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  統計委員会

府 統 委 第 154 号
平成22年12月17日


総 務 大 臣
   片 山  善 博  殿

統 計 委 員 会 委 員 長   
樋 口  美 雄


諮問第29号の答申
経済構造統計の指定の変更、経済センサス-活動調査の実施並びに工業統計調査、商業統計調査及び特定サービス産業実態調査の変更について


 本委員会は、経済構造統計の指定の変更、経済センサス-活動調査の実施並びに工業統計調査、商業統計調査及び特定サービス産業実態調査の変更について審議した結果、下記の結論を得たので答申する。



  1.  経済構造統計の指定の変更
    (1)  変更の適否
     指定を変更して差し支えない。
     
    (2)  理由
     経済構造統計(すべての産業分野における事業所及び企業の活動からなる経済の構造を全国的及び地域別に明らかにすることを目的とする基幹統計)について、その作成者を「総務大臣」から「総務大臣及び経済産業大臣」に変更する計画である。
     これについては、経済構造統計を作成する目的で実施する基幹統計調査として、現在、総務大臣が実施する経済センサス-基礎調査(以下「基礎調査」という。)があるが、さらに経済センサス-活動調査(以下「活動調査」という。)を新たに実施するものであり、その実施者が総務大臣及び経済産業大臣であるため、作成者を変更することは、妥当である。
     
     
  2.  経済センサス-活動調査の実施
    (1)  承認の適否
     統計法(平成19年法律第53号)第10条各号の要件のすべてに適合しているため、調査の実施を承認して差し支えない。
     
    (2)  理由等
     調査の目的等
     活動調査は、経済構造統計を作成することを目的として、事業所及び企業の存在の捕捉に重点をおいて実施する基礎調査では把握していない事業所及び企業の活動を把握することに重点をおいて実施されるものであり、経済構造統計の目的を達するために必要不可欠な調査である。
     
     調査対象
     活動調査の対象とする事業所については、日本標準産業分類に掲げる産業に属する事業所のうち、基礎調査の対象である事業所から国及び地方公共団体の事業所を除いた事業所を活動調査の対象とする計画である。
     これについては、調査対象としない国及び地方公共団体の事業所については、行政記録を活用した集計を行うこととしており、効率的実施及び調査対象の負担軽減の観点から、妥当である。
     また、調査対象名簿の作成については、基礎調査の統計調査結果に加え、商業登記簿情報等も取り込む計画となっている。
     これについては、行政記録情報の利用が図られるとともに、調査対象の捕捉率を高めることにより結果の精度向上に資することから、妥当である。
     
     調査方法
     調査方法については、単独事業所に対する方法と複数の事業所を有する企業の事業所(以下「複数事業所企業」という。)に対する方法の二種類で構成され、いずれも平成24年2月1日現在で実施される。
     まず、単独事業所については、調査員による調査票の配布・回収を行うことを原則とするが、積雪地域においては調査員による調査票の配布を行い、郵送により市町村が回収を行う計画である。次に、複数事業所企業については、国・都道府県・市の直轄調査とし、企業の本社に傘下事業所分を含む調査票を郵送で配布をし、郵送またはオンラインにより回収を行う計画である。
     これらについては、単独事業所に係る積雪地域における調査票の郵送による回収、及び複数事業所企業に対する国・都道府県・市の直轄調査により調査員の事務負担の軽減が図られることから妥当である。
     また、直轄調査における調査票の発送、督促、照会等を民間事業者に委託して実施する計画である。これについては、直轄調査の民間委託により地方公共団体の事務負担の軽減が図られることから妥当である。
     さらに、国民経済計算へのデータ提供のために、単独事業所のうち製造業に属する一定規模以上の事業所については、国の直轄調査とし、重点的に調査票の督促回収を行う計画である。これについては、国の直轄調査とすることにより重点的に調査票の督促回収を行うことで、国民経済計算への提供データを早期に集計することを実現するためのものであり、妥当である。
     
     調査事項
     調査事項については、共通調査事項として経営組織、従業者数、売上(収入)金額等を把握し、産業別調査事項として事業別(生産、収入)金額等を把握する計画である。これは母集団情報の整備及び産業構造の把握の観点並びに国民経済計算、産業連関表等に資する観点から設計されており、おおむね妥当である。
     ただし、経理項目については、原則、平成23年1月から12月までの1年間の数値の記入を求めることとしているが、この期間で記入できない場合は、平成23暦年を最も多く含む決算期間の記入を求める計画である。これについては、調査票の回収率を確保する観点、調査対象の負担軽減の観点からはやむを得ないが、結果精度を考慮し、原則平成23暦年の数値が記入されるよう調査対象に協力を求める必要がある。
     また、売上金額、費用総額、退職金等については、調査票の説明のみではその記入に際し誤解が生じるおそれがある。したがって、調査対象が正確に記入できるよう、これらについて、記載を求める内容を記入要領等において明確に提示する等の措置が必要である。
     
     集計事項及び結果の公表
     集計事項については、経済構造の把握に資することに加え、活動調査の実施に伴い中止又は廃止される統計調査(工業統計調査等)の結果については、活動調査の結果を代替的に利用することで、当該統計の継続性を確保する設計となっており、妥当である。
     結果の公表については、インターネット及び印刷物により、速報集計は平成25年1月末までに、確報集計については、平成25年夏以降順次公表する計画である。
     このうち、確報集計については、できるだけ早期に公表することが望ましいものの、今回が第1回目の実施であること、また、調査事項が多岐にわたることから公表時期が具体的に明記されないことはやむを得ない。
     ただし、利用者の利便等を考慮し、可能な限り早期に確報集計の公表予定時期を発表する必要がある。
     また、公表の際には、利用者の誤解が生じないよう、売上金額、費用総額、退職金等集計事項について、どのような内容を集計しているかを報告書等において明確に提示する必要がある。
     
    (3)  今後の課題
     活動調査については、事業所と企業という両経済主体の全体を同時に調査するこれまでにない調査であり、事業所と企業の経理事項の関係が明確になり、利用者における利用可能性を格段に広げることが期待される。
     しかし、企業内の事業所の売上高の合計と企業の売上高は、企業の内部取引額の扱いにより異なることとなる。
     このため、事業所の売上金額に占める企業の内部取引額を把握することは、調査対象の負担を考慮すれば今回の活動調査において実施することは困難としても、今回の調査結果を十分に検証し、次回に向けて全産業の企業の内部取引額をどのように把握できるかについて検討する必要がある。
     
     
  3.  工業統計調査、商業統計調査及び特定サービス産業実態調査の変更
    (1)  工業統計調査の実施時期の変更
     変更の適否
     調査の変更を承認して差し支えない。
     
     理由
     経済産業省は、工業統計調査の調査周期を活動調査の調査実施年の前年を除き毎年実施することに改め、これにより、平成23年実施の工業統計調査を中止する計画である。
     これについては、活動調査において工業統計調査の調査事項を把握することから結果の継続性は保たれるとともに、調査対象の負担軽減に資することから、妥当である。
     
    (2)  商業統計調査の実施時期の変更
     変更の適否
     調査の変更を承認して差し支えない。
     
     理由
     経済産業省は、これまで商業統計調査の調査周期を平成9年以降5年ごとに実施し、商業統計調査(簡易調査)は、商業統計調査を行った年から2年目に当たる年に行うこととしていたが、商業統計調査(簡易調査)の調査事項を活動調査で把握することを前提として、既に商業統計調査(簡易調査)は廃止の手続きを終了している。今回、商業統計調査については、活動調査よりさらに詳細な情報を把握するため別途実施が必要な調査として、その実施時期を活動調査実施年の2年後に改め、これにより、平成24年実施予定の商業統計調査の実施時期を変更する計画である。
     これについては、商業統計調査を引き続き実施する必要性はあるものの、実施時期の調整を行わなければ、商業活動の実態を把握する統計調査の実施が重なることになるため実施時期を変更するものであり、調査対象の負担軽減に資することから、妥当である。
     
    (3)  特定サービス産業実態調査の実施時期の変更
     変更の適否
     調査の変更を承認して差し支えない。
     
     理由
     経済産業省は、特定サービス産業実態調査の調査周期を今回の活動調査の調査実施年の前年を除き毎年実施することに改め、これにより、平成23年実施の特定サービス産業実態調査を中止する計画である。
     これについては、活動調査において特定サービス産業実態調査の主要な調査事項を把握することから主要結果の継続性は保たれるとともに、調査対象の負担軽減に資することから、妥当である。
     
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