麻生総務大臣閣議後記者会見の概要

平成16年8月10日(火)

<<冒頭発言>>
  閣議では、私の方から、人事院勧告を8月6日に受けておりますので、その内容についての報告をしました。竹中大臣からは今月下旬から関係閣僚を集めて「基本方針2004」の実現に向けた集中審議をすることについて、8月6日の経済財政諮問会議で決まっておりますので、教育のあり方、国から地方へ、社会保障の一体的見直し、官から民へ等々、いろいろな構造改革を進める観点からこういったのをやりますという話がありました。中川経済産業大臣から関西電力の美浜原子力発電所の事故に関して弔意、並びに経済産業省として、事故の原因の究明と再発防止という話がありました。外務大臣臨時代理、細田官房長官から、ベネズエラ、ボリバル共和国大統領罷免国民投票に対する緊急援助ということです。閣議は今日以降、8月13日、17日、20日、27日は、特段の案件がない限り取りやめ、従って24日まで閣議はないということだろうということです。
  その他2点。給与関係閣僚会議を6日に開き、国家公務員の給与の取り扱いに着手したということを今日閣議で報告しました。ご存知のように、国家公務員の給与の取り扱いについては、人事院勧告制度を尊重するという基本姿勢でやらなければいけないということで、早急に結論を得るように力を尽くしていきたいと考えているのですが、一方、地方公務員給与の取り扱いについても、これは国家公務員の給与に準ずるというのが地方公務員制度の基本的な考え方でもありますので、人事院勧告の尊重という基本姿勢に立って、地方財政はいろいろ地域によって違うところがありますので対処する必要があると考えております。
  次に全然別な話です。ジャパン エクスチェンジ ティーチングプログラムというのが、通称JETプログラムというのがあるのですが、小学校にALTALTというのは、アシスタント ラングエージ ティーチャーということを設けるということにするため文部科学省と話を詰め、現在月一回程度の英語活動というのを小学校高学年で行っていますが、いろいろご要望もあるところでもありますので、早い時期から英語に親しむことや、異文化交流、そういった意味から地方公共団体において取り組みを推進しているところも多いので、積極的に支援をしていきたいということで、小学校における英語活動を、月2回まで拡大出来るよう、現在73人であるものを平成17年度においては5年生及び6年生を対象に約400人に。平成18年度以降は3年生以上の学年を対象に約1,000人を置くことを努力目標にして、アシスタント ラングエージ ティチャー、通称ALTの増員を図って、JETプログラムの拡充をさせていきたいと思っておりますので、地方財政措置の拡充や、小学校専属のALTの配置要件の緩和などを検討したいということで、話は文部科学省とほぼまとまりつつあります。詳細は自治行政局国際室の方に聞いてください。私の方からは以上です。



(質疑応答)
【三位一体の改革 1) 】
:さきほどの竹中大臣の発言にもちょっと関係するかもしれませんが、河村文部科学大臣が、今日午後にも、義務教育の6・3制の区分を市町村の判断で、柔軟にできるような試案というのを発表されるようですが、三位一体の、義務教育の国庫負担金のこととも関連してというふうにとらえられたりもしていますけれども、大臣自身は、この案についてはどのようにお考えでしょうか。
:新聞にチラっと見出しが載っていたということ以外内容を詳しく知りませんから、安易な話はちょっとできません。どういう内容ですか。
:6・3制を市町村の判断で、こう組み替えたりとか、そういった自由裁量を増すというようなことと言われておるようですが。
:内容がわからないからなんとも言えませんね。ただ、地方で義務教育というもののやり方については、いろいろな考え方ができると思いますよ。6・3制をやめて3・6制、幼稚園3年、小学校6年、足して9年。いろいろな考え方できると思います。ですからそういった意味では、いろいろなものを地方で試みられた結果、その結果がうまくいったら、その制度を全国で採用すればいいでしょうし、いろいろ内容が柔軟にできるようにしようとしておられる文部科学省の姿勢というのは良いことなのではないでしょうか。

【靖国参拝 1) 】
:8月15日、終戦記念日になりますけれども、大臣は靖国神社の参拝の予定は、ありますか。
:ありません。
:15日でなくてもその前後に参拝するというお考えも。
:今年はもう4月の、大体春の大祭か秋の大祭には毎年行っていると思いますけれども。今年は正月も行きました。春の大祭か秋の大祭ですね。だいたい僕の靖国への参拝は。

【郵政民営化】
:郵政民営化の基本方針の骨子についてなのですけれども、大臣の主張がかなり取り入れられたというふうに見ているのですが、これは、この間の竹中大臣とのお話し合いの中で、大臣がかねてから仰られている、現実的な民営化であるとか、経営者の感覚であるとか、その辺を主張したことがかなり取り入れられたという流れになるのでしょうか。その辺のご判断というのはいかがでしょうか。
:従業員38万人、パート入れて。支店2万4千7百という組織を、官から民へというのは、かつての国鉄より多い。それを民営化した場合に、国鉄は赤字の国営会社。郵便は黒字の公社ですから。少なくとも民営化したら赤字が黒字になったという形に、国鉄はいろいろ、内容見れば債務はずいぶん、債務は他のところに押し付けていったとか、いろいろ批判はできますよ。しかし、郵便の場合は、今黒字の公社、郵政公社を民営化したら赤字になったなどというのは、経営者としてはとてもじゃないけどおかしい。何のために民営化するのかといえば、今より良くなるというのを考えるのは当たり前なのじゃない?だから、一応簡単なのは、僕の興味は郵便会社が民営化された後のバランスシートが赤になるか黒になるかが最大の関心事。赤になるような枠組みでスタートさせようという方がずいぶんいらっしゃるようだけど、赤にして後から補助金でも出すのですか?それこそ本末転倒も甚だしいでしょう。ですから最初からきちんと黒字になるように枠組みを作る。そして、民営化された、民間の会社になるのであれば、その民間の会社が自由にいろいろやれないとそれは民間とはいえないのだから。その民間の会社が、どう、出来るか出来ないかはともかくとして、その通りにやるかやらないかは、それはその時の経営者の判断。これはやってもいいけど儲からないからやらない。これは、将来は確実に3年したら黒字になると、将来大きく伸びるというのであれば今赤でもやる。だってそれが経営者だもの。自己責任でそれやるところですから、そういった意味では自由裁量は基本的には経営したこともなければ資金繰りもわからない役人や、学校の先生とかという人に経営がわかったような話をされては、させられる経営者の方としてみればたまらない。ましてや、労働組合との団体交渉も学者がやってくれるのですか?やらないわけでしょ?それは新しい会社の社長以下労務担当がやる。ということになった時に、やはりその民間の会社になった人達が、今からこちらの方に伸びて行こうというのでないと、会社などをやる気になるはずがありません。どんどん小さくしましょうなんて、そんな話、民間はやるわけない。より夢があるからやるのであって、儲かろうと思うからやるのであって、私はそういうものだと思っています。それが基本です。だから全ての話は、BSがどうなるかというのが最大の基本だと思う。基本的に儲からないなら止めればいいではないかというようなわけにいかない郵便事業を抱えているわけですから。配達回数を減らせば生産性は上がるでしょうし、支店の数減らせばコストは下がるでしょうけど、それは出来ない地域を考えて、市町村合併が進む中で、それに代わる公的なものがあるというのを地方に残しておかないと、これは過疎地域に対しては行政サービスが著しく落ちるというのは、国としてはやはり公の部分としてはいかがなものか、そのようなところを基本にして考えていくとああいった話になるのだと思っています。
:今から2017年の最終的な経営形態の姿をかちっと決めるのは、逆にその経営の裁量を奪うということもあると思うのですが、経済財政諮問会議のように最初から最終的な姿を決めるという考え方はそぐわないというお考えなのでしょうか。
:経済財政諮問会議の時に例を引いたと思いますけれども、「牛角」を知っていますか?「牛角」という会社が7年前にスタートした時に、7年後にampmを買うということを予想した経営者がいましたか。新聞記者が一人でもいましたか?いませんよ。従って、7年後のことすらわからないのだから。経営というのは生き物なのだから、少なくともその状況でどうなっているかというのをきちきちに決めるのは間違っている。自由度を、民営化するという大基本方針が問題なのだから。その民営化した結果どうなるかといえば、それは五原則で示されているのだから。そういったものを基本に、論点整理の時に、既にきちんと竹中大臣と整理されたのに沿って民営化して行けばいいのであって、基本的に先の形をきちきちに決めて、10年後どうなりますということは、正直言って経営者の判断に委ねるのが普通の発想だと思います。

【靖国参拝 2) 】
:繰り返しで恐縮ですが、靖国の参拝のことですが、今年は、1月と4月に参拝されたということですか。
:今年は1月は1日に参拝しましたね。郵便局の元旦出発式の前だったと思いますけど参拝しましたよ。
:元旦と4月に行かれたと。
4月に参拝しましたね。大体普通、4月の春の大祭か10月の秋の大祭に参拝していますよ、私の場合は。
:これは、私的なものと考えてよろしいですか。
:私的、公的、どういう意味があるのだか教えてください。私的、公的にどういう意味があるのだかわからないのだけれども。
:一般的には、総務大臣たるという冠がつくかどうかということです。
:個人で行っても総務大臣という肩書きが無くなることはないわけだから。私的か公的かって、三木総理のときから始まった話でしょ?その前までは、歴代吉田内閣以下、靖国神社に、在職中何回となくみな参拝しておられるでしょ?吉田茂何回?岸信介何回?池田勇人何回?それくらい調べて聞いてよ。ちゃんと書いてあるから。歴代総理大臣というのはみな、参拝しておられると記憶していますけれどね、私の知っている話では。8月15日に行くと、何となく、太平洋戦争で亡くなられた方だけを見舞うというふうにとられかねないと、僕はそう思うのですね。それは、8月15日に限られたら私的ということになるかもしれませんよ。しかし、春の大祭、秋の大祭というのは戊辰の役に遡って、あそこはお祀りがしてあると思います。日本人だけではありませんよ、イギリス人も祀ってありますよ、あそこは。知っている人ほとんどいないけど。ぜひ調べてみてください。無名戦士じゃありませんよ、有名戦士ですから。

【三位一体の改革 2) 】
:義務教育の見直しの件で再度確認ですが、その地方の裁量、自由度が広がるということになりますとですね、地方の中から、制度が、自由度が広がるのであれば、敢えてこの時期に補助金の一般財源化をしなくてもいいのではないかという声が出てくる可能性もあると思うのですが、こういうタイミングでですね、義務教育の見直しの議論が出てきたこと、あるいはこの見直しの論議が、今後の補助金の議論に与える影響というのはどういうふうにご覧になりますか。
:直接に関係がどう出てくるかは、正直そこのところはよく、まだ内容を読んでいませんから全然わからないのですが、少なくとも、今までのように義務教育が国庫補助負担金としてきっちり枠を決められて、細目がいろいろと決められているのが、いわゆる地方税という形になって教育に使わなければならないという形になってくると思うのですね。その結果、その内容が、何々制になるのか知らないけれども、そういったものになる、というのはその地方で決められるわけでしょうから、国としては最低限読み書き、計算、英会話が少々位は義務教育程度でちゃんとやってくださいよということにもならないのでは困りますよ、という話にはある程度条件が付くのだと思いますけれども、そういったところ以外は、いろいろ今の条件できちんとやるやり方というのは、実際問題としては、近代工業化社会に適したような教育制度と、今は脱工業化時代といわれるものに適した制度とか、昔のように極めて専門色に強いので、技術屋になりたければ明治高専、秋田高専に行き、商社に行こうと思えば東京高商、神戸高商に行き、軍人になりたければ陸士、海士に行き、学者になりたければ京都大学、役人になりたければ東京大学等々、東大出て新聞記者になろうなんて思った人はいないわけだから昔は。だからそういった意味では、大学というのは極めて専門化されていた、専科されていた時代と今とはかなりまた違ってきたのだと思います。だから学校の先生になろうと思えば師範学校に行ったり、みんなそれぞれされたわけですから、そこのところはなんとなくみんな一般ということになって、少なくとも従来と違ったものになってきたというのがこのところでしょう。そういった意味では、今の時代に合った教育制度というのをもう一回考えて。今、アメリカではたぶん、学校に行かないで、家庭教師だけで地域の学校にやらないという児童の数というのは100万超えてない?アメリカは高校まで義務教育ですよ。だけど、これはもう一回考え直さなければいけないということが、1か月くらい前にアメリカの記事が出ていましたよ、とにかく、型にはめて教育するのは4〜5年間が限度だと。それ以後はもっと別のことを考えなければいけない。その種の話は、中高連の田村先生にインタビューしたらどうですか、あの人が一番、この種の話なら詳しいと思います。そういった話を含めて、いろいろ自由裁量とした結果、教育費が全て土木工事費に回ったなどということにならないようにしておかないと、そんな具合の悪いのは変えればいいではないかと常識的にはなりますが、それを変えるまでの間、迷惑する学生が出るわけですから、それは避けたいということだと思います。あまり滅茶苦茶なことにならないような配慮は、文部科学省としても総務省としても、ある程度のことは考えておかなければならないと思います。自由裁量がどれくらい、何を意味しているのかちょっとよくわかりませんので、それ以上答えようがありません。

【靖国参拝 3) 】
:靖国のまた関連ですけれども、閣僚が、靖国に参拝することについてはどういったお考えを持っているのかということと、1月と4月の参拝の時に、玉串料はポケットマネーだったのかどうか、ちょっと確認したいのですが。
:それ共同通信社の指示ですか、それともあなたの趣味で聞いておられるのですか。
:趣味じゃなくて指示です。
:共同通信社が言っているので間違いないですね。
:そうです。
:私の場合は、この種の話は全部自分のお金で払っています。それから?
:閣僚が、靖国神社に参拝することについてどうお考えですか。
:では、質問するならこちらの質問にも1つだけ答えて。国家が、国家のために、命を奉げてくれた人を、国家が最高の栄誉を持って祀るということを、国家が禁じているという国は日本以外にありますか?教えて下さい。ぜひ調べて共同通信として正式の答えを下さい。それが私の答えです。

【サッカーアジア杯】
:今回ですね、サッカーアジア杯がいろいろ問題をはらみながらですね、結果的に日本が優勝したんですけれども、今回のブーイングがですね、今まで例のないようなマナーの問題とかがあったのですが、この件に関しては閣僚や議員の方々からもいろいろな意見が出ております。大臣としては総括してどのようにご覧になったのでしょうか。
:私達みたいに国際試合というのをよくやらされてきた者からいくと、いやがらせというのはどこでもあるのですよ。あまり上等な話ではありませんが。ただ、その様な事をされたからといって、その国の人は皆おかしいというのもおかしいと思うのですね。重慶で起きたから中国13億人みなそうかといえば、そうじゃない人もいると思いますよ。ただ国家斉唱の時のブーイングというのは珍しい。4年後にオリンピックを開催する国としてはどうですかなと思いました。
:疑問を感じられたということですか。
:正直、これはちょっといかがですかなぁと。ただ、我が方も国歌を一生懸命歌ったのはサントス一人。僕はあれを見たときに、正直、残念でしたね。サントスだけは歌っていた。それをテレビではちゃんと映していたというほうが、僕には余程残念に思いました。普通、その国に行けば、マナーというのはみんな違うのですが、その国に居る以上、その国に対して、一応敬意を表するときに、国旗と国歌にきちんとした対応を取るというのは必要最低限の条件、マナーだと僕はそういうふうに教わりましたから。歩いていても人様の国の国歌とわかれば一応立ち止まる。というのは、ルール、マナーだとそう思っていますから、ブーイングするというのは普通では考えられないなとは思いました。

  以上




戻る