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報道資料

平成21年2月4日

日本放送協会平成21年度収支予算等に付する総務大臣の意見

  総務省は、本日、日本放送協会(以下「協会」という。)平成21年度収支予算、事業計画及び資金計画に付する総務大臣の意見について、電波監理審議会に諮問し、諮問のとおり意見を付すことは適当である旨の答申を受けました。
  なお、総務大臣の意見は別紙のとおりです。
連絡先
情報流通行政局放送政策課
担当:飯嶋課長補佐、石井調整係長
電話:(代表)03-5253-5111 内線(5778)
   (直通)03-5253-5778
FAX : 03-5253-5779

別紙

日本放送協会平成21年度収支予算、事業計画及び資金計画に付する総務大臣意見

 平成23年7月に迫ったデジタル放送への完全移行や、放送・通信の融合の一層の進展等、放送をめぐる環境が大きく変化する中で、日本放送協会(以下「協会」という。)は、抜本的な経営改革を着実に推進し、国民・視聴者から信頼される公共放送として、その社会的使命を確実に果たしていくことが求められている。
 協会の平成21年度の収支予算、事業計画及び資金計画(以下「収支予算等」という。)については、「平成21〜23年度 NHK経営計画」(以下「経営計画」という。)の初年度として、経営計画で掲げた経営9方針に従い、視聴者の信頼を高めるため組織風土改革、信頼される多様で質の高い放送、受信料の公平負担に向けた取組の強化、円滑な完全デジタル化等の取組を確実に進めるとともに、経営資源を多様で質の高いコンテンツの提供、報道体制の強化、他メディアへの展開等に重点配分しつつ、経費を圧縮し効率化を進めることとしており、これを着実に遂行すべきものと認める。
 しかしながら、協会として、組織を挙げてコンプライアンスの確立に取り組んできたにもかかわらず、職員による不祥事はなお後を絶たず、協会においては、国民・視聴者からの信頼回復に向けて一層改革を進めていくことが必要である。
 また、依然として受信料を支払うべき者の約3割近くが不払いや未契約となっている現状を真しに受け止め、受信料の公平負担の徹底に向けて全力で取り組むことが必要である。
 その上で、協会においては、我が国の放送の発展等に資するべく、平成23年7月のデジタル放送への完全移行に向けてあまねく全国においてデジタル放送を受信できるよう措置する等、放送法において求められる公共放送としての使命を確実に遂行し、国民・視聴者の負託に応えることが求められる。
 以上を踏まえ、協会は、収支予算等の実施に当たり、特に下記の点に配意すべきである。

1  経営改革の推進
 公共放送としての役割や社会的使命を改めて認識し、経営委員会と執行部が緊密に連携しつつ、それぞれの役割を全うすることにより、改革の果実が国民・視聴者に適切に還元されるよう、組織一体となって改革の実現に全力で取り組むこと。
 また、職員によるインサイダー取引に続き、職員による経費の不正支出が再び発覚したことは、コンプライアンスの確立に向けた協会のこれまでの取組が十分でなかったことを改めて示すものであり、組織風土改革に徹底して取り組むとともに、公共放送に携わる者としての職員の高い倫理意識の確立に努めること。
2 受信料の公平負担の徹底
 受信料制度について国民・視聴者の理解が深まるよう、その意義や仕組み、改革に向けた協会の具体的取組について、保有するあらゆる媒体を通じた告知等を徹底すること。
 あわせて、未収対策業務の強化や民事手続きによる支払督促、事業所割引や業界団体による取りまとめの活用等の各種施策を推進し、受信料の公平負担の徹底に向けて全力で取り組むこと。
 さらに、視聴環境の変化や技術革新の動向等を踏まえ、国民・視聴者の視点に立った公平・公正かつ透明性のある受信料体系の確立に向けて、引き続き不断の見直しを行うこと。
 なお、受信契約に係る契約収納関係経費について、営業経費率が11.5%と依然として高い水準にあることにかんがみ、契約収納業務の一層の効率化を進め、契約収納関係経費の削減に努めること。
3 業務の合理化
 受信料を財源とする公共放送として、一層質の高い放送・サービスを、より効率的・効果的な体制で実施するため、業務全般について抜本的な見直しを行い、業務の合理化・効率化を徹底すること。
 あわせて、協会が任意に保有する子会社等について、更なる整理・統合計画の検討を進めるとともに、競争契約を一層推進し、また、財務状況に応じた適切な配当の実施を求める等、子会社等の事業運営の透明性、健全性の向上に努めること。
 また、受信料を主な財源とする公共放送として、国民・視聴者に対する説明責任を全うする観点から、協会や子会社の経営・業務等に関する情報公開を一層積極的に進めること。
4 地上テレビジョン放送のデジタル化
 平成23年7月のデジタル放送への完全移行に向けた対応に万全を期するため、中継局整備や協会が保有する共同受信施設のデジタル化を可能な限り前倒しをして取り組むとともに、デジタル化により電波が届かなくなる地域への対策等の受信環境の整備に関して公共放送としての役割を十二分に果たすこと。
 また、放送番組やスポット等の手段により国民・視聴者に対してきめ細かな周知・広報や受信者からの相談等に積極的に取り組むだけでなく、デジタル放送の魅力を国民に十分に認識いただけるよう、データ放送の活用やマルチ編成等のデジタル放送の特長を活かした番組制作にこれまで以上に、また、他の放送事業者に率先して取り組むこと。
 あわせて、地上・BSアナログ放送の終了について、視聴者の理解が深まるよう、情報の一元的・効率的な提供に努めること。
5 放送番組の充実
 放送番組の編集に当たっては、国民・視聴者の視点に立ち、その期待に応え、公共放送に対する多様な要望を満たすとともに、我が国の文化の向上に寄与するよう最大の努力を払うこと。
 特に報道番組については、日本及び世界の情報を迅速かつ的確に伝える等、その充実を図り、放送法の趣旨を十分に踏まえ、正確かつ公平な報道に対する国民・視聴者の負託に的確に応えるとともに、災害その他の緊急事態における報道体制を充実・強化し、緊急地震速報をはじめ被災者等に役立つ正確かつよりきめ細かな情報の一層迅速な提供に努めること。
 また、地域放送については、地域の抱える様々な課題に積極的に取り組むとともに、地域からの情報発信の強化に一層努めること。
 さらに、放送された番組に寄せられた国民・視聴者からの意見や要望に真しに耳を傾け、それらの意向を適切に反映するよう努めるとともに、視聴覚障害者向け放送普及行政の指針にのっとり、字幕放送や解説放送の計画的な継続・拡充に努めること。
6 国際放送の充実
 外国人向けテレビ国際放送の実施に当たっては、より多くの視聴者を確保するため、我が国の文化・産業等の発信を通じて我が国の対外イメージの向上等に資する番組の提供に努めること。また、国、地域の実情に応じた配信体制を整備するとともに、インターネットも活用すること。
 さらに、協会の国際放送子会社の事業運営について、民間企業との十分な連携により、その活力やノウハウが導入され、多様な収入源が確保されるよう努めること。
 ラジオ国際放送については、海外における聴取実態等を踏まえつつ、より一層効果的かつ効率的な実施に努めること。
7 番組アーカイブの活用
 協会の保有する放送番組等については、受信料を負担する国民・視聴者にとっての貴重な資産であることにかんがみ、その積極的な利活用を図ること。その際、NHKオンデマンドサービスをはじめ、多様なメディアを通じた利用環境の一層の充実を図ることにより、国民・視聴者の利便性の向上に努めること。

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