地方公共団体の経費を経済的な性質に着目して分類すると、義務的経費、投資的経費及びその他の経費に大別されるが、これらの状況をみると、次のとおりである。
義務的経費は、人件費、扶助費及び公債費からなっている。
義務的経費の決算額は46兆1,221億円で、前年度と比べると0.1%減(前年度0.1%増)となり、3年ぶりに減少している。また、義務的経費の歳出総額に占める割合は49.8%で、前年度と比べると1.1%ポイントの上昇となっている。
義務的経費の内訳をみると、人件費が25兆9,323億円で義務的経費に占める割合は56.2%(前年度57.2%)、公債費が13兆1,549億円で28.5%(同28.2%)、扶助費が7兆349億円で15.3%(同14.6%)となっており、公債費及び扶助費の構成比が上昇している。
人件費は、職員給、地方公務員共済組合等負担金、退職金、委員等報酬、議員報酬手当等からなっている。
人件費の決算額は25兆9,323億円であり、平成12年度から4年連続して減少(対前年度比1.8%減)している。
人件費の歳出総額に占める割合及び人件費に充当された一般財源の一般財源総額に占める割合の推移は、第55図のとおりである。
人件費の歳出総額に占める割合は28.0%で、前年度と比べると0.2%ポイントの上昇となっている。
人件費の歳出総額に占める割合を団体種類別にみると、都道府県(31.4%)が、市町村立義務教育諸学校教職員の給与を負担していることなどから市町村(21.3%)を上回っている。
また、国家公務員の給与水準を100としたときの、地方公務員の給与水準を指すラスパイレス指数の推移は、第56図のとおり、昭和49年の110.6をピークとして昭和50年以降低下し、平成14年には上昇したものの、平成15年以降再び低下に転じ、平成16年4月1日現在のラスパイレス指数は前年と比べると2.2ポイント低下の97.9となっている。
ラスパイレス指数を団体区分別にみると、平成16年4月1日現在、都道府県99.6、大都市100.2、都市(中核市、特例市を含む。)98.2、町村93.7となっている。
人件費の主な内訳は、第57図のとおりであり、職員給が72.9%を占め、以下、地方公務員共済組合等負担金(人件費総額の13.3%)、退職金(同8.8%)の順となっている。
各費目の伸び率をみると、職員給は前年度と比べると2.7%減となっており、5年連続して減少となっている。
また、地方公務員共済組合等負担金は前年度と比べると1.7%減(前年度1.0%減)となっている。
退職金は前年度と比べると6.6%増(同0.1%減)となっている。
人件費に充当された財源の内訳は、第58図のとおりであり、一般財源等が最も大きな割合(人件費総額の84.3%)を占め、以下、国庫支出金(同11.9%)、使用料・手数料(同2.9%)の順となっている。
これを団体種類別にみると、一般財源等の構成比は、市町村(90.6%)が都道府県(78.3%)を上回っているのに対し、国庫支出金の構成比は、都道府県(18.5%)が市町村(1.9%)を大幅に上回っている。
これは、都道府県が負担している市町村立義務教育諸学校教職員の人件費について、国庫負担制度(義務教育費国庫負担金)が設けられていることによるものである。
職員給の決算額は18兆9,069億円で、前年度と比べると2.7%減(前年度2.0%減)となっており、5年連続して減少となっている。
職員給の主な内訳をみると、職員給総額の65.4%を占める基本給が、前年度と比べると2.1%減(前年度0.5%減)、34.6%を占めるその他の手当は、期末・勤勉手当の年間支給月数の引き下げ等により前年度と比べると3.9%減(同4.8%減)となっている。
職員給の部門別構成比は、第59図のとおりであり、教育関係が最も大きな割合(職員給総額の46.4%)を占め、以下、議会・総務関係(同11.9%)、警察関係(同11.4%)、民生関係(同8.7%)、衛生関係(同6.1%)の順となっている。
また、これを団体種類別にみると、都道府県においては、市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担していることから、教育関係が最も大きな割合(64.3%)を占め、警察関係(18.8%)と合わせて全体の83.1%を占めている。
一方、市町村においては、議会・総務関係が最も大きな割合(23.8%)を占めており、以下、民生関係(19.2%)、教育関係(18.6%)、消防関係(13.1%)、衛生関係(12.1%)の順となっている。
次に、平成16年4月1日現在における地方公務員(普通会計分)1人当たりの平均給料月額を主な職種別及び団体種類別にみると、第60図のとおりであり、職種により平均給料月額に差があるのは、主として、職種別の年齢構成、給料表の構造等の違いによるものである。
地方公共団体の職員数(普通会計分)は、平成元年以降増加してきたが、行政改革が積極的に推進され、事務事業の見直し、定員管理の適正化等が行われたことなどから、平成7年以降10年連続して減少しており、平成16年4月1日現在の職員数は265万1,778人で、前年同期と比べると2万5,580人減少(1.0%減)となっている。
職員の部門別構成比は、第61図のとおりであり、教育関係職員が最も大きな割合(全地方公務員数の43.7%)を占め、以下、一般行政関係職員(同40.2%)、警察関係職員(同10.2%)、消防関係職員(同5.9%)の順となっている。なお、団体種類別の職員構成比をみると、都道府県においては教育関係職員が62.6%、一般行政関係職員が18.4%を占め、市町村においては一般行政関係職員が69.5%、教育関係職員が18.4%を占めている。
部門別職員数を前年同期と比べると、警察関係職員が4,041人増加、消防関係職員が466人増加となる一方、一般行政関係職員が1万5,889人減少、教育関係職員が1万4,198人減少となっている。一般行政関係職員の増減の内訳をみると、土木関係職員が4,663人減少、民生関係職員が3,826人減少、農林水産関係職員が2,973人減少、衛生関係職員が2,876人減少、税務関係職員が669人減少、議会・総務関係職員が596人減少、労働関係職員が179人減少、商工関係職員が107人減少となっている。
また、部門別職員数の推移は、第62図のとおりであり、近年は、一般行政関係職員、教育関係職員が減少傾向にあり、消防関係職員、警察関係職員が増加傾向にある。
さらに、10年前(平成5年4月1日現在)と比較した一般行政関係職員の部門別、団体種類別増減状況は、第63図のとおりである。
扶助費は、社会保障制度の一環として、生活困窮者、児童、老人、心身障害者等を援助するために要する経費である。
この扶助費の決算額は7兆349億円であり、前年度と比べると4.3%増(前年度4.1%増)となっている。また、扶助費の歳出総額に占める割合は、介護保険制度の実施に伴い平成12年度は前年度と比べると0.6%ポイント低下したが、平成13年度以降再び増加に転じた。平成15年度は前年度と比べると0.5%ポイント上昇の7.6%となっている。
扶助費の目的別内訳は、生活保護費が2兆4,346億円で最も大きな割合(扶助費総額の34.6%)を占めており、以下、児童福祉費の2兆4,207億円(同34.4%)、社会福祉費の1兆3,102億円(同18.6%)、老人福祉費の3,373億円(同4.8%)の順となっている。
これら各費目の伸び率をみると、生活保護費が7.5%増(前年度6.6%増)、児童福祉費が1.9%増(同4.0%増)、社会福祉費が6.0%増(同3.3%増)、老人福祉費が4.6%減(同5.1%減)となっている。
また、扶助費の目的別内訳の構成比の推移は、第64図のとおりであり、老人福祉費が新ゴールドプラン等の実施等により平成11年度まで増加していたが、介護保険制度の実施に伴い関連経費が介護保険事業会計から保険給付費として歳出されることとなったため、12年度以降その構成比は大幅に低下している。
次に、扶助費のうち地方公共団体の単独施策分をみると、その額は1兆4,803億円で、前年度と比べると26.9%増(前年度0.4%増)となっている。
これを団体種類別にみると、都道府県においては4,667億円(都道府県の扶助費総額の29.5%)、市町村においては1兆137億円(市町村の扶助費総額の16.9%)となっている。また、目的別にみると、社会福祉費が5,551億円で最も大きな割合(単独施策分総額の37.5%)を占め、以下、児童福祉費の5,411億円(同36.6%)、老人福祉費の2,472億円(同16.7%)の順となっている。
なお、扶助費に充当された財源の内訳をみると、生活保護費負担金及び児童保護費負担金等の国庫支出金が3兆5,685億円、一般財源等が3兆1,387億円となっている。
公債費は、地方債元利償還金及び一時借入金利子の支払いに要する経費である。
この公債費の決算額は13兆1,549億円で、前年度と比べると0.9%増(前年度1.7%増)となっている。また、歳出総額に占める公債費の割合は、平成5年度以降上昇しており、15年度においては、前年度と比べると0.5%ポイント上昇の14.2%となっている。
これは、近年の地方税収等の落込みや減税による減収の補てん、経済対策に伴う公共投資の追加等に伴い地方債の発行が増加したため、その元利償還金が増加したことなどによるものである。
公債費の内訳をみると、地方債元金償還金が9兆7,458億円で最も大きな割合(公債費総額の74.1%)を占め、以下、地方債利子が3兆3,988億円(同25.8%)、一時借入金利子が103億円(同0.1%)となっている。
各費目の伸び率をみると、地方債元金償還金が前年度と比べると4.7%増(前年度4.6%増)、低金利の影響により新発債及び借換債の金利が低下しているため地方債利子が8.5%減(同5.0%減)となっている。また、一時借入金利子は27.0%減(同45.0%増)となっている。
地方債元金償還金の目的別内訳をみると、一般単独事業債に係るものが3兆8,575億円で最も大きな割合(地方債元金償還金の39.6%)を占め、以下、一般公共事業債の1兆5,468億円(同15.9%)、義務教育施設整備事業債の4,543億円(同4.7%)となっている。
次に、団体種類別に公債費の状況をみると、伸び率は、都道府県においては1.0%増(前年度1.5%増)、市町村においては0.7%増(同1.6%増)となっている。
また、歳出総額に占める割合は、都道府県においては13.6%で前年度と比べると0.6%ポイント上昇し、市町村においては13.2%で前年度と比べると0.2%ポイント上昇している。
なお、公債費に充当された財源の内訳をみると、一般財源等が12兆3,972億円で全体の94.2%(前年度94.0%)を占めており、使用料、手数料等の特定財源が7,577億円で5.8%(同6.0%)となっている。
投資的経費は、道路・橋りょう、公園、学校、公営住宅の建設等社会資本の整備に要する経費であり、普通建設事業費、災害復旧事業費及び失業対策事業費からなっている。
近年、社会資本の整備水準は着実に向上しつつあるが、地方公共団体は、地方分権の推進に伴う地方公共団体の役割の増大、地域の活性化や住民に身近な社会資本整備、21世紀の発展基盤の整備の必要性等を勘案し、生活関連基盤の整備や地域経済の振興等に必要な社会資本整備を重点的、効果的に実施することが求められている。
投資的経費の決算額は18兆5,708億円で、前年度と比べると12.4%減(前年度7.8%減)となっている。
投資的経費の歳出総額に占める割合は20.1%であり、前年度と比べると2.2%ポイント低下となっている。
投資的経費の内訳をみると、普通建設事業費が98.3%を占め、以下、災害復旧事業費(1.6%)、失業対策事業費(0.1%)の順となっている。
普通建設事業費は、道路・橋りょう、学校、庁舎等公共又は公用施設の新増設等の建設事業に要する経費である。
この普通建設事業費の決算額は18兆2,503億円であり、前年度と比べると12.4%減(前年度7.6%減)となっている。これは、厳しい財政状況を反映した単独事業の重点化や公共投資の減少等が主な要因である。
普通建設事業費の内訳は、単独事業費(49.9%)、補助事業費(43.1%)、国直轄事業負担金(7.0%)の順となっている。
また、各費目の伸び率をみると、単独事業費は10.1%減(前年度8.4%減)、補助事業費は14.7%減(同7.3%減)、国直轄事業負担金は13.3%減(同3.6%減)となっている。
平成4年度以降における普通建設事業費の推移は、第18表のとおりである。
また、近年の普通建設事業費の内訳の推移は、第65図のとおりである。
補助事業費については、経済対策が行われた平成4年度以降、決算規模が拡大し、10兆円を超える規模で推移してきたが、平成13年度以降は10兆円を下回っており、平成15年度においては、国の補正予算の減少等に伴い、8兆円を下回る規模となっている。
単独事業費については、昭和62年度から平成4年度まで、決算規模の伸び率が10%を超えるペースで増加し、平成6年度以降は減少傾向にある。
さらに、補助事業費と単独事業費を比較すると、単独事業費の決算額は、昭和63年度に補助事業費の決算額を上回り、平成15年度においては、単独事業費は補助事業費の1.2倍の規模となっている。
また、これを団体種類別にみると、都道府県においては、単独事業費が補助事業費の0.8倍の規模となっており、市町村においては、1.8倍の規模となっている。
普通建設事業費の目的別内訳は、第66図のとおりであり、土木費が最も大きな割合(普通建設事業費総額の57.9%)を占め、以下、農林水産業費(同15.3%)、教育費(同10.2%)の順となっている。
さらに、これらの費目の内訳別に普通建設事業費に占める割合をみると、土木費のうちの道路橋りょう費(同25.0%)が最も大きく、以下、都市計画費(同16.5%)、河川海岸費(同9.4%)の順となっている。
また、これを団体種類別にみると、都道府県においては道路橋りょう費(29.4%)、河川海岸費(14.9%)、農地費(13.3%)、都市計画費(10.3%)、林業費(5.1%)の順となっており、市町村においては都市計画費(23.0%)、道路橋りょう費(17.6%)、小学校費(6.2%)、清掃費(5.9%)、農地費(4.7%)の順となっている。
次に、補助事業費及び単独事業費の構成比をみると、総務費、衛生費、労働費、商工費、土木費、教育費においては単独事業費の割合が補助事業費の割合を上回っているのに対し、農林水産業費、民生費では補助事業費の割合が単独事業費の割合を上回っている。
主な費目をその内訳別に更に詳細にみると、土木費では、道路橋りょう費、都市計画費は単独事業費が補助事業費の割合を上回っているのに対し、河川海岸費、港湾費、住宅費は、補助事業費の割合が大きくなっている。
また、教育費では小学校費、高等学校費、社会教育費、保健体育費、大学費、民生費では社会福祉費及び児童福祉費で、単独事業費が補助事業費を上回っている。一方、農林水産業費では、農業費、畜産業費、農地費、林業費、水産業費のすべて、衛生費では清掃費で、補助事業費が単独事業費を上回っている。
なお、普通建設事業費の目的別内訳を10年前(平成5年度)の決算額と比べると、第67図のとおりである。
補助事業費は、地方公共団体が国からの負担金又は補助金を受けて実施する事業に要する経費である。
補助事業費の決算額は7兆8,735億円で、前年度と比べると14.7%減(前年度7.3%減)となっている。これを団体種類別にみると、都道府県においては12.2%減(同7.6%減)、市町村においては19.1%減(同6.7%減)となっている。
補助事業費の目的別内訳は、第68図のとおりであり、土木費が最も大きな割合(補助事業費総額の55.2%)を占めており、以下、農林水産業費(同24.4%)、教育費(同7.6%)、民生費(同4.8%)の順となっている。
さらに、これらの費目の内訳別に補助事業費に占める割合をみると、道路橋りょう費が最も大きな割合(同16.1%)を占めており、以下、都市計画費(同14.8%)、河川海岸費(同14.2%)の順となっている。
これを団体種類別にみると、都道府県においては道路橋りょう費(20.0%)、河川海岸費(19.8%)、農地費(19.4%)の順となっており、市町村においては都市計画費(24.9%)、住宅費(10.2%)、小学校費(9.3%)の順となっている。
単独事業は、地方公共団体が国の補助等を受けずに自主的・主体的に地域の実情等に応じて実施する事業である。
単独事業に要する経費である単独事業費の決算額は9兆1,077億円で、前年度と比べると10.1%減(前年度8.4%減)となっている。
これを団体種類別にみると、都道府県においては9.5%減(同8.8%減)、市町村においては10.4%減(同7.9%減)とともに減少している。
単独事業費の目的別内訳は、第69図のとおりである。土木費が最も大きな割合(単独事業費総額の57.5%)を占めており、以下、教育費(同13.9%)、総務費(同7.5%)の順となっている。
さらに、これらの費目の内訳別に単独事業費に占める割合をみると、道路橋りょう費が最も大きな割合(同29.3%)を占めており、以下、都市計画費(同20.0%)、河川海岸費(同3.8%)の順となっている。
また、これを団体種類別にみると、都道府県においては、道路橋りょう費(36.3%)、都市計画費(15.6%)、河川海岸費(6.0%)の順となっており、市町村においては、道路橋りょう費(22.7%)、都市計画費(22.6%)、小学校費(5.1%)の順となっている。
国直轄事業負担金は、国が道路、河川、砂防、港湾等の土木事業等を直轄で実施する場合において、法令の規定により地方公共団体がその一部を負担する経費である。
国直轄事業負担金の決算額は1兆2,691億円で、前年度と比べて13.3%減(前年度3.6%減)となっている。
国直轄事業負担金の目的別内訳は、土木費が78.0%、農林水産業費が22.0%となっており、さらに、これらの費目の内訳別に国直轄事業負担金に占める割合をみると、道路橋りょう費が最も大きな割合(国直轄事業負担金総額の49.4%)を占めており、以下、農地費(同21.1%)、河川海岸費(同20.1%)の順となっている。
普通建設事業費に充当された主な財源の内訳をみると、地方債が38.4%と最も大きな割合を占めており、以下、一般財源等が29.0%、国庫支出金が22.1%となっている。
これを前年度と比べると、国庫支出金は3.1%ポイント、一般財源は2.5%ポイント上昇する一方、地方債は6.2%ポイント低下している。
また、補助事業費及び単独事業費に分けてみると、補助事業費については、地方債が34.8%、国庫支出金が51.2%、一般財源等が8.8%となっており、単独事業費については、一般財源等が46.8%、地方債が38.0%となっている。
普通建設事業費に充当された主な財源の内訳の推移は、第70図のとおりである。一般財源の構成比は、平成11年度以降上昇傾向にあったが、平成13年度に低下に転じ、平成15年度には再び上昇している。
また、地方債の構成比は、平成5年度以降、充当財源の中で最も大きな割合を占め、4割程度で推移している。
地方公共団体が道路、公園、公営住宅、学校の建設等社会資本整備を推進するための用地取得に要する経費である用地取得費の決算額は2兆7,684億円で、前年度と比べて8.1%減(前年度10.0%減)となり、5年連続して減少している。
これを団体種類別にみると、都道府県においては1兆3,194億円で2.8%減(同9.9%減)、市町村においては1兆4,490億円で12.4%減(同10.2%減)となっており、都道府県、市町村ともに5年連続して減少している。
用地取得費の目的別内訳は、第71図のとおりである。土木関係が用地取得費総額の中で最も大きな割合(用地取得費総額の80.2%)を占めており、次いで、教育関係(同5.7%)となっている。
さらに、土木関係の内訳をみると、都市計画が最も大きな割合(用地取得費総額の38.0%、都道府県28.3%、市町村46.8%)を占めており、次いで、道路橋りょう(同30.4%、同42.0%、同19.9%)となっている。
また、用地取得費のうち用地を取得するために要した移転等の補償費、賠償費は8,409億円で、用地取得費に占める割合は、前年度と比べると0.6%ポイント低下の30.4%(都道府県41.0%、市町村20.7%)となっている。
取得用地面積(債務負担行為等に係るものを含む。)は175,831千m2(都道府県68,310千m2 、市町村107,521千m2)であり、前年度と比べると1.9%減となっている。
用地取得費の推移は、第72図のとおりである。
普通建設事業費に占める用地取得費の割合の推移は、第19表のとおりであり、平成15年度は14.4%(都道府県12.7%、市町村16.4%)となっている。
地方公共団体(普通会計)の用地取得費を取得先別にみると、第73図のとおりであり、土地開発基金及び土地開発公社からの取得が全体の29.8%を占めている。これを団体種類別にみると、都道府県においては18.0%、市町村においては40.4%となっている。
災害復旧事業費は、暴風、洪水、地震その他異常な自然現象等の災害によって被災した施設を原形に復旧するために要する経費である。
この災害復旧事業費の決算額は3,029億円で、前年度と比べると12.3%減(前年度14.3%減)となっている。
災害復旧事業費の内訳は、第74図のとおりであり、補助事業費が前年度と比べると14.4%減の2,519億円、単独事業費が3.4%増の390億円、国直轄事業負担金が12.1%減の121億円となっている。
また、目的別内訳の構成比をみると、道路、河川、海岸、港湾、漁港等の公共土木施設関係(災害復旧事業費総額の73.5%)と農地、農業用施設等の農林水産施設関係(同21.7%)で全体の95.2%を占めている。
さらに、災害復旧事業費に充当された財源の内訳をみると、国庫支出金(同58.6%)と地方債(同26.5%)で全体の85.1%を占めている。
失業対策事業費は、失業者に就業の機会を与えることを主たる目的として、道路、河川、公園の整備等を行う事業に要する経費である。
この失業対策事業費の決算額は175億円で、前年度と比べると4.2%減(前年度52.4%減)となっている。
その内訳をみると、補助事業費が154億円(失業対策事業費総額の87.9%)、単独事業費が21億円(同12.1%)となっている。
また、失業対策事業費に充当された財源は、国庫支出金が62億円(同35.1%)、一般財源等が49億円(同27.9%)等となっている。
その他の経費には、物件費、維持補修費、補助費等、繰出金、積立金、投資及び出資金、貸付金並びに前年度繰上充用金があり、その決算額は27兆8,890億円で、前年度と比べると1.5%増(前年度3.0%減)となっている。
その内訳は、第20表のとおりである。
また、これらの経費の歳出総額に対する割合をみると、物件費が8.5%(前年度8.4%)、補助費等が7.6%(同7.2%)、貸付金が5.8%(同5.8%)、繰出金が4.8%(同4.5%)、積立金が1.7%(同1.4%)等となっている。
なお、その他の経費のうち地方公営企業会計に対する繰出しの状況についてみると、法適用企業の地方公営企業会計に対する繰出しは2兆931億円(補助費等1兆6,631億円、投資及び出資金2,821億円、貸付金1,492億円)、法非適用企業の地方公営企業会計に対する繰出し(繰出金)は1兆6,915億円で、合計3兆7,846億円となっており、これを前年度と比べると0.3%増(前年度0.2%減)となっている。
賃金、旅費、役務費、委託料等消費的性質の経費である物件費の決算額は7兆8,937億円であり、前年度と比べると0.7%減(前年度0.8%増)となっている。
このように物件費が前年度決算額を下回ったのは、需用費(3.1%減)、備品購入費(7.7%減)等が減少したことによるものである。
物件費の内訳をみると、委託料が最も大きな割合(物件費総額の49.9%)を占め、次いで消耗品の取得等に要する需用費(同22.7%)となっており、これらの経費で物件費総額の72.6%を占めている。
なお、物件費の内訳の推移は、第75図のとおりである。
地方公共団体が管理する公共用施設等の維持に要する経費である維持補修費の決算額は1兆564億円で、前年度と比べると0.3%減(前年度1.9%減)となっている。
維持補修費の内訳を目的別にみると、土木費の6,934億円(維持補修費総額の65.6%)、教育費の1,260億円(同11.9%)、衛生費の1,135億円(同10.7%)の順となっており、道路橋りょう、公営住宅等の土木関係施設、小・中学校等の教育関係施設及び清掃施設等の衛生関係施設に係るものの合計で維持補修費総額の88.3%を占めている。
法適用企業に対する負担金、さまざまな団体等への補助金、報償費、寄附金等の補助費等の決算額は7兆514億円で、前年度と比べると2.8%増(前年度1.7%増)となっている。
補助費等の内訳を目的別にみると、民生費が1兆6,084億円で最も大きな割合(補助費等総額の22.8%)を占め、以下、総務費の1兆1,683億円(同16.6%)、教育費の1兆903億円(同15.5%)、衛生費の1兆216億円(同14.5%)、土木費の8,898億円(同12.6%)、商工費の4,856億円(同6.9%)、農林水産業費の4,312億円(同6.1%)の順となっている。
補助費等のうち、地方公営企業会計(法適用企業)に対する負担金及び補助金は、地方公営企業の性質上一般会計等において負担すべき経費があることから支出されるものであり、その額は1兆6,631億円で、前年度と比べると1.5%減(前年度1.2%減)となっている。
事業別にみると、下水道事業に対するものが6,895億円で最も大きな割合(地方公営企業会計(法適用企業)に対する負担金及び補助金総額の41.5%)を占め、次いで、病院事業の6,383億円(同38.4%)となっており、これら二事業で総額の79.8%を占めている。以下、交通事業の1,963億円(同11.8%)、上水道事業の1,068億円(同6.4%)の順となっている。
普通会計から他会計、基金(定額の資金の運用を目的とする基金)に支出する経費である繰出金の決算額は4兆4,645億円で、前年度と比べると5.0%増(前年度3.9%増)となっている。このように繰出金が前年度決算額を上回ったのは、国民健康保険事業会計、老人保健事業会計及び介護保険事業会計に対する繰出金が増加したことなどによる。
繰出金の内訳を繰出先別にみると、地方公営企業会計(法非適用企業)に対するものが1兆6,915億円で最も大きな割合(繰出金総額の37.9%)を占めており、以下、国民健康保険事業会計に対するもの1兆1,505億円(同25.8%)、介護保険事業会計に対するもの8,612億円(同19.3%)、老人保健医療事業会計に対するもの6,616億円(同14.8%)の順となっている。
なお、繰出金のうち、地方公営企業会計(法非適用企業)に対する繰出金は、地方公営企業の性質上一般会計等において負担すべき経費があることから支出されるものであり、その内訳を事業別にみると、下水道事業に対するものが1兆4,079億円で最も大きな割合(地方公営企業会計(法非適用企業)に対する繰出金総額の83.2%)を占めている。
また、その下水道事業に対する繰出金を目的別にみると、公債費財源繰出が9,876億円、建設費繰出が2,080億円で、両者で全体の84.9%を占めており、その伸び率は公債費財源繰出が5.5%増、建設費繰出は6.2%減となっている。
特定の目的のための財産を維持又は資金を積み立てるために設立された基金等に対する経費である積立金(歳計剰余金処分による積立金を含む。)の決算額は1兆6,952億円で、前年度と比べると1,903億円増加(12.6%増)となっている。
これは、前年度における積立金の決算額が著しく減少したことに起因して、前年度と比べて増加しているものの、平成13年度における積立金の決算額(2兆1,782億円)を下回るものである。
積立金の内訳を基金の種類別にみると、財政調整基金に対するものは6,621億円で、前年度と比べると1,208億円増加(前年度22.3%増)、減債基金に対するものは4,559億円で、1,740億円増加(同61.7%増)、その他特定目的基金に対するものは5,772億円で、1,045億円減少(同15.3%減)となっている。
一方、積立金取崩し額は2兆3,775億円で、前年度と比べると1,376億円減少(同5.5%減)となっている。
その内訳をみると、財政調整基金の取崩し額は7,087億円で、前年度と比べると1,058億円増加(同17.5%増)、減債基金の取崩し額は4,664億円で、1,923億円減少(同29.2%減)、その他特定目的基金の取崩し額は1兆2,024億円で、511億円減少(同4.1%減)となっている。
なお、平成15年度末における積立金現在高は13兆9,865億円で、前年度末と比べると6,822億円減少(同4.7%減)となっている(積立金現在高については、「2 地方財政の概況 (6) 将来にわたる財政負担 ウ 積立金現在高」を参照)。
国債、地方債の取得や財団法人等への出えん、出資等のための経費である投資及び出資金の決算額は4,792億円で、前年度と比べると2.4%増(前年度3.2%減)となっている。
投資及び出資金の内訳を目的別にみると、土木費に係るものが2,153億円で最も大きな割合(投資及び出資金総額の44.9%)を占めており、次いで衛生費に係るものが1,572億円(同32.8%)となっている。
投資及び出資金のうち、地方公営企業会計(法適用企業)に対するものは2,821億円で、前年度と比べると152億円増加(対前年度比5.7%増)となっている。
事業別にみると、上水道事業に対するものが887億円で、最も大きな割合(地方公営企業会計(法適用企業)に対する投資及び出資金総額の31.4%)を占めており、以下、下水道事業の699億円(同24.8%)、病院事業の613億円(同21.7%)、交通事業の536億円(同19.0%)の順となっている。
平成15年度末における投資及び出資金の現在高は12兆1,153億円で、前年度末と比べると3,880億円増加(対前年度末比3.3%増)となっている。
その内訳をみると、観光・交通関係に係るものが3兆948億円で最も大きな割合(投資及び出資金残高の25.5%)を占めており、以下、商工関係の1兆1,009億円(同9.1%)、開発関係の9,901億円(同8.2%)の順となっている。
これに、基金の運用による投資及び出資金現在高131億円を加えると、現在高の総計は12兆1,284億円となり、前年度末と比べると4,563億円増加(対前年度末比3.9%増)となっている。
地方公共団体がさまざまな行政施策上の目的のために地域の住民、企業に貸し付ける貸付金の決算額は5兆3,528億円で、前年度と比べると2.7%減(前年度8.1%減)となっている。
貸付金の内訳を目的別にみると、商工費に係るものは3兆5,733億円で、前年度と比べると689億円減少(対前年度比1.9%減)、土木費に係るものは9,766億円で、173億円減少(同1.7%減)となっている。
地方公営企業会計(法適用企業)に対する貸付金は1,492億円で、前年度と比べると8億円減少(同0.6%減)となっており、貸付金総額に占める割合は2.8%となっている。
平成15年度末の貸付金の現在高は9兆209億円で、前年度末と比べると1,613億円減少(対前年度末比1.8%減)となっている。
その内訳をみると、商工関係に係るものが2兆859億円(貸付金現在高の23.1%)、観光・交通関係が1兆4,018億円(同15.5%)、住宅関係が6,189億円(同6.9%)等となっている。
これに定額の資金を運用するための基金による貸付金現在高6,664億円を加えると、現在高の総計は9兆6,873億円となり、前年度末と比べると1,452億円減少(対前年度末比1.5%減)となっている。