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報道資料

令和2年7月17日

「2019年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果」の公表

 総務省では、青少年のインターネット・リテラシーに関する実態調査を実施し、結果概要を「2019年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果」として取りまとめましたので、公表します。

1 経緯・内容

総務省では、青少年のインターネット・リテラシー向上のための前提として、特にインターネット上の危険・脅威に対応するための能力とその現状等を可視化するため、2011年度にこれらの能力を可視化するテスト(注)を指標として開発し、2012年度より毎年、高等学校1年生を対象に、青少年のインターネット・リテラシーを測るテストをインターネット等の利用状況に関するアンケートとあわせて実施してきました。

2019年度は57校・7,252名を対象に、テスト及びアンケートを実施した上、この結果を集計・分析し、「2019年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果」として別添PDFのとおり取りまとめました。

注:「青少年がインターネットを安全に安心して活用するためのリテラシー指標」=
ILAS(Internet Literacy Assessment indicator for Students)。インターネット・リテラシーの中でも、特に、インターネット上の危険・脅威への対応能力やモラルに配慮しつつ、的確な情報を判断するために必要な能力を、以下の3つの大分類、7つの中分類に整理し、それぞれに対応する多肢選択式問題を作成。数値化することにより、各能力を可視化した。

 〔青少年に必要なリスク対処能力〕

 1.インターネット上の違法コンテンツ、有害コンテンツに適切に対処できる能力
   【違法有害情報リスクへの対処能力】
  • a. 違法コンテンツの問題を理解し、適切に対処できる。【違法情報リスク】
  • b. 有害コンテンツの問題を理解し、適切に対処できる。【有害情報リスク】
 2. インターネット上で適切にコミュニケーションができる能力
   【不適正利用リスクへの対処能力】
  • a. 情報を読み取り、適切にコミュニケーションができる。【不適切接触リスク】
  • b. 電子商取引の問題を理解し、適切に対処できる。【不適正取引リスク】
  • c. 利用料金や時間の浪費に配慮して利用できる。【不適切利用リスク】
 3. プライパシー保護や適切なセキュリティ対策ができる能力
   【プライバシー・セキュリティリスクへの対処能力】
  • a. プライバシ一保護を図り利用できる。【プライバシーリスク】
  • b. 適切なセキュリティ対策を講じて利用できる。【セキュリティリスク】

2 調査結果のポイント

  • 上述のテストにおける全体の正答率(68.7%)は、過去4年間の平均(68.8%)とほぼ同等である。項目別に4年前と比較すると、「セキュリティリスク」の正答率が相対的に上昇している一方で、「不適切利用リスク」「有害情報リスク」の正答率が相対的に下降している。
     セキュリティリスク(ID・パスワード、ウイルス対策等):65.3%(2015年度)→ 66.8%(2019年度)
     不適切利用リスク(過大消費、依存、歩きスマホ、マナー等):82.4%(2015年度)→ 78.9%(2019年度)
     有害情報リスク(不適切投稿、炎上、閲覧制限等):68.2% (2015年度) → 66.0%(2019年度)
     
  • 高校生の97.5%がインターネット接続機器としてスマートフォンを保有。また、保有するインターネット接続機器のうち最もよく利用する機器として、高校生の92.5%がスマートフォンを挙げている。
     
  • スマートフォンの平日1日当たりの平均利用時間は、2時間〜3時間と答えた割合が最も多く(25.1%)、他の機器の平均利用時間に比べ利用時間が長い。また、スマートフォンの平日1日当たりの平均利用時間が2時間以上と答えた割合が約8割であり、昨年度(2018年度)の約7割(69.2%)と比べ、長時間利用の割合が増加している。テストの全体正答率に関して、スマートフォンの平日1日当たりの利用時間別に分析したところ、平均利用時間1時間未満と答えた割合が最も高く、利用時間が長いほど概ね正答率が低下する傾向にある。
     
  • 高校生の74.7%がフィルタリングを一定程度認知しており、フィルタリングを一定程度認知している高校生のうち、45.2%がフィルタリングを利用している。他方、フィルタリングをあまり知らない高校生(18.8%)のフィルタリングの利用率は20.1%である。
    ⇒〔考察〕フィルタリングの認知度は前年度の69.2%から74.7%と約5.5%増。この背景として、2019年8月に総務省の「青少年の安心・安全なインターネット利用環境整備に関するタスクフォース」で取りまとめられた「青少年のフィルタリング利用促進のための課題及び対策」が挙げられる。これを踏まえた関係者の周知啓発を含む取組が、フィルタリングの認知度向上に寄与したことが推察される。フィルタリングの更なる利用促進に向けては、引き続きフィルタリングサービスの認知を高めていくことが重要であると考えられる。
     
  • 高校生の74.7%がフィルタリングを「有害なサイトやアプリの閲覧を制限し、安心にインターネットを使うことを可能にしてくれるもの」と肯定的に捉えている。フィルタリングを肯定的に捉えている高校生のうち45.6%がフィルタリングを利用している。一方、高校生の10.2%がフィルタリングを「使いたいサイトやアプリを利用できなくする邪魔なもの」と否定的に捉えている。フィルタリングを否定的に捉えている高校生のうち33.6%がフィルタリングを利用している。また、フィルタリングに肯定・否定のいずれのイメージも持っていない高校生(15.1%)のフィルタリング利用率は18.1%である。
    ⇒〔考察〕フィルタリングの利用促進に向けては、フィルタリングの有用性や機能(サイト・アプリのカスタマイズ機能等を含む。)について、正確な情報を周知することが重要であると考えられる。
     
  • ペアレンタルコントロール機能(利用時間制限、利用状況確認、コンテンツの閲覧制限等)に関して、高校生の60.6%が「そもそもよく知らない」と答えており、高校生の32.2%が「スマートフォンの使い過ぎの防止等に役立つもの」と肯定的に捉えている。一方、高校生の7.1%が「保護者に利用時間を管理・制限されてしまう邪魔なもの」と否定的に捉えている。
    ⇒〔考察〕ペアレンタルコントロール機能については、高校生の60.6%が「そもそもよく知らない」と答えており、認知度を高めることが重要であると考えられる。
     
  • SNS等の利用について家庭や学校でのルールがある高校生の方が、ルールがない高校生に比べフィルタリング利用率が高い。
    • 家庭でのルールが「ある」高校生のフィルタリング利用率:53.7%
    • 家庭でのルールが「ない」高校生のフィルタリング利用率:30.5%
    • 学校でのルールが「ある」高校生のフィルタリング利用率:42.8%
    • 学校でのルールが「ない」高校生のフィルタリング利用率:37.6%
    特に、学校でのルールがある場合のフィルタリング利用率(42.8%)より、家庭でのルールがある場合のフィルタリング利用率(53.7%)の方が高い。
    ⇒〔考察〕フィルタリングの利用促進に向けては、家庭でのインターネット利用に係るルールづくり等、安心な利用に係る保護者の意識向上(普及啓発)が重要であると考えられる。
     
  • フィルタリングを利用している高校生(正答率:71.0%)の方が、フィルタリングを利用していない高校生(正答率:68.4%)に比べ、テスト全体の正答率が高い。また、家庭でのルールがある高校生(正答率:70.6%)の方が、ルールがない高校生(正答率:68.0%)に比べ正答率が高い。
     

3 参考

上記2.調査結果のポイントのとおり、青少年のスマートフォン(インターネット)の安全・安心な利用に関しては、利用時間の管理、フィルタリングやペアレンタルコントロール機能に係る適切な情報の周知・普及、家庭でのインターネット利用に係るルールづくり等が重要な課題であると考えられます。
このため、これらに関して理解を深める上で参考となる普及啓発資料を、次のとおりご紹介します。

【インターネットの安心・安全な利用に係る普及啓発資料関連】
インターネットトラブル事例集(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/jireishu.html

【青少年フィルタリングや利用時間管理等のペアレンタルコントロール機能等関連】
スマホの設定、うまく使いこなせていますか?〜フィルタリングや時間管理等で上手にコントロール〜(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000680335.pdf

子どもとネットのトリセツ(安心ネットづくり促進協議会)
https://www.kodomo-safety.org/

青少年の携帯電話利用について(一般社団法人 電気通信事業者協会)
https://www.tca.or.jp/mobile/approach.html

MVNOスマートフォン安心安全ガイド(一般社団法人 テレコムサービス協会)
https://www.telesa.or.jp/mvno-spaa-guide

【インターネット利用に係る家庭内ルール作成関連】
SNS利用ガイドライン・家庭内ルール作成のすすめ(安心ネットづくり促進協議会)
https://www.good-net.jp/safe-internet/guideline/

連絡先
総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第一課
(担当:萩原課長補佐、本村係長、田中官)
電話  :03-5253-5111(代表) 5867(直通)
FAX   :03-5253-5948
 

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