麻生総務大臣折衝後記者会見の概要

平成16年12月22日(水)

<<冒頭発言>>
  ただ今、平成17年度の予算の最重点項目で大臣折衝を行ってきたのですけれども、インターネットの通信量というのがこれから爆発的に増えると思っております。理由は今トロンを使ったのは1つの例ですけれども、トロンは知っていると思いますけどね。こういうトロンを使う結果、この10年間でこの種のトラフィックはいわゆる通信量が千倍に膨れ上がって、この1年間でも2倍に膨れ上がっています。従って、2の10乗ということなのですが、そういうような形で、今どんどん増えていますので、こういったものが増えていくと当然のこととして、支えていますインフラというものがきちんとしないとどうにもなりませんので、そこでこのインターネットのトラフィックを支えるために研究開発をしていく必要があると思います。これは1つの例を上げますが、私が福岡から谷垣大臣のところにインターネットを使ってもインターネットが通っていく使用量は全て東京を経由してから戻ります。全インターネット使用量の約7割から8割は東京経由ということになりますので、いずれ東京は過剰となりパンクする。そこで、インターネットは九州なら九州の域内だけで完結するようにする。域内通信量を確保する。それで、谷垣大臣のところに送るときでも東京から発信して戻るのではなくて、ここからここだけでこうやって戻すようにするというようなことをやっていくことによって、インターネットの機能を分散することが必要になりますので、是非この点につきましてはお願いしますと。これだけ分かりやすく説明しないと財務省には通じないからね。これで20億円という予算がついております。
  もう1点、緊急消防援助隊について今説明します。最近の大規模災害が発生しているのですが、この前の妙見堰というところを思い出していただければ分かるのですが、その中に人が生きているか生きていないか、人がいるかいないか、生きているかいないかの前に人がいるかいないかは、機械を入れて、あそこを見たら分かると思いますが、棒カメラが入ると子供がいるとかいないとかが分かり、簡単に胃カメラと同じだと思ってください。それを入れて、伸ばしていって先が全部探し出せるというもので、先端にライトがついているし、且つ、これで音も取れます。子供が泣いている音を出すとこちら側で検索している人のヘッドホンで音が聴けます。そう言った意味では音も全部取れるというのが、今回のこの機械です。それで人がいると分かったら、次に今写真を手に持っていますけれども、これが、東京消防庁から新潟県の妙見堰まで持っていったシリウスという機械です。これは1個の重さが70キロもあるのでとてもここまで持って来なかったのですが、これは瓦礫とか岩石を通して、中に人が生存しているか死んでいるか、生体反応がこれで分かる。従って中に子供がいる、加えて生命反応がある、ない、呼吸している脈拍がある体温があるというのはこの機械で全部発見しました。高度探索操作を今後行っていくことにこれまで48億円ほどいただいていましたけれども、現実問題、こういったものを今後の大災害を予想するに当たって、NBC対応車両とかいろいろありますけれども、こういったものを緊急消防援助隊等々に持たせておくというのは大変大事なところだと思いますので、いろいろございましたけれども、緊急消防隊援助の装備に対して2億円が更についておりますから、トータルで50億円になります。これが今回の折衝の話です。
  もう1点、国家公務員の定員、これは20日に大臣折衝を行って、大筋、重要事項については決着でありますので、定員全体の審査結果を取りまとめております。削減につきましては平成17年度から5年間で10パーセント以上の削減を目指すという方針のもとICTを活用するとか民間委託してアウトソーシングするなどもやって、結果として計画削減をしておりましたものを大幅に上回ることになって、当初要求から1,100人上乗せの削減ということになりました。合理化ということになろうかと思いますが5,445人の削減、率で言いますと1.66パーセント。昭和48年の1.58パーセントが過去最高ということになりますので、そういった意味では1.66パーセントは過去最高の削減率を達成したことになります。他方、増員した部分もあります。例えば治安関係、刑務所、CIQ、警察庁、海上保安庁など、国税庁、大規模災害等、ずっとありますけれども、少なくとも治安関係等々を含めて真に必要な部分に関しましては、思い切った増員をし、1,580人を治安関係だけで増員を行っていまして、全体で4,821人を措置しております。それで、私どもとしては純減数でいきますと昨年度を大幅に上回って624人の純減ということになっております。詳細につきましては事務方から説明させます。他方、地方公務員の方の人員も、これは警察官を3年間で1万人、当初、来年度3,500人の増員を折り込んだ上で民間委託などを大幅にしていただいて、地方財政計画の人員としては約1万2千400人の純減ということになっております。言いたいことは地方の方が努力していること。これが現実なのであって、是非、国・地方を通じてこれ減らすべきことは減らし、そしてきちんとするべきことはしなければいけないですから、例えば環境省関係ではゴミの不法投棄の問題がありますが、こういった意味で地方環境事務所の新設を認めております。地方支分部局といわれるこの種のものを新たに認めたのは昭和42年以来初めてです。従って地方分権が進んでいく中にあって、こういったきちんと対応すべきものは対応して、その他、今の自然保護事務所を統合したとか、全く新しく作って、将来、環境というものは地方でやれる部分もあると思いますので、こういったものを含めまして、38年ぶりに地方支分部局の新設を認める等々やらせていただいたということです。今回の大臣折衝に昨日の分を含めて申し上げることは以上です。


(質疑応答)
【機構・定員】
:定員の関係ですけれども、5年間で10パーセントというのはこれまでにないハイペースでの定員削減になると思われますけれども、一方で各省庁で自分の仕事は大事であるといって、恐らく、他の省庁を先にという形で、定員削減に対しては抵抗される方々も多いと思うのですけれども、総務省としてどういう形で、定員削減を促していくのか教えてください。
:1つは、地方の方では法律が変わっていますから、公務員でなければできないルールだったものが、アウトソーシングできるようになった。法律が変わってできるようになっているというのが1つですね。もう1つは、例えば給与計算、出張旅費等々の、会社用語ではバックオフィスと称する営業とかそういったものではなくて、裏側にいって事務方をやっている部分というのは、いわゆるICT技術の進歩によって基本的には機械が全部補えるという部分は猛烈な勢いで増えているし、事実、大阪府の給与計算は一切自分たちでしないで出張旅費を含めてアウトソーシングして、経費削減率は一年間で38億円かな、他、静岡県も似たようなこと始めていますけれども、そういったようなことができるようになりつつありますから、いろんな意味で技術の進歩というものと法律の規制緩和その二つで対応ができるものだと思います。

【三位一体改革】
:三位一体の関係で、他省庁の予算になりますが、文部科学省の方は、初年度が4250億円の削減というになって、それは特別交付金で地方に移されるのですが、どういう形で削るかということは、ちょっとこちらから見ていると分かりにくいところがあってですね、それで交渉の過程では、補助率を削るのではないかとかあるいは加配をなくすのではないかとかいろんな議論がされたのですが、そこは結局現時点でははっきりしていないと、それで、そういう状況の中で今回こういう予算編成が組まれたということで、地方が求めていたような将来の一般財源化に向けたステップというのが今回の予算編成で進んだというふうに捉えていらっしゃるか、そのへんの評価を。
:そうですね。基本的に2年間ですから、1年間で3兆円とは誰も言っていませんから。2年間で3兆円というのを目標にしたわけですから、初年度に8割いっていますので、基本的には義務教育国庫負担金の中学校の分だけが約半分ということになった感じになろうかと思います。基本的に言ってこの義務教育をそもそもどうするかという、義務教育は果たして中学まで必要かとか、因数分解は義務教育の範囲かとかいろいろ教育に関しては、6・3・3・4がいいのかとか、詰め込みといわれていたら、今度はゆとりをとったり学力が低下とか、もう非常にぶれが大きい話になっていますので、そういった意味ではそもそも義務教育とはという、昭和21年以来の話ですから、その辺のところは中教審できっちり論議をやっていただく、しかも月1回という感じではなくて、義務教育に関して新たに委員会を立ち上げられて鳥居先生自らそこの委員会の委員長を務められるというようなことをやっておられますので、その義務教育の委員会の審議の結果、どういう方向になっていくかということなのだと思いますので、8千5百億円のうち4,250億円の約半分ということになるのだと思います。それは地方に対する税源移譲に1つの道筋としては全然間違っていないと思っております。
:全体として、例えば昨年の場合ですと公立保育所の国庫負担金の一般財源化というのは、これは地方も評価したところだと思うのですが、移ることによって、地方に裁量が拡大された部分はかなりあったかと思うのですが、今回そういう意味でいうと税源移譲の対象になった補助金がですね、義務教育ですとか、国民健康保険ですとか、国の負担割合を引き下げるというようなものが非常に大きなウエイトを占めていて税源移譲の対象にはなったけど地方の裁量拡大という点からどの程度それは進んだのかなということも思うのですが、その点はいかがですか。
:基本的には3兆円の税源移譲自身のうち8割いっただけでも始まって以来なのでないの。僕はそう思いますね。そして2兆4千億円となった部分でその中でどういう感じを地方が受けているかといえば、地方にとってやはり多くの人口を抱えたところとそうでないところの格差は大きいのですよ。ですから、それを補助金はなくなった、地方税はきた、しかし従来10来たものが2しか来ない、3しか来ないというところにとっては、その差を埋める地方交付税等々は非常に大きなウエイトを占めますので、その分が7兆円削る、8兆円削るという勇ましい話から、1兆円はどうしてもやるとか8千億円になるとかいって、結果的には前年並みということになったのですけれども、それによって少なくとも総理の地方案を真摯に受け止めるという案は、きっちりそれに対応している点というのは地方が少なくとも市町村側の最も評価の高いところだと思います。また、裁量余地の全くない生活保護費などというものは、これはもう、断固としてできないということを申し上げたとおり、その通りになっていますから、地方としてはこれは最初から100点を求めてもそれはできないので、そういった意味では大きな一歩という評価があるから地方からの意見は、個別に皆一対一で会えば、やはり最初はもっとダメだと思っていたものが、地方案を地方と国と協議の場を含めて継続してもらえるようになったというのは大きなところだったという評価だと思います。一番大事なところは第一歩ですからね。これで終わりという話ではないのであって、地方へ主権が移譲していくという流れというのは、大きな流れとして地方分権一括法に始まり、今回のそれに裏付ける財政というものが付いてきたというのがひとつの流れとして大きく出てきますので、この流れを更に促進していくという努力は今後も引き続き行われないと、もうこれでやれやれ終わりという種類の話ではないと思います。

  以上




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