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  統計委員会

府 統 委 第 33 号
平成20年1月21日


総 務 大 臣
   増 田  寛 也 殿

統 計 委 員 会 委 員 長   
竹 内  啓


諮問第2号の答申
平成20年に実施される漁業センサスの計画について


 本委員会は、農林水産省が平成20年に実施を予定している漁業センサス(指定統計第67号を作成するための調査)の計画について審議した結果、下記の結論を得たので答申する。



1 承認の適否とその理由等
(1) 適否
 計画を承認して差し支えない。
 なお、計画の実施に際しては、以下の理由等に留意することが必要である。
 
(2) 理由等
ア 調査体系について
    「漁業経営体調査」及び「内水面漁業経営体調査」は、漁業センサスの漁業に係る産業統計としての位置づけを明確にする観点から、実質的に漁業を営んでいない官公庁・学校・試験場を調査対象から除外することとしている。しかしながら、除外する事業所の中には、日本標準産業分類において漁業に分類される、都道府県の栽培漁業センター、水産増殖センター等も含まれていることから、これらについては調査票等に必要な修正を加え、引き続き把握する必要がある。
 「漁業従事者世帯調査」は、前回調査に対する統計審議会の「諮問第288号の答申」(以下「前回答申」という。)における「本センサスの産業統計としての性格にかんがみ、次回調査に向けて、漁業生産に直接従事する者の実態を把握する調査とする方向で見直す必要がある。」との指摘を踏まえ、廃止することとしているが、同調査で把握していた男女別年齢階層別の漁業従事者数については、「漁業経営体調査」において引き続き把握することとしていることから、妥当である。
 「漁業管理組織調査」は、自主的に漁業管理を行っているすべての漁業管理組織を調査対象として実施してきたが、今回調査から、漁業協同組合に関連した漁業管理組織以外のその他の集まりについては除外することとしている。これについては、地域の実情に精通した職員による調査から調査員調査に移行することが予定されているため、その他の集まりを特定することは困難であり、調査対象を明確にし、調査を効率的に実施する等の観点から、妥当である。
 「海面漁業地域調査」及び「内水面漁業地域調査」は、前回答申における「本センサスの目的からみて調査内容は生産条件に関連するものに限定することが適当であると考えられる。」との指摘を踏まえ、また、産業統計としての性格を明確にする観点から、コミュニティー活動等の調査項目から祭り・イベント等を削除することとしており、妥当である。
 「水産物流通機関調査」は、3つの調査票から構成されていたが、水産物卸売業者調査票及び水産物買受人調査票を廃止し、魚市場調査票のみとし、調査の名称も「魚市場調査」に変更することとしている。これについては、漁業センサスの調査体制に合わせて調査の簡素化、効率化を図るものであり、廃止する調査票で把握していた従業者数、取扱金額については、商業統計調査(指定統計第23号を作成するための調査)の「生鮮魚介卸売業」の情報で代替し、水産物卸売業者数及び水産物買受人数については、魚市場調査で引き続き把握することから、妥当である。
 
イ 調査方法について
    国の行政組織等の減量・効率化の推進に基づき、農林水産統計分野の定員が大幅に縮減されたことから、農林水産省職員による調査から調査員調査に移行することはやむを得ない対応である。
 また、近年の個人情報保護の意識の高まり等を踏まえて、調査方法を面接聞き取りによる他計申告から自計申告に変更することとしている。ただし、調査客体からの申し出があった場合には、調査員による面接聞き取りも可能としており、調査の効率的実施、調査精度の維持等の観点から、妥当である。
 なお、「流通加工調査」において、政府統計共同利用システム(オンライン調査システム)を活用したインターネット申告も可能とすることについては、調査対象である水産加工場等の事業所のインターネットの普及率は高く、調査の円滑な実施と調査客体及び調査員の負担軽減を図る観点から、妥当である。
 
ウ 調査事項
    調査事項については、漁業に係る産業統計としての位置づけを明確にする観点から、生産構造を捉える調査事項に限定し削減している一方、新たに策定された水産基本計画(平成19年3月)に基づく水産政策に伴う行政ニーズへの対応として、水産資源の回復・管理の推進を図る観点から、国際的な漁獲規制が強まるまぐろ類についての養殖の実態、また漁業従事者が高齢化し減少する中で、担い手の確保・育成施策等の推進に必要な新規就業者の実情等を調査事項として追加することとしている。これらについては、おおむね妥当であるが、新規就業者については、漁業センサスでの新規就業者の定義に照らし、「過去1年以内に新たに漁業を始めた人」を「過去1年以内に漁業を始めた人」に表現を修正するとともに、雇用された新規就業者については、過去1年間に30日以上海上作業を行った人の中で把握することから、作業日数の制限を設けずに把握するよう、変更する必要がある。
 
エ 概念・定義について
    従業者について、前回調査では、「常雇」と「臨時雇・日雇」に区分して把握していたが、前回答申において、その定義が事業所・企業統計調査、工業統計調査等と異なっていると指摘されたことを受けて、今回調査では、常用雇用者の定義を事業所・企業統計調査、工業統計調査等と整合させ、これに出向・派遣受入者のうち同様の定義に合致する者、個人事業主、無給の家族従業者及び常勤の役員を含めた「常時従業者」を新たに設け、「その他」と区分して把握することとしており、妥当である。
 
オ 集計事項について
    新規に追加した調査事項については、他の調査事項の集計結果表との整合性に配慮して集計結果表を作成することとしており、妥当である。
 
2 今後の課題
 漁業経営体調査票等で把握する漁船の仕様等については、漁業センサスの調査体制の変化に対応して把握内容を縮減してきたが、これについては、調査の簡素化・効率化を図る観点から、やむを得ないことと考える。しかしながら、漁船法(昭和25年法律第178号)第10条第2項に基づき都道府県が保有している漁船登録データには、漁業種類又は用途、推進機関の種類及び馬力数、進水年月日等の情報が含まれている。このことから、漁船登録データを活用することにより、報告者の負担を増やすことなく、有用な情報を得ることが可能であると考える。したがって、今後、漁業センサスで活用可能な漁船登録データを精査し、その活用方策について引き続き検討する必要がある。


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