総務省トップ > 広報・報道 > 大臣会見・発言等 > 片山総務大臣初登庁後記者会見の概要(平成23年1月17日)

会見発言記事

片山総務大臣初登庁後記者会見の概要

平成23年1月17日

冒頭発言

 おはようございます。先週の金曜日に、菅第二次改造内閣がスタートしまして、私も引き続き、この総務大臣、それから、内閣府の特命担当、地域主権推進と、それから、地域活性化推進ということですけれども、これを従来どおりやってくれということでございましたので、快くお受けをいたしまして、改造になったこの新しい内閣の下で、また全力を尽くしたいと思っております。菅首相からも、幾つか、改めて、再任に当たっての指示がありましたので、これに全力を尽くします。それから、これまで4か月やってきたことを、更に前進させるということをやりますけれども、また新しい内閣の下で新しい課題も出てきますので、それについても総務省の仕事として、加味しながらやっていきたいと思っています。引き続きのことでありますけれども、せっかくの機会でありますから、また清新な気持ちに戻って頑張りたいと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。

質疑応答

今後の課題

問:
 共同通信の藤田です。おはようございます。快諾をされて、再任ですね。快諾をされて、また内閣の新しい課題もあるということですが、新しい課題というのはどのようなことがあるのでしょうか。
答:
 例えばですね、先日のこの会見でも御質問があって、答えたと思いますけれども、社会的包摂という課題が、この改造内閣では、今後、取り上げられることになると思います。これは、ちょっと言葉はこなれていませんけれども、要するに、格差社会が非常に拡大をして、それで、弱い立場の方とか、そういう方々に対して、より一層きめ細かい施策が必要だと。これをソーシャルインクルージョンと政治学の用語では言いますけれども、日本語で社会的包摂と訳して、そういう方々に対してきちっと社会のいろいろな機能が作動して、格差社会の是正とか、それから、自立に向けての支援とか、そんなことをしていこうということでありまして、いろいろな政策課題が出てくると思うのですけれども、特に総務省の場合には、地方行政、地方行財政というものを所管しておりますので、そういう意味では、自治体が果たす役割は大きいと思いますので、今でも既に果たしておりますけれども、そういう自治体の関連する施策部門というものがうまく機能しているかどうか、より一層機能を発揮させるには何をしなければいけないのかというようなことが、総務省での課題になるだろうと思いますので、私も非常に関心の深い分野ですから、内閣のこの政策方針に沿って力を発揮していきたいと思っています。

社会保障の財源と税制改革

問:
 北海道新聞の中村です。先日、菅総理は、6月までに社会保障とその財源についての方向性を示したいというような意向を示されました。これについて、去年、知事会はですね、財源確保のためには消費税と地方消費税の引上げを含む税制抜本改革は避けて通れないというような表明をしております。大臣御自身は、消費税も含めて、社会保障の財源確保についてはどのような道筋が考えられると、今のところ思っておられますでしょうか。また、景気がなかなか上向かない中、消費税を引き上げることには、国民の理解を得るのはなかなか厳しいのではないかというような見方も一方ありますけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。
答:
 これはですね、歳出と歳入の一体改革ということが一番の大枠だろうと思うのですね。前もお話ししたと思いますけれども、既存の、今までの歳出構造と歳入構造をそのまま延長するのであれば、もう、財政運営、予算編成というのは行き詰まってしまうという認識を私は持っております。ですから、歳出と歳入のそれぞれの構造を見直さなければいけないと思います。分けても、歳出の中でも一番重要で、かつ、大きな比重を占めているのは社会保障でありますから、社会保障の諸制度について、小手先の改革ではなくてですね、抜本的な構造的な改革がどこまでできるのか。それによって、例えば歳出を抑制するということが可能かもしれませんよね。それができるのかどうかということが一つの課題ですよね。もう一つは、今までの歳入の構造、所得税、法人税、それから、5%の税率で運用されている消費税というもの。これだけで改革をした後の歳出を賄えるかどうかという、そういう点検ですよね。これを同時にやっていこうということ。これは、もう避けて通れないと思います。その中で、これから歳入をどうすべきかというのは、消費税だけに限らず、見直されるべきだろうと思います。もちろん景気がこんな状況でありますし、それから、税を変えるということについては、これは、歴史的に見ても、総じて国民の皆さんのアレルギーが強いですから、税を変えるということについて、やはり、国民の皆さんの理解を得るための、丁寧な説明とか努力が必要になるだろうと思います。これは当然のことだと思います。
問:
 すみません、確認なのですけれども、大臣御自身は、それでは社会保障の歳出は減らせる余地は現在のところあるというふうにお考えなのでしょうか。
答:
 それは、やり方によると思うのですね。従来から医療費なんかでも、できるだけ無駄な医療費は抑制しようと、必要な医療費は必要ですけれどもね。もし医療費の体系の中に無駄があれば削減するということは、これは当然だろうと思いますよね。それから、いろいろな制度が自動的に、こうどんどん増えていくという仕組みがビルトインされていますけれどもね。それらをどうするのか。やはり、必要だから現在の大枠というのを守るのだということであれば、当然、もうこれからどんどん増えていきますから、そうすると、歳入は自ずから足らなくなる。では、歳入をどうしますかということに、論理的にはなっていくと思いますね。そういう見直しとか、点検とかですね。見直しというのは、全部変えるべきだということを言っているわけではなくて、オーバーホールして、点検してみて、残すべきものは残すし、変えるべきものは変えるという、そういう意味です。

国家公務員の人件費2割削減

問:
 共同通信の佐野です。引き続き大臣は人件費2割削減の御担当をされると思うのですけれども、昨年、国会などで、人件費削減の工程表を提出するということをおっしゃられていましたが、その目途といいますかタイミングをお聞かせいただきたいのと、それから、給与法を出し直すということで、その前提として、職員団体などの理解を得るということをおっしゃっていましたが、今年になってから団体の幹部などとも会われたりされたというふうにお伺いしているのですけれども、その手応えと言いますか、現状の考え方を教えていただければと思います。
答:
 総人件費2割削減担当ということに、引き続きなっております。これは、総務大臣だけではなくてですね、ほかにも関係閣僚がおられまして、一緒になってやっていこうということでありますが、総責任者ということでは、総務大臣がその任に当たるという指示を受けております。それで、今後どうしていくのかということでありますけれども、近々始まります通常国会に給与法の改正案を出すということ。これは既にもう昨年の11月1日の閣議決定で決めておりますので、それに向かって、今、作業をしているところであります。いつこれが提案できるかというのは、今のところまだ確たる見込みはついておりませんけれども、通常国会というものが、終わりが大体決まっておりますから、それよりさかのぼっていつごろまでに出さなければいけないということは、自ずから決まってくるわけですね。それを見ながらということが一つありますし、それから、もう一つは、閣議決定のときに同じく決めておりますけれども、国家公務員の労働基本権の回復、そこを諮るということを決めておりますので、これについての、ある程度の成案が得られるということも必要だと思いますので、そういう、そちらの方のスケジュールもにらみながら、給与法の改正案を出すということになります。で、その給与法の改正案を出すときに、その際に、確たるものでは必ずしも無いとは思いますけれども、ある程度漠たるものになると、ならざるを得ないと思いますけれども、全体のイメージ図と、それから、それに向けての、それを達成するための工程表を出すという心積もりでいます。ですから、今、何月とかっていうことは、ちょっと申し上げられないのですけれども、今、申し上げたようなことを念頭に置きながら、これから作業を進めるということになります。
 それから、年が明けて国家公務員の労働組合の関係の方々とお会いをしました。それは、もう、これからいよいよ人件費の削減に向けて、特に給与のいわゆる深掘りということに向けて、具体的な作業を開始しなければいけませんので、そのことの意思の伝達ですね。もちろん年が明けましたから、新年の挨拶もありましたけれども、私の方の担当大臣として、こういう腹積もりでいるからということを申し上げました。それに対して、もちろん快諾されるということでは当然ありませんけれども、それでも、事の重要性と、政府の、これを真剣に考えている、深刻に考えているということの受け止めはしていただいたと思います。ですから、そのことの申し出があるということは、よく受け止めておきますと。で、先方からは、是非丁寧に、意見交換とか、そういうことをやっていただきたいというお話がありました。

阪神淡路大震災の教訓

問:
 今日で阪神淡路大震災から16年ということで、2点お伺いしたいのですけれども、神戸新聞の磯辺と言います。16年前は政府の対応の遅れがですね、被害を拡大させた面があったと思うのですけれども、あの大震災を教訓に、更に取り組むべき課題としてどのようなことがあるとお考えかということと、それともう1点、大臣は鳥取県知事時代に、西部地震で住宅再建に300万円の現金支給を決められたわけですけれども、それが生活再建支援法の制定につながったわけですが、復興法制度に関して、更に残っている課題があるとすれば、どのようなことがあるとお考えでしょうか。
答:
 ちょうど今日がですね、阪神淡路大震災が発生をしました1月17日で、今から16年前のことで、そのときに、私は当時鳥取にいまして寝ていたのですけれども、非常に大きな揺れを鳥取でも感じて、県庁の建物も少し、こうひびが入ったようなことがあったりしましてですね、今でもその、もちろん被災はしていませんけれども、大変大きな衝撃を受けたことを今でも思い出します。それで、そのときの政府の対応がどうだったかというのはですね、これはいろいろな見方があると思いますけれども、私が、そのときと、それから、それ以後ですね、教訓にしなければいけないなと思ったことは、防災体制というものを常日頃からしっかり取っておかなければいけないなということでありました。正直言いまして、そのころですね、どこの自治体も、多かれ少なかれ一緒だったと思うのですけれども、あまり危機管理体制というのができていなかったという印象があります。例えば、組織にしても、普通の県ですと、消防防災課というのがあって、そこに防災係というのがいて、結局、いつもそのことばかり考えているというのは、係長さんのクラスだったのですね。私、鳥取県の知事になりましたときに、改めて鳥取県の組織の点検をしましたら、やはり同じことで、生活環境部に消防防災課というのがあって、いざというときのことをいつも考えているべき職員というのは、係長さんがトップだったのですね。それではいけないので、さりとて、知事がいつも防災のことばかり考えているというわけにもいきませんので、そこで、その片腕として防災官という、かなり高位の職位にあるポストを作ったのです。で、その人に、とにかく常に、もう、何かあったら何をしなければいけないのかということを、知事の立場に立って考えて、把握をしておいてもらって、常日頃助言もしてもらうし、いざというときには、きちっとその体制ができるようにしようということをやったのですけれども、それは、もう阪神淡路大震災のときの様子を見てですね、それをもって他山の石としたということでありまして、私は、当時、それを作ってから1年ちょっとだったと思いますけれども、ぐらっと大きな地震が鳥取で来たときに、本当に阪神淡路の教訓を得ていたことに感謝したものであります。あとですね、ちょうど16年目になりますけれども、この教訓をやはり風化させないことだと思いますね。風化させないというのはですね、犠牲者の方々を悼むという、今日も式典とか行事をされていますけれども、そういうことももちろん大切でありますし、それから、そのときに、いざというときに何をしなければいけないのかということの経験ですね。これをやはり風化させないことが必要だろうと思います。どこの県もですね、従来から、例えば関東大震災の日を期して防災訓練をやるのですけれども、総じて形骸化することが多いです。私も鳥取県の知事になったときに、防災訓練というものを一度自然体でやったのですけれども、すごく形骸化していました。実践では全然役に立たないだろうなということが、もう、一回やってみて分かりましたので、がらっと変えまして、臨機応変な対応ができるような、そういう仕組みにしたのですけれども、教訓を、それは自分が直接被害を受けて得た教訓であろうと、それから、よその地域で大きな被害が生じて、それから得た教訓であろうと、同じなのですけれども、風化させないで、形骸化させないで、いつもビビッドな形で持ち続けているということが必要だろうと思います。
 それから、鳥取県で住宅再建支援というものをやったのですけれども、これはですね、それをやったから、被災者生活再建支援法ができたのではなくて、もう既にあったのです。あったのですけれども、金額は100万円を上限にして、かつ、住宅には絶対使ってはいけないという、そういう、何か非常に、妙な、いびつな制度だったのですね。そうではなくて、一番大切なのはその被災者、一番大切なのは被災者の皆さんですから、地域の復興と言いますけれども、何のために復興するかというと、被災者の皆さんの生活ができるだけ元通りになるために復興するわけです。そのために公共施設などを復興するのですけれども、一番大切なのは、被災者の皆さんの目線に立つことなのですね。何を一番求めておられるかということです。当時、私が連日通って、被災地に行って知り得たことは、被災者の皆さんは当時高齢者で、もうどこにも行けないような方が多かったのです。それから、自力で住宅を再建する資力も気力も無いような方がほとんどでしたから、やはり住宅を再建する、その支援をすることが一番、当時の真のニーズにかなっているのではないかなと思ってやったのです。結果としては非常によかったと思っていますけれども、要するに、復興のミッションと言いますか、一番の眼目は何かというと、被災者の皆さんのために、被災者の皆さんがこれからも安心して生活できるような環境を整えるということが一番の眼目ですから、そのために何をするのかということを、常に、個別の災害のときにですね、柔軟に考えること、考えられる仕組みにしておくことが必要だろうと思います。私はそのときに、変だなと思いましたのは、道路や河川、橋を直すのは、もう幾らでもとは言いませんけれども、本当にふんだんにお金が出てくるのです。ですけれど、一番肝心な、被災者の皆さんが一番肝心だと思っている住宅の再建は一切支援してはならない、まかりならんというのは変だなと思いましてね。やはり、変だなと思ったことは変えていくということが必要だろうと思います。

内閣支持率

問:
 大臣、失礼します。フジテレビの柴木と申します。大臣が再任となった改造内閣なのですが、世論調査の支持率があまり上がっていません。FNNなどの世論調査では、微増の28%。改造人事、評価するとした人は大体3割ぐらいにとどまりました。この結果について、内閣の一員としてどのように感じられますでしょうか。
答:
 結論から言うとですね、新しい布陣で精一杯国民の皆さんのためにいい仕事をすると。その結果を評価していただいた段階で、支持率が上がっていることを念じています。これがもう、今、成すべきことだと思います。あと、細かいことを言いますとね、改造といっても小幅な改造ですから、それで何かすべて一新されるというものでもありませんのでね。いや、別に私は小幅がいけないと言っているのではないですよ。そんなに大きく変えない方がいいと個人的には思っていましたから、小幅でいいと思うのですけれども、小幅であるということは、それは、国民の皆さんから見たら、改造があまり大きなチェンジになっていないという、そういう評価につながるでしょうから、それは致し方ないことだと思います。いずれにしても、みんなで、昨日も首相公邸で勉強会と言いますか、新しい閣僚も含めた全閣僚と、それから、与党の代表の皆さんとの間で意見交換とか勉強会をやった。そのときも申し合わせたのですけれども、とにかく一丸となって頑張ろうと。国民の皆さんにちゃんと評価されるように努力しましょうということ、それに尽きると思います。

阿久根市長選挙

問:
 毎日新聞の笈田です。昨日、鹿児島県阿久根市で出直し市長選が行われましたけれども、新人の候補が勝たれたということで、その結果について大臣はどのように御覧になっていますでしょうか。
答:
 これは市民の皆さんが決められたことですから、それを了とするのは当然ですよね。今まで気になっていましたのはね、長と議会、首長と議会とが非常に大きく対立をすると。とうとう議会を閉鎖するというところまで、大きな対立になったのですけれどもね。いずれも市民の皆さんが選んでおられるわけで、その市民の皆さんが選んだ片方の代表と片方の代表とが真っ二つに分かれてですね、相対立するというのは、いささかやはり尋常ではないですよね。当然、個別の案件をめぐってはあり得るのですね。個別の政策をめぐっては、市長の意見と議会の総意とがこれ違うということはあり得るのですけれども、もう根本からお互いを否定し合うような、そういう間柄というのは、同じ市民、有権者が作った結果としては、必ずしも正常ではないですよね。だから、前の竹原さんがやられているようなこと、例えば、公務員給与の問題だとか、そういうことが、本当に市民の皆さんが是とするのであれば、議会の方もやはりそれにふさわしいような人が選ばれるのが、本来の姿ではないかと私なんかは思うのですね。逆に、議会の言っていることを市民の皆さんが是とするのであれば、首長を選んでいるということとの間には矛盾がありますのでね。そういうものを、そういう対立を調整するのが出直し選挙ですから、その結果が出たのかなという感想を持っておりますけれども。あまり詳しいことを逐一知りませんので、その程度の感想であります。

二元代表制

問:
 朝日新聞の稲垣です。今、出ました二元代表制の関係なのですけれども、  日にち的に、今日、名古屋市議会の解散の是非を問う住民投票が告示されますが、その関係でもあるのですけれども、阿久根市とはちょっと違うと思うのですけれども、名古屋の河村市長もそうですし、大阪の橋下知事なんかもそうだと思うのですけれども、自分が実現したい政策を議会がノーと言ったので、御自身が自ら代表を務める地域政党を作って、選挙に打って出るという動きもされています。こういう動きについて、健全に拮抗し合うべき二元代表制の在り方をみてどうかという意見もあれば、ルールにのっとっているのだからいいではないかという意見もあるようなのですけれども、その辺、大臣はいかがお考えでしょうか。
答:
 二元代表制というのは、さっき言いましたように、個別の政策をめぐっては、対立は当然あり得るのですね。それはむしろ二元代表制の、この仕組みというものが、多分期待していることだと思うのです。あらゆることがですね、さっさと全部決まってしまうと。賛成、賛成で決まってしまうというのでは、二元代表制の意味はありませんから。二元代表制というのは、二元の間に対立構造があって、そこの間でチェックとか、批判とか、異論、反論が戦わされる。それを、有権者、市民の皆さんが見て、どちらが正しいかとか、その中間がいいとかですね、いろいろな見解を持つことが可能になるということですから、むしろ好ましいことだと思うのですね。これをしかし、対立のまま終わらせてはいけないので、どこで合意するかということですけれども、それは今の仕組みは、議場で、オープンなところでちゃんと議論して、きちっと口論渦巻く議論をして、その上で、その議論を経て説得ですね。それから、合意ということを、不承不承でも合意という、こういうプロセスをやはり本来期待しているわけですね。だから是非、本来ならばそういうプロセスを見せていただきたい。徹底的に議場で議論をして、それをマスコミを通じて市民の皆さんがちゃんと見て、その上で市民の皆さんの世論というものがどうなるのかという、その辺を見せるのが、やはりプロの仕事ではないかと思うのですね。名古屋を見ていますと、そういう真剣な、本当の、かみ合う議論がですね、必ずしも見えていないのではないかという、そんな印象を受けましたね。
問:
 大阪はいかがですか。大阪の印象をまだ。
答:
 それでですね、次の、御質問いただいた件ですけれども、そういう対立を改善というか、首長の立場に立って変えていきたいというときに、もう議会の中に自分の作った政党、自分が政党を作って、その構成員で多数派を形成して、さっさと決められるようにしたいというのは、気持ちは分からないでもないですけれどもね。私はあらかじめ与党というようなものの存在、その与党というのは、大体もうすべて首長の出したものには賛成するというような意味での与党を形成するのは、私は二元代表制の期待していることではないと思います。議院内閣制ですとね、これはもう与党も政府の一体ですから、成功しても一体、失敗すれば死なばもろともで、どちらも倒れてしまうわけですから、だから、与党というのは当然あり得るわけですよね。だけど、二元代表制というのは、議院内閣制と違って、議会が執行部を作っているわけではありませんので、やはり対立構造というのはあるのが正常なのです。全否定するようなさっきの事例のようなことは、これ不健全だと思いますけれども、常に政策を、個別の政策をめぐって対立点があるというのは、これの方が健全なのですね。それを無くしてしまおうという仕組みは、私は本来二元代表制が、制度が想定することとは違うと思います。今もですね、実は、首長新党を作ってということではなくて、別の形で、議会で多数派を獲得している首長さんが多いのですよね。それは根回しとかを通じて与党会派的なものを形成してもらって、そこに事前に説明して、議会が始まる前にもう全部内諾を得ていて、あと議会はスケジュールをこなすみたいなことになっていますよね。これも不健全なのです。首長新党を作って、もしこれが功を奏してうまく多数派を形成して、首長さんの言うことは、何でも全部、与党会派だからというので通してしまえば同じことになるのですね、結果的には。私は、自分も知事をやっていましたけれども、議会の中に何でも賛成してくれる与党的なものを作るということは一切しませんでした。是々非々で、是は是、非は非で、悪いことは全部言ってくれと。議場でやりましょうと。どうしても納得できなかったら修正してもらってもいいし、否決してもらってもいいしというので、現実にそういうことは頻々とありましたけれどもね。それの方が健全だと思っていました。私はですから、根回しとか、いろいろな事情によって与党会派的なものを作っておられる多くの首長さんのやり方というものを、かなり厳しく批判しておりました。首長新党を作って、同じような情勢を醸し出したとすれば、やはり私としては、総務大臣としてはではなくて、個人的にはね、やはり批判の対象とせざるを得ないなと思っていますけれどもね。これは余計なことですけれども。
問:
 関連でよろしいですか。議場でのやり取りというのが、まず一番重要で、首長新党というのはちょっと違和感があるというお話だと思いますけれども、議会内閣制ということも、橋下知事、中心に言われていますよね。これについてはいかがですか。
答:
 これはですね、前もちょっと触れたことがあったかもしれませんけれども、今の二元代表制の下にある地方自治体の運営をどういうふうに評価をして、なへんに問題点がある、どこに課題があるかということと、そういう認識と大いに関係すると思うのですけれどもね。私がずっと長い間この分野を見ていまして、今の自治体に何が問題かというと、チェック機能が著しく低いということだと思います。きちっとオープンなところで議論をして、そこで、是は是、非は非と議論を戦わせて結果を得ていくというね。議論をしながら合意形成をしていくとか、そういうオープンな場でチェックをしたり議論をしたりしながら物事を諮って決めていくという、このプロセスが私は低いと思うのです。失礼ですけれども。そうしますとね、それを解決するためにどういう算段があるかということになりますとね、今、世情言われている議会内閣制というのは、むしろ逆行するのではないか。議会のチェック能力というものを弱めることはあっても、強めることにはならないのではないかと私は見ておりますので、私自身としては、今の首長と議会との関係についての問題点、問題意識を持っている者からすれば、評価できないですね。もちろん逆の見方もあると思うのですよ。さっき言われましたけれども、首長のやりたいこと、市民の支持を得てやりたいと思ったことが、今の議会の反発とか反対議論にあってなかなかうまくできない。それでは、もっとより一体感を強めて、スムースに物事が運ぶようにすべきだと。これが課題だと思っている方からすれば、議会内閣制というのは合理的な選択肢かもしれませんけれども、私はむしろ、そのもっと奥にある、背後にあるチェック機能、議論によって物事を進めていく、オープンな議論によって物事を進めていくという、そういうところの方が大事な理念だと思っておりますので、そういう面から言うとですね、もっと議会のチェック能力を高めた方がいい。議会の独自の自主立法権も含めたチェック能力とか、議会によるコントロール権を強めた方がいい。一体的にするよりは、そういう、変な意味ではなくて、正しい意味での対立構造というものがちゃんと作動するようにした方がいいというのが、私の個人的な見解であります。

NHK会長人事

問:
 朝日新聞の岡林です。NHKの後任の会長に、JR東海の松本副会長が選出されました。まず率直に、感想と言いますか、期待されることがありましたら教えてください。それから、選出の過程についてですね、いろいろな経緯があったかと思うのですけれども、その上で、ちょっと唐突に決まったのではないかと。経営委員会の皆さんがお会いになって、お話を聞いての選出ということでは無かったということなのですが、そのことについてどのようにとらえておられるかということ。それから、全体としてですね、今回の一連の人事、ちょっと、いろいろ紆余曲折もあったようなのですけれども、全体を通じて、今後ですね、経営委員会の在り方であったり、会長の要件であったり、何か改善すべき点があるのではないかとお感じになったところがあるとすれば教えてください。
答:
 先週末にNHKの新しい会長が経営委員会の議を経て決まったということで、私、率直によかったと思っております。いろいろなことがあって、経営委員会のガバナンスと言いますか、自律的機能が問われるような報道もありましたけれどもね。そういうことを踏まえて、経営委員の皆さんが自主的にこのたび決められたということで、非常によかったと思っております。新しい会長に就任される松本さんについても、これテレビで、それこそNHKで見ましたけれども、非常にしっかりした理念を持っておられるとの印象を持ちました。是非、業種は違いますけれども、公共的な機関を経営されてきた経験とか経綸というものを、NHKの運営とか、それから、必要な改革をする上で活かしていただければと思っています。それから、経営委員会がいろいろ迷走したとかって報道されておりますけれども、いろいろなことがあったのだろうと思います。思いますけれども、最後はきちっと決められたということで、それは私はよかったと思います。制度的に経営委員会が会長を決めるということになっておりまして、経営委員の皆さん、いろいろな情報を得たり、いろいろな方からお話を伺ったりすることがあると思いますけれども、最後は12人の経営委員の皆さんで決めるというこのルールをこれからも是非守っていただいて、今回のいろいろなことがあったことを一つの教訓にして、ガバナンスを高めていただければと思っております。
問:
 経営委員長のですね、今回、ガバナンスでとか、迷走というのもあったので、経営委員長の進退ということが随分問題になってきていますが、それについてはどうでしょうか。
答:
 経営委員会、これ委員長も含めてですけれどもね、経営委員の皆さんというのは、国会の同意を得て任命されている、そういう国会同意人事案件なのですね。そういう、いわば国民の代表の議を経て決定されている方々ですから、その意味は重いと私は思います。
問:
 読売新聞の下宮と申します。今の、国民の代表の議を経てという、その意義は大きいというのは、必ずしも今回のことをもって辞めなくてもいいという見解でよろしいですか。
答:
 というか、私の方でね、どうすべきだとか、ああすべきだということを申し上げることはありませんということです。
問:
 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
答:
 はい。

ページトップへ戻る