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  統計委員会

府 統 委 第 26 号
平成22年3月24日


総 務 大 臣
   原 口  一 博 殿

統 計 委 員 会 委 員 長   
樋 口  美 雄


諮問第23号の答申
自動車輸送統計調査の変更について


 本委員会は、自動車輸送統計調査(以下「本調査」という。)の変更について審議した結果、下記の結論を得たので答申する。



  1.  承認の適否
     統計法(平成19年法律第53号)第10条各号の要件に適合しているため、変更を承認して差し支えない。
     ただし、以下の「2 理由等」で指摘した事項については、計画を修正することが必要である。
     
  2.  理由等
    (1)  調査対象の範囲等
     標本設計等の見直し
    (ア)  事業用貨物自動車に係る標本設計の変更
     国土交通省は、事業用貨物自動車に係る標本設計について、自動車登録ファイル等に基づく車両単位の層化抽出から、自動車運送事業者情報に基づく事業所単位の層化抽出により、事業所及び当該事業所が保有する事業用貨物自動車を調査対象として選定する方式に変更するとともに、詳細調査(2月、6月及び10 月)と簡易調査(詳細調査以外の月)の区分を廃止する計画である。
     これについては、自動車運送事業者情報がデータベース化され、新たに活用可能となった当該行政記録情報を用いて事業所単位で標本設計を行うこと、業務の平準化を図ること等により、報告者の負担軽減に配慮しつつ調査の効率的な実施に資するものであることから、おおむね適当である。
     ただし、事業用貨物自動車に係る車種ごとの調査対象自動車の選定方法については、調査結果の偏りの発生を防止する方法に変更する必要がある。
     
    (イ)  事業用貨物自動車以外の自動車に係る標本調査の平準化
     国土交通省は、事業用貨物自動車以外の自家用貨物自動車(軽自動車を除く。)、事業用乗合自動車及び事業用乗用自動車を対象とした標本調査について、従来と同様に、自動車登録ファイルに基づく車両単位の層化抽出を行う一方、平成16 年1月から当該自動車登録ファイルに記録されている走行距離等を活用した推計手法を導入すること等により、詳細調査と簡易調査(事業用乗合自動車は詳細調査の月のみ実施)の区分を廃止する計画である。
     これについては、新たに活用可能となった行政記録情報を用いて母集団推定を行うことや業務の平準化を図ることにより、統計の精度を確保しつつ調査の効率的な実施に資するものであることから、適当である。
     
     調査対象の範囲の変更
     国土交通省は、利用ニーズの変化、報告者の負担軽減等を勘案し、自家用貨物自動車 のうちの軽自動車、自家用乗合自動車及び自家用乗用自動車(以下「自家用旅客自動車」という。)について、調査対象から削除する計画である。
     これについては、貨物輸送量全体に占める割合、報告者の負担軽減、他の統計調査(一般統計調査である自動車燃料消費量調査)等によりある程度代替データの提供が可能であること等を踏まえたものであり、やむを得ないものと認められるが、より信頼性の高い代替データ(自家用旅客自動車における輸送人キロ等)の整備について配慮する必要がある。
     
    (2)  調査事項
     調査事項の追加
     国土交通省は、事業用貨物自動車について、車両単位から事業所単位の層化抽出に変更することに伴い、事業所用調査票を追加し、調査対象事業所における保有車両数、月間輸送量等を把握する計画である。
     これについては、新たな報告負担を伴うものであるものの事業活動において把握されている事項であり、事業所単位でより正確に母集団推定を行うために必要な事項であることから、適当である。
     
     調査事項の削除
     国土交通省は、利用ニーズの変化、他の統計による代替性等を勘案し、特別積合せトラック調査の廃止、詳細調査における「燃料の種類及び燃料消費量」、「高速自動車国道の利用の有無」等の調査事項を削除するなどの変更を行う計画である。
     これについては、貨物自動車運送事業における規制緩和、代替統計(自動車燃料消費量調査)の整備、出現率が低いことによる精度上の問題に加えて別途道路管理会社等において通行台数等が公表されていること等を踏まえたものであることから、適当である。
     
    (3)  調査方法
     国土交通省は、調査方法について、地方支分部局を経由した調査員調査から本省直轄の郵送調査に変更する計画である。
     これについては、調査の効率的な実施による公表の早期化に資するとともに、統計の精度を確保するため、新たに民間委託によるコールセンターを設置して照会対応や督促等を効果的かつ効率的に実施するなどの措置を講じることとしていることから、適当である。
     
    (4)  集計事項
     国土交通省は、標本設計や調査事項等の変更を踏まえ、事業用貨物自動車の表章区分を細分化(地方運輸局別輸送トン数等において特種用途自動車を新たに表章)する一方、自家用旅客自動車等の調査対象からの削除や特別積合せトラック調査の廃止等に関連する集計事項及び詳細調査の細目集計事項(業態別・車種別・距離帯別輸送トン数等)を削除する計画である。
     このうち、事業用貨物自動車の表章区分の細分化については、利用者の利便に資するものであることから、適当である。
     また、集計事項の削除については、上記(1)イの調査対象の範囲の変更や上記(2)イの調査事項の削除に対応したものであること、細目集計事項に関しても調査票情報の二次利用等によりある程度代替が可能と考えられることを踏まえると、統計作成の効率化及び早期化の観点から、おおむね適当である。
     ただし、標本設計の変更により発生し得る統計の断層や自動車燃料消費量調査に移行される燃料消費量等の接続について、統計の継続性の確保の観点から検証し、接続係数の作成、遡及推計の実施等適切な措置を講じる必要がある。
     
  3.  今後の課題
    (1)  輸送貨物の品目分類の見直し
     輸送貨物の品目分類については、大枠として輸送統計に用いる標準品目分類を設定した上で、輸送機関ごとにその特性を加味して一部詳細化して適用しているが、本調査における品目分類については、昭和58 年4月以降改正されていないことから、利用ニーズや他の輸送統計との関係にも留意しつつ、産業構造の変化への対応や報告者負担の軽減等の観点から改正について検討する必要がある。
     
    (2)  時系列データ等の整備
     今回の調査計画の変更に伴い、調査対象から削除される自家用軽貨物自動車及び自家用旅客自動車に係る輸送量(輸送トン数、トンキロ、輸送人員及び人キロ)については、他の統計調査や行政記録情報を活用した推計方法を開発することにより、代替データを作成・公表することについて検討する必要がある。
     また、利用ニーズを踏まえつつ、本調査の結果データを一定期間蓄積した上で、都道府県単位の輸送トン数、トンキロ等を作成・公表することの可能性について検討する必要がある。
     
    (3)  自動車輸送統計の今後の在り方
     本調査は、トラック輸送の効率化、モーダルシフトの推進等の行政施策に必要な情報を提供する重要な調査であるが、毎月、輸送区間ごとに輸送貨物の品目及び重量、走行距離等を調査するなど、報告者負担が大きいものである一方、より信頼性の高い時系列データの整備が求められていることから、将来的には、行政記録情報の更なる活用や他の輸送関連統計調査との連携・役割分担を図るなど、自動車輸送統計の体系的な整備の在り方について検討する必要がある。
     


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