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会見発言記事

原口総務大臣閣議後記者会見の概要

平成22年4月6日

冒頭発言

 おはようございます。閣議後の会見を始めさせていただきます。
 まず、第1点目は水です。渡辺副大臣を中心に、今、地方が、大変、日本は水道が整備をされ、そして、東京をはじめ各地でおいしい水を生産する体制を持っています。これを海外展開しようということで、渡辺副大臣を中心に進めています。このことについて、ただ海外展開するだけではなくて、昨日渡辺副大臣と話をしましたけれども、日本の山間地、きれいな、しかも豊かな水資源がこれまで荒れるに任せていたために、他国の民間企業に安く押さえられるというようなことも、渡辺副大臣の方から問題提起がございまして、今日の政務三役会議で議論を詰めることにいたしております。これが1点目です。
 それから、2点目は、昨日、三大臣会合を行いました。仙谷大臣、枝野大臣とともに、3点、議論をいたしました。一つは行政不服審査法。この法律を改正をする。そこに向けた論点整理。それからもう一つは、公務員のいわゆる退職管理、そして、新採をどのように決めていくかということで、基礎的データを持ち寄って、そして、更にこれを詰めていく。組織のダイナミズムをしっかりと維持しながらも、事業量や事業仕分け、あるいは権限、財源の仕分けによって、減少する部分についてはしっかりと抑制を掛けていこうというお話をさせていただきました。3番目が情報公開法。これも改正の時期にきておりますので、情報公開法についての論点を議論したところでございます。これが2番目に皆様へ御報告することでございます。
 3点目。これは市民公益税制ということで、昨日、総理の方に御説明を申し上げました。公益というのは何も官が担うだけではない。市民公益、NPOやNGOの担う範囲が、そして重要性が、大変、大きく広がっています。私たちはそれを政府税調としてもしっかりと支えるための税制度はどうあるべきかということを、公益税制プロジェクトチームでまとめて、そして、今の議論の中間的な方向性を総理に御説明申し上げたところでございます。総理の方からは、更に市民が主役の民主党ということでやっていき、また、この政権についても新しい公共ということを言って、しっかりと税制を組み立てるようにという御指示を頂いたところでございます。
 これで最後ですが、金曜日に携帯電話端末のSIMロックの解除について、ヒアリングを行いました。SIMロック解除、これはあくまで、今、ガイドラインを作ろうという議論の中途でございますが、利用者が携帯電話端末とネットワークを自由に選択可能となります。また、MVNO、これは仮想移動体サービス事業者、Mobile Virtual Network Operatorの略ですけれども、MVNOやプラットフォーム事業者の参入による競争促進により、通信サービスの低廉化、多様化が進みます。またよく「ガラパゴス化」ということを言われます。日本は大きな市場なので、その市場の中だけで通用するビジネスモデル。これだけでも大したモデルなのですけれども、世界市場に進出する端末メーカーが、やはり他国の先を行くメーカーには遅れを取っていましたが、端末メーカーが世界市場に進出する契機となるものでございます。一方で、ヒアリングにおいて関係者から、故障時の対応等の課題も指摘をされ、あるいは、携帯電話事業者等との調整の上、3か月をめどにSIMロック解除の在り方について、ガイドラインを提示することが適当であるというふうに考えて検討を進めさせています。これは、再度申し上げておきますが、今、3.5Gでございますので、3.5Gの携帯電話に何か強制を掛けるという考え方ではなくて、あくまでこれはユーザー本位でそれぞれが御判断、ユーザーの求めに応じて、それを解除することが適当ではないかという議論でございますので、その辺、留意をして進めていきたいというふうに考えています。私の方からは以上です。

質疑応答

新党構想

問:
 幹事社の共同通信の中島です。1問お願いします。
 与謝野元財務大臣らの新党構想に対する受け止めと、政権、それから参院選に与える影響をどのようにお考えかということと、また、予算成立後も各社の世論調査で内閣支持率の下落が続いていますが、反転攻勢には何が必要かとお考えでしょうか。
答:
 後者の方からお話をしますと、大分、地合が変わってきたというふうに考えます。予算が通り、そして、これが国民の皆様のところへ届くようになりました。この7か月間、一生懸命走ってきましたけれども、初めてということで、壁があったり、あるいは穴があったりしたことも事実であります。それに対して私たちは、司、司でですね、しっかりと理念に沿って、理想を形にする、これが大事だというふうに考えています。その上で、各省の古い権益にとらわれることなく、国民にお約束をしたことを忠実に守っていく。これが大事だと。元々、民主党というのはしがらみのない、そして、新しい日本をつくる。まあ、私の総務省で言うと、先週ペルーでも日本方式のデジタル放送が始まりました。これまで内側を向いていた、そして、ともすれば下を向きがちだったそういうものが、世界に開いていっています。そういったことを実感していただき、経済も、まだほのかですけれども、少し明るさが、今日も円が安くなり、それから株価もしっかりとした動きの前提になるものが少し見えてきましたので、そういったことを確実にすることが大事だと思います。
 与謝野さんの新党構想については、私は理念とか、そういったものを伺っていることもないので、今の段階でコメントをすることはできませんが、いずれにせよ、政治家が自分の信念に基づいて行動をし、新党をつくるというのは、大変、大きな重いことでございますので、一人の政治家としては、その大変な決断に、サポートをするという言い方はできませんけれども、重く受け止めておきたいと思います。その中には、かつて私が自民党時代に一緒に自民党を出て、自民党を壊してくれとおっしゃった方もおられますが、これは報道ベースですけれども、そういう方も、自民党を壊すのではなくて、民主党を壊すとおっしゃっているので、そこは、私は正直戸惑っています。「自民党を壊す」と言いながら自民党に戻られて、また今度「自民党を出る」と言いながら自民党と連携するというような、私にはその辺はよく分かりません。ただ、新党ができてスタンスを明確にされるのだろうと思いますが、与謝野さんとは財政問題でもいろいろな議論を重ねてきた方でございますので、しっかりと政府としても論戦ができるような備えをしておきたいと思います。

児童ポルノ対策

問:
 毎日新聞の望月です。お願いします。児童ポルノ対策のブロッキングについてお尋ねします。通信事業者なども入った任意団体の安心ネットづくり促進協議会が3月に、ブロッキングは通信の秘密を侵害するが、緊急避難として許される余地があるとの報告をまとめました。一方、警察庁の有識者会議の総合セキュリティ対策会議は、通信の秘密を侵害すると認め、ただ、正当行為として違法性が問われないケースに該当するかどうかは確定できないということで、結論を先送りする報告書をまとめました。意見の相違が見られるのですけれども、通信の秘密を定める電気通信事業法を所管する大臣としては、このような異なる意見についてどう受け止められるか。それから、そもそもブロッキングについてどうお考えか、お願いします。
答:
 そうですね。通信の秘密というのは大変大事な、守られるべき権利であると、そのように考えています。意見が異なるというのは、それぞれやはり守るべき公益という観点で、視座が違うのではないかというふうに思います。そもそも児童ポルノは、私は単純所持すらですね、今、認めるべきではない、子供の人権、子供の尊厳というものを大変、侵してしまうものである。その前提に立って、コンテンツの中身に、だれがどのようにそれを判断し、そして、ブロックするということができるかどうか、そこは分けて議論がされるべきだと考えています。つまり、通信の秘密に踏み込むことはあってはならない。一方で、子供のポルノ、そのことが存在すること自体が、子供の尊厳を傷つけ、そして、多くの公序良俗に反することだというふうに考えておりますので、そこを分けた議論が必要であると考えています。
問:
 確認なのですけれども、そうすると、大臣としては緊急避難として許される余地があるというふうにお考えですか。
答:
 緊急避難として許される余地があるという、その文書を私は直接見ておりませんので、前後の関係も精査をしてお答えをしたいと思います。

SIMロック解除(1)

問:
 NHKの山下です。よろしくお願いします。携帯のSIMロック解除についてですけれども、まず1点確認ですが、先ほどガイドラインを作るに当たっては、3か月で解除というのをおっしゃいましたが、それは、新発売の端末が出てから大体3か月をめどにSIMロックを解除すべきだと、そういう方向でガイドラインをまとめるということですか。
答:
 違います。今後、こうした課題について早急に検討し、携帯電話事業者等との調整の上、今後3か月をめどに、SIMロック解除の在り方について。
問:
 今から3か月をめどにという。
答:
 そうです。しかも、それは、在り方について。SIMロック解除というのはどんなふうにあるべきだということについて、ガイドラインを提示するというふうに申し上げました。
問:
 あと、もう1点、すみません。現状においてはですね、日本では各キャリアのサービスが高度に発達して、それがガラパゴスとも言われている要因だと思うのですけれども、それがゆえに、この日本で携帯のSIMロックを解除してもなかなか利用者にとってメリットを享受できない面もあるのではないかというふうに言われていますが。つまり、iモードであるとか、各社固有の、独自のサービスが発達していて、それを利用者が享受しているという面があると思いますので、各社共通で、SIMロック解除で使える端末が出たとしても、それこそ、通話であるとか、ショートメッセージぐらいしか使えないのではないかとも言われていますが、その辺のメリットについてはどうお考えですか。
答:
 そうですね。携帯というのは日々進化しています。ですから、さっき3.5Gという話をいたしました。今、山下さんがおっしゃったのは、この現在の3.5Gを前提にして、SIMロックが解除されたときに何が問題となるか、あるいは、例えば今iモードというお話がありましたけれども、iモードというのは一般のインターネットとは別に、NTTドコモですけれども、NTTドコモが独自のインターネット網、サービス網を持っていて、SIMロックを解除して、今度はソフトバンクその他がiモードにしっかりとオープンに入れるかどうかといったことも関心ではないかと思います。いずれにせよ、そういったことを一つ一つ精査をしながら、私たち総務省の基本スタンスとしては、よりオープンで、より自由で、アクセスがフリーである。そして、世界ということを私は再三再四申し上げています。ライジング・サン・プロジェクト、つまり、昇る太陽。昇る太陽は何も国内だけを照らすわけではありません。世界を照らすような、そういうダイナミックな動きをするために何が必要かということで、議論を詰めていきたいというふうに思っています。

インターネット選挙

問:
 フリーランスの小川裕夫と申します。よろしくお願いします。先日、ヤフーをはじめとするインターネット事業者が、公職選挙法の改正でインターネット選挙の実現に向けて議論というか、提案があったのですけれども、その点について、大臣の御所見を頂ければと思うのですけれども。
答:
 7万を超える御署名を頂きました。それは、もっと原簿は多かったけれども、重複とか、そういったものを除いた生の数字で7万という数も、大変大きいと受け止めています。インターネットを利用した選挙期間中の運動といったことで、私としては、これは国会でお決めになるということを前提に、総務省としては、今、論点整理をしています。特にこういう双方向の情報通信インフラが大変拡大をしている時代においては、一人一人の政治家の投票行動、あるいは政策を双方向できっちり国民との間でやり取りできる。また、今、私たちは党の方でも次期参議院選挙についてマニフェストを、あるいは連立与党でもマニフェストを作ろうとしていますが、それも閉じた中でやるのではなくて、国民の皆さんとの連携、あるいは共同によって、マニフェストを作り上げていく。私は市民政策議員懇談会の事務局長というものを、党の方でやっておりましたけれども、そこでもNPOの皆様とマニフェストを共同で作り上げる。こういう中でも、日々進化するマニフェストを作り上げていく上でも、インターネットの利用、双方向のコミュニケーションというのは極めて重要であるというふうに考えています。法改正がどの時点でできるかというのは、あくまで国会の動きですけれども、一個人として、一政治家としては、多くの開かれた、そして、双方向の情報が国民との間で交流されるということは、民主政治の基本であると、このように考えています。

SIMロック(2)

問:
 読売新聞の有泉といいます。携帯電話のSIMロックの解除についてですけれども、念のため確認ですが、3か月をめどにガイドラインを作るというのは、今から数えて6月末までにということですか。
答:
 そうですね。SIMロック解除の在り方についてのガイドラインですね。
問:
 このガイドラインについてですけれども、通信事業者の間からは、かなり議論が沸き起こっているようでして、大臣もツイッターの中で、ビジネスモデルを強制することはないということをお書きになっています。この点について、これは解釈にもよりますけれども、とらえ方によっては、通信事業者の方にフリーハンドを与えてしまって、ある意味で、ガイドラインが骨抜きになってしまうような可能性もあるわけですけれども、ビジネスモデルとして。そのガイドラインの位置付けについて、改めて考え方をお聞かせください。
答:
 そうですね。これはヒアリングを行ったばかりでございますので、私の中の旧政権への思いとすると、役所が何でもかんでも出張ってきて、そして、市場の中に手を入れて、そして、その結果、なんと言うか、パターナリズム的な産業振興というものが行われてきた何十年。それを変えたいと考えています。ですから、あくまで、それはユーザー本位であり、国民、消費者の求めに応じてというのが基本であると思います。役所が強制力を持たなければ動かないのだということは、私はあまり考えていません。むしろ逆に、ユーザー本位のところはどこなのかといったことを、今、消費者の目も肥えていますし、また、私たちが海外に行った瞬間にSIMロック解除の携帯にたくさん出会うわけですね。そういったものからすると、市場がそれを判断し、決定するということがまず第一だということで、さっきの話をしたわけでございます。
問:
 もう1点だけ。SIMロックの解除の対象についてですけれども、通信事業者の方のお話の中では、一部の端末についてSIMロックの解除を試行してやることも可能ですということをお聞きになっておられると思いますけれども、例えば、ドコモで最近出たXperiaという新しいスマートフォンであるとか、ソフトバンクで言えばiPhoneが主力の商品だと思いますけれども、人気の商品なんかだと恐らく、SIMロックを外したくないというふうに思うのではないかと思うのですけれども。大臣、そうやって解除することで、顧客が外部に逃げてしまうのではないかと心配される可能性もあるわけなのですが、一部の端末だけ解除に応じる、あるいは応じないという判断というのは、事業者に対して認めていかれるお考えでしょうか。
答:
 そういったことも含めて、お話をしていきたいと思います。たまたま1月にキャリアの皆さんとも、インドのデリーとムンバイに参りました。1か月間に1,700万台増えている市場を、ある意味ターゲットに、どんなことができるかという議論もしてきたわけです。国内での競争の公正な条件確保は極めて大事です。と同時に、世界を見据えた戦略といったこともですね、議論をしていきたいと思いますので。それもあくまで、市場、ユーザー本位で、まずは考えていただきたいとこう思っています。
問:
 テレビ東京の秋山ですけれども、SIMロックに関して改めて質問なのですけれども、法制化を将来的に視野に入れているというお考えなのでしょうか。
答:
 内藤副大臣とその辺話をしましたけれども、私の視野の中には、法制化は今のところ入っていません。先ほど申し上げたように、市場といったもの、それから、世界のダイナミズム。なぜさっき、3.5Gと3.9Gという話をしたかというと、日進月歩なのですね。もう3.9Gのビジネスモデルももう視野に入っているわけで、そこで、私たちが、こうしなければいけない、ああしなければいけないというものを、総務省主導でもうやる時代ですかと。むしろ逆に、そういったことをやってきたために柔軟性を失い、一人一人の創造性がきそんしてきたのではないか。私はそう考えていますので、法制化について議論しているということはありません。

iPad等の日本での活用

問:
 ブルームバーグニュースの駅といいます。ちょっと遅れてきたので、もし出ていたら恐縮なのですが、アメリカでiPadが発売になりまして、かなり書籍ダウンロード25万とかですね、いろいろ出ていますけれども、日本での活用法として、以前から、例えば電子教科書等を普及させたいとおっしゃっていると思うのですが、これを受けての大臣としての御意見というか、日本での活用法について何か御意見がありましたら。
答:
 そうですね。特定メーカーの特定の製品なので、私としては、そこをどう使うというのは、この大臣が言ってはいかんだろうなと思います。で、その上で一般論ですけど、いわゆる黒船と言われる、今のiPadだ、キンドルだ、様々なものが言われています。私自身は知的財産の宝庫はこの日本だと思っていまして、その知的財産がまだ寝ているんですよね。さっきから会見の中で御議論をさせていただいているように、がんじがらめのために、様々なことが行われていない。昨日もですね、例えばスマートメーター。これを付けようと思えば、まだ古い法律でいくつもハードルがあるんですね。あるいは、クラウドコンピュータ。コンテナ型のクラウド。コンテナは、建築基準法や、あるいは消防法の対象にもなります。その対象になるというのが悪いと言っているのではなくて、そういう様々な技術の発展や利便を政治が先取りしてしっかりと整える。過去に例のないことは、全部、法律でできませんとなってしまっては、それは、国民、あるいは、この日本社会、日本の産業そのものが遅れを取ることになりますので、その辺をしっかりと総務省としては、改革を前に進める、規制緩和を前に進める方向でやっていきたいと思います。
問:
 よろしいでしょうか。
答:
 ありがとうございました。

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