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  統計委員会

府 統 委 第 27 号
平成23年2月24日


総 務 大 臣
   片 山  善 博 殿

統 計 委 員 会 委 員 長   
樋 口  美 雄


諮問第35号の答申
「季節調整法の適用に当たっての統計基準」の設定について


 本委員会は、「季節調整法の適用に当たっての統計基準」の設定について審議した結果、下記の結論を得たので答申する。



  1.  設定の適否
     「季節調整法の適用に当たっての統計基準」については、諮問案により、統計法第28条第1項に基づき統計基準として設定することは差し支えない。
     
  2.  理由
    (1)  統計基準としての設定
     経済時系列データへの季節調整法の適用に当たり、適切性が評価されていない手法の使用や、手法の頻繁な変更が行われた場合、季節調整値を用いた経済動向の判断が困難となる。また、季節調整法の運用に関する情報(オプション等の設定内容等)が公表されず季節調整値の客観性が確保されない場合、経済時系列データの季節調整値による動向判断や、複数の経済時系列データの季節調整値を用いた総合的な判断が困難となる。
     こうしたことから、平成9年に統計審議会が了承した「季節調整法の適用について(指針)」において、適切な手法の継続的使用や、季節調整法の運用に関する情報の公表等が季節調整法の適用に関する実務上の指針として示され、これに沿って、公的統計の分野において各経済時系列データの季節調整が行われてきており、これまで指針は有効に機能してきたところである。
     こうした状況に鑑みると、季節調整値について、その客観性の確保を図るとともに、統一性及び総合性の確保を図る観点から、季節調整法を適用する場合の手法や運用に関する情報の公表事項等に係る基準を設けることが必要である。
     さらに、平成19年に全部改正された統計法(平成19年法律第53号)においては、新たに、公的統計の作成に係る幅広い各種の技術的基準として「統計基準」を設定することが可能となり、このため、「公的統計の整備に関する基本的な計画」(平成21年3月13日閣議決定)においても、季節調整法の適用に当たっての基準を新たな統計基準として設定することとされているところである。
     したがって、季節調整法の適用に当たっての基準を、統計法第2条第9項に規定する統計基準として設定することは適当である。
     
    (2)  諮問案の内容
     諮問案は、これまで有効に機能してきた平成9年の統計審議会指針をおおむね踏襲した内容となっていること、利用者の利便の向上を図るとともに、情報通信環境の変化に対応するため、当該指針に必要な変更を行ったものであることから、適当である。
     項目ごとにその内容を評価すると、以下のとおりである。
     
     季節調整法を適用する場合の手法
     季節調整法を適用する場合は、手法の適切性について国際的に一般的な評価を受けている手法を継続的に使用することとしている。これについては、次の理由から適当である。
     経済時系列データの季節調整を、国際比較可能性を確保しつつ適切に行うためには、理論上及び実務上、適切な方法であることが国際的に広く認められている手法を使用する必要があること。
     手法を継続して使用することについては、経済時系列データの季節調整における恣意性を排除し、季節調整値の客観性の確保に寄与するものであること。
     
     季節調整法の適用に関する公表事項
    (ア)  季節調整法の運用に関する情報
     季節調整法の適用に当たっては、手法の名称、推計に使用するデータ期間、オプション等の設定内容及び設定理由等の運用に関する情報を、季節調整値と併せて公表することとしている。
     これについては、季節調整では、同一の経済時系列データに同一の手法を用いたとしても、推計に使用するデータ期間やオプション等の設定内容が異なれば算出される季節調整値は異なったものとなるため、季節調整値の利用者において、経済時系列データの季節調整値による動向判断や複数の経済時系列データの季節調整値を用いた総合的な判断を行う際には当該情報が必要であることから、適当である。
     
    (イ)  オプション等の設定内容について重大な変更がある場合の追加的な公表事項
     オプション等の設定内容について重大な変更があるときは、上記(ア)の運用に関する情報に加えて、当該変更の影響も公表することとしている。
     これについては、オプション等の設定内容の重大な変更は、季節調整値の動きに変化を生じさせ経済情勢の判断に影響を及ぼす可能性があるため、その利用者が適切に当該判断を行う際には、公表済みの季節調整値とオプション等変更後の季節調整値との差異等の変更の影響に関する情報が必要であることから、適当である。
     
     手法を変更した場合の公表事項
     適用している手法を変更するときは、あらかじめ、変更内容、変更理由及び変更の影響を公表することとしている。
     これについては、手法の変更は、季節調整値の動きに大きな変化をもたらし経済情勢の判断に「オプション等の設定内容に重大な変更がある場合」以上の大きな影響を及ぼす可能性があるため、その利用者が適切に当該判断を行うに当たっては、季節調整値の公表以前に、あらかじめ変更内容や変更理由及び旧手法による季節調整値と新手法による季節調整値との差異等の変更の影響に関する情報を把握し新手法の内容や変更の影響に関する理解を深めておく必要があることから、適当である。
     
     季節調整法の運用に関する情報等の公表方法
     季節調整法の運用に関する情報や手法を変更した場合の変更の影響等の事項の公表方法については、インターネットの利用その他の適切な方法によることとしている。
     これについては、近年の経済動向の急速な変化への対応の観点から、季節調整値の利用者に対する当該情報等の迅速な提供が必要であることから、適当である。
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