第168国会(臨時会)

総務委員会における総務大臣発言

平成191018

【はじめに】
 総務大臣を拝命いたしました増田寛也でございます。
 総務委員会の御審議に先立ち、一言ごあいさつ申し上げます。
 私は、福田内閣の目指す「自立と共生」を政策の基本にしつつ、「希望と安心」の国づくりに向け、総務大臣として、各般の施策の推進に取り組みます。
 皆様には申すまでもございませんが、総務省は、国民生活に密着した幅広い行政分野を担っており、いずれもこれからの日本にとって極めて重要な分野であると考えております。私は前大臣の下で進められた取組を引き継ぎつつ、今年の四月まで十二年間、岩手県知事としての地方での経験も生かし、新たな視点で改革に全力で取り組んでいきたいと考えております。
 こうした考え方の下、「地方の元気が日本の力」を私の基本理念として、地方と都市の格差の拡大を防ぎ、地方の活力を取り戻すため、地方の声に耳を傾け、地方の再生に全力で取り組むとともに、地方自治体に対する一層の権限移譲、地方税財政の改革に取り組んでまいります。また、年金記録問題について、年金記録確認第三者委員会等において、しっかり取り組むことなどに重点を置いてまいりたいと考えております。さらに、二〇一一年の完全デジタル元年に向け、更なる通信・放送分野の改革を全力で推進してまいる所存です。
 以下、各分野について触れさせていただきます。

【1 行政改革の推進】
 まず、行政改革の推進についてであります。
 国の行政機関の定員については、平成十八年度からの五年間で五・七%以上、約一万九千人以上の純減目標を確実に達成します。その中で、メリハリのある定員配置を実現してまいります。また、この純減を円滑に進めるため、国家公務員の配置転換等の取組についても引き続き着実に実施してまいります。
 すべての独立行政法人を対象に年内を目途に策定される「独立行政法人整理合理化計画」の検討に併せて、本年中に中期目標期間終了時の組織・業務の見直しの結論を得ることとなる三十五法人については、徹底した見直しを進めます。
 国家公務員の給与については、去る八月の人事院勧告を踏まえ、本年度の取扱方針についてできるだけ早く結論を得た上で、今国会に所要の法案を提出することとしております。
 また、国家公務員の人事行政についても、能力・実績主義の人事管理の基礎となる人事評価制度の構築に向けた試行の実施、官民交流の推進、早期退職慣行の是正などに引き続き取り組み、公務員制度改革の着実な推進に努力します。
 政策評価については、その機能の発揮に向けて、本年末に経済財政諮問会議に対して重要な評価対象分野の選定等についての意見を述べるなど、同会議との連携強化を図るとともに、本年十月から義務付けられた規制の事前評価の的確な実施を推進します。
 行政評価・監視については、「原子力防災」を始めとして、国民の安全・安心の確保等の観点から、国民の関心が高いテーマについて、積極的かつ機動的に実施します。
 また、行政不服審査制度については、審理の迅速化を図りつつ、客観的かつ公正な審理手続を充実させる観点から、抜本的な見直しの作業を進めてまいります。

【2 年金記録問題】
 年金記録問題については、年金記録問題検証委員会において、その発生の経緯、原因、責任の所在等についての徹底的な検証を行った上で報告書を取りまとめていただくこととしており、その審議の促進に努めてまいります。
 また、まじめに保険料を払ってこられた方々が正しく年金を受け取ることができるよう、年金記録確認第三者委員会における公正かつ迅速な調査審議を支え、年金記録の訂正に結び付けてまいる所存であります。
 さらに、年金記録問題の解決に向けた対策等が着実に実施されるよう、年金業務・社会保険庁監視等委員会において監視を行ってまいります。

【3 地方分権の推進】
 次に、地方分権、地方行財政改革の推進についてであります。
 地方の自由度を拡大し、責任をもって行政を実施できる「地方が主役の国づくり」を目指していくことが重要です。そのため、国と地方の役割分担を徹底して見直し、権限や財源を地方にできる限りゆだね、地方の自立と責任を確立する地方分権改革に取り組んでまいります。
 また、引き続き市町村合併を推進するとともに、合併後の市町村のまちづくりを支援します。
 地方行革については、集中改革プランの着実な実施を促すとともに、地方行革新指針に基づき行政改革を一層推進します。
 地方公務員の定員・給与については、引き続き、定員純減や給与の適正化、国の給与構造改革を踏まえた取組等を更に徹底してまいります。
 地方公務員について、能力・実績主義の徹底と退職管理の適正確保を図るため、地方公務員法改正法案を提出しています。
 地方財政については、全国どのような地域であっても一定水準の行政サービスを提供できるようにするとともに、地方の再生に向けて自主的・主体的に活性化施策に取り組めるよう、地方税、地方交付税等の一般財源総額を確保してまいります。
 また、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の円滑な施行に努めるとともに、第三セクターの経営改革や公立病院改革の取組などを支援します。
 今後、地方分権を支える地方税を充実させることが何よりも必要であり、当面、国と地方の税収比一対一を目指し、地方税の充実を図ってまいります。
 また、地方法人二税を中心に税源が偏在するなど地方公共団体間で財政力に格差があることを踏まえ、地方間の税源の偏在の是正に取り組みます。
 さらに、「ふるさと」に対する納税者の貢献や関わりの深い地域への応援が可能となる税制上の方策の実現を目指します。

【4 魅力ある地域づくり】
 魅力ある地方の創出を一層促進するため、「頑張る地方応援プログラム」において、地方交付税等の財政支援に加えて、新たに先進市町村や民間の人材派遣、研修等を実施し、地域の人材の育成・活性化を支援してまいります。
 都市から地方への移住・交流の促進を図るとともに、時代に対応した新たな過疎対策を検討してまいります。
 個性的で魅力ある地域づくりには、地域コミュニティの役割も重要であり、その活性化に努めてまいります。
 また、私自らが直接地方の現場を見て、ご意見を伺う「くるまざ対話」を始めたところであり、今後、地方の声を反映させながら、地域の活性化に全力で取り組んでまいります。

【5 情報通信政策】
 情報通信はあらゆる社会経済活動の基盤であり、技術革新の成果と恩恵を全ての地域と国民に行き渡らせることが重要です。ICTによる生産性向上やテレワークなどICT利活用の取組を進め、地域活性化にも役立てる一方、二〇一一年の完全デジタル元年に向け、関係者とも連携しつつデジタル放送への完全移行に万全を期すとともに、ブロードバンド・ゼロ地域及び携帯電話不感地帯などのデジタル・ディバイドの解消に努めてまいります。
 また、人口減少社会の下での我が国経済を新たな成長のトレンドに乗せるため、「ユビキタス特区」における地域発・国際展開可能なICTサービス・事業モデルの確立など、ICT産業の国際競争力強化と地域の産業振興との相乗効果を図るとともに、新世代ネットワーク技術等の研究開発や、国際標準化活動の強化による我が国発の技術の国際展開を支援してまいります。
 通信・放送改革については、国民視聴者の信頼回復に向けたNHK改革などを内容とする放送制度の改正や、迅速・柔軟な電波利用の手続の創設、電気通信事業者に対する業務改善命令の要件の見直しなどのため、放送法等の一部改正法案を提出しておりますので、よろしくご審議をお願いいたします。さらに、「新競争促進プログラム二〇一〇」を踏まえた公正競争ルール整備や、通信・放送の融合・連携に対応した総合的な法体系、放送コンテンツの競争力強化に向けた制度等の検討を進めてまいります。
 これらの施策を通じ、ICTの恩恵を誰もが享受できるユビキタスネット社会の実現に努めます。
 電子政府については、申請・届出等手続に係るオンライン利用の促進及び業務・システムの最適化を、適時適切に評価を行いつつ、着実に推進します。

【6 郵政行政】
 郵政事業については、十月一日に郵政民営化がスタートしましたが、今後とも、各承継会社において、過疎地を含む郵便局ネットワーク水準やサービス水準の維持、コンプライアンスの徹底、経営の健全性の確保が確実になされるよう努めてまいります。
 信書便事業については、郵便のユニバーサルサービスに支障がないことを前提としつつ、諸外国の動向も踏まえ、競争の促進に努めてまいります。

【7 消防行政】
 国民の安心と安全の確保は、政府の基本的な責務であり、我が国の経済社会の基盤であります。
 しかし、本年も能登半島地震、中越沖地震など、大規模な災害で各地に大きな被害をもたらしております。
 また、首都直下地震等、大規模地震発生の切迫性が危惧されております。
 そのため、緊急消防援助隊の充実と機動力の強化を図るとともに、消防法の改正を踏まえて民間事業所における自衛消防力の確保を促進し、また、危険物事故防止対策の充実強化について検討を行うなど、消防防災対策を積極的に展開してまいります。

【8 統計行政】
 統計については、新統計法の成立を踏まえ、基本計画の策定など統計制度の抜本的改革を着実に推進してまいります。また、経済センサスなど産業構造の変化等に対応した統計の体系的整備を進めるとともに、統計業務の合理化・効率化に取り組んでまいります。

【むすび】
 副大臣及び大臣政務官とともに、全力を尽くしてまいりますので、渡辺委員長を始め、理事、委員の皆様の御指導をお願い申し上げます。



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