平成18年 総務大臣・郵政民営化担当 年頭挨拶

総務大臣・郵政民営化担当 竹中 平蔵

 新年、明けましておめでとうございます。
 総務大臣・郵政民営化担当に就任してから初めての正月を迎えました。
 昨年は自然災害が多発し、多くの方が犠牲になりました。被害に遭われた方々に対して、心からお見舞い申し上げます。
 さて、総務省は、小泉内閣が進めている構造改革を断行し、政府の規模を大胆に縮減し、簡素で効率的な政府をつくるために、郵政民営化、三位一体の改革、公務員の人件費改革等、大変重要な改革を担っております。また、ユビキタスネット社会の実現、国民の安心・安全の確保等、国民の皆様の生活に本当に密着した幅広い行政分野に責任を有する役所でもあります。
 本年も、「改革なくして成長なし」、「民間にできることは民間に」、「地方にできることは地方に」という方針の下、我が国の大きな構造改革を進める立場から、その進展が国民の皆様に実感できますよう、引き続き諸課題解決に向け積極的に取り組んでいきたいと思います。以下、具体的な取組について述べさせていただきます。

 公務員の総人件費改革は小さくて効率的な政府を実現していく上で重要な課題であり、国家公務員及び地方公務員の定員、給与等を担当する大臣として全力で取り組んでまいります。
 国の行政機関の定員については、メリハリをつけつつも厳しい増員審査を行うことで、過去5年間の純減の倍にあたる5年間で1.5%以上、業務の大胆かつ構造的な見直しへの取組で3.5%以上、合わせて5%の純減の実現を図ります。
 国家公務員の給与については、給与構造の抜本的な改革等を着実に実施するほか、人事院に対して、官民給与比較の方法見直しについて、早急に総合的検討を行うよう要請しているところです。また、公務員制度改革についても、人事評価の試行に着手するなど、改革の推進を引き続き図ってまいります。
 一方、地方行革については、新地方行革指針に基づき、17年度中の集中改革プランの公表や各団体の取組状況を毎年度フォローアップし、その結果を公表するなど、一層積極的に取り組みます。
 電子政府・電子自治体については、2010年度までに国・地方公共団体に対する申請・届出などの手続におけるオンライン利用率を50%以上とすることを目標に利用者の視点に立ったオンライン手続の改善を図るほか、業務・システムの最適化を推進します。
 また、総合行政ネットワーク(LGWAN)、住民基本台帳ネットワークシステム、公的個人認証サービスなどの基盤を活用し、共同アウトソーシング等による効率的な電子自治体を推進するとともに、住民サービスの向上や地域コミュニティの活性化を図ります。
 政策評価については、政策評価と予算・決算の連携強化、重要政策に関する評価の徹底などに向け、去る12月に、「政策評価に関する基本方針」の改定等を行ったところであり、本年を「評価新時代」のスタートとして、新制度の下での評価を推進してまいります。
 恩給については、今後とも、恩給が国家補償を基本とする制度であること等を踏まえつつ、115万人の受給者の方々に対する適切な処遇に努めてまいります。
 統計については、統計業務の民間開放に向けた取組を進めるとともに、経済センサス(仮称)など産業構造の変化に対応した統計の整備や、統計法制度の抜本的見直しに取り組んでいきます。
 市町村合併については、本年3月末には団体数が1,821となる予定であり、その取組が全国で着実に進展しています。総務省としては、合併後の市町村が、合併してよかったと思えるようしっかり支援していくとともに、合併新法の下でも、引き続き市町村合併を推進していきます。
 また、住民基本台帳の閲覧制度については、何人でも閲覧を請求できる現行制度を廃止し、個人情報保護に十分留意した新たな制度として再構築してまいります。
 地方財政は、引き続き大幅な財源不足が生じるなど極めて厳しい状況にあります。このため、平成18年度地方財政対策においては、国の予算編成なども踏まえつつ、地方財政計画歳出の見直しに努めるとともに、地域において必要な行政課題に対しては適切に財源措置を行い、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保したところであります。
 税源移譲については、「基本方針2005」等に沿って、概ね3兆円規模の税源移譲を実現します。この移譲によって、個人住民税の所得割の税率をフラット化し、偏在性の少ない地方税体系の構築を進めながら、引き続き地方分権時代にふさわしい地方税中心の歳入構造を構築してまいります。
 本年は、政府の新しいICT戦略の開始年です。我が国が引き続き世界最先端のICT国家であり続け、世界を先導できるよう、2010年にはユビキタスネット社会を実現すべく、「u-Japan政策」を推進していきます。
 インフラ面では、IP化の進展に対応した競争政策を推進するとともに、電波の有効利用を促進する電波開放戦略等によりワイヤレスブロードバンド環境の構築を促進します。また、地域情報化の推進やブロードバンド基盤を全国的に整備し、デジタルディバイドの是正を推進します。更に、地上デジタル放送の2011年の完全移行に向けた普及・展開を加速するなど全放送メディアのデジタル化を推進していきます。
 利活用面では、医療・教育分野等におけるICT利活用の推進、ソフトパワーを喚起するコンテンツ流通環境の整備、ICT人材、ベンチャーの育成等に取り組みます。
 利用環境面では、サイバー攻撃対策の強化等ICTの安心・安全の確保、違法・有害情報対策等の消費者保護策の充実に取り組みます。
 また、研究開発戦略に基づき、新世代ネットワーク技術等の研究開発・標準化、アジアでの国際協力の一環としての官民一体による日本発の世界技術の振興等に取り組みます。
 更に、国民にとって「通信」か「放送」かという違いを意識することなく利用することが可能となっている中で、国民・利用者の素朴な疑問に応えられるよう通信・放送の在り方について検討を行います。
 次に、郵政民営化について申し上げます。
 昨年は、郵政民営化担当大臣として、関係者の皆様方のご支援とご協力を得て郵政民営化関連法案のとりまとめを行い、延べ220時間超に及ぶ国会でのご審議を経て、1014日に法案が成立、同21日に公布となりました。その後、11月には法律に基づき、総理を本部長とし全閣僚がメンバーである郵政民営化推進本部が発足いたしました。
 本年も、この関連法律に基づき、民営化に向けた準備を粛々と進めてまいります。この1月には、平成1910月に事業を開始する郵便事業会社、郵便局会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社の4つの新会社の持株会社となる日本郵政株式会社を準備企画会社として設立します。この日本郵政株式会社については、前三井住友銀行頭取の西川善文氏がCEOとして御就任されることが既に内定していますが、同社には、西川氏をはじめとした将来の経営者等で構成される経営委員会が設置され、日本郵政公社の業務等の承継に関する実施計画の作成など、民営化に向けた検討・準備が進められます。
 そして4月には、郵政民営化委員会が設置されます。同委員会は、郵政民営化が経営の自由度の拡大、民間とのイコール・フッティングの確保の両面のバランスをとりながら進められるよう、関係政省令の立案・制定にあたって意見を述べる等の責務を担っています。日本郵政公社の国際物流への進出についても、総務大臣が認可を行う際に意見を述べることとなっています。
 私としても、推進本部を中心に全閣僚と協力して、平成1910月の郵政民営化に向けた流れがしっかりと軌道に乗るよう努めてまいります。
 さらに、総務省としても、民営化に向けて日本郵政公社の経営基盤の一層の強化を図るため、中期経営目標の達成に向けた経営管理・営業推進体制の確立を促進します。
 また、郵便分野におけるリザーブドエリアの見直しと競争政策の在り方について検討を行います。
 消防関係では、近年、自然災害が後を絶たず、また、首都直下型地震等の大規模地震の発生も懸念されている中、国民の安心・安全を確保することは政府の基本的な責務であります。昨年8月には消防庁に国民保護・防災部を設置いたしましたが、引き続き体制の充実強化を図るとともに、緊急消防援助隊等の全国的観点から緊急対応体制の充実強化、消防団・自主防災組織等の地域における消防防災力の充実、有事に備えた国民保護について万全な体制づくりを進めてまいります。

 このように、総務省の抱える課題は、大変多くの分野に及んでおります。今後も、総務省の総合力を生かし、ひとつひとつの施策を確実に推進して、国民の皆様の生活がますます豊かなものとなるよう、努力していきたいと思います。また、小泉総理が改革の本丸と位置づける郵政民営化もしっかりとした形にするべく努力いたします。本年もよろしくお願い申し上げます。

  
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