市町村を団体規模別(大都市、中核市、特例市、中都市、小都市、人口1万人以上の町村及び人口1万人未満の町村)にグループ化を行い、財政状況を分析すると以下のとおりである。
1市町村(特別区及び一部事務組合等を除く。以下この章において同じ。)当たり平均の歳入歳出決算額、人口(住民基本台帳登載人口)1人当たり平均の歳入歳出決算額をみると、第22表のとおりである。
人口1人当たり平均の決算額は、歳入については、大都市が491千円、中核市が347千円、特例市が320千円、中都市が319千円、小都市が378千円、人口1万人以上の町村が385千円、人口1万人未満の町村が740千円となっており、歳出については、大都市が485千円、中核市が337千円、特例市が313千円、中都市が312千円、小都市が368千円、人口1万人以上の町村が371千円、人口1万人未満の町村が715千円となっている。
これをみると、大都市、中核市及び特例市は他の市町村と異なり、事務配分、行政組織等について特例が設けられていることなどから人口1人当たり決算額が大きくなっているものの、その他の市町村については規模が小さな団体ほど人口一人当たり決算額が大きくなっている。
次に、財政力指数の単純平均を団体規模別にみると、第23表のとおりである。これを財政力指数の高い順にみると、特例市(0.85)、中都市(0.83)、大都市(0.81)、中核市(0.81)、小都市(0.60)、人口1万人以上の町村(0.51)、人口1万人未満の町村(0.26)となっており、大都市及び中核市以外の市町村については規模が大きいほど財政力指数が高くなっている。
さらに、実質収支比率は、第23表のとおりである。実質収支比率の高い順にみると、人口1万人未満の町村(5.6%)、人口1万人以上の町村(5.4%)、小都市(4.1%)、中都市(3.4%)、中核市(3.4%)、特例市(2.7%)、大都市(0.5%)となっている。
歳入決算の主な内訳は、第77図のとおりである。
地方税の構成比の高い順にみると特例市(45.2%)、中都市(44.5%)、中核市(43.2%)、大都市(38.0%)、小都市(32.7%)、人口1万人以上の町村(27.8%)、人口1万人未満の町村(12.3%)となっており、大都市、中核市及び特例市以外の市町村については規模が小さいほど地方税の占める割合が低くなっている。
また、地方税が歳入総額に占める割合の分布状況を団体規模別にみると、第78図のとおりであり、町村においては地方税の歳入総額に占める割合が低い団体の構成比が大きくなっている。なお、主な税目の1人当たりの額は、第79図のとおりである。
一方、地方交付税の構成比の高い順にみると、人口1万人未満の町村(38.6%)、人口1万人以上の町村(25.5%)、小都市(20.5%)、中核市(10.7%)、中都市(9.1%)、特例市(8.1%)、大都市(7.2%)となっている。
また、国庫支出金(交通安全対策特別交付金を除く。)の構成比の高い順にみると、大都市(13.1%)、中核市(12.8%)、特例市(11.5%)、中都市(10.8%)、小都市(9.6%)、人口1万人以上の町村(6.5%)、人口1万人未満の町村(6.0%)となっており、規模及び権能が大きいほど国庫支出金の構成比が高くなる傾向がある。
一方、都道府県支出金の構成比の高い順にみると、人口1万人未満の町村(7.8%)、人口1万人以上の町村(5.9%)、小都市(5.2%)、中都市(4.8%)、特例市(4.1%)、中核市(2.4%)、大都市(1.4%)となっており、規模及び権能が小さいほど都道府県支出金の構成比が高くなっている。
地方債の構成比(地方債依存度)の高い順にみると、人口1万人未満の町村(15.4%)、大都市(13.6%)、人口1万人以上の町村(13.2%)、小都市(11.9%)、中核市(11.3%)、特例市(11.0%)、中都市(10.4%)となっており、大都市及び町村の地方債依存度が高くなっている。
目的別歳出決算額の主な内訳は、第80図のとおりである。それぞれの団体規模ごとに構成比が高い費目をみると、大都市、中核市及び特例市においては民生費、土木費、公債費の順、中都市及び小都市においては民生費、土木費、総務費の順、人口1万人以上の町村においては民生費、総務費、土木費の順、人口1万人未満の町村においては総務費、公債費、民生費の順となっている。
また、規模及び権能が大きいほど土木費の構成比が高くなる一方、規模及び権能が小さいほど総務費及び農林水産業費の構成比が高くなる傾向がある。
性質別歳出決算額における主な項目の構成比は、第81図のとおりである。
それぞれの団体規模ごとに構成比が高い項目をみると、大都市及び小都市においては、人件費、普通建設事業費、公債費の順、中核市においては人件費、普通建設事業費、扶助費の順、特例市及び中都市においては人件費、扶助費、普通建設事業費の順、人口1万人以上の町村においては人件費、普通建設事業費、物件費の順、人口1万人未満の町村においては普通建設事業費、人件費、公債費の順となっている。
扶助費の構成比は、町村における生活保護費等を都道府県が負担していることなどから、町村の構成比が低くなっている。
経常収支比率は、第24表のとおりであり、経常収支比率の高い順にみると、大都市(93.1%)、中都市(87.6%)、特例市(87.5%)、小都市(87.4%)、人口1万人未満の町村(87.0%)、人口1万人以上の町村(84.1%)、中核市(82.9%)となっている。
なお、団体規模別の分布状況をみると、第82図のとおりである。なお、町村の経常収支比率が低いのは、主として生活保護費等を都道府県が負担していること等により、経常経費に占める扶助費の割合が低いことなどによるものである。
これを財政力指数段階別にみると、第83図のとおりであり、おおむね、同規模の団体においては、財政力指数の低いものほど経常収支比率が高く、財政構造の弾力性が乏しい状況にある。
公債費負担比率は、第84図のとおりであり、公債費負担比率の高い順にみると、大都市(21.4%)、人口1万人未満の町村(20.4%)、中核市(16.7%)、小都市(16.1%)、特例市(15.7%)、人口1万人以上の町村(14.9%)、中都市(14.8%)となっている。
起債制限比率は、第25表のとおりであり、起債制限比率の高い順にみると、大都市(15.3%)、中核市(10.9%)、特例市(10.8%)、小都市(10.5%)、中都市(10.3%)、人口1万人未満の町村(10.0%)、人口1万人以上の町村(8.7%)となっている。団体規模別の分布状況は、第85図のとおりであり、市においては10%以上15%未満の団体の割合が、人口1万人以上の町村においては5%以上10%未満の団体の割合が、人口1万人未満の町村においては10%以上15%未満の団体の割合が大きい傾向にある。
次に、起債制限比率を財政力指数段階別にみると、第86図のとおりであり、財政力指数が低いほど起債制限比率が高い傾向にある。
将来にわたる実質的な財政負担の標準財政規模に対する比率は、第87図のとおりであり、大都市(357.8%)、特例市(199.5%)、中核市(197.7%)、人口1万人未満の町村(195.1%)、小都市(192.6%)、中都市(182.6%)、人口1万人以上の町村(154.2%)の順に低くなっている。
また、これを団体規模別の分布状況でみると、第88図のとおりである。