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第15回独立行政法人評価制度委員会 議事録

日時

平成30年2月19日(月)15時30分から17時00分まで

場所

中央合同庁舎第2号館8階 第一特別会議室

出席者

(委員)野路國夫委員長、樫谷隆夫委員長代理、天野玲子委員、梶川融委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、高橋伸子委員、中村豊明委員、浜野京委員

(事務局等)山下行政管理局長、堀江官房審議官、栗原管理官他

議事

  1. 平成30年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案について
  2. 法人活性化事例について
配付資料

議事録

【野路委員長】 それでは、ただ今から第15回独立行政法人評価制度委員会を開会いたします。議題1につきまして、樫谷評価部会長から御説明をお願いします。
【樫谷委員】 資料1-1は紙での配布を行っていないため、資料1-2から御説明させていただきます。資料1-2は、昨年12月4日の委員会決定におきまして、目標策定に当たっての留意事項が示された13法人の目標案について、留意事項の反映状況をまとめたものです。今年の1月29日に開催された前回の委員会におきまして目標案の記載内容について主務省と議論が必要な点を指摘いたしましたいくつかの法人を含めて、全ての法人につきまして留意事項が適切に反映されていることを確認いたしました。
この資料1-2の1ページを御覧ください。まず国民生活センターですが、前回の委員会におきまして、高齢者、障害者などの被害防止に関する取組などを具体的に記載するように指摘をいたしましたが、新たに消費者庁と連携し、消費者安全確保地域協議会、いわゆる見守りネットワークの構成員に加えて、民生委員協議会や社会福祉協議会等の支援機関に対しても情報提供を行うことなど、具体的な取組が記載されております。また、支援機関等による広報活動の状況を把握して、さらに有効な方法を検討、実施していくこと、広報を受けた高齢者等の反響を把握する仕組みを検討して、取組の見直しや成果の把握を行うことが盛り込まれました。
次に、21ページの国際観光振興機構、JNTOです。前回の委員会におきまして、法人の成果が政策目標にどのように寄与するのかを分析・検証して明らかにしていくことは、なかなか難しいが、少なくとも分析・検証して明らかにしていくことを目標に明示するよう指摘させていただきましたが、今回の目標案において、法人が行う訪日プロモーションなどの活動の効果検証を行い、必要な見直しに努めるなどの内容が盛り込まれました。
その他の法人につきましては、説明は割愛させていただきたいと思いますが、全ての法人におきまして、留意事項が適切に反映されているものと考えております。
また留意事項には記載はされておりませんが、前回の委員会におきまして、2020年東京オリンピック・パラリンピックを一つのマイルストーンとして、それに向けた取組を目標案に反映してはどうかとの指摘がされたところですが、日本芸術文化振興会、情報処理推進機構、あるいは、国民生活センターにつきましては、目標案の中に2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた取組を強化する旨が記載されております。
以上のとおり、今般の新たな目標案につきましては、これまで委員会で指摘していた事項が全て適切に反映されているものと考えられますので、当該委員会としては、意見なしとしたいと考えております。
一年間を通じて、委員の先生方や事務局、主務省、法人とよく議論できた結果、お互いに考えられたものが反映された目標案になったと考えております。
【野路委員長】 ありがとうございました。それでは、ただ今の樫谷評価部会長の御説明について、御質問、御意見等ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いします。金岡委員、よろしいですか。
【金岡委員】 昨年四月に委員を拝命いたしましたが、本委員会が新制度になって今年が三年目と伺いました。それで、一年間参加させていただいたわけですけれども、単なる結果の評価にとどまらず、具体的には理事長の皆様を初め、各法人のトップマネジメントの皆様へのヒアリングを精力的に実施したということ、それから今ほど樫谷評価部会長からお話がありましたとおり、来期の目標策定において、第三者の視点を留意事項という形で提供させていただいて、それを具体的に反映していただいたという二点が特筆すべき事柄であったのではないかと考える次第です。
この新たに設置された委員会の意味合いというのは、やはり国民からの付託に応えるための第三者委員会ですので、その本来の目的に照らして、委員の皆様、委員長の御指導の下、そしてまた監督官庁の御指導の下、十分な成果を上げることができ、その結果としての意見なしと、いうことではないかと考える次第です。
【野路委員長】 ありがとうございます。他に委員の方、よろしいでしょうか。栗原委員。
【栗原委員】 私も今年度初めて委員会に参加させていただきました。目標案について異論はなく、これを中期目標にしていただく過程で、私どもが申し上げたことについて反映をしていただいたことに関して、若干感想を申し上げたいと思います。ここに反映していただいたことは、組織の目標からすると大きい目標もあれば小さい目標もあり、様々だとは思うのですけれども、いずれにしましても、このプロセスにおいて法人にインタビューをさせていただき、そこで私たちなりに法人が社会から何を期待されているかということ、それから場合によっては法人の方でも気づいていらっしゃらないかもしれませんが、実はすごく強みだと思えることが結構ありまして、それをフィードバックさせていただきました。その結果として目標に反映していただいたとすれば、法人の強みの掘り起こしができたのではないかと思いまして、我々の意見をそういう形で反映していただけたのであれば大変うれしく思います。
二つ目に、今後、目標に反映したことをどう実現するかということなのですが、KPI等にも反映され数値面等はある程度決まっておりますが、ではそれをどういうリソースで、どういう組織体制で行っていくのかについては、これからおそらく各法人が理事長などのトップのリーダーシップの下で行っていかなければいけないことだと思いますので、是非、組織体制やリソースの配分について工夫していただき、実施していただきたいと考えます。
【野路委員長】 ありがとうございました。他によろしいでしょうか。高橋委員。
【高橋委員】 私も今回の中期目標や指標については以前にも増して工夫が見られるということで、高く評価させていただきたいと考えております。とりわけ、私は前回の委員会で、国民生活センターについていろいろな注文を出させていただいたのですけれども、真摯に御検討いただきまして、かなりの部分を取り入れていただいたことを感謝申し上げたいと思います。また、その後も国民生活センターはあまねく国民に関係した業務を行うということで、国民に直接的なメッセージを出したりする取組をもっと行ってほしいという要望も追加で出させていただいたのですけれども、それについても追記していただいたということを御報告させていただきます。結果を出すべく、消費者庁、消費者委員会とも適時適切に連携していただけると良いと考えます。
【野路委員長】 ありがとうございました。樫谷評価部会長。
【樫谷委員】 先ほど、東京オリンピック・パラリンピックを一つのマイルストーンとするということで、スポーツ団体だけではなく、日本芸術文化振興会、情報処理推進機構、国民生活センターなどにつきまして、その取組を強化する旨の説明をさせていただきましたが、防災というテーマの中でも、そういった省庁縦割りではなく、いろいろな連携の中で行っていただいたという例があるそうですので、もしよろしければ、天野委員に御紹介をいただけたらと思います。
【天野委員】 私も今年度初めて委員会に参加させていただきましたけれども、各省庁がこういった法人を子会社というか実務担当で置いているということに関しては、非常に勉強させていただきました。是非法人を活性化させていただいて、より国民のためになるような社会にしてほしいと考えております。
また、印象として、各法人が実務部隊の関係会社や子会社という位置付けであれば、もっとその実務を知っていただきたいと感じています。例えば、水資源機構は自分の管理区域の中を地方公共団体と連携して維持管理を進めるとのことですが、せっかく法人の職員になられたのであれば、もっと地方自治体の方などといろいろな実務の場所に出ていって、実際の社会を学んでいただくと、業務の役にも立ちますし、それからの社会人人生でも非常に大きな財産になると思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
また、水資源機構の連携の話が出ましたが、経済産業省所管の新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOなども府省連携を非常に意識していただいていると思いますが、これは非常によい傾向だと思います。水資源機構は、文部科学省所管の防災科学技術研究所と包括連携の協定を結ぶ予定と聞いています。ですので、やはり実務部隊にどんどん出ていっていただいて、逆に主務省を動かすぐらいの話になっていただけると非常に面白いのではではないかと思います。主務省も決して縦割りに固執しているわけではなく、やはり他の省庁に手を出すのは良くないという意識も働いているでしょうから、日本国民全体のためということで、是非これから世界に向けて連携していっていただけると非常に良いのではないかなと感じています。
【野路委員長】 ありがとうございました。樫谷評価部会長がお話しをされましたように、いろいろな委員の皆様の意見が織り込まれておりますし、天野委員からも、実務の側から、つまり現場からいろいろな改善案を提示したり、あるいは省庁間の連携等を活発に行ったりしてほしいというという発言もありまして、非常に良い方向に進んだのではないかと思います。
委員会としては、目標案について意見なしということで、御異議ございませんか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございました。それでは、そのように取り扱わせていただきます。
続きまして、前回、樫谷評価部会長から、「委員会として、工夫が見られる目標の事例を整理したらどうか」との御指摘がありました件について、事務局から説明をお願いします。
【栗原管理官】 事務局から資料を説明させていただきます。
資料1-3、目標や指標に工夫が見られる例(未定稿)という資料をお手元に御用意ください。まず、本資料ですが、先ほど委員長からお話がありましたとおり、前回一月の委員会におきまして、樫谷評価部会長から、目標や指標に工夫が見られる例がいくつか見えてきているので事務局で整理してほしいという御指示を踏まえまして、事務局において取りまとめたものです。下の注にありますように、本資料につきましては、これまでの委員会における調査・審議、それからユニットにおける先生方の視点といったものに該当にすると考えられるものを、中(長)期目標案の該当部分を取りまとめた上で、事務局においてユニットなどの議論を踏まえまして一定の解説などを加えたものという構成になっております。
まずアウトラインから御説明しますので、表紙を御覧ください。大きく分けまして、ローマ数字三つに分かれております。ローマ数字の一番目は、法人の努力の方向性を明確に示している例でございます。これは、12月4日の委員会決定にも盛り込み、また特に当委員会の調査・審議においても重視した観点だと考えております法人業務について、国の政策の中で期待する役割や位置付けといったものをちゃんと示しているかどうか。あるいは、法人が達成すべき目標を具体的に示しているか、明確に示しているかといったことを書いてある例です。ローマ数字の二番目は、目標の策定を受けて、法人の長のリーダーシップの下で、組織内の各階層がミッションの達成に向けて法人による自主的な創意工夫をちゃんと促しているかどうかといった例です。ローマ数字の三番目は、法人の長がリーダーシップを発揮してマネジメントを行うように促している例で、大体このような構成になっております。また、ローマ数字の各項目につきましても、いくつかに分かれる形になっておりますが、それは10ページ以降で具体例とともに御説明させていただきたいと思います。
さて、1ページは、一番目の法人の努力の方向性を明確に示している例です。そのうち(1)で、国の政策目標との関係で数値目標を明確にしている例でございまして、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、JOGMECの例を記載させていただいております。2030年に石油・天然ガスの自主開発比率を40%以上とする政府目標の達成に向けて、法人支援による自主開発権益量を100万バレル/日規模に引き上げるという数値目標を明確にしており、かつ目標水準の考え方を明らかにしている例です。
続きまして、(2)は、法人が行うべきことを具体的かつ分かりやすく示している例です。いくつか項目がございますが、まず一点目が法人の活動について、重点となる対象を明記している例です。この例といたしましては、まずJNTOが、ターゲット層を明確化することを盛り込んでおります。
また2ページ目ですが、高齢・障害・求職者雇用支援機構は、中小企業におけるIT人材の育成という政策目標のもと、特にITリテラシーを習得するための訓練カリキュラムを新たに開発するとして、行うべき対象を明確化しております。
また、北方領土問題対策協会は、若年層への情報発信に徹底的に取り組むという形で、対象を明確化しております。
また3ページ目ですが、農林漁業信用基金につきましては、農業信用保証保険制度の利用拡大を図るために、これまでの農協系に加えて、民間金融機関における利用が拡大できるような方策についても取り組むことを明確化しております。
それから、先ほど樫谷評価部会長からもお話があった日本芸術文化振興会につきましては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、外国人や若年層といった新たな顧客層の開拓に取り組むことを明確にしているものです。
次に、(2)の二点目です。4ページ目を御覧ください。地方公共団体、民間企業等への支援を明記している例ということで、これも12月4日の委員会決定に盛り込ませていただきましたが、法人の専門性、人材面での強みをいかして、地方公共団体、民間企業等への支援を明記している例です。
4ページ目以降の水資源機構については、地方公共団体等における水インフラに携わる人員が不足していることへの対応をしていくとしています。また次のページですが、JNTOは、先ほどの説明でも出ましたが、プロモーションを行うためのノウハウの提供をしていきます。
また5ページ目の後半ですが、国民生活センターにつきましては、消費者被害の最新の情報を積極的に提供する、また情報の活用状況についてもしっかり把握していくといったことが盛り込まれております。
次に6ページ目の国立重度知的障害者総合施設のぞみの園ですが、のぞみの園でなければ実施できないものに特化するという形で、専門性やノウハウをいかして支援するといったことを盛り込んだ内容になっております。
次に、(2)の三点目ですが、他府省・他法人との連携について記載している例になります。先ほど天野委員から事前に御紹介がありましたが、NEDOにつきましても、行政機関が実施する調査研究からの技術動向把握、それから最新の科学技術情報を持つ研究機関等との連携といったことを明確に記載していると考えております。
次に7ページ目ですが、(3)はアウトカムに着目した目標・指標を設定することにより、法人の努力の方向を明確にしている例です。日本私立学校振興・共済事業団の例では、学校法人に対する経営支援事業について、これまで学校法人の経営改善や教育改革に向けた支援が充実・強化されたかといった法人側から見た定性的な観点での評価がなされていたのですが、新たな目標では、経営相談を行った学校法人の経営が相談後に改善したか否かが関連指標として盛り込まれております。そうした法人の努力の方向性が明確になっている目標と考えられるのではないかと考えております。
8ページのNEDOにつきましても、将来的な経済効果(アウトカム)を推計する新たな取組を検討することで、よりアウトカムに着目した中長期目標の設定となっていると考えているところです。
続きまして、8ページのローマ数字のIIですが、成果を高めるため、法人による自主的な創意工夫を促している例もいくつかあると考えております。(1)のチャレンジングな数値目標の例について、まず農業者年金基金ですが、前回の1月の委員会でも論点になった若年層や女性の加入率の増加に向けて、これまでの目標を踏襲する形ではなくて、農業事業者の高齢化といった逆風下でも新規加入者を増加させるというチャレンジングな目標を定めているという取組になっているものです。
次に10ページを御覧ください。(2)の法人自身にPDCAサイクルを回すことを求めることによって、成果を高めることを目指すような例ということで、これも先ほど説明がありましたが、JNTOについて、PDCAサイクルを機能させるため、個別事業の効果検証を行うことが盛り込まれておりますし、日本学術振興会についても、中期目標期間の早期に結論を得て、必要な改善・強化を行うといったことが盛り込まれております。
それから11ページの(3)です。これは12月4日の委員会決定に盛り込んだものですが、過程における工夫や努力を重視するということで、宇宙航空研究開発機構、JAXAの例を取り上げております。JAXAの下線を引いたところですが、当初意図したものとは異なる成果を含め、研究開発の過程で得られた成果や目的達成のために行った取組や工夫についても適切に評価するといったことを盛り込んでおりますし、同じく鉄道建設・運輸施設整備支援機構についても、事業のプロセスについても評価するということを盛り込んでおります。
最後は、12ページのローマ数字のIIIですが、法人の長がリーダーシップを発揮してマネジメントを行うよう促している例ということで、理化学研究所の例です。理化学研究所につきましては、委員会の場で何度か議論がありましたように、理事長がリーダーシップを発揮していろいろと取り組んでいると伺っております。それを後押しするような目標になっているのではないかなと考えているところです。
以上、資料1-3の説明でした。
【野路委員長】 ありがとうございました。それでは、ただ今の事務局からの説明について、御意見、御質問等ございませんか。
【樫谷委員】 よろしいでしょうか。先ほど説明をいただきました資料の中で、地方公共団体や民間企業などへの支援を明記している例として、いくつかの法人の例が掲げられています。12月4日の委員会決定の趣旨を踏まえて作成していただいているものと考えております。今後は策定された目標の趣旨を実現するために、実際の支援方法として、またそれだけではなくて、天野委員が先ほどおっしゃった現場をよく知ることも含めて、法人の職員を地方公共団体等へ派遣すること、あるいは、地方公共団体等の職員を受け入れるといったことも必要ではないかと考えております。
目標案の策定の先、実際の法人運営としてせっかく良い目標を策定していただいたのですから、法人の長にもこの点を理解していただきまして、マネジメントとしていただきたいと考えています。
【野路委員長】 ありがとうございました。他にございませんか。天野委員。
【天野委員】 先ほども発言させていただきましたけれども、いわゆる法人の地方公共団体等への支援については、新しい目標の中に盛り込んでいただいて、非常に大きな一歩なのではないかと考えております。
繰り返しになりますので簡潔に言いますが、やはり現場を知ることは大事です。それで地方公共団体は現場を持っていますので、是非お願いしたいと考えております。もう一つ、こういったことをしっかりやっていただくためには、理事長のマネジメント能力というのが非常に大切だと思います。法人の理事長は時々交代するので、是非こういう流れを絶やさないように、次の理事長にも引き継いでいただいて、きちんと地方公共団体を支援していただくという流れを作っていただければと考えています。
【野路委員長】 ありがとうございました。他にございますか。金岡委員。
【金岡委員】 今の部会長、天野委員の意見に賛成です。百聞は一見にしかずという言葉がございます。また、戦後、日本の復興を引っ張っていただいた製造業には、現場、現物、現実を指す三現主義という言葉がございます。これはいずれも、一次情報に直接触れること、現場の大切さをうたう言葉ではないかと考えるわけですが、政策担当の方が一時的にせよ、こういう一次情報に触れるためには、人事交流が非常に重要な方策の一つではないかと考える次第です。私、地元富山県で人生の半分以上を過ごしておりまして、地元の経済団体の長なども務めておりますので、富山県の委員会に数多く出ているわけですが、富山県の例を一つとりますと、常に二名から三名の中央省庁の方が出向という形で県の部長級以上の要職に就いておられ、県における行政の実質的な責任者として実務を担っていらっしゃいます。また、中央省庁の出先について、私が知る範囲で言いますと、財務省の北陸財務局がございます。昨年局長が代わられましたが、前の方は警察庁、そして昨年着任された方は国土交通省ご出身の方で、局長として金融機関の監督に努めていらっしゃるということで、主務省レベル、中央省庁レベルではこのように実際に地方に赴任されているわけです。大きな法人についても同じような考え方で、先ほど天野委員、樫谷評価部会長からお話がありました通り、これを進められたらどうか。確かに難しい面はあるかもしれませんけれども、是非チャレンジしていただきたいと考える次第です。
【野路委員長】 ありがとうございました。他にございませんか。
【天野委員】 全然違う観点なのですけれども、よろしいでしょうか。
資料1-3のIとIIについて、各法人の成果を評価してあげることは割とたやすいと思うのですが、IIIで法人の長がリーダーシップを発揮しているか、これは理化学研究所が例になっていますけれども、これを評価するのはなかなか難しいと思うのです。ただ、理化学研究所もそうですが、特定国立研究開発法人になり、ミッションが非常に高く掲げられて、理事長も一生懸命取り組まれているのはよく分かります。しかし、果たしてこれを誰が評価してあげるのだろうかと思った時に、おそらく、理事長は新しい運営方針をお持ちだと非常に苦労されるはずですし、何か見返りがないと下の者はなかなかついて行きがたいということもあるでしょうから、本委員会としても何らかの形で後押しできるようなことがあれば良いとの感想を持ちました。解決策を持っているわけではないのですが、よろしくお願いいたします。
【野路委員長】 事務局、いかがですか。
【栗原管理官】 今の御指摘について、いくつかお答え申し上げます。
まずは地方に職員を派遣している法人が、現在複数あるということは我々も承知しておりますので、そういった点は機会があれば報告したいと考えております。
それから、地方公共団体との人事交流ではありませんが、民間企業や研究機関との人事交流について、今回の目標案においてもいくつかの法人で盛り込まれております。例えば、NEDOでは、研究機関との人材流動化の促進といったことも今回の目標案に新たに入れ込まれておりますし、情報処理推進機構では、官公庁や民間企業等との人材交流といったことについても、今回の目標案に新たに盛り込まれております。
それから、研究開発法人のマネジメントをどう行うのかということは、非常に難しい問題だと考えております。他方で、昨年末に先生方からいただいております法人の長の方々との意見交換を、来年度行っていこうと考えていますので、そういった中で先生方と様々な議論をしながら、事務局として何ができるかどうかを引き続き考えていければと考えております。以上です。
【野路委員長】 ありがとうございました。
【樫谷委員】 よろしいですか。法人の専門性を発揮して成果を上げている取組や、人材育成の取組などもたくさんあると思いますので、事務局としてそのような法人の取組を事例として把握していただいて、御紹介いただければと思います。
【栗原管理官】 承知いたしました。
【野路委員長】 他にございませんか。浜野委員、お願いします。
【浜野委員】 今、御説明を伺っていまして、私たちのいろいろな議論がここに集約されていて、非常に評価できると思います。
例えば、私も発言させていただいたのですけれども、JNTOの目標案において、ターゲット層を明確にして、プロモーションのノウハウを提供しているとあります。つまり例えば、地方支援の専門部署を置いて、インバウンド誘致に取り組む地方自治体やDMOを支援するということが具体的に書き込まれたということは非常に評価できると思います。いろいろな議論が出ていましたし、この目標の中に外国人目線のニーズの迅速な情報提供ということも書き込まれておりますし、地域の観光資源の掘り起こしということも、私たちの議論を踏まえて目標に盛り込んでいただいているということは評価できると思います。加えて、法人のプロモーション業務の効果の検証のお話が出ましたけれども、そういったところで業務の必要な見直しを行っていくことも目標案に明記されたということに、一定の評価をしたいと思います。
ただ一方で、地域の観光資源を掘り起こすとは、単に地域に観光客を呼び込むというだけでは足りないのではないかという議論も出たと思います。つまり、地域の稼ぐ力にもっと密接に、この目標が近寄っていけないのだろうかという議論も出ましたので、そういったところは、外国人旅行者数の増減にとどまらないで、インバウンドによる経済効果や、地方創生といった国の政策に対してJNTOがどれだけ寄与していくかといった、国の政策にどれだけ法人として寄与していけるかというところを途中で把握できるような、あるいは把握できるアウトカム指標を設定することが、今後重要になってくるのではないかと思いました。
【野路委員長】 ありがとうございました。他によろしいでしょうか。
どうぞ。
【川上管理官】 国土交通省担当の管理官をしております川上です。
委員の御指摘はもっともでございまして、次期中期目標案でも、先ほど資料の1-2で御説明したとおり、地方創生に関する指標の動向も踏まえた効果の検証ということで、業務の必要な見直しを行って、PDCAを法人の中で回していくという取組をより一層行っていこうと考えております。ただ観光庁によれば、そういったアウトカム指標の設定はそう簡単ではないとのことですので、政府目標としていろいろ設定された指標がある中、JNTOのプロモーション業務の効果をPDCAの中で検証しつつ、委員のおっしゃったアウトカム指標をどう設定していくのかという検討も同時に行っていくということで、事務的に回答はいただいておりますので、そういう方向で来年度以降も検討を鋭意進めていってもらいたいと考えております。
【浜野委員】 ありがとうございます。是非、他の団体との連携も含めて状況等御説明いただけるような場があると良いと思います。
【野路委員長】 よろしいでしょうか。それでは、続きまして、事務局から経営努力の促進について、御説明をお願いします。
【石田管理官】 資料1-4になります。経営努力認定制度の改善ということで、一枚紙を付けさせていただいているのですけれども、こちらにのっとり、運用改善の取組ということで、法人の活性化に向けて取り組んでいることを紹介させていただきたいと思います。
本件については、内閣府の科学技術・イノベーション担当と共同で、去年の夏に検討会を立ち上げまして、ここにいらっしゃる樫谷委員にもメンバーとして参加いただいて検討を行ってきたものです。
資料の一番上部に、【「経営努力認定制度」とは】ということで、制度の趣旨について説明が書いてあります。青字のところですけれども、法人の経営努力による利益を当該法人の判断で業務に再投資できることとするということですが、通常の国の予算ですと使い残しがあれば全額国に返すということで、国庫に返す必要があるのですけれども、法人に関しては、自主的、自立的な運営をサポートするということで、こうしたインセンティブ付けの仕組みが、独立行政法人通則法上、設けられているところです。
その下の赤字のところですが、多くの法人が財源を税金に依存しているということですとか、パブリックな法人としての位置付けも踏まえ、現状利益の原則5割について経営努力として認めるが、残り5割は国庫納付するといった仕組みになっているところです。また最終的には、個別に毎年主務大臣が財務大臣と協議して、経営努力を認定する仕組みになっているのですけれども、申請や認定の一般的な条件については、行政管理局の通知で定めているところでして、今回この見直しを行うというものです。
その下のところで、現状とありますけれども、見直しを行うに当たって、まず現場で何が起きているかを把握することが大事だということで、経営努力認定制度の対象となっている国立研究開発法人と中期目標管理法人の全法人に対してアンケート調査を行うとともに、主だったところについてはヒアリング調査も行ったところです。そこで分かったことが現状のところに書いてあります。まず一点目ですが、利用状況は低調ということで、直近決算で利益を計上した法人が59あるのですけれども、経営努力認定の申請をした法人は9法人、それから実際に認定が認められた法人が8法人ということで、低調な状況ということです。
なぜこのような状況なのかということで調査を行ったところ、二点ほど理由がございまして、一点目は、認定要件が厳し過ぎるということで、なかなか要件をクリアできずに能力に見合わないので申請を見送ったという意見が出ているところです。二点目が原則5割ということなのですけれども、これがインセンティブとして不十分ではないかということで、無理をしてでも年度内に予算を使い切ってしまった方が得だといった意見も出されてきたところです。
こうした状況を踏まえまして、制度の改善ということで、制度官庁、それから所管省庁とも調整を進めておりまして、こちらに書いてあるような内容で平成30年度から実施予定と考えているところです。
まず一点目が、実務上の制約の解消ということで、申請の障害になっておりましたのは、まず利益の新規性です。経営努力というからには新規の取組でないといけないということです。それから非外部要因、要するに自主的な取組で自分の努力で生まれたものではないとだめだということで、この二つの証明を今まで求めてきたところなのですけれども、実際、法人に話を伺ってみますと、なかなか実務上、証明が難しいということで、高いハードルになっていることが分かったため、今回この証明を廃止することとしております。この背景の考え方としては、事業が年度途中で中断されてしまいました、予算の使い残しが生じましたといったケースは対象外なのですけれども、事業を予定どおり実施して利益が生じたということであれば、一定の経営努力があったものと考えて良いのではないかというものです。
二点目は、5割のところです。二点ありまして、一点目がまず自己収入ということで、知財収入、受託収入といったもので、法人が稼いだ利益につきましては10割認定するということで、今回見直しを行うこととしております。それから括弧の中にありますけれども、従来、継続的に知財収入を上げましたというケースでも、新規なものは初年度だけだろうということで、初年度だけで2年目以降は認めないという仕組みになっていたのですけれども、今回は2年目以降も認定対象とするということとしております。もう一つが運営費交付金の節減による利益ですが、ここがある意味税金の使い残しということですので、自己収入と同列では扱いにくいのですけれども、今回、国立研究開発法人に関しては、制度上研究成果の最大化が求められているという側面もございますので、より研究成果を出していれば最大10割まで認定するといった仕組みに見直すこととしております。
こうした取組を通じて、例えば、国立研究開発法人が知財収入による利益の全額を、翌期以降、研究開発に再投資するといったことも可能となりますので、ある意味、財源の多様化が図られるということです。こうした取組を通じて、プラス方向の好循環が実現することを期待したいと考えております。
今後も法人の活性化ということで、制度上、運用上、課題がある場合には、当然パブリックな法人としての制度上の制約ですとか、財政上の課題といったものでやむを得ないものもあるとは思うのですけれども、不合理なものや見直すべきものは見直すといった姿勢で取り組んでいきたいと考えております。説明は以上となります。
【野路委員長】 ありがとうございました。ただ今の説明について、御意見、御質問等ございませんか。
【天野委員】 一番下の方に、翌期以降、研究開発に再投資することが可能と書いてあるのですけれども、例えば成果として生まれた知財の維持管理費用とか、ISO化、国際標準化のためのロビー活動等に使うのは可能なのでしょうか。
【石田管理官】 使途に関しては、今の仕組み上、中期計画の中でどういった事業に使いますというのを書いていただくことになっていますので、研究開発法人ですと、天野委員がおっしゃったような取組が重要になってくると思いますので、そういった課題に再投資しますということを書いていただければ、活用できることになると思います。
【天野委員】 今まで研究開発法人は、自分で知財をあまりお持ちでなかったので、最初の申請費用ぐらいしか意識していないのです。本当に重要な知財は維持管理費が必要ですし、国際特許を出していこうと思うと非常に大きなお金がかかるのですけれども、その辺りの意識がまだ低いため、今後こういう費用が発生してくると思いますので、是非その辺りをよろしくお願いしたいと考えております。
【野路委員長】 他にございませんか。高橋委員。
【高橋委員】 使途についてですが、昨年理事長ヒアリングをさせていただいて、その時に事業の継続性や組織の価値、企業価値向上のための人材投資の必要性について、非常に痛感したところです。教育を含めて様々なやり方があると思うのですけれども、そうしたものが今回認められるようになるのか、その辺りを教えてください。
【石田管理官】 今のお話は、どちらかいえば継続的に毎年行っていく話かと思います。今回申し上げているのは、経営努力認定ということで、利益の上がったものについて、翌年再投資するという話なので、プラスアルファで何か新しい研究をやります等のことがなじむという気がいたします。ただ、使途としては法人の業務に充てるということなので、具体的にこういった取組ということを中期計画にどこまで書くかという話ですので、特に今おっしゃった話を外している仕組みではありません。要するに可能は可能だと思うのですが、どちらかというと、毎年、経常的にしっかり行っていく話ではないかと思います。
【野路委員長】 要は、各法人で上げた利益は、翌年度に法人が好きなように使ってほしい、何に使っても構いませんよということですね。何に使ってもというのは、例えば、アメリカのスタンフォード大学は知的財産部だけで30人ほどいて、知財で稼いだお金を全部人件費に回しているのです。それは各民間企業に徹底して御用聞きに行っているのです。それで、インターネットのウェブ公開のメンテナンスや、各企業に広く回っていって御用聞きをしている。結局、知財で利益を上げて、それを広く使ってもらうことが大事だという考え方がありまして、そういう使い方も非常に良いわけです。だから、何も研究だけに使うのではなくて、もっと民間の企業や、例えば産業技術総合研究所や理化学研究所のようなところが、どんどん使ってほしいというようなことで、要は自分で工夫していろいろな使い道をせよということでしょうか。
【石田管理官】 そうです。
【野路委員長】 だからあまり枠をはめないということです。当然足らなくなれば、研究にもう一回追加するというのも非常に良いと思いますけれども。
【梶川委員】 今のお話と趣旨は全く同じなのですけれども、こういった形で獲得した利益に関して、いずれにしろ中期目標なり、中期計画で記載されることにはなると思います。その場合に、この分は法人の裁量なのだという記載が、中期目標の中で記載されると、どの部分が裁量なのか分からなくなることがあると思うので、裁量の計画については分けて書くとか、逆に自由裁量が担保できるような目標、計画を少々お考えいただければと考えます。時期的には、締めてから翌期という話なのでどうずれ込むか分からないのですけれども、活性化の策として非常に重要な取組だと思いますので、是非その辺りについて、何か御工夫を考えていただければと思います。
【石田管理官】 今でも全体の中期計画の文章とは別のところに、目的積立金はこういう使途で使いますと書くことになっているので、そこにしっかりと書いていただくということかと思います。
【野路委員長】 よろしいでしょうか。どうぞ。
【中村委員】 今までのいろいろな委員会での議論を踏まえた内容や、法人で行っている良い事例等が書いてありましたけれども、こういった皆が遠慮して書きづらい内容について、何が良い事例なのかというガイドラインを示してあげたほうが良いのではないかという気がしますので、その辺りの配慮・工夫をされたらよろしいのではないかと思います。
【野路委員長】 ありがとうございました。
【樫谷委員】 よろしいですか。経営努力認定の制度は法人の非常に根幹となる制度で、これを改革した、改善したというのは非常に良いことだと思います。ただ、個人的には10割全部ではなくて、少々国に返せと言いたいのですけれども、本当に良いものを行っていただけるのであれば、使っていただくということは良いことだと思います。
それから使い方の話については、委員長がおっしゃったように、とにかく法人のためになるものであれば何でも良いということだと思います。ただし、理屈があれば別に良いですけれども、理屈が無いのに分配してしまうことはやはりできれば避けていただきたいと思いますので、ガイドラインをもし作るのであれば、そういうことも入れていただくと良いかなと思います。
【金岡委員】 今、お話を伺っていまして、インセンティブをつけるというのは大変素晴らしいことだと思いますけれども、一つだけ気になるのは、やはり法人の役割です。例えば、研究開発のような将来にリターンが来る、瞬間的にはコストがかかるところと、それから何かサービスを提供しており収入があるところがあるとします。サービス提供型ですと、何らかの手数料を途中で下げると、収入が減って利益も減るわけです。ただ、実質上、国民生活のためになっているということであれば、それだけ手数料を下げて、期の途中に実質上利益を還元したという事柄については、見かけ上の利益というだけではなくそういうことも是非評価の中に入れていただきたいなと感じました。以上です。
【野路委員長】 ありがとうございました。では、よろしければ次に、「平成30年度から始まる中(長)期目標案に係る意見等の取りまとめ」に当たって、委員長から各法人の長に対して今後取り組んでいただきたいことや、委員会としての取組内容について、談話として取りまとめたいと考えております。案について、事務局から説明をお願いします。
【栗原管理官】 資料1-5を御確認ください。委員長談話です。タイトルは、「平成30年度から始まる中(長)期目標案に係る意見等の取りまとめに当たって(委員長談話)」とさせていただいております。
委員長談話ですので、今日の日付と委員長の名前を頂戴した上で、1と2という構成にしております。1につきましては、委員長から各法人の長に対して、今般の目標案の策定に伴って行っていただきたいことを述べ、2につきましては、今の法人に対する現状認識とこれに伴いまして委員会として今後こういったことを行っていきたいといった構成になっております。以下、読み上げさせていただきます。
1.独立行政法人評価制度委員会では、年度当初より、平成29年度に中(長)期目標期間が終了する法人の業務・組織の見直し内容等について主務省や法人と議論を進めてきたところです。本日、委員会において主務大臣から提出された目標案を審議したところ、これまでの議論も踏まえて策定されていると考えられることから、「意見なし」としたいと思います。
独立行政法人が、国の政策実施期間として最大限の成果を上げていくためには、主務大臣から指示された目標について、法人の長が、目標の意味するところ(ミッション)を中(長)期計画・年度計画に具体的に落とし込むことが肝要です。
各法人の長におかれましては、ミッションを組織内の各階層に適切に伝えた上で、リーダーシップを遺憾なく発揮していただきたいと思います。
2.我が国が世界に先駆けて、生産年齢人口の減少、地域の高齢化、エネルギー・環境問題といった様々な課題に直面している今こそ、国の行政の一翼を担う独立行政法人が果たすべき役割は大きく、各法人には専門性・人材面での強みを最大限発揮して、これまで以上に積極的に課題の解決に取り組んでいただくことを期待します。
委員会としても、引き続き独立行政法人が最大限の成果を上げていただけるよう、調査審議に当たっていきたいと思います。特に、今後は、以下のように取り組みたいと考えています。
(1)中(長)期目標において法人の正しい「努力の方向性」が示されるようにするため、委員会において、各主務大臣や独立行政法人の意見を聞きつつ、現行の目標策定指針等の見直すべき内容を把握し、将来的な改定に向け、必要な準備を進めること。
(2)法人の長が柔軟な法人運営を進める上で障害となると考えられる制度やルール面での課題等の解決方策等について議論し、提言すること。
(3)法人の組織運営を活性化し、職員が元気を出して業務を行っていけるよう、組織活性化の取組事例を把握し、紹介すること。
引き続き関係各位のご理解とご協力をお願いいたします。以上。
以上です。
【野路委員長】 ありがとうございました。御意見等ございませんか。委員長談話ということなので私から一言申し上げます。2.(1)について、努力した人が報われるという形に、積極的にもっていきたいと考えております。2.(2)は先ほどありましたように、年度内に予算を消化しないといけないとかそういうことではなく、あるプロジェクトで予算がついた場合、次年度も当然使えるということです。大学もそうだと思いますが。また、知財については、民間企業や社会に還元できるような形で使っていくことです。産業技術総合研究所もそうですが、官と民とが共同研究を行う場合、そこで管理費を民間が拠出します。アメリカだと大体4割から6割程度ではないでしょうか。欧米ではその管理費を使って共同研究の企画をできる人材、専門員を採用しています。私は大阪大学の諮問委員をしていますが、大阪大学ではここ4年、5年ぐらいでかなり共同研究が進み、かなりの管理費が入ってきています。それを使って、2、3人採用しており、これは全部専門員です。その人たちがベンチャー企業の発掘等いろいろなことを、大学の若い人たちの御用聞きに行って、ピックアップしているのです。そういう人材が欧米の大学にはたくさんいるのですが、日本の大学にはそういう人材が少なく、民間企業から頼んでも企画書が出てこない。そういう好循環を生むような形で自分たちで稼ぎ、そちらに予算を回すという方法が良いのではないかというのが、先ほどの事務局からの提案だと思います。そういう形で、それ以外にも実際各法人の方が行っておられる中で、障害となっている制度やルールは、もう遠慮なくどんどん出していただいて、そのやり方を変えていくことで元気が出るのだと思います。
2.(3)の法人の組織運営の活性化です。先ほど天野委員から、ではリーダーシップはどうやって評価したら良いのだという話が出ましたが、これは組織におけるコミュニケーションではないでしょうか。弊社の例ですと、私の社長時代の大体6割はこの仕事です。計算してみると、業務の6割はいろいろなステークホルダーや、社員とのコミュニケーションなのです。工場や販売法人など、いろいろなところへ行きます。そしてそこの社員と直接のコミュニケーションを取らないと、社員は皆同じ方向に向かわないということなのです。理化学研究所や産業技術総合研究所も皆、理事長は頑張っておられますが、そういう形でしっかりと法人に属する人たちに説明を行い、引っ張っていくこと、要はコミュニケーションをしっかりできる理事長が非常に大事だと思います。それぞれの法人によってやり方は若干違うでしょうけれども、いろいろな工夫をしている事例を紹介することによって、もっと組織が活性化するのではないかと思います。
生産年齢人口の減少や地域の高齢化、少子化、エネルギー問題等いろいろな問題を、今の日本は抱えています。こういった状況に置かれている今こそ、独立行政法人が活躍する場が来たのだと思うのです。私どもの会社でも、本当に人手不足です。サービス業も製造業も、農業など第一次産業は皆そうです。それぞれの分野で、人手不足を少しでも解消するためには、法人の役割は非常に大きく、特にそういうところを見ていただき、IoT等も使っていってほしいと考えております。今日は野田大臣と話をする機会をいただきました。今回、北陸ではものすごい大雪に見舞われましたが、あれを見て、もっと除雪機をたくさん買ってはどうかと言うだけなら話は簡単です。もっとIoTを使って、今現在どこにどれだけの雪がたまっているのか、どこが今除雪されていて、どこが除雪されていないのか、そういうことをタイムリーに、各トラックや乗用車のナビゲーションのところに情報が行くような時代はもう来ているわけです。除雪が済んだところから車は動き出せるわけで、交通渋滞はそこでなくなります。ところが今は、どこの除雪が進んでいないか、情報が入らず、そこに行こうとするから、渋滞となり、除雪も進まなくなる。あるいは、リアルタイムに積雪がどうなっているかも、気象情報のデータだけではよく分からない。実際、道路に雪がどれだけたまっているかも分からない状況なのです。そういうときに、もっとネットワークを使えば、今の除雪機の台数だけでもかなり効率が良い除雪システムができるのだろうと思います。
そういう具合に、今起きているような社会的な課題を一つ一つ解決することが、自治体にも問われているので、自治体のバックアップとして法人ができる役割も非常に大きいのだろうと思うのです。是非現場を見ながら提案をしていただいて進めていくことが、大事ではないかなと思います。以上です。
それではこの談話で提出したいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
それでは、提案通り公表させていただきたいと思います。
以上で議題1を終わります。次に議題2について、法人活性化の取組みとして事例を紹介していただくことになっています。
本日は国立科学博物館の取組について、国立科学博物館人類研究部人類史研究グループ長、「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」代表の海部様からお話をいただくことになっています。それでは、海部様、よろしくお願いいたします。
【海部人類史研究グループ長】 御紹介いただきました海部と申します。よろしくお願いいたします。私は博物館の研究職で、普段は博物史料の価値付け、意味付けをしていく研究、それから展示の設計といった仕事を行っております。
今回、考案したプロジェクトは、クラウドファンディングという形をとらせていただいたのですが、二つの意味で博物館としても新しい試みだったのではないかなと考えています。一つは国立の博物館が日本でクラウドファンディングに挑戦したのは初めてだったということ。それから二点目はこのプロジェクト自体が博物館の外で行うものですけれども、博物館の人材を使うとともに、外部の研究者とも協力して、大きな野外のプロジェクトを行おうというところで、少し変わっているのではないかと考えております。
早速プロジェクトの概要から御説明させていただきたいと思います。プロジェクト概要の年表を御覧ください。まず時代観なのですけれども、私たちが話をしている3万年前というのは、縄文時代が始まる1万6,000年前の倍古い時代になります。大体、日本列島に3万8,000年ぐらい前に私たちの祖先と呼ばれる人類が現れたと考えていて、要するに日本列島の人類史というのはそこまで深いわけです。その一番初期のことに今、光を当てようとしています。3万年前の祖先たちに対して私たちはたくさん誤解していると思うのですが、そのことを解き明かしていきたいと考えております。
次のページに、主役は、世界へ広がったホモ・サピエンスとありますが、人類は猿人や原人と呼ばれる段階を踏んで、私たちホモ・サピエンスに進化していくわけです。その過程で何百万年も前にアフリカで人類が誕生するわけです。現在は世界中に私たち人間が暮らしていますが、当然ながら最初からそうであったわけではありません。そもそも生き物として、一種の生き物が世界中に暮らしているというのは、非常に特異的な、特殊なことなのです。普通はそんなにたくさんの場所に住めないですし、違う場所に行ったら分化して種がどんどん変わっていくわけですけれども、私たちはその意味で均一なグループなのですが、それが世界中にいるというのが変わっています。しかし最初からそうであったわけではもちろんなく、アフリカから少しずつ、こうやって広がっていたのだということを、この地図が示しています。
薄いグレーで示したシベリアやアメリカ大陸を含む全世界に広がったのが、私たちホモ・サピエンスになってからになります。これが大体5万年前以降、世界中に大拡散をしていきます。この地図を見ると、前の人類は寒いところが苦手だったこと、それから海を越えることができなかったということが分かると思います。海を初めて越え、新しいことに挑戦し始めた祖先たちの足跡、その証拠が実は日本列島にもあるのだという話になっていきます。
次のページの日本地図を御覧ください。今から3万8,000年前と言いますと、ちょうど氷期、寒い時期になります。この時は海面が80メートル程度下がっていたことが分かっていまして、地形が今と随分違いました。北海道、サハリン、沿海州まで陸地はつながっていまして、ここは古北海道半島と呼ばれる半島になっているのです。ここを経由して、実はマンモスが下りてきています。本州も四国、九州とつながっていまして、瀬戸内海が存在しないのですけれども、こういった地形の中でも、やはり日本列島は海で離れていまして、対馬海峡、琉球列島、津軽海峡を越えて、最初の日本列島人がやってきた。つまり最初の日本列島人は航海者だったということが分かってきております。
次のページが一番大事な地図になります。私たちが特に注目しているのは琉球列島でして、ここを見ますと六つの異なる島に3万から3万5,000年前ぐらいの遺跡が急に現れるのです。これは要するにホモ・サピエンスが海を越えることができるようになって、単に偶然一つの島にたどり着いたというのではなく、多くの島に拡散できるような何か大きな変化があったことを示唆しています。それを解き明かしたいということで、このプロジェクトが始まりました。
ただ、琉球列島は小さくて遠いので、ところどころ隣の島が見えないぐらいの距離になります。それから黒潮が通っています。これは世界最大の海流ですけれども、これが行く手を阻んでいますので、黒潮を越えないと島にたどり着けないという大きな難関なのですが、それを越えて祖先たちはここに来ているわけです。
次のページですが、きっかけとしては、こういった学術的な背景があるのですけれども、私たち研究者というのは所詮、海のことを本当に知っているわけではないし、航海のこともよくは知りません。ですから祖先たちがどのようなチャレンジをしたのか、それを本当に知りたいと思ったら、舟を自分で造って自分で航海してみるのが一番良いだろうということとなり、研究者だけではできない話なので、海洋探検家の人たちに声をかけました。研究者と探検家が一つのチームを組んでこの実験航海を行っていくというプロジェクトを考案いたしましたが、大きな問題がありまして、お金がなかったので、クラウドファンディングということになったわけです。
次のページですが、クラウドファンディングはREADY FORという運営会社のプラットフォームを使いました。当初目標は2,000万円だったのですが、結果的には875名の方から2,600万円と、目標を大きく上回る御支援をいただきました。これは私たちも想定外の成功でした。ちょうど2年前の2月から4月にこのようなクラウドファンディングを実施いたしました。
次のページについて、まずクラウドファンディングの実際について御紹介したいと思います。日本の国立の博物館として初めての挑戦で、実は発案者は館長でございました。私はこの時にクラウドファンディングのことはよく知らなかったのですけれども、こういうプロジェクトを行いたいのですがお金がなくて困っているという相談をしに行ったら、館長にクラウドファンディングはどうだと勧めていただきました。大変相談しやすい方なのでそういったことも良かったと考えております。クラウドファンディングには、寄附型、購入型、投資型等々ございますが、今、市場規模が大きいのは、圧倒的に投資型です。しかし、私たちは購入型、つまり御支援いただいた方の金額に応じて何らかのリターン、お返しをさせていただくということを行いました。これは、私たちには博物館のアドバンテージが当然ございまして、サービス提供機関ですので、いろいろな非日常的な、普段博物館で行っていないイベントを開催いたしました。例えば、ナイトミュージアムです。非常に人気があったのですけれども、夜、懐中電灯を持って皆さんに来ていただいて、明かりを消して、懐中電灯を照らしながら行いました。フロアには研究者がいて、解説もいたしました。その他、普段お見せしない博物館のバックヤードに支援者の方をお連れして、普段展示場では見られない標本を研究者が直接に解説するといったサービスを提供したりさせていただきました。それからプラットフォームに関しては、民間運営会社にお願いすると当然結構な手数料を取られるのですけれども、私たちはノウハウを持っておりませんでしたので、民間運営会社のプラットフォームを使いました。
次のページですが、これが実際のクラウドファンディングの経過を示したものとなります。2015年12月から準備を始め、2月9日からスタートしたので、それまでの2ヶ月弱で準備をいたしました。どのような準備をしたかと申しますと、まずリターンの考案です。これは当然博物館の中で組織を使うわけですから、いろいろな部門との調整等必要になりますけれども、それを行いました。それから、ポスター・チラシの制作です。それから宣伝用の動画を作ったのですが、これがとても効果的でした。それから、ウェブサイトです。さらに後援・協力団体のとりつけをしまして、組織体制を整えました。それから、今非常に大事だったと考えていますのは、館内での説明会を行ったことです。やはり縦割り組織なので、隣の部門が何を行っているか知らないということがどうしても起こってしまうのですけれども、この時は非公式に、こういうことが始まるのでよろしくということを常日頃伝えていました。それからこのリターンを考案するときに、アイデアを募集するために緊急のランチ会を開いたり、時間のある職員を皆連れ込んでそういうものを一緒に考えてもらったり、事前周知を図りました。それから私が苦手だったSNSを、これは運営会社の人からクラウドファンディングを行う上では必須だと言われて行ったのですけれども、何も知らなかったフェイスブックやツイッターを勉強して始めました。結果的に今でもフェイスブックは苦手なのですが、フェイスブックがどういう機能を持っているかということすら今まで知らなかったので、それを知るという意味では非常に大きな勉強になったと考えています。まだ使いこなせてはいないのですけれども、知らずにはやはり通れないものだと思います。
2月になりまして、9日に記者会見をしてクラウドファンディングを開始し、関連書籍を同時に発売しました。最初の2週間で2割ぐらい達成してくださいという話があり、その初期目標は何とか達成したのですけれども、その後、最初の勢いは良かったのですが、なかなかお金が集まらない日々が続きました。そこで、この間、沖縄を私たちは舞台にしておりますので、沖縄の方々にも知ってもらいたいということで、向こうに出張して説明会を開いたり、館長が特別な会議を招集しまして、博物館の運営に関わる方々を全部呼んで、これをテコ入れするにはどうするのだという会議を何度か開いたりしました。それから実演のためのイベントとして、実際に草の舟の小さいものを造ったりしたのですけれども、そうやってまた記者会見を開く口実を作ったり、大口の支援者を募集するために様々考えたり、著名な方々に応援の依頼をしたり、展示イベントをして、博物館に来るお客様方に宣伝をして写真撮影会等を行ってもらうといったイベントをたくさん行いました。館内でもチラシをたくさん配りました。
私自身にとって、これは個人的にも非常に大きな経験でした。普段は研究者なので、展示場にゆっくり足を踏み入れることはなかったのですが、自分でチラシを配ってお客様方が何に関心を持ってどう動いていてということを観察する機会にもなりましたし、実際にお客様方と話をして、本当に学ぶことが多かったです。それから広報のことですが、先ほども職員が現場を知ることが大事だという議論がございましたけれども、私自身は研究でない新しい現場を理解して、館の他の職員たちが普段何を行っているかを知ることができましたし、本当に体験としてすばらしい機会をいただいたと考えています。そういったことも功を奏してか、終盤の方に目標の2,000万円を達成しまして、見事成功したといった経緯がございました。
次のページになるのですけれども、クラウドファンディングを成功させるためにということで、本当に個人的な体験談なのですが、少しメモを作ってみました。まず、やはり大事なのはプロジェクトの魅力でして、これを洗い出してより的確に訴えること。それからアプローチできるコミュニティーを増やすこと。リターンが充実していることは当然ですし、運営会社の選択ももちろん大事だと思います。
それから広報です。ここで学んだのは、ニュースを出し続けなければいけないということです。今までそんな基礎的なことも知らなかったのですけれども、そういった広報のやり方もいろいろ学びました。それからメディアの記者の方々とのコミュニケーションも当然大事で、工夫として記者の方々にとって何が欲しいかを知ることが大事ですので、個人的にそういった相談もしながら、記者会見をどういうタイミングで行うのが良いかといったことも教えてもらいながら進めました。それから、これは運営会社から教わったのですが、プロジェクトを動かす人物の紹介が必要だということで、そういったチームに関わっている人間の紹介もしました。SNS、著名人の応援、チラシ配り等を行いました。
体制としては、館長が積極的に関与していただいたのが、何しろ良かったということです。私自身ももちろん責任を持って行ったつもりでありますが、先ほど申しましたように、組織の中で内部説明会、声かけ等しまして、普段だと縦割りであまり動いてくれない、つまり私たちの仕事は彼らにとっては余計な仕事ですので、行いたくないという気持ちも普段だったらあるかもしれないのですが、このプロジェクトは本当に皆さんが積極的に動いてくださって、チラシ配りもどんどん行ってくださって、本当に組織の仲間に感謝しているところです。それから民間事業経験者のいろいろなアドバイスも入れまして、何とかクラウドファンディングを運営いたしました。
次のページに館の職員の写真が載っているのですけれども、これはクラウドファンディングが成功した時に、記念で撮って、ネットで出したものです。ある意味、感謝の意味を込めるというやり方の一つとして、このような工夫をとりました。職員の年齢が何か随分若いのはどうしてなのだという事前の質問をいただいたのですけれども、これは一つには非常勤の職員の皆様がたくさん入っているからです。課長クラスの人はあまりこの場にはいないというのがあります。あとは大学との人事交流で若い人が何人か入っているため、少々バイアスがかかっているというのはあります。非常勤の方は確かに若い女性が多い職場であります。研究者は全然そうではありませんが。
次のページですが、航海プロジェクトの事業体制について御説明させていただきます。オープンサイエンスの新しいかたちと銘打ってみました。実は私たちの資金の内、民間資金を使っているのは航海実験の部分で、研究部分にそれを充てているわけではないのです。私たちはまず大航海の謎を解くための様々な研究をしなければいけません。これは遺跡の調査や、先ほど申しました黒潮の研究から、移住して島で人口を維持するには何人行かなければいけないか、男も女も行かなければいけないが、それぞれどのぐらいの人数が行かないと成功しないのかといったいろいろな研究を行っているのですが、そのための研究資金は個々の研究者が自分で調達しています。基本的に公的な研究資金で行っております。一方の実験航海は、ある意味アウトリーチのために行っている部分もございます。実験航海を行わないと分からない部分があるのですが、一方でこれを行うことによって多くの人たちにアピールできるし、楽しさをシェアできますので、その部分を民間資金で運営させていただいています。実際にはクラウドファンディングの支援が2,638万円あるのですけれども、支援者の方々には種々のリターンをお返ししています。それからいろいろな企業、その他の団体から20件、1,000万円の寄附を今までいただいております。それから博物館の募金箱に、異例なのですが140万円ほど入りまして、多くの御支援をいただいております。こういった資金を元に種々の実験プロジェクトの運営を行っているところです。運営の方は、航海プロジェクトの事務局を博物館の中に置かせていただいておりまして、研究者は私と数名で、事務職員はほとんどが専任ではなく兼務ですけれども、この仕事に携わっていただいています。その他外部の協力研究者、海洋探検家、プロのこぎ手たちに入ってもらっています。こういったことは私たち研究者が行ってできるものではないので、彼らに行ってもらっています。それから撮影も外部に委託をしています。シェアをするためには、やはり良い絵を撮ることは非常に大事だということです。当然、安全管理の問題もありますし、その他、ボランティアの方々にもたくさん手伝っていただいております。このような体制で行っています。
また、次のページですけれども、情報公開のポリシーがございまして、情報は基本的に一般公開するのですけれども、成果を最初にお知らせするのは記者ではなくて支援者であるというポリシーを持っております。クラウドファンディングで支援してくださった方を会員と認定しまして、月二回程度、メールニュースを差し上げています。これには、うまくいっていないこと、失敗したことを含めて全部公表しております。それから節目の時に博物館等で報告会を行うのですが、それも支援者の方々のみ招待させていただいて行っております。その他に一般向けの情報公開として、通常のウェブサイト、一般講演、博物館展示、各種のメディア等を利用させていただいています。
次のページですが、改めてこの航海プロジェクトの特徴というか、面白さは何だろうかと考えてみたのですけれども、一つは研究者の謎解き体験を広く共有するための仕組みだと考えています。通常の研究は、成果・結論が出てから公表するわけで、研究者がその間で経験している試行錯誤や失敗は表に出ないわけなのでして、私も普段の研究はもちろんそういうふうにやりますが、このプロジェクトに関しては非常に面白すぎるので、研究者だけで行い、研究者だけで面白がっているのはもったいないと思ったのです。それで、是非こういうオープンサイエンスの形をとりたいと考えました。よって、進行状況を失敗も含めて公開するということを行っています。御存じかもしれませんが、草舟の実験はいきなり失敗をしたのですけれども、そういうことも含めて公開をしております。それから抱えている課題・問題も公表しますが、そうすると何が良いかというと、支援してくださった方々、その他の方々から様々話題にしていただいているのです。そういう声を後から聞きます。酒席の話題にもなっているということで、これはもう我々にとって大変うれしいことであります。
それからもう一つの効果として、大勢が意見できるプロジェクトを意識しているのですけれども、支援者の方々からいろいろな声を収集して運営に役立てております。一般の方々からの声も届きますので、これを時には新しい情報・アイデアの吸収に使いますし、それから批判も入ってきますので、それを反映します。それからもう一つ大事なのは、私たちが発信した情報が誤解されているということが、批判を通じて分かることがあります。もう何度も言っているつもりなのに、また同じことを聞かれているということは、私たちの発信の仕方がまだ弱いのか、足りないのかということになりますので、そうであればもう一回言えば良いというふうに、調整をしながら進めていくということを行っています。結果として、このクラウドファンディングという形をとって支援者との外の方々とのつながりを作ったことは非常に良かった、非常に親和的であったと、今改めて思っているところです。
最後のページに今後の計画という絵がございます。来年の予定なのですけれども、本番の実験航海を予定しております。これは黒潮を渡って、日本列島への入り口である与那国島を目指す実験航海です。この間には黒潮の本流が流れています。これは大体人が歩くか早歩きするぐらいのスピードで、幅100キロメートルにわたって流れていますので、そういう巨大な障壁を越えないといけません。まっすぐ行ったら流されるわけです。それからいろいろな謎が残っています。大陸から与那国島が見えないと言われていますが、そうすると祖先たちはどうして行ったのか分からなくなります。それから絵には円が書いてありますが、これは与那国島が海上から見える範囲です。与那国島は小さい島なので、半径50キロ圏内に入らないと見えず、航海の当初はずっと見えないことになりますので、一体どうするのか。また夜はどうするのかといった様々な問題がありますので、そういった謎を私たちなりにアプローチして研究をして、来年には私たちのベストな仮説を作って、その仮説に基づいて本番に挑みたいと考えています。
先ほど申しました、いただいた4,000万円の資金は実はほとんどなくなってしまいまして、そのためにまた、本番に向けたクラウドファンディングをもう一回予定しているところであります。本年の6月、7月ぐらいに予定しております。
以上です。ありがとうございました。
【野路委員長】 大変興味深いお話をありがとうございました。それでは、御質問等ございましたらお願いします。
【天野委員】 大変興味深いお話、ありがとうございました。このプロジェクトの中に博物館としては大体いくつぐらいの研究テーマが入っているのですか。
【海部人類史研究グループ長】 数えたことがないのですけれども、直接、間接に係る研究がたくさんありまして、一番コアのもので例えば10個ぐらいでしょうか。その他関連するものがたくさんありまして、今日の午前中も黒潮の専門家と話をしていたのですけれども、また新しい問題が出てきています。行えば行うほどまた新しいことが出てくる。でもそこに意味があると考えています。
【天野委員】 コアが10個というのは、非常に規模感も分かって面白いと思いました。おそらくたくさん成果が出ると思いますので、是非この成果の広報もクラウドファンディングでも何でも使って、よろしくお願いします。
【野路委員長】 他にございませんか。どうぞ。
【樫谷委員】 非常に興味深く聞かせていただきました。組織をあげてのプロジェクトということですよね。すると、ここに書いてあるように一致団結して物事が進んできたということだと思いますけれども、一致団結することによって何か組織として今までと少々違うなというところがあったら教えていただけたらと思います。
【海部人類史研究グループ長】 小さなことですけれども、例えば、クラウドファンディングの期間中、最初始まった時は博物館の中にいろいろな規制がありました。ポスターはあそこに張っちゃいけない、ここに張っちゃいけない。そのうちにどこでも良い、何をやっても良いということになりました。これは、博物館が広報をどうするかということを考え直す一つのきっかけにはなっているのではないかなと思います。
【野路委員長】 他にございませんか。どうぞ。
【高橋委員】 すばらしい御発表、ありがとうございました。私はクラウドファンディングで実現したというタイトルを見た時に、寄附型で行ったのかなと思ったのですけれども、購入型で行ったというお話でした。ただ、購入型というのは、例えば、3・11の復興支援をして、そこがうまくいったらものをもらうという、製品やサービスをもらうことをもって購入型というイメージが強かったのですけれども、今回のケースは購入型の部類には入るのでしょうけれども、非常に新しい革新的な知恵や経験をもらう、何か見えないものを還元していただいているような感じがして、むしろ購入型というジャンルに入れずに何か新しいクラウドファンディングのタイプとして入れていくことで、法人などがこういう形を使って自己収入を得たり、いろいろ研究開発を実現したりするにあたって、非常に良いヒントをたくさんいただいたように思います。内部で行っていくときに、このクラウドファンディングで購入型を選ぶというところで何か議論があったのであれば、あるいは、第一次クラウドファンディングが実現して、何かもっと今の枠でないことができるのではないかというような御知見があれば是非伺いたいと思います。
【海部人類史研究グループ長】 まず、寄附型はどうしても規模が小さくなりますので、2,000万円という目標は非常にハードルが高くなります。私たちは購入型にできる体制も持っていますので、むしろ新しいサービスの提供が重要です。ものでなくても、体験や知識といったものを提供することを私たちはできるわけですから、それを使ったということだと思います。
【野路委員長】 金岡委員お願いします。
【金岡委員】 素晴らしい発表をありがとうございました。
国立科学博物館というと、どちらかといいますと非常に堅いという印象で、古い組織の中で新しいことをおやりになったということは素晴らしいことだと思います。一方、最後の方に少し書いていただいたように批判に耳を傾けて研究に反映されたということですが、どのような批判が多かったのか、差し支えない範囲で少し教えていただければと思います。
【海部人類史研究グループ長】 実はあまり批判は多くなくて、あっても私の耳に入っていないというのもあるのかもしれないですけれども、私が当初予想していたほどたくさんはありません。ただ、皆さん、このプロジェクトの中に対して意見を言われます。例えば、何でこぐのだろう、何で帆を使わないのだとか、こいで渡れるわけがないでしょうだとか、いろいろな意見を出すのです。それに対して、私たちが研究、証拠を持って答えるということを繰り返しているという形になると思います。
【金岡委員】 それほど大きな、本質的な批判はなかったということでしょうか。
【海部人類史研究グループ長】 そうです。正直申しまして、与那国島で失敗した時は何を言われるかと冷や冷やしていたのですけれども、蓋を開けてみたらそうではなかったので、私自身がちょっと驚いています。
【金岡委員】 ありがとうございました。
【野路委員長】 他にございませんか。
【栗原委員】 ありがとうございました。当初これをお聞きした時に、そもそも公的資金で行っているものと、クラウドファンディングで行うものとをどう切り分けているのだろうという素朴な疑問があったのですが、基本的な考え方が良く分かりました。ただ、今回行ったようなイベントはこれ以外にも既に行っていて、おそらくそういう他の取組についてもクラウドファンディングで行うのかそれとも違う予算で行うのかについて、組織の中で整理したり、あるいは各原資の中でのプライオリティを再検討したようなことがあったのではないかと思うのですが、そこの考え方について何か示唆していただけるようなことがあったらよろしくお願いします。
【海部人類史研究グループ長】 私も自分の狭い経験しか持っていないので、あまり大きなことは言えないのですけれども、クラウドファンディングが使えるテーマはやはり限られると思います。研究資金をクラウドファンディングで得る試みも始まっていて、たとえば地方大学などの場合は運営資金が少ないのでそういったことをされています。ある程度の成功はしているようでそれはたいへん素晴らしいことですが、やはり規模は大きくなりません。100万円ぐらいの規模で大体収まっている感じのようです。クラウドファンディングの良さを知って使い分けるということなのだろうなと思うのですが、どこでこれを使うか、どこで違うやり方を使うかということなのかなと思います。
【野路委員長】 浜野委員、お願いします。
【浜野委員】 大変興味深いクラウドファンディングのチャレンジについて、御報告をありがとうございました。研究という分野をクラウドファンディングでなさるということと別に、やはり国立科学博物館のアクティビティを、若い世代など多くの方に知っていただく良い機会ではないかと思うのです。メディアもいろいろ御紹介されているのですけれども、例えば、これからチャレンジしていただけるような小学生や中学生にもっと拡散するような方法とか、あるいは、私もスマートフォンで見てみたのですけれども、JALとかオフィシャルサポーターがたくさんおいでになるので、例えば、JALの機内でこういったところを搭載していただくなど、更なるチャレンジを広報していただけるような工夫がもっと出てくれば良いなと思いました。
【海部人類史研究グループ長】 貴重な御意見、ありがとうございます。現実的には私たちもたくさん理想を持っています。ただ、どうしてもマンパワーの問題があります。それから予算の問題があります。私もファンドレイジングに相当力を使っていますので、本業の研究が少し滞ってしまっているということが起きているのです。ただ、理想の追求はしたいと思います。ただ、今は予算もカットされていますし、人も減らされています。
【野路委員長】 他によろしいでしょうか。非常に興味深い話を聞かせていただき、ありがとうございました。私は福井県出身ですが、福井県には恐竜博物館があって、その裏側には大きな研究室があります。恐竜について興味の深い人たちが集まり、研究室を作っていまして、私も見学させてもらいました。タイや他の国の恐竜博物館とも連携をしているのですが、一番困っているのはやはり資金だそうです。県で運営していますので、広報活動も県が行っています。たとえば福井駅前には恐竜の動く模型があり、このような模型などで少しお金を稼いだり、いろいろなことを行っています。博物館がこのような形でどんどんPRを行っていくと、大学に通う若い人たちが、あのような研究をしたいと考えるようになるのではないでしょうか。是非これからもがんばっていただきたいと思います。
【海部人類史研究グループ長】 ありがとうございます。
【野路委員長】 本日はありがとうございました。
海部様におかれましては、ここで退席となります。本日は貴重な取組みについてお話しいただき、誠にありがとうございました。今後ともこのような取組みをいろいろな形で紹介してまいりますので、他の法人も参考にしていただきたいと思います。
本年度の調査審議は以上となります。来年度は法人の理事長等との懇談や目標策定指針等の改定に向けた準備について、引き続き精力的に取り組んでいきたいと思います。
以上をもちまして、第15回独立行政法人評価制度委員会を閉会いたします。
本日は皆様、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございました。

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