み込んだほうが、むしろ自然かなという感じがありますけれども、これについては、厚労省はどのように考えておられるんですか。NC国際に組み込まないといけないということなんでしょうか。
(佐藤課長) もともとは国際医療センターは、主に精神科救急とか精神疾患の身体の合併症などの急性期というふうな位置づけでございまして、精神・神経センターのほうは、同じ精神であっても、うつ病などの慢性期などということで、一応役割を分担しているというふうに私どもは考えています。
 それで、ただ、先ほどちょっと申し上げたのは、平成19年に、これは当時ナショナルセンターが独法化する前のお話でございますが、やっぱり当時、まだナショナルセンターではございませんでしたので、そういう歴史的経緯があって、今精神が残っているということを、ちょっとご説明したかっただけでございます。すみません。
(梅里分科会長代理) そうすると、これからは少し組み換え等も含めて検討されるということですか。
(佐藤課長) そこは、ちょっと検討ですね。あと国立病院機構等もありますので、その辺は、全く検討の余地がないわけではありませんが、よくその辺の状況を把握していかなければいけないというふうには考えますが。
(梅里分科会長代理) はい、ありがとうございます。
 ほかに、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。はい。
 それでは時間の都合もありますので、国立国際医療研究センターについては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 それでは、国立国際医療研究センターの皆様方は、ご退席いただいて、けっこうでございます。どうもありがとうございました。
(法人交代)
(梅里分科会長代理) それでは続きまして、厚生労働省所管の国立精神・神経医療研究センターにつきましてヒアリングを行います。
 国立精神・神経医療研究センターの見直し当初案の主要なポイントにつきまして、ご説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思います。
 全体の関係もありますので、5分程度で、またよろしくお願いしたいと思います。
(福島審議官) それでは、資料1‐1の今度は9ページをご覧いただければと思います。国立精神・神経医療研究センターでございますけれども、全般に関する機能、要は見直し当初案につきましては当初申し上げたとおりでございますけれども、精神・神経医療研究センターの精神疾患・神経疾患あるいは筋疾患・発達障害に対する治療法の研究開発等を行っておるNCでございますし、また、自殺予防対策であるとか規制薬物の評価、あるいは医療観察法の対象者に対する医療の提供等を担当しておるということでございます。
 今後の具体的な取り組みの柱としては、精神・神経疾患の早期発見、あるいはその治療法の開発、画期的な診断方法の確立、そして政策評価・政策提言、そして精神・神経疾患に関する療養医療モデル、これは、病気を持ちながら生活をするというもので、そういう療養モデルの普及、あるいは特に希少疾患・難病関係で言いますと、ネットワークの構築、そのための患者登録の推進等々を考えておりまして。
 具体的には、例えば筋疾患のネットワーク、患者登録システムに変えまして、難病・希少疾患の診断治療方法の数の基盤として、精神・神経疾患等に関する解決医療機関とのネットワーク構築、患者同士の構築、それから、これまで治療法がなかったような疾病、例えば筋ジスの治療薬の開発と、こういうことを取り組んでいくということにしております。
 精神・神経医療研究センターについては、以上でございます。
(梅里分科会長代理) はい、どうもありがとうございました。
 それでは、また私のほうから、研究開発について伺いたいと思うんですけども。
 先ほどと同じように、先進医療の実績について伺いたいんですが。いただいている範囲では実績はないということなんですが、その後、今までの2法人のように、先進医療についての実績は、いかがですか。新たに増えているというようなことは、ございますか。
(各法人担当者) 先進医療につきましては、昨年度まで、光トポグラフィーという形で、中心的に開発をした形で、うつ病の客観的な診断という形でやっておりました。
 この部分につきましては、今年度からの診療報酬改定で、先進医療からまさに一般の保険診療のほうに移っていくと発展的な段階を遂げたということで、いわゆるシーズとして出したものが先進医療として幾つかの医療機関とともに行い、そのデータを保険局に出すという中で診療報酬化したという、そういった1つのストーリーの中でございます。
 現状はそういったところがありまして、現時点で精神医療に該当しているものはやっておりませんけれども、ここではちょっと具体的な事例を言うのは差し控えますけれども、いわゆる今度は精神疾患の治療の関係で、新しい技術について今準備を進めているという、そういう状況でございます。
(梅里分科会長代理) はい、ありがとうございます。
 そういう意味では、先進医療以外にも、いろんな治療のガイドライン等の作成ということもあるかと思うんですが、この辺についての実績は、いかがでしょうか。
(各法人担当者) 私どものところで1つ特徴的なのは、やはり日本全国でやや実績の少ないてんかんの外科的な治療、特に小児の方々についてのてんかんの外科的な治療というのは、やはり、これはナンバー1じゃなくて実はナンバー2なんですけど、そのような形で実績があるというものがございます。
 そのほか、治療につきましては、どちらかというとガイドラインで言いますと、精神疾患も神経疾患につきましても、ある意味では、今エビデンスを作っているといいましょうか。病態解明から治療までというところが、ほかのがんとか循環器に比べると、やはり非常にまだ発展途上というところがあって難しい部分があるわけでございますけれども、そういう中で、例えば標準的な治療というものをやはり作っていこうと。つまり新しいことを一方では開発するんですけど、これはまだ、なかなか道が険しい部分があるんですが、ただ、やはり標準的な治療というのは広めていく必要があるだろうと。
 1つの例とすると、やはりわが国の場合、実態調査をすると、薬の使い方、向精神薬の使い方や睡眠剤の使い方が大きいという、多いということが諸外国と比べたり、一般的な使い方として問題があるだろうと。これについては、私どもの研究機関と、それから例えば日本睡眠学会で合同でガイドラインを作るというような形で、標準的な治療を進めていくというようなところがございます。
 また筋ジストロフィーにつきましても、私どものところでは、ネットワークもありますし登録もありますので、そういった知見からガイドラインをまとめたというようなところがございます。
(梅里分科会長代理) 今の向精神薬等の使用の仕方というものについては、そちらでガイドラインをまとめたということですか。共同してという話でしたけど、まとめたということですか。今やりつつあるという話ですか。
(各法人担当者) こちらは、もうまとめておりまして、2013年に一応公表されておりまして、現在、その普及・啓発活動を様々なものについて行っていると。
 エビデンス作りは、厚生労働省の厚生科学研究費を使って、まず研究を私どもの研究班でやっておりまして、そこと、それを進めるに当たって、やはり広げていかなくてはいけないということで睡眠学会とジョイントをして進めたというような枠組みになってございます。
(梅里分科会長代理) それもまた競争的な研究資金が出てきたんですけれども、もし、その辺のところが国としての役割だということで進めていくことであれば、運営費交付金の中で、そのような研究が進められるという話だと思うんですけど、そうではなくて、独自に研究費申請をして、その中でやってってるということですね。
(各法人担当者) ここは私どもの中では一定の機能の役割分担を、運営費交付金の部分と、それから厚生科学研究費でしております。睡眠につきましては、やはり基盤的なデータを集めなくてはいけないというところがありまして、そういったところの施設運営の部分、実験のデータを取ったり、それを整理したりするというようなところは、もうこれはどうしても運営費交付金の中で考えなくてはいけませんし。
 それから、具体的にどんなことをやってったらいいのかっていうモデル的な仮説を作っていくという、そこの部分はやはり運営費交付金は非常に重要な役割を果たすと。そこである程度、仮説ができてきた場合に競争的資金を獲得して、他施設共同で次のトライアルに入っていくとか、またはデータをより広範に集めていくと、そういったようなことをしているという、そういう考え方でございます。したがって、両方必要だということを申し上げたいということでございます。
(梅里分科会長代理) はい、分かりました。
 医療分野については研究開発推進計画というのが出されていますけれども、この中の精神・神経疾患に対応した研究については、達成目標が示されていますね、2015年、2020年の。それについて、NC精神はどういう役割を期待をして、厚労省として、どういうものについて、その役割を期待しているということなんでしょうか。厚労省のほうで、お答えはいただけますでしょうか。医療戦略推進本部というのが決定した計画というのは。
(各法人担当者) 26年の7月に決定した分でございますね。
(梅里分科会長代理) そうですね、はい。
(各法人担当者) 国連以外の大学とか研究機関との連携を深めまして、多くの治験・臨床研究を実施することとしております。
 特に精神・神経疾患の分野では、筋ジストロフィーの治療薬の開発、それと従来の作用機序とは異なり、かつ成績良好な多発性硬化症の治療薬の開発、アルツハイマー病などの認知症の治療薬開発に向けた治験と臨床研究の実施、客観的評価による統合失調症、うつ病等の診断治療方法の開発などにより、一応、医療分野研究開発推進計画の目標達成に、こういうことをして貢献したいというふうに考えております。
(梅里分科会長代理) はい、ありがとうございます。
 あと認知症についてですけれども、NC長寿のほうでも、当然ですけれども、対象として研究活動をしてると思うんですけれども、これは、NC精神のほうと一体となって進めたほうがよいのではないのかというふうに思いますけど、いかがですか。
(佐藤課長) 私どもとしては、もちろんそのような形で進めていきたいと。私どものほうはやはり、脳神経科学の部分で非常に知見があると。これは遺伝子も含めてだとか、あと、さらには機能面、遺伝子、ひととおりの実績も既に持っておりますので、それを認知症のほうにも広く応用していくというところについては、適切な役割分担を踏まえてやるというのは、まさにそうあっていただきたいと私どもは思っております。
(梅里分科会長代理) はい、ありがとうございます。
 ほかに何かございますでしょうか、委員のほうから。
 はい、じゃあ、石田委員。
(石田委員) 少し前に関連する均てん化についてです。均てん化は、各都道府県にも精神系の中核的な医療機関があると思うんですが、そことの連携というのは、十分に取られていらっしゃるんでしょうか。
(各法人担当者) 今おっしゃられたように、精神科の医療機関につきましては、法律で各県が精神科の医療機関を置くことになっていて、全部は必ずしも置いてないんですけど、まさにそういう医療機関と、今連携を進めていると。特に精神科救急でありますとか、それから精神科の患者さんについて言いますと人権の確保、つまり、どうしても暴れちゃったりするものですから隔離をしたり拘束をしたりするわけですけど、そういったときに対する対応の仕方とか、そういった面につきまして、医療技術それから治療技術という面におきまして連携を図っていくと、こういう形でございます。
(石田委員) これからまだまだ進めていく途上という感覚でとらえてよろしいですか。
(各法人担当者) 感覚としては、まさに途上ということで。
 と申しますのは、やはり各自治体それぞれ、自治体病院はそれぞれプライドと誇りを持っておりますので、やはりそういう中で、どこで何を見出していくかという、そういう枠組みを上手に作らなくてはいけない。
 1つ今モデルになっておりますのは、医療観察法につきましては、私どものところに2個病棟があって、しかも、わが国で第1号で、しかも病棟があって研究所があるということで、そういう中で適切な利用、薬の使い方も含めて、そういったものをやっていたり、お互いがサイトビジットをして学び合うという枠組みをしております。これは観察法の分野だけでございますけれども、そういったようなことの経験も含めて、今後、それ以外の各県のネットワークというものもいろんな形で作っていく必要があるというふうに考えております。
(石田委員) 先ほど睡眠の話もありましたけど、診療のガイドラインの採用件数は、すべてのNCの中で本法人が最も少ないように聞いているんですが、それは事実ですか。そうでもないんですか。
(各法人担当者) これちょっと難しくて、やっぱりエビデンスという形で学会が採用するガイドラインということになると、多分そんなに多くはないというふうに思います。
 ただ、いわゆる診療や診断の標準化とかそういった面では、様々なマニュアルや、そういう意味でのガイドラインというのは、こちらのほうでかなり作っております。
 例えば認知行動療法の進め方ですとか、さらには、薬物依存の方々に対するいわゆる心理的・精神的ケアの進め方とか、そういった形のものは作っておりまして。これは、いわゆる診療報酬で推奨されたりとか、または、私どものほうでやっております様々な技術研修の中で広めていく。
 また、先ほどの薬物依存の方についての問題、これはどうなるか分かりませんけど、来年度の政府の予算要求の中で、そういったものを広めるためのモデル事業を進めるというようなことが予算要求の中ではされていると、そういう状況にございます。
(石田委員) ガイドラインの採用の件数が少ないということは、結局、均てん化の中で、NCが日本の中核、ほかの精神の病院の中でリーダーとしての役割を果たしきれてないのではないか。
 先ほどの話でも、各病院はプライドを持っているので、なかなかそこが難しいんですよというお話がありました。だからこそNCは、もっと旗を振ってやっていただかないと、NCとして研究開発法人としての役割が担えないんじゃないのかという危惧がありますので、ぜひ、そこは進めていただきたいということと。
 あともう1つ、先ほどFirst in humanについて質問をさせていただいたんですが、今回このレジュメのほうにも、First in human試験をはじめとしたというふうに書いてありますが、First in humanの実績を、ここ10年で何件ぐらいおやりになってらっしゃるんでしょうか。
(各法人担当者) ちょっと数っていう形ではあれですが、1つは筋ジストロフィーの関係で、これは一種の遺伝子療法なんですけど、どの遺伝子をスキップする方法、要するにおかしなところをつぶしていって、全体としては、よりいい形を作るっていうそういう治療法なんですが、そういう形のものを幾つかやっております。このものについては、First in humanだけではなくて、こちらはFirst in humanになると。
 もう1つは、多発性硬化症という、これも神経難病があるんですけれども、神経のなかなか難しい疾患があるわけです。こちらのほうにつきましても、同じようにFirst in humanを既にこれ何年かに実施をしてございまして、具体的には、こちらのほうはいわゆる治験の第II層のほうに、こっちのほうがなっていると。つまり、いわゆる谷は越えて治験のほうに新しいものが入っていくというところに今年度から入ってきているという、そういう状況にございます。
 件数については、First in humanの場合はやはりリスクがありますので、1回当たり少ない件数で、多くて数例。OCHという多発性硬化症のもので今進行中のものもありますけれども、こちらのほうは確か、今は2例で様子を見ていたというふうに記憶しております。そういった中で有害事象などがあった場合には、もう1回、治験委員会にかけて、そういう中で、そのまま進めるのか、プロトコルを少し変えるのかというようなことを、現にこの2か月3か月ぐらいのとこで、実際そういう事例に当たっておりますので、まさに、いろいろやっているということで。
 数については、ちょっと今、手元にないので、申し訳ございません。
(阿部臨時委員) 人材育成の話をさせてください。
 これNC6法すべてそうなんですけれども、NC精神・神経はレジデントやさらに専門修練医という方を受け入れて研修をしてらっしゃいますが、もう一段レベルアップをして、こういう方々よりさらに高度な医師を対象にして研修を行うということがあるんですけれども、もし行っていらっしゃるとしたら、どういう方を、どういう医師を対象にして、どういった研修を行っているかという具体的なことをお話しいただけますでしょうか。
(各法人担当者) あんまり臨床現場に詳しく正直ないものですからあれですけれども。
 例えばつい最近の例ですと、いわゆる精神疾患の方について言いますと、認知機能といいまして記憶とか判断というのは落ちるんですけど、それをどうやって状態をアセスメントして向上させるかというようなことを、私どものほうの副院長、もともとは鳥取大学病院の精神科の教授ですけど、そういう方が中心になって、そういうところの技術研修をしようというような形で。これは、ちょうどこの前の三連休を使ってやったりとか、そのような形で、いろいろと個々のレベルではやっております。
 それで、そのほか先ほど申し上げましたけれども、光トポグラフィーにつきましては、これは、診療報酬でそれを算定するに当たっては、当センターの研修を受けることが一応1つの要件になってるというような形で行政と直接結びついているもの。
 それからあと、先ほど申し上げましたけど、認知行動療法につきましては、いわゆるトレーナーズトレーニングというんですか、いわゆるスーパーバイザーをきちっと作ると。日本には、そもそもそういう人がいなかった。数年前にこのものを導入したときに、日本には、指導的なことができる人というか、アメリカなりイギリスで資格を取った人というのは数名しかいなかったということがありまして、そういったまず指導者を養成しようということで、ここも今、30名ぐらいにやっと増えてきたんですけど、そういったこともしたりということをさせていただいております。
 それから医療観察法でいきますと、ほんとはそんなに怖くないんですけど、やっぱり意味合いからすると重大、6罪種といって殺人とか強姦とかをやった人たちということで、何か起こってはいけないということで、これはお医者さんだけではないんですけど、看護師も含めて、要するに暴力的なことが起こりそうなときに、また起こったときに、どのように対応するのかという非常にプラクティカルな研修などもさせていただいてます。
 また遺伝の関係では、これはお医者さんと、あとカウンセラーと両方あるんですけど、やっぱり今、巷では遺伝子診断の話が非常に出てますけれども、神経や精神の病気について遺伝子の判断をするというときに、事前の説明そして事後の対応、そういったことについて、どのようにやったらいいのかというようなところもトレーニングして進めさせていただいていて、これも年間一定数の修了者を出していると、そういう状況です。
(阿部臨時委員) ある程度の数がいらっしゃるということで非常に安心というか、よかったなと思うんですけども、そういう方々というのは、何かこちら側から、NCのほうから、そういった研修を受け入れるというようなことをアナウンスして、広報してらっしゃるんでしょうか。それとも、各病院なり各個人のお医者様がそういうアクセスをなさって、そういう訓練を受けられてるんでしょうか。その辺の仕組みは、どうなってるんでしょうか。
(各法人担当者) 基本的には、プログラムを示して期間も示して広報しているという、そういう形になります。
(阿部臨時委員) それからもう1つ、最先端のそういった医療を提供すると同時に、今のような形で研修をなさって、その研修をされた方々がまた戻られて、そういう意味ではNC精神・神経の医療のシステムを、また元の全国の現場に戻すという普及というのも非常に大切だと思うんですけども、その辺の実績は、おありになるんでしょうか。
(各法人担当者) 普及の一番端的なものは、位置的な担保の課題はあるにしても、例えば精神医療現場での認知行動療法、これは言葉も広まりましたし、大体今ある程度の医療機関で、それをうたっていないところはないと。
 ただ、問題は質の問題もありまして、きちっとトレーニングを受けた人以外の人も、いろいろやってるということで、そこは次の課題ではあるんですけれども、ここでの取り組みというものが引き金になって、いわゆる薬物療法に偏重しているのではないかというような日本の医療そのものの在り方、精神医療の在り方については一石を投じている部分もあるんではないかなというふうに思っています。
(阿部臨時委員) もう1つ、今後のことをお聞きしたいんですけども。
 今のようなことを、さらにもっとプロモートして、よりNCの役割、この法人の役割を進めようとしたら、どういったことが課題になるんでしょうか。
(各法人担当者) やはり精神疾患も神経疾患もそうなんですけど、冒頭申し上げましたように、まだ、いわゆる客観的な指標を持っていろいろ診断する、治療するというところに非常に弱い部分がございます。
 そういう意味で、今回の健康医療戦略の中でも、例えば診断にしても、客観的な統合失調症やうつ病の診断をしましょうと。それについて、例えば2015年までに、バイオマーカーを一応目安となるものを出しましょうとか、そういったようなことをやっていて。
 患者さんにとって、または医療提供者にとって、自信を持って安心してできるという意味においては、やはり治療や診断に向けてのエビデンスを高めていく、そういった、いわゆる基礎から臨床につながっていくそういった研究というものを、1つはさらに充実させていく必要があるというふうに考えております。
 併せて、やはりそれが普及するためには、どうしても社会的なメカニズムの中でどう広げるかという話になりますので、そちらのほうの社会的に広げていく部分をどうやって作っていくのかとか、そういった仕組みのほうの研究も、同時に必要なのかなというふうに思っています。
(阿部臨時委員) その中で多分、厚労省の方にお聞きしたいことは、さっきのように普及をするとところは、やっぱり何らかの仕組みを作らなければいけないと思うんですが、その辺のお考えは、ありますでしょうか。
(福島審議官) これは精神に限らない話でありますけれども、いろんな領域の研修そのものを厚生労働省の補助金を使って実施をするというようなことも、各担当課例えば精神であれば精神・障害保健課がありますし、がんであれば、がん・健康増進課、それぞれの所管課の中で、そういう事業を参加してやっていくと、そういうことが必要であると思いますし、国に1か所でやっても、実際それを広げていくことが大事ですので、それを今度はそれぞれの地域に持ち帰っていただいて、それを広げていただくものの仕組み、マニュアルもそうですし研修もそうですし、マニュアルができても、それができる人を作るための研修ですし、それを実践するためのいろんなトレーニング、実際受け入れのトレーニングも含めて、いろんな仕組みを考えていかなければいけないということは、それぞれ原課、担当課は考えておりまして、それぞれやっておりますので、またNCと連携を取りながら、NCでやってもらう研修をどうするのかということについても、予算化するに当たっては、いろいろ話合いをしながら進めておりますので、今後とも進めてまいりたいと思います。
(柳澤臨時委員) すみません。じゃあ、全然ちょっと視点が違うんですけども、税務内容の話をちょっとさせていただきますと。
 純資産は潤沢であるようなんですけれども、毎年、損益が赤字だということで。
 この赤字というのは、事業モデルそのものが、もうこれ以上黒字にならないモデルなのか、まだまだ経営の効率化を図っていけば、これが黒字になっていくのか、黒字というか、収支均衡していくのか、それとも、今は過渡期で、これで多分何年後には、これはもう既にストラクチャーを変えて均衡にしていく予定なのか。その辺の見込みも含めて、この解消について、どう考えるのか、ちょっとお聞かせいただければと思います。
(各法人担当者) はい、ありがとうございます。
 ご覧いただきますと、いわゆる異業種につきましては何とか均衡、この2年持ってきているというところになっておりますが、経常収益、経常的な部分で見ますと、まだ基本的には100%になってないと。
 今まで医療収益のところで、やはりどれだけ頑張れるかというところで、高い、いわゆる診療報酬が取れるそういった枠組みのほうに順次1つは移行してまいりました。例えば、先ほどもありましたが、私どもの医療機関は、どちらかというと過去には、慢性的な対応が多かったわけですが、やはり新しい医療というふうに考えていくと、短い期間できちっと治療して地域に帰して、そこで対応すると。そういった意味で、精神科救急のベッドを増やすとか、平均在院日数は40日未満の形での報酬算定を取る。これもなかなか大変なんですけど、そういう形で、今できる範囲のところは、かなりやってきているというところでございます。
 一方、そういうふうにやっていきますと、病床利用率の問題がどうしても出てまいりまして、今、取れる算定については、ほぼアッパーリミット来たかなという部分はあるんですけれども、現在は、今年度につきましては、とにかく病床利用率、患者さんにより多くきちっとおいでいただこうという形で努力を重ねているところでございます。
 そういった実績を見ながら、あとは、やはり精神・神経の分野は、ほかの分野と比べると、報酬の基本的な単価が残念ながら低うございまして、そういった意味で利益も出しにくい部分があるわけですけれども、現時点での制約の中でどれだけ頑張れるかというところで、今、果敢に挑戦をしているところということでございます。
 現時点での赤字の主な要因といいますのは、いわゆる平成22年度に病棟が新築されまして、その部分の減価償却分というものが、どうしてもかかってきてしまっているというところでございます。そういった意味では、収益を上げつつ、まだ合理化できる部分もあるということで、今年度はとにかく、そこの部分を最大限努力している最中ということでございます。
(梅里分科会長代理) はい。ほかに何か、ご質問はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 先ほど、学会採用以外のいろいろガイドライン的なものは、けっこうたくさん作っておられるという話があったんですけど、これの実績を、後ほどでけっこうですので、いただけますでしょうか。
 それと、そういうものを作ったときに、それをいろいろ研修するとか、どういう形で普及してるかって、先ほどありましたけど、それに関連したような研修会等の実績、この辺のところについても、もしありましたら、後ほどでけっこうですので、いただければと思います。
 大体よろしゅうございましょうか。
 それでは、時間の都合もありますので、国立精神・神経医療研究センターについては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 それでは、国立精神・神経医療研究センターの皆様方は、ご退席いただいてけっこうでございます。どうもありがとうございました。
(法人交代)
(梅里分科会長代理) 3法人が終わったので、ここでちょっと休憩を挟みたいと思います。10分程度ということですから40分からということで、14時40分から、国立成育医療研究センターのヒアリングを始めたいと思います。よろしくお願いいたします。
(休憩)
(梅里分科会長代理) はい、よろしゅうございましょうか。
 それでは、厚生労働省所管の国立成育医療研究センターにつきまして、ヒアリングを始めさせていただきたいと思います。
 国立成育医療研究センターの見直し当初案の主要なポイントにつきまして、ご説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思います。
 全体の時間の関係もありますので、5分程度でよろしくお願いいたします。
(福島審議官) それでは、資料1‐1の10ページをお開きいただきたいと思います。
 国立成育医療研究センターでございますけれども、ここは、1番目にありますように、次世代の健康における課題を解決するための新しい治療法の研究開発、あるいは高度先駆的医療の提供・普及と、それから成育医療全般に対するチーム医療や地域ケアを見通した在宅推進のための医療モデルの確立、そして3番目として、健康・医療戦略推進本部の掲げた目標を達成するための治験・臨床研究を確実に実施する体制整備ということに取り組んでおります。
 具体的取り組みとしましては、今申し上げたように、成育疾患に関する早期診断・治療法の開発、医薬品・医療機器の開発、高度先駆的な治療法の開発・提供、そしてガイドラインの作成・改訂、そして患者等が参加する形での医療モデルの開発・推進、さらには小児専門病院等とのネットワークの構築ということ、さらに成育医療を担うリーダー的人材を育成するということ等を行っております。
 例えば具体的取り組みとしては、大学等の研究機関との連携を深めまして、消化管のアレルギーなどの難治性の成育疾患の発症予防法・診断法の確立であるとか、あるいは、小児成育疾患を対象とした患者登録システムを構築するほか、小児のための治験のネットワークの確立を図るということを、今後取り組んでいこうということで考えておるところでございます。
 成育医療研究センターについては、以上でございます。
(梅里分科会長代理) はい、ありがとうございました。
 それでは、ただいまご説明いただきました国立成育医療研究センターの見直し当初案につきまして、質問などございましたら、どなたからでも、けっこうでございます。
 じゃあ、阿部委員よろしくお願いします。
(阿部臨時委員) では、研究開発についてお伺いします。
 先ほど、具体的な厚労省側のNC成育に対する目標あるいは重点的に取り組んでいただきたい研究あるいは開発ということがございましたが、少し具体的にその辺のところを、選択と集中型だと思うんですけれども、優先順位の高いところからお話しいただければと思います。
(各法人担当者) はい。私どものセンターは再生医療の拠点として位置づけられておりますので、たくさんのことを行っておりますが。
 例えばヒトのES細胞、これは京都大学に次いで、わが国で2番目に認可されているES細胞の拠点になっておりまして、実際に異種成分をほとんど使わない、医療用にそのまま使えるクオリティの高いES細胞を7株、7種類のES細胞を樹立しております。
 そして、これはまだ平成27年度末を予定しておりますが、先天性の肝臓病の患者さんに対して、ヒトES細胞から樹立した肝臓細胞の製品を作りました。これはFirst in humanということになるんですが、そういうことを現在計画いたしまして、PMDAなどとともに、その規制方法等について検討して、安全な方法で実施すべく現在努力しておるところでございます。それが一番最重点の研究課題ということでございます。
(阿部臨時委員) 今のお話は、かなりこれは基礎、もちろん最終的にはFirst in humanということで小児を対象にした研究あるいは治療というところに結びつくものでございますが、割とベーシックな研究が多いように思いますが、こういった表裏一体だと思いますけども、基礎研究と臨床研究の割合というか、どういったふうに共同で、そこをシームレスな形で発展しようというふうになさってきたのかをお考えを聞かさせていただければ。
(各法人担当者) 基礎研究といいましても、理化学研究所などでやっておられるようなそういう基礎研究ではございます。必ず出口を臨床応用を見据えた、そういう基礎研究を行ってまいりましたので、パーセンテージと言われても、シームレスでございますので、なかなか答えにくいところはあります。
 純粋な臨床研究といたしましては、例えばエビデンスレベルが一番高いと言われておりますシステマティックレビュー、体系的レビューですね、これに関しては、世界的な拠点でありますコクランライブラリーのアジアの拠点、これは日本で初めて拠点になっておりますし、『ランセット』という臨床の医学雑誌にも毎年数編、そういう論文を掲載しておりまして、これは、すぐに臨床応用できる非常に高いレベルのエビデンスでございます。
 そのほかにも臨床研究の介入試験ですね、これもまたレベルの高い介入試験ですが、それに関しても、毎年数本の論文を掲載しておりますので、臨床研究としても、かなりレベルの高い雑誌に掲載してる実績はございます。
(阿部臨時委員) 実績がそういう形で見えているということでございますが、例えば、これを支える運営費交付金とか、あるいは競争的資金というようなものは、どういった形でそういう研究費に、分配というのは、ちょっと言い方が悪いんですけども、運営してらっしゃるんでしょうか。
(各法人担当者) 例えば、成育研究の下支えになります成育出生コホート研究というのがありまして、成育センターで毎年2000名のお子様が生まれるわけですが、その方全員を対象に様々な検査項目、検査を実施して、それは出生コホートなんですが、それをもう11年続けております。
 こういう研究に関しては、すぐに実績が出るものでございませんので、なかなか、ほかの競争的資金を得にくいということもございますので、こういうものに関しては、インハウス研究費で支援してると。そういうコホート研究で得られたデータ、これはエビデンスレベルとしてはそんなに高くないわけですので、それを証明するために臨床研究を行うと。そういうものに関しては、比較的、厚労科研等で競争的資金を得やすいものですから、そちらのほうで、これはしていただくと。大まかな方針としては、そういうことでございます。
(阿部臨時委員) はい。次は、NC成育は小児治験ネットワークの事務局となってらっしゃいますが、この治験実施件数というのは、ほかのNCに比べると、かなりその実績数が少ないというか低いんですけども、その辺は、何かご説明いただけますか。
(各法人担当者) 私のほうからご説明を申し上げます。
 1つ大きな点は、やはり1つは剤形というものがございます。いわゆる子供用としては、どうしても錠剤というのが飲ませることができませんので、1つは粉薬を製薬会社に作っていただかないと、あとシロップとして作っていただかないと、子供には治験がなかなかできないということがございます。
 ただ、いわゆる成人にここでは使われるんですけども、それがあとはただ成人の使っている錠剤を今度はつぶして使っていいのかどうかという今度は安全性、効果においても持続性においても再検討しないと、子供たちは使いづらいところがある。そういうことで、剤形でなかなか小児に持って行くことが最初からしにくいということがございます。
 もう1つ。あとは、どうしても、これは製薬会社のご都合もあるんですが、やはりマーケットが大変小さいので、最後は、やはり腰が引けてしまう。製薬会社は自分たちでは、要は医師主導治験としてやってくださいということ、ほんとは製薬会社はご希望が強いみたいなんですが、会社主導としてはなかなか、マーケットが小さいので、例えば年間発生患者数が100名とかという患者さんだと、なかなかしづらいということがございまして、そこで、なかなか成人に比べて、依頼治験数がなかなか増えないということがございまして、そういう理由から、将来とも、じゃあ増えますかと聞かれた場合は、なかなかどうかなというところが正直なところです。
(阿部臨時委員) 今のご説明は、技術的な面と、それからマーケットというところでバックアップという体制だと思うんですけども、ただやはり小児、子供っていうのは将来の国の活力のもとでございますので、やっぱりそういうところにどうやってお金を付けて、この研究をするかというのも、1つ在り方として今後ご検討いただくべきことじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
(各法人担当者) ですので、私どもは医師主導治験、企業主導治験どちらも活性化したいということで、まず企業側のものに立ってみれば、製剤ということがございます。今度、私どもの臨床研究センターでは、製剤というものを私どもが自ら何とかやって製剤を作り直して、それでもってやっていけないかということで1つ今プロジェクトを立ち上げております。
 それはもう1つ、あとは企業側にとって、珍しい疾患におきますと、全国どこにどの患者さんがいるかということを調べ上げて、その患者さんがどこの病院で診てるかということを最初から調べないと分からないという労力に人件費を割くわけですけども、小児治験ネットワークは、全国すべての小児病院と100床以上を有する大学病院をほぼカバーしている団体で協力してくださいというところでもって、今現在、小児の病床数、全国全部合わせると5000床あまりを有するバーチャルなものをカバーしております。そこで、この病気の患者さんはどこの施設に何人いますかということも今すぐに分かるシステムを整えておりますので、もし企業の方がそういう、やりたいということになった場合は、こちらの事務局に来ていただければ、もう1週間以内に、この患者さんはどの病院で何を診てますということが分かるようにシステムを整えておりますので、何とか企業が治験に参加しやすくて、いわゆる安価にできる体制を整えたいと思っています。
 医師主導治験は、ちょっとこれはまた医師個人のものなので、そこは何とかデータマネジメントとかいうものと、さっき言いましたように、そういうものを含めて、こちらのすべてがバックアップするということで対処したいと思っています。
 以上です。
(阿部臨時委員) はい。それから、やはりNC6法人全部なんですけども、先進医療というのが、これ求められていると思うんですね。
 成育の場合は、先進医療っていうものが実績が25年まで1件だという報告をいただいているんですけれども、そごがあったのかもしれませんし、実際は治験に近いものがあったのかもしれませんし、その辺の具体的な推移なり現状なりをお話しいただけますでしょうか。
(各法人担当者) 確かに、先進医療としては、EBウイルスというものに関するものが1つしか実はございません。あとは、主導ではなくって参加してる先進医療としては、母体の赤ちゃん、胎児の赤ちゃんが不整脈を起こした場合に、母体経由で不整脈が起きるというそういうのはあることは。ただ参加しただけですので、現実にやったのは確かに1つでございます。
 どういうものに先進医療を持って行くかというところが、いろいろうちのセンターでも議論してるのでございますが、なかなか正直、そこまで見合ったものが現実にないものが現実でございまして、海外のCPOを見ても進歩を見ても、なかなか現在としてそれを応用することができるものが現にございません。
 ただ、それに近いものとしましては、頭の変形でもともと生まれてくる子がいるんですが、それを手術をしないで治すと、ヘルメットを使うと。それを最初に実施する治験、それ先進医療に持ってこうと思ったんですが、そこまでしなくても、医師主導治験に持って行けるんじゃないかということで、これは医師主導治験に持って行ったりとか。
 あとは、再生された皮膚を青あざ、昔のいわゆる大きなあざですが、これに対して治療を行うということも、ちょっと考えたんですが、なかなか先進医療まで持っていくことが行きづらい。それは医師主導治験でやってしまったんですけど、当然だと。
 だから、ちょっとそこら辺は努力しないと、もっとも努力していくつもりでございますが、何とか頑張りたいと思います。
(阿部臨時委員) はい。やはりNCのミッションの1つは先進医療を行うというところがございますので、ぜひ、その辺をご検討いただきたいと思います。
 それから最後に1つ、私のほうからは、これ小児を対象にしてるんですけども、例えばがんにしても、あるいは精神的な面にしても、ほかの独法ともオーバーラップするような医療の領域があると思うんですけども、その辺の具体的な協力体制というか、そういうものはございますか。例えば小児がんだったら国立がんセンターがございますし、それから先ほどの精神的なものだったらば、さっきの精神・神経といったようなNCもございますので、子供に限ったこういった疾病に関して、医療に関しては、ほかの他者の独法ともクロストークして、いろいろ対処されたらいいかなと思うんですけど、具体的に共同関係って。
(各法人担当者) まず1つは、小児がんに関しては、これは厚労省のご指導のもとで小児がん拠点病院というものがございまして、それでもって各全国で小児がん拠点病院と、その中で、そういう議論がありました。
 そこでがん研究センターとは、一応総長同士でいろいろ話合いを持ちまして、実際の医療はこちらで行うと、小児がんにおいては。ただ、国立がん研究センターは今までの歴史上、いろんなデータベースとかの維持とか、それに関してはすごくやはりトップでございますので、そっちの事務局機能とかデータベースの機能とかいうものは、がん研究センターのほうで、今までどおりやっていただいて、具体的な診療とかプロトコルに寄与する診療というものは、主に国立成育のほうでやっていくという方向で、これはがん研究センターのほうで同意しておりますし、今でも、その方向で一緒に活動しております。
 あとは心に関しては、子供の心に関しては、なかなか、これもいわゆる成人、子供、いわゆるADHDとか自閉症とか、あとはそのほかの発達障害となりますと、多分主にやっておりますのは、私どもの成育のほうではないかと思っています、中心が。
 ですので、全国から私どものところの診療に、研修に来たいというお医者さんの依頼が殺到しておりますが、それにこたえきれてないというところでございます。
 そのほかの疾患もございますけれども、やはり、それほどとは、あまりオーバーラップしてない。
(阿部臨時委員) ご承知のように、将来的には6つの独法がまとまるというような方向性もございますので、さらに相乗的に研究開発ができることを期待しております。
(柳澤臨時委員) すみません。ちょっと同じような話になるかもしれませんけど、これは均てん化とか人材育成とか全部につながる話だと思うんですが、私の知り合いが、たまたま千葉に住んでる知人が、まさに成育のほうに子供を連れてこないだ行ったんですね。もちろんちょっとプライベートだから、どんな病気かっていうのは知りませんけれども、要は、そこしかないということなんですね。
 ですから、結局、東京、千葉含めても、そこしかないとなると、成育的な医療を受ける、受診する機会というものが、極めてこの分野って限られてるんではないか。要するに、難しい分野だから、一般の病院ではなかなかできない。
 それから、大学病院でも国立病院でもあるんだと思うんですけど、そこはやっぱり、そちらに行かないとということがあるということは、まだまだ均てん化なり人材育成なりというのが十分しづらい分野なんじゃないかなということは直感的に思うんですね。
 であるならば、これは政策提言の話の中で国策としてどうするんだっていうことを、むしろセンターが言っていかないと、多分、成育医療センターが1人頑張っても、なかなかそれはうまくいく話ではないんじゃないかなっていうようなことを実感として思っているんですが、いかがでしょうか。
(各法人担当者) 均てん化と拠点化ということだと思いますが、小児医療に関しては、私どもの考えとしては、まず世界と渡り合っていく医療を国民に供給するには、まず正直、拠点化がまだ遅れてると思っております。というのは、1疾患100人しかいないとか50人しかいないとかっていう病気がたくさんまだあって、まだ診断にも至らないときもたくさんあります。そうすると、やはりどこかで診断して、どこかできちんとそういう方針を立てるのは、外科系も含めて、やっぱり症例数の蓄積が必要なところがあります。
 ということで、まだそこら辺は手探りのところもあります。
 あと、重症な患者さん、あとは治療にすごく手間がかかる場合は、医師、1つのチームに十何人のチームという人は提供しております。
 搬送にも力を入れてます。多分、千葉だと、うちから搬送チームが行ってます。何か問題あれば、すべての分野の専門家がそこの患者1人に集中して行うという体制を取ってる。結構延人数大きな人数の小児科は、そこに集中して命を助けるということになります。それを各都道府県の病院がどこに求めるかって、なかなか難しいのではないか。
 ただ、行えるのは、症状が安定化してならば、すぐに各地域の病院にお返しをして、普通のもうフォローは各地域で行っていただく。何か問題があればご相談いただくということで、特に連携だろうと思います。ある一部では、私どもが頑張りましょうと。ただ、それは一部であって、地域の先生方に、ここはこういうことをやれば絶対大丈夫ですということの情報提供、そういう意味での均てん化というのは、今後しなくちゃいけないだろうと思っております。
(柳澤臨時委員) まさに今おっしゃったことを、NCとしてやっぱりリーダーシップを発揮していただいて政策に結びつけていくような取り組みが必要なんじゃないかなと思います。ありがとうございました。
(梅里分科会長代理) はい、いいですか。
 先ほど、小児の疾患を指定すると、もう全国どこの病院にどれだけの患者さんがおられるかというのは、すぐに分かるんだと。これは、登録がもうほぼできているということですか。登録システムは、できていて。
(各法人担当者) 登録されてるのではなくて、一応ネットワークを組んでますので、今度、ある企業がこのような病気に対して治療を行いたいんだというご希望があったんですが、加盟されてる先生方の病院では、この病気で患者さんは何人いますかというアンケートを取ります。
(梅里分科会長代理) そうですか。それで、システムに症例登録ができているということではないんですね。
(各法人担当者) そういうことはしません。情報はもらっておりません。
(梅里分科会長代理) 先ほど、患者登録のシステム等というのは、これから考えたいということだったんでしょうか。
(各法人担当者) そうです。
(梅里分科会長代理) ちょっと関連でもないのかなとは思いますけれども、確か、バイオバンクの事業関係で、成育の登録実績が、ほかのセンターに比べると少ないように見えたんですけれども、何か小児ということで、そういう関係があるのか、いかがでしょうかね。
(各法人担当者) 成育のバイオバンクの特徴なんですが、希少難病、希少疾患を主な対象にしております。
 といいますのは、ありふれた病気等は、ほかのナショナルセンターで実施されておりますし、実際、希少難病といいましても、希少な疾患のみを標的とした遺伝子が見つかるということではなくて、その遺伝子というのは非常に機能的に変動しやすい遺伝子が見つかることが多くて、ほかの疾患の治療薬の開発にも役に立つということが最近分かってきておりますので、そういう意味も含めまして、成育で特にネットワークを通じて多くの患者さん、多くの患者さんといいましても、それほど多くはありませんが、集まります希少疾患を主な対象としております。
 そういうことで、サンプルのクオリティは非常に高いんですが、検体数として横並びに比較されますと、非常に少なく見えてしまいます。
(梅里分科会長代理) はい、分かりました。
 これは成育だけの問題ではないんですけれども、バイオバンクについてナショナルセンター以外に、例えば国立病院機構のところからとか、そのほかからも登録を促していくようなっていうのは、厚労省のほうでは、どのように考えておられるんでしょうか。
(江野補佐) バイオバンクに関しましては、基本的には患者様の治療等で採血された血液の残りであるとか、それから手術等で出てきた組織体、そういったものを、事前に十分なご説明をして、これが将来の医学研究のために使わせていただくというようなことで匿名化して使わせていただくというような説明をして、それをさらに生体試料のバンク、いわゆる冷凍状態というか、組織として後に使えるような形で保存すると、そういう事業でございますけれども。
 これを例えば今6NCそれぞれで、それぞれの領域ごとに行っているわけですけれども、例えば国立病院で、じゃあこれをやりますというような話になりますと、やはりまたその患者さんに説明をするスタッフであるとか、その組織を保管する、それから今のバンクがNCにございますので、そちらのほうに搬送する、そういったもろもろの手当てがやはり必要になってきてしまいますので、現時点で予算的な措置等がまだされてございませんので、そういった他の医療機関から生体組織をいただくというようなことは、今の時点では事業の中には入ってございません。
(梅里分科会長代理) どれだけの試験導入して資本投下をして、どういう成果に結びつけていくかというような話だと思うんですけれども、今のお話は、それをやる価値がないということなんでしょうか。
(江野補佐) いえ、そういうことでは、もちろんございませんで。今の例えば運営費交付金の中で、実際にNCの運営費交付金として行っている場合の事業と、国立病院となりますと、また別の予算的な。
(梅里分科会長代理) 予算的な枠組みも考えなければいけないということですか。
(江野補佐) ええ、考える必要がございますので、拡大については、今度のまた検討課題というふうには考えてございます。
(梅里分科会長代理) 今のバイオバンクを、逆に活用のほうはいかがですか。バイオリソースの分譲についてとか、いろんな研究機関からの要請に応じて、それを活用できるようにする、そういったようなものの計画、スケジュール、その辺については、いかがですか。
(江野補佐) はい。バイオバンク自体につきましては、平成23年度以降、開始している、開始というか、したわけでございますけれども、昨年の11月に、それぞれのナショナルセンターにおいて保管をしております生体試料について、いわゆるカタログ情報、患者さんの性別であるとか、どういった疾患でどうなった組織なのかと、血液なのかDNAなのかというような情報を1つにまとめまして、これは国際医療センターのほうで、いわゆるセントラルバンクというふうに申しておりますけれども、そちらのほうに情報を集約をさせていただきまして、特に外部にこういった数万検体のバイオバンクがありますよということをお知らせすることを開始をしたわけですけれども。
 それ以前ですと、大体50件、五、六十件程度の例えば共同研究の申し入れというような形になったんですけれども、半年ほどで160件近くまで、例えばアカデミアであるとか企業も含みますけれども、共同研究の申し入れがあり、そういった形で保管をしております生体試料について、分譲という、お渡しするということではなくて共同研究という形ではありますけれども、大変活発に活用されているというような状況でございます。
(梅里分科会長代理) はい、ありがとうございます。
 ほかに何か。
(石田委員) すみません。ちょっと見当違いの質問かもしれないんですが。
 先ほど、出生コホートのお話があって、年間に2000人、お子様が誕生しているということ。その2000人は、こちらのセンターで年間2000人。それは、ほとんどが正常分娩ですか。
(各法人担当者) 正常分娩では、昨年度だと2014件についての分娩、2100件の分娩数がありましたが、約7割がハイリスク分娩です。残念ながら、正常分娩を受けたほうが、ほんとは私どもも財政的には助かるんですが、全く少ない。7割ちょっとはハイリスク、あとは母体のハイリスク+異常胎児がございます。
 ただ、生まれてきた、ほぼ生まれてくる患者さんが毎年2000例ということです。
(石田委員) そうすると、よそのところから、ハイリスクだからこちらにという形で紹介されていらっしゃるのが、2100の内の7割あるということですね。
 最後に1つだけ。やはりナショナルセンターとして今度、研究開発法人になるわけですから、私たちが一番知りたいのは、今のセンターは日本で1番なんですかと。医療の提供それから研究開発について胸を張って1番と言えますかっていうことを、ちょっとお伺いしたいんですが。その辺いかがでしょうか。
(各法人担当者) では医療から、総合力では1番です。うちでできないものは、まずないです。日本でやってる医療法は全部。かつ、すべての診療科の専門医をそろえておりますので、どのような複雑合併危険が来ても耐えられるようにです。研究に関しましても、いろいろなスペシャリティーなんですが、そのスペシャリティーによっては、世界一なものが幾つかございます。世界初めてのそういう成果もたくさん出してます。平均して日本一だと思います。
(石田委員) はい、ありがとうございました。
(岡本臨時委員) すみません、1ついいですか。
(梅里分科会長代理) はい、どうぞ。
(岡本臨時委員) 私、担当ではないんですけど、6月27日の金曜日に、縁があって御センターで講演をさせていただいたんです。講演の内容は特段質問に関係ないんですけど、研究開発法人に関する講演をさせていただいたんですけどね。
 ちょっと気になる発言が、講演が終わってから、聴講された方は多分、お医者さんか事務の方かよく分からないんですけど、両方いらっしゃったので。現場に無力感みたいなのが漂ってるっておっしゃるんですよ。私は、研究開発いいもんですよということを説明したつもりなんですけど、いやいや、そんなふうにはならないんですよ、現場においてはと、おっしゃるんですね。
 どういうことですかというふうに聞いてみたら、2つぐらい言われて。1つは、組織がコロコロ変わるという話。それと、研究開発の制度が現場と乖離があるような、ちょっと全部、理解はできなかったんですけど。
 確かに私の講演の内容が悪かったのかもしれませんが、聞いておられる方が、けっこうしらけた雰囲気だなって私も思ったんですよ。ちょっと気になったので、今おっしゃってるようなことを全然否定するつもりは全くないんですけど、そういう最先端の研究なり臨床をやっていらっしゃる先生方から、さあ、やってやろうというような、あるいは事務の方から、やっていらっしゃるような雰囲気が漂ってこないんです、正直、そのときに受けた印象は。
 これは私の見方が間違ってますかね。せっかく新たに研究開発法人に乗り出そうとされていて、変わっていると言うと、いや、何も変わらないんですよというような感じのことを言われました。それは、ある1人の人が言っただけなのか、成育医療センターの現場の方に蔓延してるのか、むしろ蔓延してたら非常に困るんですけど、いかがですか。特にセンターから来ていらっしゃる何人かの方、お医者さんなのか事務の方か、よく分からないんですけど。ちょっともし間違ったら、ぜひ、そんなことありませんと言っていただきたいんですが。
(各法人担当者) 僕は全部、正直に答えます。
 臨床研究をとにかく頑張ろうって、子供のためにいわゆる頑張れるのは、うちしかない、全国の小児病院をまとめていけるのもうちしかないということで、いろいろシステムを、体制を作ってるところ。
 ただ、現場の医師にとっては僕も、現場の医師はものすごく毎日毎日を過ごすだけで大変な状況なんです、正直。毎日重症な子が来て、それでもって、今日明日どうするということの医療ということでやってるので、さあ、頑張ろう、別な臨床研究を、みんなで日本をまとめて頑張ろうと言われても、ちょっと今俺たち臨床だけで、この子を助けるだけで手一杯だというふうな。だから、何かもう少しシステムを、急に言われてもというところは、確かにあるとは僕も感じてます。
 ただ、私どもは今年の4月から、例えば若手の医師あとは中堅の医師、医長も含めてですが、それを対象にして、臨床疫学の統計のやり方の基礎から、疫学とはこういうものだ、臨床研究はこうやって始めていく、臨床研究というもののシーズはこうやって僕たちは見るんだと基本的な講習会を始めました。定期的です。今まで、うちのセンターでは集まったことのないほどの人数の、セミナー室に入れないぐらいの医師が集まってきました。定期的にです。ですので、やる気はあるんだろうと思ってますが、先生にそのようなことは、多分。
(岡本臨時委員) いや、ぜひ、ないようにお願いします。ほんとに重要な医療を担ってる場所、実は私近くに住んでるもんですから、昔から大蔵病院にいた時代から知ってるものですから、ぜひ、そうならないようにお願いしたい。
 厚労省に、ぜひお願いしたいんですけど、何か現場のニーズってなかなか制度設計に伝わってないようなことを、その人が言いたかったのかもしれないんですね。ですから、その辺はちょっと私も1人、1人というか、その人あるいはその周りの人しか知らないので、それを代表してるとは思いませんけれども、そういう声があったというのは事実ですので、そこはぜひ、心に留めておいていただければ、ありがたいかなというふうに思います。
 すみません、ちょっと横から出しゃばりましたけど、申し訳ありません。
(梅里分科会長代理) はい、ありがとうございました。
 それでは、時間の都合もありますので、国立成育医療研究センターについては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 国立成育医療研究センターの皆様方は、ご退席いただいてけっこうでございます。どうもありがとうございました。
(法人交代)
(梅里分科会長代理) それでは続きまして、厚生労働省所管の国立がん研究センターにつきまして、ヒアリングを行います。
 国立がん研究センターの見直し当初案の主要なポイントにつきまして、ご説明をいただきたいと思います。その後質疑応答を行います。
 全体の時間の関係もありますので、5分程度で、よろしくお願いいたします。
(福島審議官) はい。それでは資料1‐1のまず3ページをご覧ください。
 先ほど、研究事業及び臨床研究事業のところの(6)のところが、がんセンターのみということで申し上げましたけれども、これは、がん登録等推進に関する法律が昨年成立して、全国がん登録データベースの運用、それから院内がん登録情報等の収集を通じて、国のがん対策の企画立案そして実施に必要な調査研究を行うということになっております。
 具体的な取り組みの中身は11ページでございます。
 がん研究センターについては、一番下にありますように、がんの早期発見、あるいは効果的な予防方法の確立、さらには根治療法の開発、そして診療のガイドラインの作成と、そしてライフステージに応じたがんとの対応、あるいは、がん関連病院とのネットワークの構築、そして先ほど申し上げたような、がん情報の収集・集約、正確ながん統計、それから情報提供ということを進めていこうということで考えておりまして、具体的には、例えば特定の遺伝子異常を有する症例、あるいは希少がんに関する診断・治験を行う全国規模のネットワークの構築、さらには、全国がん登録データベースを運用して収集される亡くなった方の情報に基づきます死亡実態の研究等々を行うことということを進めていこうということで考えております。
 がん研究センターについては、以上でございます。
(梅里分科会長代理) はい、どうもありがとうございました。
 がん研究センターのところで、一番最初に冒頭に申し上げたNCの法人の組織について、先に少し議論をさせていただきたいというふうに思います。
 もうご案内のように、NCの独法につきましては、法施行後3年以内に存続の在り方について検討するという、そういう規定がございましたですね。それで見ますと、24年度中ということになるんですけれども、必要な措置についてということで見ると、まだ講じられてるとは言えないのではないかと。一応検討はしたということにはなっているんですけれども、これについての厚労省のお考え、どのようなことなのかということを、ちょっと、まずは伺いたいと思います。
(福島審議官) ご指摘のとおり3年以内の見直しということで、24年の7月から24年の12月まで、7回にわたりまして、国立高度専門医療研究センターの在り方に関する検討会を開催いたしまして、有識者のご意見を伺いながら、論点整理等は行ってまいりました。
 その後12月になりましたが政権交代もございまして、政府与党におきます独立行政法人改革の議論がされましてNC、25年12月末の閣議決定で、独立行政法人等に関する基本的な方針において、NCは研究開発の法人ということの整理がされたということでございまして、そういう面では、独立研究開発法人への移行ということで、法の附則で言うところの一定の措置は講じられたものというふうに、私どもは認識をしているところでございます。
(梅里分科会長代理) 統合については引き続き検討ということになっていたと思うんですが、それは、厚労省としては、いつごろまでに結論を出されるのかというようなことは、今回の見直し当初案についても、具体的なスケジュールについては書かれていないと思うんですけども。
(福島審議官) はい。統合のことといいますか、統合の在り方とかそういうものについても、再興戦略の中でも、健康医療戦略の中でも、いろいろ触れられておりますけれども、NCについて22年度に独法化したということで、現時点、今年度26年度が第1期の中期計画の最終年度になるということで、まず第1期の中期計画の5年間をきちんと中身をちゃんと果たす、いろんな業務はどうだったのかということを検証した上で、その上で、NC全体の在り方については議論をしていきたいと考えておりまして、これについては、現時点での方向性についてお示しすることは難しいわけでありますけれども、今後の検討の中では、組織の在り方については当然、議論の中で、その中では議論をさせていただきたいと考えております。
(梅里分科会長代理) いつごろまでに議論されますか。次期中期計画中っていうのは、ちょっといかにも長すぎるかなと思うんですけれども。
(福島審議官) ええ。次期の閣議決定されたのは、要するに研究開発力の一層の向上を図る観点から、どういう組織がいいのかということが、そういう議論をして行うべきだと、そういうものだと理解しておりまして。
 そういう意味で、今回、第2期の中長期計画を今策定をしていくわけでありますけれども、第2期の中期計画期間中には、その検討は当然行っていきたいと考えております。
(梅里分科会長代理) 6法人が統合するかどうかというだけではなくて、1つ1つの法人が、ほんとに研究開発型として必要なのかどうかというようなことも含めて、6法人の統合という1つの案だけではなくて、幾つかのバリエーションがあると思うんですね。それらも含めて、できるだけ早めに検討していただきたいなというのは考えているところです。
 それでは、がんセンターのほうのお話について、委員どなたでも。じゃあ、阿部委員、どうぞ。
(阿部臨時委員) 研究開発について、お伺いしたいと思います。
 私は8月に、がんセンターに伺って拝見いたしました。もう全体的に非常にたくさんのことをおやりになってる、NCとしては、それだけミッションがたくさんあるということだと思うんですけれども。
 それと同時に、もう何か、すべて見せていただいたところが、日々戦場のような感じで取り組まれているということで、ある意味ちょっとすごく、ショックというのは変ですけども、こういう現状が今日本にあるということを実感いたしました。
 そこで、やはり2人に1人ががんにかかるというような時代になってきますと、NCとしてのがんセンターがどうあるべきかっていうところが問われていると思うんですけれども。例えば国の施策として、がん研究10か年戦略とかっていうようなものが明確に打ち出されていますが、10か年の戦略というのは、具体的にけっこう広いんですね。
 そういう広いのを全部するというのも、もちろんなんですけども、NCがんセンターとしては、その中で、特にどういったところをNCとしておやりになるべきか、あるいは、その辺の戦略というのが、もしおありだったら、具体的な戦略をお聞かせいただきたいと思います。
(各法人担当者) 企画戦略局長で中央病院の腫瘍内科をやってます藤原と申します。
 今のところをお答えいたしますと、ナショセンとして、特にがんセンターが今後、国のがん医療の中でどう貢献していくかというところで、対がん10か年戦略とありますけれども、やはり1つは束ねる作業というのが、私ども司令塔といいますか、いろんな医療機関全国にも全がん協の加盟、または都道府県の県立のがんセンター病院とか様々ありますし、ほか大学なんかもありますけども、そういうところを束ねて、1つの方向に向かう臨床の試験であったり、それから疫学研究って非常に大きなフィールドワークですね、そういうものをオーガナイズするようなところっていうのは、なかなか単独の施設、がんセンター以外のところでは人材が、がんに特化した人がたくさんいるのは、唯一、国立がん研究センターでございまして、ほかのところは、1つの病院の中の一部であったり、あるいは県立のがんセンターは、やっぱり診療で非常に忙しくて研究にそう割けないとかいうような状況がありますので、ハブ機能を果たすというところは、多分この差別化、あるいはわれわれが求められているということがあると思います。
 それから、医師主導治験であったり国際共同治験であったり、治験の中でも難易度が高いといわれている非常に世界の中であまり使われてないような医薬品とか医療機器を使うような臨床試験というのは、多分ナショセンでないと、なかなか難しい。
 というのは、レギュラトリーサイエンスを非常に深く知っている医師あるいは薬剤師等が、ほかのセンターは非常に少ない。これは大学もそうなんですね。最近ようやくPMDAとの人事交流を数年前から始めて、各大学もポツポツ人は出してますけども、がんセンターの場合は、もう十何年以上のおつきあいがありますし、非常にFDAとかEMAという海外の規制当局との交流もありますので、そういう面で臨床試験のオーガナイズもしやすいというところがあるので、そういう難しい臨床試験には、われわれ多分チャレンジできると思います。
 それから疫学研究という、がんの、例えばたばこを吸ったらがんになりますというのは皆さん知ってますけども、野菜を取れば、がんになりにくいとか、それから大豆ですね、お味噌汁を2杯飲んだら乳がんになりにくくなるとか、そういういろんなエビデンスを突き出すのは、ものすごい長い年月がかかるんですけども、それを長期的にやれる施設って、やっぱりなかなか、ほかの大学とか、それから県立のがんセンターでは難しいところがありますので、そういう疫学の研究というのは、私どものところが、今度2年後には全国がん登録が始まりますけども、そういうデータもうちで事務局をやらせていただきますので、それと突合しながら長期的、5年10年、大体15年とか20年の時点で、がんの疫学の調査をしていくのも、こういうナショセンに課せられた役割かと思います。
 それから、精神腫瘍学とか緩和医療とか、それからサバイバーシップ、最近いわれてますけども、がんを持っても治る人が大半の時代になってくると、その人たちの社会生活の支援の仕方とか、あるいは、がんの患者さんの介護の方のうつとか、まだあまり注目されてない領域というのは様々あるんですけども、そこを見出してそこを研究して、それを得られた成果を全国に普及していくということも、われわれに多分課せられていて、われわれしかできない領域だと思ってます。
 様々ありますので、10か年戦略いろんなポイントがありますので、その中で、われわれは、われわれにしかできないところを峻別してやっていこうかなと思っています。
(阿部臨時委員) それと同時に、医療分野研究開発推進計画というのが平成26年の7月に出されておりますが、これは、2015年までの目標と、それから2020年までの達成目標というのが具体的に書かれているんですけども、こちらのほうに関しては、どういった取り組みを考えてらっしゃるんでしょうか。
(各法人担当者) これは、安倍政権になってからできたものですけれども、それ以前の民主党政権時代から、イノベーション5か年戦略というのがありまして、中身はほとんど変わってないところもあるんですね。それが策定されたころからの経緯から、私どもがんセンターとしてはいろいろタッチしておりますので、その中で、書き込む数値目標を設定する際にも、いろいろアドバイスもさせていただきましたし。
 そういう中で、この挙げられているような項目についての対応は、来年から新しい中期計画を、私ども今回厚労省から言われて新しく策定していきますので、その中で15年後、2015年あるいは2020年に求められてるところをちゃんと書き込んで、粛々と進めていくということを考えております。
(阿部臨時委員) ありがとうございます。
 それで、非常に広い分野をなさる、しかもシームレスで、多分、全国のネットワークを作られているんだと、基礎研究から、それから臨床研究、そしてコホート研究あるいはバンクといったようなすべてをやろうとすると、これ財源という問題が多分、頭を悩まされていると思うんですけども、その辺の資源というんですか財源については、この5年間、どういうお考えでなさってきたのか、お話しいただければと思います。
(各法人担当者) 財源については、悲しいことですけれども、厚労省さんから、ナショセンというのは、そんなに優遇はされてないんですね。文科省さんが旧帝大に関しての非常に優遇されているのと比べて、ナショセンに関しては、例えば独法の上に聞いたら、毎年ここのところ10%ずつ、額で言えば7億円とか8億円自動的に削られていくという非常に厳しい環境に置かれていまして。
 そこを開発するためには、診療報酬で頑張りなさい、あるいは競争的資金を取ってきなさいと、しごくまっとうな話ですので、私どもは独法化になって以降というのは、厚労科研だけではなくて、文科の科学研究費であったり経産省の科学研究費、あるいはNEDO、いろんなものの競争的研究資金をみんなで取りに行きましょうって。運営費交付金というのはほんとに限られたものだということを周知しましょうということの中で、何度もお話をして、みんなで共有はしてます。
 それともう1つは、診療報酬をいかに上げていくかですね。そのためには、いい医者をそろえないといけないということで、かつて独法化の移行の時期に、かなり有能な医師がナショナルセンター、がんセンターからも辞めていったという経緯はあるんですけれども、それ以降、いろんな人たちに声をかけて、今幸い、堀田理事長が2期目になります。これまでは大体2年置きにトップが代わっていたので、どっちを向いたらいいのか分からないという状況だったのが、ようやく2期続いてなりましたので、みんなが落ち着いていろんな人を探して、いい人を、大学の教授をさらにもう一度こっちに引き抜いて強化しましょうということは、ようやく始まったところですね。
 そういうことにして患者さんを集めれば、いい人が、いい医者、いい外科医、いい看護師であったり、いい薬剤師であったり、いい医師がいれば、必ず患者さんは集まってきますので、それによって当然、診療報酬は増えていくだろうというふうに考えておりますし、独法化のいいところは、それに応じて、看護師の配置であったり麻酔科の配置だったり、そういうところが割と融通を、以前の国病課、今は名前変わりましたけども、厚労省のほうに定員幾らですので、何人増やしたらいいですかというのを、いちいちお伺いしてたところを、ある程度採算が取れれば、あまり厳しいことはそこは言われなくなったので、重点的に診療報酬を上げるところには配置は割と最近はできるようになってきているので、そこで収入を上げていきましょうというので、その2点ですね。やはり競争的研究資金をしっかり取りに行きましょう。それから、診療報酬をいかにしっかり取り漏れなく獲得していくか。
 それから、無駄なところもけっこうありまして、それは独法化になってから、いろいろ言われてますけども、入札をしっかりやって、随意契約でないようなものをどんどんしていきましょうとか、材料費の高いものを共同購入したりとか、あるいは競争入札の中でしっかり叩いて、薬剤費を抑えるとか。それから、委託事業に関しても様々な委託の会社はありますから、委託の会社の金額を見ながらしっかり安いところに、でも、いいところというのはたくさんありますから、それを見据えていきましょうとかっていうところを、今がんセンターの場合は、民間のそういう経営のマインドを持った人たちにもアドバイザーに入ってもらってそれを実施して、なるべく経費削減をしつつ収入増を図るということでやっております。
 ただ、予算全体的に見てみますと、欧米、アメリカとかイギリスのがんセンターとかイギリスのがん研究所に比べると、10分の1ぐらいの額の中でやってるとこなので、ちょっと厳しいところはありますけれども、その中で与えられたポジショニングで頑張っているというところでございます。
(阿部臨時委員) 最初、冒頭にもおっしゃったように、がんの治療というのは、あるいは基礎研究というのは、もうほんとに、あらゆる大学、病院でやられているんですけども、そういうところでのネットワーク作りでコアになってるのが、このNCがんだということなんですけども、具体的には、どういう位置づけっていうふうに考えたらいいか。あるいは、こういうことをやってきたので、今はこういう現状だと。これは、もしかしたら国内だけではなくて国際的に見て、あるいはアジアの中で見てでもいいんですけども、そういう具体的な環境というんですか、今置かれてる状態はこういうところだというところを、国立NCがんの中の研究と開発から見て、どういったことが言える状態なのかっていうのを教えていただきたいんですけれども。
(各法人担当者) 私、がんセンターのレジデントの17期、まだ若いほうで、できたのが1962年なんですね。しばらくしてからレジデント制度ができまして、レジデント制度ができたそのころは、各大学の医学部なんかも、がんの診療に関しては、あんまり熱心にやってなかったという時代ですね。そのころからがんセンターは、レジデント制度を設けて、広くがんの研究から診療まで広く教育するというのが、がんセンターのレジデント制度なんですけども、それで人材を育ててまいりました。そのために、今、北から南までいろんな大学の腫瘍内科の講座とか、それからがんの外科の講座とかを見てみますと、私どもレジデントの先輩がけっこういるんですね。けっこうというか、かなりの数おります。
 そういう人たちがやっぱり教育の今は主体になって、そのあと、文部科学省ががんをやる、いろんなプログラムを始めましたので、もう少し、今、大学は進歩してきてますけども、その根幹をなしてるのは、やはりがんセンターのレジデント出身者で、これは大学にとどまらず、県立がんセンターなんかを見れば、都道府県のがんセンターを見ても、いろんなところの部長さんとかに、私どもの先輩あるいは後輩がおりますので、その人たちの貢献は大きいのかと思います。
 それから海外については、なかなか私どもスタッフが、出身者が海外に出ていくというのは今まではなかったという現状がありまして、ただ、留学とかをして帰ってくる人たちはいますけれども、その中でどうリードしていくかというのは今後の課題だというふうには考えております。
 幸い二、三年前から、アジアを束ねるアジアのがんセンター総長の協議会なんですけども、そこの1つのコアメンバーとして、韓国とそれから中国と私ども日本がわりとリードして、アジアのがんセンターを束ねるという作業をしておりますし。
 それから昨年は、今年の年初ですけれども、アメリカの国立がん研究所と覚書協定を結びまして、これからジョイントでどんどん進めていきましょうということを開始しましたので、これまでは留学をさせていただくという立場だったのが、これからは、向こうからも来ていただく、あるいは人材交流も向こうからも来てこちらで育てるとか、いろんなアクションができるような時代にちょうどなってきたと。
 先日は、フランスの国立がん研究所の総長の先生にも来ていただきまして、そことの提携もこれから始めますので、2年前から始めた制度なんですけども、がんセンターの経費を使って、いわゆる研究留学じゃなくて、システムあるいは管理の手法を学ぶ職員の派遣というのを始めておりますので、それで向こうにいろんなことを習いに行く、あるいは来てもらって、その人たちがコミュニケーションを今後していけば、世界のがんセンターの中でのプレゼンスも上がってくるんではないかというふうに。世界に関して私どもがんセンターがリードしてるかというと、そこまでまだ行ってませんけども、国内に関しては間違いなくリードしておりますし、これからは、世界の中でトップ10のがんセンターに入るということを目指して、職員は邁進していると思っております。
(阿部臨時委員) ありがとうございました。
(梅里分科会長代理) はい。ほかにいかがですか。
 じゃあ柳澤委員、お願いします。
(柳澤臨時委員) 今お話聞いてると、かなり頼もしいお話であれなんですけど。
 ただ、実際問題、均てん化という視点で見ると、素人的に言いますと、過去の視点で、そして現在においては、通常のがん治療においては、ほぼそういう拠点病院が同じレベルで揃ってるんではないのかな。要するに、がんセンターならではの部分があって、まだほかにそれが十分行っていないので、均てん化がまだこれからやんなきゃならない分野というのはあるのか、もうだいぶ均てん化が進んで、そういう意味における治療のレベルというのは、もう全国均一化してきてるのか、その辺はいかがなんでしょうか。
(各法人担当者) 私ががんセンターに戻ってきて12年、その前は10年地方にもおりましたし、そういうので、かつての同僚たちもいろんなところに散らばっておりますので、その人たちの話を聞く中で、均てん化というのは、がん対策基本法が始まってから、だいぶ均てん化という錦の御旗は出てきたんですけども、予算の出方が厚労省半分、都道府県が半分という中で、額もそんなに大きくない中で、実際に私ども、地方の都道府県がん拠点なんかを見てみると、言うほど大したことはないと。
 そういう状況で均てん化が進んでますかというと、なかなか進んでないというのは実際の、これは肌感です、私自分の患者を診てても、都道府県がん拠点にうちの病院がなったんですけども、何も変わってないんですよねって言う患者さんはたくさんいらっしゃいます。
 ですから、思うほど均てん化は進んでないという現状はありますけれども、例えば胃がんであったりとか肺がんであったり、割と大きい、患者さんの多いがん診については、かつてに比べて非常にレベルは上がってきてるし、日本は従前から、外科医の先生方の手は素晴らしいので、例えば胃がんであれば、どこの病院に行っても割と定型的なきちっとした手術は受けられると思いますけれども、例えば肺がんの難しい手術、広がりが大きい、あるいは乳がんなんかは、外科の手術だけではなくて放射線の治療とか抗がん剤の治療も非常に大事になってきますから、それを組み合わせるとなると、だんだんと力量の差が出てくるというのが、まだ実態だと思います。それを今後どうしていくかというところであります。
 ただ、がんセンターのプレゼンスも、おっしゃるとおりで、例えば『週刊朝日』とか読売新聞とかを皆さん見ていただくと、オペ数の手術件数のランキング出てまいりますね。圧倒的にうちが勝ってるかっていうのは割と少なくなってきてるのは、実態としてあります。
 ただ、その中で、複合的な治療とか、あるいは再発して難しい患者さん方を私どものところで診ていく、あるいは希少がん、最近希少がんセンターとしても立ち上げましたけれども、皆さんの聞いたことがない肉腫とか、それからそうですね、目の腫瘍とか皮膚のがん、そういうものを、ほとんどもう地方にいますと年に1人診ればいいようながんが、私どもの病院には、毎週何人も患者さんが来て、年間100人も200人も、日本全体のほとんどの人を診てるような状況がありまして、そういう人たちの治療というのは、ほかのとこではできないですし、そこに傾注していくような体制の整備も、今まさにやっているところです。
 これはアメリカでもそうでして、アメリカのNCIも、クリニカルセンターというのが実際にあるんですけれども、そこで今傾注してるのは、そういう希少がん、誰も診ないところを、アメリカのワシントン郊外のほうへ来てもらって治療して、また地元の病院にお返しするということをやってますし、各国5大がんと呼ばれる、皆さんが聞いたことがあるようながんというのは割と診療レベルは上がってきてますが、それ以外のところはまだまだ格差が大きいので、今後われわれのナショナルがん研究センターとしては、そういうところに、未来形としては、均てん化の向上もさらに目指すとこに貢献しますけども、希少がんについて、もう少し重点的にスタッフの配置あるいは医療リソースの配置はしていければなというふうに予定しております。
(梅里分科会長代理) よろしいですか、はい。
 均てん化について、追加でちょっと伺いたいんですが。がん登録については法制化されたわけですけれども、その以前から、がんの診療拠点病院等については、がん登録が義務付けられていたわけですね。これらのデータに基づいて治療成績等を、なかなかベンチマークした形で出てこないんですけれども、これらについては、どのようなスケジュール感というか、そういう形で、地域の今、肌感ではちょっとたくさんあるのかなというお話もありましたけれども、これらの治療成績を見て、それをがんセンターとして、それぞれの機関のレベルを上げていくというような形での均てん化に対する方策について、何かお考えがあれば、お聞かせをいただきたいんですが。
(各法人担当者) ようやく全国がん登録が法制化されて、非常に大きいと思うんですね。
 というのは、私が研修医だった30年ぐらい前のころの日本のがんの現状を把握するためには、例えば宮城県であったりとか大阪府であったり広島県とか、一部の都道府県のきちっとした登録事業で、がんの患者数とか、それから予後っていいまして死亡するまでの期間とかっていうのを推定するという方法で、ずっとやられてきたというのがあります。
 その後少しずつ変わってきて、今は全がん協がとりまとめを始めて、佐々木先生の班とかでようやく、5年生存率で出すとすると、5年前にさかのぼった患者さんのデータから、今の時点での5年生存率を書かないといけないので、ようやくそういういろんな仕組みが、全国の主要なるがんセンター病院に整ってきて、データが出始めたのが今年ですね、2007年のデータが、ようやくきちっとしたデータが、みんなが安心して見れるデータがそろったので、その3年目、4年目のデータが今年ぐらいに出始めてるんですね。
 そうなると、5年生存率がきちっと見れるというのは、おそらくもう少し先の話になりますので、そこの時点まで待たないと非常にデータが汚いといいますか、割とほんとに大丈夫かというようなデータも、ちょっとえいやっていう姿勢で前に出してきたところがありますから、今出てるデータにあまり盲信されないほうがいいんじゃないかなと、臨床家からすると、思って見ています。
 それが一番大変だったのは、やっぱり戸籍法の改定等で、都道府県なんかに患者さんの死亡を問い合わせると、お金出せとか、独法になったがんセンターには教える義理はないとか、そういうのをたくさん言われる時期がありまして。
 そうすると、正確に死亡データが集められなくて、われわれがせっかくきちっとした5年生存率、3年生存率をフォローしようにも、都道府県の方々、町村なんかに行くと、いろんな方がいますのでそう簡単には、がんセンターだからって、どこのがんセンターですかっていうような電話を通しての応対になりますから、きちっとしたデータがちょっと取れてない時期があったので、やっぱりその辺を全国がん登録で法制化して、皆さんちゃんと集約しましょうということになって、これからがいい。
 ですから、ほんとにいいデータが出るのは、2016年に全国がん登録を始めますから、そこから5年後、2020年代に入って、ようやくアメリカとか欧州でやってるような、ほんとにがんの罹患率とか死亡率が正確なデータとして見れるような時期になるんではないかと思いますので、もう少しお時間をいただければというふうに思います。
(梅里分科会長代理) はい、ありがとうございます。
 ほかに、よろしゅうございましょうか。
 いろいろとまだ、聞きたいことはいっぱいあるんですけども、時間の関係もございますので、国立がん研究センターについての議論を、ここでいったん打ち切りにさせていただきたいと思います。
 それでは、国立がん研究センターの皆様方には、ご退席いただいてけっこうでございます。どうもありがとうございました。
(法人交代)
(梅里分科会長代理) はい。それでは続きまして、厚生労働省所管の国立循環器病研究センターにつきまして、ヒアリングを行います。
 センターの見直し当初案の主要なポイントにつきましてご説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思います。
 それでは、また5分程度でよろしくお願いします。
(福島審議官) はい。資料1‐1の12ページをご覧いただきたいと思います。
 国立循環器病研究センターでございますけれども、循環器疾患の新しい予防法・治療法の研究開発、それから高度先駆的医療の提供・普及、そして、医薬品・医療機器開発の医工連携、産学官の連携、あるいは医療クラスターの拠点整備ということ。さらには、循環器疾患関連情報のとりまとめ、解析、情報発信を通じた対策の基盤の充実。それから健康・医療戦略推進本部が掲げた目標を達成するための治験・臨床研究を確実に実施できる機関ということで取り組んでいきたいと考えております。
 具体的な取り組み内容は、ここにありますように、対象疾患が循環器疾患ということでございますけれども、早期発見、予防、診断方法の確立、あるいは治療法の開発、ガイドラインの作成・改訂、あるいは循環器疾患に関する救急医療あるいは在宅移行モデルの普及、そして循環器疾患にかかる医療クラスター、特に医療機器を中心としたクラスターの構築であるとか、基盤の情報収集の発信というものを、これを医療機関向け、国民向けの発信をしていきたいということでございます。
 具体的には、例えば学会とタイアップして、循環器疾患診療実態調査を行うことに加えまして、全国レベルの循環器疾患情報の収集等のためのネットワーク基盤を構築すること、あるいは、センターが発見した、同定しましたペプチドホルモンがありますけれども、これを活用した循環器疾患の治療薬の開発というようなことをやっていきたいと考えております。
 国立循環器病研究センターについては、以上でございます。
(梅里分科会長代理) はい、ありがとうございました。
 それでは、ただいまご説明をいただきました国立循環器病研究センターの見直し当初案につきまして、ご質問などございましたら、どなたからでも、ご発言をお願いいたします。
(阿部臨時委員) 研究開発について、お伺いします。
 ここはNCですので、もちろんそういったことを加味した循環器にかかわる研究開発をしていただくというところだと思うんですけれども、それにしては先進的医療、そこに結びついたような実績というものがないと、あるいは、それを標準化された実績も全くないというご回答でございますが、その辺のところのご説明を、いただけますでしょうか。
(各法人担当者) 国立循環器病研究センターの企画戦略局長をしてます三石と申します。
 先進医療につきましては、いわゆる主導型にやる場合と、一医療機関だけではできませんので分担し合ってやる場合とございますけれども、実績がないということでお答えをさせていただいたのは、いわゆる主導的に他の医療機関を募ってやる例という形ではないということでございますが。ただ、例えばうちの場合ですと、近隣に阪大さんとかいろいろな大学病院などもございますけれども、そういったところと一緒になって先進医療に参画するというような事例は、これはもう多々ございます。
 主導的にという意味では、確かにこれまで独法になってからはございませんでしたが、ここに来てようやく今年度4月に、1つ私どもが主導して厚労省のほうに申請をして、5月から実施したような件数も出てきておりますので、今後は、そういったものも増やしていきたいというふうに考えております。
(阿部臨時委員) それは、1つご紹介いただくことはできますか。
(各法人担当者) ちょっと長いんですけども、よろしいでしょうか。睡眠中発症及び無発症時刻不明の脳梗塞患者に対する静注血栓溶解療法の有効性と安全性に関する臨床試験。これを先進医療の分で申請いたしまして、今年の5月1日に、厚労省のほうから承認をいただきました。
(阿部臨時委員) ありがとうございました。
 ちょっと話題が変わるんですけども。とても基礎と臨床というのが表裏一体でして、シームレスで行わなければいけないと思うんですけども、この割合っていうのは、基礎と臨床の研究開発の割合というのは、どういう感じでやってらっしゃるんでしょうか。
(各法人担当者) ちょっと今、数字的に何割が実用あるいは応用というふうには、なかなか言いづらいと思いますけれども、これは、ほかのナショナルセンターでもそうだと思いますが、私どもナショナルセンターとやはり大学と違うところは、あくまでも課題解決型の研究であると、私どものほうは、まさに名のとおり循環器病研究センターでございますので、やはり脳卒中とか心臓疾患のいろんなこういった循環器病の治療に役立つ意味の研究を行う。したがって、もちろん基礎研究もございますけれども、基礎研究のとこまでではなくて、そこからさらに循環器病の実際の治療に役立つ、あるいは薬になる、あるいは医療機器になる、こういったところ、ちょうど研究所の隣に病院があれば、それは臨床で応用できますので、そういうメリットを生かして行っているということでございまして、純粋に基礎だけをやっているということは、おそらくないというふうに考えております。
(阿部臨時委員) ありがとうございました。
 それで、今、運営資金というんですか、非常に難しいと思うんですけども、運営費の面と、それから競争的資金というものが両方あると思いますけども、NCの循環器では、その辺の割合は、どういうふうにして財源を確保なさって、あるいは取られて使用されているのかっていうことをお聞かせいただけますか。
(各法人担当者) いわゆる観念的に、考え方としてはこうあるべきだけども、実態としてはこうだというふうに、2つに分けてお話をせざるをえないと思うんですけれども。
 観念的に申し上げれば、いわゆる運営費交付金で充てているのは、これは基本的にインハウス研究、私どもの研究者が自ら研究に充てる研究費という形で扱っているわけですが、これは例えば厚生労働省さんのほうから、特に今循環器でこういった研究をやってほしいというような分野があれば、そういったものを行うとか、あるいは、私ども一番有名なのは吹田コホート研究というようなものですけども、これは二十数年間にわたって、1つの自治体の住民の方の健康データをずっと追いかけていくわけですけれども、こういった長期にわたるような研究でありますと。こういったものは、競争的資金なんかですと、ある年は取ったけども、ある年は取れなかった、したがって、じゃあコホートを中断できるかというと中断できませんので、こういった性格のものなどについては、やはり運営費交付金で安定的にやっていく必要があるんですね。
 したがって、そういった継続的あるいは国の政策と密接不可分のようなものについては、運営費交付金というのは手当ていただいて、それ以外のいわゆる、うちもやれば、それから他の大学などでも行うと、あとは、さあ、一番ふさわしいところをこの結果、選んでくださいと、その結果採択されて、私ども例えばセンターの研究者が選ばれましたというようなものについては、これは競争的資金で充てるということだと思うんですけども、これは、ここまでは観念的なお話でございまして。
 じゃあ、そういうふうになっているかといえば、実際にはただ、運営費交付金がついた、これは既にほかのナショナルセンターからもお話があったかと思いますが、いわゆる裁量的経費でございますので、これは政府全体として、裁量的経費については毎年度、基本的に10%のカットがかかってくるという中で、われわれとしては、何とか予算を確保したいわけでございますけれども、結果的には、毎年毎年減らされていくと。運営費交付金の中でかなりの部分、研究費も占めております。当然ながら、研究費も同じように減ってくるということでございますので、必ずしも最初に申し上げた基本的な考え方、観念的な考え方と実態が合っているかというと、そこは残念ながら合致してないと言わざるをえないと思っています。
(阿部臨時委員) そういう意味では、だんだん減るっていうのは、もうこれ日本全体の流れって言ったら変ですけれども、そういうことになってますので。
 そうすると、そこでもっと競争的資金を取るということも一方ではあるんですけども、もう1つは、よりNC循環器としてやっぱりやらなきゃいけないのは、優先順位を付けるなり、あるいは選択集中というようなことを見直さなきゃいけないと思うんですけども、その辺のお考えは、いかがでしょうか。
(各法人担当者) 1つはやはり全ての外部資金、これは競争的資金のみならず、いろんな企業との共同研究、あるいは、うちの場合ですと医療機器や検査薬などについてもトップだと思ってますので、特許商品そういったものも含めて、いわゆる外部資金をできるだけ獲得していこうということで、これ自身、実際に独法化されてから飛躍的に伸びてるわけでございますけれども、そういった努力は、やはり必要だというふうに思っております。
 一方で、運営費交付金の中のいわゆるインハウスの研究について、じゃあ、資金をある意味、昔のようにある程度余裕があるときであれば、やや、若干語弊のある言い方をすれば、漫然とした工面をやってきたから、この研究で今年もやれよということになったかもしれませんですが、ここまでやはり厳しく運営費交付金、さらにはインハウスの研究費が削られてくるということになれば、当然、取捨選択が必要になってくると。
 そのためには、これはちょうどこの面で、がんセンターなりに準じて、私どもも研究評価の体制を一新化しまして、外部の評価委員をきちんと置いて、まず今年度インハウスでやるべき研究を大きな柱とした、こういう研究もやるんだというものを決めて、基本的にその研究に沿ってインハウスの研究を行っていくと。行った結果、しっかりした成果が出ていれば継続が認められますし、当初の期待に反して結果が出ていなければ、次年度以降の研究を打ち切られるというような評価制度も導入されておりますので、そのような形で、その優先順位というものは付けているつもりでございます。
(阿部臨時委員) はい。もう1つ最後に聞きたいんですが。
 循環器ということを考えると、大学あるいは病院等々、たくさん循環器の基礎研究課や臨床、あるいは治療をやっているところがございますが、NC循環器として、その辺のところを、ネットワークを作って、なおかつ国際的にというところがございますけれども、その辺の仕組み作りの実績というのを聞かせてください。
(各法人担当者) まず、他の医療機関とのネットワークということでございますが、おっしゃるように、別に私どもセンターのみならず、循環器に関して治療あるいは研究を行っておるところは大学を含めいろいろございます。
 ただ、先ほど、ちょうどがんのお話を伺っておりましたけども、がんの連携拠点病院などについては、これはまず法律があって、かつ予算措置も国及びそれから自治体等でも行われているということでございますが、残念ながら循環器については、それに相当するような法律がございません。
 じゃあ、われわれはどうするかといいますと、とりあえず現段階におきましては、学会と組みまして、学会のネットワークを使って、データの管理などを行おうとしています。
 具体的には、今年の4月に、私どもセンターの中に循環器病統合情報センターというものを設立をいたしました。これは、昨年度の補正予算並びに今年度の当初予算での厚労省さんのほうから手当てをしていただいて整備をしたものでございますけれども、統合情報センターにおいては、まず脳卒中の関係については、日本脳卒中協会が脳卒中データバンクというものを運営して全国の医療機関の脳卒中のデータを集めていたんですけれども、このデータバンクの運用を、私どものほうに移管をしてもらうことにしました。また今度、循環器疾患、要は心臓のほうですね、こちらについては、日本循環器病学会、日循という学会がございますけれども、こちらで実施をしておりました循環器疾患診療実態調査、造語で「JROAD」と呼んでおりますけれども、JROADのデータセンターを、私どもの情報センターのほうで担当することになりました。特にこれは後者につきましては、既に登録率が100%を達成されて、全国約1300の施設のデータがここに入っておりますので、これらを私どもが担当し、これの分析を行うことによって、単に分析するだけじゃなくて、当然その結果を各医療機関にもフィードバックをいたしますので、今後の治療あるいは治療成果の均てん化にも役立つことなのではないかというふうに考えている。
(柳澤臨時委員) 視点を変えまして、財務的な内容を、ちょっと確認だけさせてください。
 お分かりだと思うんですけど、利益剰余金が22年から25年度で15億が2700万になってしまったということで、26年度の支出予算を見ると、逆に60億増えてると、250億から310億になってると、これだけ見ると、利益剰余金が底をついてる状態で、26年度で60億も支出予算が増えてるんですけども、この辺は、どういう仕組みになってるんですか。それは、利益を確保する見通しになってるんでしょうかね。
(各法人担当者) 今日お配りの資料の中の数字でございましょうか。
(柳澤臨時委員) 今日の資料2の33ページの真ん中辺にあります財務数値の推移があるかと思うんですけども。
(各法人担当者) すみません。確認ですが、この真ん中の利益剰余金の推移のところで24年度240、これ単位は。
(柳澤臨時委員) ですから、2700万になってますよね、25年度に。
(各法人担当者) ええ。
(柳澤臨時委員) 上の支出予算額の推移を見ますと、25年度が255億に対して、26年度が314億ということで、60億ぐらい跳ね上がっているんではないかと思うんですけど、この辺のからくりというか仕組みは大丈夫なんですかと、2700万しかないのに、60億も支出が増えてるって、どういうことですかということ。
(各法人担当者) これは、私ども、ちょうど作ってから37年たちまして老朽化が進んだということで、平成30年度をめどに移転建て替えを予定しておりまして、その結果、25年度に移転先の土地を購入をしております。その影響かと思います。
(柳澤臨時委員) 25年度に購入。26年度は。購入25年度ですかね。
(各法人担当者) 25と26年度に分けてでございます。
(柳澤臨時委員) じゃあ、26年度の60億の支出予算の増加というのは、その土地の購入資金ですか。支出というのは、どういう形の支出か分からないんですけども。
 分かりました。ちょっとそれはまた後ほどにしまして。要は、収支均衡が図れる計画になっているかどうかと。要するに、土地を買いまして建物を建てました、当然ですけど償却費が増えるわけですから、そうすると、そのまま赤字が続きますというと、利益剰余金がまた損失になってしまうと。その辺の計画はちゃんとできてますかという質問ですが。
(各法人担当者) 移転建て替えにつきましては、これは理事会等でも議論になりましたので、もちろん一定の前提でシミュレーションせざるをえないんですけれども、建て替え経費、それから一方で土地の購入費と、それから私どもの現院の土地の売却益などを勘案して最終的には利益が出るというような形で試算をしております。
(柳澤臨時委員) じゃあ、それはまた後ほど資料でもいただければ。ありがとうございます。
(梅里分科会長代理) それでは、私のほうから、ちょっとだけ。
 循環器病に関して、われわれというか国民サイドから見れば、治療成績を上げてもらいたいわけですね。しかも循環器病センターに行かなくても、各地域地域で、そのような医療技術の提供を受けられるという形になってほしいわけですけれども。そういった意味で、先ほど研究についてのお話がありましたけれども、実際の治療効果を上げるための診療の仕方といいますかガイドラインのようなもの、これを循環器センターのほうで開発をして、全国の病院に提供すると。
 そのようなことについての実績が少し弱いのではないかというふうに思うんですけど、学会等で脚光を浴びるような研究については一生懸命やられるのではないかと思うんですけれども。先ほど例えばt‐PAという構成についての研究なんかありましたけれども、むしろ、できるだけ早く医療機関のほうに患者さんが来られてt‐PAが適用できるというような形に持って行くためには、そういう救急との情報の連携だとか、どういう形でt‐PA適用の時間内に患者さんを医療機関に到達できるようにするのか、あるいは、医療機関に到達してから、今のプロトコルで所定の検査等を踏まえて、その結果を待ってからt‐PAということになると、どうしても、それだけでも時間がかかってしまうけれども、ヨーロッパ等では、ある程度、見切りと言うと問題がありますけれども、t‐PA治療に入って、その間に血液検査等を実施しながら、問題があれば、そこで中止するというようなプロトコルを作って、できるだけt‐PAの適用率を上げていくというようなことをしていると。
 ヨーロッパと日本で比べると、t‐PAの適用率は多分、格段の差があると思うんですが、どういうところで、その辺が問題があるのかというようなことを検討して、できるだけ適用率を上げていくような研究、これっていうのは、何か運用面も含めた研究なので、研究者としては、あまり学会等での評価というようなことに結びつきにくいのかなと思うんですが、臨床応用的なと言うんでしょうか、そういう研究が、必ずしも循環器病センターのほうで十分にやられていないのではないかという声も聞こえてくるんですが、その辺については、いかがですか。
(各法人担当者) まさに今t‐PAのお話がありましたけれども、t‐PAいわゆる脳梗塞などで血栓ができたときに、それを溶解する療法ですけれども、これも従来であれば、発症してから3時間以内にt‐PAを打たないと効かないということでしたけれども、これを私どもの様々な研究あるいは治療データに基づいて、これは4.5時間以内でもこれは効くんだということを立証して、実際にそれが日本脳卒中学会において治療指針などにつながったわけですね。
 この面においては、諸外国に比べても、先んじて実証し、かつ保険適用についても、諸外国に比べて早く保険適用にさせたという意味では、むしろ循環器病センターの役割は大変高かったというふうに思います。
 そういう意味では、私も専門ドクターにいろいろお話を伺いますが、少なくともt‐PAに関するデータなり実証、それから、そういったガイドラインや治療指針への反映というところについては、大変このセンターの役割は高く評価されているというふうに理解はしています。
(梅里分科会長代理) ありがとうございます。
 もう1点ですけれども。いただいた資料だと、循環器病センターでレジデントや専門修練医を終了した方たちの、その後どういう医療機関で、どのように活用されているかというようなデータについては、循環器病センターでは把握してないというように報告をいただいているんですけれども、その辺はどうなんですか。実際にそうなんですか。
(各法人担当者) 実はこれは科によっては、もちろん把握をしております。何て言いましょうか、けっこう全国に散らばっていろいろな、例えば何とか先生ここにいらっしゃいましたよという連絡をするためとか、時々、親睦会に集まったりするためとかいうこともあって、科によってはフォローしてるとこもございますが、いわゆるセンター全体の組織として網羅的にやってるかというと、そこまでは、できておりません。
 ただ、その理由といたしましては、当然きちんと把握網羅しようとしますと、けっこうドクターの方々ですので異動が激しいですね。全部を経年的にフォローするということになりますので、手間暇、人員もかかるということで組織的にはやっておりませんが、全くやってないというわけではないということでございます。
(梅里分科会長代理) それぞれの地域の循環器病の診療に関する情報とか、そういったものについてのネットワークとしては、かなり重要なパイプになるんじゃないかというふうに思うんですね。そういった意味では、その辺のところについてのフォローアップも、今後ぜひお願いをしたいなというふうに思うところです。
(石田委員) すみません。循環器ということではなくて、6法人最後ですから、厚生労働省の担当の方にもお答えいただきたいんですが。
 今まで6法人を聞いてきて、それぞれ病院の特徴が違うと思うんですね。研究開発と、それから医療の提供のウエートもずいぶん違いますね。医療の提供も、高度先進的な医療にすごく邁進されていらっしゃるところと、地域の拠点病院のような地域に根差した医療を提供されていらっしゃるところもありますね。
 今回、研究開発法人になると7年間の目標期間になります。それは、研究成果の効果の最大化を目指して、近視眼的な目標の設定や評価ではいけないということで、7年になるんですね。
 6法人の年度計画を全部見ると、まず最初に研究開発に関する事項があって、次にすべての6法人で医療の提供に関する事項があり、その中には、高度先駆的な医療の提供もあるけれども、患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供というのもあるわけですね。
 患者の視点に立った良質かつ安全な医療の提供、いわゆる地域の総合拠点病院として医療を提供するときに、これも7年間の目標設定でいいんでしょうか。
 うまくPDCAを回すためには、研究開発は7年という中長期の視点は大切だと思いますが、地域の現場の医療は、逆にフレキシブルに対応するために3から5年ぐらいでPDCAを回したほうが適切だと思うんですが、その辺はどうなんでしょうか。要は、研究開発法人なんだけど、研究開発だけやってるわけではないですよね。臨床研究するから臨床が必要だというのも、もちろん分かりますが、臨床研究のためなんだけど、でも、そのかなりのウエートを地域医療としてやってるところもあるので、普通のって言ったら言葉が悪いですけど、総合的な医療の提供も7年の目標で行くんですか。
(佐藤課長) 今回の計画については一応5年から7年ということで、必ずしも7年になるかどうか。最大が7年というのは承知してますけども。
 ですので、今おっしゃられた、ちょっと6センター全部変わるかどうかは分かりませんけれども、その状況を見て、やはり5年とか6年というのも出てくるのかなと思っておりますが、そういう意味ではないんですか。
(石田委員) 今、従来型で5年ですね。
(佐藤課長) はい。
(石田委員) 研究開発法人になっても、5年になる可能性があるっていうことですか。
(佐藤課長) そうです。
(石田委員) 私がお願いしたいと思ってるのは、研究開発については7年の目標でもいいけれど、同じ病院の中でも地域医療の提供については、業務によっては3年ぐらいの目標期間で2回ぐらい回すとか、3年と4年に分けるということは可能なんですか。もし可能であれば、そういうこともお考えいただけたらありがたいと思います。
(佐藤課長) 年度計画で1年1年作っていきますから、当初5年にしてても、途中で修正をかけて3年4年というのは、要は、途中の修正は可能だというふうに考えるんですけども。当初の計画は例えば3年にしておいて、実質上もっと早く回すのに2年にしたりですね。それは、年度計画の中で修正が可能かというふうに考えますけれども、全体として何年とかは特に。
(福島審議官) ご指摘は、多分、研究開発法人、研究部門としては6年間ないしは7年間という計画でいいけれども、診療部門としてはもう少し短期的な視点で、例えば3年間のまず中期的な目標を作って、そこできちんとローリングして、またもう1回3年間、多分そういうような計画作りができないかというご指摘だと。
 ただ、これは全体、特に法人の計画の作り方そのものの問題になりますので、多分、一般的な問題としてどう扱うかというのは、また、そういう扱いができるのかどうかも含めて、また検討させていただきたいと思いますけれども。
 ご指摘の趣旨は踏まえて、仮に6年間のものをどちらに作るにしても、途中における見直し、あるいは中間における目標設定というものができないかどうかについては検討したいと思います。
(梅里分科会長代理) はい。よろしゅうございましょうか。
 それでは時間の都合もありますので、国立循環器病研究センターについては、ここで議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 本日ご説明いただきました皆様におかれましては、ご多用の中ご協力を賜りまして、ありがとうございます。
 当分科会といたしましても、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続きご協力のほどを、よろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合には、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じてワーキンググループで再度ヒアリングをお願いしたりすることがありますので、その際には、ご対応のほど何卒よろしくお願いいたします。
 それでは、国立循環器病研究センターの皆様方はご退席いただいて、けっこうでございます。どうもありがとうございました。
(法人ヒアリング終了)
(梅里分科会長代理) 大変に時間が切迫してしまったんですけど、どうしましょうかね。20分から予定どおりで、よろしゅうございますか。休憩等が必要かどうかと。よければ、20分からそのまま続けさせていただきたいと思います。わずか二、三分ですけど、ちょっと息をついていただいて、20分から始めさせていただきたいと思います。
(休憩・席替え)
(梅里分科会長代理) それでは、厚生労働省所管の国立健康・栄養研究所、医薬基盤研究所につきましてヒアリングを行います。
 本日は、厚生労働省鈴木技術総括審議官をはじめ、ご担当の皆様にお越しいただいております。
 国立健康・栄養研究所、医薬基盤研究所の見直し当初案の主要なポイントにつきまして、ご説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思います。
 なお、時間の関係もありますので、説明は15分程度でお願いをしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
(鈴木技術総括審議官) ご紹介をいただきました厚生労働省の技術総括審議官の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
 私の左側に医薬基盤研究所、私の右側のほうに健康・栄養研究所がございますので、冒頭は私がS説明させていただきますけど、個別の質問は、各研究所からご説明させていただきたいと思います。
 それでは、早速、説明を開始させていただきます。
 資料ですけれども、1‐2‐1と1‐2‐2それから1‐2‐3を用いて説明をさせていただきます。ちょっと後先が逆になってしまいますが、まず、1‐2‐3の統合について冒頭説明させていただいて、そのあと各研究所等について説明をさせていただけたらと思います。
 1‐2‐3をおめくりいただきますと、ご承知のように、医薬基盤研究所と国立健康・栄養研究所につきましては来年4月に統合ということで、その概略を記したのが、この1枚目でございます。
 冒頭にありますように、独法改革に関する閣議決定、それから日本再興戦略に基づく医療分野の研究開発体制等々を踏まえて、1つは医薬品それから食品、この2つは領域が少し重なる部分が出てまいりましたので、シナジーをもたらすような形で統合ができないかというのが1点。それからもう1つは※の2つ目ですけれども、医療分野の研究開発体制については、新たな日本医療研究開発機構というのを作ることになりますので、法人数の関係も一部ございました。
 改正の概要については、この2つを統合し、独立行政法人の医薬基盤・健康・栄養研究所とさせていただいて、主たる事務所は、所在地は大阪府ということにします。
 国立健康・栄養研究所を解散し、その権利・義務というのを医薬基盤・健康・栄養研究所において承継をするということで、来年の4月1日を目途に施行ということになります。
 詳細につきましては次の2ページ目をちょっとご覧いただきますと、左側が現行、上が国立健康・栄養研究所、下が医薬基盤研究所でございますけれども、それぞれの所掌の事務が書いてございます。上の2つ国立健康・栄養研究所については、そのまま新しい医薬基盤・健康・栄養研究所に引き継がれます。
 医薬基盤研究所の内、下の1つ創薬支援と、それから下から2番目の医薬品等の開発新興の内、アカデミア等への研究支援ファンディングの部分については、先ほど申し上げました日本医療研究開発機構のほうに移ることになっています。それ以外の部分については、医薬基盤研究所として健康・栄養研究所と一緒になるということでございます。
 3ページ目をおめくりいただけますか。
 法人の統合における基本方針ですけれども、インハウス研究、中で行う研究としましては、健康・栄養に係る公衆衛生推進のためのエビデンスの構築、医薬品開発に共通的なプラットフォームという公的な研究機関ならではのインハウス研究を推奨するということを、まず1つの柱としています。
 組織体制の見直しとしては、2つの法人が一緒になるということでございますので、総務部門、企画立案部門ということについては体制整備ということが書かれていますけれども、現実は、統一をして、そこの部分で効率化に転換を図るということです。
 それから、大阪と東京に分かれますけれども、それについてはITを活用したりして、テレビ会議等々で効率的な運営を実現をしたいというふうに思っています。
 後ほど細かくは申し上げますけれども、医薬品それから食品の間の関係領域を含めたシナジー効果に含む共同研究をしていこうということが3つ目の柱でございます。
 統合後の具体的に取り組み、次の4ページに書いてございます。
 1のところは、先ほどもちょっと申し上げました従来の研究を継続的に推進ということで、食と運動、健康科学研究、それが1つの柱。
 それからもう1つは、創薬技術研究、それから創薬技術支援の推進ということです。創薬技術研究それから創薬技術支援という言葉は、あとで何回か出てまいりますけれども、端的に言うと、例えば毒性チップという薬の開発のために必要なものを作る研究のことを創薬技術研究といいまして、これを使って、各社が創薬をするための技術を支援するほうを創薬技術支援と言っております。
 次に、統合効果を最大化するための取り組みということは、1つはシナジー効果を最大限に発揮するために共同研究を実施する。また競争的資金を積極的に活用する。2つ目は、先ほど申し上げたように、管理部門の効率化と研究支援業務を強化をする。3つ目は、ITを活用して、事務連絡会議をする、情報交換を行うと。限られた財源の中で、最大限の研究効果を発揮したいというふうに思ってます。
 また特に国民目線というのが大事だと思っておりまして、国民の方に向けた医薬品や食品の情報提供、それからWHOのコラボレーティングセンターとして、世界に向けた情報発信の強化というところも重要だと思っております。
 最後に具体的な、ではどのようなシナジーの例があるのかということを3点書いてあります。食薬区分ということもありますけれども、薬とそれから食品の切れ目というのが、以前はかなり薬については具体的に、ヒトの臓器に何らかの機能的な影響を与えるものという明確な区分がありましたけれども、最近は、食品の中でも一定のそういう効果をねらったものというのが出てきておりますので、そういう中で安全性をどう確保していくのか、副作用というものを、どのように軽減していくのか、耐性をどのように抑制をするのかということが1つ重大な課題になってくると思います、。
 それから2つ目は、特に今まで健康・栄養研究所で重点的に行っていた生活習慣病、がんや脳卒中、心臓病といったものですけれども、これについて、今までは疫学的な研究という集団を対象にした研究ですとか基礎的な研究を行っていましたけれども、最近特に注目されているのは、食べ物を食べた場合に、腸管の中で、どのようにそれが吸収をされるのか、また免疫機構がどのように働くのか、どのように耐えさされるのかという、かなりミクロのレベルの情報との連携が大事だということが分かっておりますので、これについては基盤研究所が非常に強みを持っていまして、免疫疾患の研究、ワクチン開発の研究しておられますし腸内細菌に関する研究もしておりますので、そういうところで組み合わせてシナジー効果を高めていこうということです。
 3点目は、健康に関する機能性表示食品の品質評価ということで、特保に見られるような表示制度というのが、今変わろうとしておりまして。今まではどちらかというと、ex‐anteで、表示をしていただく前に規制をしようということが中心でありましたけれども、今後はむしろex‐postに、実際に一定のガイドラインに沿って表示をしていただいたあとに、実際にそれが正しいかどうかというのを検証するということが中心になりますので、その際に、食品分析の技術、それから薬用植物の鑑別や成分の分析に関する技術というのは非常に大事になってまいりますので、こういうことでシナジーを高めていこうということでございます。
 以上が、1‐2‐3にあります両研究所の統合についてということでございます。
 次に、各研究所について、資料に基づいてご説明をいたします。
 資料1‐2‐1が、独立行政法人国立健康・栄養研究所について、組織業務全般の見直し当初案の説明資料でございます。
 ページをおめくりいただきますと、1ページ目、中期目標期間の主な取り組みと成果の概要というのが書いてございます。
 事務・事業の見直しにつきましては、特別用途食品の表示許可試験及び収去試験、市場で売ってあるようなものを買って、それを分析して検査するということを収去試験といいますけれども、それの役割分担ということで、従来は、ほぼ一手に健康・栄養研究所がやっておりましたけれども、民間の検査登録機関を活用いたしまして、そこで一定の精度が保たれてきちっと測れるというものについては民間に任す。むしろ健康・栄養研究所のほうは、制度管理に徹底を行うというふうに役割分担を見直しました。それから2つ目は、特別用途食品の表示許可試験の手数料の見直し。3つ目は、これは後ほど申し上げますけれども、栄養情報担当者認定制度の廃止ということでございます。
 2つ目の組織・運営の見直しについては先ほど来申し上げております、医薬基盤研究所との統合ということでございます。
 主な成果については、生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究。これは、『エクササイズガイド2006』等にも出ておりますけれども、大規模な介入研究、実際にあるものを、するものとしないものを分けて研究するということですが、それを実際に行ってます。
 それから2つ目、日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究。これは集団を対象にした研究ということでございます。これは、国民健康・栄養調査の機能強化をしたりデータを活用したりして行っています。
 3点目は、健康食品を対象とした食品成分の有効性評価はどうかということで、最近多く出ておりますダイエットの関連商品についての安全性評価を行いました。
 そのほか、先ほどもちょっと申し上げましたけども、情報の発信・国際協力ということで、WHOのコラボレーティングセンターの指定を受けております。
 次の2ページ目でございますけれども、事務及び事業の見直しのポイントということでございます。
 1つ目は、国の生活習慣病対策として、より効果的な反映が見込まれる研究ということで重点3分野の研究、ちょっとこれ重点3分野の研究、直接書いてなくて申し訳ないんですが、1つ目が運動と食事に関する研究、2つ目が栄養疫学、これは集団を対象にしてますが栄養疫学の研究、3つ目が健康食品の健康影響に関する研究。もう一度申し上げますと、1番目が運動と食事に関する研究。2番目が、栄養の疫学に関する研究。3番目が健康食品の健康影響に関する研究でございます。
 これについては、引き続き研究を実施をすると。ただし、一部計画等の見直しはあり得るということでございます。
 2つ目は、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、医薬基盤研究所の統合により、2つの研究所のシナジー効果を最大限発揮できるように、医薬品と食品の相互作用、、それから健康に関する機能性表示の品質評価について新たに研究を行っております。
 3番目は、研究者の育成のために課題克服、エビデンス創出、基礎的・独創的・萌芽的研究というのを実施をするということでございます。
 次の3ページをご覧いただきたいと思います。事業の見直しのポイントの2つ目、健康増進法に基づく業務でございますが、国民健康・栄養調査、これは、様々な統計なり国の政策策定の中心になるわけでございますので、この集計作業というのは引き続き実施をさせていただきたいと思います。
 それから先ほどもちょっと触れましたけれども、特別用途表示の許可試験それから収去試験については、体制の強化を行うとともに、分析技術の確立した試験については、民間の登録試験機関における検査を行わせて、それの精度管理に努めるということでございます。民間試験が実施することが可能になった栄養表示に係る収去試験というのは、消費者庁で今検討しておりますので、その業務の重点化法律化を今後図っていきたいというふうに思います。
 次に4ページ目でございますが、事業の見直しのポイントの3つ目です。国際協力・産学連携等々ということで、WHOのコラボレーティングセンターとして、アジアを中心とした国際協力活動を推進をしております。
 また、大学や企業との共同研究、受託研究というのを、引き続き推進をしてます。
 また、近年非常に重視をされております食育の推進、これは、基本計画に基づきまして、それに資するような研究・普及活動というのを引き続き実施をしていきたいということでございます。
 おめくりいただきまして、5ページ目でございます。
 先ほどちょっと触れさせていただいた栄養情報担当者NR制度ですけども、この取得試験というのを24年6月をもって終了して、一般社団法人の日本臨床栄養協会のNR・サプリメントアドバイザー制度に移管ということでございます。既存の資格所持者については、3年間の更新期間までに順次移管を予定をしております。
 組織の見直しのポイントとしては、6ページでございますけれども、先ほど申し上げたように、医薬基盤研究所と統合した上で、統合に当たって事務部門を合理化をいたします。
 最後のページ7ページでございますけれども、運営の効率化のポイントは、健康・栄養に関する研究の特性を踏まえて運営体制を合理化をすると。電子化を推進をしてIT環境を整備すると。さらに財務の改善のポイントは、自己収入の増大で、競争的な研究資金、それから受託研究等の獲得に向けた取り組みを積極的に行うとしております。
 以上が、国立健康・栄養研究所についての組織・業務全般の見直しの当初案でございます。
 次に1‐2‐2でございますけれども、独立行政法人医薬基盤研究所の組織・業務全般の見直し当初案でございます。
 おめくりいただきまして、1ページ目でございます。事務・事業の見直しの1つ目は、実用化研究支援事業の廃止ということで、これはある意味でファンディング、ファイナンシングですけれども、これについては廃止をさせていただきました。
 それから、ヒューマンサイエンス振興財団と共同で実施をしておりましたバンク事業等については、単独で実施することにいたしました。
 さらには、近年、非常に重要性が指摘されてます創薬支援ネットワークとしての創薬支援、抗体・人工核酸のスクリーニングを、25年度から開始をしております。
 2番目の組織・運営の見直しについては、先ほど来申し上げてますように、健康・栄養研究所との統合がございますし、それから24年度には、薬用植物資源研究センター筑波研究部の和歌山圃場については廃止をいたしました。
 主な成果でございますけれども、平成22年から24年度にかけまして、産官学連携功労者表彰を3年連続で受賞してます。22年は大規模のトキシコゲノミクスデータベースを活用した新規安全性バイオマーカーの開発、23年は世界初の薬用植物、これ甘草でございますけども、人工水耕栽培。24年は、世界初のヒトiPS細胞からの分化誘導した肝臓の細胞の製品化ということでございます。
 それから、最近、どういうふうに体の中で、目的とする臓器に薬をうまく運ぶかという、「薬物伝達システム」といいますけれども、薬物伝達システム機能を付加した第2世代の核酸アジュバントの開発に成功しました。これは言わばキャリアのようなやつで。
 3つ目は、希少疾病の医薬品開発新興事業によって、22年から25年度に22品目、希少病用医薬品16品目、医療機器が6品目が、製造販売承認を取得をいたしました。
 あとでも申し上げますけれども、オーファンの場合には薬にしろ医療機器にしろ、会社が小そうございますので、研究開発力、販売力が非常に弱いということでございますので、官と民がそれぞれ補完的に作用するように、ある程度基盤のところで官が力添えをするということが1つということでございます。
 次に2ページ目でございますが、事業の見直しの当初案の基盤的技術研究及び生物資源研究ですけれども。
 1つは、今度新しくできます日本医療研究開発機構、それから今度は、厚生労働省と文科省と経産省が1つになって日本医療研究開発機構を作るわけですが、それぞれの文科省と経産省の下に理化学研究所なり産業技術総合研究所というのがございますので、こうしたところと連携しながら創薬支援ネットワークの中核を担うと。その中で、創薬支援のスクリーニング、特に人工核酸や抗体のスクリーニング、疾患モデル動物の提供、こういうところも、なかなか民間だけではできにくいところでありますし、いったん誰かが作って提供していただくと、それを民間が活用できるということで、日本初の医薬品や医療機器の推進ということにもつながるということだと思います。
 また、引き続き、創薬を目指した実践的な研究、ワクチンや難病、希少疾病等を対象とした基盤的技術研究、スクリーニングや新規の生物資源の開発等々の研究については、継続して取り組んでいただいてるということです。
 3ページでございますが、創薬支援ネットワークにおいての中核を担うとともに、自ら創薬技術の研究、あと先ほどの例で言えば毒性チップのようなものを作るということもありますし、創薬技術の支援ということは、先ほどの例で言えば、そうしたものがうまく企業で使われるように支援をしていくということですけれども、こうした2つの車の両輪を用いまして、企業やアカデミア、医療機関等々と連携を図るということでございます。
 下の○のところは、先ほど申し上げた、両研究所が統合することによって、シナジー効果を最大限に発揮するために、3つの研究を行うということです。重複を避けるために、ここは省略させていただきます。
 それから4ページ目、研究開発新興ということで、特にウルトラオーファンドラッグという、オーファンでも、患者さんの数は5万人以下で非常に小さいんですけれども、ウルトラオーファンということになりますと、患者さんの数が1000人以下ということになりますので、これ誠にマーケットが小さいということになります。
 そうなると、かなりきちっと支援をしていかないと、そういうところに必要な薬はできないということになってしまいますので、そういう支援を強化をしたり、それから、そういうところは、あんまりノウハウもございませんので、どうすればうまく承認につながるかというようなところで相談業務の充実を図るというようなところでございます。
 それから、引き続き既採択案件のフォロー、成果の創出、承継事業等について、実用化研究支援事業、先ほど申し上げたファイナンスで、現在残ってるものについて、引き続き取り組みたいというふうには思っております。
 次に5ページ目でございますが、組織の見直し案は、先ほど申し上げたように、全体としては、健康・栄養研究所と統合するということです。その際に、総務部門、企画・立案部門を合理化して総合的に運営するということ。
 それから、先ほど来申し上げております創薬技術研究と創薬技術支援というのを一体的に行うことによって、例えば、先ほどの話でまた恐縮ですけれども、毒性チップを作る研究を作る研究する人が企業に支援をすると、企業からの評価フィードバックも受けられますので、それがまた自分の毒性チップを作る研究に役立つという意味で、シナジー効果がありますので、こういう形で一体的に行うことができるような体制を整備するということでございます。
 6ページ目については、繰り返しになりますけれども、総務部門等についての合理化、それから電子化等を推進をして、遠距離であることのデメリットを解消するということ。
 それから、保有財産の見直しについては、先ほど申し上げておりますように、和歌山の圃場について、不要財産として国庫納付するということ。それから自己収入の増大については、競争的な研究資金、受託研究等の獲得に向けた取り組みを積極的に行うということでございます。
 以上が、両研究所の統合及びそれぞれの研究所の見直し等々についての当初案です。以上でございます。
(梅里分科会長代理) ありがとうございました。
 それでは、ただいまご説明いただきました国立健康・栄養研究所、医薬基盤研究所の見直し当初案につきまして、ご質問などございましたら、どなたからでも、ご発言をお願いいたします。
(河井臨時委員) それでは、ちょっと簡単にお聞きしたいんですけれども。
 まず統合の問題でございますけれども。総務部門、企画部門等を合理化するといっても、物理的に場所が東京と大阪に分かれるので、合理化にも一定の限界があると理解しておりますが、やっていただくことはやっていただくということで、それでけっこうなんですが、むしろ気になってるのは研究のほうのシナジーの出し方で、2つ東京と大阪に分かれて、いろいろITを活用して、今後いろいろ研究資金をよりコラボレートしていく形にはなっていくんだろうとは拝察はしておりますが、例えばでも本当に1つのビルにいたら、研究Aチーム、Bチーム、Cチームで、次に新しい何かを研究するときにAとBから人を持ってきてとかっていう割合柔軟なプロジェクトチームの組成っていうのも、1つの物理的なところにいればやりやすいとは思いますが、2つに分かれることによって、そういう機動的なチーム編成等、どのように担保されているのか。その辺ちょっと説明いただければと思うんですが。
(椎葉課長) 厚生科学課長でございますが。
 それぞれの高度な専門性を融合して、競合によるシナジー効果を最大限発揮したいということでございますが、1つには、例えば共同研究を実施するだけでなくて、所内の研究発表会の活用でありますとか、それから研究の打ち合わせの機会を増加させるということで研究者間のコミュニケーションを活発化させて、情報共有を促進させるというので、これまでは全く別の他人だったんですけど、これからは、しょっちゅう顔を突き合わせて、いろんな相乗効果を持っていこうということでやりますので、ITの活用と、それからいろんな人と人とのつきあい方などは、最大限こちらとしても支援していきたいと思っておりますが。
(荒張臨時委員) では私のほうからは、むしろ管理部門のほうの統合について、ちょっとお聞きしたいんですけども。
 こちらの統合のほうのペーパーを拝見すると、総務部門、企画・立案部門の体制整備と。一方で、効率的な、もしくは合理化という言葉が非常に目につくんですけれども、具体的には、どんなような姿になっていくことを想定されているんでしょうか。
(椎葉課長) お手元の資料の4ページのところに、統合後の具体的な取り組みというのがございますが、まず1つ目に従来の研究は継続してやっていく。統合することによってお互い、これまでパフォーマンスが下がるというのは避けたいところでございまして、そういう従来の研究は継続的にやっていくわけですが、2つ目の統合効果を最大化するための取り組みということで、共同研究の実施は、お互いが一緒になって競争的資金を積極的に獲得していくだとか。
 それから、研究支援業務については、強化して管理、それから企画部分については、これまで、それぞれ独自独自にあったものを、これを一緒にして共同で管理、企画をするということで効率化を図ると。
 また繰り返しになりますけれども、ITを活用した連絡会議や研究者の情報化を進めるということで、ポイントは、限られた財源の中で最大限の研究成果を発揮していきたいということでございます。
(荒張臨時委員) なるほど。それは非常に素晴らしいことだと思うんですけども、一方で、われわれのワーキングのほうで議論した中で、最近、危機管理ですとか内部統制といった、これはネガティブなリスクへの対応ということなんですけども、こちらのほうの組織力を上げるという観点でも、実は課題があるんではないかというふうに考えておりまして。ぜひ統合化の効果を、単にコストダウンだけではなくて、そういった不測のリスクに備える体制強化に充てていただきたいなというのが、私どもの1つのご提案でして。
 もう1つは、これはちょっと私、大阪のほうに行けなかったんですけども、新宿のほうの健康・栄養研究所のほうで、カロリーメーターっていうんですか、非常に素晴らしい設備があるんですけれども、実際にこの稼働とかを見ると、あまり高くはないなというのが率直な感想なんですね。
 収入を獲得するとか、そういう単純な発想ではなくて、あれだけ非常に素晴らしい設備があるんであれば、もっと民間にも活用する機会を持って、まさに国の重要な財産だと思いますので、それを民間にも活用していただいて、それがいい食品の開発につながって、ひいては国民の便益に資するというような、そんなような循環をぜひ、統合後の本部の機能として持っていただけると、よろしいんじゃないかなというような。これは、私の個人的な感想でございます。
(原田臨時委員) 一番最初にご説明いただいた統合のシナジーの3つの例に関連して、お尋ねをいたしますが。
 大変興味深く拝聴いたしました。私も研究者ですので、こうしたいろんな組織が統合されて、そこで何らかのシナジーが起きていくこともあれば、うまくいかない場合もあるでしょうし、うまくいく場合も、長い目で見ないといけない場合もあれば、短く成果が出てくるものもあるでしょう。そういう意味では、この3つ、あるいはこの3つ以外ということも、おそらくシナジーということも出てくるでしょうし。
 そういうことを考えますと、ある程度、研究組織というものは、せっかくこの統合をなさるタイミングで、ある程度、研究組織として、柔軟性がやっぱり必要になってくるのかなというふうに思うんです。
 ですから、例えばシナジーにかかわる研究ユニットはどうなるのかということは大体想像がつくのですが、そうじゃない研究ユニットは、じゃあそのままになっちゃうのかと。そういうことになれば、多分、統合の本来の意味というのはないというか。せっかくのこのチャンスを、どんなふうに研究ユニットの再編、あるいはそれの機動性の確保というか柔軟性の確保、どういうふうにお考えなのか、お聞かせくださると幸いです。
(椎葉課長) まさにシナジー研究と、それから従来の研究といろいろありまして、こういった統合によって、そのメリットをいかに生かしていくかというのは大変大事なところでございまして。
 シナジー効果が期待される研究については、より火花が散って切磋琢磨していくと思いますが、そうでないところについては、従来のままで、日蔭のままということになってはだめなので、どういった研究を行うか、そういう組織体制については、研究者間で今検討しているところでございますが、今後、必要に応じてタスクフォースを作るなど、再編後については、いろいろと検討してまいりたいと思っております。
(原田臨時委員) シナジーの部分が非常にフォーカスされると思うんですけど、シナジーしない部分に、やっぱりフォーカスもしないといけないのかなというふうな感想でございます。
(梅里分科会長代理) よろしいですか、はい。ほかにはありませんか、はい。
(川合臨時委員) 2点お聞かせください。
 今回は、2つの研究所の統合というのもけっこう大きなことでございますけれども、それ以上に、エイメットに出していく創薬支援の部分は、これまで医薬基盤研で担っていたかなり大きなファンクションで,子の大きな機能を外に出されるのに、1‐2‐3の2ページのところには割合簡単に書かれています.創薬支援のスクリーニングという機能は大きく位置づけが変わってくるのではないかと思うんですけど、オールジャパンを見据えてのスクリーニングの中で、ここの辺の体制の強化を、どのようにお考えになってるのか。
 それから、これまでの医薬基盤研が担っていた役割が、かなりウエートが変わってきておりますので、現状の人員で十分にそれがカバーできてるのかということを、1点お聞かせいただきたいと思います。
 それから、もう1点はバイオリソースの事業についてでございますが、国の中にも幾つかバイオリソースを担っている独立行政法人もございますけれど、そういうところとの間の連携事業を、どのように考えていらっしゃるか、教えていただけますか。
(三浦企画官) お答えいたします。
 まず第1点目でございますが、先ほどご説明申し上げましたとおり、エイメットのほうに創薬支援の内のいわゆる司令塔機能のほうが移管することになります。それで医薬基盤研は司令塔機能と、あとは核酸・抗体を中心としたいわゆるスクリーニング機能、その2つを担ってる内の司令塔機能が移管されるということでございますので、残りましたスクリーニング機能、今これ私ども概算要求でございますが、さらにその上の最適化の部分も含めた、いわゆるデザイン選択構想というのも、今、概算要求上でご提案申し上げていると。
 そういう形で機能強化していきたいと思いますし、またさらに引き続き、今までの関係もありますので、創薬支援の司令塔機能に対しましても、ある意味では、そのバックヤード的にバックネット的にいろんな意味で助言等も含めて支えていくような体制ができないかということで、今エイメットのほうと、準備室のほうと協議しているというところでございます。
 それから2点目で体制でございまして、そこは私どものほうとしては、具体的には、移管部分、創薬支援戦略室の部分がそのまま行くと。それからあとは、もう1つはファンディング事業の該当人員だけが行くということですので、私どものいわゆるインハウスのほうの研究体制には、何ら支障は生じないというふうに考えているところでございます。
 それから、3点目のバイオリソースのところでございますが、例えば理研さんとの間でも、理研さんは当然、バイオリソースのほうの事業をやられておるんですけれども、今、実態として、やはり担当者同士が緊密にこれ連絡を取り合ってまして、いわゆるリソース自体の重複というのは、もうほとんどない状態で、情報の共有とかそういうのを進めているところでございますので、また今後とも、それがもう少し仕組みのような形でシステマティックにできればいいなというふうに思っておりますし、ほかのいわゆるバイオリソース、いわゆる機関との連携ができないかということは、今後、検討していきたいと思います。
(川合臨時委員) 特に最後の点については、最近、興味深いことが幾つかございましたので、厚生労働省が、どのようにお考えか知りたくてお聞きしています。
 バイオリソースは、委託されて預かり、そして預かった種をある程度品質保証をし、そして渡していくということをやっている事業でございます.世の中の分析の精度が時とともに向上し、さらに医薬系の研究も非常に高度になってくると、委託されている試料が、委託された時点での確度を保証するのでは不十分となり、その時々に見合う高い精度の保証を期待される状況に変わってきております.このような観点で,質の保証については関係機関でよく検討されて、どこまでを保証するのか、どういう基準で保証範囲を考えるのかなど,国全体としての基本的な考え方を定めることが非常に大事なのかなと思いますので、ぜひ、各機関と協力して進めていただければと思います。
(中井川理事長補佐) はい、ありがとうございます。先生のご指摘のとおりだと思っております。
 われわれ、もう常に品質管理というのを頭に入れながらワーキングしておりますけれども、さらにどういう付加価値をつけるであるとか、それから全体を見渡して、どのレベルの今品質が必要かということに関しては、検討していかないといけないと思ってます。どうもありがとうございます。
(梅里分科会長代理) はい、ほかにいかがでしょうか。
(宮本臨時委員) 今の質問で、ちょっと確認させていただきたいんですが。
 新しい組織になって創薬支援の司令塔は移ると言われていますが、片方で、新たにネットワークの中核を担うっていうキーワードで説明されてますね。その関係というのは、先ほど言われたことなんでしょうけれど、ちょっと重複的にも聞こえるし、あるいは、あえて重複したほうがいいということであるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
(中井川理事長補佐) これ、こういう言い方が一番適当かどうか分からないんですけれども、創薬の研究開発においては戦略を練るというか、ドライという言い方がピンと来られるかどうか分かりませんけども、そういう機能と、それから実際に研究開発をするウェットの機能と、これは一体となって初めて、スムーズに創薬は進むというふうに理解しておりまして。
 医薬基盤研究所は、中核という意味では、ウェットの研究開発機関としての中核はやはり、これまで以上に担わないといけない。それは、創薬支援戦略室のドライの機能、戦略を受けて、われわれがそれをきちっと進めていくと、そういう意味での中核機能を医薬基盤研究所が担わないといけないというふうに理解しております。
(宮本臨時委員) すみません。あと、途中質問にありました統合によって間接部門が合理的になるとは言わないということがありますけれども、両、今の機構をちょっと視察させていただいて感じたのは、それぞれ組織としてあまり、特に大規模な組織というわけではないと。
 そうしますと、間接的ないわゆる研究を支援する業務というのは、それぞれなかなか苦労してきてやっておられるのではないかと。だから、それが統合することによって、より支援効果が高まるということを、ぜひ積極的にお願いできればなという、中期計画に入るといいのかなと、こういうふうに思っておりました。
 例えば知的財産の管理に関してということもあると思いますし、それから、やはりいろんな研究で研究に関する不祥事が出れば、それぞれのせっかくやってるものに足を引っ張るということがあって、そういうことに対して、未然に人の気持ちが弱くならない環境をどううまく作るかという意味での業務の適正を確保する体制といいますか、そういうものを、せっかく統合したことによって、これは場所を離れていても、誰かそういう専門的な人員が支援をするというようなことで、できるかもしれませんし、そういう工夫をぜひお願いできれば提案、というような意見でございます。よろしくお願いします。
(阿部臨時委員) 先ほどから、シナジー効果っていうのが非常に出てくる。つまり、2つが統合して一緒になることによって、このシナジーがはっきり見えるということが大事だと思うんですね。要は、もう1年目から成果がはっきり、シナジーが出てくるっていうことが大事だと思うんですけども。
 この最後の業務についての1‐2‐3の資料の2ページ目、先ほどから皆さんおっしゃってますが、これを見ると、矢印がただ単に足して並行移動してクロストークしたり、重なってるところが全くないように思えます。例えば食品と医薬品の相互作用、これ、ものすごく大事だと思いますが、具体的にじゃあ、そういうふうなところは両方でやらなきゃいけないんですけども、少なくともこの表を見る限りにおいては、なかなか見えてこない。
 やはり、その辺をはっきりさせるということを考えますと、私は人事交流も必要なんじゃないかと。プロジェクトをちゃんと立てて、ほんとにこういった部署ができて2つが統合してやったんだということがあろうかと思うんですけれども、その辺の研究者の人事の異動というのは、あるんでしょうか。
(椎葉課長) 統合するわけでございますが、そういった人事交流もあるということで考えております。
(阿部臨時委員) 分かりました。
 それからもう1つ、国立健康・栄養研究所のほうについての話をさせていただくんですけれども。
 これはもうもとから、今の段階からの国立栄研ということで非常にミッションが高くて、ここでしかできないことをおやりになったと思うんですけども、移行しても、やはり大学やほかの省庁でやってるということと横並びで広げるというのは、あまり意味がないと思います。やはり国立栄研でしか、あるいは今回の統合してできたところで初めて、国で唯一トップレベルの研究ができて、なおかつ、これが国際的に評価されるっていうようなことが内容的に必要だと思います。
 それで、そういうことを考えますと、私はここは、例えば制度見直し、あるいは積極的に提言をするための科学的エビデンスを検証するとかいうようなことが大事だと思うんですけども、大学やほかの企業さんといったようなところで実際に研究をやっていることと横並びではだめなんじゃないかと思います。
 ですから、内容を少し考えられて、むしろそういったところを束ねて、日本全体としてどういう方向に持って行くんだということを、そこでの、ガバナンスと言ったら変ですけれども、制度設計をなさって、実際に国をそういう形で結び、導くというようなことが、当初から必要じゃないかと思います、目的において。
 そういうふうに考えますと、先ほどもちょっとリソースの問題が出たんですけども、例えば食品の問題で言うならば、大学もそうですけども、省庁、文科省だけではなくて農水省もやってますし。ですから、いろいろなところとリンクさせながら、なおかつ、この研究所では、そこの中のどれをするんだと、厚労省としては何をするんだっていうところを、すぐではなくていいんですけども、だんだん明確化されたほうが特色が出て、あるいはナショナルインスティテュートとしては非常にいい形になるんじゃないかと思うんで、その辺をお考えいただければありがたいと思いますが、今お考えがあるならば、お聞かせいただきたいと思います。
(丸山理事) 今、食品についてのお話がございましたが、私どもに関して言えば、食品に関する研究っていうのは、いわゆる健康食品の部分に特化をして、そこに関する、特にその安全性といいますか、そういうようなところの様々な文献調査と、あと私どものほうでの研究というようなことで、国民に対する情報提供をするというようなことを試みておるところでございます。
 あと今いろいろご指摘のありましたいわゆる政策提言とか、そういうところにつきましても、例えば国が健康増進の1つの政策にしてる健康日本21に関しまして申し上げると、特にそこの栄養とか運動の問題については、私どものほうで、いろいろなエビデンスを作ったり、あるいは、そういう日本だけではなくて諸外国を含めたエビデンスをとりまとめをしたりをしておりますし、そういう中で、調査研究を進めていく1つのきっかけというのは、物によっては、まだ日本人のエビデンスがないと。そういうものについて、私どもの研究所がまず音頭を取って、日本人のエビデンスを作っていこうといったようなことを、今進めておるところでございますので、今ご指摘の点、非常に私どもの方向性と一致してるような適切なご指摘だなというふうに受け止めた次第でございます。
(梅里分科会長代理) よろしいですか。
(岡本臨時委員) 1点よろしいですか。ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども。
 日本医療研究開発機構の設立の議論が出る前から、この2つの研究所においてシナジー効果を発揮させようとか、あるいは研究においてシナジー効果を発揮するべきだという議論がありましたか。あったら、エビデンスを示した上で、ご説明いただきたいんですけど。
 もうちょっと私の心を言いますと、申し訳ないんですけど、最初に審議官がおっしゃったように、日本医療研究開発機構を作るために1つの法人枠を開けないといけないから、2つの法人を統合しましたというのが本音であって、だから、今からシナジー効果を発揮するための組織であり、研究開発なんかを考えますというご説明をされてるようにしか聞こえないんですけど、これはちょっと、うがった見すぎでしょうか。
 もしシナジー効果を出されるんであれば、さっきご質問の中にもありました理化学研究所とかほかの研究機関が、政府内でもいろいろやってますよね。そことのシナジー効果を発揮したほうが、食品から医薬品までの総合的な研究開発ができるんではないかなと。むしろ厚労省としては、そういうことを政府内で言っていくべきなんじゃないかなと思うんですけど、どうして、この2つの研究所の中で統合される。それは厚労省の所管ですからという以上の説明がないように思うんですけど、違いますでしょうか。
 私は、何も医薬品から食品までのことをやっちゃいけないと思っているわけではない。ぜひ、やるべきだと私も思います、概念的には。だけど、具体的に説明をされている組織論なり戦略論が、今回こういうふうになりましたので、これから考えますというふうにしか聞こえないんですけど、それでは遅いような気がするんですね。
 本来ならば、日本医療開発機構の議論が出る前から、確かに研究領域が近しいし、研究としてもそういう方向に持って行かないといけないと考えたので、この2つの機関を統合しますというご説明があって、だったら、たまたま医療研究開発機構の手続と同一になったので、今までこういうことを考えてきましたから、こういう戦略をこれから推進していきますというような迫力のある説明があると思うんですけれども、そういう説明が、今日は残念ながら聞こえなかったというふうに私は思ってるんですけど、これは言い過ぎでしょうか。
(椎葉課長) 資料の1‐2‐3の1ページ目でございますが、一番最初に独立行政法人、上の括弧のところでございますけれども、独立行政法人改革に関する閣議決定、これはだいぶ前になされておりまして、実はこれがきっかけでございまして、そのあと、2法人の統合とそれから、統合についても、これは閣議決定にございまして、そのあとに新しい法人ができるということでございます。
(岡本臨時委員) それはそうだと思うんですけど、よくいわれるように、行革的に1つの法人を作ったら数が増やせないから1つ枠を開けようというのが、これありますよね、現に。それの契機として、2つの法人を統合されるということにしか聞こえないんですけど。従来から、この研究領域において近しいし、国民の健康とか国民の医学に対するニーズを考えた場合には、従来からそういうことが必要だと厚労省も考えていたので、あるいは研究機関のほうで考えていらっしゃったので、それで今回統合しましたという説明をしていただくことはできないんですか。閣議決定は、その前の理由があるから閣議決定されているわけで、皆さん閣議決定に関与されているわけだから、それなりの説明をされてるんだと思うんですけれども、どうもですね。
 それから、先ほど別の委員からも質問がありましたが、私も2ページの絵が気になっていて、これ何のための資料ですか。これ独り歩きしたら、左から右に移しますと。シナジーが見えない。確かにシナジーが一対一対応なんですよ。普通の合併とか統合で、こんなことはしませんよね。組織的にいじるのも大変だし。
 でも、苦労してやられるんだったら、何でこんな説明資料を作られるのか私は理解できない。この資料によって、こういうふうに変えていきますという絵が全くないじゃないですか、左から右に矢印が1本入っていて。これはちょっとミスリーディングな資料だと思うんですね。あえて言うと、左から右に移さなきゃいけないから、今回しょうがなく統合しましたと、やることは何も変わりませんと。そういうふうに思えて説明をされてる資料、これ独り歩きしたら、そのような資料に見えてしまうと思うんですね。何でこんな資料作られるのかなと思えて仕方がないんですが。
 こういうことをやってるから、独立行政法人の統合は数合わせだと言われたり、何も知らない人から、独法は何をやってんだというようないらない批判を受けるんだと私は思ってるんです。
 だから、もっとやられるなら理由があるんでしょうから、政策論だとか組織論をもっと前面に出されて、ほんとに積極的にやられるような説明を私はしてほしいし、そういう資料を作っていただきたいと思うんですけど。すみません、あとのほうは感想ですからいいんですけど。
 これもう1回戻しますと、医薬品研究何とか機構ができる前から、この研究領域においてやっていかなきゃいけないという研究者の研究のニーズがあったり、政策として、厚労省はそういうことを考えていらっしゃったんでしょうか。であるならば、そのエビデンスが欲しいと思います。
(椎葉課長) 先ほどの説明の繰り返しになってしまうかもしれませんが、後段で出ている日本医療研究開発機構の話は安倍第2次政権ができて以降の話でございますので、今年になってからの話です。しかしながら、もともとこの2つの法人のシナジーを作るために一緒にやったらいいんではないかという話は、もう既に平成19年くらいから話をしておりますので、時系列的にも、後ろがあるから前があったというだけなんで、もともとあったところに後ろからの話が乗ってきたというのが、事実関係ではございました。
(岡本臨時委員) 分かりました。
 では、それを前提にしたもう少し戦略的な話だとか組織論だとかというのは、詰めておられるべきではないかなと思います。
(椎葉課長) 大変申し訳なかったのは、2ページにある図、これはちょっと役人的に入り繰りで、現在の機能が必ずしも失われるわけではありませんということを示すために、ちょっとこれをお示ししたんですが、確かにご指摘にもありましたように、3つのシナジー効果をさらに重点的にフォーカスをするんであれば、これを組織的にもどのように強化するのかというのを分かる図にすべきだということ、それはおっしゃるとおりなので、ちょっとこれは工夫をさせていただきたいと思います。
(岡本臨時委員) もし、私アイデアがないんですけど、そういう絵があるならぜひ示していただきたいと。よろしくお願いします。
(椎葉課長) 工夫をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
(岡本臨時委員) ありがとうございます。
(宮本臨時委員) もう1つ、質問させてください。
 シナジーに焦点が当たりすぎると、そもそもは今回、中期見直し時期だという意味のが、ちょっとかえってぼけると困るんですけれども、これまでの前期の中期期間を踏まえて、世の中の新しい動向を踏まえて、どういうテーマ設定に改めて、この構成をかじを切る部分があるとかないとか、そういう辺りは必ずしもちょっとよく見えなくて、継続するという説明がちょっと見えているんですね。
 例えばですけれども、今回、総務省のほうから、今後の目標の指針というものを示されてると思うんですけれども、そういう中で目標というのはアウトカムとしての設定が望ましいという言い方もあるんですが、例えば、どういうようなことを国民にとって、どういうふうによくなるということを目標として設定されようとしてるのか。その辺を、より明確に出していっていただけるようになるのかどうか、ちょっとその辺をお尋ねしたいと思います。
(古野理事長) 先生の次期の研究開発法人の目標設定というのが、これは非常に明確で、私はありがたいと、中期目標の設定の観点から言うと非常に目標がすっきりしてて、研究所が目指すべき方向性がはっきりしてると思っております。そういう点では、ありがたいご指摘だったと考えております。
 私どもの東京のほうの栄養研究所のほうで考えているのは、基本的にシナジーは今のところ考えないで、健康増進という観点から見ると、健康日本21にいろいろ規定されている目標があります。だから、その目標を達成するのに必須な研究成果が得られてるかとか、あるいは、目標達成の状況をモニタリングするのに十分な資料が得られてるかというこの2点が、研究所の目標になると思います。そういう観点で考えております。
 統合した効果の目標はどこかということは、今検討中であるというふうにお考えいただきたいと思います。
(宮本臨時委員) 質問はその辺もあるんですが、厚労省さんが各ミッションを与えられるという意味で、より具体的に、例えば医療費の抑制であるとか、あるいは、健康寿命の延伸であるとかということにどう関連していくんだということを、より目標として分かっていくことが大事で。
 そのためには、例えば生活習慣病というキーワードだけが、いつまでもずっと大きいんですけれども、そのキーワードだけなのかどうか。特に、今後の高齢者が健康寿命を長くするためのいろんなデータを与えるという役割というのは非常に大きくなってると思うんですが、そういう時代の変化に対するテーマの変更をダイナミックに行う、それに必要な組織の変更も行うという辺りが、もうちょっとメッセージが出るとありがたいのかなという質問でございます。
(椎葉課長) もう、おっしゃるとおりだと思っておりまして。
 今最後におっしゃっていただいた、例えば平均寿命はもう少し延びていますけれども、大事なのは健康寿命ですので、平均寿命の延びを健康寿命の延びが上回るというような目標を置かせていただいております。
 ただ、これは1人健康・栄養研究所だけではできませんので、先ほど理事長のほうからも言っていただいたように、政府全体としてその計画を進めるとして、計画を定めるのに必要な基礎資料であるとか、どこまで延びるのかという予測を立てるのに必要な資料、これをきちっと、今度の研究所で作っていただくということが、やはり目標になるかと思います。
(宮本臨時委員) よろしくお願いいたします。
(梅里分科会長代理) よろしゅうございましょうか。ほかには何かございますでしょうか。よろしいですか。はい。
 今まで過去において独立行政法人等の統合が行われたんだけれども、単に物理的な合体になってるんじゃないかというような、そういう懸念もあって、今回はそうではないようにということを期待をした発言があったんじゃないかというふうに思います。
 大阪のほうはそうでもないんですけど、実際の病院で、ワーファリン服用の患者さんには納豆を出せないとか、高血圧の患者さんにはグレープフルーツジュースを出せないとか、そんなの、もう実際の現場では行われるんですね。大阪はあんまり納豆食べないんで。そういう食事のメニューから納豆はないとかいうことで対応してるようですけれども、そういった意味では、医薬品と食品というのは非常に密接に関係をしているので、今回の統合で、それらがうまく効果を発揮するような形で研究が進められるというようなことを、ぜひ期待したい。いい意味、みんなそういうふうに思ってるんだろうというふうに思います。よろしくお願いをしたいと思います。
 ちょっとこの時間になりましたので、国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所については、ここでいったん議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 本日ご説明いただきました皆様におかれましては、ご多用の中ご協力を賜りまして、ありがとうございます。
 当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえつつ、今後主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続きご協力のほどをよろしくお願いを申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な質問ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合には、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じワーキンググループのほうで再度ヒアリングをお願いしたりすることがあるかもしれませんので、その際には、ご対応の方、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、国立健康・栄養研究所、医薬基盤研究所の皆様方には、ご退席をいただいてけっこうでございます。どうもありがとうございました。
(席替え)
(梅里分科会長代理) ここで、10分程度休憩を取りたいと思います。17時半から年金積立管理運用独立行政法人のヒアリングを行います。よろしくお願いいたします。
(休憩)
(梅里分科会長代理) 皆さん、おそろいですか。もうおそろいであれば、別に半まで待たなくてもいいかなと思いますけど。説明の側もよろしいでしょうか。はい。
 それでは、先ほど半からと申しましたけれども、皆さんおそろいのようですので、厚生労働省所管の年金積立金管理運用独立行政法人につきまして、ヒアリングを始めさせていただきたいと思います。
 本日は、厚生労働省の山崎審議官をはじめ、ご担当の皆様にお越しいただいております。年金積立金管理運用独立行政法人の見直し当初案の主要なポイントにつきまして、ご説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思います。
 全体の時間の関係もございますので、5分程度で説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
(山崎審議官) 年金担当審議官の山崎でございます。本日は、よろしくお願い申し上げます。
 お手元の資料1‐3でございますが、年金積立金管理運用独立行政法人、通称GPIFと呼んでおりますので、そういうことで略称させていただきますが、こちらに関します見直し当初案ということで、表紙をおめくりいただきまして1ページでございますが、こちらは、GPIFのガバナンスの仕組みの概要ということでございまして、独立行政法人としての一般的なガバナンスの仕組みに加えまして、GPIFにおきましては、この下の枠囲いの右側にございます運用委員会と、これは、金融経済等の専門家からなる委員会でございますが、こちらを厚生労働大臣が任命するという人事権がございまして、この運用委員会におきまして運用の監視を行い、必要に応じて意見を述べるというところが、GPIFのガバナンスの特色ということでございます。
 次に2ページにまいりまして、事務・事業の見直しの方針ということでございますが、上の枠囲いでございますが、GPIFは、厚生労働大臣から寄託されました積立金の管理及び運用を行いますとともに、その収益を国庫に納付するということで、年金事業の運営の安定に資するということを目的としているところでございます。ということで、適度なインフレ環境への移行など、長期的な経済運用環境の変化に即して必要な取り組みを行っていく必要があるところでございます。
 具体的には、社会保障審議会の年金部会に設置されました、ちょっと長い名前でございますが、年金財政における経済前提と積立金運用の在り方に関する専門委員会、この専門委員会における検討結果の報告、これは3月に出たところでございますが、さらに6月の『日本再興戦略』改訂2014の閣議決定、これにおきまして、所要の対応が求められておるということから、これらに基づきまして、私どもが考えております具体的な措置につきまして、以下述べさせていただきます。
 下の枠囲い具体的な措置でございますが、まず基本ポートフォリオの見直し及び機動的な対応ということでございまして、デフレからの脱却、適度なインフレ環境への移行などの長期的な経済・運用環境の変化に即しまして、基本ポートフォリオは、今回の財政検証を踏まえ、その見直しを実施するとともに、必要に応じて、中期目標期間中であっても機動的に見直しを行うということとしております。
 さらに、従来から実施しておりますリスクシナリオ等による検証につきましても、より踏み込んだ複数のシナリオで実施するなど、リスク管理体制の一層の高度化を図ってまいります。
 また被用者年金一元化法の施行に伴いまして、国共済など他の運用主体とGPIFが共同で作成いたしますモデルポートフォリオというもの、こちらを参酌して基本ポートフォリオを定めることとしております。
 次の○でございますが、専門性を生かした運用手法の見直し及び運用受託機関等の選定・管理ということでございます。運用対象の多様化等につきましては、被保険者の利益に資するということを前提といたしまして、各資産の収益力の向上や流通市場の整備等、市場環境の整備を十分踏まえまして、年金資金運用の観点から継続的に検討を行うこととしております。
 また日本版スチュワードシップ・コードということで、機関投資家が対話を通じて企業の中長期的な成長を促すなど受託者責任を果たすための原則でございますが、こちらを踏まえた対応を通じまして、被保険者のために中長期的な投資リターンの拡大を図ることによって、年金制度の運営の安定に貢献してまいります。
 また調査・分析等の充実ということで、経済環境や市場を的確に把握したポートフォリオ管理を実施するために、調査・分析等の能力を向上させ、併せて国内外の最先端の運用手法等に関する情報収集能力を向上させることとしております。
 おめくりいただきまして3ページでございますが。組織の見直しの当初案ということで、一番左、組織体制の整備ということでございますが、こちらに関しましては、昨年12月の閣議決定の基本方針や改訂版の再興戦略におきまして、ガバナンス体制の強化が求められておるというところでございます。年金制度、さらに法人の組織論等の観点から、今後の法改正の必要性も含めた検討を行うこととされているところでございます。
 運用委員会の機能強化等、ガバナンス体制の強化のための所要の見直しを行うということでございますが、8月20日に社会保障審議会年金部会で、このための議論を開始いたしました。今後の年金部会における議論を踏まえ、所要の見直しを行っていくこととしておるところでございます。
 次に真ん中の支部・事業所等の見直しというところでございますが、基本的方針や改訂版の再興戦略を踏まえまして、現在、法律の本則では、主たる事務所が神奈川県に置くということとされていて、経過措置によって東京都に置くということになっておるところでございますが、主たる事務所の所在地を、引き続き東京都とするという方針でございます。
 また、具体的な事務所につきましては、今後、高度なリスク管理が可能となる専門的な人材等の採用を行ってまいりますと、だんだん事務所が手狭になってくるという状況でございますので、それを踏まえまして移転を検討するということといたしております。
 一番右、専門人材の確保等による職員体制の強化ということでございますが、これにつきましては、下の枠囲いにございますように、職員数や給与水準の弾力化を行うために報酬体系の見直し等所要の対応を行いまして、高度で専門的な人材を確保するなど、職員体制の強化を図ってまいるという方針でございます。
 次に4ページでございますが、運営の効率化及び財務内容の改善に係る当初案ということで、まず運営の効率化ということにつきましては、具体的措置ということで下にございますが、高度で専門的な人材確保ができるよう、職員数や給与水準の弾力化等を図りますとともに、さらなる情報システムの機能拡充及び強化ということで整備を図るなど、運用高度化のための基盤整備及び強化を図ることといたしております。
 右側の財務内容の改善のところで、随意契約の見直しということでございますが、GPIFにつきましては、仕事の性質上、一般競争入札に必ずしもなじまない部分というのはあるわけでございますが、できるものにつきましては、一般競争入札等への移行を促進して、契約に係る透明性・公平性の確保を図る必要があると考えているところでございます。具体的には、下にございますような随意契約、一社応札等のものの点検を実施、あるいは企画競争で調達しているものについて一般競争入札に移行が可能かどうか検討する等の方策を考えているというところで、ございます。
 5分程度ということでございますので、以上、こういうご説明をさせていただきました。
(梅里分科会長代理) はい、ありがとうございました。
 それでは、ただいまご説明いただきましたGPIFの見直し当初案につきまして、ご質問などございましたら、どなたからでも、ご発言をお願いします。
 質問はないですか。河井委員、はい、よろしくお願いします。
(河井臨時委員) ちょっとランダムな聞き方をさせていただきますけれども。
 昨年来、いろんな見直しの議論が政府内でもあったようで、そこで運用委員会の強化と、あと専門人材の登用ということで環境整備を図っていくという今のお話につながってるかと思うんですが。
 例えば運用委員会の方も、今、非常勤の方が多いと思いますし、理事長1人でやるよりは運用委員会でやったほうがいいと、そういう考え方の基本方針について私も全くおっしゃるとおりだなとは思いながらも、具体的に運用委員会がどの程度、具体的な運用に関与するのか。逆に関与しないんであれば、やはり専門人材の登用を早急に進める必要があるんでしょうと思うんですが、その場合、今の体制から今後整備して、専門人材をどの程度ふんだんに登用されていく、時限的な何かめどみたいな、目標設定みたいなものがあるのかないのか。そこら辺を、ちょっと詳しく教えていただきたいと思うんですが。
(森参事官) 運用担当の参事官でございます森でございます。今の河井先生のご質問につきまして、答えさせていただきます。
 GPIFにつきましては、お手元の資料でちょっと引用させていますが、6ページに独立行政法人改革に関する基本方針というものが出されております。そこでご指摘のように、運用委員会の見直し及び高度で専門的な人材の確保について閣議決定されているところでございます。
 それで、まず運用委員会につきましては、これはまさに運用委員会で何をやるかという話。現行、運用委員会においてポートフォリオの作成とかもやっておりますし、まだ今の現段階では、運用受託期間につきましての選定にかかるとこのチェック等も行っております。
 このようなものの業務内容との関係でございますが、運用委員会につきまして複数の常勤委員を配置するという形で今閣議決定をいただいておりますので、それに向けて取り組んでおるところでございます。
 ただし、これ常勤となりますと、しかも下のほうにもございますし、高度で専門的な人材という形になりますと、その処遇をどうするかという話がございまして、3つ目の○にも関係しますけれども、高度で専門的な人材確保ということにつきましては、今、GPIFのほうで外部委託しまして、どの程度の処遇をすべきかということにつきまして、コンサルタントにお願いし検討していただいてるところでございます。これは、大切な年金のお金でもございますし、またお手盛りでもいけませんので、それは金融業界とか、そういうところで、ほんとにそういう専門的な人材を確保するためには、どのようにあるべきかというのを、第三者的に見ていただいているところでございます。
 それを踏まえて職員、給与水準のことを見直しまして、それを踏まえて検討していく予定でございます。
 また、専門性でございますが、ちょっと申し上げたところにございますが、今の運用者会議のほうでは、1つは、ポートフォリオ運用するにしても、普通のポートフォリオですと、一定の水準というのをいつもキープするようにするわけでございますが、むしろ市場の環境に合わせまして予測を踏まえまして、ある程度、乖離許容幅を利用した運用、もしくは検討ということで、今までは市場性のある伝統的な株式とか債券だけだったんですけれども、非公開株とかベンチャーとかっていう、そういうものも検討しなさいと言われてますので、こういうことになりますと、専門性というものが非常に変わりますので、それに応じて職員数とか求められるものも変わると思います。
 あくまで、より機動的な運用、デフレ脱却に合わせた運用ということでございますので、今の段階からどの程度、それが可能かというものにつきましては、ちょっとお示しすることはできないんですが、また他方、独法につきまして、今回の独法改革におきまして、独法の自主性とか等が強調されているところでございますが、まずGPIFのほうでよろしくご検討いただければと省としては考えてます。
(梅里分科会長代理) はい、よろしいでしょうかね。
(原田臨時委員) 基本ポートフォリオは、例えば中期目標期間中でも機動的に行うというような話もございましたし、また、確たる根拠があればアクティブなリスクもというような話もございました。
 そうなってきますと、国民の側からすると、お任せしておけば、それでいいんだろうというような時代では全くなくて、時々というか、これまで以上に頻繁に、GPIFのいろんな動きについて関心を持つでしょうし、どうなってんのというような、そうした声がやっぱり高まってくるだろうと思うんですね。
 そうしたものに対して、これまでどういうふうにやってきたのかということを前提に、これまで以上にこんなことをやりたいというような情報開示の在り方、特に分かりやすく適時にというか、伝えていくということが、おそらく必要になってくるんだろうと思うんですけども、その辺りをお聞かせいただけないでしょうか。
(森参事官) ご指摘の点、非常に重要なところでございまして。
 実は今、GPIFにつきましては、これ国内で見ても、かなり詳しい情報、例えば今私どもが採用してる受託機関につきましては、3年ごとでございますけれども、どの程度、個別者が運用実績は取れてるか等につきましても、業務報告書で公開する非常に稀有な法人になってます。また、四半期ごとに状況等を報告させていただきまして、そういう意味では、かなり情報は開示は進んでいると思います。
 ただ、ご指摘のように、1つ重要なのは、分かりやすくという話でございまして、それは先ほど山崎のほうからご紹介ございました社会保障審議会の専門委員会におきましても、このような基本的な運用をする場合によっては、国民により分かりやすくという話が指摘されてますので、これは課題として、これ考えさせていただきたいと存じております。具体的には、こういうホームページ等で分かりやすく、どのように説明していくかという話でございます。
 ただ、他方今、GPIFにつきましては、かなりいろんな報道がございますけれども、GPIFがちょっと動くと市場が動くとか、先回りとかそういう話もございますので、これはどのような、そういう市場影響に与えるかということも十分踏まえながら、これ情報を出していくことについては検討していかなければならないと、主務省としては考えております。
(原田臨時委員) 多分、国民の方々からすると、GPIFというのは、昨今いろんなマスコミをにぎわせているので、だんだん周知されて認知してるのでしょうけれども、普通の国民の方からすると、何だ、厚生労働省にお金預けてるんじゃないんだというようなところから、やっぱり分かりやすさというのが、多分これから必要になってくるのかなと、そういうふうな気がいたします。感想だけです。
(荒張臨時委員) 今いみじくも、情報がマーケットに与える影響がうんぬんという話が出たかと思うんですけれども、ちょっとそちらについて、ご質問したいと思うんですけども。
 かなり年金資金の運用の方向性といった点で、インサイダー、こういったリスクがまず一方であるとともに、これは内部の職員ですとか、もしくは受託運用機関とか、最近は、ちょっと種類は違うんですけども、いろんな情報漏えいというのは、企業さんも非常に頭を悩ませてるところでして。その辺について、どういったお考えをお持ちかというところと。
 それからもう1つ、最近よくいわれているのがサイバーアタックでして、これはやっぱり外部からの攻撃になるんですけども、これはけっこう防げないというのがもう常識になってきている中で、どのように対処するのか。こういう方向で行こうっていう情報が、いつの間にか情報発信されて、それがこっそり運用のほうに使われていくということも当然考えられるわけでございますけれども、これについて、内部と外部と両方からの情報流出、情報漏えいというのが、非常にこの法人にとって重要なリスクかと思いますけれども、いかがでしょうか。
(森参事官) まず、法人だけじゃなくて、私のようなある種GPIFの情報を知り得る者のほうの情報管理もあるかと思いますけれども、これは厚生年金保険法におきまして運用職員の規定といいまして、これは例えば情報漏えいしたら、国家公務員法の特則として必ず懲罰があるような形の特則が定められております。うちの局内では、非常に特別の規則がございまして、私は株式を一切持たないという立場にはございます。
 GPIFの関係は、ちょっと担当理事のほうから説明させていただきます。
(大久保理事) 理事の大久保でございます。
 まずGPIFについては内部職員、これは公務員と同じように、今見なし公務員に法律上なっておりますので、守秘義務が当然かかっておるということでございます。
 それから、うちの職員については、役職員については株は一切持っていません。
 それからあと内部情報については、うち内部統制で情報セキュリティ、ポリシーを作りまして、当然、機密情報についてはレベルを定めて管理するし、またアクセス制限、アクセスについても制限する等、かなり厳格にやっております。
 それから外部、例えば受託機関につきましては、これは当然、投信と契約結びますけれども、その中で守秘義務契約をきちんと規定させていただいております。
 それから受託機関について選定する際は、内部におけるコンプライアンスなり情報管理、この辺をきっちりと審査し、当然、現地の事務所も行き視察しますので、その辺は現場でも確認していると、そういう取扱いでございます。
 あと運用委員ございますけれども、運用委員につきましても、これは見なし公務員になりますので守秘義務がありますし、あと例えば会議資料につきましても、機密情報については当日委員会の現場で資料を回収するとか、そこはかなり厳格にやっておりますので、そういう意味では一定のセキュリティは保たれているだろうと。
 あとサイバー攻撃、これは正直申しまして、うちもあります。それで今年も3月、4月にシステムを変えておりますけれども、かなり、そういうセキュリティのレベルを上げております。
 それから、個人のメールアドレス等、これについても適宜変えるとか、その辺はやはり厳重に対処していくということでございます。
 以上です。
(荒張臨時委員) 感想なんですけども、特にサイバーアタックですと、かなり入られてしまうというのが、もう常識化してきているというのは先ほど申し上げたとおりなんですけれども、どうやって早くその状況を見つけるかっていう観点が必要なので、特に金融機関、それ以上のレベルでやらなければならないところだと思うので、そこはぜひ、引き続きご検討いただいたほうがいいのかなと思うのと。
 あと、先ほど来から、守秘義務の話に寄っているんで、非常にある意味、精神論になってしまっているところがあるのかなというのが、ちょっと感想でございます。
 ですので、やはり法人として、どうモニタリングをするのかっていうところが、物理的なモニタリングというところは、もう少し強化したほうがいいんじゃないかなというのが、私も実は不祥事対策ずっとやってるものですから、そういう観点から、最近サイバーとか情報管理というのは非常に話題になってるんですけども、ちょっと気になりましたので、提言させていただきたいと思います。
(宮本臨時委員) 質問をちょっとさせていただきます。
 閣議決定もあって、いろいろ改善、改革は求められているということなんですが、その以前に、厚労省さんあるいはGPIF自身として、現状、これまでの実態を踏まえて改革の必要性というものを考えて、次の中計に反映するというところというのは、ありましたら、ご説明いただきたいと思います。
 それから、今改革を求められているのに対して進めているということで、今日もあまり機微にわたることは質問はできないんですけれども、そこら辺、具体的に分かりましたら、またいろんな質問をさせていただければと思っておりますが。
 まず、独自にどういう改革が必要か、あるいはどうかという辺り、いかがでございましょうか。
(森参事官) すみません。まずは年金積立金の運用につきましては、先ほど申しましたように、実は、社会保障制度審議会の専門委員会につきましては、これは有識者会議が出る前から、3年余り、年金財政の前提とともに積立金の在り方について検討させていただいてる、私ども厚生労働省のほうで始めた検討会であるということを、ちょっと申し添えておきます。
 その中で、1つは年金の積立金でございますので、まずは財政計上に沿ったということが重要でございますが、その他、利息許容度をどういうふうにするのか、もしくは年金積立金の目標の与え方にどうするのかにつきましては、これは、いろんなご議論が過去ありましたので、有識者の方にいろいろご議論をいただきまして、ちょっと内閣官房の有識者会議というのがそれを後押ししたということもございまして、私ども盛り込ませていただいたところでございます。
 ちょっと別途、法人のほうからご説明させていただきますが、内部統制の在り方とか、この間、私ども厚生労働省におきましても独法評価委員会等でご説明してきたところでございますが、いろいろと内部統制の強化等も進めてきておりまして、法人、先ほど私も自主性と独自性と言いましたけれども、できることを着々と進めているものだと省のほうでは考えております。
(大久保理事) GPIFの立場から、お話しさせていただきますと。
 私どもは、国から目的を持って委託をされ、当然、それに伴う人のお金を与えられ今までやってきたと。正直な話、かなり制約の多い中でやってきております。
 それで、今お話ありましたように、今般、有識者会議等で提言ありますが、ただ、あそこで言われているものというのは、結局、われわれの少ない資源の中で、着実に一歩一歩進めてきたもの、そういう方向性のものでございます。例えばオルタナティブの投資にしろ、先般やりました基本ポートの見直しにしろ、これはやはり、今の三谷理事長のリーダーシップで資源を何とかやりくりしながら、そのかわり、一足飛びにやるわけにいかないですが、積み上げの中でやってきたものということで、結局、われわれが今まで積み上げてきたものの延長線だろうというふうに思っています。
 それから内部統制につきましても、そもそも今の体制、役員体制にしろ、これは国から与えられたものなので、私ども独法というのはなかなか難しいところでございましたけれども、やはり今、独法ですからしょうがないんですけども、理事長が基本的には決めていくという中で、やはりもう少し運用委員会もそうかもしれませんけども、専門家を含めて、いわゆる合議制的にやっていくのがいいだろうというお考えもお持ちで、そういう方向で今回向かっております。
 そういう意味では、今進んでいる方向性というのは、今までやってきたわれわれの方向性でもあり、それをいかに、次の中期計画なりで具体的にやっていくのか。これはまた人、物、金にも結びつきますけども、そこが非常に重要であろうというふうに思ってます。
(宮本臨時委員) ありがとうございます。あと、いろいろ期待がかかわってるといいますか、そういう中で行きますと、それぞれのポートフォリオの設定にしろ、それから運用機関の選定にしろ、その妥当性というのが非常に国民から関心持たれるところだと思いますが、時間的に即時開示というのにはなじまないとは思いますけれども、意思決定が妥当に行われたということを、事後的にでも国民に開示できる仕掛け、仕組みとしては現状で十分なのか、何か、さらに考えておられるのか、その辺をお知らせください。
(森参事官) 運用委員会につきましては、現状ですと、できるだけ早く、議事概要みたいなものについてはお知らせする。
 ただ、今実は基本ポートフォリオの見直しとかを実施しておりまして、これを例えば運用委員会で、この時はこんな議論だったと議事要旨でも出しますと、これちょっと近々な例で言いますと、うちの大臣の一言で、こないだ為替がちょっと動いたみたいなこともございますので、市場影響というのはよく考えなきゃいけないと思いますが、それは適宜速報に、概要については出していく。
 それで、今のところ私どもは、諸外国、いろんな機関の例とかも見まして、7年後ですか、7年後に運用委員会の議論については全文開示するという形でございまして、これは両論ある話でございますので、ちょっとやっぱり適切なものが、何が適切かについては、これはご指摘のとおり常に検討していかなきゃならない課題だとは存じております。
(宮本臨時委員) ちょっと、よろしくお願いしたいと思いますが。
 関連して、調査研究といいますか、いわゆる非常に重要な意思決定をそれぞれされる、役立つツールといいますか解析手段といいますか、そういうものとして、現状でももう十分なものを持っているのか、あるいは、どういう部分が弱くて、今後の展開において調査研究なり何なり進めていかなければいけないと思われるのか。その辺りをお聞かせいただきたいのと。
 あと、いわゆる調査研究と称するものが、聞くところによりますと、外部委託が多いというふうに聞こえるんですが、今後の情報管理ということを踏まえますと、外部の方がGPIFがどういう管理ツールを持ってるんだという詳細を承知してていいのかどうかみたいなところも含めて、ちょっとお聞かせいただければと思います。
(森参事官) じゃあ私のほうから、簡単にご説明をいたしまして、何か詳細がございましたら、法人のほうで説明させていただきます。
 ご指摘のとおり、調査研究については非常に重要な話でございまして。特に、先ほども申しましたけど、例えばポートフォリオにつきまして、経済金融情勢に合わせて、むしろ積極的に切るとか変えていくことになりますと、これは経済情勢なり金融情勢について的確な判断ということが必要でございまして、その面の調査というのは、また重要になってくると考えております。
 これはまだ中には、かなりうちの事務局も4割は金融機関等の中途採用者でございまして、これは博士号を持って大学で教えてる者もけっこうございまして、日々のリスク管理につきまして、内生的にいろいろ作ってやっておるところでございまして、ちょっと金額だけで見ますと、内生的にやると、いわゆる金額に出てこないので、ちょっと外に出す、発注してる調査は目立つんですけれども、調査自体、研究自体は当然中でもやっておるというところでございます。ちょっと何かあれば。
(大久保理事) 調査研究につきましては、結局これもマンパワーとの関係が、どうしても出てきてしまうと。
 私ども、基礎研究から実際の運用、実践の運用、具体的なものについてまで幅広くやりますけれども、やはりどうしても手数のかかる、マンパワーのかかるものは、今の体制では難しいので、それは実際に、そういうものの専門性があるところに外部委託をせざるをえないと。
 これがまた専門性を持った人がもっと充実してくれば、それはすべてとはいかないでしょうけども、内生化というのは拡大していく方向性にはあるのかなという気がします。
 それとあと、私ども、そういう実践的なものとともに、大学との共同研究もやってまして。これはどちらかというと基礎研究的なもので、これは当然、将来的には実際の運用に結びつくとともに、あと内部の人材育成ということも兼ねてまして、そういう面でも取り組んでいくというのは1つございます。
 それから外部に委託する場合については、当然そういう守秘義務的なものは守っていただくことになると思いますけれども、今のところ、そういう何かうちの専門情報が流れてどうのとか、それで不都合なり不便を感じたということは、今のところはございません。
 それから、じゃあ、今、内部的にいろいろな調査研究なりツールなりが十分かというと、それは十分と言えるほどではないと思いますが、一定のところまで来てると思いますが。
 ただ、今後、有識者会議にもありますように、2つの点で、特に近々に強化していかなきゃいけないだろうなと考えているものもございます。
 1つが、やはりポートフォリオのリスク分析で。今後、当然私ども、資産サイドというものもありますけれども、厚労省のほうで給付する年金の負債サイドもあるわけで、やはりこれを両方統合して分析できるようなものを私たち自身でもってリスク分析していくというのが重要だろうということで、それを手掛け始めてます。
 それからもう1つが、有識者会議の機動的ポートフォリオの運営、フォワードルッキングというようなことを言ってますけども、やはりそのためには、経済、市場環境をやはり自前で調査できるようにしていく必要があるだろうと。やはりこの辺はまだ十分ではないので、今のところ、そういう専門の経営コンサルを採用して、その助言を受けながら、やはり今後内部の専門人材も採用して、これを併せて総合的に、その辺の十分な能力というのを高めていく必要があるだろうと、そういう取り組みを始めております。
 以上です。
(梅里分科会長代理) はい。それでは大体、よろしいでしょうか。
 それでは、時間の都合もありますので、年金積立金管理運用独立行政法人につきましては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。
 本日ご説明いただきました皆様におかれましては、ご多用の中ご協力を賜りまして、ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続きご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で、十分な質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合には、後日事務局を通じて照会したり、必要に応じワーキングで再度ヒアリングをお願いしたりすることがあるかと思います。その際には、ご対応方、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、年金積立金管理運用、何かございますか。はい。
(宮本臨時委員) 今の流れでワーキンググループとして、ちょっと本部を一度見させていただこうというご相談をさせていただいておりますので、ご協力よろしくお願いいたします。
(梅里分科会長代理) はい。それではGPIFの皆様方は、ご退席いただいてけっこうでございます。どうもありがとうございました。
 以上で、本日予定の見直し当初案に関する省からのヒアリングを終了いたします。
 このあと、事務局から報告事項がありますので、ちょっとお待ちください。
 はい、それでは、事務局よろしくお願いいたします。
(竹中管理官) はい。次回の独立行政法人評価分科会のほうでございますが、9月の29日月曜日1時30分から3時30分まで、2時間行います。場所は、今日の場所とは変わりまして合同庁舎2号館、われわれが入ってるところでございます、の第1特別会議室で行います。見直し法人は、経済産業省所管の産総研とJETROのほうとなります。
 以上でございます。
(梅里分科会長代理) はい、どうもありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。
 本日はご多用の中、長時間にわたり会議にご出席を賜りまして、ありがとうございました。以上でございます。

以上

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