9月21日及び22日の2日間、総務省と米国国務省は、ワシントンD.C.にて、「インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話」(第8回局長級会合)を開催しました。本対話は、産業界が参加する官民会合と政府間会合の二部構成で実施しました。
この対話には、日本政府からは総務省のほか、内閣サイバーセキュリティセンター、個人情報保護委員会、外務省、経済産業省等が、米国政府からは国務省のほか、商務省、連邦通信委員会等が、産業界からは日本経済団体連合会及び在日米国商工会議所等が参加し、本年4月に日本経済団体連合会及び在日米国商工会議所から日米両政府にあてて提出された共同書簡を踏まえつつ、インターネットエコノミーに関する幅広い議題について対話が行われました。
対話の結果、対話の成果を麻生副総理とペンス副大統領が主導する次回の日米経済対話に報告することを確認しました。
また、両国において、特に、イタリア・トリノで開催されるG7情報通信・産業大臣会合や、アルゼンチンで開催される世界電気通信開発会議(WTDC)等の国際会議に向け、両国が緊密に連携をとることの重要性を確認しました。
1 第8回局長級会合の主な成果
(1) 国際協調
両国はマルチステークホルダー・アプローチに基づく、インターネット・ガバナンスの包摂的で開放的かつ透明な制度の重要性を強調しました。両国はG7、G20、OECD、APEC、フリーダム・オンライン連合、ITU、WSIS、ICANN、インターネット・ガバナンス・フォーラム等の国際フォーラムにおける、グローバルなインターネット政策に関する議論において、緊密に協力を続けることを決意しました。とりわけ、イタリア・トリノで開催されるG7情報通信・産業大臣会合や、アルゼンチンで開催される世界電気通信開発会議(WTDC)等の国際会議に向け、緊密に連携をすることの重要性を確認しました。
(2) 国境を越えたデータの流通とプライバシー保護
両国は、あらゆる規模のビジネスにとって、経済の既存分野や新たな分野における成長を促進する、デジタル経済とデータの自由な流通の重要性を確認しました。両国は、アジア太平洋経済協力の越境プライバシールール(APEC CBPR)についての共同での支持を含む、効果的な情報プライバシーに関する保護を推進するとともに、国境を越えた情報の自由な流通の重要性について継続的・緊密に協力していくことを確認しました。日米両国は、APEC CBPRシステムの実施並びに同システムへの参加国及び参加企業の拡大についてコミットしていること、そしてこの目的に向け協力していく両国の意思を再確認しました。
(3) デジタル貿易
両国は、自由で公正な貿易環境を推進し、データローカリゼーションを含む第三国によるデジタル貿易への制限、情報の自由な流通に対する制限、企業によるICT製品の購入や販売、使用に関する制限、市場アクセスの条件としてのソースコードやその他の技術の移転要求に異を唱えていくために、緊密に協力することの重要性を再確認しました。両国は、このような貿易制限措置が、しばしばサイバーセキュリティ防護として偽装されることを認識しました。両国は、営業秘密やその他の商業上の秘密情報を含む知的財産を保護すること及び商業的利益を目的としたICTによる知的財産の窃取に対し戦っていくことの重要性を強く確認しました。
(4) サイバーセキュリティ
両国は、インターネットエコノミーの成功のためのサイバーセキュリティの重要性を確認し、人材育成等、サイバーセキュリティ対処のための両国の能力を強化するための特定の国家のイニシアティブに関する情報を共有しました。
(5) 研究開発協力
参加者は、IoT(Internet of Things)、スマートシティ、次世代ネットワーク等の領域における研究開発協力の進展を歓迎しました。とりわけ、両国は、米国国立標準技術研究所(NIST)が主導するグローバル・シティ・チーム・チャレンジ(GCTC)における協力の進展を歓迎しました。両国は、米国の国立科学財団(NSF)と日本の国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)との間のスマートにつながるコミュニティを支える高信頼ネットワークに係る日米共同研究プロジェクト(JUNO)の協力の成功及びNSFと日本の国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)との間のスマートにつながるコミュニティ、サイバー・フィジカル・システム及びビッグデータに関する日米研究交流を構築する取組みに留意しました。両国は、日米科学技術協力合同委員会の枠組みを通じて研究開発協力に関する連携を継続することを強く確認しました。
(6) 電気通信および情報アクセスの拡大
両国は、インターネットプロトコル技術の進展に関連するネットワーク技術の移行や、投資を促進し競争を促す最近の規制手法の進展に関する経験を交換しました。さらに、米国は、障がい者のための放送におけるアクセシビリティを促進するための取組みに関する情報を提供しました。両国は、本対話に並行し、投資を促進し競争を促すよう設計された、オープン・アクセスや相互接続等のそれぞれの規制の進展について、より詳細な議論を行うため、エキスパート・レベルの協議も行いました。
(参考)第8回局長級会合 出席者
日本側:総務省今林顯一国際戦略局長をはじめ、総務省、内閣サイバーセキュリティセンター、個人情報保護委員会、
外務省、経済産業省、国立研究開発法人情報通信研究機構及び独立行政法人情報処理振興機構の関係者
米国側:国務省ロバート・ストレイヤー次官補代理(サイバー及び国際通信情報政策担当)、商務省ジェームス・サリバン
次官補代理(サービス担当)はじめ、国務省、商務省、連邦通信委員会、米国通商代表部、連邦取引委員会、
国土安全保障省、財務省、国立科学財団の関係者
2 今後の予定
次回局長級会合については、2018年中を目処に、日本において開催する予定です。
【関係報道資料】