総務省トップ > 組織案内 > 研究会等 > 地域力創造に関する有識者会議 > 地域力創造に関する有識者会議(第8回)

地域力創造に関する有識者会議(第8回)

日時

平成22年1月19日(火) 13:00〜15:00

場所

三田共用会議所 第3特別会議室

議事次第

1.開会

2.議事
関係府省庁ヒアリングについて
   ・内閣官房 地域活性化統合事務局参事官 高田 寛文 様

事務局説明

委員間のフリートーキング  等

3.閉会

配布資料

議事録

平成22年1月19日

【月尾座長】  数回前から各府省庁の関連する施策について説明していただいておりますが、今日は内閣官房地域活性化統合事務局参事官の高田寛文様にお願いしたいと思います。その後、来年度に緑の分権改革という計画が始まるということなので、それについて事務局からご説明いただいて、自由に議論いただくということになります。
  最初に高田参事官から30分ほどお話しいただいて、その後30分ほど議論させていただきます。
【内閣官房地域活性化統合事務局参事官】  ご紹介をいただきました内閣官房の高田でございます。今日は私ども地域活性化統合事務局で取り組んでおります施策についてご説明をさせていただく貴重な機会をいただきまして、大変ありがとうございます。また有識者会議のメンバーの先生方には私どもの仕事に関しましていろいろな面でご理解をいただき、また大変ご協力をいただいているという面もございます。この場をおかりいたしまして、お礼を申し上げたいと思います。
  それでは早速でございますけれども、時間も限られておりますのでお手元の資料に沿いまして、私ども地域活性化統合事務局のいろいろな取り組みにつきましてご説明をさせていただきたいと思います。なお最初から言いわけをするようなことで申しわけありませんけれども、これまで各省からいろいろお話をお聞き取りいただいてこられたかと存じますが、私ども内閣官房あるいは内閣府としての面も持ち合わせておりますけれども、いずれにいたしましても特定の政策分野ということでの所管を持たない組織ということの性格上、説明のほうも全般にわたるというようなことにどうしてもなりがちかと思います。そういう意味ではおわかりいただきにくい面があろうかとは思いますが、私どもの仕事の性格上どうしてもそういった側面を持ってしまうということでお許しをいただければと思っております。
  早速ですが、おめくりいただきまして初めに2ページをまずごらんいただければと思います。
  活字がいっぱい詰まった資料で恐縮ですが、この2ページの絵が私ども地域活性化統合事務局の仕事の全貌を示させていただいたものでございます。この図でいいますと左側のほうに4つの箱が書いてありますけれども、都市再生、構造改革特区等この4つの法律に基づくさまざまな仕事というもの、これを法律に基づく政策ごとの柱として行ってきているものでございます。これがいわば法律をバッググラウンドにした、通常の業務としてあるものです。ただ2年少々前ですが、平成19年の秋に地域活性化統合事務局という形でこの4つの箱のそれぞれの業務を担当する組織が1つになったということがございます。そうした背景のもとで、それであればこの縦のそれぞれの法律ごとの流れだけではなくて、それをもう少し横ぐしを入れる形で対応するという考え方も仕事の中に取り入れていくべきではないのかと。こうした考え方で、ちょうど中ほどの一番上にございますけれども、組織の中で地域ブロックごとの担当という形をつくっております。そしてこの左側のそれぞれの法律ごとの枠組みに必ずしもとらわれることなく、それぞれの地域ごとにいろいろなご相談、例えば地域を元気にするための取り組みなどについていろいろな具体的なご相談をいただくわけですけれども、そういったものに対してましては、このブロック別という職員のグループの中で包括的に対応していくという考え方を入れております。そういう意味で、縦の流れと横の流れという2つを私どもの事務局の中に設けているという仕事の仕方をしております。
  この中でちょうど一番上のブルーの「政府一体となった」というところの下に白い箱がありまして、その下に青の背景で書いてあります「地方再生戦略に基づく取り組み」というのがあります。それから真ん中の一番下のほうに、今度は赤の背景がついたところですけれども、「都市と暮らしの発展プランに基づく取り組み」というものがございます。この2つがこれまでの私どもの事務局といいますか、政府全体の地域活性化に向けたいろいろな取り組みの1つの基本的な方向性をあらわす基本文書のような形で位置づけてまいりました。
  2つありますけれども、「地方再生戦略」のほうはどちらかといいますと地方都市でありますとか農山漁村、さらにはいろいろな条件が厳しい集落といったような、通常使われる言葉でのいわゆる地方部というものを特に対象として考えているというものでございます。ただ地域活性化という観点からいいますと、当然のことながらそういった地域だけではなくて、より大きな規模の都市ということも当然視野に入れていかなくてはいけません。そういう観点から、少し時期がおくれましたけれども、今度は都市部に目を向けました「都市と暮らしの発展プラン」というものも策定をいたしました。こういった2つの基本文書をもとに基本的に政府が一体となってさまざまな取り組みを進めていこうということにしておりまして、その中で私ども事務局も仕事をしているということでございます。
  この2つのものですけれども、これまで今申しましたような形で、政府としての地域活性化の取り組みの大きな方向性を示すものとしてございました。ご案内のとおり新しい政権になりまして、そのもとでこの地域活性化をどういった方向性を持って進めていくかということにつきましては、現在大きな方向性をどう組むかについての議論をさせていただいております。そのあたりのことについては、まだ具体的なことを現時点では申し上げられないという点についてはお許しをいただきたいと思いますが、そうしたことを今、進めているところです。
  それで戻っていただきまして1ページでは、今ごらんをいただきました政府全体としての地域活性化の取り組みの幾つかの箱に入っていたものを、もう少し具体的な形でお示しをする中で、私ども事務局の立ち位置のようなものをごらんいただくということでつくっているものです。
  今ごらんいただきましたように、4つの法律に基づく取り組みというのが、私どもの事務局の1つの仕事の流れになっておりますけれども、それがちょうどこの絵でいいますと、中ほど少し上に地域再生法という大きな箱がございます。その左下に都市再生特別措置法、そしてさらに少し小さくなっておりますが中心市街地活性化法、そして一番その下にまた構造改革特別区域法ということになっておりまして、この4つが今2ページでごらんいただきました左側の4本柱です。これは上のほうの黄色で色をつけているところでごらんいただきますと、いわゆる地域としてどういったようなエリアを対象とするかという考え方で見ていきますと、先ほども少し申し上げましたけれども、大都市を主に視点に入れているもの、あるいは地方都市のもの、さらには農山漁村、また基礎的条件の厳しい集落と、それぞれごとにはっきりとした線引きがあるわけではありませんが、おおむねこういったような位置づけになるであろうというものでございます。
  ただそれ以外に、私ども事務局で持っているものではありませんけれども、関係の各省庁でまた別の切り口で、地域活性化に資するさまざまな法律でありますとか施策体系というものを当然お持ちですので、それらをまとめてその両側に記載をさせていただいたというものです。左側のほうには産業・雇用政策という切り口で、経済産業省でありますとか農林水産省等々で所管をされている法律でありますとかあるいは組織といったようなものを書いておりますのと、右側のほうには、今度は資金ということに必ずしも限るわけではありませんけれども、いろいろな地方部あるいは地域での取り組みを行っていく上で、資金面での支援ということにも視点を当てたものとしてどんなものがあるかということで、今年度までとお聞きをしておりますけれども総務省で行っておられます頑張る地方応援プログラムでありますとか。あるいは地域活性化に資する各種交付金といったもの、これは一部私どものほうで予算を持っているものもありますが、そういったものが、これが資金の面としてあるであろうと。
  それから、これは具体的にどういうものが、というのがここに書けておりませんが、その下にはいわゆる地域の資金というものをその地域の中でプロジェクトに活用していく、そのエリアでその資金、お金を回していくというのでしょうか、そういうようなことがお金の面の話としては必要あるいは重要なのではないかという考え方で、この地域の資金等を地域活性化プロジェクトに誘導という、これは言ってみますと今あります制度とかあるいは仕組みというものといいますよりは、そういった考え方をここにお示しをしているものでございます。
  さらにはより広域的な、役割分担という表現が適当かどうかはありますけれども、より広域的な目から見て地域でのいろいろな取り組み、あるいは市町村間の、そういう意味では役割分担なのかもしれませんが、市町村の間での連携ということを考えたものとして、総務省で進めておられます定住自立圏構想といったものも当然視野に入れていく必要があるだろうと。こういうようなことで、真ん中に自分たちの持っているものを置いて大変恐縮ではありますけれども、おおむねこのような中で私ども事務局の立ち位置を考えておりますと。これは私どものほうでかいたものですので、もしかしたらそれぞれ省庁のほうでご異論があるかもしれませんけれども、私ども自身としてはこういうような立ち位置で仕事を考えているということでございます。
  それで具体的ないろいろな取り組みの話に入っていきたいと思いますが、ちょっとページを飛ばして恐縮ですけれども、初めに7ページをごらんいただきたいと思います。これが先ほどごらんいただきました4つの箱の中の1つ目でありますが、都市再生に係るものでございます。いずれのページも活字が多くてごらんいただきにくくて恐縮ですけれども、都市再生につきましては今ほどの絵でもありましたが、主に大都市のいわゆる都市機能の高度化いうことを中心に考えております。このページの中ほどに都市再生特別措置法の制定という記載がございまして、その下に都市再生緊急整備地域という記載がございます。こういった緊急整備地域というものを地方公共団体からの申し出に基づいて指定をする中で、例えばいろいろな規制の緩和、容積率等の規制の緩和でありますとか、あるいは資金の融通ということを行っていきまして、特に民間の活力を生かしながら都市機能の高度化を進めていこうという、そういった大きなフレームの中で取り組んでいるものです。
  具体的にちょうどその真ん中にありますように既に全国で65の地域についてこういったようなスキームの中で取り組みを行っているということでございます。一番新しいところで、そこに書いておりますけれども具体的には例えば東京駅、有楽町駅の周辺でありますとか、あるいは六本木周辺といったようなところが一番わかりやすい事例かと思いますけれども、そのほか地方部でも大阪とか高松とかそういった地方都市、大阪はちょっと別かもしれませんが高松でありますとか、そういった地方都市部でもこういった都市再生の取り組みというのを行ってきているというものです。
  それからその次の8ページ以下が2つ目の箱ですが、構造改革特区、いわゆる特区と言われているものでございます。これにつきましては一番上の横長の箱に入っておりますけれども、2つの性格を持ち合わせているものと考えております。
  1つは構造改革といいますか、いわゆる規制改革の観点です。これは直接的には、構造改革特区といいますのは、各省庁が持っているいわゆる規制を地域を限ってその規制を緩めるといったようなことで、最終的には全国的に展開することが可能であれば全国展開につなげるものでありますけれども、まずは地域を限ってではありますけれども規制を緩和するという仕組みですので、そういう意味では規制改革という観点がございます。ただ、今申しましたように地域を限定してということからスタートするという意味では、これを活用しようとする地方公共団体の立場からいいますと、まさに地域の活性化のこういうツールを使っていくというような視点も非常に重要なところではないかと思いますので、そういう両面を持ち合わせた仕組みだろうと考えております。
  ここに矢印のついた絵が書いてありますが、いずれにいたしましても提案あるいは計画の作成等々、すべて地方側あるいは民間も含めてですけれども、ボトムアップの形でこういった規制改革なり活性化なりを進めるといったような考え方でございます。そういう意味ではもう一つ全国的な規制の緩和を進めていくという意味でのいわゆる規制改革という大きな取り組みがありますけれども、こちらの場合にはどちらかといいますとトップダウンという形で進めるという基本的な考え方が今までの規制改革の中にはあったというように思いますが、構造改革特区の場合にはすぐれてボトムアップで進めていくという考え方に立脚をしているというものです。
  具体の事例といたしましてはその次のページにありますが、最も有名なのがこの左上にございます。これは日本のふるさと再生特区という遠野市の例ですが、いわゆるどぶろく特区と言われるもの、これは農家民宿でのどぶろくの生産の場合に生産量の最低基準というのを緩めるということでの特区になっておりますが、こういったものが一番典型的な例だろうと思っております。
  先ほどこの特区に関しましては、最終的には全国展開ができればそちらへつなげていくんだということを申し上げましたけれども、ちょうど今ほどの8ページの一番下のところに評価・調査委員会による評価というのがありまして、その右に指が3本出ておりますが、その中で全国展開を決定した特例措置が75件ございます。その下に特区で当分の間存続する特例措置が1件となっております。基本的には規制改革という観点からいきますとこの上の指にあります全国展開へつなげていくということになるわけですけれども、一方で、先ほど申しましたように地域活性化という視点、これが特区のもう一つの柱でして、そういう観点から、全国で展開をしていくというよりはむしろ特区として地域限定でその規制の緩和を維持していくことにこそ意味がある、というものについては全国展開をしないで残していると。その例が1件だけありますということで、これが今申し上げたどぶろくの例になっております。これについては全国展開ということにしませんで、あえて地域活性化の観点から特区という形態で存続させるということが、むしろ意味があるだろうという考え方に立っております。
  それからその次の10ページ以下が、これが3つ目の柱であります地域再生制度です。これにつきましては若干この説明資料でもおわかりいただきにくいところがあるかと思いますが、一番上の箱の中にありますように、地方公共団体で行う自主的な取り組み、特に地域経済の活性化とか地域における雇用機会の創出といったものを中心に置きまして、そのほかさまざまな形での地域の活力の再生ということを主眼に置いているという仕組みでございます。
  具体的に申し上げますと、これも地域において地方公共団体が民間の方などと協働しまして、その中で地域再生計画というものを策定していただく。その計画の中でこの10ページの左側のほうにありますようないろいろな支援メニュー、これは前もってお示しをしているものですが、こういったものを活用する中で総合的に地域の活力を再生していこうという取り組みを応援する、こういうことが基本的な考え方になっております。
  具体的に申しますと、この主な支援メニューの中にあります一番上の、いわゆる地域再生のための交付金と書いてありますが、省庁を横断してここにありますような生活密着型の公共施設の整備を進めていけるような交付金という仕組みを取り入れています。ですので、例えば道でありますと市町村道と例えば農道、林道といったように省庁をまたがる仕組みがありますし、汚水処理の場合ですと下水道とか集落排水あるいは合併処理浄化槽といったようなものがやはり同じように省庁横断的にあります。こういったものを地方公共団体の判断によりまして、どれにそのお金を充ててどういうものから整備をしていこうかというところを柔軟に対応できるような交付金の仕組みを設けておりまして、こういうものを計画の中で活用していただくという考え方でございます。
  いろいろなメニューが他にもありますけれども、代表的なものをこちらに5つほど掲げております。現在の状況といたしましては、今申し上げました交付金でありますとか、あるいはその次の丸にありますが、厚生労働省の施策メニューでありますけれども雇用創出のためのいろいろな施策をまとめたパッケージ事業と呼ばれております。こういったようなメニューを活用するためにこの地域再生の仕組みを使っている、という例が大変多くございます。
  11ページ、12ページは今、申し上げました支援メニューの中の幾つかをご説明をしたものですので省略をさせていただきたいと思いますが、こういったメニューを用いて取り組んだ例として、13ページに幾つか掲げております。ここにありますような例はこの地域再生のスキームだけではなくて、今ほど申し上げました構造改革特区でありますとか、あるいはこの後に出てまいります中心市街地活性化といった、私どものほうで持っております他の政策スキームと合わせ技で取り組んでいるというようなものもございまして、むしろ私どもとしては、そういう形で私ども事務局で持っているようないろいろなツールを複合的に使っていただくということで対応していただけることを、大いにお勧めしているところです。もちろんその辺のご判断は当然、各地方公共団体なり地域のほうでまずはお考えいただくということであるわけですけれども。
  それでその次の14ページが中心市街地活性化の関係でございます。これも仕組みについてはこの14ページにありますけれども、基本的には地方公共団体、市町村でその計画を策定し、そこに盛り込まれております事業について関係の省庁が一体となって支援をしていくといったような形でございます。特にこの計画では、これはこのページの表題に改正中心市街地活性化法というふうに書いてありますのは、従来からこの法律はありましたのですが、平成18年に改正をいたしまして、従来この左側のほうの中心市街地活性化基本計画の中では、その目標を明確に定量的に定めるというようなことがありませんでしたものですから、今申しましたように政府としてさまざまなメニューの中で支援をしていくということである以上は、やはりきちんとした計画期間、それでその間で実現すべき、達成すべき数値目標というようなものを位置づけていく必要があるだろうということで改正をいたしまして、そうした目標設定ということを明確に位置づけたものであります。
  そういう意味では平成18年度から新しいスキームの中で実施をしておりますので、この中心市街地活性化の新たな仕組みの中で地方公共団体の取り組みがどのような成果を上げているかということについても、今後きちんとしたフォローアップを行っていかなくてはいけないだろうということで考えております。具体的な例として2つほど挙げておりますのがその次のページで、青森市のいわゆるコンパクトシティの考え方でありますとか、あるいは富山市のライトレールですね、LRTですけれども、こういったような例がございます。
  このケースも、あるいは先ほどの地域再生のケースもそうなのですけれども、法律なりあるいはそれに基づく仕組みというのは私ども事務局で所管をしておりまして、地方公共団体、市町村からのいろいろなご相談等については私どもがまず一元的に受けて対応させていただいているんですが、具体的な支援のための事業メニューとか施策メニューということについては、私ども事務局自身で持っているものというのは非常に限られておりまして、むしろ今ほどの中心市街地活性化法でありますと経産省を中心としたいろいろな事業メニューでありますとか、あるいは地域再生の場合には先ほど厚生労働省のメニューをご紹介いたしましたけれども、そのほかにも各省庁数多くのメニューを用意していただいておりますけれども、そういうものを大いに活用する、各省庁の間での連携をこういった法律のスキームを通じながらきちんとした形で実現をしていく、こういうことを中心に考えながら進めているという状況でございます。
  それから16ページ、17ページには今ほど申し上げました4つの法律の仕事の流れとはちょっと別のものですけれども、環境モデル都市構想の推進という、これも私どもが今力を入れて進めているものの1つでございます。目的等についてはそこにいろいろと書いてありますけれども、現在のところ中ほどにありますように13の都市を、この環境モデル都市ということで選定をいたしておりまして、それぞれ今年度からですけれども、アクションプランを各地方団体に策定をしていただきまして、低炭素社会といいますか低炭素都市というんでしょうか、その実現に向けていろいろと具体的な取り組みを進めていただいているというものでます。環境モデル都市と銘打っておりますけれども、その中ほどの市町村名のところをごらんいただきますと必ずしも大都市とかあるいは中規模都市ばかりではございませんで、北海道の下川町でありますとかあるいは宮古島でありますとか高知の檮原町といったようなところも、この環境モデル都市の対象としております。
  具体的なそれぞれの団体ごとの取り組み例は17ページの地図に書いておりますけれども、私どもとしましては、この環境モデル都市というのはあくまでこの全国13のまさに文字どおりモデルでして、これを通じてほかの市町村においてもやはりこういった低炭素化に向けた具体的な取り組みを進めていっていただくということが大事だろうと思っております。その意味ではまた16ページのほうにお戻りいただいて恐縮ですけれども、16ページの一番下のところに書いておりますが低炭素都市推進協議会というものが、これは非常に意のある地方公共団体の方々でこういったものを創設していただいておりまして、現在168の団体がこのメンバーに入っております。これは市町村のみではありませんけれども、市町村としましてはその下にございますが85市町村という状況ですけれども、こういった形でできるだけすそ野を広く広げていくという取り組みを、私どももこの普及には協力をいろいろいたしておりますけれども、自治体サイドからのこういった取り組みというんでしょうか、この協議会を通じてすそ野を広げていくという方向性に非常に期待を持っているところです。
  その後のページからは、先ほど地方団体向けのいろいろな交付金というものも当事務局でお預かりしているものがありますということを申し上げました。その例としてこれも非常に活字が多くて恐縮ですけれども、似たような名前の交付金が何種類もございまして、18ページ、19ページそれから21ページは現在国会で審議をいただいております第2次補正予算に計上されているものですが、こういった地方公共団体がある意味自由度を高く活用いただけるような交付金を通じまして、まさに直接的には地方公共団体のさまざまな取り組みを支援していくということでありまして、できる限り地方の使い勝手のよい形でこういったような交付金を制度設計していくといったことを進めているところでございます。
  大変いろいろなことを少しずつ申し上げましたものですから、非常におわかりいただきにくい説明になってしまったかと思います。特に最初に見ていただきました都市再生から中心市街地にいたります4つの箱ですが、それぞれいろいろな制度の考え方なりあるいはその仕組みを持ったものでして、これはそれぞれいわれもあって、私も今の事務局の中でこのすべてのスキームを全部直接担当しているということでもありませんものですから、若干不十分なご説明になっている部分もあろうかと思います。まず一通り私のほうからの説明とさせていただきまして、またいろいろとご質問いただきましたことにお答えをさせていただきたいと思います。
  どうもありがとうございました。
【月尾座長】  ありがとうございました。幅広い施策をやっておられるということが分かりました。
  最初に全体にかかわることですが、今回の事業仕分けは、どのように影響しているかを御説明ください。
【内閣官房地域活性化統合事務局参事官】  私どもで持っておりますいろいろな施策の中で1つありましたのは、先ほど説明の中で飛ばしてしまったんですが、5ページ、6ページのところに地方の元気再生事業というのがございます。私どもでこの事業を進める中で、月尾座長と小田切先生にいろいろな形でご協力いただいているわけでございますが、この地方の元気再生事業につきましては、テーマを定めることなく地域からのいろいろな取り組みのまさに立ち上がりのところで支援をしていこうという考え方で、平成20年度からスタートいたしたものです。20年度・21年度と2カ年度そういった考え方で進めてまいりまして、実はこの立ち上がり支援という考え方のこの事業については、一たんこの仕組みは一応2カ年度までとしまして、さらに22年度においてはそういった取り組みの中から出てきたいろいろな、私どもボトルネックと呼んでおりましたけれども、そういうようなものを今度具体的に解決をしていく。そういうことができるような形のものに事業を組みかえていくということでやっていきたいと考えておったのですが、その事業に関しましては残念ながら事業仕分けの中でそのような取り組みを進めていくということについては非常に理解をいただいたのですけれども、具体的に予算を計上する中で行っていくということについては、そこは必要はないのではないかと、こういうようなことになりました。
  ですので、その考え方については先ほどお話ししました特にブロックでの横ぐしを刺した仕事の流れというのがございますので、こういう中で実際の地域の声をきちんと拾い上げて、それをまた各省との間できちんと連携をし調整をするという方向につなげていきたいと思っております。
【月尾座長】  それは簡単に言うと、これまでのように国が何十億円という予算を分けるという仕組みは終わったけれども、元気再生を支援することは何らかの方法で続けられると考えればいいのですか。
【内閣官房地域活性化統合事務局参事官】  具体的にこの元気再生事業で、先ほど申しましたように立ち上がってきたものについては、これは継続して何らかの形で私どもとしてもいろいろお話をお聞きした上で、例えば各省庁で持っておられるいろいろな施策のメニューがございますので、そういう中でこういうふうなものが使えるんではないかといった形につなげていけるように考えております。私どもの事務局は東京にありますけれども、それぞれ地域ごとの地方支分部局、農政局とか整備局のほうに私どもの窓口になるところも置いておりますので、そういうところとも連携をする中でそういったご相談に乗りながら、各省の施策をできるだけ使っていくということにしていこうということです。私ども自身で持っているお金というのは来年度はございませんので、そういう形で対応したいと思っております。
【江尻委員】  環境モデル都市について基本的なことですが、質問させていただきます。ここ13都市選定とありますけれども、これ以上選ぶ予定はないのですか。
  それを1つお聞きしたいのと選ばれた都市がプランをつくっていくということで活発に動いていくということにはなるのだろうと思います。たまたま二、三日前に千代田区の担当者の方とお会いしましたら、こんなに張り切っていいものかと思うくらいに張り切っていらっしゃいました。こうした取り組みが自治体を元気にしていくのかもしれないと思いました。東京都の自治体のいい事例、昼夜の人口が極端に異なるという特徴を生かしたいい事例となることを期待していますが、例えば5年とか7年とか10年とかというところで一たん評価をしていくとか、そのあたりのことはどのようににお考えになっていらっしゃるのか教えていただければと思います。
【内閣官房地域活性化統合事務局参事官】  まず13都市から広げるかどうかですけれども、今現在で具体的にこの数を増やしていこうかというようなことでの考え方を持っているわけではありませんけれども、むしろ先ほどお話ししましたようにこのモデル都市の取り組みを1つのきっかけにして、自治体側からの動きとして低炭素都市の推進協議会というものができてまいりました。こういう形で、環境モデル都市ではございませんけれども、各自治体がそれに追随するような形で低炭素都市化に向けた取り組みを進めていっていただくという方向が出てまいりましたので、これをいろいろな省庁のご協力もいただきながらできるだけ支援をするというような形で進めていくということかなと、今の時点では考えております。
  それから計画については、具体的にこれは大体5年間での計画をそれぞれのモデル都市で策定をいただいております。その5年たつまで何もしないということではなくて、もう既に具体的に動き出しておりますので、やはり実際の計画と取り組みの進捗状況がどういうことであるかということについては、もう少し小まめにフォローはしていくようにしなくてはいけないだろうと思っております。
【堂垣委員】  NHKの堂垣ですけれども2つありまして、1つはブロック別担当参事官制による窓口の一元化という形で省庁を2ページの今、表を見て言っているんですが、省庁横断とか施策横断による支援ということをやろうとしていることはすごくよくわかったんですけれども、これ現実的にどれくらい機能しているのかという……。例えばほんとうに地方で自分の地域を何とかしたいというところは、まず市役所に相談に行ったり県庁に相談に行ったりとか従来どおりの窓口で相談するという方が多いと思うんですけれども、この辺のところをほんとうにこの窓口が行ってもブロックごとにきちんとした問い合わせを今、受け付けられていてどれぐらい対応できているかみたいな、そういったことについてちょっと1つお伺いしたいのと。
  あともう一つは中心市街地活性化に関する事例で15ページのところで青森市の例なんか挙がっていますけれども、例えばこのコンパクトシティとして最近青森なんかすごくいい形で回り始めているなんて言われていますけれども、一方で今、新幹線の駅が多分今年でしたっけ? できるはずなんですが新青森駅というのは今のこの中心市街地としてやっている場所と結構離れた位置にできてしまったりするわけですよね。何かそういうちぐはぐなところというのを、どんなふうにお考えになっているのかというか、そのうまく変えていけるようなビジョンがあるのかということ。2点お伺いしたいと思います。
【内閣官房地域活性化統合事務局参事官】  まず1点目のブロック別ということで、先ほど申し上げたところでございます。おっしゃるとおりで実は私どもも、そういう形で実際に事務局の中の体制を組んでおりまして、そういう方向を常に強く志向しながらいろいろ進めておりますけれども、なかなかやはり現実の中で100%地方あるいは地域からの声に対してきちんとこたえられているか、あるいはきちんとそういうものをくみ上げられているかといいますと、やはりまだまだ課題があるだろうと思っております。1つには、私どもは永田町に事務所がありますけれども、全国からそちらのほうへ直接相談をということもなかなか難しい。もちろん私どもはウエルカムではあるんですけれども、いろいろ具体のお話となった場合にまずはその前のステップとして、先ほど申しましたけれどもそれぞれの地域ブロックで各省の地方支分部局ですが、農政局とか地方整備局とか経産局の主に企画の部門の方を私どもの内閣官房と身分的には併任をかけておりまして、私どもの地方連絡室という位置づけにさせていただいております。ですので、まずそこで一たん受けていただいてそういった各省の関係の機関ですので、そちらのほうでお答えいただけるものはお答えいただくということがいいだろうと思っております。その場合にも省庁をまたがるような話であれば、今のような各局の間での風通しをよくしていただけるよう努めております。
  さらに、それよりも東京ベースでいろいろ話をしなくてはというようなことは当然ありますので、そういうものは私ども事務局のブロックの窓口のほうへ遠慮なく上げてくださいということは申し上げてきております。ですので、あとはやはりいろいろな情報の流れ、これはそういった地域からこちらのほうへ向けていただく情報もそうですし、あるいは私どものほうからお伝えするというようなものも当然あると思っておりますけれども、そこを今まで以上に十分にできるようにするというあたりが課題かなと思っております。具体的にはなかなか難しいところが多いんですけれども、これは私ども事務局の中でもかなり共有された意識でありますので、細かなことからになるかと思いますけれども、そういう情報の行き来というものを、もう少しきちんとした形でできるように考えていかなくてはいけないなというのが今の思いです。あまりお答えになってなくて恐縮でございます。
  それから中心市街地活性化のケースでの話ですけれども、私はあまり具体的な事情を存じ上げてなくて恐縮なんですが、基本的には中心市街地活性化も先ほど申しましたように、市町村のほうでどういうまちづくりをするかということをお考えいただいて、そこでの計画をベースにいろいろな支援メニューを講じていこうというところです。もちろんその相談をいただく中で、いろいろなアドバイスはさせていただくところあると思うんですが、基本的にはどういったような将来ビジョンを持って、どういうようなまちをつくっていくかということについては、市町村側の考え方というものをやはり大事にしていくということではないかなと思っております。
【飯盛委員】  慶応大学の飯盛と申します。今日は貴重なお話ありがとうございました。
  いろいろとご説明をいただいて、地方の元気再生事業にしてもこの特区にしてもいろいろな地域に伺いますと、この事業を利用してほんとうに地域の方々一生懸命やっていらっしゃるという姿をあちこちで拝見をしまして、地方の元気などこの事業の地域に与える影響というものは非常にとても大きかったしよかったなと思っています。一番よかったポイントというのは、やっぱりこの地域の人たちが主体性を持って自分たちの町をどうしようということを考えるきっかけになったというのが一番大きいと思うんですね。そういう特に地域、この資料の中にも少し触れていらっしゃいますけれども、地域の資源をどう見て展開をするかという中で重要なポイント、最初に来るのはやっぱり自分たちの地域の資源は何かということを見きわめることだと思うんですけれども、そこら辺に対するメニューがこの地域の例えばその元気再生事業とかが非常にうまく機能した地域があったんじゃないかと、応募したところはそういうところを一生懸命考えてやっていらっしゃるんじゃないかと思います。
  ただ今のちょっとお話では22年度にフォローアップというところでは予算がつかなかったというお話もちょっとありましたけれども、こういう地域の人たちの主体性をはぐくんで、また真の地域社会を実現するという意味でのこのまさに再生事業のコンセプトである立ち上がり段階におけるいろいろな取り組みを支援するということについては大賛成で、ぜひそういう方向性がまた継続されればと願っています。こういうものというのは多分成果が出るまで結構時間がかかると思います。当然持続性とか継続性は最初から検討していかないといけないと思うんですが、そういうことをきちんと前提にはしておかないといけないと思いますが、ただやっぱりこのスタートアップ時期のフォロー、支援というのはそのさっき申し上げたような主体性をはぐくむということには非常にいいと。そうするとこの22年度の方向性、まだ今、一部申し上げることはできないとおっしゃいましたけれども、そういう地域の方々に気づきを与えて主体性、自分たちが地域の主人公なんだというような主体性をはぐくむようなスタートアップ時からの支援の仕組みというものは何か、今の段階で言えることで結構ですので何かおありになりますでしょうか。
【内閣官房地域活性化統合事務局参事官】  大変重要なといいますか、まさにこの元気再生事業を2カ年度行い、数が大変多い中で、いろいろな取り組みの度合いに差はございますけれども、やはりいろいろな地域の方が、まずとにかくどうしていったらいいのかというところに取りかかったということが全国でスタートしてきたということ、それは大切にしていかなくちゃいけないだろうと思っております。
  具体的には、そのフォローについては先ほども申し上げたような形で取り組まざるを得ないというところが、少なくとも予算面ではありますので、それをどのようにいかに効果的にやっていくかということに、むしろ力を注いでいくということになるかと思います。それから、今ほどのこの元気再生事業で動き出したことのフォローといいますか、そういう芽をさらにほかの取り組みの中でも、ということですけれども、なかなか今の時点で具体的にどういう施策で行うかということについては、例えば元気再生事業のような具体的な事業というようなものではないのですけれども、まさに先ほども申し上げましたが、私どもの持っているブロック体制で地域からのいろいろな提案なりあるいは地域で抱えておられる課題なりについて、それをどうくみ上げて、これは私ども事務局だけでは解決できませんので、それに対して各省との間でどのようにうまくそれを組み立てていくかというような、どちらかというとまさに私ども事務局での本来の仕事になっていくということがあるのかなと思っています。
  それを具体的にどういうような形で、つまり仕事のやり方とか体制とかについては、冒頭も少し申し上げましたけれども、これからいろいろとまた大臣、副大臣等ともご相談をする中で、一定の方向をきちんとつくっていこうと思っております。さらにそれに具体的な肉づけを当然しなくてはいけませんので、これから今年度もうあまり時間ありませんが、その中できちんと考えていきたいと思っております。あまり明確なお答えにならなくて大変申しわけありませんけれども。
【小田切委員】  はい、どうもありがとうございました。小田切でございます。
  私、意見を1つと質問を1つ申し上げます。
  意見についてなんですが、今の飯盛先生と全く同じことでございまして、これむしろ意見というもつぶやきということでお聞きいただきたいんですが。元気再生事業が2年間続いて大変大きな成果があったというふうに思っております。私も月尾座長のもとでお手伝いをさせていただいたわけなんですが、その同じ魂を持った後継事業が事業仕分けの中でこれは地方にゆだねるという結果だったでしょうか。いずれにしても継続できなかったということは大変残念だと思っております。と申しますのは今、飯盛先生おっしゃっていただいたように地域の主体性を引き出すという事業であったと同時に、私が注目したいのは実験事業だったということであります。おそらく今、市町村なり県なりが打率7割とか5割とかそういう事業を展開する余裕はなかなかないんだろうと思いますが、そうではなく国レベルで実験事業をすることによってそれは必ずしも打率10割ではない、場合によっては7割かもしれない、5割かもしれない。そういった可能性の中で場合によったら失敗したことの教訓も踏まえてそれを一種の整理する力あるいはそういう余裕は国しかない。それで、だからこそ国がこのタイプの事業を今後とも私自身は持つべきだろう。これは地方にゆだねるのではなく、これこそ国が持つべきだろうというふうに思っているものですから、その点でそれが通じなかったというところが残念だと思っております。
  それから2番目は単純な質問なんですが、今回初めて知ったことも幾つかあって大変勉強させていたただいたんですが、10ページの地域再生制度の中で私全く知らなかったことがありました。地域再生協議会が任意で設立されるという、ここの仕組みでして、多分この協議会がどこまで活性化しているのかというのが、この地域再生制度の1つのポイントかなと思っております。
  例えばほかの省庁では同様の協議会をつくってこれを法人化を進めようじゃないかとなんていう議論も内々出ているという話も聞いておりまして。この再生協議会がいわば民間と地方公共団体の大きな話で言えば新たな公共空間といいましょうか、そういうものを実現している事例がどれぐらいあるのか。そうではなくよく見られるように非常に形式的なものでとどまっているのがどのくらいあるのか。これはお答えしづらいところだと思いますが。事例的なことを言っていただくと頭の中にすっと入ってくるんですが、よろしくお願いいたします。
【内閣官房地域活性化統合事務局参事官】  1点目のほうは元気事業の関係でございますけれども、私どもとしてはしっかりプレゼンしたつもりだったのですが、いずれにいたしましても、今後私どもが事務局の中にありますいろいろなリソースを生かしながら、地方公共団体なりあるいは地域でいろいろ取り組みをされる方々と問題意識を共有しながら、先ほどお話ししたように具体的なツールとしてはいろいろ各省でお持ちのものなどを使っていく中で支援するという形で取り組みをしていくということが、来年度からは基本になってくるだろうと思います。そのやり方が最大限効果的に進むような形を、これは私ども内部もそうですし、あるいは先ほどお話ししました地方連絡室とのいろいろなつなぎ方ということも含めて、よく考えていきたいと思っております。
  それから2つ目の地域再生の協議会の関係ですけれども、地域再生計画といいますのは先生ご案内のとおりで、その地域におけるいろいろな特定のテーマ、課題を、支援メニューを活用する中で解決していく、これは地方公共団体の取り組みだけではできない部分というのは当然多いと思います。特に雇用とかそういう話が主題に上がってくるときには、当然民間のセクターも参加していただかなくてはいけないとなります。そういう中で、その両者でやはりいろいろな問題意識をきちんと共有をして同じ方向性を定めて、そこで地方団体はどういうようなことをやっていくのかというような役割分担などをきちんと決めていく、そういう場として協議会組織というのがあります。基本的にここで何かを決めるというような場ということでは必ずしもないんですけれども、そういう地域での一定の課題について取り組むときに、きちんとした方向性の共有をするための場としては有効に生きる、生かせる可能性というのは非常に高いと思います。
  大変申しわけありませんが、現在のところこれがうまくいっているケースとなかなかうまくいっていない場合と、具体的にどういうような事例があるかというのを私も今持ち合わせておらないので、具体的なものとしてはお答えができないんですけれども、地方公共団体からのアンケートなどを見ておりますと、やはりこの協議会がもう少しきちんと生きた形で活用できるようなことを考えておられる、というところが多いように記憶しております。ですので、そういう意味でもこの協議会組織というものを、法律のスキームの中でまさに今申し上げたような形で使っていただくことだと思うのですが、それを1つのきっかけにして公と民間のいろいろな調整というようなことが機能し得る場として生かしていただくことは可能だと思います。またこれも地方団体のほうからご相談があれば、そういうことも含めてぜひ有効に使っていただくように進めていきたいと思います。
【杉沢委員】  少し観点を変えて私のほうからはご質問したいと思います。
  4ページのところで都市と暮らしの発展プランというお話がありまして、そこからちょっとこの3つのこの輪の中で、サークルの中で環境問題というところにどんどん話が深まっていったと思うんですが、この輪の一番上に書いてあります安全・安心で豊かな都市生活を実現していくんだというところにあまり議論が行っていないような気がして。私はこの地域力とか地域の元気ということで、これまで人をつくっていったりその地域が元気になって発展していくということをその地域力だというふうにとらえたいというような思いがしていたんですが、今日のご説明をいただいてやっぱりこの一番上の安心で安全に暮らせるということが力になるんじゃないかという思いがしてきました。
  そのあたり特にここへ来て派遣切りや年越し派遣村に多くの人が集まるというような実態、仕事をして家庭を得て家族を養って子供を育てていくんだという当たり前のことが当たり前にできない状況がここへ来て起こっている。あるいは1月17日が阪神大震災15年ということで大分また当時のことを思い出す機会がありました。それからハイチの大震災で世界的にも災害に対する備えというのがどうなんだというここへ来て考えさせられるような自然の災害が起きたということで、やっぱり地域の力というのはそういう緊急なことに対応できる力ということも大事に考えなくちゃいけないんじゃないかと思ったときに、この安心・安全で命を守っていくんだということをやっぱり国は一番やらなきゃならないことであるし、統括していく内閣府の一番求められる責任ではないかと思うので。ここの辺のその議論を少し深めていただきたい。この黒いポツの中で防犯のまちづくりであるとかあるいは一番トップの基幹的な防災拠点の整備だとかというあたりに対して、どのような取り組みをされているかということをちょっとここで振り返ってもう少しお話がいただければと思います。
【内閣官房地域活性化統合事務局参事官】  具体的に安全・安心の観点でどういう取り組みがというのを、申しわけないのですが私も具体的な形で今持ち合わせておりませんので、具体的なお話ができないのですが。
  いずれにしましても特に都市という観点で見ましたときに、まずは当然ここにあります環境の問題とか国際競争力とかという柱ももちろんですけれども、その前提としてまずそこで人が安心して暮らせるということがなくてはならないというのが、まさにご指摘のとおりだろうと思います。ですので、これも私どもとしてはこういうプランの中で安全・安心ということを1つの大きな柱と位置づけをしまして、これについてはもちろんいろいろな省庁でいろいろな施策を持っておりますし、私どものほうでも例えば防災という横断的なものを内閣府で担当するセクションもございます。ですので、そういうところの具体の取り組みと相まって、それぞれ都市の皆さん方が活用される、あるいは先ほどお話ししたような特に大都市の場合でありますと、大都市の整備、機能向上という中でそういうものを具体的にどう織り込んでいくかという議論は、当然、国側である私どもと実際にいろいろな整備を進められる地方団体なりあるいは民間セクターの方々との間で、きちんと議論をしていく必要はあるとは思っております。
  ただ安全・安心ということでいいますと、一面ではこれは都市に限る話ではないだろうということもありますので、いろいろな地域の活性化という観点の1つのベースラインになる部分だろうと思います。その辺の具体の取り組みについては、実際に地方公共団体の皆さん方がどういうことをお考えになって、例えばこういう面での国側からのいろいろな支援というものがもしもう少しあればというお話があれば、そういうものをどうやって具体化できるかということで知恵を絞っていくようにしたいと思います。
  具体的な議論なり取り組みなりということでのご質問に対するお答えにはなっておりませんけれども、考え方としてはそのようなことです。非常に粗々の話で申しわけありませんけれども、現在私が考えているところでございます。
【月尾座長】  ありがとうございました。
  次に進ませていただきます。冒頭にも申し上げました緑の分権改革という新しい考え方についてご説明いただくことと、来年度の地域力創造グループの予算案についてご説明いただくということで、地域自立応援課長からお願いします。
【地域自立応援課長】  地域自立応援課長の原田でございます。本来でしたら地域政策課長の黒田のほうからご説明させていただくところでございますが、急用が入りましたので私のほうから説明をさせていただきます。
  お手元に第8回有識者会議資料ということで、もう1束準備させていただいております。1枚おめくりいただきますと地域力の創造・地方の再生というところが掲げてございます。昨年の12月22日に原口総務大臣から原口ビジョンを出させていただき、それを踏まえまして年末の12月30日に閣議決定されました新成長戦略の中にも同様のものが位置づけられておりますけれども、地域の資源を最大限に活用して地域力を高めるための多様な取り組みを展開できるよう支援していくということが、大きな柱になっております。3つございまして1つが先ほど座長のほうから言及いただきました緑の分権改革でございます。また2つ目が定住自立圏構想、3つ目が過疎地域などの条件不利地域の自立・活性化の支援でございます。
  簡単に触れさせていただきますと1つ目の緑の分権改革は地域資源、さまざまなものがございます。特に最近は環境問題が非常に注目を集めておりますけれども、そういう環境問題、またエネルギー問題、食料、歴史遺産、歴史文化資産、また資金の問題。このようなものを最大限に地域で活用できる仕組みをつくり上げていくということで、中央集権型の社会構造から分散自立型、地産地消型また地域の自給力と地域の富をつくる力、創富力というふうに言っておりますけれども高める地域主権型社会への転換を目指すということで、取り組み状況は後ほどまた詳しく説明させていただきます。また定住自立圏構想も昨年の4月から本格的に始めて、現在全国で展開が相当進んできているところでございます。また過疎地域の条件不利地域、今、過疎法の延長の問題が議論になっておりまして、間もなく結論が出てくるような状況になっておりますけれども、このような3本の柱の中で議論をしております。
  その中の緑の分権改革がもう1枚、2ページ目のところ見ていただきますと、緑の分権改革とはということで地域におきまして少子高齢化、人口減少社会、まさに過密なき過疎という時代が到来した中で地方は大変厳しい財政状況の中にございます。そんな中で特に地方圏というのは非常に厳しい状況になっておりますけれども、そのような中で地域主権の確立、また低炭素型社会への転換というものが強く求められております。
  そのような中でまさに緑の分権改革というのは、それぞれの地域が森や里、海、自然、それにはぐくまれる水といったような豊かな資源、そこから生み出される食料やエネルギー、歴史文化資産というものの価値を把握して、それらを最大限活用できるような仕組みをつくり上げていくと。そんな中からきずなの再生を図り、地域から人材や資金が流出する中央集権型の社会構造から分散自立型、地産地消型社会、また地域の自給力と創富力と高める地域主権型社会への転換を実現しようというものです。
  よくエネルギーの問題、エネルギーの供給構造についてもいろいろな指摘がありまして、まさに再生可能なクリーンエネルギーをできるだけ地域で活用していく必要があるにもかかわらず、現状はなかなかそうはなっていない。大規模発電というものが繰り返され、東京への一極集中になっているような現状がございます。そのようなものを今後この低炭素型社会に向けてこのクリーンエネルギーを十二分に活用して、まさに集中から分散へ、地域でエネルギーを使う側から一方でつくる側へまわるという姿も思い描いています。
  また食料に関しましても、非常に身近な問題ではありますし、豊かな自然の中で地域で生産をして消費していくという昔ながらの生活が、随分、形が変わっています。価格の安い例えば輸入の食料の中で実は地域の農業というものが崩壊の危機に瀕しているというようなこともございます。そのようなエネルギー、食料に対する問題意識、このようなものを私ども出発点としまして、地域主権型社会というものを確立していくものがこの緑の分権改革でございます。
  2つ目でございますけれども、現在地域主権の確立というために義務づけ・枠づけの見直し、権限移譲、また直轄事業負担金の廃止、一括交付金化といったさまざまな取り組みが進められております。行財政の制度の改革が進められておりまして、このような中で住民自治、地方公共団体の権限と責任はこれまでに比べて飛躍的に高まってまいります。地域で自分たちの発想でいろいろできるような時代が、もうまさに目の前に来ております。緑の分権改革はそのような制度の改革にあわせまして個々人の生活なり地域の経済についても地域から人材とか資金が流出していくような構造から、人材とか食料、エネルギーといったようなものを地域でできる限り有効に活用されるような構造に変えていく。そのようなことによって全体のものの動きを変革してくことで地域の力、自給力、創富力を高めていくような社会システム全般の構築を目指していくことを考えています。
  それで1枚めくっていただきますと3ページでございます。地域主権型社会というものの実現を目指していくことは基本的にはそれぞれの地域の創意工夫で総合的な取り組みが我々期待されると思っていますし、地域独自の判断がございます。ただこの構想も新しい構想ですので、我々もさまざまなお手伝い、支援をしていく必要があろうかと思っております。
  1つは第2次補正予算の閣議決定の後に総務省として、緑の分権改革推進本部を設置しました。これは総務省の中にいろいろな部署がございますので省内横断的な組織ですし、あわせて地域力創造審議官のもとに緑の分権改革推進室を設置いたしました。
  また22年度当初予算と21年度の2次補正予算ですけれども、まず(3)の21年度の第2次補正予算でございます。補正予算が39億円ついておりまして、基礎的な条件整備としてクリーンエネルギー資源がどれぐらい地域にあるのかという賦存量の調査とクリーンエネルギーの具体的な事業展開のための先行実施の調査と実証調査を予定していまして、現在提案を受けている状況でございます。
  また22年度には21年度の調査を踏まえまして研究会を設置しましていろいろ検討いただくこととあわせまして先行的な取り組みをしている自治体に対して委託調査を実施したいと思っております。
  このようなこと先立ちまして現在地方公共団体はじめ各方面から意見を募集しています。いろいろな提案が地域の考えを踏まえて、我々は支援方策を考えていきたいというように思っています。
  それと5番目でございますが、22年度までの取り組みを踏まえまして幅広くいろいろな情報を周知していく。あわせて我々としても必要があれば規制緩和、法整備といったような支援策というものを講じることにより、緑の分権改革を積極的に推進していくことにしているところでございます。
  次のページでございますが、そこに22年度の私どもグループの予算案というのがあります。詳しくはお手元の資料を見ていただくことで省略させていただきたいと思いますが、22年度の緑の分権改革の推進関係の調査事業1億6,000万が現在予算案として組まれております。またこの有識者会議の中間取りまとめの中でも地域力の創造の基本は人材力の強化というようなご提言もいただいています。そのようなことを踏まえまして3つ目の人材育成というところで地域人材力活性化事業、また新規としまして人材力活性化プログラムの策定事業、NPO、企業、地域団体等との連携により、官民連携型人材育成普及のための実証研究事業といったようなものも今回予算化をしておりまして、人材育成にこれまで以上に取り組んでいきたいと考えています。そのほか、地域協働、過疎対策、電子自治体など、地域力創造グループの予算の資料をあとにつけさせていただいておりますので、ごらんをいただきまして何かご質問ございましたらいつでもご連絡いただければと思っております。
【月尾座長】  ありがとうございました。今後どうするかということとも、この会議が何を議論し、どのようにまとめるかということとも関係するので、今後の進め方を地域振興室長からご説明いただきたいと思います。
【地域振興室長】  今後の進め方につきまして事務局のほうからご説明申し上げます。お手元のほうに今後の進め方について(案)という1枚の紙を、ペーパーを用意させていただいておりますのでごらんいただければと思っております。
  この本有識者会議におきましては平成20年11月以来今回まで8回にわたりまして会議を開催していただきまして、貴重なご意見をちょうだいしたところでございます。昨年は4回の会議を経まして人材力の強化に向けた取り組みということを主な内容としました中間取りまとめを行っていただいたところでございます。またその後5回目以降でございますが、地域資源の活用に向けた取り組みということを検討するため関係各府省の関連施策のヒアリングを実施してまいりました。これまで本日の内閣官房を含めまして7つの省庁から関係施策の説明を受けたところでございます。
  これを踏まえまして今後ご議論いただくこととしまして、最終報告書に向けてご議論を行っていただければと存じております。またこのご議論の際の論点としまして、あくまでも例でございますがたたき台としましてごらんのような地域資源と地域力の関係についてでありますとか、各府省の施策といったものについて掲げてございますが、これらの論点につきまして委員の皆様方のご意見をいただければと思っております。またここに掲げておる論点以外でも最終報告に盛り込むべき事項がございましたら、あわせてご議論いただければと存じます。
  またこの最終報告の形でございますが、3番のところでございますが、中間取りまとめをベースにご議論の結果を盛り込んだものとしてはどうかと考えております。また最終報告につきましてはその目的としましては、総務省などが取り組む地域力創造施策の方向性をご示唆いただくものとしてはどうかと考えております。また実際の中身でございますが、中間取りまとめの際も委員からの実際にご意見ございましたが、それをごらんになる自治体や住民の方にとっても簡潔でわかりやすいものとしてはどうかというふうに考えているところでございます。
  以上のことについてご意見を今後いただきたいと考えております。またご意見の際の参考としていただくためお手元に中間取りまとめ以降の関係省庁の施策をファイルにしてご用意させていただきましたので、適宜ご参照いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
【月尾座長】  ありがとうございました。次回以降はまとめをお願いするとになると思いますが、新年度になり、かつ新政権になって新しい動きも出てきたということなので、それらを踏まえながらご議論いただければと思います。
  論点も幾つか出していただいておりますが、最初に地域力の創造、地方の再生についてご質問があればお願いします。
【名和田委員】  ちょっと漠然とした質問かもわからないんですが、新政権になって地域主権という言葉が非常に使われるようになりまして、今日のご説明にもたくさん出てくるわけなんですけれども、この地域主権における地域とは何であるかというについてどう考えられているかということを教えていただきたいというふうに思います。
  どうも例えばマニフェストなどを見ると基礎自治体のことなのかなという気もするんですけれども、必ずしもそれに尽きるものでもないような気もするし。ちょっとその辺についてどういうふうに考えられているかをお教えいただければ思います。
【地域力創造審議官】  まだ地域主権という言葉が法律上使われたことはないわけで、これから組織の改編だとか一括法の中でこの地域主権という言葉が定義をされなければならないわけですが、既にいろいろな議論を呼んでおりまして憲法上の国民主権との関係で地域主権という言葉はあり得ないというふうにおっしゃっている学者の先生もたくさんおられます。
  それから逢坂総理大臣補佐官、我々の総務省の仕事も相当手伝っていただいているわけでありますけれども、一度講演をお伺いしましたらその辺の定義というのはこれからきっちりしていくんだけれども、今のところは政治的な標語であるということでございます。この地域主権改革の中身を民主党がどう考えているかということをその講演の中から引っ張り出して申し上げますと、やっぱり基礎自治体優先ということははっきりおっしゃっているし、道州制については民主党は態度を決めていないということでした。しかし全般的に言えることは合併であれ、道州制であれ市町村の体制であれ都道府県の体制であれ、国が一律に決めるのではなくて自分たちで自治の体制を選択できるような制度にしていくのが基本だというふうにおっしゃっております。そういうものの考え方でこの地域主権改革というものをあるいはその主権を担っていく体制というものを、今後考えていくということをおっしゃっておられます。
  地域主権改革と緑の分権改革は車の両輪だということも大臣はおっしゃっておりまして、政治と行政の面での権限の配分を変える、あるいは財源の配分を変えるというのが地域主権改革であるとするならば、その他の経済・社会システムを今までの大きな単位で振興していくというか、発展させていくという考え方から、小さな単位を大事にしてそのサステナビリティーとかあるいはその小さな単位が力を発揮できることによって大きな単位が生きてくるというような考え方で社会・経済システム全般を変えていこうというようなことをおっしゃっているように理解をしております。
  そういう意味からいいますと今のご質問に直接はっきり今の段階でどうだということではございませんけれども、全体の流れとしてはやはり補完性の原理ということでございますから、まずは住民自治、住民のできないことは自治体が担っていく、自治体が担えないことは大きな単位の広域自治体が県なのか道州なのか将来わかりませんけれどもそういうところが担っていき、さらにそこでも担え切れないもの、国の基本にかかわるものを国のほうがやっていくという、そういう考え方でおられるように思います。したがって、この地域の概念というものは、今の段階では必ずしもはっきり確定していない。これから法律をつくっていく中で明確に定義をされてくることでございますけれども、補完性の原理ということで考えるとそういうようなことではないかなと思っております。
【小田切委員】  この緑の分権改革をめぐってやはり感想を1つと質問1つさせていただきたいんですが。
  年末に原口プランでしょうか、出たときにこの分権改革のところを拝読させていただいて私、大変驚きました。今、審議官がおっしゃったように社会・経済的なシステムの刷新という側面を持っている。そしてかつてこういうことを我々は内発的発展論という形で議論しておりまして、ほぼその内容そのままだろうというふうに思っています。その点でいうと日本における内発的発展の号砲を鳴らしたといいましょうか、そういう非常に貴重な方向性を示したと思います。
  しかし、いささかあえて失礼なことを言わせていただくと、総務省内部の一本部でそれが完全に実現できると思えない。それこそ緑の分権改革省ぐらいの大きな仕組みが必要だろうと私は思っておりまして、将来的にそういった推進体制に発展していくということを強く願っております。
  それから2番目は質問なんですが、先ほども出た首相補佐官の逢坂さんがある雑誌での発言されていますが、縦の分権改革に対して分権改革の面の側面、これを緑の分権改革というふうにとらえているという大変わかりやすい表現だろうと思います。確かにそうなんだろうなと思うんですが。だとすると当然定住自立圏構想との関係、これをどういうふうに整理したらいいのかという論点が出てくると思います。当然定住自立圏構想もいわば面としての仕組みをつくり上げようしている。定住自立圏構想が緑の分権改革の1つのパターンなんだ、あるいはパターンになり得るものなんだという、そういう装置をつくったと理解したらよろしいでしょうか。この辺のご説明をお願いできればと思います。
【地域力創造審議官】  第1点目は全くおっしゃるとおりだと思っておりまして、エネルギー分野でいいますと全量固定価格買い取り制度を検討していくということを、はっきりとマニフェストにもあるいは経済成長戦略の中にも書き込まれております。これは実は経済産業省の仕事なんですね。しかし一部我々のほうでもこうやって予算を取って自治体がそういうものも含めて先ほどご説明したような総合的な経済・社会システムの改革というものを理解してもらいながら進めていくという必要があるということから、私のほうでも予算を計上させていただいているわけです。
  例えば教育の分野で考えれば、地方から人材が流出しないように大学まで出られるにするにはどうしたらいいか。イギリスなんかにも先進事例があるようですけれども、そういうことをやるとすると文部科学省の仕事だということになります。
  あるいは地域の資金循環ということで地域ファンドみたいな、あるいは低利であまり金利のかさまない資金というものを域内に提供していくということを考えれば、これは銀行とか信用金庫の役割ではありますけれども、それをしやすいようにするのは金融庁の役割であるということになりまして、経済・社会システム全般の改革を志向するとするならば、全省庁がそれぞれの分野でそういう考え方で取り組んでいただくということに今後なろうかと思っております。しかしこの緑の分権改革というのは、まだまだ一般の国民の方にも全く理解をされていないし、市町村長にも説明するのもなかなか容易じゃないという状態ですから。今のところはまずは基礎自治体であるところの市町村長さんにしっかりとクリーンエネルギーを1つの起爆剤にして理解をしていただきながら進めていくということではないかと考えております。その段階でおそらくこれを民主党がさらに進めていくとすれば、そういう体制整備が行われていく、あるいは必要なんではなかろうかなと思っています。
  そらから定住自立圏構想との関係ですけれども、先ほど私が政治行政面での分権というのが地域主権改革で、経済・社会システム全般にわたるシステム改革というのが緑の分権改革というものの考え方だと申し上げました。基本的には基礎自治体同士がどうやって住民のニーズに応じて広域的な連携を図っていくかということですから。ある意味では地域主権改革の中の広域連携のパターンであるということでございますけれども、この中身が住民生活のニーズに応じてというところで医療問題だとかあるいは地産地消の問題でありますとか生活交通の確保だとか、そういう問題がもうたくさん今までの41の中心市宣言を見ますと出てきておりますから、そういう意味でそういう問題を解決するために自治体が広域的に連携するとするならば、これは緑の分権改革を推進する有力な1つの手段になるんではなかろうかと考えております。これに限定するわけではありませんけれども、実際出てきているものを見ますと、有力な手段としてこれは使えるものになるんではないかというふうに理解しています。
【月尾座長】  今後まとめていくときに議論をいただきたいと思うのは、先ほど環境モデル都市の政策が終わると、地域力創造も終わることになるというようなことを、飯盛委員や小田切委員も言われましたが、私は結構だと思っています。地域主権ということを考えれば、環境モデル都市のような政策は国が先導しなくても地域が自ら開始するというような時代にならないと地域主権は実現しないと思うからです。
  あの政策は北海道洞爺湖サミットに関連する目玉政策として福田内閣が打ち出したという背景があるのですが、結局、国が地域に投げかけないと始まらなかったものです。地域力創造も50億円ほどの予算がついたから地域が動いたということですが、市町村がやる気になれば十分捻出できる予算です。しかし、国がガイドラインを示し、呼び水の資金を示さないと、地域が動き出さない。地域主権といっても国が最初に予算をつけない限り動かないという戦後続いてきた仕組みになっているわけです。
  その緑の分権改革を本格的に進めるときに、国が方向を示さなくても地域が動き出すように誘導していく努力をするべきだと思いますが。そのあたりについて、ご意見があればお願いしたいと思います。
【地域力創造審議官】  これを従来ですとややもするといろいろな分野でそういうことを進めていきましょうというときに、補助金で地方を誘導するというところに結論を持っていきがちなんですけれども、緑の分権改革の中では、これは一切そういうことをしないということになっています。制度改革でやるということです。ですから今、大企業が自分の目標の範囲内で余剰電力を従来よりは高く11月から買うようになったんですけれども、それでも補助金がないとやれないような価格でしか買わないということではなくて、全量を買い取るようにするわけです。例えば太陽光発電所を市民出資で500万円ぐらいでつくれば発生した電力の全量をまず大電力会社が53円とかという高い値段で、10年か15年で設備が償却できるような値段で買い取る義務をつけるということです。義務づけることによって電力会社のコストになり、それが全国民の電気代に薄く広く負担されるというわけです。そういうことによって国民の意識も変わるし、言ってみれば田舎で耕作放棄地を使ったり山を使ったりあるいは学校の屋根を使ったりして発電された電気がそういうことができない地域の人たちの負担も含めて全国民で負担をされるという社会システムにしていこうということであります。補助金で今、太陽光発電なんかも誘導しているわけですけれども、これは国の財政が非常に厳しいのでお金がなくなったらもうできなくなりますし、それでは抜本的には進まないだろうということでそういう考え方でやるということになっています。
  教育の問題にしても資金の問題にしてもあるいは地産地消の問題にしても、補助金行政でやるんではなくて制度を国が変える。今まで大企業優先、大資本優先、都会の集中効率ということを前提に進めてきたものを小さな単位でもやれるように仕掛けを、制度を変えましょうということになっておりまして。お金で地方を引っ張らないということなんですね。そうしますと地域主権の改革の中でもその補助金の廃止、一括交付金制度ということになりますから、すべての省庁のその個別補助金というものがなくなって、今ごろの時期に来年度A県は幾らぐらいお金がある。税と交付税と一括交付金で幾らあると分かることになる。市町村も幾らあるということであらかじめわかって、今までのように年度途中に国に個別に補助金を申請して採択されればそれを補正して残りはもう半年ぐらいないのにそこで忙しくやるということではなくて、当初予算に全部自分たちのお金で事業を組んでやりましょうというような世界を目指しているんですね。
  そうすると地方の活性化、地域の活性化について国がどういう手法を用いてやっていくのか。先生言われたように、もう例えばノウハウとか情報とか人材とかということを十分提供すればいいのか。あるいは何かもっと別の手段で助言なりができるのか。補助金ではなくてソフトな手法で地方にできるだけ自覚してやってもらうという手法を開発しないといけないということで、地域活性化統合本部のあり方もいろいろ議論されているようですけれども、すべての省庁の地方活性化を担当する部局がどうやって縦割りを排除しながら補助金を前提にしないで地方を活性化する方向に引っ張っていけるかという、それが非常に大きなポイントになると思いますから。そういうことをぜひこの報告書の中でもあらあらなことでも方向性を議論していただいてご提言をいただければ、それは今までにないものでございますから非常に示唆に富んだ報告になるんではないかと思っております。よろしくお願いしたいと思っております。
【月尾座長】  ご説明いただいたように、国の制度を変えなければ地方が動けないという分野は制度を変える方向で進めていただけたらいいのですが、その結果、地方自治体の意識が変われば結構だと思います。しかし、全国各地に行くと、国が何か提案してくれないと動けないとか、補助金が出ないと動けないという考え方が強いのが現状です。どのようにして、その状態を変えるかということを検討すべきだと思います。制度を変えるということは国で検討いただいてもいいけれども、地方からそのような発想が出てくるようにしていかないと変わらないと思います。委員の皆様には、そういう方向性を示すような議論をしていただき、それが報告書になればいいと思っているということです。
  緑の分権改革をはじめ、今日の後半ご説明いただいたことについて、スケジュールは決まっていますか。
【地域自立応援課長】  はい。緑の分権改革に関しましては資料の3ページに体制の整備のお話をさせていただいたところで少し掲げてございますけれども、21年度の2次補正予算から具体的にはスタートしております。またそれにあわせまして関係方面からの意見募集というものも既に実施しております。特に(3)の2次補正はこれから国会で審議が始まりますけれども、今いろいろなご提案をいただいているような最中でございまして、我々が思ったよりも関心が非常に高いように聞いております。
  それで来年度はそのようなものを受けた形で研究会を設置しまして、またあわせましてその委託調査というものを5団体程度を想定しておりますけれども、このような中で例えば定住自立圏といったようなものを取り組んでいる地域に委託をしていくような形で、先ほどの小田切委員からのお話のようなこともまた委託調査の中である程度検討していくことになろうと思います。5番目にそのようなものが終わった段階で23年度以降は普及・啓発、広報というものはもちろんでございますけれども、必要な規制緩和なり法整備といったようなものがあればそういうものにもまた取り組んでいきたいと思っております。
  また、1ページ目の2つ目の定住自立圏構想につきましては現在各所で取り組みが始まっております。1ページ目の真ん中の2つ目にございますように現在、中心市宣言、243市の対象がある中で41団体が既に実施済みでございます。今年度中にまだ数団体出てまいると思っておりますし、協定の締結をしたり、飯田市はビジョン策定まで進んでおりますし、今後は各地で取り組みが着実に進んでまいると思っております。我々もまたいろいろな形で情報提供をして機運を盛り上げていくようなことも、引き続きやってまいりたいと思っています。またその中での課題の抽出なりも予算がありますので、行っていきたいと考えています。
  また過疎地域等の条件不利地につきましては、1つは過疎法が今年度末で期限が参りますのでこの延長の問題というのが最近大きな課題でございましたけれども、おおむね方向性がほぼ集約化されつつありますので、今後、今国会の中で過疎法の延長ということになってまいります。内容にはこれまでのハード整備というものも含めましてソフト事業に対するニーズも非常に高いですので、そのあたりに対してもまた目を開いていくということで各党の合意というものがなされておりますので、これから手続踏んでいくということでございます。
  スケジュール的にはそのようなことになっております。
【月尾座長】  先ほど椎川審議官が説明されたような制度を変えるということは、原口大臣も逢坂補佐官もそういう方向でお考えということですか。
【地域力創造審議官】  エネルギー分野の全量固定価格買い取り制度というのは大臣が常々強くおっしゃることで本来経産省の仕事なんですけれども、今の内閣というのはわりと大臣間の権限意識がなくてあまり経産省からも文句を言われずにすんなりそういうことができるようになっているんで、そういう意味ではおもしろい政権かなと我々は思っています。ここのところは制度改革をするということがはっきりマニフェストにも書かれているし閣議決定もされているので、おそらく次の通常国会ぐらいには法律が出てくるんではなかろうかと期待しています。
  しかしその他の分野についてはまだ全く何をしたらいいのかもちょっとよくわからない状況で、法律改正としてですね、制度改正として。補助金を使わないんですからそのアウトプットがそこしかないものですから。これを来年度総合的な自治体の取り組み、かなりエネルギーだけではなくてやっぱり介護とか医療とかそれから廃棄物の問題だとか地産地消の問題だとかも含めて総合的に取り組もうとしている自治体も結構あるようでして、私のところにも幾つかそういう総合的なこの地域の自給力を高めていく、あるいはサステナビリティーを高めていく取り組みというのをご紹介いただいておりますので、そういう団体とともにいろいろな分野の各分野のこの制度改革何が必要かということを有識者含めてご議論いただいて、来年度のできるだけ早いうちに幾つか玉を見出していきたいと思っています。
  わかりやすく言うとどぶろく特区なんていうのは今、特区でやっていますけれども、あれ緑の分権改革のもう先進事例だと考えていいと思うんですね。今までは国が徴税上の都合で6,000リッター以上という大企業にしか酒をつくらせなかったのが、昔はみんな地域でどぶろくつくっていたわけですから。米もあり水もありコウジ菌もあるんで昔に戻って小さな単位でもお酒がつくれるようにしましょうって。そのかわりちゃんとルールを守ってくださいということなんで。ああいうのも一般制度化すれば緑の分権改革の小さなネタではありますけれども、考え方が非常にわかる。緑の分権改革って何なんだと言ったときに、一般の人にもわかりやすい1つの例なのかなと。そういうものをたくさん見出していくというのが来年度の作業になると思います。
【名和田委員】  全然とんちんかんな話かもしれませんけれども、今日の内閣府のお話でもそういうことを感じたんですけれども、最近のこの種の話の中にあまり都道府県というのが出てこない。道州制のこともあるから、あまりそういうことを言うものじゃないみたいな雰囲気もあるのかもしれませんけれども。神奈川県のようなところは別にして、いわゆる地方というところでは県のある種のリーダーシップってやっぱりあると思いますし、それから市町村のほうもある種頼りにして、そういうの頼りにする、そういうのはいかんというご意見もあるかもしれませんけれども、現実にはかなり大きいことではないかと。ですから都道府県がどういう役割を果たすべきかというようなことについて、少し議論をするのかしないのかその辺の見通しもちょっと伺いたいなと思うんですけれども。
【月尾座長】  先ほどご説明あったように、道州制について新政権は明確な方向を示していないのですが、結局、基礎自治体を何にするかということだと思います。それは都道府県がいいのか、かつて小沢幹事長が言っておられたような300くらいの基礎自治体に分けていく方向がいいのかですが、いずれにせよ基礎自治体は何にするかの議論によって決めるということだと思います。
【地域力創造審議官】  今の地域のこの活性化ということで内閣府がやったり我々がやったりしていることというのは比較的小さな単位、集落とかあるいは地域とかあるいは自治体が元気になる政策をいろいろやっているわけですけれども、それについて例えば今はまだ補助金という手法を使っていますから。その補助金を県を通して県も納得しないとできませんよという形にすると、本来対応しなきゃいけない基礎自治体の意向と県の意向が違ったときに、自治体はやりたいんだけれども県が賛成してくれないからできないという事態を引き起こすということで、本来そういう小さな単位の問題というのは自治体がやるべきであろうということで直接自治体を支援する。あるいは最近はもうNPOとか地域づくり団体を直接支援するという方法をたくさんとっていますけれども。県は県で濃淡は違いますけれども、かなり……、例えば過疎地域をたくさん抱えるような厳しい県は、県は県でまた市町村を支援するということが、国の支援と県の支援を両方複合的に使ってその自治体が取り組んでいるという例が多いんではないかと思っていますけれども。一律に県を通すと全部金太郎あめ的に県の考えに従わない限りは一切できないということになるものですから。地域の問題はできるだけ直接地域を支援しようという考え方で今、我々対応しています。
【名和田委員】  県を通してというのは昔よくあった話で、それはもちろんそういうふうに戻りたいとはだれも思わないと思うんですけれども。道州制論議で随分揺れているし、最近は知事さんなんかで非常にいろいろな発言される、動きをされる方もいらっしゃいますけれども。基本的にはやっぱり県が市町村を包括する二層目の自治体であるという姿を一応しばらく変わらないとすると、県にどんな仕事をやってもらうかということについて何か多少イメージ持つというか検討するということはどこかで必要ではないかなというふうに私は思っております。今のところその程度でしか私も考えございませんけれども。
【月尾座長】  大体予定の時間になりましたので、次回は最終報告書に向けて議論いただくことになると思います。鳩山総理大臣の言葉を借りれば無血の平成維新ですし、椎川審議官の言われたように制度を変えていくことが、いろいろな分野で起こると思いますが、この会の意見が緑の改革に反映されることもあり得ると思いますので、そういう意気込みでご議論いただければと思います。
  次回以降の予定についてお願いします。
【地域振興室長】  はい。次回は先ほど座長からもございましたとおり、最終取りまとめに向けまして引き続き委員の間でのフリートーキングをお願いできればと考えております。日程は3月中ということでご照会の用紙をお手元のお配りしてございますのでファクスまたはメールでご回答いただきますようお願い申し上げます。またお手元の紙のファイルでございますが、お荷物にもなりますのでそのままにしておいていただければ次回も同じファイルをお手元にご用意させていただきたいと思っております。
  以上、次回などにつきましては日程など決まりましたらご連絡いたします。お忙しいところ申しわけございませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
【月尾座長】  ありがとうございました。
【地域力創造審議官】  ありがとうございました。

速記担当:(株)大和速記情報センター
押江 知子

ページトップへ戻る

地域力創造に関する有識者会議
サイドナビここから
サイドナビここまで