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   統計委員会

府統委第114号
平成24年12月21日


総務大臣
      樽床  伸二  殿

統計委員会委員長      
樋口  美雄


諮問第46号の答申
法人土地基本調査の変更及び法人土地基本統計の指定の変更
(名称及び目的の変更)について


  本委員会は、諮問第46号による法人土地基本調査の変更及び法人土地基本統計の指定の変更(名称及び目的の変更)について審議した結果、下記のとおり結論を得たので、本諮問については、適当であると判断して答申する。




  1.   本調査計画の変更
    (1)承認の適否
      国土交通大臣から平成24年10月10日付け国総情建第103号により申請された「基幹統計調査の変更について(申請)」について審査した結果、以下の通り、統計法(平成19年法律第53号)第10条各号の各要件(基幹統計の作成目的に照らして必要かつ十分であること、統計技術的に合理的かつ妥当なものであること、他の基幹統計調査との間の重複が合理的な範囲を超えていないこと)のいずれにも適合しているため、「法人土地基本調査」(基幹統計調査。以下「本調査」という。)の変更を承認して差し支えない。
    (2)理由等
    ア  本調査の名称及び目的の変更
      本調査の名称及び目的について、国土交通省の申請では、表1のとおり変更する計画である。

    表1
    区分 変更前 変更後 変更理由
    名称 法人土地基本調査 法人土地 ・建物基本調査   土地政策の転換に伴い、土地及び建物の所有及び利用状況並びに土地の取得状況を一体的かつ総合的に把握するため。
    目的   法人の土地の所有及び利用の状況に関する実態を全国及び地域別に明らかにすることにより、総合的な土地政策のために必要な基礎資料を得ることを目的とする。   法人の土地 及び建物の所有及び利用 並びに土地の購入、売却等の状況に関する実態を全国及び地域別に明らかにすることにより、総合的な土地政策のために必要な基礎資料を得ることを目的とする。

      これについては、土地の有効活用、不動産市場の活性化等土地政策の転換への対応等(※)を踏まえ、土地及び建物の所有及び利用状況並びに土地の取得状況等を一体的かつ総合的に把握するため、本調査(基幹統計調査)に「法人建物調査」(一般統計調査)及び「企業の土地取得状況等に関する調査」(一般統計調査)を統合し、法人土地・建物基本調査(基幹統計調査)として実施することに伴うものと認められることから、適当である。
    (※)我が国の土地政策が、土地基本法制定時の「地価抑制」政策から、近年の「土地の有効活用」、「不動産市場の活性化」等の政策に転換してきていることに伴い、土地の立体的利用の実態や不動産の流動化の状況を正確に把握する必要が求められている。

    イ  調査事項の変更
    (ア)変更事項1
      「宅地など」における土地、建物の所在地情報について、国土交通省の申請では、表2のとおり変更する計画である。

    表2
    調査内容 調査事項等 変更理由
    変更前 変更後
    「宅地など」における土地、建物の所有状況
    【所在地】
    【棚卸資産以外】
    大字、丁目まで把握
    【棚卸資産以外及び棚卸資産】
    番地、号まで把握
    土地及び建物の資産額推計の精度向上を図るため。
    【棚卸資産】
    市区町村まで把握

      これについては、土地及び建物の所在地を番地・号まで把握することにより、詳細なデータが得られることになり、用途地域別の容積率を把握する等、土地及び建物の資産額推計の精度の向上に資するものと認められることから、適当である。

    (イ)変更事項2
      「宅地など」における土地及び建物がいずれも自己所有の場合の把握方法について、国土交通省の申請では、表3のとおり、変更する計画である。

    表3
    調査内容 調査事項等 変更理由
    変更前 変更後
    「宅地など」における土地、建物の所有状況
    【土地及び建物がいずれも自己所有の場合】
    建物の所在地と敷地(土地)の所在地をそれぞれ記入 建物の所在地欄に敷地(土地)の所在地の通し番号のみを記入(※) 法人が所有する土地及び建物の所有、利用状況を一体的に把握するため。
    (※)調査票における建物の所有及び利用状況を記入する記入面を建物の敷地の所有の有無別に分割する。

      これについては、報告者の負担軽減に資するほか、法人が所有する土地及び建物の所有及び利用状況を一体的に把握することが可能となり、結果精度の向上に資するものと認められることから、適当である。

    (ウ)変更事項3
      従来の本調査及び法人建物調査においては、土地及び建物の所有及び利用状況に関する調査事項等のうち、未把握であったものについて、国土交通省の申請では、表4のとおり、変更する計画である。

    表4
    調査内容 調査事項等 変更理由
    変更前 変更後
    「宅地など」の棚卸資産に該当する土地の状況 1区画ごとの所在地(市区町村まで)及び面積 1区画ごとの所在地について、番地、号のほか、取得時期、貸付の有無、利用状況等を追加 「宅地など」の棚卸資産についても、その利用現況等を一体的に把握するとともに、これまで未把握であった利用状況等を把握するため。
    建物の貸付状況 実際に貸し付けている建物の所有の有無とその床面積 将来的に貸し付ける予定で保有している建物についても、その所有の有無とその床面積を追加 貸付目的で所有している建物のストック量を把握するため。
    工場敷地以外にある建物のうち、延べ床面積200平方メートル(「平方メートル」は記号)未満の建物の所有状況 棟数 棟数に加え、全ての建物の合計床面積を追加 法人が所有する小規模な建物全ての床面積を把握するため。

      これらについては、法人が所有する土地及び建物の所有・利用状況について、これまでの調査において把握していなかった表4に掲げる調査内容を網羅的に把握するためのものであり、また、国土交通省が調査結果の有効活用に資するとしていることも妥当と判断できることから、適当である。

    (エ)変更事項4
      従来の本調査及び法人建物調査において、報告者からの問い合わせや誤記入が多かった調査事項について、国土交通省の申請では、表5のとおり、変更する計画である。

    表5
    調査内容 調査事項等 変更理由
    変更前 変更後
    土地及び建物の利用現況に関する選択肢 (選択肢4)
    「社宅・従業員宿舎」
    (選択肢6)
    「賃貸住宅」
    (選択肢4)
    「社宅・従業員宿舎」
    (選択肢6)
    「社宅・従業員宿舎以外の住宅(賃貸用住宅など)」
    前回調査において、選択肢4と6の違いについての問い合わせが多かったことに対し、選択肢の違いを明確にするため。
    (選択肢20)
    「利用していない建物」
    (選択肢20)
    「利用できない建物(廃屋)」
    選択肢20では、将来にわたって利用見込がない建物・施設を把握することを想定していたが、前回調査において一時的に空き家(空室)になっている建物を利用していない建物として回答する例が多く、また、問い合わせも多かったことから、誤解がないようにするため。
    固定資産の流動化の状況 証券化に関する調査事項(法人建物調査の「敷地の権原」の項目で土地と建物が証券化されているか、証券化されていないかを把握) 信託受益権に関する調査事項(所有する土地と建物のそれぞれにおいて、信託受益権か、信託受益権ではないかを把握) 前回調査において証券化に関する問い合わせが多かったことに対し、証券化の約7割を占め、かつ、定義が明確な信託受益権に関する調査事項に特化して把握するため。

      これらについては、より正確な回答を得るために調査事項を変更することで、報告者の誤記入防止、報告者の負担軽減等に資するものと認められることから、適当である。
      なお、土地及び建物の利用現況の選択肢の分割や新設については、今回の変更が大規模なものであり、報告者の負担に配慮する必要があること、統計の継続性を確保する必要があることから、今回の計画において変更しないことはやむを得ない(後述3(1)参照)。

    (オ)変更事項5
      国土交通省は、新たに作成される統計表(ストック構造の地域別の変動状況と併せて、土地取引の動向に関するデータを総合的に集計した統計表)を基に、土地取引を促進するための施策(税制措置等)の地域別波及効果を検証した上で、その結果を不動産市場の活性化を促進する施策等に活用することとしており、この施策等への活用を図るため、これまで別々であった法人土地基本調査(ストック調査)と企業の土地取得状況等に関する調査(フロー調査)の対象名簿(資本金1億円以上の会社法人)を統一することとしている(後述2(3)参照)。
      これに伴い、資本金1億円以上の会社法人を対象として、地域別の土地の取引動向を把握するため、「棚卸資産の土地」、「棚卸資産以外の土地」別に、購入及び売却した土地の面積、帳簿価格、区画数を都道府県単位で新たに把握する計画である。
      これについては、1(1は丸囲み数字)土地(法人所有分)に関する統計の体系整備に資すること、2(2は丸囲み数字)名簿が統一化されることにより、i)(「i)」はローマ数字小文字の1)施策等への活用の向上に資すると認められること、ii)(「ii)」はローマ数字小文字の2)データの正確性の確保とともに、パネルデータの作成及びそれに基づく分析が期待されることから、適当である。

    ウ  標本設計の一部変更
    (ア)変更事項1
      本調査における調査対象法人の抽出方法については、会社法人は業種及び資本金規模別、都道府県別に層化抽出し、会社法人以外の法人は法人格の種類別(社会福祉法人、学校法人、医療法人等)に抽出率を定めて抽出している(※)。
      今回、国土交通省の申請では、表6のとおり、1(1は丸囲み数字)会社法人以外の法人のうち、医療法人について、抽出率を20%から50%に変更する、2(2は丸囲み数字)会社法人以外の法人の一部(NPO法人等)について、全数調査から標本調査(50%)に変更する計画である。
      これについては、前回調査において、上記1(1は丸囲み数字)に関しては、医療法人の標準誤差率(8.6%)が他の会社法人以外の法人(一般社団・財団法人等)の標準誤差率(3%以下)と比較して大きかったため、2(2は丸囲み数字)に関しては、一部の会社法人以外の法人(NPO法人等)において、1法人当たりの所有している土地の所有面積が小さく、結果精度への影響が少ないためであり、いずれも結果精度の向上に資するものと認められることから、適当である。
    (※)調査対象法人のうち、1法人当たり100万平方メートル(「平方メートル」は記号)以上の大土地所有法人については、全数調査としている。

    表6
    抽出率(会社法人以外の法人) 平成20年調査 平成25年調査
    20% 医療法人
    50% 医療法人
    社会福祉法人、宗教法人 社会福祉法人、宗教法人
    NPO法人
    100% NPO法人
    学校法人、その他の法人 学校法人、その他の法人

    (イ)変更事項2
      前回調査では全数調査としていた会社法人における不動産業、物品賃貸業のうち、資本金1,000〜3,000万円未満の階層について、法人数の多い都道府県については標本調査とし、法人数の少ない都道府県については全数調査に変更する計画である。
      これについては、都道府県別の法人数をみると、法人数が1,000以上の都道府県が12都府県ある一方で、法人数が100〜199の県が5県ある等、都道府県別の法人数の偏在が大きいことを考慮したことによるものであり、結果精度の向上に資するものと認められることから、適当である。

    エ  調査方法の一部変更
      調査方法のうち、調査票の回収について、国土交通省の申請によれば、表7のとおり、前回の本調査においては、国土交通省が資本金1億円以上の会社法人を、都道府県が資本金1億円未満の会社法人を担当していたものを、国土交通省が全ての会社法人について調査票の回収業務を行うことに変更する計画である。

    表7
    法人種別 平成20年調査 平成25年調査
    国土交通省 都道府県 国土交通省 都道府県
    会社法人 資本金1億円以上
    資本金1億円未満
    会社法人以外の法人(※)
    (※)会社法人以外の法人については、全国組織の法人等を国土交通省が、地方組織の法人等を都道府県がそれぞれ担当することとしている。

      これについては、1(1は丸囲み数字)都道府県の調査事務の負担軽減を図るための措置であること、2(2は丸囲み数字)国土交通省においてコールセンターを設置し対応する等、十分な対応策をとることとしていること、3(3は丸囲み数字)平成23年11月に実施された予備調査(法人土地・建物基本調査平成23年予備調査)の結果、都道府県が回収する場合よりも国土交通省が回収する場合の方が回収率が高いことが認められたことを踏まえて実施するものであり、適当である。

    オ  報告を求める期間の変更
      報告を求める期間について、「9月15日から10月31日」から「7月1日から9月15日」に変更する計画である。
     これについては、報告者の記入負担の軽減を図るため、報告者が調査票に記入する際に参考とする書類の一つである固定資産税の課税明細書の交付期間(通常、市町村は5月上旬に通知)を考慮した変更であり、また、長期的(今後10年間)にみても他の基幹統計調査との調査実施時期の重複が認められないことが確認されたことから、適当である。

    カ  統計表の拡充
    (ア)変更事項1
      統計表について、国土交通省は、土地と建物の結びつきを明確に把握することにより、容積率に係るデータ等をより正確に集計(所有地の面積と当該土地における建物延べ床面積の比率別、件数・平均比率、総土地面積等)し、公表する計画である。
      これについては、従来、本調査及び法人建物調査においては、法人が所有する土地の所有及び利用状況と建物の所有及び利用状況を別々に集計していたため、土地の有効活用を促すための施策等への活用において、データの活用が十分ではなかった。今回の計画では、土地と建物の関係を連結させて、データの有効活用を図るものであり、これにより土地の有効活用を促すための施策等への活用が期待され、また、会社法人や地方公共団体等における調査結果の利活用の促進等、利用者の利便性向上にも資するものと認められることから、適当である。

    (イ)変更事項2
      統計表について、国土交通省は、新たに地域別の土地取引の動向を把握することにより、ストック構造の地域別の変動状況と併せて、土地取引の動向に関するデータを総合的に集計(売買した土地の所在地別の土地の移動状況(面積、価格、区画数))し、公表する計画である。
      これについては、不動産市場の活性化を促進するための施策等への活用が期待されることに加え、会社法人や地方公共団体等における調査結果の利活用の促進等、利用者の利便性向上にも資するものと認められることから、適当である。

  2.   諮問第3号の答申「平成20年に実施される法人土地基本調査及び法人建物調査の計画について」(平成20年1月21日付け府統委第34号)における今後の課題への対応について

      今後の課題への対応状況については、以下のとおり、可能な限り対応しているものと認められ、適当である。

    (1)「駅ナカ」の把握
      前回答申において、停車場用地等の上にあるいわゆる「駅ナカ」等商業施設として利用されている箇所については、近年大都市圏において増加してきており、停車場用地等とは異なる利用状況を的確に把握するため、次回以降の両調査において、当該箇所を把握することについて検討する必要がある、との指摘がされている。
      これについて、国土交通省は、検討結果を踏まえ、次のとおり結論付けている。
    「1(1は丸囲み数字)  停車場用地等の鉄道用地については、「特殊な用途の土地」として都道府県単位で面積等を把握することとしているが、停車場用地に建つ駅舎(延べ床面積等)については調査の対象外としている。
      なお、駅ビル(商業・オフィス利用)が建つ用地については、鉄道用地とは別の土地として区分されているため、「宅地など」として面積等を把握するとともに、駅ビル(商業・オフィス利用)の延べ床面積、利用現況等についても把握することとしている。
      2(2は丸囲み数字)  駅舎内に商業施設が混在するいわゆる「駅ナカ」については、停車場用地として一括把握しているが、駅舎内に店舗等が数多く存在するような場合、その売場面積等のみを駅舎と切り分けて把握することは、報告者負担の観点から、困難である。
      3(3は丸囲み数字)  駅改札内の事業所については、平成19年商業統計調査及び平成24年経済センサス−活動調査において売場面積等を把握することとされており、それぞれの調査目的に基づいて、「駅ナカ」の売り場面積等が把握されている。」
      上記3(3は丸囲み数字)を踏まえ、今回の計画変更において、「駅ナカ」の把握を行わないことについては、他の基幹統計調査との間の重複を排除する観点からやむを得ない。

    (2)行政記録情報の活用
      前回答申において、本調査及び法人建物調査については、報告者負担の軽減及び調査の効率化の見地から、市町村が保有する固定資産課税台帳等の活用の余地について、今後更に検討することが必要である、との指摘がされている。
      これについて、国土交通省は、検討結果を踏まえ、次のとおり結論付けている。
      「各市町村が保有する固定資産課税台帳の閲覧を行うためには、納税義務者の委任状が必要であることから、事前に調査客体(約49万法人)に対し、どの市区町村に土地及び建物を所有しているかを明らかにした上で、当該市区町村宛にそれぞれ委任状を作成してもらい、個別に閲覧手続きを行う必要がある。
      この結果、1(1は丸囲み数字)調査実施者側に、統計調査の実施に加え、委任状の作成依頼、各市町村(約1,700)への手続き及び閲覧・転記といった作業が発生し、新たな時間と経費が必要となること(全国に支社等を持つ法人が複数の市区町村に土地を有しているような場合、手続総数は膨大になることが予想される)、2(2は丸囲み数字)調査客体側にも委任状の作成という新たな負担を強いることになること等の理由から、固定資産課税台帳の活用は、大幅な経費と時間の増加につながる。
      また、1(1は丸囲み数字)調査客体が、漏洩が懸念される等の理由により、台帳の閲覧を許諾しない場合、2(2は丸囲み数字)所有する土地・建物が共有となっており、調査客体が筆頭所有者でなく、課税台帳に調査客体のデータが記載されていない場合等は、固定資産課税台帳を活用することができないため、従前の調査方法により調査を実施せざるを得ないといった事態が生ずるおそれがある。
      なお、将来的には、例えば総務省が運用するビジネスレジスターに課税台帳データ等の行政記録情報が掲載され、一元的な手続きでデータを入手できる仕組みが構築された場合には、活用することについて検討する余地がある。」
      このような結論のうち、固定資産課税台帳などの行政記録情報を活用することは時間と経費を要するなど非効率であるとの認識について十分理解できることから、今回の計画変更において、固定資産課税台帳を活用しないことはやむを得ない。


    (3)パネルデータの公表等
      前回答申において、本調査及び法人建物調査の調査対象のうち、全数調査の対象である資本金1億円以上の法人に関するパネルデータについては、今後も継続して作成することが必要である。また、広く国民が利用できるように、パネルデータの分析結果の公表についても検討する必要がある、との指摘がされている。
      これについて、国土交通省は、検討結果を踏まえ、次のとおり結論付けている。
      「パネルデータについては、これまで精度に疑義があったことから、分析結果の公表までには至っていない。
      今回、前回答申以降、平成15年調査結果と平成20年調査結果とのストック量の変化の正確性について、毎年実施している「企業の土地取得状況等に関する調査」(本調査と同一の対象法人)の結果(平成15年から平成20年)とを比較した結果、両調査で回答を得た同一法人が所有する面積の総和が、両調査間において約10倍以上のかい離が生じていることが判明した。
      この原因は、従来、両調査は別調査として実施してきたため、両調査の名簿が統一されていないこと等に起因するものと考えられる。」
      このため、国土交通省は、今回の変更において、両調査の統一的な名簿整備を図ることとしており、これはパネルデータの作成にも資する前向きな取り組みと評価できることから適当である。

  3. 今後の課題
      今後の課題については、以下のとおりである。
    (1)土地及び建物の利用状況の選択肢の分割や新設
      土地及び建物の利用状況の選択肢の分割や新設については、統計の継続性にも影響することから、現時点において、今回の調査計画案で実施することはやむを得ない。しかし、今回の3調査を統合することにより、土地と建物の結びつきが正確に把握できるようになることから、国土交通省は、平成25年の調査結果を踏まえ、次回調査計画(平成30年)の企画時期までに結論を得る必要がある(前述1(2)イ(エ)参照)。

    (2)パネルデータの作成
      今回の変更において、本調査と「企業の土地取得状況等に関する調査」の統一的な名簿整備を図り、この名簿を端緒にパネルデータを作成することについては、平成25年の調査結果を踏まえ、1(1は丸囲み数字)パネルデータの政策への活用、2(2は丸囲み数字)パネルデータ分析の手法(土地ベースでの分析や法人の倒産・廃業、新設等における土地の移動に着目した分析等)について、パネルデータの作成及びそれに基づく分析に知見を有する専門家から意見を聞くなどにより、次回調査計画(平成30年)の企画時期までに結論を得る必要がある(前述2(3)参照)。

  4. 法人土地基本統計(基幹統計)の指定の変更(名称及び目的の変更)
    (1)承認の適否
      総務大臣から諮問された法人土地基本統計の指定(名称及び目的の変更)の変更について審査した結果、以下の理由から、指定を変更して差し支えない。

    (2)理由
      本調査の調査計画を変更することを踏まえ、本調査によって作成される統計を基幹統計化するため、「法人土地基本統計」の名称を「法人土地・建物基本統計」(仮称)に変更するとともに、同統計の目的に、「法人の建物の所有及び利用並びに土地の購入、売却等の状況を明らかにする。」という目的を追加することとしている(前述1参照)。
      これは、3調査を統合し、土地及び建物の所有及び利用状況並びに土地の取得状況等を一体的かつ総合的に把握するという目的を踏まえ変更するものであり、適当である。
      なお、新たに「法人土地・建物基本調査」で作成される統計は、1(1は丸囲み数字)土地の有効活用や不動産市場の活性化等を促進するための全国的な施策等を企画立案するための基礎資料として、唯一かつ大規模な統計と位置付けられること、2(2は丸囲み数字)不動産の流動化の状況等が明らかになることにより、統計の利用価値が向上し、民間ユーザーに広く利用されると見込まれること等から、統計法第2条第4項第三号の要件のうち、イ及びロに該当すると認められる。

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