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会見発言記事

原口総務大臣初登庁後記者会見の概要

平成21年9月17日

冒頭発言

 皆さん、おはようございます。新しく総務大臣に任命をされました、民主党の衆議院議員の原口一博です。第1回目の総務省での会見をさせていただきたいと思います。
 いよいよ新しい歴史の扉が開きました。特に民主党がこの選挙でお約束をした地域主権、これを私たちはマニフェストに沿って粛々と実行していきたいと思います。40日の選挙、事前の期間も含めてありましたけれども、その中で地域を回って特に感じることは三位一体改革による地域の疲弊です。実際に病院に行って、病院の窓口まで行けば、その方を追い返すお医者さんはいないと思います。しかし、そこへも行けない方々がいらっしゃる。私たちは政権交代をし、新しい鳩山内閣を実現することが、国民の皆さんの御決断によってできましたが、その喜びはもう一瞬です。むしろ今置かれた現状、存在価値を失った政治が長く続いたことよって多くの資源が奪われています。生活の安心、特にこの総務省は消防行政をつかさどっていますが、今年出た、救急車の到着の時間も過去一番厳しい時間、それは消防行政に携わる人が怠慢であるからそうなっているとは私は思いません。むしろ医療現場が崩壊をし、そしてそこへ向かう、東京都でもございましたけれども、受入態勢の問題もこれは一体的に考えていかなければいけないと思います。総務省だけで解決できる問題ではないと。むしろ鳩山内閣全体として、命を守る政治ということで取り組んでいかなければいけない問題だと考えています。
 地域主権改革はまさに革命に近い改革です。昨日も数名の知事さん、あるいは市長さん、今日も朝、町長さんたちと話をしましたが、たくさんの権限、財源、それを中央に一回お金を集めて地方に分配する。地方は様々な予算については言う権利がないという状況はあってはならないと思っています。依存と分配の政治から自立と創造の政治にするためには、多くの今回マニュフェストで約束したことの実現が必要です。そのためにも私は冒頭のこの記者会見で、ここにいらっしゃる皆さんを通して、メディアの皆さん、多くの皆さんの御協力を頂いて、国民の皆さんとの直接対話、そして国民の皆さんの協力を仰ぐということを基本的な姿勢にしていきたいと思います。霞が関や永田町だけでできる改革ではないということを強く認識をしている次第であります。
 その中で幾つか懸案がございます。補助金やあるいは天下り、あるいは随意契約、今までの税金の無駄といわれるものを徹底的に追及をし、そして変えていきたいと思います。自公政権の中で多くのものが隠されてきたと思っています。中央省庁に働く人たちは中立であります。しかし、政治が指示をしなく方針を示さなければいくら優秀な人材が集まってもそれを生かすことはできません。
 私、今日、秘書官に名刺をお願いしましたが、私の名刺は端に押し花が添えてある名刺なのですが、それはもうなくなりました。本当はこの端に押し花が押してあったのです。これは私の出身の佐賀で障害を持った人、一人一人が押し花を作って、それを一枚配るとそこに20円入るという名刺でした。しかし、障害者自立支援法によってもうそこに行くことができなくなって、そしてこの名刺はもう押し花がついていません。なぜこのようなことを言うかというと、私が総務大臣として目指したい社会、これを皆さんと共有したくて申し上げました。日本は世界の6分の1をつくるような大きな国ですが、障害を持った方々が、では、どれぐらいお給料をもらえるのか。月に1万円ももらえない。そんなことで本当にいいのだろうか。これは所管が厚労省になりますけれども、私たちは民主党で障害者政策も議論してきました。スウェーデンのサマルという福祉企業体は人口900万人のスウェーデンで3万人の障害を持った人たちがお仕事をされています。その中で手も足も口も不自由な方がカウンセリングをされていました。私は専門が心理学なので大変カウンセリングに興味があるのですけれども、その方がこうおっしゃいました。できないことが問題ではないのだ、できることが大事だと。生まれて初めて税金を払った、仕事でお給料をもらった。これは義務だけではない、権利なのだということをおっしゃっていました。つまり今財源の問題、あるいは地方への移管の問題がいろいろ話をされていますが、本当に一人一人の人間の尊厳というのは保障されているのだろうか。私たち民主党はもう障害者という言葉を使いたくないと思っています。障わり害者と書いて障害者、とても後ろ向きな言葉です。ケネディはチャレンジドという言葉を使っていました。生まれながらにして神様から挑戦する課題をもらった人たち、生まれた後にさまざまな課題に挑戦する人たち、チャレンジドをタックスペイヤーにというのがジョン・F・ケネディの公約でありました。まさに鳩山内閣、新しい可能性に挑戦をします。その可能性に挑戦するキーワードは人間の尊厳です。一人一人の国民が人間としての尊厳が保障されて、生きがいを持って働くことができる。そのために様々な改革をやっていきたいと思っています。
 私たちは民主党の中で緑の分権改革ということも、その中で議論していました。グリーンニューディール、今度鳩山首相はオバマ大統領とお話をいたしますが、その中で幾つかの懸案が話し合われると思いますが、特に地域の自然エネルギーにおける持久力を強く支えていくこと。今これは後で数字を確認しますが、日本は21兆円分エネルギーを外から買っています。
 もしこれが地域で、例えば私は菜の花議連というものに入らせていただいて、滋賀県の多くの仲間の人たちや佐賀県の人たちと一緒に地域でクリーンエネルギーを作ろうという試み、あるいは太陽光や風力発電、こういった自然エネルギーが地域でそのお金が回るとしたら、お金の回り方が変わります。一回お金を中央に集めてそれを地方に分配するという政治のあり方も変わるのです。もとから変えていきたいと思っています。
 限られた時間ですから年金の問題についても、昨日、就任会見ではお話できなかったのでやらせていただきます。これまで119回の年金部門会議で長妻年金担当あるいは厚労担当と一緒に消えた年金の問題を追及してきました。我が総務省はいわゆる年金記録回復の第三者委員会、これの所掌もしています。年金記録確認第三者委員会の委員の皆さんには大変大きなお力添えを頂いて、消えた年金の問題の解決に大変尽力をして頂いている、これにまず感謝を申し上げたいと思います。その上で、ただ年金の問題は過去、制度のゆがみが現場に出てしまっていて、そしてそのことによって消えた年金の全体像というものが分からなくなっています。消えた年金の記録回復の中で、様々な事実が明らかになっていますが、それでもいくら第三者委員会の方々が頑張っていただいても超えられない、例えば無年金になっている人たちが、あの7月21日の会議では、今まで社会保険庁が言っていた数よりもはるかに多いのではないかという疑いも出てきました。これでは国家の信頼、老後の安心は獲得できません。私たちは解散前の国会で消えた年金を回復するための法案を出させていただきましたが、長妻厚労相とも相談をしながら、この消えた年金の問題を次の二つの観点で解決していきたいと思っています。一つは全体像をまずはしっかりと明らかにするということであります。長く野党の時代にサンプル調査を求めてきましたが、これはどんなに頑張ってもできませんでした。全体像を明らかにして、そして何が起きたのかということをまず国民の皆さんにお知らせする。 
 もう一つは、20年、30年、40年前の記録を持ってきてくれといっても、そこにはおのずと限界があります。この限界に対してどのような政治が答えを出すのか、これはとても大事なことであります。消えた年金問題については以上の2点を中心に、私たちが国民の皆さんにお約束したことをしっかりと実現をしていきたいと思っています。
 また放送行政、あるいは電波行政、こういったものについても、あるいはICTについても、今回様々な世界のルールオブゲームの中で、私たちは大きなパラダイムチェンジをすべきだと考えています。独占の議論もありますが、メタルの時代でドミナントであったものが次の新しい時代にドミナントであるとは限りません。世界の多くの水準を、情報通信の基準をしっかりと日本がリードして、そして情報リテラシーも含めて国民の様々な情報に接する権利をしっかりと保障してまいりたいとこのように考えています。具体的に地デジや様々な問題について、また後の会見に譲りますけれども、プログラムを作って多くの皆さんの御協力をいただきたいと思っています。
 郵政の問題についても一言。これは昨日随分お話をいたしましたので、私たちは郵政事業における国民の権利を保障するということで、亀井大臣あるいは多くの皆さんと一緒に改革を進めていきたいと思います。来年になれば株式売却がスタートするという法律になっています。まずはこの株式売却を凍結し、そしてなぜ、前の総務大臣の言葉を借りれば、できレースといわれるもの、つまり民営化ではなくて私物化、ガバナンスを効かすことではなくて、むしろガバナンスが効かない状況がなぜ生まれているのかということをつまびらかにして、そして見直しに着手をしていきたいと考えています。
 最後に危機管理についてです。今日初登庁いたしまして、一番最初に危機管理体制について私の考え方を申し上げました。国民の命を守るということについて、まずは考えられる最大のリスクを極小化するということが大事だと思います。地震やあるいは地震も含めた災害、あるいはミサイル問題もあったり、事故の問題もあったりします。これに総務省がどのような即応体制をとるのか、そして被害を早急に回復し、あるいは被害をどのように少なくするのかということで話をいたしました。もうこれで会見の最後にしますが、民主党が政権をつかさどるようになれば、官主導、官僚依存といったことが大きく変わります。しかし、その中で総務省で働く皆さんに、あるいは労働の環境についても私たちはしっかりとそのことをウォッチしていかなければいけない。総務省で働く皆さんに不安だけを与えるということは、それはまずいと思っています。みずから、先の国会で公共サービス基本法という法律を作らせていただきました。皆さんもこの中には眠っていらっしゃらない方がいらっしゃるのではないかと思います。私は記者会見、それから初登庁を今日にしたのも、やはり働く環境というのはとても大事です。眠るリズムを崩されてしまうと、心身に大きな負担をかけます。働く人たち、これは官であろうと民であろうと、その皆さんの権利を保障する。労働を中心とした福祉型社会をつくるというのが私たち民主党の基本的な考え方です。その中で先ほど官房にお願いをして、この総務省で働く皆さんの福利厚生、あるいは心身のリスクヘッジ、これがどうなっているのか早急に出してほしいということをお願いをいたしました。したがって、その働き方についても公共サービス基本法で明示したように、働く人たちの権利を保障して、そして生活の安心をしっかりと確保しながら省庁の改革をやっていきたいと思います。これで本当の最後の最後ですけれども、今まで私はネクスト総務大臣として総務省に情報を隠されていてだまされたという思いはあんまりというか、したことがないです。ほかの役所には、よその役所のことを言うとあれですけれども、議事録を御覧いただければ、後で明らかになったものがいっぱいありました。そういうものについてはぜひ責任を持って、自公政権ですから都合の悪いことを隠しているものがあるのかもわかりません。しかし、勇気を持ってそれは出してほしいということをお願いをしました。半年間、それを出したからといって、もちろん法律に反するようなことであれば、それは法と正義に基づいて裁かれますが、仕方なくやっていたことについては言ってほしい。例えば大和都市管財事件というのがありました。その大和都市管財事件、国賠訴訟に国は負けました。これはどういう事件かというと、1万1,011人もの方がいわゆる行政の不作為によって被害を受けたとされる事件です。このことを告発した総務省の勇気ある方がいました。そういうものを私たちは奨励をしていきたい。行政が不作為を起こすことによって国民が泣き寝入りをすることは絶対にあってはならない。政治が、立法府が小さくて行政府だけが大きいと何が起こるかというと、国民が置いてきぼりになってしまいます。行政府だけが大きくて司法が機能していなければ国民が泣き寝入りをします。そういったことが絶対ないようにということで基本的なこの総務行政をつかさどる上での指針を皆さんにお示しをして、くれぐれも政治主導の中で隠したり、うそをついたりということがないようにお願いをしたいと考えております。
 以上であります。

質疑応答

地方分権(1)

問:
 2点伺います。1点目が今後の地方分権改革の進め方についてです。今までの政府のスケジュールでは、分権委員会の勧告を受けて、年内に改革の計画を作り、年度内に新分権一括法を出すというスケジュールになっているのですが、そういったスケジュールは新しい政権ではどうするのか、また、分権委員会の勧告はどのように取り扱うのか、この点についてお願いします。
答:
 地方分権改革推進委員会の皆さんには本当に献身的に頑張っていただきました。その中で深掘りをされた項目、勧告で出てきたものについて、特に義務付け、枠付けの撤廃、1万であるとかですね。そういったものが今後出てくる。そういうものについて私たち民主党のマニュフェストに沿ったもの、これはしっかりと受け止めて現実にしていきたいと考えています。今後のスケジュールについて、あるいは地方分権改革推進委員会そのものをどう考えるかということは、これから私、大臣直属のタスクフォース、これを作って、あるいはいろいろな顧問の皆さんにも、ブレーンの皆さんとも話をしながら、基本は尊重、基本は勧告の遵守ということですが、中には私たちの政策と相容れないものもあります。それはそうです。自公政権がお願いされた委員会でありますから、例えば消費税の問題であるとか、あるいは私たちの基礎自治体の問題であるとか、あるいは私たちがマニュフェストで掲げている一括交付金の取扱いの問題であるとか、そういったものについて私たちの思いや理念と必ずしも一致しないところがあるのも事実でございますので、そういうところを精査しながらよく政府内で議論を詰めて、そして一定の結論を出していきたいとこう考えています。

国と地方の協議の場の法制化

問:
 もう1点は国と地方の協議の場の法制化についてです。地方の方からは地方にかかわる政策について、提案権だけではなくて、拒否権とか同意権も認めて欲しいという声が上がっていますが、協議の場で大臣はどういった権限を地方に認めるべきだとお考えなのかということと、協議の場を法制化するための法案の提出時期について伺います。
答:
 いい質問だと思います。それはもう法制化の前に実際に国家戦略局、こういう中でも鳩山総理がお話をさせていただきましたが、それを法制化する前にもうやっていこうということを進めているのは御案内のとおり、その検討を進めているのは御案内のとおりであります。これはマニュフェストでお約束をしたことですから法案を出して粛々と進めていきます。その原則は何かというと当事者の参加なくして決定なし。つまり分権の受け手、地域主権の受け手、その方々の御意向を反映しない改革案というのはないということであります。同意権、拒否権についても、これは特に拒否権については大阪の橋下知事がいろいろな御提案をされていますので、私は総務省ICTをつかさどる役所でもありますので、今日も何人もの皆さんとお話をさせていただきましたが、ビビッドに会議をして、大阪と東京で離れているから会って話をする時間というのはなかなかないわけで、日ごろから改革派の知事さんのネットワーク、あるいは市長さん、町長さんのネットワーク、その私がお願いをして、あるいは申し込まれた方々と頻繁に議論を重ねて、スケジュールについても私はできるだけそれは早く実現をすべきだと、法制化とですね。拒否権までいくとこれは憲法の問題、いろいろな問題があるというふうにお話を伺っていますので、そこは慎重に詰めなければいけませんが、いずれにせよ今まで中央で全部決めて、そして負担だけを地域にお願いするというやり方は、根本から変えていきたいと考えています。

日本郵政・NTT再編(1)

問:
 すいません2点ありまして、まず郵政に関してですが、佐藤総務大臣の監督の下でですね、郵政の西川社長は業務改善命令に基づいて業務改善報告を出しました。それでガバナンスのあり方を見直すと言ってですね、経営を監視する組織を設けたり、会長を置いたりというような経営改革案を出してきましたけれども、その経営改善策、ガバナンス改善策の有効性というのは今後どうなっていくとお考えでしょうか。もう1点はICT、情報通信の関係についてですが、2006年、当時の自民党政権はNTTの組織のあり方について、2010年時点で見直し議論を行うというふうに、当時政府与党合意しておりますけれども、先ほど、大臣の冒頭の発言にもありましたが、世界の競争の環境等も考えて今後の方策を考案されていかれると思うのですが、当時の政府の与党合意のあり方、その有効性というのでしょうか、今後のNTTの再編問題はどういうふうに取り組んでいくのかということをお願いします。
答:
 ありがとうございます。いい御質問ありがとうございます。西川社長が経営改善計画出されたもの、これ私たちまだつまびらかに見ておりません。今の分社化ありきの民営化の中で、大変御苦労をされながらやられているということは、私も理解をしているところです。当初私たちも西川社長にについては随分応援をしようということを言う人もたくさんいました。ただ、御案内のとおり、解散前の国会中に私たちは、西川社長ほか数名をですね、党の有志としてですけれども、東京地検にこのかんぽの宿等の問題で、法的な措置を求めることをしています。
 その問題からしてみると、ここの整理がまず第一なのかなというふうに思っています。これは大臣になる前の国民新党の当時亀井幹事長、それから社民党の重野幹事長はじめ、私はその時、かんぽの宿等の疑惑問題追及チーム座長をさせていただいて、その座長という形で、このような私物化と思われるようなガバナンスは不適切ではないかということを考えておりますので、そのことも併せて、経営改善計画について、つまびらかにしていきたい。それで本当にガバナンスが効くのかどうか、あるいは失われた国民の信頼が回復できるのかということを軸に検討をしていきたいと思っております。
 2点目のICTですが、2010年のNTTの経営形態問題、一言で言うと私はいわゆる2周遅れの改革論議。もうアメリカでも言われなくなったような、切り刻みというのでしょうか、そういうものが日本で大手を振ってそれが改革だとされているという、そういう批判については、私はしっかりと議論を進めていかなければいけないと思います。情報通信の公共性、情報通信の様々な開拓性といったものから見ても、これは大臣就任する前、いろいろなキャリアと議論をしてきました。アジアのあるキャリアでですね、今、おっしゃったような議論がありますよと言ったらですね、本気でそんなことを言っているのですかと目を丸くされました。それうそでしょと言われました。今ごろそんな話をしている人がいるのですかということでした。
 これは、郵政を民営化すれば税金が安くなるといった、そのロジックとよく似ているのですね。国民のそれぞれの郵政事業における権利はなんなのか、あるいは情報通信の世界のすう勢はなんなのかといったことから、本当は議論をしていかなければいけない。情報通信における、国民の利便であるとか、あるいは国民生活を豊かにするためには、どうあるべきかということを考えなければいけないものが、単に古い時代のドミナント規制だけでですね、議論をされていくと、そこには大きな落とし穴があるのではないかなと思っていますが。このことについても、あのときは、なんとか委員会というのができてですね、非常に閉じられた中で、議論が進められたのではないかという有識者の意見を聞いたことがありますが、一つ一つをサーベイした上で、慎重に進めていきたいと、こう考えています。

地方分権(2)

問:
 先ほどの分権の話で補足でお願いします。地方分権改革推進委員会そのものをなくしてしまうというか、廃止するというお考えは現時点であるかどうかということと、必ずしも勧告と民主党の考えが一致しないところがあるのも事実とおっしゃいましたけれども、これはもう少し具体的に言うとどういう点でしょうか。
答:
 消費税のところですね。おっしゃるように、私はこの地方分権改革推進委員会、これは優れた成果を出していただいていると基本的にそのように考えています。私たちの分権調査会にも委員会の皆さんに来ていただいて、むしろその委員会の方々の様々な行動はエンカレッジする方向で私たちも議論を進めてまいりました。様々な権限を放したくないと、中にはゼロ回答であるというものもありますよね、各省の。そういったものについても政権は違うけれども後押しをしてきた部分というのは少なからずあるわけで、そういったことも勘案しながら検討を進めていきたいと思います。一番肝心なことは、勧告はしているけれども、ではそれは実行されているのかと、第一次勧告、第二次勧告、第三次勧告。そのことも、前の政権のことですけれども、どこまで実行されたかということをしっかり検証しながら、この改革推進委員会のあり方について検討を早期に重ねていきたいと思います。分権調査会の玄葉さん、それから逢坂さんとの間では、私たちは一定のこういう方向かなというのは持っていますが、またそれを全政府的な議論としてそれをベースに進めていきたいと思っています。

国民の協力・地方分権(3)

問:
 大臣、2点伺います。先ほど脱官僚依存、霞が関を解体して地域主権改革を実行するには、国民の協力が不可欠とおっしゃいましたけれども、この具体的なイメージとしては、世論の後押しといったようなものなのか。もう1点は地方の方からは民主党を中心とした政権になって、分権改革が進むという期待の声がある一方で、その財源の不安というものがまだ根強く残っているようです。地方財政のそういう不安に対してどういうふうにこたえていかれるかお聞かせください。
答:
 ありがとうございます。国民の協力というのは2つを私は具体的に考えています。1つは私たちがこの間、やっていくことは情報の開示とそれを国民の皆さんに正直に、それが都合の悪い真実であろうが何であろうが、正直にお伝えをしていく。この情報開示に向けての国民の皆さんの御自身の知る権利をしっかりと行使をしていただいて、そして私たちの政権を後押ししていただく。この開示についての御協力です。
 それからもう1つの、もう少しこれは大きな言葉で言うと、参加です。私が非常に危ぐを持ったのは、定額給付金の話もあるんですけど、選挙の最中に若い学生の方が、一博さん、あなたは私に何してくれるんですかとおっしゃったのですよ。愕然としました。つまり何か公から、言葉は悪いのですけれども、むさぼらなくてはいけない。何かくれるのを待ってる。みんなが社会全体がそういう形になれば社会は滅んでしまいます。先ほどサマルの話をしましたが、自ら何ができるのか、自ら何をするのか、民主主義というのはお任せではやれないわけです。高度な国民には学びと参加と行動を民主主義は要求するわけです。ですから私が国民の皆さんにお願いをしたいのは、ともに新しい社会をつくるために学びたいし、ともに参加をしていただいて、公益の実現主体は何も官であるとばかりは限らないわけですね。市民公益という言葉があります。もう日本ではたくさんのNPOが活動して、公益を担ってくださっていますが、そういう様々な参加形態、社会をつくる参加に御協力頂きたいということと、その結果、自らこの政権についても励ましと、そして今おっしゃった、やはり世論なくして改革というのはできないのです。どんなにいい改革であろうともに、自分たちが自己満足であれば、それは民主主義政治においてはできませんので、そのことを申し上げています。
 それからもう1点、地方の不安ですが、これはこれまで私たちがやってきたことを考えていただければ、例えば道路財源で赤字が出るともう地方は大変だと、暫定税率をなくせば私たちはやっていけないのだというお話がありました。私たちがあのとき地方に対して何を発信したかというと、それはある意味脅しですよと。地方財政計画を作って、そしてそれを地方にお約束したからには、それを埋めるのはその責任は中央政府にあるのですよというお話をいたしました。あのときの議論を思い起こしていただければ、結局地方の財源に対して穴はなかったわけですね。むしろこの間、三位一体改革で平成11年から17年ですか、11.6兆円くらいの地方へ向かうお金をなくしている。それはなぜなのかということをもう地方の皆さんお分かりだと思います。あの地方切り捨てによって財政力が弱いところであればあるほど厳しいことになっているというのは、私が住んでいる佐賀県も例外ではない。むしろ佐賀県のような小さな、しかし頑張っている様々な地域がありますから、そこへ向けて、先ほど単なる財源論というのは是非皆さん、今までの古い政治のパラダイムにだまされないで欲しいのです。総務省にはそういうものはもうないと信じたいのですけれども、昨日の財務大臣のばら撒きの反論は見事だと私は思いました。よくこう言うのです。国民を直接エンカレッジしようと言うと、いやそれはやめてくださいと。むしろこういうものがありますよ、公益法人です、私のところのOBがいます、あそこを通して補助金を出せば、ちゃんと私たちに任せていただければ大丈夫ですから、その財源はありますよというのが今までの自公政権です。私は9.6兆円も一年間に年金で穴を開けている人たちに財源問題を言う資格はないと思っています。キャッシュフローマネジメント自体が破綻しているのではないかということも、これは財務大臣や多くの皆さんと議論していきたいと思うのですが、財源というものは国民のものです。私、NC総務担当のときに仮称ですけれども、砂金プロジェクトというのを全民主党議員に提案をして、調査を指示しました。砂金プロジェクトというのは何かというと、予算の各項目のさらに細目の細々目を見てみると右と左が一致していない。実にどんぶりの予算を組んでいる。その中で無駄なもの、重複しているものがいっぱいあるだろうと、そういったものを抜きにして、財源はどこにあるのだ、あなたたち民主党が政権をとったら何もできないのだというのは、自分たち官僚任せの政治が組んだ予算には一円も手を触れさせませんと言ったのも同じなのです。そのところをしっかりと議論をしていきたい。あなただから丁寧に言ったわけじゃないのですけれども、大事なところなので。

道州制・出先機関

問:
 道州制についての考え方をお聞かせ願いたいのですが。あと、出先機関についてマニフェストで原則廃止ということをおっしゃっていますけれども、民主党北海道などは開発局について、廃止ということについて単純に組織減らしや人員配置などを行政改革の都合を優先する拙速な対応には賛同しないということを、今回の衆議院選挙で言っているのですけれども、この辺りはどのように考えていらっしゃるか。
答:
 道州制については、今まで自公政権でお話されていたような道州制とは違うものを考えています。それは上からかぶせて、例えば九州だったら九州州にしなさいとか、中国だったら中国州にしなさいと、これはある意味では意味がない。そうではなくて地域が選択をされる。そういう道州制、私たちは基本は基礎自治体です。給付もあるいは様々な公共サービスも中央省庁を解体した上で、パラレルで行う財源や税源、権限委譲を担う基礎自治体がやっていただく。ただ、その基礎自体の連合体あるいはもっと大きなますで、そこが道州制を選択されるとするのであれば、それを私たちはしっかりとサポートしていきましょうと。中央政府として、パートナーとして、それをエンカレッジできるような仕組みをつくっていきましょうというのが基本的な考え方です。
 それから、後段の地方の出先機関については原則廃止と言っているわけです。これはなぜそういうことを言っているかというと、やはりガバナンスなのですね。予算委員会やいろいろなところで議論をしていますと、中央省庁のパフォーマンスというのは国会が直接チェックすることができます。それから地方の自治体はそこに議会があります。つまりチェックの機能がはっきりしているわけです。ところが出先機関、これは去年ですか、居酒屋タクシーの問題があって、ある省の出先に私たち議員を派遣したのです。そのタクシーチケットの領収書があるということで、だけど、見せると言うから行ってみたら、エレベーターの電源を止められて、じっと立っていた。本当だろうかと言われるような、そういうガバナンスの効かなさというものは変えていかなければいけない。民主党北海道がおっしゃっているように、単なるそれを財政のつじつまあわせでやると、そこで働いている人たちも公共サービスもかえって不便になります、かつて省庁再編で数合わせだけをしたという批判がありましたけれど、そんなことには陥らないように、その声をしっかりと配慮して、そして原則廃止と言っているけれども、生首を切るなどはできませんし、しっかりとした労働環境を保障しなくてはいけませんので、まずは冒頭会見の中で申し上げましたが、そこで働いている人たちがしっかりと不安を持たないように手当てをして、改革をしていきたいと思っています。

NTT再編(2)・ブロードバンドゼロ地域の解消

問:
 大臣、すいません、2点あるのですけれども、1点目はNTTの経営形態問題について、先ほど切り刻む議論は間違っているというお話がありましたけれども、これはNTTのグループ各社が郵政の分社化見直しのようにより一体的な経営ができる必要があるということをお考えでお話になっているのかというのが1点と、もう1点は補正予算でブロードバンドゼロ地域の解消で2,200億円、今年執行する予定ですけれども、これは見直しの方向なのでしょうか。
答:
 ありがとうございます。先ほど、そういう2周遅れの改革論議に対して大きな警鐘があるということを申し上げております。その後の再編議論については、まだこれからだと思います。つまり、私が強く、まだこれはイメージの段階ですけれども、経営形態で民間の企業の経営形態問題に、ですからそこは慎重に言葉を選びたいと思いますが、私が今まで、この総務省に入る前に、外から見ていた印象だけ申し上げると、手足を縛って飛べと、いくらなんでも手足を縛られたら飛べません。その手足を縛っているものはなんなのか、あるいはもちろん、ドミナント規制というのはこれ大事です。独禁法のの世界でとても大事なのです。市場が歪む、大きな独占によって歪められてはならない。私も独禁法の改正案を、前、民主党案でつくらせていただきました。しかし、その市場を逆に小さくして、市場のバイタリティーを奪っているもの、それがなんなのかというのを省内でもよく議論をして一定の結論を得ていきたい。一定の考え方を示していきたいと思っています。
 ブロードバンド2,200億円に限らず、今回鳩山総理がおっしゃっておりますが、すべてのものを、何が違う、かには違う、聖域を設けずに、私たち事業仕分けということもさせていただきました。しっかりとチェックをしていきたい。点検をした上で結論を出していきたいと、こう考えています。

日本版FCC・周波数のオークション

問:
 通信・放送行政で2点お願いします。民主党は政策集の中で日本版FCCの創設について言及しておられます。一方で、総務省が先日審議会でまとめた次期通常国会に出す、通信と放送の融合法制の中ではいわゆる組織論の話は入っておりません。その来年の通常国会に出す法律の中にこのFCCの問題を入れ込むというようなお考え、今現時点でおありになるかどうかということが1点と、同様に政策集の中でいわゆる周波数のオークションについても可能性についても言及しておられますが、現時点で大臣が周波数のオークションについてどういったスタンスかということをお願いします。
答:
 ありがとうございます。日本版FCCについては、国民の皆さんにお約束をしたことです。世界の放送行政を見てみると、規制官庁がむき出しに、という言葉は少し強いかも分かりませんけども、直接、各放送局、特に言論の自由、表現の自由、そういったものを強く保障されるべきところに目を光らせている。いや、目を光らせているどころか、言葉を慎重にここからは選ばなければいけませんが、手を突っ込んでいるように思われては絶対にならないと思っています。ですから、いわゆる政治主導ということになったこの新しい政権での中で、一番大事なものは、やはり言論の自由であり、表現の自由であり、放送の自由だということを考えてみると、その政権のガバナンスの中とは、また外に一つの規制機関が必要ではないかというふうに考えているわけです。で、それにも関連するのですけれども、ただ、そこでも放送局にも、一定のやはり努力を私はしていただきたいと思います。その放送の中身や表現の中身に立ち入る気は全くありませんが、やはり人を傷付ける、人権を侵害するようなそういうものがあってみたり、虚偽というのはもってのほかですけれども、これはある放送局のでありましたが、ある、もう全部あるある、あるあるのあれではないですよ、ある例ですけれども、その放送によってもう企業が潰れたりしますので、そこのところはやはり、中での改革も必要だなというふうに思っています。
 周波数のオークションについてはですね、これ地デジの完全デジタル化を前に、今現在の言論機関というか、放送機関、放送局、放送会社の体力を見てみると、そう簡単にオークションというものをですね、前のめりにやる環境にあるのかなということを私自身は思っています。もちろんその可能性というものをマニフェストというか、インデックスの中に、言及をしていますが、オークションを入れたことによって、かえって様々な弊害が生まれてみたり、あるいは言論が一つになってみたり。3年前に検証戦争責任という、これは読売新聞さん、特定の社名を言って申し訳ないけれども、そのトップの方が決断されたプロジェクトがありました。私そこに参加させていただいて、60年前の戦争がなぜ起こったのかと。3年8か月なぜやめられなかったというときにですね、国会の議事録を見ていて、二つのことが分かりました。一つが、だれとだれが責任を持って、議論しているのかというのが分からない。つまりガバナンスが、統治の危機が生まれているということと、もう一つはですね、言論なのですよ。だから私は、みなさん御一人御一人をとても大切に考えています。だれかが、国民の口をふさげば、声をふさげば、そこには大きな落とし穴があると思っています。特にこういう格差が広がっていく時代、ナチスドイツや当時の日本の軍部についても、そのとき、研究させていただきましたが、彼らは何をエネルギーに大きくなったかというと、格差なのですね。だから、今回の選挙でも私たちは大きな勝利を得させていただきましたが、国会なんかいらない、民主主義なんかいらないという声が広がって、そして制度そのものを壊されてしまえば、もう後戻りできません。だから、よほど言論の自由、放送の自由、表現の自由ということは、最大の私たちが守るべき価値だというふうに考えています。その意味からもちょっとオークションについてはですね、省内で慎重に検討をしてみたいと、こう思っています。

地方分権(4)

問:
 先ほど出ました財源論の話なのですけれども、民主党は暫定税率を来年度廃止するとおっしゃっています。その場合の地方分の減収が約8,000億円と見積もられているのですが、その穴埋めについてなのですけれども、直轄負担金、1兆円あるのですけれどもその廃止で賄うという考えでよろしいのでしょうか。
答:
 そうですね。民主党のマニフェストの中でお約束していることです。
問:
 その場合、直轄負担金なのですけれども、来年度から建設費も含めて全廃するというお考えでよろしいでしょうか。
答:
 直轄事業負担金をなくすと。これは財務大臣、国土交通大臣とも議論しながら、マニフェストでお約束したことを着実に進めていきたい。
問:
 来年度からと言うことですね。
答:
 そうですね。来年度、どこからスタートかというのは、それはマニフェストにきちんと書いていることでございますので、相談をしながら着実に進めていきたいと。あなたがおっしゃるように直轄事業負担金の中には例えば2割が天下りの退職金に使われていたり、あるいは庁舎の建て替えに使われていたりといったことが明らかになっていますが、まだこの中身については、もっと深掘りしなくてはいけないと思っています。政権の外にいながら、これは随分こじ開けようとしたのですが、まだこじ開け切れたと思っていないのです。橋下知事のあの有名な言葉を借りれば、ああいう言葉を私は言いませんが、あれに近いことがもっとあるのではないかと考えています。

日本郵政(2)・事務次官会見の廃止

問:
 2点あります。日本郵政の西川社長に改めて辞任を求める考えがおありでしょうか。それからもう1つは事務次官会見の取りやめに関して、各省庁が明確な指示をまだ受けていないなど、混乱の声が上がっていますが、これについてどのようにお考えですか。
答:
 西川社長については、総理が明確に党首討論でも、まだそのときは総理ではないのですけれども、代表でしたけれども、お話をされているとおり、身を引いていただきたいというふうに考えています。辞任をしていただきたいと考えています。チーム西川、こういう言葉があるのかどうか、国会でも議論になりましたけれども、その方々がお帰りになるということも、聞いていますが。西川社長がどうしてこういう状況をお作りになったのか。それは西川社長だけの責任にするには、私はお気の毒なところはあると思います。しかし、社長としての責任、国民の皆さんが、やはり、「ラフレさいたま」を見たときもですね、なぜ地元にもなんの相談も無く売却なのか、あるいは売却委員会の中にその選考委員がお入りになっていたり、そういうものについて、しっかりと私たちも開示をしてきたわけですけれども、そのことからしても、もうお辞めいただきたい。
 それから、事務次官等会議の廃止について、そこは官邸の方で、しっかりとグリップして、明確に指示をすべきだというふうに思いますが。混乱がどうのこうのとか、私はまだ聞いておりませんので、どうなっているのか、必要であれば聞いてみたいと思います。

合併特例法・総務大臣の運営方針

問:
 大臣すいません、2点お願いします。1点目ですけれども、民主党は基礎的自治体を非常に重視されていますけれども、来年の3月に合併特例法が期限を迎え、地方制度調査会も平成の大合併推進を打切るようにという答申をまとめておりますけれども、この合併特例法の取扱いについて、また延長という形も考えられるのか、新法とかを作られるのか、その辺の扱いはどのように考えていらっしゃるのかということが1点。2点目は民主党の政官関係の見直しを進めていらっしゃいますけれども、官邸の会見の後で総務大臣としての運営方針が示されたので、人事とか政策の進め方についてもこれから詰めていきたいという話をされたと思うのですが、人事ということになりますと総務省の上の事務次官なりの人事について、今後人事の見直しということも考えられているうえでの人事を詰めていきたいという発言だったのか、その辺についてお願いいたします。
答:
 そうですね、後段からいうと政策の半分は人事ですね。どこにどういう人を配置するか。ですから、秘書官についても私が直接リストを出していただいて、その中から選ばせていただきましたし、大臣官房の中の秘書官は事務の秘書官が3人、政務の秘書官が1人ということで、これは組織例を変えてですね、政務の、外からの人材を後2人入れさせてもらえたらなということをですね、昨日も提案を政府の中でこういう考え方がありますねと。実際に防衛省は今6人体制でやっているのですね。そういった人事ついては、正に私が適材適所で一番志があり、そして未来を創造できる、そういうかたがたにお願いをしていきたいと。まずは副大臣、政務官ですよ。まず、官をいじる前に副大臣、政務官、これは少しサービスしすぎですが、取り合いになっていましてね。3百何人もいるのですけれども、この改革の一番大事なところに民主党の一番優秀な人材を集められるように頑張りたいと思っています。よそに負けんぞというふうに思っています。
 それから合併特例法。これは総括が必要ですよね。特例債も含めて。その上で結論を出していきたいと考えています。いい質問ありがとうございました。
問:
 もう1回見直して、それから考え直すということですね。
答:
 総括ですね。今政権に入ったばかりですから。その功罪というものがあると思います。上からかぶせて何をやるというやり方が本当にまだ有効なのか。基礎自治体というものは最適規模というものがあるのでしょうけれども、矢祭町のようなああいうキラリと光る、そういう町も大事にしたいと私は考えています。それからすると、それも含めて地域の改革の先頭に立っているかたがたと議論を進めていきたいと思っています。そのために今日も朝からいろいろな首長さんたちと話をしていたのです。国の形を変えるというのは、やはり総務省だけではやれません。

通信と放送の融合法制

問:
 大臣2点お伺いしたいのですが、一つは情報通信関係で通信と放送の総合的な法体系で、審議会答申が出て、前政権は来年の通常国会に提出したいとしていました。一方で、憲法学者などからは地上波の放送局の表現の自由が損なわれることになりかねないという批判が出ていますが、この法案については大臣はこのまま進めるおつもりでしょうか。
答:
 先ほど申し上げたように、通信と放送、まさに国民の基礎、表現の自由、放送の自由、そういった権利にかかわるところですから、やはり、放送と通信というのはベクトルが違いますよね。通信は一番大事にしなければいけないのは、通信の秘密。放送は公正性、公平性、この二つのものを融合したときにですね、どのような権利が更に強く保障されなければいけないかという議論は、私は通信と放送のあの中では、割りと今おっしゃったような観点からの議論というのは、必ずしも十分ではないのではないかと思っていまして、そこのところをしっかりと、大事な権利のところはないがしろにしないという姿勢で進めていきたいと思っています。大変いい御提案だと思います。

靖国参拝

問:
 もう1点。靖国のことでお伺いしたのですけれども、大臣は、みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会のメンバーでいらっしゃるということですが、鳩山総理が閣僚を含めて参拝はしないでほしいというような声掛けをされたようですが、これからどう。
答:
 総理の御指示に従いますし、靖国の問題については、公式参拝といったことについての様々な歴史、あるいはこれまでの議論を踏まえて、鳩山内閣としての姿勢は明確に出していますので、その姿勢に沿って行動をしてまいります。

NTT再編(3)

問:
 確認ですが、先ほどのNTTの経営形態見直しの議論、自公政権時代の政府与党合意及び閣議決定の枠組みにのっとった議論はやらないという理解でよろしいのか、2010年からというふうな合意だったと思うのですが、もし、別な枠組みでやるという御発言もありましたが、その場合、どういう枠組みでいつごろから始めて、いつごろ結論を出したいというお考えがあるのでしょうか。
答:
 ありがとうございます。おっしゃっるように、自公政権の2周遅れの規制改革論議の枠組みでやる気は全くないです。新しい枠組みって何かとさっきから申し上げていますが、やはり、世界とのルールとの競争だと思うんですね。これ分かりやすく言うと、1980年代、世界の中の金融で言った方が一番分かりやすいと思いますが、日本の大きな銀行は世界に、その道を求めていました。そこでルールが変わるわけです。BIS規制です。つまり、自己資本が8%以上ないと外に出てきてはいかんというルールが変わったわけです。私たちは、そのルールにある意味従がわざるをえなくなった。そのことで何が起きたかというと、世界で展開をしていた日本の資本は、そこでの働く場を無くした。それが還流してきてバブルを起こしたという説があります。そのために、日本は15年以上ですね、塗炭の苦しみを味わうわけです。で、私もいろいろな通信、例えば、よそのメガキャリアとか、あるいは様々、ノキア、具体的に言って悪いですけども、ノキアにも行きました。やはり、日本の技術はすごく優秀で、必ずそのトップを走るのですけれども、世界標準と言ったときには、今総務省の皆さんが本当に頑張っていただいて、様々な世界との競争ルールで、しっかりとした日本のルールが広がるように頑張っていただいてますが、政治にその意識がないとですね、それを後押しできません。結果、シェアを奪われて、技術は先にいき、そして、大変優秀なのだけれども、日本はちょっとねということは、絶対あってはならないと思っています。たしかこれ、国民新党の長谷川先生に教えていただいたのですけれど、ノキアのその中身は、6割くらいが日本製らしいのですね、部品の。だから、安心していいよという言葉がある半面、そんなに優秀だったら、みんなが努力しているのだったら政府としてはその世界ルールに勝てるような、そしてその中で世界の様々な情報通信における、世界の国々の人たちの利便を日本がリードできるようなそういうもっと大きなダイナミックな枠組みで議論をしたらどうだろうということを私は現時点で考えています。

政と官の関係

問:
 政と官の関係を抜本的に変えるということなのですけれども、本日から総務省内では昨日とどんな違いがあるというふうに具体的に教えていただけますか。
答:
 そうですね。私が国会議員に当選させていただいたときに一番驚いたことを象徴的にあなたに申し上げたいと思います。それは、官の方々が結論を持って来られるのです。結論というのは政治が出すものです。判断は私がやります。つまり、行政の政治化。それは行政が悪かったというよりは、行政に決断まで頼っていた古い政治そのものがおかしいわけです。ですから、私は昨日も秘書官の皆さんに、まず材料を持ってきてください。政策判断の材料。それから、先ほども申し上げました、半年間は様々な不都合なことについて、全部開示をしてください。その間、私はその開示をしてくれた人たちを責め落としたり、どこかに飛ばしたりということは絶対にしません。ただ、その半年を超えれば隠していたことになりますよと。この半年の間、自公政権の間のうみを私は出したいということを昨日指示し、秘書官を通じてそれは役所全体に伝わったと思います。それがまず第1ですね。
 2つ目はやはり働き方についても変えていただこうと思っています。今日の記者会見も、私は働く人たちの権利を守りたいということで、夜中に初登庁して御迷惑を掛ける、夜遅くに仕事をするということは避けたいと思いまして、今朝にしたわけです。この記者会見も昨日指示をいたしまして、記者クラブ主催ですけれども、これは皆さんにもお願いですが、できるだけ幅広い人たちに、もちろんセキュリティの問題や皆さんの御承認の問題がありますから、私が勝手に言える話ではないのですけれども、これはお願いなのですが、多くの人たちに、参加をしたいという方は入れてくださいと。一つのクロスメディア原則というのは、少し気を悪くされるといけないけれども、新聞社が放送局を持つ、これもよその国は大変大きな制限があるわけです。つまり、言論の自由を守るためにも言論界でもギルドというのは意識的になくしてくださいねというお願いをしているところでありますので、昨日と今日で大きく変わったのではないかと思いますし、明日、省の職員に向けた大臣のメッセージを出す予定ですが、それもできるだけ短時間で、できたら皆さん座って、聞いていただけたらと思っています。そういう生活のルーティンのところから1個1個変えていって、やはり自分たちが大事にされていると思わないと、人は動かないです。北風ではなくて、太陽のように省庁を、小さな太陽ですが照らせるように頑張っていきたいと思います。

NTT再編(4)

問:
 NTTの再編論議なのですけれど、確認ですが、そうすると再統合も選択肢という考えで、議論をすると。
答:
 再統合とは、おっしゃっているのは何と何の再統合ですか。
問:
 今分社化した、持株のほかに、会社がぶら下がっている状態ですけれども、これを再統合するということも選択肢というふうに考えていらっしゃるのですか。
答:
 持株と、そのNTT東西とかを、再統合というのですか。いや、それはまずは、基本理念を固めることが先で、経営形態をどうするかということはその先にある話だと思っていますので、だから、あれとあれを排除しているというわけではないですけども、あなたがどれとどれをイメージされているのか少し教えてくださると。
問:
 NTTの東西を一緒にするのか、全部をまとめるのかというのは、それは分かりませんけれども、更に今分かれている状態をより会社数を減らすような形で統合していくということも選択肢だと、大枠で思っていらっしゃいますでしょか。
答:
 ああ、非常に大枠の質問なので、大枠で答えますけれども、そこはおっしゃるようにいろいろな選択肢を排除しないと思います。だからそうするというのではないですよ。NTTの経営形態がどうあるべきかということで、例えばですね、直接のお答にならなくて恐縮ですけれども、ある国の経営形態は持株を広くして、そして、孫悟空のお釈迦様の手のひらの上で、様々なプレーヤーがですね、国民の権利を保障しながら、その範囲の中で競争するというふうになっているのです。そういうのも一つの形態かなと。特定の国の名前とか、キャリアの名前は言えば分かりやすいのですけれども、ちょっと大臣になっているので、後でそこはこういうことですよというのを言いたいと思います。
問:
 議論は、来年くらいには開始するのですか。
答:
 いやもう、今やっていかなければいけない話ですね。

問:
 ほかございますでしょうか。
答:
 はい。ありがとうございました。
問:
 どうもありがとうございました。

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