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  統計委員会

府 統 委 第 66 号
平成20年5月12日


総 務 大 臣
   増 田  寛 也 殿

統 計 委 員 会 委 員 長   
竹 内  啓


諮問第7号の答申
特定サービス産業実態調査の改正について


 本委員会は、経済産業省が実施を予定している特定サービス産業実態調査(指定統計第113号を作成するための調査)の計画について審議した結果、下記の結論を得たので答申する。



1 承認の適否とその理由等
(1) 適否
   計画を承認して差し支えない。
   なお、計画の実施に際しては、以下の理由等に留意することが必要である。
 
(2) 理由等
ア 本調査の目的・役割
   サービス産業分野の統計は、戦後長らく未整備であった。こうした状況に対応して、特定サービス産業実態調査(以下「本調査」という。)が、昭和48年から、サービス産業のうち、経済産業省が所管する特定の業種について、活動の詳細な実態を捉え、業種の特性を明らかにすることを目的として、毎年実施されている。また、サービス業基本調査(指定統計第117号を作成するための調査)が、平成元年から、サービス産業の活動の実態を広く概括的に捉えることを目的として、5年ごとに実施されてきた。
 本調査は、調査開始時の5業種からこれまでに調査対象業種を順次拡大しつつ、一部業種についてローテーションで調査してきたが、平成18年調査からは、調査対象とするすべての業種について毎年調査に変更し、現在に至っている。
 サービス産業は改廃が激しく、事業内容も絶えず変化していることから、より短い周期でより多くのサービス産業を捉える統計情報が求められており、本調査は、その一翼を担う役割も有していると考えられる。
 ただし、本調査については、主たる目的が業種特性の的確な把握にあることにかんがみ、情報化や国際化、人材の流動化などサービス産業を取り巻く社会経済情勢の変化に即応すべく、不断に、調査事項や集計事項を見直し、統計需要に適切に対応していくことが必要である。
 なお、本調査の目的・役割は、平成23年の経済センサスの実施により、大きく変わる可能性があることから、今回の審議は、経済センサスの実施までの間を視野に入れた検討にとどめ、それ以降における本調査の在り方については、今後、経済センサスの結果を踏まえた上で、検討することが適当である。
 
イ 調査対象業務
   調査対象業種は、既存の11業種に加え、「インターネット附随サービス業」、「音声情報制作業」等の10業種を新たに追加する計画である。
 これについては、経済産業省の行政施策上の必要性から、特に市場規模の大きな対事業所サービス業を中心に統計整備を図ってきた平成18年及び19年調査の考え方に沿ったものであり、妥当である。
 また、本調査は、事業所単位による調査を原則とするが、追加する10業種のうち、「音声情報制作業」、「新聞業」、「出版業」及び「映像・音声・文字情報制作に附帯するサービス業」の4業種については、企業単位で調査する計画である。
 これについては、既存の調査対象業種である「映像情報制作・配給業」及び「クレジットカード業,割賦金融業」と同様に、事業所単位での記入が困難であることを踏まえたものであり、妥当である。
 
ウ 調査票及び調査事項
   追加する10業種の調査票は、修理業に係る2業種を除き、別個の調査票とする計画である。これについては、個々の業種の特性を明らかにするため、業種に特有の詳細な調査事項を設定する必要があることによるものであり、妥当である。
 ただし、日本標準産業分類の改定(平成19年11月改定)を踏まえ、「広告代理業,その他の広告業調査票」を「広告業調査票」に、「デザイン・機械設計業調査票」を「デザイン業,機械設計業調査票」に名称を変更する必要がある。
 次に、調査事項については、すべての業種に共通する事項として、情報通信機器の賃借料及び取得額、無形固定資産の取得額、パート・アルバイトの就業時間換算従業者数、業務部門ごとの他企業からの派遣従事者数の追加等を行う計画である。これらについては、前回調査に係る諮問第318号の答申における指摘等を踏まえ、統計需要へのより的確な対応を図るものであり、おおむね妥当である。
 しかしながら、リース取引に関する会計基準の改正に伴い、所有権移転外ファイナンス・リース取引については、原則、売買取引に準じ、貸し手側ではリース投資資産として会計処理する方法に変更されたことから、「各種物品賃貸業,産業用機械器具賃貸業,事務用機械器具賃貸業調査票」、「自動車賃貸業調査票」、「スポーツ・娯楽用品賃貸業調査票」及び「その他の物品賃貸業調査票」の4種類の調査票について、過去1年間におけるリース投資資産取得額及び年間営業費用の内訳としてリース投資資産原価を追加する必要がある。
 また、「出版業調査票」において、当該業種の構造特性をより的確に把握する観点から、書籍・雑誌の種類別の発行部数及び営業費用の内訳として印税・原稿料を追加する必要がある。
 
エ 調査方法
   調査方法については、調査対象の21業種のうち、既存の11業種は本社等一括調査を除き、現行の都道府県経由による調査員調査で引き続き実施する一方、追加する10業種は経済産業省直轄による郵送調査で実施する計画である。
 また、追加業種に係る調査及び経済産業省直轄で従来から郵送調査により実施している本社等一括調査については、調査票の配布・取集及び督促等に係る業務を民間事業者に委託する計画である。
 これらのうち、追加業種に係る調査において郵送調査を導入することについては、調査員の確保難や都道府県の調査担当職員の縮減などにより、既存の業種に加え、さらに追加業種について調査員調査を導入することは困難な状況となっていることから、やむを得ないものと考えられる。
 しかしながら、郵送調査により実施する追加業種については、調査実施者において計画している各経済産業局を活用した調査客体への事前協力依頼等の措置を適切に実施することにより、十分な回収率の確保を図るよう、万全を期すことが必要である。
 また、経済産業省直轄による郵送調査部分を民間事業者に業務委託することについては、調査事務の負担軽減等を図るものであるが、業務委託において、統計の正確性・信頼性の確保等の観点から、入札に際して適切な評価基準を設定し、民間事業者に対してモニタリングを実施するなど、所要の措置を講ずることとしていることから、おおむね妥当である。
 しかしながら、民間事業者への業務委託に当たっては、民間事業者の業務の実施状況についてモニタリングの適切な実施に加えて、効果的なサポート等により、調査対象の秘密の保護や調査結果の十分な精度が担保されるよう、万全を期すことが必要である。
 
オ 集計事項
   集計事項は、調査対象業種の拡充及び調査事項の追加等に対応して変更する計画であり、これについては、統計需要に即したものとなっており、妥当である。
ただし、上記ウの日本標準産業分類の改定に伴う調査票の名称変更及び調査事項の追加に伴う集計事項の追加等の所要の変更を行う必要がある。
 
 
2 今後の課題
(1)  調査の効率的実施及び報告者負担の軽減を図る観点から、次回調査までに、統計需要にも留意しつつ、地域別表章の在り方を含め、標本調査の導入について検討する必要がある。
 
(2)  現在、集計・公表に当たっては、回収結果を単純集計する方法を採っているが、毎年の回収率の変動に伴う調査結果への影響を回避するため、次回調査までに、上記(1)の標本調査の導入の検討と併せ、欠測値の適切な補正方法についても検討する必要がある。
 
(3)  従業者数や売上高等の規模により把握すべき事業内容が相違していることを考慮し、今後、事業者の規模に応じ、調査事項に精粗の差異を設けた調査票の設計について検討する必要がある。
 
(4)  業態が多種多様なサービス産業について、業種ごとの特性を明らかにするという本調査の目的に照らし、本調査の有用性をより高めるため、各業種における特許権や意匠権等の産業財産権の取得件数、「デザイン業」や「機械設計業」 等における外注業務の内容等、「映像・音声・文字情報制作に附帯するサービス業」における年間売上高の契約先産業別割合の産業区分の内訳の追加など、各業種の特性に対応した調査事項の設定について、その把握可能性も含め、検討する必要がある。


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