委員会の報告・意見等

平成22年9月30日

平成21年度法施行状況に関する審議結果についての統計委員会委員長談話

(はじめに)

 統計委員会におきましては、本日の第38回会合において「平成21年度統計法施行状況に関する審議結果報告書」をとりまとめ、公表いたしました。これは、新統計法が昨年(平成21年)4月1日に全面施行されてから、初めて実施するものです。
 報告書においては、国民の合理的な意思決定に資するためのより質の高い公的統計の整備を推進するため、重要な事項に関する統計整備等の方向性についてとりまとめましたが、政府の統計体系全体に及ぼす影響が大きい統計に関するもの等については、課題の解決に向けた動きを一層効果的に促進していただくことが望ましいと思われるため、当該事項を所管する大臣に「意見」という形で提示させていただくこととしました。


(意見として提示した事項)

 意見として提示した事項は、(1) 国民経済計算の整備と一次統計等との連携強化(対内閣総理大臣)と(2) ビジネスレジスターの構築・利活用(対総務大臣)です。
 (1)については、GDP統計等の精度向上等が喫緊の課題であることを念頭に置き、次の2点を提示しました。

  • 新しい年次推計方法等の確立とシステムの構築に向けた具体的な工程表の策定
  • 責任体制の明確なプロジェクトチームによる対応の推進

 (2)については、ビジネスレジスターが、統計資源の有効活用のために一刻も早く整備すべきものと考えられるため、次の2点を提示しました。

  • 基盤的・共通的統計データ等の収録等の検討、レジスター内の統計データ等の時系列的整備の推進
  • 各府省の統計データ等の管理における共通事業所・企業コードの保持・利活用の推進

(その他の重要な事項)

 その他、次の5つの事項について、統計整備等の方向性についてとりまとめました。
 (1) ワークライフバランスの状況を的確に把握し、必要な政策を実行するための統計が十分に整備されているとは言い難い状況にあります。このため、少子高齢化の進展と就業構造の変化の関係を解明する観点から関係する統計調査に調査項目を追加することなどについて検討する必要があると考えます。
 (2) 雇用格差が社会問題化する中で、賃金・所得・労働時間の格差及びそれらの変化等を的確に把握することが不可欠となっております。このため、非正規雇用の実態を継続的に毎年把握する統計調査の実施などについて検討する必要があると考えます。
 (3) 新たに導入されたオーダーメード集計、匿名データの作成及び提供(二次的利用)については、統計データの高度かつ多様な研究分析を通じて、学術研究はもとより社会の一層の発展に寄与することが期待されているものです。このため、今後さらに、統計ユーザーのニーズを踏まえて、利用可能な統計調査の拡大や利用目的の検討などを進める必要があると考えます。
 (4) 高度な専門性を有する統計職員の育成・確保は非常に重要な課題です。このため、今後、政府横断的な研修機能の活用や大学等の研究者との連携など、統計職員の専門性向上のための方策について検討していく必要があると考えます。
 (5) 統計調査予算の確保が困難になる中、統計精度の維持・向上、報告者の負担軽減等の観点からも、行政記録情報等の活用の可能性について、調査研究を進めていきたいと思います。


(統計リソースの確保等)

 これらの重要課題を含む新たな統計ニーズに応えていくためには、既存の統計の見直しや業務の効率化が必要であるのはもちろんのこと、必要な統計リソース(公的統計の作成・提供のための予算及び人員)の確保が重要であるということを強調しておきたいと思います。また、質の高い公的統計を整備していく上で、調査客体となる企業や世帯の方々の協力が必要不可欠であることについて、統計委員会としても、引き続きあらゆる機会を使って広報・啓発していきたいと思います。