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第7回独立行政法人評価制度委員会議事録

日時

平成28年8月8日(月)10時00分から11時10分まで

場所

中央合同庁舎2号館8階 第一特別会議室

出席者

(委員)野路國夫委員長、樫谷隆夫委員長代理、岡本義朗委員、原田久委員、関利恵子委員、土井美和子委員、栗原和枝委員、橋伸子委員、中村豊明委員、梶川融委員
(事務局等)山下行政管理局長、堀江官房審議官、黒田管理官、石田管理官他

議事

  1. 平成28年度における組織・業務の見直し対象7法人についての検討状況
  2. 「平成28年度における独立行政法人評価制度委員会の評価に関する取組について」を踏まえた状況報告
  3. その他
配布資料
 

議事録

【野路委員長】  それでは定刻となりましたので、ただ今から第7回独立行政法人評価制度委員会を開会いたします。本日一つ目の議題に入ります前に、この6月に事務局において幹部交代がありましたので、一言御挨拶をお願いいたします。
【山下行政管理局長】  失礼いたします。行政管理局長を拝命いたしました山下でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私はその昔、省庁改革に携わっておりまして、独法制度を作りました際、検討に参画しておりました。先生方の中にはその頃からずっと一貫してお世話になっている方もいらっしゃいます。独法も平成13年に制度が発足して以来15年がたちました。その間、独法制度を作るに当たって役所と法人との関係が不分明ではないかということから、いろいろ制度の統一等をやってきたところでございますが、そのために独法というものをひとくくりにしての議論が行われてきたところも、一面としてあろうかと思います。独法制度が当初予定してはいなかった整理合理化といった議論も、これまで累次繰り返されてまいりまして、それも一昨年に法改正を行ったところで一応一段落となったところでございます。独法制度はこれから次のステージに向かっていこうということになろうかと思います。また、先生方のお知恵を是非お借りしながら、いろいろ独法及び制度を良くしていくよう、議論を積み重ねてまいりたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
【堀江審議官】  審議官を拝命しました堀江でございます。よろしくお願いいたします。
【野路委員長】  ありがとうございました。それでは、議題1について、事務局から説明をお願いいたします。
【黒田管理官】  7月に独法評価担当の管理官に着任いたしました黒田でございます。どうぞよろしくお願いします。
 本日の議題1でございますが、今まで各ユニットのほうで法人を訪問し、ヒアリング等をしていただいた結果をまとめましたので、現時点での中間的な検討状況を御報告させていただきます。順次、各法人について、担当管理官から御説明させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【石田管理官】  6月に財務省から異動してまいりました石田と申します。独法制度の総括及び外務省を担当いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料の最初のページに、本日御説明する7法人のリストが書いてありますが、私からは、そのうちの最初の二つ、外務省所管の国際協力機構(JICA)及び国際交流基金について、現時点での検討状況を御報告いたします。第1ユニットにおいて、先生方にはJICA及び国際交流基金を地方出張も含めていろいろ訪問していただき、ありがとうございました。その成果も踏まえての検討状況の御報告でございます。
 2ページ目に、三段表の形で国際協力機構の資料がございます。左側が項目、真ん中の段がその項目についての問題意識と論点、右側が備考ということで、参考となるような資料等が書かれております。
 まず、国際協力機構、論点は4つございます。一点目の御説明ということで、左側ですけれども、民間連携事業の推進でございます。真ん中のところの実態、問題意識等のところを御覧いただくと、事業の概要が書いてありますが、この事業は、開発協力大綱、日本再興戦略、こういった閣議決定等に基づいて行われております。そもそもJICA自体は開発途上国の問題解決に長年取り組んできておりますが、それにとどまらず、国内企業の海外展開といったものと結びつけることによって、当然、開発途上国の課題解決は必要なんですけれども、併せて我が国経済の活性化も達成しようということで行われている事業でございます。
 次のポツのところですけれども、基本的には各地でセミナーを行って、応募があった民間企業の中から、中身を精査して案件採択をするという取組をしているところでございますが、その応募の件数を見ると、実績は前年度を下回っており、それから、大都市圏に集中しているといった状況でございます。こういった点を踏まえて、論点でございますけれども、開発途上国の課題解決に資するという、他の中小企業等の支援機関にないJICAの特色を活かす観点から、もう少し事業のやり方に工夫が必要ではないか、先行事例の分析ですとか、国内企業の実態を把握して積極的にJICAから、こういった企業、業種に応募してほしいということを促す等、より戦略的に事業を実施する枠組みを構築するべきではないかというのが一つ目の論点でございます。
 二点目及び三点目の論点でございます。いずれも目標の改定、あるいはその実施体制をもう少し効果的にできないかという論点でございます。二点目は評価体系の話ですが、開発援助効果に着目した目標設定でございます。実態、問題意識のところを御覧いただくと、基本的には目標設定に当たってはできる限り定量的な、アウトカムに着目した目標が望ましいのですが、現行のJICAの中期目標は政府のODA大綱に基づいて効果的に事業を実施するといった、かなり定性的な目標が多くなっております。アウトプットの目標もございますが、業務の達成、調達の関係、あるいは業務の実施体制に関わるようなアウトプットの目標しかない状況でございます。
 他方で、JICA自体は各種援助を行っている中で、個別の事業については、事業評価ということで毎年、事前、事業の実施段階、それから事後で、かなり綿密な評価が行われております。独法の中期目標自体はかなり抽象的である一方、個別の事業評価はかなりしっかりしたものが行われておりますが、これらの間をつなぐような、JICAの活動を示すような目標が今のところ盛り込まれておりません。せっかく良い仕事をしていても、仕事ぶりが外から見えにくく、あるいは目標に対してどれだけ成果が上がっているのかが分からないような目標となっているということでございます。
 論点のところですけれども、開発援助に係る政策・施策と個別事業の関係性を明らかにした上で、一個一個の事業自体は一定の目標、政策を達成するために行われているものだと思いますので、両者をつなぐようなJICAの活動の成果をより的確に示す目標を、アウトカムに着目し、できれば定量的に設定することが望ましいのではないかというのが二点目の論点でございます。
 三点目ですけれども、開発援助事業のPDCAサイクルにおける責任体制と成果の明確化、要は、そういった形で法人の活動を示すような目標を作った上で、それを実施する責任体制とうまくリンクさせて、目標達成を組織立てて行っていけるような体制をつくるべきではないかというものです。
 実態、問題意識のところですけれども、法人の長のリーダーシップに基づく自主的・戦略的な運営、適切なガバナンスが必要というのは当たり前な話だと思います。 JICAの事業には、JICAの本部、在外事務所だけでなくて、相手国政府等、外の主体、民間企業、そういった様々な主体が関与しているという状況です。
 それから、JICAの本部の中でも、各種援助事業を実施する国・地域への支援ということで、地域という側面と、それから、平和構築といった課題解決といった側面があるということで、地域部と課題部がそれぞれ協力しながらやっている状況ということで、様々な主体が関与しているということでございます。
 論点のところにありますけれども、個々の援助事業の組成、実施及び評価並びに予算執行・監理も含めた組織内の責任体制と、事業の成果、目標の達成の責任体制とうまくリンクさせることによって、組織だって目標達成に取り組んでいける体制を構築すべきではないかという論点でございます。
 次に四点目ですけれども、安全対策の話ということで、御案内のとおり、各種事件が起きているところで、外務省とJICAとの間で国際協力事業安全対策会議というものを設置し、今、安全対策の取組を検討している状況でございます。
 論点のところでございますが、そういった会議の検討結果も踏まえて、実効性のある安全対策を実施すべきではないかということで、そういったものを目標の中に盛り込むべきではないかという論点でございます。
 以上がJICAの関係です。
 続きまして、国際交流基金ということで、資料6ページ目になりますけれども、こちらも4点の論点がございます。一つ目が地域目標、それから、地域別事業方針ということで毎年作っているものですけれども、そこに定量的な目標が作れないかという論点でございます。真ん中のところ、問題意識、論点のところですけれども、実態、問題意識、現状は、下線がありますけれども、個々の事業の実施を通じて目指すべき成果や目標が定量的・具体的に記されておらず、今の目標自体は、こういうものを行いますという事業が書いてあるだけで、その先で、その事業を通じて何を達成すべきかということが抜けている、そんな状況でございます。
 次の下線のところですけれども、的確な事後評価が可能となるような目標・指標の設定が必要ではないかということで、論点のところですけれども、定量的な目標を地域ごとに具体的に定めた上で、そういった目標に基づいて事業費の適正な地域配分を実施すべきではないかというものでございます。
 二点目は安全の確保ということで、先ほどのJICAと同様ですけれども、安全対策の取組が現行中期目標にはあまり書かれていませんので、具体的な方策等について記載すべきではないかというものでございます。
 三点目、7ページ目の真ん中ですけれども、日本研究・知的交流事業における事業実施後のフォローアップの推進ということで、各種交流事業で日本の研究者、あるいは文化人等々を日本に呼んだりするということで、いろいろなプログラムをやっていますけれども、フォローアップの取組はあまり行われていない。右側にアメリカの例、韓国の例ありますけれども、個別地域でやや散発的な取組にとどまっている状況でございます。こうした状況を招いているのも、地域目標の中で、こういった事業をやりますということが書いてあるのですが、事業を通じて達成すべき目標というのが具体的・定量的に定められていないといったことが背景にあると考えております。
 論点のところですけれども、交流後のフォローアップを継続的・体系的に行う枠組みの構築が必要ではないかということで、そういったものが行われるよう、中期目標等において的確な事後評価が可能となるような目標・指標の設定が必要ではないかというものが三点目の論点でございます。
 最後、四点目ですけれども、アジア文化交流強化事業の関係です。この事業自体は、下の※のところに書いてありますけれども、平成25年に開催された日・ASEAN特別首脳会議において、安倍首相が表明した「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト」に基づく事業ということです。右側の実態、問題意識のところにも記載してありますけれども、下線のところで書いてあるとおり、3,000人派遣、1,000人人的交流、1,000件以上事業を行うという具体的な数値目標が総理から表明されております。
 論点のところにありますけれども、そういった数値目標がございますので、中期目標の中でも具体的なアウトプット目標を設定すべきではないかということ、それから、そういった事業を通じて何を目指しているのかということで、できる限り本事業の成果に着目したアウトカムの目標も設定すべきではないかというのが四点目でございます。
 以上、外務省関係です。ありがとうございました。
【川上管理官】  続きまして、6月28日付で国交省、復興庁担当の管理官に着任いたしました川上と申します。よろしくお願いいたします。引き続き私から、国交省所管2法人につきまして、法人へのヒアリングですとか現地調査等を踏まえての検討事項を御説明させていただきます。
 まず最初に、自動車事故対策機構でございます。資料9ページ目になります。この機構の検討事項のまず一つ目といたしまして、本法人は事業用自動車の事故防止のために運行管理者への講習ですとか、運転手への適正診断などの安全指導業務を行っておりますが、本業務は、平成25年の独法の事務事業見直しの基本方針に係る閣議決定におきまして、民間参入を進めることとされております。このページの備考欄にございますように、平成27年度、28年度で、民間事業者の参入はそれなりに進んできております。ただ、安全指導業務というのは、自動車事故防止を目的としておりますので、講習内容等、質の確保の観点からは、全国一律の方法・内容で実施されることが望ましいと考えられるわけでございます。この自動車事故対策機構におきましては、民間参入事業者に対する講師の研修ですとか、テキストの提供を行っていくこととされておりますけれども、中期目標においては、これらの研修等について、民間参入事業者の要望を踏まえた上でということでありますけれども、定量的な目標を定めて計画的に実施すべきではないかということでございます。
 資料10ページ目になります。二点目といたしましては、療護施設への入院希望者の待機期間短縮についてでございます。この機構は、自動車事故に起因する遷延性意識障害、重度・長期での寝たきりの意識障害者の治療を専門的に行う療護施設を8施設運営しておりますが、具体的には千葉療護センターの事例ですけれども、都市部における療護施設の入院までの待機時間が3か月から4か月という状況でございました。遷延性意識障害に係る治療というのは、早期に治療するほうが効果的であるということもあるので、委託病床の増床の検討を進めていくことにより、入院までの待機期間の短縮を図るべきではないかという点が検討事項として上げられるのではないかと考えております。
 続きまして、二つ目の法人になります、11ページ目、12ページ目になりますが、住宅金融支援機構でございます。この機構は、本法人が、一般の金融機関による住宅の建設等に必要な資金の融通を支援するために、貸付債権の譲受等の業務を行うとともに、一般の金融機関の補完等の業務を行うことによって、住宅の建設等に必要な資金の円滑かつ効率的な融通を図り、国民生活の安定・社会福祉の増進に寄与する。これは法律に書かれてございますけれども、そういったことを目的とした法人でございます。本法人の来期の中期目標期間で目指す方向に関してですが、現在のところ、良質な住宅への誘導と、中古住宅流通、リフォーム市場の活性化に関するような点と、住宅金融市場における安定的な資金供給の支援と、そのノウハウの提供を通じた、民間金融機関の支援・補完に関することという二つの視点が考えられるのではないかと考えております。
 一点目でございますが、我が国の住宅施策におきまして目指すべき住宅市場の姿につきましては、新築中心の住宅市場から、リフォームによる住宅ストックの品質・性能を高めて、中古住宅流通により循環利用されるストック型の住宅市場に転換することとされておりまして、本年3月に閣議決定されました住生活基本計画におきましては、それらを実現するための目標として具体的な数値が記されております。11ページ目の備考欄に記してございます。
 本法人は、前身である住宅金融公庫時代から一貫し、融資対象とする住宅につきましては、よりレベルの高い技術基準への適合というものを条件としまして、良質な住宅への誘導を図ってきておりました。このような良質な住宅を適切なリフォームで維持し、中古住宅流通で利用されるようにするためには、金融面からの誘導というものも重要になってくると考えられますので、本法人が持つ建築に関する技術面での経験ですとかノウハウを活用して、中古住宅流通、リフォーム市場の活性化に資する金融商品の開発について検討すべきではないかという論点でございます。
 次の二点目でございます。資料12ページ目の2のところになりますけれども、本法人は、地方公共団体と協力して、老朽化マンションの建て替え・改修の促進、密集市街地の解消を図るためのまちづくり融資というものを実施しております。いろいろな戦略を踏まえまして、都市機能の更新、防災機能の向上など、安全で質の高い住宅ストックへの更新というものが求められているところでございますけれども、ここで、地方公共団体だけではなくて、こういったまちづくりに関するプロジェクトについては、任意団体、NPOでございますとか、あと、コンサルタントというものに対しても効果的に働きかけて、周知を図ることが重要ではないかと考えられるところでございます。実際にこれは震災復興の関係でございますけれども、石巻において実際に住宅金融支援機構が支援した事例を委員と視察させていただきましたが、まさに自治体というよりも、コンサルタントが中心となって再開発を実施した事例でもございまして、そういったところのタイアップと言いますか、ネットワークをつなげることも重要ではないかと考えられるところでございます。
 また、こういった再開発事業の場合、初動期での資金需要が重要ではありますけれども、権利関係が錯綜している等の関係もありまして、なかなか民間金融機関では対応が困難な例も見受けられますものですから、民間金融機関が本分野に参入しやすくするために、リスク評価ですとか、融資実行のための手順の整備、そういったものを検討すべきではないかと考えております。
 以上でございます。
【砂山管理官】  引き続きまして、第2ユニットでございます。総務省担当管理官の砂山でございます。私からは第2ユニット担当法人のうち、総務省所管の郵便貯金・簡易生命保険管理機構について御説明いたします。資料の14ページでございます。
 少し前置きが長くなりますけれども、これまでも御説明しておりますとおり、本法人は、郵政民営化に当たりまして、民営化前に預けられた定期性郵便貯金、あるいは民営化前に契約をされました簡易生命保険等につきまして、政府保証が付されているなどの理由で株式会社郵貯銀行、あるいは株式会社簡保生命保険に引き継げなかったものを日本郵政公社から承継して管理をしております。他方、貯金の払戻し、保険金の支払い、資産運用等の業務については、法律の規定に基づきまして、それぞれ郵貯銀行、簡保生命保険、日本郵便に業務委託をされております。したがいまして、本法人は一般的な貯金あるいは保険業務のメインとなる機能以外の部分を実質的に担っておりまして、具体的には広報活動、業務委託先の監督、訴訟・苦情対応等を行っております。ユニット会議では、法人の事務所の視察及び理事長をはじめとする幹部の皆さんとの意見交換を行いまして、ユニットとしての論点の議論も行いましたけれども、そこでのキーワードは、「本法人の主体性」ということでございます。果たして本法人が主体的に努力をして成果を上げられる業務とは何なのかというところがポイントになります。その観点から申し上げますと、本法人の業務について柱となる論点は実質的に一つに絞られます。
 改めて14ページを御覧ください。項目1のところにございますとおり、満期が到来した郵便貯金、支払義務が発生した簡易生命保険の早期の払戻しや支払いのための取組強化でございます。実態といたしまして、昨今、満期が来ても預金者において払戻しがされず、さらに一定期間が経過することによって郵便貯金の権利が消滅するという、いわゆる「権利消滅金」の発生額が増えておりまして、また、簡易生命保険についても、支払時効の完成により契約者に保険金が支払われないという「支払時効完成額」が増加傾向にございます。特に平成26年度以降の増加が顕著となっておりまして、そこで民営化以前に預け入れ、あるいは契約された郵便貯金、簡易生命保険契約につきまして、満期の到来や支払義務の発生を預金者や保険契約者に的確に認識していただき、早期の払戻しや支払いに結びつけることが重要となっております。特に郵便貯金の権利消滅につきましては、本来利用者に帰属すべき権利が結果的に消滅することとなりますため、独法といたしまして、その未然防止に向けた努力について厳しく説明責任が求められるということでございます。
 論点といたしまして、これまでの周知・広報の取組の効果について、より実態に即した把握が可能となる手法を検討し、把握・検証を行うべきこと。そして、二つ目といたしまして、その結果を踏まえ、権利消滅や時効完成の減少に向けた一層有効な方法・内容を検討し、具体的かつ定量的な目標を設定すべきこと。
 そして、三点目といたしまして、その目標を中期目標において明記すべきこと、といったあたりが考えられます。
 ただ、もちろん、これは「言うは易し行うは難し」であることは重々認識しておりまして、果たして何をどうすれば効果的なのか、それを評価するためにはどのような指標を設定するのが有効かつ合理的なのか、なかなか難しい問題ではございますけれども、引き続き第2ユニットの先生方と緊密に相談し、お知恵をいただきながら、総務省の担当課と議論を深めてまいりたいと思います。
 論点として、これ以外に2点掲げてございますけれども、時間の制約もあり省略いたします。総務省所管法人については以上でございます。引き続き、第2ユニットの文部科学省及び厚生労働省所管法人について御説明いたします。
【中井管理官】  文部科学省及び厚生労働省を担当しております中井と申します。よろしくお願いいたします。
 では、2法人についてご紹介いたします。最初に、文部科学省所管の科学技術振興機構についてでございます。論点は三つございまして、まず一点目は、橋渡し機能の強化でございます。備考欄にございますけれども、本年6月に閣議決定されました「日本再興戦略2016」の中で、成長戦略、とりわけ第4次産業革命の実現に向けてという文脈の中で、橋渡し機能の強化ということがうたわれております。つまり、科学技術の基礎から応用へ、応用から社会的実装への段階ということで、そうした橋渡しの機能を強化すべきだということですけれども、この研究開発法人全体をうまく活用していこうということになっておりまして、本法人につきましても、次期中長期目標において、こうした橋渡し機能の強化につながる具体的な取組を明記するとされているところでございます。したがいまして、こうした取組をすることになった以上、どのような成果を目指すのかが明確なアウトカム目標を設定し、明記して取り組むべきではないのかというのが一点目でございます。
 二点目でございますけれども、論文等の文献の収集、整理、保管、提供等業務の見直しでございます。国内外の科学技術関係の論文等の文献について、収集、整理、保管、それから、それを提供するという業務を本法人は行っておりますけれども、近年の利用実績はかなり低調になっております。皆様御承知のとおりでございますけれども、世界的にオープンサイエンスの流れがあり、各論文につきましても、多くのものについては無料でインターネットから利用できる状態になっておりますので、こうした業務について、廃止も含めた見直しを行うべきではないのかという議論がございました。なお、ユニット会議において、本法人にとどまらず、我が国全体としてどういうふうな文献を収集し、若しくは保管し、提供していくのかについても、少し考えてみるべきではないかという御指摘がありましたことを併せて御紹介いたします。
 三点目、少し似たような話ではございますけれども、科学技術の文献情報提供事業の見直しでございます。本法人におきまして、科学技術文献についてのデータベースを構築いたしまして、それを研究開発者等に提供することによって収入を得ております。これも先ほどと同じでございますが、無料でのインターネット検索サービス等も存在しているところでございますので、こうした事業の在り方について見直しを検討すべきではないかというのが、本法人についての論点でございます。
 引き続きまして、資料19ページにまいりますけれども、労働政策研究・研修機構についての論点でございます。4点ございます。まず一つ目についてですけれども、機構が行う労働政策研究の意義、成果、労働政策への反映についての明確化でございます。本法人の一つの大きな柱でございます労働政策の研究ですが、様々な研究を行っているわけですが、実際にそれがどう役立っているのかという点でございます。法人に実際にお話を伺った際にも、例えば、各府省への提出資料、審議会での配付資料で用いられる件数の御説明がありましたが、それが実際に、例えば制度にどう反映されたのかという実績は現時点で不明になっております。また、本法人に関わる論点の多くに共通することですが、実際に実績が上がっている中で、目標値を大幅に上回っているという御説明があるのですけれども、その目標値の設定根拠自体が乏しい。有り体に申し上げれば少し目標の設定が甘いのではないかという問題意識がございまして、こうした問題意識をもとに、実際にこの法人が独法として行うべき研究が具体的にどういうものかを明確に示すべきなのではないか。それに当たって、合理的な目標をきちんと設定して行うべきなのではないかというのが一点目でございます。
 それから二点目、研究成果の普及、それから、労働関係情報の収集・整理の一層効果的な実施でございます。こちらについて、かなり古い歴史的なものも含めて、いろいろな情報を収集しておられて、それ自体は非常に価値のあるものだと思っておりますけれども、それを収集・整理することによって、具体的に何を達成することを目標とするのかがよく分からないというのが、この点でございます。さらに普及という点においては、ホームページ等での提供ということで、延べ100件という目標を掲げていらっしゃるわけでありますけれども、この100件というのもどういう設定根拠に基づいて定められているか、根拠が乏しいのではないかということでございます。したがいまして、こうした収集・整理によって具体的に何を目標とするのかを明確化した上で、さらに提供件数という点については、普及との関係を明確化して、合理的な目標を設定すべきであるというのが二点目でございます。
 三点目、労働行政担当職員に対する研修の位置付け等の明確化でございます。もう一つ、研究と並んで、研修というのをこの本法人の主要な柱の業務ですけれども、この中期目標の中で、中央・地方で実施する研修の役割分担の見直しと書いてありますけれども、中央が厚生労働省、地方が都道府県労働局という、厚生労働省の出先機関という位置づけになっていますが、では、この厚生労働省でもなく地方でもない本独法に、どういう役割を研修の中で担わせるのかということを、目標の中でもしっかり明確に示すべきではないかということでございます。併せて、研修に関する指標、目標値についても、合理的な目標値をちゃんと設定して評価できるようにすべきではないかというのが三点目でございます。
 四点目はもう少し大きな話ですけれども、この法人が果たすべき役割・責任の明確化でございまして、先ほど申し上げた、この研究と研修の二本柱でやっているところですけれども、こうした機構の役割として、研究と研修を併せて行うことの具体的意図をきちんと中期目標なりの中で位置づけるべきではないかというのが四点目でございます。
 駆け足でございましたが、以上でございます。
【黒田管理官】  ただ今御説明させていただいた論点につきましては、8月末に各府省から見込評価及び見直しの内容が提出され、それから各省との議論が本格化するということで、これからまた変更があり得ることを御理解いただければと思っております。事務局といたしましては、これから主務大臣の下でPDCAサイクルを回すためにどのような形で後押しすることができるか、また、独法を活性化するためにはどういうことが言えるかということを、改めて独法制度の趣旨、また、新制度下での評価制度委員会の役割等を踏まえて、論点をまとめていただけるように対処していきたいと思っている次第でございます。
 また、このような問題意識につきましては、個別に各先生方に御意見を伺って検討していきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 事務局からの御説明は、以上でございます。
【野路委員長】  ありがとうございました。それでは、ただ今の御説明に対しまして、皆様から御質問及び御意見等ございますか。
【岡本委員】  第1ユニットを担当させていただきました私から、先ほどの管理官の御説明に若干補足させていただきたいと思うのですが、まず、外務省所管の2法人について、印象論もあるのですけれども、述べさせていただきたいと思います。今、石田管理官から御説明がございましたように、この2法人については現地視察にも行かせていただきまして、業務も行く前よりは非常によく理解できたと思って、感謝しております。
 そこで思いましたことは、先ほどの御説明の中にもあったのですけれども、確かに途上国支援でありますとか、日本の文化のプレゼンス向上ということで活動されていらっしゃる、その活動自体がうまくこの事業評価のところ、あるいは彼らの説明の中にも反映できていないのではないかという問題意識を持っております。先ほどもございましたように、JICAというのは、事業として非常に昔からしっかり評価されていらっしゃるんですけれども、それがここで言っているJICAの組織としての活動の評価になっているかというところが、若干ずれているのではないかと思います。もう少し申し上げますと、JICAの活動と事業の評価というのは違うのではないかという問題意識がありまして、先ほど黒田管理官がおっしゃいましたけれども、何を評価していくかについては、この JICAの活動と彼らの行っている事業との関係をもう少し見据えた上で何を評価すべきなのか、その評価の上で何を国民の皆様に示していくべきなのかということは考えていきたいと思っています。先ほど言いましたように、JICAの個別の事業の評価、それと、政策の評価、JICAの活動の評価ということがもう少しうまく評価活動として、あるいは、このJICAの活動を通しての国民への周知ということで必要ではないかと思っています。
 以上でございます。
【土井委員】  私も第1ユニットを担当させていただきました。今回は前回と違いまして、まず、全てではないのですが、現地を訪問させていただいて、それを基に本部でお話を伺うことができました。今、岡本委員からも御指摘がありましたけれども、現場での活動と、独法としての事業の評価はどう在るべきかを考えるのに非常に参考になりました。昨年は法人数が多かったので、この手法を採るのは難しかったかもしれませんけれども、来年度以降もこのような形で現場でのお話を聞き、それを基に本部でお話を聞くというのは非常に重要と感じました。それが一点目です。
 二点目は、先ほど川上管理官から話がありましたけれども、自動車事故対策機構です。資料10ページにありましたけれども、申込みをしてから入院に至るまでが長期化していること、特にそれが首都圏で顕著であるということで、ここに関しましては、どのようなやり方でやればいいのかという有用性を含めて、今後も独法からの意見をもってまた考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【原田委員】  私は第2ユニットで幾つかの法人を担当いたしましたが、そのうち総務省所管の郵貯・簡保機構についてでございます。砂山管理官から、主体性がこの法人に関する論点で一番大事なところだという御発言がありましたが、全く同感でございます。ただ、他方で、この法人というのは、いずれ廃止ということも将来的には見据えないといけない中で主体性を発揮するという、非常に難しいところだなと思うのですが、抱えている問題の重大性からすると、やはり依然としてその主体性を発揮すべきだということを前提に議論がなされるべきではないかというのが私の意見です。
 以上でございます。
【樫谷委員】  今回、土井委員もおっしゃいましたけれども、7法人ということで数が少ないので、委員の皆さんにたくさんの現地を見ていただいて、大変感謝しております。今般制度が変わったわけです。今までの制度と基本的な考え方自体は変わっていないんですが、取扱が変わったと言ったほうが厳密なのかもしれませんが、少なくとも一昨年、通則法を変えていただいて、もっと前向きに取り組むことになっていると思います。大分そういうところも出てきているんですが、ただ、今までのものを見ましても、事業をいかにこなすかみたいなことが目標になっている。政独委の時もそうですが、また、今でも、いかに効率的にこなしてもらうかみたいなことを考えていた、というところもないわけではないんですが、やはりそうではなく、何のために事業をやるんだという観点が少し今まで欠けていたし、今見てもまだ少し欠けているところがあるように思います。
 例えば、JICAは、私も海外に行って、向こうの政府レベルの方とお会いすることも最近あるのですが、JICAの仕事については総じて評価は高いのですが、皆さん、もう少し突っ込んでもらえば、事業がもっと進むのにということをよくおっしゃっているのです。つまり、まずはJICAのお金できちんと評価していただく、調査していただく、それからどうするんだと、現地も踏まえて、あるいは日本の企業の状況も踏まえてというようなところが少し足らないのではないかということもおっしゃっております。やることが良いことなのかどうかは、向こうが無理を言っているのかもしれませんので分かりませんが、そういう意味では、何のためにやるんだということが少し欠けていると思いました。
 あともう一つは、JICAもそうですけれども、例えば、中小企業の海外支援ということをやったときに、経済産業省のJETROがやっているのに何で JICAもやるのかと思っていたんです。JETROも強みがあるんでしょうが、JETROとは違う強みがJICAにはあって、そのJICAの強みを活かしながら中小企業の海外進出に貢献されている例として、中国のJICA視察に行って、現地の中小企業の社長にお会いしたときに、まだまだこれから発展するようなところの政府と一緒に組んで、向こうの問題点も極めてよく分かっているし、政府との連携も非常に強いJICAが、こういう企業を推薦するということで、非常にスムーズに進んだ例がございました。これはJICAの強みを活かしたという例では非常に良いのですが、残念ながらまだ数は少ないので、もう少し頑張ってもらいたいと思っています。
 いずれにしても、このJICAだけではなくて、何のために事業やるのかという観点で、もう一度我々も議論する必要があるのではないかと思います。
 以上です。
【栗原委員】  私は科学技術振興機構の情報提供サービスについて意見を述べさせていただきたいと思います。学術分野での科学技術文献情報の収集は非常に大事なのですが、ここのセンターが今あまり使われていないということで、それを適切に評価して見直すことは大事だと思うのですが、ここでは、筑波のセンターと、あとデータベースを別々に考える必要があるのではないかと拝見しております。というのは、三番目に挙げられている科学技術のデータベースですけれども、これは今でも約3億円の利益が上がっているということで、それほど高額な利用料を課しているとは思えないので、かなりの利用者がいるのではないかと推察されます。JSTに統合された科学技術情報センターも非常に長い活動があり、そこにあるデータベースはそれなりのユニークさがあるのではないかと思って、先日、ちょっとウェブ検索をしてみたところ、検索語は類似語も同時に出てきて、国内の研究活動が非常に見えやすいデータベースになっておりました。これについては私も一例をやってみただけなので一般性は分からないのですが、是非、ユニークさとかそういうものも検討して事業の見直しをしていただきたいということを要望いたします。
 資料1を拝見すると、データベースの減価償却による非常に大きな繰越欠損金が計上されております。この事業は、やっている人にとっては、利益が出ても欠損金を埋めるという感じになると、モチベーションが上がりにくいのではないかと思います。このデータベースのこういう欠損金を計上した時点ではそういうことの意味もあったと思うんですが、今後に向けては、何か形の上で、どういう形の見せ方とか、見方があるのかということも検討いただければと思います。ここは私専門ではないので、一般の人間として、そういうところもあるのではないかと感じております。
 それから、無料サービスというだけではなくて、もし本当に良いデータベースであれば、ここは企業のユーザーも多いと思いますので、適切な利用料の設定も考えつつやっていただくのも良いのではないかと思いますので、事業の見直しに関しては丁寧にやっていただきたいというのが総合的な要望でございます。
 以上でございます。
【関委員】  私からは、第1ユニットの住宅金融支援機構について、現場視察等もさせていただき、仙台での復興支援といったような地元の民間金融機関が避けがちな案件についても、住宅支援機構があったおかげで助かったという地元の方の御意見なども伺いました。そのようなことも含めまして、民間金融機関からの住宅金融支援機構の評価ですとか、期待等といったことを今後は確認した上で、住宅支援機構の次期の中期目標期間における在り方を、主務省と意見交換していけたらと思いました。
 以上です。
【橋委員】  私のほうは、NASVAと住宅金融支援機構と、郵貯・簡保の管理機構、この三つは、国民に直接アクセスする必要のある機関だと思いますので、そこの周知・広報活動について意見を申し上げたいと思います。
 まず、NASVAについてですが、これは御案内のとおり、自賠責保険共済の保険料、それに基づいてやっていることなので、特に被害者を支えていくところに力を入れるべきだと、私は、自賠審の委員だったので、当時から主張してきました。今回、待機児童ならぬ待機病人ということで、早く治療が必要な人たちに対して少し待たせ過ぎではないかという御意見が出ていることに関しては、全く同感でございます。ただ、ホームページを拝見して、NASVAのこの療養センターの事業については外部評価もやっていらっしゃるわけなんですけれども、その評価を拝見しますと、岡山とか千葉では入院患者が増加しているのですけれども、中部では逆に減少しているとか、結構ばらつきがあるのかなと受け止めさせていただきました。その評価の中には、入院患者の確保という言葉がありましたので、療養センターによって違うのかもしれません。その辺のところを精査しているとは思うのですけれども、患者が情報を得られないことで公平な治療が受けられないことがないように、しっかり見ていく必要があるということと、この機関の事業全体として、支える・防ぐ・守るとおっしゃっているわけなのですけれども、安全指導業務のように、民間ができることはできるだけ民間に任せて、だんだん手を離していって良いのではないかと思います。前回の会議のときに議論がありましたアセスメントなどの守るというところに関しても見直しが必要だと私は思っています。この療養センターに関して、特に周知・広報活動を患者の方々にしっかり伝わるように、それから、公平性・公正性がきちんと保たれているかどうかというのは、チェックしていく必要があるのではないかと思います。
 二番目の住宅金融支援機構に関しましては、関委員からもお話がありましたけれども、特にまちづくり融資のところをしっかり周知・広報していく必要があるのではないかと思っております。私は、中古の融資は知っていたんですけれども、まちづくりにここまで利用できるということは知らなかったです。ですので、熊本の災害もありましたし、周知・広報はもっと必要だと思いました。ただ、効率的にやっていかないといけませんので、人とお金をかけずにやる方法はもっとあるのではないかと思います。
 それから、私自身の第2ユニットで担当している郵貯・簡保機構に関してなんですけれども、確かに早期払戻・早期支払というのは必要だと思うのですけれども、費用対効果も考えなくてはいけないので、私自身は、保険約款とか貯金の規定とか、それに基づいて過度な保護までは考える必要はないという意見を持っていることを述べさせていただきます。
【梶川委員】  少し一般的なご質問になるのですが、今回と言ってももう時間がたちましたが、改革がありまして、この独法のPDCAサイクルに関しまして、主管部局のコミットメントが非常に強くなったんだと思います。そこで、ここで今上げられている幾つかの論点に対して、主管部局自身がどのようにお考えかということについて、今回ヒアリングなどの中で、独法とは別に、いわゆる時代的・政策的な要請を受けて、新しい中期目標に関して、主管される部局がどのようにお考えなのかということは、何か制度が変わられて感じられたことがおありになれば、委員の先生、また、事務局に少しお聞きできればなということでございます。
 その点で一つ細かい点なのですけれども、先ほど科技振の750億円の繰越欠損金に関しましても、こういうものについてどのように主管部局がお考えになり、今後どのように解消しようと思われているのか、ないしは、主管部局としてもう少し分かりやすい説明をされているおつもりなのか。これは独法の努力でどうなるものでもない部分もあるとは思いますので、こういった点、新しい制度の下で、新しい中長期目標の中で、どんな形で発信ができるのかなと。これは一例なんですけれども、ちょっとお聞きできればと思います。
【岡本委員】  今の梶川先生の御発言に関係するのですけれども、制度が変わったので対応は変えなければならないと思っております。ただ、まだ制度が動き出して1年少々なので、変わりつつあると言っていいのか、まだ変わっていないと言ったらいいのか、これから変わっていきたいと言いましょうか、そういう感じだと、まずお答えさせていただきたいと思います。
 それと、先ほど黒田管理官が御説明の最後におっしゃった点なのですけれども、この委員会として何をやるべきなのだろうかというのは常に思っております。今、我々は、独法がやっている個別事業の問題点をあぶり出してきて、それについてコメントするという形で、ワーキング、ユニットでの議論は進んでいると思うんですけれども、もう少し大局的と言うとおこがましいですが、横断的と言いましょうか、そういう問題点を絞り出した上で、必要な制度改革をすべきものを言うべきなのではないかと思っています。法人に御努力いただいて、現地調査に行きますけれども、そこで個別の事業について指摘するのは、客観的に言うことはできるかもしれませんが、それよりも、そこからあぶり出された共通の問題とは何かという観点からの指摘をこの委員会ですべきではないかと抽象的には思っていまして、そういう方向で進めていくことができたらいいなと思っています。
 そういう観点から思いましたのは、幾つかございまして、一つは、先ほどもちらっと申し上げたのですけれども、例えば、外務省所管のJICAがやっている途上国支援の事業は、JICAが実際にやっているのかという点です。実はその事業、開発コンサルタントの人間がやっていたりするのです。その事業の評価とJICAの価値というのは別にある。では、JICAの価値はどうあるべきなのか、そこをコーディネーションと彼らはおっしゃるのですけれども、そのコーディネーションというのをもっと目に見える形にして、JICAは必要なのだなと、あるいはJICAはこういうふうに変わってほしいというのを、もっとあぶり出していくことが必要ではないかと思います。
 これはほかの独法においてもありまして、独法が委託し、委託先がやっている事業は結構あるのです。独法は何をやっているのかとすごく疑問に思うようなことが、個別の法人に幾つかございます。それを評価すべきなのではないかと思います。それは事業の評価ではなく、独法がやっている役割、機能の評価だと思うのですけれども、そこをもう少しやっていくべきではないかと思いました。
 それからもう一点は、栗原先生がおっしゃったように、私も文科省の委員をやっているから思うのですが、いわゆる研究開発法人と言われている中で、お金を配っているファンディング・エージェンシーと、実際に研究開発をやっている事業体とは、違う評価スキームを作り出すべきではないかという問題意識を持っております。ファンディングのほうは、むしろ総務省の評価制度委員会から問題提起をしていくことが必要ではないかと、これは印象論だけですけれども、思っております。
【土井委員】  今の岡本委員からの御発言に関連して、ファンディング・エージェンシーということで、科学技術振興機構に対してアウトカム目標を設定するとなっているのですが、えてしてアウトカム目標と言うと、すぐ研究がちゃんと事業に結びつくかという話になります。しかし、中長期目標の5年間にやったものがすぐアウトカムに結びつくのは難しいんです。もし結びつくとしたら、その前の期間にやったものになる。あまりそういうところに固執すると、一つ問題となるのは、大学の側で、人事は実は論文でほとんどカウントされているので、論文出していないと、一生懸命アウトカムということで事業化するところを、もし、頑張った大学院生とか、ポスドクの方がいても、その方たちは論文が書けないので、ベンチャーを自分でやってというのもハッピーかもしれないですが、やはり研究者として残りたいと思っている人には、結果が出ていないことになるというので、そこをうまく考えていかないと、単なるアウトカム目標ということではなく、ファンディング・エージェンシーとして橋渡しをするときのアウトカム目標は一体何なのかというのは、やはり主務省も考えないといけないし、この独法評価制度委員会としてもどうすべきかというのは、非常に難しい問題だと思うのですが、考えていくことが重要なのかなと思います。
 先ほどの樫谷委員の言われたお話も、原田委員の言われたお話も、要は主務省の政策に対して主体性を持って何をやっていますかということを問うているのだと理解しております。例として良いかどうか分からないのですが、今回お話を聞いた限りで言うと、労働政策研究機構の話だと、一体何がどこまで主体性を持って研修とか政策の提言を行っているのかというのが、今回のものだけでは見えてこないというところもあるので、そういうところをきちんと、ただ言われるままにやるのではなく、主体性を持って考えるというところをこの評価制度委員会も評価できるようになっていくということが、多分難しいとは思うのですが、今回の通則法の改正にならったものなのかなと、少し感じております。
【野路委員長】  時間も迫っているので、私から一言だけ。最後、岡本委員から言われたように、事務局に考えてほしいと事前にお話をしておったのですが、この委員会で、個別には皆さんも評価をやっている、私も産総研の経営戦略会議のメンバーです。産総研は産総研でどういうことかというのでいろいろな意見を言っているんですけど、それはそこで大体まとめていくんだろうと思うんですね。ただ、こういう全体の会合になったときに、どういう方向で委員が指摘をするのか。私は一つだけ気になるのは人事交流です。この独法が必要だとか必要でないとかいう話は、もっと順位が高いところであるんでしょうけど、働いている人たちがずっと同じところにいるとなると、どんな組織でもよどんでしまうわけですよ。本当に独法は、特にJICAとか産総研もそうですけど、やはり若い人が入って、新陳代謝があって、活性化するというものだと思います。そういう意味で、人事という面で、先ほど岡本委員が言われたように横断的に見るというのも、一つの視点かと思います。何かいろいろな着眼点で少し横串で見れるようにして、この委員会を進めると、個別の意見は個別の意見でそれぞれの部会で言われているので、それをいろいろな形でまとめていけばいいんでしょうけれども、そこら辺少し気がついたら、今後事務局のほうでも考えていただければと思います。
【堀江審議官】  ありがとうございます。二点ございます。本日いただいた個別の論点の御指摘につきましては、もちろん、御議論を踏まえまして、さらに検討が進むように、また8月末には各省からも見直し案が提出されますので、それを踏まえて、論点案にとどまらずに議論が深まるように、事務局としてもサポートさせていただきたいと思います。
 二点目、議論の仕方、審議の仕方についての御意見も幾つかあったかと思います。我々としても、制度が変わったことに合った、独法を活性化する、あるいは効果的な働き方をしていただくための評価の在り方とはどういうことなんだろうかということは、我々も今、頭の整理をしたいなと思っているところでございます。昨年は非常に多くの見直し法人がありましたものですから、どうしても個別の議論に偏りがちだったところもあるのですけれども、そういった議論もさせていただきたいと思います。いずれまた我々のほうから、各委員に個別にお話を伺った上で、全体としてどうするか、御相談させていただければと思います。よろしくお願いします。
【野路委員長】  それでは、議題2に移りたいと思います。事務局からお願いします。
【黒田管理官】  議題2に移らせていただきます。資料2、24ページを御覧ください。既に調査の概要は先生方御存じですので、現状だけを御報告させていただきます。2の状況報告でございます。内部統制でございますが、多くのところで調査したところ、定期的にリスク管理委員会等を開いております。また、リスクの把握であるとか業務フローの把握というものは、半分程度の法人で、しっかりやっているという回答を聞いておりますが、具体的にはやはり個別に法人のヒアリング等、協力を仰ぎながら、実態を少し精査させていただいて、できれば11月末の委員会に間に合うように取りまとめていきたいと考えております。また、インセンティブにつきましても、現在では人事評価も含めて幅広に取組を確認しております。各法人の取組もまちまちでございますので、こちらのほうも具体的にヒアリング等させていただいて、しっかりとまとめていきたいと思っております。内部統制とインセンティブの調査については以上でございますが、また、今年度の実施される主務大臣の年度評価についても、9月2日めどに各省から提出されます。この年度評価につきましては、テーマを絞り重点的に見るということを6月の委員会で決定しており、現状ですと、情報セキュリティの関係であるとか、調達改革の評価をきちんとするようにということが各種決定されておりますので、そういったところを重点的に見ていきたいと思っております。
 また、年度評価の評定につきましては、Bが標準であること、評価書には評価に至った根拠を合理的・明確に記載することなど、評価指針に基づいてしっかりやられているかということは、事務局としても注視して確認していきたいと思っております。
 簡単ではございますが、御説明は以上でございます。
【野路委員長】  ありがとうございました。ただいまの報告について御意見、御質問ございますか。
【岡本委員】  どうもありがとうございました。内部統制、インセンティブについては、事務局の御尽力によりこういうふうになってうれしく思います。また、主務省、法人におかれては、調査に協力いただいて、感謝申し上げたいと思います。ただ、今おっしゃっていただきましたように、マクロ的な件数の比較ではあまり意味がないので、やはり個々の事例に当たることは重要かなと思います。引き続き照会とか現地調査、事務局においてもよろしくお願いします。我々、必要があれば同行させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 内部統制がどううまくいっているかということがやはり重要なので、そこを共有していくことが一つ。それから、よく言われますけど、かつて不祥事等が発生した場合に、どういうリスク低減策が取られたかということについても情報を共有していきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
【原田委員】  こうした調査について心配を少しするのでありますが、例えば、この二つの観点で全法人に調査をかける際に、何か悪い法人をあぶり出そうということではなくて、グッドプラクティスを共有して、よりよく伸ばしていくためにやるんだということを、是非、調査の際には先方にお伝えいただきたいということです。
 それと、おそらくどこを最終的に目標にしていくのかについては、一つ前の議論の中の岡本委員の発言にも関連するところですが、法人の種類であるとか、法人の規模であるとか、そうしたものである程度整理をしていくと、おそらくグッドプラクティスがおぼろげながら見えてくるかもしれません。もしくは法人の形態によっては、単純に導けないことがあるかもしれないけれども、差し当たりの出発点としては、規模と形態でやるべきではないかという気がしております。以上です。
【樫谷委員】  内部統制は非常に重要ですが、特にリスク管理という点ですけれども、どこにリスクがあるか把握するのは極めて重要ですが、リスクがあるからやらないというのではなくて、リスクを踏まえてどうマネジメントしていくかというところに、是非、評価の重点を持っていってもらいたいと思っています。
 例えば、住宅金融支援機構にこの前行ったときに、民業圧迫のおそれがあるということを彼らは言っていたのですけれども、それはそうなのですね、圧迫してはいけないのです。しかし、逆に、民業圧迫という大義の下に仕事をやっていないのではないかと、仕事をやらないリスクがあるのです。そこは、彼らはそのリスクを踏まえて、どうしようとしているのかということが大事だと思いますので、是非、そういう観点からも見ていただくと非常にいいと思います。以上です。
【栗原委員】  グッドプラクティスをシェアするということについて、委員会で出てきたものをそれぞれの省庁にフィードバックするというのはできるのかもしれないのですけれども、それぞれの法人までどのようにシェアするのかも多少課題ではないかと感じております。例えば、それぞれの評価にしても、いい評価を実際にきめ細かく現場に戻すというのは意外と難しいことのような気もします。そういうようなところでも、どういう形がグッドプラクティスのフィードバックなのかということも、事例でも違うと思いますが、考えていく必要があるのではないかと思います。
【野路委員長】  ありがとうございました。私から見ると、普通、企業だったらほかの企業の勉強をして自らやるんですよね。だから、ベストプラクティスを提供してもらってやるというのでは、ほとんどうまくいかないですよ。
【栗原委員】  分かりました。
【野路委員長】  要は情報をもらうのではなくて、自ら行って、自分の課題を見つけながら一生懸命勉強する。
【栗原委員】  そのような気分を醸成することが大切ですね。
【野路委員長】  そうなんです。そして、それができるのはほとんどトップです。トップマネジメントがみんないろいろ勉強して、やる。一番大事なのは、PDCAも大事だけれどやっぱり競争ですよね。競争して、頑張るという雰囲気を各独法がつくるということが、成長したり、進化したりということにつながると思います。是非、そこら辺も踏まえて、これからの作業をまた事務局によろしくお願いしたいと思います。

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