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会見発言記事

高市総務大臣閣議後記者会見の概要

平成27年11月27日

冒頭発言

 皆様、おはようございます。
 今朝、官邸では、東京オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会推進本部がございまして、そのあと、閣議、閣僚懇、そして、新型インフルエンザ政府対策本部の運営訓練がございました。


【労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果】

 まず、本日の閣議におきまして、私から、労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果について報告をしました。そのポイントを説明いたします。
 まず、労働力調査結果でございます。10月の完全失業率は3.1%と、前月に比べ0.3ポイント低下し、平成7年7月以来20年3カ月ぶりの低い水準となりました。就業者数は1年前に比べ42万人増加し、11月連続の増加となりました。また、女性は27万人増加し、37カ月連続の増加となりました。さらに、15歳から64歳の就業率は74.0%、うち女性は65.5%と、いずれも比較可能な昭和43年以降で過去最高となり、雇用情勢は引き続き改善傾向で推移しています。
 次に消費者物価指数でございます。消費者物価指数について10月全国の生鮮食品を除く指数は、前年の同じ月に比べ0.1%の下落です。これは、ガソリンや電気代などのエネルギーの下落によるものです。
 一方、食料及びエネルギーを除く指数は、前年の同じ月に比べ0.7%の上昇と、2年1カ月連続の上昇でございます。昨年末の原油価格下落によるエネルギー価格下落の影響を除きますと、物価上昇の基調は10月も続いていると見ています。
 3番目に家計調査です。全国2人以上世帯の10月の消費支出は、1年前に比べ実質2.4%の減少と、2カ月連続の減少となりました。食料などへの支出は増加となりましたが、自動車購入やパソコン等の耐久財などへの支出が減少となったことが、主な減少要因と見られます。8月及び9月の状況を含めました3カ月後方移動平均でならしてみますと、10月の消費支出は1年前に比べ、実質0.1%の減少となりました。これらを踏まえますと、消費は足下では横ばいの状況と見られます。
 詳細につきましては、統計局に御確認をお願いいたします。


【社会資本の維持管理及び更新に関する行政評価・監視】

 次に、「社会資本の維持管理及び更新に関する行政評価・監視」についてです。
 本日の閣議におきまして、私から国土交通大臣に対し、「社会資本の維持管理及び更新に関する行政評価・監視」の結果に基づく勧告を行う旨、発言しました。
 本勧告では、社会資本のうち、鉄道施設について調査をし、「鉄道施設の長寿命化計画の策定に必要な情報の提供」、「鉄道施設の定期検査及び補修の確実な実施の指導」、「鉄道事業者に対する保安監査のより効果的な実施」などを求めています。
 国土交通大臣に対しまして、今回の勧告を受け、必要な措置を講ずるように求めました。
 詳細につきましては、行政評価局に御確認をお願いいたします。


【呉市及び佐世保市の中核市指定】

 また、本日の閣議では、呉市及び佐世保市を中核市として指定する政令が決定されました。
 今後、呉市及び佐世保市におかれましては、来年4月からの移行に向けて準備を進め、引き続き適切な行政運営に努めていただきたいと考えています。
 なお、地方圏では中核市に移行しますと、その市を中心として連携中枢都市圏を形成することが可能となります。呉市や佐世保市をはじめ、対象となる中核市においては、積極的な御検討をお願いしたいと思っております。
 詳細につきましては、自治行政局市町村課にお問い合わせください。


【自治体情報セキュリティ対策の抜本的強化】

 それから、日本年金機構の情報流出問題を受けまして、地方自治体の情報セキュリティ対策を抜本的に強化するために、「自治体情報セキュリティ対策検討チーム」で検討を進めていただきましたが、去る11月24日、佐々木座長から報告をいただきました。
 報告では、情報セキュリティ対策の抜本的強化のために、「マイナンバー利用事務系では、端末からの情報持ち出し不可設定等を図り、住民情報流出を徹底して防止する」、「LGWAN環境のセキュリティ確保に資するため、LGWAN接続系とインターネット接続系を分割する」、「インターネット接続系では、都道府県と市区町村が協力して、自治体情報セキュリティクラウドを構築し、高度な情報セキュリティ対策を講じる」、という三層の構えが提案されています。
 また、都道府県におきましては、市区町村に対する初動対応の支援体制の強化や自治体情報セキュリティクラウドの構築等により、各市区町村における必要な情報セキュリティ水準の確保に努めることが求められるとされています。
 非常に重要な御提案でありまして、総務省としても地方自治体と連携をし、情報セキュリティ対策の強化にしっかりと取り組んでまいります。
 なお、本日13時30分からの「地方三団体との懇談」におきまして、自治体情報セキュリティ対策及びマイナンバー制度について、私から三団体の会長にお願いをする予定でございます。


【世界無線通信会議(WRC−15)】

 11月2日から本日まで、スイス・ジュネーブにおきまして、電波の国際的な周波数分配等を決定する、「世界無線通信会議(WRC−15)」が開催されていますので、主な結果を報告いたします。
 まず、5G(第5世代移動通信システム)についてですが、2020年以降の実用化に向けまして、産学官が連携して取り組みを推進している5Gで使用する周波数については、2019年に開催予定の次回会合で具体的な検討を行うことで合意しました。
 次に、電波を使った車載用レーダーの高性能化についてです。自動車で利用されるレーダーの性能を向上するための周波数拡大に合意しました。これによりまして、周辺の障害物を認識する精度が向上し、政府全体として取り組んでいる自動運転の早期実現に寄与するものと期待しております。
 また、うるう秒調整の見直しも今回の議題となっていましたが、うるう秒廃止に向けた検討を継続して行うため、幅広い関係団体を含めた議論をさらに進め、2023年に開催予定の次々回会合までに結論を得ることになりました。
 総務省では、今回の会合の結果を踏まえまして、必要な制度整備を行うとともに、新たな周波数利用の早期実現に向け、研究開発や標準化活動を推進してまいります。
詳細につきましては、総合通信基盤局電波部に問い合わせをください。

 私からは、以上です。 

質疑応答

自動車に係る環境性能課税

問:
 幹事社から1問質問があります。自動車に係る環境性能課税について伺いたいんですけれども、先日、総務省案として示されましたが、これについて自動車業界は平成29年度に先送りすべきだという声がかなり多くなっています。これについて、大臣が、時期についてのお考えと、あと、環境性能課税についての在り方について、どうお考えなのかというのを教えていただけますか。
答:
 環境性能課税につきましては、自動車業界から平成29年度改正で議論すべきだという主張があることは承知しております。
 総務省は、地方団体からのヒアリングを通じまして、仮に平成29年度の改正で結論を得た場合に、税システムの改修が平成29年4月に間に合わないと考えています。
 特にOSS導入団体、ワンストップサービスを導入しておられる団体につきましては、ディーラーによるOSS上の手続きができなくて、車検証やナンバープレートの交付に支障を来すとともに、地方団体の事務が手作業にならざるを得ないといったことなど、ディーラーや納税者に混乱を生じさせてしまいますので、これも問題だと思っています。
 また、「平成28年度改正では、大枠を決めるだけで法制化はしない。平成29年度の改正で法制化すればよい」といったご主張もあるようでございますけれども、法改正もない中で、大枠を示した「与党税制改正大綱」だけで、地方団体が新たな税の仕組みに係るシステム改修の予算化ですとか、契約を行うということはできません。そのため、総務省では、平成28年度の改正で議論を進めるために具体的な案が必要だと、こう考えまして関係省庁及び自動車業界に案を提示したわけです。
 具体的には、「平成26年度与党税制改正大綱」を踏まえて、環境性能の優れた車両の普及・促進や技術革新へのインセンティブの観点から、「環境性能が一定の水準よりも高い車両を対象とし、その程度に応じて税率が決定される仕組みとしたこと」、「税率の適用区分の基準として、最新の平成32年度、燃費基準を用いること」などとしたものです。
 最終的には、これは税制改正プロセスを通じて決定されますけれども、先ほど申し上げましたような諸般の事情がございますので、総務省としては、あくまでも平成28年度改正で結論を得て法改正を行えるように、引き続き関係省庁及び自動車業界への説明を続けてまいります。

「放送法遵守を求める視聴者の会」の意見広告

問:
 フリーランス記者の上出と申します。17日の時にBPOのことを言って、似ている問題ですが、関連したもので、重要な、ちょっと放送法第4条に関連した動きがあります。これ、コピーがあるのですけども、今月の14日と15日に産経新聞と読売新聞に、ご存じだと思うのですが、「放送法遵守を求める視聴者の会」というので意見広告を出しました。
 この中で、TBSの9月16日の放送から、岸井さんの発言は違反だということを言って、ここで、総務大臣に意見を、異議を申し立てて、平成19年に総務大臣が言った、公平ということは全体としてのバランスが取れていればいいと。1つひとつの番組ではないのだということをおっしゃって、これはおかしいのではないかという意見広告があります。
 これ、大変重要な問題で、1つひとつで見てしまうと、ほとんど表現の自由との関連で主張ができないことになってしまう。この見解について、見直したりするお考えがあるかどうか。放送全体としてバランスを取り、1つひとつの番組が必ずしもバランスが取れてないからといって、それが放送法違反になることではないという見解があるのですけれども、意見広告を御覧になったかと思うのですが、これについて御所見を。
答:
 意見広告が掲載されていたことは承知をしていますけれども、まずは「ニュース23」に関して書かれていたことに関しては、これは個別の放送番組のことですので、特にコメントいたしません。
 放送法第4条が求める政治的に公平であるということは、過去の国会答弁において、「政治的な問題を取り扱う放送番組の編集にあたっては、不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく、放送番組全体としてバランスの取れたものであること」という解釈をしてまいりました。
 1つの番組というよりは、当該放送事業者の番組全体を見て判断するというこれまでの見解があります。これは継続的これまでの総務省の立場でございますけれども、放送に関する課題に対して検討会も設置しておりますので、今後、それが検討すべき課題であるということになってまいりましたら、分かりやすい判断ということも考えていってもいいのではないかと思います。ただ、個別の番組で細かくどう判断をするのかというのは、非常に、基準作りというのは難しいものだと承知をしています。

問:
 この見解が変わる可能性もあるということでございますか。
答:
 現段階で意見広告は拝見しましたけれども、そしてまた、何か私に対して書簡を出されたように聞いているのですが、まだ書簡も届いておりませんので、届いたら拝読をした上で、方向性というものを考えたいと思っております。
 これまでの国会答弁というものがあり、継続的なものでございますので、これを抜本的に変えるといったら、これは放送法との関係、また、表現の自由との関係から、大変難しい課題であるということは承知をしています。
 ただ、分かりにくいのではないかという指摘があるということも、一方で認識はしております。

 ごめんなさい、短い時間で。ありがとうございます。

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