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会見発言記事

鳩山総務大臣閣議後記者会見の概要

平成21年3月10日

冒頭発言

 おはようございます。閣議では特に私から御報告することはありませんが、私の方から東京中央郵便局について問題を整理して、お話をしたいと思います。一番の問題は、重要文化財級であるということを分かっていながら、こういう進め方をする。重要文化財になど指定されたくもない、文化財などに指定されたくない。「開発だ、開発だ、38階だ。」という姿勢をとっていた日本郵政に大きな問題があると。しかし、では日本郵政に全部の責任を負わせていいかというと、私はそうは思いません。それは、私もかつておりました、いわゆる文化行政という意味で、国政全般で文化財という物をどうとらえるかという、我々を含めた今までの政治行政の態度。例えば日本の文化予算というのは、予算書に、国の予算に占める文化予算、あるいは文化財予算、GDP比に占める文化予算、文化財予算というのは、これは見るも無残な状況にあるのです。それで、せめてもというので芸術文化振興基金というものを作ったりしたわけですが、結局、文化行政の面で、少なくとも話し合いはさんざんされていますけれども、冗談じゃないと文化庁が猛り怒ってというか、文化庁が猛り怒ってもしようがないから、我々、党とか、そうしたものがもっと反応をして、厳しくこの問題に対処しようとしてこなかったと。それは、私自身の反省点も踏まえて、これは実に恥ずべきことですね。今後こういう問題が相次いで起こってくると思います。開発と文化財の関係というものは、ずっとこれから出てくる問題だと思います。
 今日の毎日新聞に玉木研二さんという方が、「赤色が目に染みた日」という文章を載せておられて、先ほどこれを読みました。これは、司葉子さんが原節子さんとともに主演をする映画「秋日和」のことが書いてあって、東京中央郵便局がよく見える。オリンピック4年前の小津安二郎監督の映画のようでございます。私はそういう点はあまり、古い映画など見たことはないので分かりませんが。
 結局、この亡くなったお父さんの再婚話について映画が進んでいくわけですが、「映画は何も解決していないような終わり方をする。」と。何かあいまいな終わり方をするんでしょうね。これが小津安二郎監督の余韻を残す終わり方なのではないかと。それは小津調でいいが何も解決しないような終わり方をする。それは小津調でいいが、局舎問題も折り合いつけてそうなるのかと。折り合いをつけると、結局、訳の分からない結果で終わってしまうのかなという、これは痛烈な皮肉かもしれませんが、毎日新聞論説室のこの玉木研二さんの書かれた文章は、私にとっても胸に響いて、要するにこの問題が解決をしても、要は日本の文化財に対する行政や国民の態度が、これでいい方向にいくという保障は全くありませんので。
 そこで、問題は、私が「トキを焼き鳥にするようなものだ。」と申し上げたのは、文化財を破壊することをもう最初から前提にして物事を進めるというやり方はどうであろうかと。それに対して反論していなかった文化行政というものの責めも大きいと、こう思います。
 しかしながら、あるテレビ局が「全面保存か、開発か、建て替えか。」というようなアンケートを採るようなことをやっていましたけれども、それは違う。私は開発を否定してはいないので。例えば、東京中央郵便局の上に何本か柱を立てて、その上に38階が乗るという設計方法も、建築方法もあったと聞いているから、そういうやり方もあったのではないかと。5通りあるいは10通りあった中で、最もその文化財的価値が失われるやり方を選定したことに対して大変残念に思っているわけで、だからそれを何とか、文化財を守りたいと。文化財を守った形で開発をする方法をとるべきだということを私は申し上げてきたわけでございます。
 そこで、大阪中央郵便局の問題も含めまして、これは建築士の方々等、建築家の皆様方からは、極めて高い評価を受けた個性的な建物でありますが、ただ、まだ文化庁は大阪中央郵便局については、「重要文化財だ。」などというコメントはしていないようであります。
 東京中央郵便局の件に関して、日本郵政から提案を受けております。それは、東京中央郵便局については文化財としての価値にかんがみ、設計変更し、保存部分を増やすこと等により、登録有形文化財となるようにしていきたいと。大阪中央郵便局については、当面着工しないで、東京中央郵便局の結論を見て再検討するという提案を受けております。正直言って以心伝心という部分がございます。私としては、局会社の今後の経営についても一番心配をしておりますので、それは、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、事業会社に比べると、やはり局会社、日本の郵政文化を守ってきたのは局会社で、郵政文化の中心は局会社で、局会社の経営がひどく圧迫されるようなことがあってはならないという思いがございまして、そういう意味では、この提案は受け入れようと。まあ、以心伝心なのですけれども。ということは、本来は重要文化財のままの建て替えができれば一番いいと。しかし、それは文化庁がどう言うかと、どう判断するかという問題もありますが、難しいかもしれないと。もし難しいとするならば、せめてそのトキを焼き鳥にして食わないで、トキの剥製が残るような、トキは死んでしまっても、トキの剥製が文化財として一杯残るような、そういう保存方法。つまり登録有形文化財としての価値はあるということであるならば、ぜひ設計変更のお願いをして、登録有形文化財として、トキの剥製が残る形で再開発をしてもらおうというのが私の気持ちでございますが、これは文部科学省、文化庁に、逆に問題を投げるような形になりますから。これは私も間に入りますが、文部科学省、文化庁が、「これならばトキは焼き鳥になったのではないと、トキは剥製として十分残ります。」というところを相談の中で見出してほしいなということでございます。
 いずれにいたしましても郵便局というのは、もともと国民共有の財産ですから、文化的・歴史的な価値を持っている文化財として、「これは堂々文化財だ。」と言える線を残すということですから、もちろん今までの計画では駄目なので、保存部分をどこまで増やせば文化財かということを徹底して議論し合って、できるだけ速やかに設計変更をしてもらいたいということでございます。
 私としても、やや苦しい判断ではありましたが、そこで話が折り合って、文化財が保存されればありがたいと心から思っております。
 大阪中央郵便局については、やはりいろいろな声があるから、当面着工しないで、東京中央郵便局の結論を見てから再検討するということを日本郵政から言われておりますので、これは多としますね。以上です

質疑応答

中央郵便局の建て替え(1)

問:
 先ほどの話で大体お聞きしたいことはお話しされたのですけれども、日本郵政からの提案というものが、いつ、どのような形であったのかという点と、大阪以外の郵便局の建て替えについての言及があったのかという2点をお願いします。
答:
 これは事務方でやっておりますから、私が知り得ている情報については、昨日、日本郵政の方から事務方へ連絡があったというふうに聞いております。
 大阪以外の郵便局についての言及はなされていないと思います。私、話合った当事者ではありませんから。ただ、局会社の資産として不動産開発をするというふうに最初から前提が作られているのは、東京、大阪と、名古屋だろうと思いますが、名古屋は戦後の建設というふうに聞いておりますから、多少性格が違うのかなというふうに思います。
御承知かと思いますが、東京、大阪、名古屋以外の中央郵便局は、全て郵便事業会社の方です。私はとりわけ局会社であるということについては、東京中央郵便局が局会社の資産であるということについては重く見てきたつもりです。
問:
 郵便局の話で、大臣が止めた方がいいと言われた後に、東京都が開発OKのサインを出されましたけれども、その姿勢についてはどう思われますか。
答:
 都市計画決定の中身について詳しく知っているわけではありませんが、東京都が都市計画決定をした、認めたということと、私の判断とは全く無関係でございます。
 「外壁だけでは駄目です。」ということですね。外壁だけだったら、これは焼き鳥ですから。きちんと中身を一定部分残すことが、トキの剥製を保存することにつながると思います。最近、新聞の「USO放送」では、「トキの人」と言われているようでございます。
問:
 日本郵政からはですね、高層ビル化については、引き続き進めるという連絡はあったのでしょうか。
答:
 それは、私は頭から否定しているわけではありません。だから、本当は全面保存して、覆いかぶせるような形で高層ビル化することについては、私は最初から何も問題視していないので。だけれども全面保存は、それは強度等の問題もあるのでしょう。あるいは金が掛り過ぎるという問題もあるのでしょう。だからその辺で私もいろいろ考えて、できれば重要文化財、でも、登録有形文化財として文化庁に認めてもらえるような形でやってもらいたいということで、その提案は多としているところでございます。

内閣支持率

問:
 大臣、話が変わるのですけれども、先週末の世論調査で、麻生内閣の支持率がちょっと上がり気味なのですが、それについて感想をお願いします。
答:
 西松事件というのは、麻生内閣にとって、支持率上昇要因には全くなりませんので。政党支持率の変化はあると思いますよ。「なんだ民主党って、こんな政党か。」という。だけれども、麻生内閣の得点には何にもならないわけですから、私は、総理の政治姿勢が遅ればせながら徐々に評価されてきたことと、麻生内閣の何が悪いと、定額給付金だと野党はさんざん言ってきたのですが、その定額給付金が3月5日から実際に配られるようになりまして、それが、すごくうれしそうに受け取っている姿は、「これはやはりいいものか。」とテレビを見て、判断を変えた方が結構おられるのではないかと。それはですね、いわゆるプレミアム付き商品券の発行が一つの盛り上がりのメルクマールだと思っておりまして、698団体と言っていますが、もうはるかに超えているのではないか。698市区町村というのは、もう古いのではないかなと思うのですね、3月1日時点ですけれど。例えば、土曜日に鳩山一郎50年祭で、私の地元の6首長さん、4市2町の首長さん全員見えてまして、立ち話で詳しくは話せませんでしたが、「うちでもやろうと思いますよ。やはりプレミアムを付けなくては、地元の経済活性化、地域活性化につながらないと思うから。」など、皆さんも異口同音におっしゃっていましたから。うちの地元も増えるのではないでしょうか。これは全国的な現象ではないか。
 「定額給付金特別企画「JALで行く春の2日間スペシャル」」。12,000円から参加できるお得なツアーを発売、JTB中部。名古屋から200km圏内の宿泊プラン12,000円を検討。これ、「かんぽの宿」に泊まるわけではないんだろうな、12,000円。「定額給付金で行こう!」。格安で行ける海外旅行応援キャンペーンを実施。海外も行けるんだね、すごいですね。「福袋、税込み1万円」、リーガロイヤルホテル東京。通常一人8,000円のディナーコース中華料理レストラン。6,000円に設定して、二人で12,000円になるように計算。静岡県梅ケ島温泉観光組合、「6,000円の宿泊プラン」などいろいろとございますね。民間が結構盛り上がってきていますから。私はそうだと思うがね。そのことが押し上げる要因になってきている。

中央郵便局の建て替え(2)

問:
 大臣、東京中央郵便局なのですけれども、冒頭、「文化財であるということが分かっていながら、開発だという姿勢をとってきたJPに大きな問題がある。」とおっしゃいましたけど、これはつまり、西川社長の経営者としての適格性に疑問符をつけられたようにお見受けするのですが、その点はいかがですか。
答:
 私は、西川さんうんぬんというのではなくて、会社幹部全体の問題だと思うし、だから、先ほど紹介した毎日新聞の論説室の玉木さんが書いているのは、彼は、結局は彼自身もつらい原稿を書いているのかもしれません。つまり、文化財と開発というものの関係は本当に難しいけれど、せめて文化財寄りにやってくれないかというふうに、これを私は読んだのだけれど。読み方が間違っているのかもしれない。だから、強引に進めてきたことに問題はあるけれども、それに「ふざけるな。」と言ってこなかった部分もあるわけでしょう。難しいですよ、本当に。
問:
 大臣、中央郵便局の問題ですけれども、日本郵政の方は、増田前大臣のころに、一応「やっていいよ。」というような了承は取り付けていると、その上で話を進めてきたということなのですけれど、そのことに関してはどういう御見解をお持ちでしょうか。
答:
 閣僚によって行政は変わりますよ。それはあまり安定性のない変化をすべきではないと思うけれども。「そんなものでいいのではないか。」と思われる 人もいるだろうし、私のように「それは文化財の破壊であって、トキを焼き鳥にするようなものだ。」という人もいるし。それは姿勢の問題だと思いますけれどもね。

漆間副長官の発言

問:
 大臣、漆間副長官のオフレコ発言がいろいろと話題になっておりますが、大臣はこの問題についてはどのようにお考えですか。
答:
 難しいですよね。完オフというのもある。皆さんとよく「完オフだよ。」と言って1杯飲みながら話すけど、意外とそれが週刊誌に出ますのでね。なかなかオフレコというのは、だからオフレコでも言ってはいけないことがあるのかなと思うこともありますが、私は正直言って、法務大臣を1年間やって、検察の独立、それぞれの検察官の独立、検察に対する指揮権発動はしないという、今の法務大臣の在り様の中で、国策調査などということはあり得ない。今の時代。あり得ないということはですね、他党に及ぶとか及ばないということが分かるはずがない。分かるはずがないことはおっしゃらない方が良いのではないでしょうか。あらぬ誤解を招きますから。率直にそう思いますよ。私は強い怒りを感じましたよ。だって、分かるはずがないことをもしおっしゃったとすればだよ。少なくともそう報道されるようなことがあったとすればけしからんと思いましたね、瞬間は。私が法務大臣をやっていなければ全然別の見解だったかもしれないよ。「さすが警察OBは違うな。」などと思ったかもしれないけれど、私はそれを知っているだけにね、と思います。極めて遺憾というか、良くないですね。分かるはずがないのだもの。分かるはずがないことを分かっているように、記者さんが受け取るような言い方をしたとすれば、それは完全に間違いですね。
問:
 ほかにありますでしょうか。
答:
 ありがとうございました。

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