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  統計委員会

府 統 委 第 6 号
平成21年1月19日


総 務 大 臣
   鳩 山  邦 夫 殿

統 計 委 員 会 委 員 長   
竹 内  啓


諮問第12号の答申
2010年世界農林業センサスの計画について


 本委員会は、農林水産省が2010年に実施を予定している農林業センサス(指定統計第26号を作成するための調査。以下「今回センサス」という。)の計画について審議した結果、下記の結論を得たので答申する。



  1. 承認の適否とその理由等
    (1) 適否
     計画を承認して差し支えない。
     なお、計画の実施に際しては、以下の理由等に留意することが必要である。
     
    (2) 理由等
    ア 調査体系
     2005年農林業センサス(以下「前回センサス」という。)において付帯調査として実施した「農村集落調査」(統計報告調整法(昭和27年法律第148号)の規定に基づく統計報告の徴集)を廃止し、同調査で把握していた農業集落のコミュニティ活動に関する事項を、「農業集落調査」において把握する計画である。
     これについては、調査体系を整理するとともに、農村地域の再生及び活性化のための施策を推進する上で必要な事項を継続して把握するものであり、適当である。
     
    イ 調査方法
     「市区町村調査」の調査方法を農林水産省職員による調査から郵送調査に、同じく、「農業集落調査」の調査方法を調査員調査に、それぞれ変更し、面接聞き取り調査から自計申告調査に変更する計画である。
     国の行政組織等の減量・効率化の推進に基づき、農林水産統計分野の定員が大幅に縮減されることから、職員調査の廃止はやむを得ない対応である。
     「農業集落調査」において、調査客体である農業集落精通者からの申出があった場合には、調査員による面接聞き取りも可能としており、調査精度を維持するための措置が講じられることから、自計申告調査への変更は適当である。
     ただし、「市区町村調査」については、統計調査等業務の業務・システム最適化計画(平成18年3月31日各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)を踏まえ、調査業務の円滑な実施及び効率化に資するため、オンラインによる報告も可能とする必要がある。
     
    ウ 調査事項
     調査客体の負担の軽減や、個人情報保護意識の高まりに伴う業務記録情報の利用の制約及び調査客体への配慮のため、農林業及び農山村の基本構造の把握に重点化し、今回センサスの調査事項を大幅に削減又は簡素化することについては、やむを得ない対応である。
     しかしながら、「農林業経営体調査」については、次のとおり当初計画を修正する必要がある。
    (ア)  農業構造の変化をより的確に把握する上では、農作業を受託する側だけではなく、委託側の情報も把握することが重要であることから、農作業の委託に関する事項を引き続き調査すること。
    (イ)  実額の把握から階級別の把握に変更した「農産物の販売金額」、「農作業の受託収入額」等について、経営の大規模化の状況を把握する上で重要な情報となることから、「5億円以上」の範囲については、より具体的な数値の把握が可能な方法に変更すること。
    (ウ)  農業における高付加価値化の取組を把握する上では、流通面での各農業経営体の取組を把握することが重要であることから、農産物の出荷先に関する事項を引き続き調査し、出荷先の区分を流通の多様化の状況の把握が可能なものに変更するとともに、海外に農産物の輸出を行う農業経営体の取組を把握する項目を、「農業経営の特徴」に追加すること。
     
    エ 集計事項
     集計事項については、調査事項の変更を踏まえ、変更を行う計画であるが、「農林業経営体調査」については、上記ウで追加する調査事項に対応する集計結果表を作成するとともに、農業及び林業が密接に関連して行われている中山間地域の実態を明らかにするため、農業と林業を併せて行う農林業経営体の実態を把握するための集計結果表を充実させる必要がある。
     
    オ 調査期日等
     従来12月1日としてきた沖縄県の調査期日について、他の都道府県と統一し、2月1日とすることについては、沖縄県のさとうきび農家の減少など、同県の農業の状況が変化し、他と区分する必要性が低下したことを踏まえたものであり、調査業務の効率化に資するものでもあることから、適当である。
     また、北海道、沖縄県と他の都府県とで異なっていた「農林業経営体調査」の調査票を、地域による区分をなくし、一つの調査票に整理することについては、調査事項の見直しに合わせ、調査業務の効率化を図るものであり、全国共通の調査結果の表章を可能とするものでもあることから、適当である。
     
  2. 今後の課題
    (1)  「農林業経営体調査」におけるインターネットを利用した申告も可能とする措置については、農林業経営体の大部分を占める農家におけるインターネットの利用状況を踏まえると、今回センサスでは対応しないことはやむを得ない。
     しかしながら、農家におけるインターネットの利用動向を踏まえ、「農林業経営体調査」について、今後、インターネット申告の併用を可能とすることを検討する必要がある。
     
    (2)  農業においては、食料・農業・農村基本計画(平成17年3月閣議決定)に基づき、営農組織の法人化が推進されている。
     生産構造及び経営構造の違いから、個人形態の農林業経営体と法人形態の農林業経営体とでは、把握すべき事項に相違するものがある。
     このような観点から、同じ法人形態の農林業経営体であっても、株式会社等の会社形態のものと家族経営のものとでは、その構造に差異があることを考慮しながら、「農林業経営体調査」について、農林業経営体の形態に応じ、調査事項に差異を設けた調査票の設計を検討する必要がある。
     
    (3)  農林業センサスにおける「農業集落」は、「農林業経営体調査」の基本的な地域単位として、かつ、「農山村地域調査」の属地的な調査範囲として位置付けられている。この「農業集落」は、農業生産面と生活面が一体となって農業上形成された地域社会を基礎として、農林水産省が市区町村と協議し、調査の地域単位として設定しているものである。
     2010年農林業センサスでは、農林業の活動や地域コミュニティ活動などの集落機能を把握することとしているが、今後、社会的なインフラなど、農業集落としての機能を維持する上で有用な情報を利用するため、国勢調査の調査区情報などを活用できるよう、検討する必要がある。


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