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会見発言記事

第187回国会(臨時会)総務委員会における総務大臣所信的発言

平成26年10月14日

はじめに

 去る九月三日に総務大臣を拝命しました高市早苗でございます。
 総務委員会のご審議に先立ち、ご挨拶を申し上げます。
 このたびの台風、先般の広島での大規模な土砂災害や御嶽山の噴火など、今年は自然災害が多発し、全国各地で甚大な被害が発生しました。私自身、先月、広島市を訪問し、殉職された消防職員を始めお亡くなりになった方々のご冥福を祈り、災害対応に従事して下さった消防職員・消防団員に御礼を申し上げたところですが、改めて、多くの自然災害による犠牲者に哀悼の意を表し、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。

常にチャレンジを続ける総務省

 私は、行政の安定性と信頼性を重視しています。そのためには、政策の予見可能性の確保が大切です。
 新藤義孝前大臣の下で取りまとめられた「総務省ミッションとアプローチ二〇一五」の精神を継承し、総務省が着手した諸政策については、迅速かつ着実に実行してまいります。同時に、政策効果の最大化と財政健全化に向けた効率化を図るために、不断の検証も行います。
 そして、「常にチャレンジを続ける総務省」でありたいとも考えています。私たちは、歩みを止めません。刻々と変化する国内外の環境とともに生じる数々の課題を的確に捉え、新たな政策の構築にも野心的に取り組んでまいります。

日本は今、力強く動き始めた

 一昨年の十二月二十六日に第二次安倍内閣が発足してから、間もなく一年十か月を迎えます。
 安倍内閣は、「成長による富の創出」へと政策を転換し、アベノミクスの「三本の矢」を一体的に推進してきました。その結果、デフレマインドを一掃し、景気の底割れを回避することができました。株価や有効求人倍率の上昇など、確実な成果を生みつつあります。
 他方、「地方では、まだ景気回復を実感できない」「電気代、ガソリン代や食品価格などの上昇によって、家計が苦しい」といった切実なお声も多く伺います。総務省では、引き続き家計や産業の現状を注視し、大臣として内閣全体に発信し、必要な措置の検討を促します。
 企業収益の改善、国内投資の拡大、高生産性部門への失業なき労働移動、雇用の拡大と所得増、消費の拡大という、「成長の好循環」を実現し、日本経済を揺るぎない成長軌道に乗せていかなければなりません。
 また、経済再生が財政健全化を促し、財政健全化の進展が経済再生の一段の進展に寄与する姿を目指し、「経済再生と財政健全化の両立」に向けた努力も続けてまいります。
 私は、「国民の生命と財産を守り抜ける国」「絶え間なくイノベーションが起こり、世界の頭脳と富が集まる国」「美しく豊かな地方」「機会の平等が保障され、民間の活力と個人の能力が最大限に発揮される社会」「公正な社会」を創るために、総務省が持つ政策資源を総動員するとともに、委員の皆様のお知恵を賜りながら、全力で働いてまいります。
 以下、特に力を入れて取り組みたい政策の方向性について、一端を申し述べます。

東日本大震災被災地の復興を加速する

 「時計の針がようやく動き出した」「何でも自分次第、農業も頑張れば所得は増える」
 安倍首相が東日本大震災の被災地で出会った方々から伺った言葉だそうです。
 私たちには、彼らの声に応えていく責任があります。
 安倍内閣の閣僚は、全員が復興大臣のつもりで被災地の復興に取り組みます。総務省としては、震災復興特別交付税などによる財政支援を行うとともに、被災自治体への人的支援については、被災自治体の要望等を踏まえ、全国の地方公共団体に職員派遣を要請するほか、被災自治体での任期付職員の採用の支援、民間企業の人材活用の促進、被災自治体で働く意欲のある職員OBに関する情報提供を行ってまいります。
 また、「東北メディカル・メガバンク計画」の推進などに取り組んでまいります。

世界で一番安全な国を創る

 私は、国民の生命と財産を守リ抜くことが「国家の究極の使命」だと考えております。
 総務省においても、災害・犯罪・テロリズム等への対策を強化し、皆が暮らしたい、行ってみたいと思える「世界で一番安全な国」を創るために力を注いでまいります。
 国と地方が力を合わせて、社会インフラの老朽化対策、耐震化の加速、避難路・津波避難施設や救援体制の整備等、国土強靭化を強力に推進しなければなりません。
 総務省としては、これらの取組に対し、地方財政措置により支援してまいります。
 消防行政については、大規模地震や風水害等に備え、消防防災体制を拡充・強化することが喫緊の課題です。緊急消防援助隊の大幅増隊を推進するとともに、「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」に基づき、消防団への加入、特に女性や若者の入団の促進、消防団の装備の充実などを行ってまいります。
 また、広島市で発生した土砂災害などを踏まえ、災害時の迅速かつ適切な情報提供を確保するため、放送ネットワークの強靱化やLアラートの高度化など、防災対策へのICTの活用を進めてまいります。
 さらに、誰もがICTを安心・安全に利用することのできる環境を実現するため、消費者利益や安全・信頼性の確保に努め、情報セキュリティ上の脅威への対応、パーソナルデータの適正な利活用の促進などに取り組んでまいります。

地方創生を強力に推進する

 第二次安倍改造内閣の最重点課題は「地方創生」です。
 地方の再生なくして、日本の再生なし。日本列島の隅々まで活発な経済活動が行き渡り、一人ひとりが暮らしの中で景気回復を実感できるように、「地方創生」に取り組んでまいります。
 急速に人口減少・高齢化が進行している中、特に地方圏を取り巻く環境は厳しい状況にあります。
 まずは、長年にわたって農山漁村に暮らし、美しい国土を守り、日本が誇る伝統文化を育んでこられた方々が、安心して故郷に住み続けられる産業・生活・防災基盤の強化を進めなければなりません。
 産学金官地域ラウンドテーブルを基盤に、雇用吸収力の大きな地域密着型企業の立ち上げを支援する「ローカル一万プロジェクト」や、電力の小売自由化を踏まえた「分散型エネルギーインフラプロジェクト」などを推進します。また、地域の農業、医療、教育等の分野におけるICTの活用を一層進めることにより、地域全体の生産性と所得の向上を図り、税収増に直結する地域の経済構造改革に着手してまいります。
 その上で、「集約とネットワーク化」の考え方に基づき、中核性のある都市が近隣市町村と有機的に連携し地域の活性化を図るため、地方中枢拠点都市圏や定住自立圏を形成し、圏域全体の経済成長の牽引、高次の都市機能の集積、生活機能サービスの確保・向上といった取組を推進します。
 過疎地域など条件不利地域については、基幹集落を中心とした集落ネットワーク圏の形成や、飛び地も含めた全国各地の市町村間の連携を推進することなどにより、活性化を図ってまいります。
 また、内閣官房が八月に実施した調査では、東京に住む方々の四割が地方への移住を検討している又は今後検討したいと考えておられ、出身地以外への移住を考えている方の四割が移住に関する情報が十分ではないと感じておられるとの結果が出ました。住居、交通、通信、雇用、教育、医療、福祉、防災など、地方への移住を決める上で必要な情報を一元的に提供できる体制の整備を急ぎます。
 さらに、地方への人材還流を促進するため、地域おこし協力隊の隊員数を約三千人に拡充することを目指します。
 平成二十七年度地方財政については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇一四」及び「中期財政計画」で示された方針を踏まえ、交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、平成二十六年度地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保してまいります。
 また、ふるさと納税の一層の拡充に向けて、手続の簡素化など、地方公共団体と協力して取組を進めてまいります。

持続的成長への道を拓く

 我が国を世界に冠たる製品・サービスを生み出す「価値の創造拠点」にするためには、世界最高レベルの制度を整備し、立地競争力を強化しなければなりません。
 こうした観点から、法人実効税率の引下げを来年度から開始することになりました。
 その一方で、地方法人課税については、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築する観点等から、中小企業や創業企業への配慮を前提にした外形標準課税の拡充や地域間の税源の偏在是正を進めるとともに、車体課税の見直し等を進め、地方税の充実確保に努めてまいります。
 ICTは、全ての社会・経済活動や国民生活に不可欠な基盤であり、新たなイノベーションを創出し、経済成長を牽引するエンジンでもあります。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、世界最先端の「社会全体のICT化」を進めるため、産学官共同の検討の場を立ち上げます。あわせて、無料公衆無線LAN環境の整備、「言葉の壁」をなくす多言語音声翻訳システムの高度化の推進、超高精細で臨場感あふれる4K・8Kの推進、多言語にも対応した災害情報等の一斉配信を可能とするデジタルサイネージ(電子看板)の普及推進等に取り組んでまいります。
 また、我が国が有している世界最高レベルのICT基盤を一層発展させ、経済活性化・生活向上を実現していくため、超高速ブロードバンド等の情報通信インフラの整備や時代に即した情報通信事業環境の構築等、総合的な情報通信政策に取り組んでまいります。

日本が、世界の真ん中へ

 「国際社会とともに繁栄する道」を歩みたいと考えます。
 拡大する国際市場を獲得するために、引き続き地上デジタル放送日本方式や日本型郵便インフラシステムの国際展開を推進するとともに、ICT分野全体での更なるトップセールスの推進や国際展開に資する資金供給の仕組みの整備等、機動的で実効的な官民連携体制の構築に取り組んでまいります。
 また、コンテンツの国際展開や国際放送の充実強化に取り組んでまいります。

女性が輝く社会を実現する

 全ての女性がそれぞれの生き方に自信と誇りを持ち、ご家庭で、地域社会で、職場で、存分に力を発揮できる社会の実現を目指します。
 まずは、総務省において先進的な取組を推進し、地方においても各界各層の一層の意識改革を図ります。
 また、女性、高齢者、障害をお持ちの方、山間や離島にお住まいの方などの活躍の場を広げるテレワークの普及を促進し、多様で柔軟な働き方の実現に向けて、関係省庁と連携して取り組んでまいります。

国民のための改革を進める

 国民のための真の行政改革、地方分権改革を進めてまいります。
 現在、地方制度調査会において、人口減少社会に的確に対応する地方行政体制や、地方公共団体のガバナンスのあり方等が審議されており、総務省としても、様々な観点から検討してまいります。
 マイナンバー制度については、平成二十八年一月の個人番号利用開始に向け、各地方公共団体の準備が着実に進むよう、必要な額の国庫補助金を確保し、積極的に支援してまいります。
 また、個人番号カードを活用した公的個人認証サービスの利活用推進に取り組んでまいります。
 国や地方公共団体の情報システムについては、クラウド化を進め、便利で使いやすい、国民本位の電子行政を、国・地方を通じて推進してまいります。
 国の行政の業務改革については、電子決裁などICTの活用による業務処理の見直し、公共データの民間開放などによる行政のオープン化・双方向化をさらに推進し、効率的で質の高い行政を実現してまいります。
 行政の評価・監視については、国民の立場に立って、積極的に担当府省に対して改善を働きかけてまいります。
 政策評価については、行政事業レビューとの連携強化や政策評価の標準化・重点化など、機能強化を進めます。
 統計については、オープンデータの高度化を進めるとともに、本年三月策定の「公的統計基本計画」に基づき、公的統計の体系的整備やオンライン調査の推進を図ります。
 また、国家公務員給与の見直しを踏まえ、地方公務員給与についても、地域民間給与のより的確な反映など適切に見直しを行うよう要請してまいります。
 これらに加えて、郵政事業については、ユニバーサルサービスを引き続き確保するとともに、郵政民営化の成果を国民の皆様に実感していただけるよう、日本郵政の上場に向け、企業価値の向上を促進してまいります。

むすび

 以上、所管行政の当面の課題を申し上げました。
 副大臣、大臣政務官、職員とともに、全力で取り組んでまいりますので、桝屋敬悟委員長を始め、理事、委員の皆様方のご指導とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

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