第161回国会(臨時会)
   参議院総務委員会における総務大臣発言(概要)

平成16年10月26日

   引き続き、総務大臣を拝命した麻生太郎でございます。
   総務委員会の御審議に先立ち、一言ごあいさつ申し上げます。
   今年は豪雨や台風による災害が多発し、また、今般の新潟県中越地震により、多くの人が犠牲になられました。被害に遭われた方々に対して、心からお見舞い申し上げます。総務省といたしましても、被災者の救助や被災地の復興支援に、全力で取り組んで参ります。
   総務省は、行政管理、地方行政、情報通信行政など、我が国の基本的な制度・システムを所管し、国民生活に密着した幅広い行政分野に責任を有する役所です。
   「国から地方へ」、「官から民へ」という方針の下、我が国の大きな構造改革を進める立場から、日本の新しい時代を築くべく、諸課題に積極的に取り組んでまいります。
   行政改革については、まず、改正総定員法の下、治安など真に必要な部門には適切に定員を配置しつつ、スリムで効率的な政府を実現するため、政府部内全体の定員の再配置を強力に推進します。
   また、来年度末までに中期目標期間が終了する独立行政法人のうち32法人について、政策評価・独立行政法人評価委員会の審議結果を踏まえ、組織形態の見直しや事務事業の整理縮小を進めます。
   政策評価については、その結果が政策や予算へ的確に反映されることが重要であります。来年度予算の概算要求に際し、事後評価を行ったものの約四割が政策の改善や見直しにつながっておりますが、今後更に、評価の質の向上やモデル事業、政策群など予算制度改革における政策評価の活用を推進します。
   また先般、国民年金に関し、厚生労働大臣に対し行政評価・監視結果に基づき、勧告を行いました。今後も第二次勧告を予定するなど、国民の関心が高いテーマに取り組みます。
   さらに、情報公開制度の適正な運用、行政立法手続の法制化等を通じ、行政の公正を確保し、透明性を向上させます。この他、新たな改革課題を含め、行革担当大臣等と連携しつつ行政改革を進めます。
   統計行政については、新しい時代に即した経済統計を充実させるとともに、来年10月に控えた国勢調査の準備を進めてまいります。
   国家公務員の給与等については、本日御審議いただく「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案」に加え、特別職の審議会委員等の俸給月額の引下げ等を行う法案、並びに国家公務員及び地方公務員の災害補償制度の改正法案についても、何とぞ早期成立に向け、御審議をよろしくお願いします。
   また、地方公務員の給与に関して、地域の民間給与の状況をより反映するなど幅広い観点から、そのあり方を検討するため、研究会を設置しました。
   市町村合併については、平成11年の合併特例法改正以降、これまで210の市町村が減少し、本年1012日現在の市町村数は3,016となっており、今後、その数が2,700を下回ることが見込まれております。
   さらに、現行合併特例法及び本年5月に成立した合併新法により、引き続き市町村合併を推進します。
   「三位一体の改革」につきましては、本年6月に閣議決定された「基本方針2004」において、概ね三兆円規模の税源移譲を目指すこととしました。その前提として、国庫補助負担金改革の具体案の取りまとめを、地方団体に依頼しました。地方六団体は、これを受けて案を取りまとめ、去る8月24日に総理へ提出いたしました。
   いろいろな意見がある中で、地方六団体としての統一した案を取りまとめられたことは、敬意を表すべきものであり、これは、地方分権に向けての大きな前進であります。
   政府としては、11月半ばを目途に全体像を取りまとめることとしており、地方からの改革案を真摯に受け止め、三兆円規模の税源移譲と、それに結びつく国庫補助負担金の廃止縮減、そして地方交付税の見直しを、一体的に実現するよう全力で取り組みます。
   情報通信いわゆるICTにつきましては、「u‐Japan構想」により、2010年に向けて「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」簡単にネットワークにつながるユビキタスネット社会が実現するよう全力で取り組みます。
   まず、幅広い分野で活用できる電子タグ・センサー、情報家電等によるユビキタスネットワークの実現、情報セキュリティ確保、人材育成等に全力を挙げます。また、新規事業創出のため、競争環境の整備、次世代ネットワーク基盤の強化に取り組むとともに、電波利用料制度の見直しなど「電波開放戦略」を推進します。
   さらに、地上デジタル放送の全国展開を一層加速させるとともに、デジタルディバイドの是正、消費者行政の更なる充実、「アジア・ブロードバンド計画」など国際戦略の推進に積極的に取り組みます。
   電子政府・電子自治体につきましては、インターネットでの多様な行政サービスの提供や、業務やシステムの最適化に取り組み、あわせて、その基盤となる行政機関個人情報保護法等の施行に向けた準備を進めます。さらには、オンライン申請の基盤となる公的個人認証サービスの普及を図ります。
   郵政事業につきましては、日本郵政公社の健全な経営が確保されるとともに、国民の皆様に、より質の高いサービスが提供されるよう努めます。
   また、信書便事業については、本年9月末現在、51の事業者が参入しているところですが、引き続き、一層の参入の促進に努めます。
   今後の郵政事業の在り方につきましては、本年9月10日に「郵政民営化の基本方針」を閣議決定しました。今後とも、利用者の利便性が向上し、職員がより意欲を持って職務に取り組むことができ、国全体の観点からプラスとなることが必要と考えております。
   今年は豪雨や台風による災害が続発し、また、新潟県中越地震が発生いたしました。これらの災害に際し、消防庁長官の要請を受け派遣された緊急消防援助隊をはじめ、多くの消防職員や消防団員は、住民の避難や救助等のため、全力で取り組んでおられます。今後とも、緊急消防援助隊の充実や国民保護法の施行を受けた国民保護施策の円滑な実施により、大規模地震、テロ、有事等に対する対策を強力に推進するほか、消防防災全般にわたる施策を充実強化します。
   最後に、スポーツの拠点づくりの推進について申し上げます。現在、政府をあげて「地域再生」に向けた取り組みを推進しているところであります。例えば、野球の甲子園、ラグビーの花園のように、長年にわたって同じ場所で全国規模の大会が開催されているケースについては、その場所が青少年があこがれ、目標とする、いわば「メッカ」となっております。
   今後、文部科学大臣と協力しながら、青少年が参加する全国規模の各種スポーツ大会を、特定の地域において継続的に開催することにより、全国各地に、スポーツ毎の拠点を形成し、地域の再生につながるよう支援してまいります。
   副大臣及び大臣政務官とともに、全力を尽くしてまいりますので、木村委員長を始め、理事、委員の皆様の格段の御指導をお願い申し上げます。


  
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