諮問第85号の答申 :学校教員統計調査の変更について

府統委第34号
平成28年2月16日


総務大臣
山本 早苗 殿

統計委員会委員長
にしむら きよひこ


諮問第85号の答申
学校教員統計調査の変更について

 本委員会は、諮問第85号による学校教員統計調査の変更について審議した結果、下記のとおり結論を得たので、答申する。

1 本調査計画の変更
(1)承認の適否
平成27年11月25日付け27文科生第523号により文部科学大臣から申請された「基幹統計調査の変更について(申請)」(以下「本申請」という。)について審査した結果、以下のとおり、統計法(平成19年法律第53号)第10条各号の各要件のいずれにも適合しているため、「学校教員統計調査」(基幹統計調査。以下「本調査」という。)の変更を承認して差し支えない。

(2)理由等
ア 調査対象の範囲等の変更
本申請では、1(1は丸の中に数字)就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)の改正により、平成27年4月から、就学前教育と保育を制度的に一体として提供する新たな幼保連携型認定こども園(以下「新幼保こども園」という。)が創設されたこと、2(2は丸の中に数字)学校教育法(昭和22年法律第26号)の改正により、平成28年4月から、9年間一貫した系統的な教育課程を編成・実施する「義務教育学校」が新たに創設されることを踏まえ、調査対象の範囲に「新幼保こども園」及び「義務教育学校」を追加する等の変更を行う計画である。
これらについては、新幼保こども園が教育基本法(平成18年法律第120号)第6条第1項に規定する「法律の定める学校」に、義務教育学校が学校教育法第1条に規定する「学校」にそれぞれ位置付けられたことを踏まえ調査対象に追加するものであり、学校の教員構成並びに教員の個人属性、職務態様及び異動状況等を明らかにするという本調査の目的に照らし、適当である。

イ 教員個人調査票(幼保連携型認定こども園)及び教員個人調査票(義務教育学校)の新設
本申請では、上記アのとおり、調査対象の範囲に新幼保こども園及び義務教育学校を追加することを踏まえ、教員の個人属性、職務態様等学校教育行政に必要な基本的事項を把握するため、新たな調査票として、教員個人調査票(幼保連携型認定こども園)及び教員個人調査票(義務教育学校)を新設する計画である。
これらのうち、教員個人調査票(幼保連携型認定こども園)については教員個人調査票(幼稚園)と、また、教員個人調査票(義務教育学校)については教員個人調査票(小学校)又は教員個人調査票(中学校)とほぼ同様の調査項目・選択肢が設けられており、他の学校種に係る調査票と同様、学校教育行政に必要かつ有用な基本的事項を把握するものと認められることから、適当である。

ウ 集計事項の変更
本申請では、教員個人調査票(幼保連携型認定こども園)及び教員個人調査票(義務教育学校)の新設等に伴い、関連する集計事項を追加する計画である。
これについては、政策課題を検討するために有用な情報を提供するとともに、広く統計利用者のニーズにも応えるものと認められることから、適当である。

エ 調査結果の公表の方法の変更
本申請では、調査結果の公表の方法について、調査結果の速報及び確報の公表時における調査結果報告書等の名称を「学校教員統計調査中間報告」から「学校教員統計中間報告」に、また、「学校教員統計調査報告書」を「学校教員統計(学校教員統計調査報告書)」にそれぞれ変更するとともに、速報及び確報の公表に当たり、インターネット公表における具体的な公表媒体(文部科学省ホームページ及びe-Stat)を明示するよう変更を行う計画である。
これについては、統計法では「統計」とその作成手段である「統計調査」とを概念上区分していることを踏まえ、統計と統計調査との間に紛れが生じないようにするため、1(1は丸の中に数字)調査結果である公表物の名称について、基幹統計である学校教員統計と、これを作成するために実施する統計調査である学校教員統計調査の両者を区別した名称となるよう、調査結果報告書等の名称を変更するものであること、2(2は丸の中に数字)インターネットにおいて公表する際の具体的な公表媒体が明確になるよう、調査計画上の記載を変更するものであることから、適当である。

オ 調査票情報の保存期間及び保存責任者の変更
本申請では、調査計画上、調査票情報の保存期間及び保存責任者において、これまで永年保存の対象としていた調査票情報のうち「結果原表」を削除する計画である。
これは、調査結果の集計作業の途中段階で作成したデータ(中間作成物である集計表)を出力し、文部科学省が従来使用していた情報システムにより作成していたものを削除するものである。
集計作業途中のデータについては上記情報システムにより作成される別途の電子ファイルで代替可能であるため、平成27年1月に新システムに移行した際に「結果原表」の作成機能が削除されたことを踏まえ、保存の対象とする調査票情報の範囲から結果原表を削除するものであり、また、これによる問題も特にないことから、適当である。

カ 立入検査等の対象とできる事項の削除
本申請では、立入検査等の実施に関する調査計画上の規定を削除する計画である。
統計法第15条第1項の規定では、基幹統計調査の正確な報告を求めるため必要があると認めるときは、当該基幹統計調査の報告者に対する立入検査等を実施することができることとされており、その実施に関し必要な事項は、政令又は省令において定めることとされている。
本調査では、調査客体が虚偽の申告を行うような可能性は極めて低いと考えられ、また、今後も本調査において立入検査等を必要とする事態が生じることは想定し難いことから、調査計画上における立入検査等に係る記載事項を削除するものであり、適当である。

2 今後の課題
統計利用者の利便性の向上に資する観点から、インターネットにおける情報提供について、更なる工夫・改善へ向けて取り組む必要がある。具体的には、調査結果はもとより、調査方法・調査設計といった情報につき分かりやすい情報提供に努めるとともに、利用者が求める情報を容易に入手できるよう、ホームページの構成の工夫に努める必要がある。