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第22回独立行政法人評価制度委員会 評価部会 議事録

日時

平成30年5月21日(月)13時30分から14時20分まで

場所

中央合同庁舎第2号館8階 第一特別会議室

出席者

(委員)樫谷隆夫部会長、原田久部会長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、高橋伸子委員、浜野京委員

(事務局)堀江官房審議官、栗原管理官他

議事

  1. 平成30年度の調査審議に当たって
  2. 平成30年度スケジュール
  3. 「平成30年度の調査審議に当たって」を踏まえたフリーディスカッション
配付資料

議事概要

【樫谷部会長】 お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。いよいよ今年度の調査審議が始まりますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
ただいまから、第22回独立行政法人評価制度委員会評価部会を開会します。
まず、議題1といたしまして、平成30年度の調査審議に当たって、委員間での認識共有の上、意見交換をしたいと思っております。当委員会では、「独立行政法人の中(長)期目標の策定について」を、昨年度の平成29年12月4日に独立行政法人評価制度委員会で決定したところですけれども、今年度におきましても、委員会決定に盛り込んだ視点に立って進めていくこととしたいと考えております。
資料1につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。
【栗原管理官】 それでは、お手元の資料1と参考資料3について、両方照らし合わせて、御覧いただければと思います。
参考資料3の「独立行政法人の中(長)期目標の策定について」を、昨年度委員の先生方に様々調査審議いただきながら、独立行政法人評価制度委員会決定ということで取りまとめさせていただきました。その上で、委員会決定の「3.今後の委員会の活動について」の(1)にあるように、昨年度、平成29年度末に中(長)期目標期間が終了する法人の新たな目標案については、「2.法人の中(長)期目標の策定について」の(1)から(4)の視点を踏まえつつ検討いただきたいということを、視点として取りまとめたところでございます。
また、次のパラグラフの「また」以下でございますけれども、委員会としては、来年度以降、すなわち平成30年度以降の法人見直しの調査審議に当たりましても、同様の視点、すなわち(1)から(4)の視点に立って進めたいと考えており、各主務大臣におかれては、来年度以降、すなわち平成30年度以降に中(長)期目標期間が終了する法人についても、本委員会決定の内容・趣旨を理解の上、御対応いただきたいというところを取りまとめたところでございます。
さらに、「2.法人の中(長)期目標の策定について」の冒頭で、どういう考え方でこの(1)から(4)の視点を取りまとめたのか説明しております。一段落目の「我が国は世界に先駆けて」以下で、第4次産業革命のイノベーションを社会実装することなどを通じて、我が国の様々な課題を解決するのみならず、人口減少下においても成長できる社会の実現につなげていく仕組みを構築することが重要である、としております。このため法人は、その専門性・人材面での強みを最大限発揮して、こういった課題を解決していくことが重要であり、この認識にのっとって、昨年度調査審議し、今年度以降も調査審議をするということでございます。
以上を踏まえた上で、資料1を御確認ください。「平成30年度の調査審議に当たって(案)」ということで、今、口頭で申し上げて説明したところをペーパーに簡単に落とさせていただきました。ほとんど1に尽きてしまうのですけれども、委員会決定に記載されているとおり、昨年度に引き続き、委員会決定により委員会から示された視点(1)から(4)に立って、今年度の調査審議を進めますということ。それから2ですが、まさに委員会決定の考え方の背景となりました社会実装、課題解決、成長といったところと、法人の政策実施機能の最大化というところを盛り込ませていただきました。
資料の説明は以上でございます。
【樫谷部会長】 ありがとうございます。それでは、どなたからでも結構でございますので、御発言をお願いできればと思います。いかがでしょうか。基本的には、委員会決定を十分考慮して今年も調査審議を行いますということです。何か疑問や御発言等ございますか。
今までどちらかというと、スリム化しようという論理の中で、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にという論理の中で進めてきていたところ、資料1の「平成30年度の調査審議に当たって(案)」の2の(1)では、要するに、むしろ地方、非営利法人、民間企業等が大変なので、積極的に法人が支援を行うと書いております。今までと少々スタンスを変えたようなイメージがあるのですが、そういうことでよろしいでしょうか。
【栗原管理官】 まさにそういう御理解かと存じます。委員会決定におきましても、「1.新たな独立行政法人制度の趣旨」ということで、平成25年に中央省庁等改革に伴う当初の理念を閣議決定したのですが、平成27年4月から施行された新たな独立行政法人制度は、そこから導き出されるということで整理させていただきました。
【樫谷部会長】 資料1の2(2)の「オールジャパンで対応すべき」以下の記述について、これは、国、地方公共団体、非営利団体、民間企業等を合わせてオールジャパンということと考えて良いわけですね。
【栗原管理官】 はい。
【樫谷部会長】 続けて、「他の主体との分担や協働の在り方を明らかにし」と書いてあります。今までは、この法人はここ、この法人はここと、役割分担にすき間がないようにしないといけないとされていたように思います。ただ、協働の在り方というのは、確かにすき間があまり広いといけないし、重なっていてもいけないわけですが、その加減はうまくいくものだと考えていらっしゃるのでしょうか。他の主体との分担や協働の在り方という点では、民間にできることがたくさんあると思いますが、やはりパブリックの役割も重要です。これから議論していくのでしょうが、分担や協働の在り方、スタンス、考え方や立ち位置について、我々としてはどのように考えていけば良いのでしょうか。
【堀江審議官】 まさにこの点は、昨年度の委員会審議でも、委員の先生方から御指摘があった点だと思います。やはり法人にはそれぞれの強みがあるので、一見重なっているように見えても、それぞれの視点からそれぞれの専門性を出し合って、協働して取り組んでいく。それが法人同士でも、法人と民間企業でも、あるいは法人と自治体でも良く、むしろ目標の中でこの法人とこの法人でこのように協力していくとか、このような取組をしていくということをより積極的に書いた方が良いのではないかといった御指摘があったと理解しております。
【樫谷部会長】 むしろ一見似ているようだけれど、多方面から一つのものを見てあげるという考え方もあるということですね。分かりました。
【原田委員】 今の点に関連してですが、今年度の対象法人には、全国にたくさんの下部組織を抱える法人がかなり多く含まれています。そういう意味では、全国にたった一つだけ組織があって、ほかの地域の住民は知らないというわけではなく、むしろ法人のブランチが地域において一定のプレゼンスを示している、一定のパフォーマンスも果たしているということです。今年度はそういう意味では、各法人の在り方を論ずるに当たって、そうした地域に一定程度のプレゼンスがある法人というものを対象にしているということで、先ほど議論があった点をこの部会で議論するには、うってつけなのではないかという気がしています。そういう意味では、何も今まで法人が出ていっていないところに出ていって、新しい仕事を探してくるということだけではなく、既に果たしている機能を前提にしながら、協働というのを考えることができるのではないかという気がしています。
【樫谷部会長】 ほかに何かございますか。高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】 参考資料3に関連してお伺いしたいと思います。参考資料3の3ページ、3.(2)「その他今後の委員会の取組について」という記述がございます。この中の(3)で、「各法人において、組織運営を活性化し、法人の職員が元気を出して業務を行っていくための取組の事例の把握及び紹介」とありますが、これは既に行っていることだと理解しております。
ただ、(1)と(2)につきましては、今年度どう捉えるべきなのかということに関して確認をさせていただきたいと思います。(1)は、指針の将来的な改定に向けて、意見等の具申準備をするということで、(2)は、法人の運営上の障害と考えられる制度やルールの解決について議論をし、必要に応じて提言をするということだと思います。新たな独立行政法人制度に入ってから、我々も様々なヒアリングをし、各法人について意見を述べてきているので、その辺りを少し総括していく準備段階に入る年なのではないかとも思っているのですが、どのように考えていったら良いのか、事務局の考えをお聞かせください。
【堀江審議官】 後ほど資料2「平成30年度のスケジュール(案)」について御説明しますが、この平成30年度のスケジュールは、中(長)期目標に関する調査審議中心に書かれています。他方、この審議と並行して、あるいはそこで行われた議論を踏まえて、まさに御指摘のあったとおり、(1)や(2)についても議論していきたいと思っておりますので、進捗を見つつ、御相談させていただきながら進めていきたいと思っております。
【樫谷部会長】 私も、高橋委員がおっしゃったことが気になっております。中(長)期目標の見直しの年に力点を置いているのですが、確かにこれまでの3年間の見直しが終わった法人については、どうなっているのでしょうか。新制度となって最初の年に見直した法人は、中(長)期目標期間を5年だとして、もう見直しから2年たってしまっているので、この2年で何か弊害がなかったのかとか、良かった点とか、そういった情報があれば欲しいと思います。すぐにというわけではありませんが、今後の見直しについて非常に重要ですので。
【栗原管理官】 私の方から補足させていただきます。現在各府省に、事務局において、委員会決定、目標・評価についての指針、それから制度的な見直しの関係についてヒアリングをしております。その結果を取りまとめて御報告したいと思っております。
それから、法人の活性化事例ですが、6月の委員会で、報告をしたいと思っております。
【樫谷部会長】 そのほかに何かございますか。よろしいでしょうか。
それでは本件につきましては、案のとおりとさせていただくことで御異議ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、本日の方針に沿って、今年度の調査審議を進めていくということにしたいと思います。
次は、先ほど話に出たスケジュールについて、事務局から説明をお願いいたします。
【栗原管理官】 資料2を説明させていただきます。「平成30年度のスケジュール(案)」ということで、中(長)期目標の見直し、見込評価、業務・組織の見直しを中心にまとめさせていただきました。まず、8月までの予定ですが、本日の評価部会を皮切りに、来週以降に主務省のヒアリング、それから法人の長等との意見交換を進めていきたいと思っております。
その上で、毎年8月になりますと、主務省から、見込評価、業務・組織の見直しの結果が当委員会に通知されますので、それを踏まえた上で、秋口以降、対象法人の見込評価、業務・組織の見直し、それからこれらを踏まえた次期中(長)期目標に関する調査審議を行いたいと考えております。
昨年度は、12月に委員会決定をし、年明けの1月以降に当委員会で次期中(長)期目標案の調査審議という形で動いておりました。今年度は、前倒しで検討が進むよう、意識しながらやっていきたいと思っております。そして、2月頃、次期中(長)期目標案に対する意見を出したいと思っております。
また、部会長からのご示唆をいただきまして、ステークホルダーの方々に関するヒアリングを行うことで政策や法人を立体的に捉えられるのではないかということですので、調整してまいります。
資料の説明は以上でございます。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等ございましたら、御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。スケジュールに加えて、後半に栗原管理官が述べていた部分も含めてでございます。いかがでしょうか。
今までは主務省と法人のトップの方と意見交換をしてきて、これは非常に意味があったと思いますが、それだけではなく、今度はユーザーがどうお考えになっているのか、何か課題も抱えていらっしゃるのか、それから法人で働いていらっしゃる方がどう考えているのかなど、一挙にはできませんが、それぞれスケジュールを調整しながら、委員の皆様にお時間をいただけないかということについて、事務局で検討をお願いしているということです。
【高橋委員】 是非、そのヒアリングには参加したいと思っています。ただ、ステークホルダーは非常に多様であったり、多かったりということで、我々が会える人たちも限られてくると思いますので、必要に応じて事務局によるヒアリングやアンケート調査といった何か別の手段も使っていただいた方が、公正な審議ができるのではないかと思いますので、その辺りについても、よろしくお願いします。
【栗原管理官】 配慮をしていきたいと思います。
【樫谷部会長】 確かに法人の良い部分だけ見せてもらってもどうかと思いますので、幅広く網かけをしていかなくてはいけないということですね。一つよろしくお願いしたいと思います。そのほかに何かございますか。天野委員、どうぞ。
【天野委員】 通常の調査審議は、中(長)期目標の最後の年に様々なお話を聞いて、次期中(長)期目標に反映させるということですが、最近の目標には7年もののように結構期間が長いものがあります。以前事務局にお願いしたのですが、毎年事務局の方で様々な調査をされているということでしたので、ある程度の御報告をどこかのタイミングでしていただけると、その辺りの状況も分かって良いのではないかと思います。
【樫谷部会長】 よろしいでしょうか、事務局。
【栗原管理官】 承知しました。
【樫谷部会長】 そのほかに何かございますか。よろしいでしょうか。
それでは本件については、案のとおりとさせていただきたいと思います。本日の方針に沿って、今年度の調査審議を進めていくということにしたいと思います。
次に議題3でございますが、「「平成30年度の調査審議に当たって」を踏まえたフリーディスカッション」です。今年度の調査審議の対象となる法人は、13法人でございます。本日は、各委員の方々にお忙しい中お集まりいただいておりますので、先ほど御了解いただきました資料1の考え方に沿って、委員会決定の視点から少々意見交換をしたいと思います。
まず、事務局から御用意いただいた資料について説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【栗原管理官】 まず、資料3と、参考資料1、参考資料2を御覧ください。それから資料4が、「平成30年度に中(長)期目標期間が終了する法人の中(長)期目標」ということで大部になりますので、タブレットに収納しております。また、机上に別途13法人のパンフレットを用意させていただいております。
メインとして用意させていただきましたのは、資料3と参考資料1でございます。まず参考資料1の、「平成30年度に中(長)期目標期間が終了する法人一覧」でございます。既に申し上げたとおりでございますが、今年度は見直し対象法人が13法人ございます。文部科学省が4法人、厚生労働省が4法人、経済産業省が2法人、国土交通省が2法人、環境省が1法人ということで、昨年度の見直し対象法人にありました農林水産省や消費者庁はございませんが、今年度も割合、幅広い範囲の省庁、幅広い範囲の法人となっております。
次に資料3でございますが、以上の法人につきまして、本日はフリーディスカッションということで、委員会決定の2.(1)〜(4)に、どういった法人がどういった観点から該当するのかといった点を御議論いただければと思っております。
まず資料3の一点目ですが、「各法人がその強みを最大限発揮させ、特に、人材不足等に悩む地域の地方公共団体、非営利法人、民間企業等を支援する役割を積極的に担うこと」という観点で、いくつか例としてこんな観点が考えられるのではないかというものを入れさせていただきました。一点目が研究開発成果の社会実装、二点目が専門性の高い人材の育成、三点目が地域のインフラ整備、四点目が地域における医療・介護サービスの提供体制、五点目が高齢化が進む中小企業の支援です。
二点目が、オールジャパンの関係です。オールジャパンの関係の例といたしましては、我が国企業の海外展開支援に向けた連携や協働の在り方、中小企業の生産性向上に向けた連携や協働の在り方、高等教育の発展、あるいは次世代を担う人材の育成といった観点の取組の強化、こういったことが考えられるのではないかと考えております。
それから三点目が、「結果のみでなく過程における工夫や努力を重視するなど、成果を高めるため、法人による自主的な創意工夫を促すこと」、四点目が、「法人の長がリーダーシップを発揮してマネジメントを行うよう促すこと」です。この三点目と四点目は、当然どの法人がどれに該当するかは分かりませんし、このように各法人の共通事項として、個別な例を挙げずにくくらせていただきました。説明は以上でございます。
【樫谷部会長】 ありがとうございます。それでは、ただいまの事務局からの説明を踏まえつつ、13法人について、早速フリーディスカッションを行いたいと思います。議論に当たりましては、従来の目標の延長線上で考えるのではなく、政策課題を取り巻く環境の変化、あるいは法人の持つ専門性・人材等を踏まえ、まさに今現在、各法人にどのような役割が求められているのか、また、これからの時代、各法人にはどのような役割が期待されるのか、御自由に議論いただきたいと思っております。
委員会決定におきましても、こうした趣旨と同様の指摘がされております。したがいまして、資料4として、各法人の現行の目標をタブレット内でお配りしておりますが、これは参考程度に御覧いただくということとして、どなたからでも結構ですので、御発言いただけたら幸いでございます。ある意味ではゼロベースで見直そうということですね。よろしければ順番に発言いただいてはいかがでしょうか。原田委員。どうぞ。
【原田委員】 二点ございまして、一点目は、先ほど申し上げたことと関連するのですが、例えば具体的な名前を挙げさせていただくと、国立高等専門学校機構ですとか、国立病院機構ですとか、事実上これまではそれぞれの組織が独立して活動してきた法人において、そうした組織を束ねる法人としての執行部がどれぐらいガバナンスをきかせているのかが気になっております。非常に大きな組織ですし。その辺りが、ざっと見た今年度のラインナップで気になるところです。
もう一点ですが、昨今は非常に好景気で、学生の就職率も高いようですし、地方自治体はかなり人を集めるのにも苦労しているということがしばしば報道されています。そういう点で、これからますます人材不足に悩む他の団体、地方自治体等を法人が支援するということはよく分かるのですが、当該法人自体が、本当に優良な人材を採用し、育てることができているのかということが、大前提として少し気になっています。やはりある程度長期的な計画を立てる上で、そういった視点が無くて大丈夫かと気になっています。これは組織全体のマネジメントに関わると思うのですが、助けてくれると思っていた法人自体が、本当に助けてくれるような人的なリソースをこれからも含めて持っているのかというのは、この時代、非常に気になるなと思っております。以上でございます。
【樫谷部会長】 ありがとうございます。よろしいですか。
確かに今、原田委員がおっしゃったような観点も本当に大事で、要するに法人の内部はどうなっているのかということです。つまり、法人職員のカルチャーやマインドが、本当に資料3のようになっているのかどうかということです。原田委員がおっしゃったように、ガバナンスやマネジメントをしっかりやらなくてはいけないと思いますが、その辺りについてはどうでしょうか。突っ込む必要のある部分ですが、実際に現場に行ってみないとなかなか分からないところもあるでしょう。
【栗原管理官】 昨年度の夏にも、委員の先生方に、法人のマネジメント等について、法人の長の方々と意見交換を行っていただきました。今年度も同様の視点での意見交換が予定されております。
また、法人のミッション、法人の長の思いが、どのように職員の方々に伝わり、意識が徹底されていくのかといったことについて、次回の6月の委員会で、法人の活性化事例として紹介する予定になっております。そういった内容も参考にしながら、今年度、調査審議を行っていただけるとよいのではないかと思っております。
【樫谷部会長】 やはり、職員の方が生き生き働くということが重要なのだと思います。高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】 今の御提案に関連した意見です。第4次産業革命のイノベーションをあらゆる産業や社会生活に取り入れることなどを通じてというミッションがあるわけなのですが、各法人にICTの基盤があるのか、それを扱える人材がいるのか、今後その辺の予算が確保できるのかということが、私は大変気になっております。
また、人材育成は、技術とか専門性だけではなくて、人としての有り様が大事です。特に若い人達について、たくさん入ってくればまとめて教育できますが、少しずつしか入ってこない場合、コミュニケーションをどうとっていくのかということも含め、若い人たちがメンタルを病んでしまったり、辞めてしまったりということがないような配慮がされているかどうかという視点も、調査審議のときに入れていけたらと思っております。
【樫谷部会長】 天野委員、どうぞ。
【天野委員】 少し気になった点があります。今年度見直し対象となる唯一の研究開発法人について、私が知る範囲でこの法人は、地方を支援する役割というよりは、どちらかというとオールジャパン対応で国の政策課題の解決に向けた役割を中心に担っている法人です。研究開発成果についての文言が、地方を支援する役割の方に入っており、少々違うのではないかと思います。
【樫谷部会長】 天野委員がおっしゃっている法人は、海洋研究開発機構ですね。
【天野委員】 防災科学技術研究所や国立環境研究所でしたら、地方支援に非常に大きな役割があるのですが、海洋研究開発機構は違うのではないかと思います。少しは役割を担っているとは思いますが、どちらかというと国の政策対応ではないかと思います。
【樫谷部会長】 天野委員がおっしゃっているのは、社会実装と課題・役割との関係が、同じ研究開発法人といっても法人の性格によって違うということですね。
浜野委員、どうぞ。
【浜野委員】 人材をどうやって育成するかという点も非常に難しいのですが、多様なニーズに応えられるような人材を育成しなくてはいけないと考えます。今年度見直し対象法人の中には、海外展開のような様々な社会の変化に対応するための人材育成が必要な法人が含まれると思いますが、純日本人だけのネットワークで全部がこなせるのかといったところも、非常に大きな課題かと思います。
昨年度拝見した国際観光振興機構では、デービッド・アトキンソン氏が非常勤顧問となっておられ、海外のニーズや変化をどうやってその組織の中に取り込んでいくかという工夫もされていたかと思うので、日本人だけではなくて国際人材を取り込む工夫も、これから進めていっていただければと思いますし、もちろん女性の登用も含め、ダイバーシティ全体で広くお伺いできたればと思います。
【樫谷部会長】 ありがとうございます。栗原委員、どうぞ。
【栗原委員】 例えば文部科学省関係の見直し対象法人ですと、4法人の中で3法人に関しては、高等教育における人材育成等で関係しているという見方ができるのではないかと思いますし、厚生労働省関係の見直し対象法人ですと、4法人の中で3法人が、現に医療体制を整えており、かつそれが全国組織となっている法人です。それらを考えますと、医療体制の変化や高等教育の変化等の背景にある課題や政策の在り方と、真正面から関連する法人であると思いますので、是非、主務官庁や法人と、背景にある課題や政策の在り方とを見据えつつ議論をしていけたらと思います。
以上に関連して、先ほど地域と対話しているかという視点が出ましたが、これらの法人が、地域のニーズをどう酌み上げて、あるいはその成果を地域にどう還元しているのかということも、併せて見せていただけたらと思います。
それから、個別具体的に法人名を挙げますが、厚生労働省の医薬品医療機器総合機構の場合ですと、主な役割として審査機能を果たしているわけですが、審査機能だけではなく、いかに日本の医薬品や医療機器の競争力を上げていくかという課題にも直面していますので、例えば様々なラグの問題や日本の競争力が今後落ちかねないところをどう解消していくのかという視点でも、取組を見せていただきたいと思います。経済産業省の対象の組織もそうだと思いますが。
その観点で、先ほど何人かの委員の方がおっしゃったように、職員の方がどう組織の中でキャリアアップし、場合によっては海外の機関ともコミュニケーションしているのか、あるいはITをどう活用しているのかという点や、以上のような取組を実施あるいは促進するために、どのように法人の競争力を上げたり、法人の組織としての生産性を向上させたりしているのかという点について、ディスカッションさせていただければと思います。
【樫谷部会長】 よろしいでしょうか。金岡委員、どうぞ。
【金岡委員】 今年度の見直し対象法人を見ますと、文部科学省や厚生労働省所管ということで、昨年以上に一般の国民の方に直接影響を及ぼすような法人が多くなっています。したがって、たとえば教育においては、無償化等の様々な議論があり、大変な立場の法人があります。また、医療や、今ほどお話がありました医薬品もそうです。そうしますと、私が懸念するのは、日本は成文法の国ですので、法律が変わらないとなかなかそれに従って執行できないのではないかということです。あるトレンドが決まっている時は良いのですが、例えば高度経済成長期のようなかなり昔に作られた法律において、今の少子高齢化が進んでいる状況との矛盾が相当に拡大してきているのではないでしょうか。実際は少しずつ手直しをしていけば良いのですが、国会においてすぐに法律が変わらないものですから、今の労働者改革のように、一気に全てを変えようとすると大変な政治イシューになってしまいます。
そうしますと、教育、労働者、医療・保険など様々な方面へ、直接国民生活に影響を及ぼす法人において、その成文法の中における法律の定めと、世の中がグローバルに進んでいる中で、矛盾が拡大していくこととをどう折り合いをつけて、法律までをすぐには変えられないが、現実的な執行サイドでは、世の中の流れに合うようにどう微修正していくか。実際、そういうミッション・役割について、主務省や法人の皆様も取り組んでいらっしゃると思いますが、それをさらに加速するためにはどうしていけば良いのか。特に今回の見直し対象法人については、教育その他、大変様々な意見がある中でお進みになっていらっしゃいますので、そういった法律と実際面の社会の要請との矛盾をどのような形で解き明かし、解決に結びつけようと各法人が苦労されているのかということを、少し伺ってみたいなというふうに思います。
【樫谷部会長】 天野委員、どうぞ。
【天野委員】 一つ確認させていただきたいことがございます。資料3のオールジャパンや地域創生という部分について、法人の中には法人の長のマネジメント能力で、積極的にそういったオールジャパン体制をとられるところもあるかと思います。例えば、今年度見直し対象法人の国立高等専門学校機構と中小企業基盤整備機構について、国立高等専門学校機構は成果をいかに地域創生に結びつけるかという点で苦労されており、他方、中小企業基盤整備機構も同じようなことを行っている。そうすると、現実に両法人が連携する流れがあればよいのですが、もしそういった流れが無かった時に、一緒にお話し合いをされてはいかがですかという提案を、本委員会からできるでしょうか。ヒアリングの中でのお話だと思いますし、実際の状況をお聞きしてみないと詳細は分からないと思います。ただ、連携しなさいと言うことは難しいと思いますが、一度話し合いをなさったらいかがですかというぐらいの話は、ヒアリング等でお話させていただく機会があるかもしれないと思っています。こういった内容は、別に発言しても構わないのでしょうか。
【栗原管理官】 もちろん、発言していただいて構いません。
【樫谷部会長】 自由にご発言いただければと思います。
【天野委員】 分かりました。
【樫谷部会長】 ほかに何かございますか。高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】 中小企業の問題が、資料3の一つ目の〇には地方創生という観点から書かれていますし、また二つ目の〇にも具体的に書かれております。これに関連したところでは、中小企業基盤整備機構であるとか、日本貿易振興機構も中小企業に様々な情報を出していくということで関係があります。また、少々地域が限定されていますが、奄美群島振興開発基金も関連があると思います。これらの法人が、中小企業の支援という意味で、他の法人や地域の団体と連携していくことが大切だということは、資料3にも書かれています。また、先ほどの天野委員の意見に非常に共感するところなのですが、やはり中小企業の人材は日本の場合海外に比して圧倒的に多いわけで、例えば日本学生支援機構でお金を借りた人が中小企業に勤めていて、実際に返還に延滞が起こっていたり、なかなか就業困難な状況になっていたりする状況とも関係があると思っています。
それから、国立高等専門学校機構も、卒業後の就職先は中小企業が多いと思います。ですので、これも第1ユニットと第2ユニットをまたいでしまう問題のため悩ましいのですが、それぞれがそれぞれをどのように意識して全体最適を図っていくのかという視点は、委員として重要だと思っておりますので、そういった観点からも活動させていただきたいと思っています。
【樫谷部会長】 ありがとうございます。本当にまさにそのとおりで、一つの課題を解決するのは、一つの法人だけの切り口ではなかなか難しい場合が多いです。法人のノウハウを集合して、初めて一つの課題を解決するということになる場合が多いので、今までも連携はやっていたのでしょうが、連携の在り方も含めてよく議論したほうがよいかもしれません。
ほかに何かございますか。浜野委員。
【浜野委員】 連携していかなくては、付加価値も付かず、勝っていけない国際社会となっていること。あるいは社会の激しい変化の中に、いかに変化に対応していくかという中で、連携が出てくるのだと思います。しかし現実問題として、法人の職員にとってみれば、今まで行ってきた事業がある中で、更に高みを望むような期待値が高まっているということになります。そこをどうやって整理して、選択と集中をしていただくかということを見極めて計画を立てていただく必要があると思います。そこで、以上のような点は、それぞれの法人の長、主務省が判断されるところに期待したいと思います。
それと同じくして、どんどんニーズが高まっているのに、人は増やせないという法人の現状があるわけです。要求ばかり高くなっていく中、非常に厳しい中で業務をやっておられるので、例えば、予算に政策経費やそれ以外のものを加え、人員も増やせるようなフレキシビリティーがあるのかどうかといったところまで踏み込んで議論できるのかどうかが、議論の成果につながっていくのではないかいう気がします。
【樫谷部会長】 その辺りは厳しい話だと思いますが、最終的には予算の必要性も含めて真剣に議論していかないといけないと考えますが、予算との関係ではいかがでしょうか。
【栗原管理官】 本日いただいた様々な議論、例えば連携や、採用のキャリアパスの話や、予算や人がどうなっているのかといった話については、全体的な傾向として、やはり連携を行っている法人に、連携をどのようにして行ったのか、どのようなイニシアチブがあるのか、実態はどうなのか等を、事務局の方で様々調べたいと思っております。
それから、採用人数についても、ここ数年、メリハリをきかせ、一部増えている法人もございます。やはり、主務省等が適切に判断している結果、証拠なのではないかとも思っております。
他方で、やはり人が増えている法人は、多忙感があるのではないかと思っております。今年度のヒアリング等を通じて、実際どうなのかということも、是非意見交換できればと思っております。
それから、栗原委員からも御発言がありましたが、政策との関係で言いますと、やはり政策の根本的な話についても、今年度も主務省や理事長へのヒアリングを通じて今後行っていただければと思っております。
【樫谷部会長】 分かりました。そのほかに何かございますか。
いずれにしても難しいテーマで、高齢化が進む中小企業の支援、支援における法人の役割は本当に難しいです。例えば事業承継というテーマについて、上手に承継していただくため、例えば中小企業基盤整備機構が十分役割を果たせる仕組みを作るということが考えられると思いますが、構造的な人材不足の中ですから本当に難しいです。あとは法人の働き方改革について、中央省庁も同様かもしれませんが、ブラックにならないように取り組まないといけないですし、本当に課題が山積みなので、率直に是非、法人あるいは主務省と発言内容を制限することなく、率直に意見交換をさせていただければと思います。
【高橋委員】 連携や協働が、今回キーワードとして出ています。これは非常に重要だと思う反面、すみ分けをどうするのかという決めが非常に重要であるということと、今年度見直し対象法人が該当するかどうかは分かりませんが、組織によっては組織防衛的に考え、自分の法人だけでやって成果を上げたいという法人が出てくる可能性がゼロではないと思います。ですので、我々が評価していく時に、連携や協働をしたことが評価に結びつくことが大事ではないかと思っています。一つの団体だけでこれだけの成果を上げましたということではなくて、連携したことによって相乗効果があるというところを評価に入れていければと感じるところでございます。
【樫谷部会長】 それから、法人同士の正式な連携もありますが、それぞれの部署同士の連携も結構あります。それで成果を上げている場合もあるので、どのような実態があって、どのような成果を上げているかも含めて、課題もあるでしょうから、我々がそうした連携を促進・支援できるような意見が出せればよいと思いますので、よろしければ調べていきたいと思います。
【栗原管理官】 はい、承知しました。プロジェクトごとの連携について、実態を調べていければと思います。
【樫谷部会長】 そうですね、よろしくお願いします。そのほかに何かございますか。よろしいでしょうか。
それでは、先ほど事務局から御説明がありましたように、今後主務省ヒアリングや理事長との意見交換も予定されております。本日の御意見等につきましては、引き続きこうした場を通じて議論を行いたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。各主務省に対しては、本日の御意見等も踏まえて、各法人と積極的に意見交換を行い、問題点を指摘するだけではなく、前向きな意見交換を行いたいと思います。また、現在作業中の見直しや新目標案の検討を前倒しで行っていただきたいと思っておりますが、その旨、事務局からも伝えていただくように、私から事務局に対してお願いしたいと思います。
また、本日の評価部会には、見直し対象法人を所管する主務省の御担当の方々も傍聴されていると聞いております。少し事務的なお話ですが、法人の目標設定に当たっては、何年かに一度の議論であり、えてして過去の目標をベースにして新たに付け加える、変更するというように、上滑り部分だけを考えるような議論ではなく、まさに本日各委員から御指摘いただいたように、従来の目標の延長線ではなくて、新たに一から考えるという姿勢で臨んでいただきたいと思いますので、ここであわせて事務局からも主務省などに伝えていただくようにお願いしたいと思います。
最後に、次回の日程についてよろしくお願いいたします。
【栗原管理官】 次回の評価部会につきましては、日程が決まり次第、御連絡させていただきます。なお、委員会につきましては、既に御連絡したとおり6月29日でございますので、よろしくお願いいたします。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、第22回独立行政法人評価制度委員会評価部会を閉会いたします。これから大変な作業に入っていきますので、ひとつ皆様もよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 

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