麻生総務大臣閣議後記者会見の概要
(郵政民営化の基本方針等の閣議決定)

平成16年9月10日(金)

<<冒頭発言>>
  郵政民営化の基本方針が本日出され、その閣議決定に署名をしております。幾つかの点について、異なる意見というのは私自身にもありましたので、この一年間いろいろありましたけれど、基本的に言ってきたことは一つだけだと思いますが、郵政が民営化された時の最大の問題は、その民営化された会社のバランスシート、損益計算書が黒字になる枠組みにしておくことが大事なので、そのためには今、現場で指揮を執っている会社でいえば社長である生田総裁の意見が無視され、経営をしたこともない学者や役人が、勝手に枠組みを決めるというのは、少々僭越ではないかということを申し上げてきたのだと思っております。言い換えれば、生田総裁が納得出来る案ということだと思いますが、これまで諮問会議でも何回も申し上げましたし、総理にも直接言いましたし、紙にメモして渡しもしましたので、幾つかの点については、私共の意見、私共というのは公社と私、生田総裁の意見と麻生の意見、公社の意見、旧郵政省の意見ととって頂いても結構ですが、意見はかなり反映されたものになりました。署名するに先立って、これは簡単には署名は出来ないと。何故なら残された問題がいくつかあります、ということで、これは総理と生田総裁が正式に会われた上で、生田総裁自身が認められた話ということに成りましたので、そういう形ではきちんと対応して頂いたと思っております。また、その後の会社の実際の枠組みというのが出来ないと法律は出来ませんから、その枠組みを作っていく段階や法律を作っていく段階で、私共の意見はもちろんのこと、経営者、少なくとも店舗を主たる業務とする商売の経験者等々を入れた上で、党とも相談して法案を作っていくことになるので、総理にもその点だけはよく理解して頂かないと、ということを申し上げ、認めて頂きましたので、総理に確認したうえで本日署名をいたしました。詳細設計の過程で、その都度に応じて修正を加えるということになっていますし、総理からの確認も得ましたので署名させて頂いたということであります。
 これについては皆さん方の方がお詳しいと思いますけれども、閣議決定をすることによって話が難しくなる部分もあれば、閣議決定されたことによって進む部分もあるということは確かです。例えば、特別送達については、法務大臣の立場としてみれば、従来ですと法律、民事訴訟法において公務員をもって送達ということが書いてありますから、公務員でなくなった場合には、いざ法案化という時に最高裁から待ったがかかった、ということがないように配慮しなければならない。また、共済年金というものが、約30万人という職員が共済年金に加入していますから、その共済年金は厚生年金に変わることになります。そうすると、ご存知のように見えない国民負担という話ばかりが、よく新聞に書いてありますが、見える公社負担という部分でいけば、基礎年金拠出金では企業負担は3分の1となっているところが、今の郵政公社は3分の2を負担していますので、約30万人の公社の基礎年金ということになると、従来の積み立てている部分は3分の2だということも、是非頭に入れて置いてもらわないと大きな額になりますが、その点は財務省さんは分かっていますか、署名しているのだから、と言えるためには閣議決定というのは非常に大きいことは確かです。また、これは年金の話ですが、年金は基本的に厚生労働省の話になりますので、厚生労働大臣も同じように大事なところですし、国債管理となりますと基本的には財務省になるのだと思いますので、今回の閣議決定において、制度設計に入っていけるということになったということは、喜ばなければいけないことだと思っております。制度設計と基本設計は、どちらが卵でどちらが鶏かというような話もあるとは思いますが、制度設計をしていく過程で、これは少し基本方針と違っていませんか、ということが出てくることもありますので、再度、基本方針に立ち戻って議論する等々も必要だと思っています。25年も前に経営者をやめたのが、錆びた感を取り戻しつつ経営の話をするのですから、今の現役でやっている人たちからは、もっと上手い手口があるとか、こんな方法もあるという意見もきっと出ると思いますので、私共としては公社が民営化された後も、今行われている行政サービスというものが維持されていくのか、2万4千7百のネットワークが維持出来るのか等々、大変な作業が残っているというのが正確なところです。しかし与党としては、今朝の二幹二政だったと思いますが、総務会でも、「閣議決定は妨げられないが是非については留保」という答えを出しておられますので、その意味ではこの基本設計に入っていく、制度設計に入っていく段階で改めて党との連絡を十分にとりながら、調整して進めて行かなければならないと思っております。その頃には私は大臣ではない可能性を心から期待しているのですけれど、こればかりはよくわからない。小泉総理の専権事項の話であって私の仕事ではありませんので。少なくとも他の大臣にとっては、辞めたとしても署名をしたのだから、その点ではきちんと対応して頂きますよ、ということがこの閣議決定の非常に大きな意味だと、私自身はそう理解しております。しかしこれによって党との関係はかなり難しい作業が残ったということも確かだと思います。しかし、もうこれは結論としては出ました。内閣としては、その対応を覚悟の上で出されている訳ですから、後は上手く行くように基本設計に入っていく段階、法案策定の段階、極端なことを言えば来年3月31日まであります。これは予算関連法案ではありませんから、そういった意味では時間というものはあると思いますので、その間にきっちり詰めていって頂かねばならないと思っています。


(質疑応答)
【郵政民営化】
:いろいろ今ご説明頂きましたが、閣議の席上で何かご発言は。
:閣議の席上では決められたこと以外発言出来ないことになっています。
:郵政民営化の基本方針が閣議決定されたことを受け、今後の国民への説明なのですが、先ほど大臣は閣議決定をすることで進む部分もあると、そのようなお話をされたのですが、その反面で、例えば上田市のタウンミーティングでは国民不在の議論では、大変厳しい指摘も出ていた訳ですが、党内でさえ議論が深まらない中で内閣改造などの政治日程、そういうものを優先した閣議決定というのは、国民への説明が不十分ではないかと思うのですが如何でしょうか。
:タウンミーティングをはじめ、新聞等というジャーナリズムでも、いろんな形でこの話が出ていますけれども、内容がきっちり伝わっているかといえば、竹中大臣等々の周辺からも、あまり情報が出ている様子はありませんから、そういった意味では憶測で記事を書き、それを読んで更に、憶測する方向が間違えるということもありますので、今回出た基本方針を元にして、いろいろな形で理解を得るように努力していかなければいけないというのは、私もそれはそう思います。
:今までの人生の中でかなり働いたとお話だったのですが、今回の一連の基本方針作成について、採点というのは出来るものでしょうか。点数は付けられるのでしょうか。
:点数、これは法案ができた段階でです。そして法案が出来てもそれを見て内容を理解した従業員が、俺は窓口か「よし」面白そうな仕事だ。他のところは130年間続いたような仕事だけど、窓口ネットワークのようにゼロからスタートするような仕事も出てくる訳ですから、その意味で、従業員が「よし」と思うか、不安に駆られて何となく労働意欲が減退するか、そういったところは、これは結果論でなかなか難しいところだと思いますが。これは従業員が今までと全然違うのだという気になって頑張ってくれればいいでしょうが、やっぱり郵政公社の従業員、ゆうメイト含めて約38万の人たちの気持ちがどう動くか、所詮経営は人ですから。弱小会社でもきっちり大きく成っていった会社もありますし、非常に条件がよかったにもかかわらず、経営判断の間違いからおかしくなっていった、かつて超一流といわれた銀行の今日を、10年前に予想した人はほとんどいません。従って、この新しい会社も、10年後というのはどんなものだろうかと決め付けて、これで行けなどというのは僭越の極み、それでは民間会社ではない。それは社長なり経営陣の判断すべきことであって。その時代における郵便事業や金融という業界がどうなっているかということを、今の10年前から予想するのは不可能であり、すべきではないと私はそう思いますので、新経営者の自由裁量権が出来るだけ多く獲得されるような枠組み設定をすべきと思っています。
  以上




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