第2部 平成21年度及び平成22年度の地方財政

1 平成21年度の地方財政

 平成21年度の地方財政を取り巻く環境及びその運営状況は、次のとおりである。

(1)平成21年度の経済見通しと国の予算

ア 経済見通しと経済財政運営の基本的態度

 「平成21年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」は、平成20年12月19日に閣議了解、平成21年1月19日に閣議決定されたが、この中で平成20年度の我が国経済は、世界の金融資本市場の危機を契機に世界的な景気後退が見られる中で、外需面に加え国内需要も停滞し、景気の下降局面にあり、雇用情勢が急速に悪化しつつあるとともに、企業の資金繰りも厳しい状況となっているとされた。こうした結果、平成20年度の国内総生産の実質成長率は、マイナス0.8%程度(名目成長率はマイナス1.3%程度)になると見込まれた。

 このような情勢認識に立って、「平成21年度の経済財政運営の基本的態度」においては、国民生活と日本経済を守る観点から、当面は「景気対策」、中期的には「財政再建」、中長期的には「改革による経済成長」という3段階で、経済財政政策を進めるとともに、引き続き、「生活対策」の実現及び税制改正に併せ「生活防衛のための緊急対策」(平成20年12月19日経済対策閣僚会議決定)を着実に実施することとされた。また、「経済財政の中長期方針と10年展望」(平成21年1月19日閣議決定)に基づき、財政健全化の取組を進めつつ、世界の経済金融情勢の変化を受け、状況に応じて果断な対応を機動的かつ弾力的に行い、あわせて、改革による経済成長を目指し、「新経済成長戦略」(平成20年9月19日閣議決定)を基礎としつつ、将来の成長に向けたシナリオを取りまとめ、強力に推進することとされた。

 以上のような経済財政運営を前提として、平成21年度においては、世界的な景気後退が続く中で、内需、外需ともに厳しい状況が続くが、「安心実現のための緊急総合対策」(平成20年8月29日「安心実現のための緊急総合対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議決定)、「生活対策」及び「生活防衛のための緊急対策」の実施や交易条件の改善による効果が見込まれた。こうした結果、平成21年度の国内総生産の実質成長率は、0.0%程度(名目成長率は0.1%程度)になるものと見通された。

イ 国の予算

 平成20年12月3日、「平成21年度予算編成の基本方針」が閣議決定された。その中で、平成21年度予算編成にあたっては、「基本方針2006」等に基づき財政健全化に向けた基本的方向性を維持する観点から、重要課題推進枠の活用などにより予算配分の重点化を行うとともに、世界金融情勢の変化を受け、国民生活と日本経済を守るべく、「生活対策」に盛り込まれた内需拡大と成長力強化等に向けた税制上の措置とあわせ、状況に応じて果断な対応を機動的かつ弾力的に行い、行政支出総点検会議等の議論を踏まえ、政策の必要性をゼロベースで精査し、行政支出全般を徹底して見直すことにより、財政支出の抑制につなげることとされた。また、予算配分の重点化に当たっては、「生活者の暮らしの安心」、「金融・経済の安定強化」及び「地方の底力の発揮」に施策を集中するとともに、各施策について成果目標を提示し、厳格な事後評価を行い、政策評価等を活用し、歳出の効率化・合理化を進め、さらに、政策の棚卸しにより、従来から整理されず引き続いて行われているような政策は、思い切った見直しを行うこととされた。

 社会保障制度については、その機能強化と効率化を図る一方、基礎年金国庫負担割合の2分の1への引上げに要する財源をはじめ、国・地方を通じて持続可能な社会保障制度とするために安定した財源を確保する必要があるとされた。

 公共投資については、歳出改革を進める中で、今後とも公共投資に関する改革を継続し、地域の自立・活性化、我が国の成長力強化、防災・減災等による安全・安心の確保等を推進するため、真に必要な公共投資を選別する観点から、整備水準や施設の利用状況等を踏まえた事業のメリハリ付けを行うとともに、コスト構造改善や入札改革を進め、更なる重点化・効率化を図ることとされた。

 地方財政については、平成21年度予算編成においても、国の取組と歩調を合わせて、人件費、投資的経費、一般行政経費の各分野にわたり、厳しく抑制を図るとともに、安定的な財政運営に必要となる地方税、地方交付税等の一般財源の総額を確保し、地域間の財政力格差に対応するため、地方再生対策の考え方に従った交付税配分の重点化を引き続き進め、地方交付税を財政の厳しい地域に重点的に配分し、景気後退や「生活対策」に伴う地方税や地方交付税の原資となる国税5税の減収等について、地方公共団体への適切な財政措置を講じることとされた。

 平成21年度予算は、以上のような方針により編成され、平成20年12月24日に政府案の閣議決定が行われた後、平成21年1月19日に第171回国会に提出され、平成21年3月27日に政府案どおり成立した。

 これによると、平成21年度の国の一般会計予算の規模は88兆5,480億円で、前年度当初予算と比べると5兆4,867億円の増加(6.6%増)となっており、うち一般歳出の規模は51兆7,310億円で、前年度当初予算と比べると4兆4,465億円の増加(9.4%増)となっている。なお、公債の発行予定額は33兆2,940億円で、前年度当初発行予定額と比べると7兆9,460億円の増加(31.3%増)となっており、公債依存度は37.6%となっている。他方、財政投融資計画の規模は15兆8,632億円で、前年度計画額と比べると1兆9,943億円の増加(14.4%増)となった。

(2)地方財政計画

 平成21年度においては、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、既定の加算とは別枠で地方交付税を1兆円増額し、歳出面においては、これに合わせて地方公共団体が雇用創出等を図るとともに「生活者の暮らしの安心」や「地方の底力の発揮」に向けた事業を実施するために必要な経費を計上するほか、「基本方針2006」等に沿って、国の取組と歩調を合わせて、歳出全般にわたり見直しを行うことにより計画的な抑制を図り、歳入面においては、地方税負担の公平適正化の推進と安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税などの一般財源総額の確保を図ることを基本とするとともに、引き続き生ずることとなった大幅な財源不足について、地方財政の運営上支障が生じないよう適切な補てん措置を講じることとし、次の方針に基づき策定された。

ア 地方税については、現下の社会・経済情勢を踏まえ、安心で活力ある経済社会の実現に資する観点から、個人住民税における新たな住宅借入金等特別税額控除の創設、上場株式等の配当等及び譲渡所得等に係る個人住民税の税率の特例措置の延長、土地及び住宅に係る不動産取得税の税率の引下げ措置の延長、平成21年度評価替えに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税の税負担の調整、環境への負荷の少ない自動車に係る自動車取得税の税率の引下げ等の特例措置の拡充、軽油引取税等の一般財源化等を行うほか、非課税等特別措置の整理合理化等を行うこととし、所要の措置を講じることする。

イ 地方公共団体が行う雇用機会の創出その他の地域の活性化に資する施策の実施に必要な財源を確保するために既定の加算とは別枠で地方交付税を1兆円増額した上で、地方財源不足見込額について、地方財政の運営に支障が生じることのないよう、次の措置を講じることとする。

(ア) 平成19年度に講じた平成21年度までの制度改正に基づき、財源不足のうち建設地方債(財源対策債)の増発等を除いた残余については国と地方が折半して補てんすることとし、国負担分については、国の一般会計の加算等により、地方負担分については、地方財政法第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)により補てん措置を講じる。

 臨時財政対策債の元利償還金相当額については、その全額を後年度地方交付税の基準財政需要額に算入する。

 なお、平成5年度の投資的経費に係る国庫補助負担率の見直しに関し一般会計から交付税特別会計に繰り入れることとしていた額等2,472億円については、法律の定めるところにより平成27年度以降の地方交付税の総額に加算する。

(イ) これに基づき、平成21年度の財源不足見込額10兆4,664億円については、次により完全に補てんする。

a 地方交付税については、平成19年度分の精算による4,994億円の減額を繰り延べるほか、国の一般会計加算により3兆2,784億円(うち地方交付税法附則第4条の2第2項の加算額1,400億円、同条第3項の加算額5,831億円、臨時財政対策特例加算額2兆5,553億円)増額する。

b 地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律附則第4条第1項に規定する特別交付金2,000 億円を交付する。

c 自動車取得税の減税に伴う自動車取得税交付金の減収の一部を補てんするため地方特例交付金(減収補てん特例交付金)を500億円増額する。

d 地方財政法第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)を5兆1,486億円発行する。

e 建設地方債(財源対策債)を1兆2,900億円増発する。

 なお、自動車取得税交付金の減収を補てんするための減収補てん特例交付金の交付額は、平成21年度から平成23年度までの各年度500億円とする。

(ウ) 上記の結果、平成21年度の地方交付税については、15兆8,202億円(前年度に比し2.7%増)を確保する。

ウ 地方債については、極めて厳しい地方財政の状況の下で、地方財源の不足に対処するための措置を講じるとともに、地方公共団体が、地域の活性化に積極的に取り組み、生活関連基盤の整備を計画的に推進できるよう、所要の地方債資金を確保する。

 併せて、地方公共団体の資金ニーズへの適時・適切な対応が可能となるよう、地方公営企業等金融機構を改組して地方公共団体金融機構を創設し、一般会計事業についても貸付対象とする。

 この結果、地方債計画の規模は、14兆1,844億円(普通会計分11兆8,329億円、公営企業会計等分2兆3,515億円)とする。

エ 地域の雇用創出を図りつつ、個性と活力ある地域社会の構築、住民に身近な社会資本の整備、災害に強い安心安全なまちづくり、総合的な地域福祉施策の充実、農山漁村地域の活性化等を図ることとし、財源の重点的配分を行う。

(ア) 急速に悪化しつつある雇用情勢を踏まえ、雇用創出につながる地域の実情に応じた事業を実施するために必要な特別枠「地域雇用創出推進費」5,000億円を平成21年度及び平成22年度において計上する。

(イ) 給与関係経費については、基礎年金公費負担割合を2分の1に引き上げる。

(ウ) 公債費については、金融秩序の混乱を踏まえ、地方債の償還財源を確保する観点から償還期限の見直しを行う。

(エ) 投資的経費に係る地方単独事業費については、国の公共投資関係費の取扱い等も勘案しつつ、前年度に比し3.0%減額することとする一方で、引き続き、地域の自立や活性化につながる基盤整備を重点的・効率的に推進する。

(オ) 一般行政経費に係る地方単独事業費については、地方公共団体の自助努力を促す観点から既定の行政経費の縮減を図る一方、地域の元気回復に向けて地方が自主的・主体的に取り組む地域活性化施策、定住自立圏構想の推進、医療・少子化対策等に財源の重点的配分を図るとともに、地域において必要な行政課題に対して適切に対処する。

(カ) 消防力の充実、自然災害の防止、震災対策の推進及び治安維持対策等住民生活の安心安全を確保するための施策を推進する。

(キ) 過疎地域の自立促進のための施策等に対し所要の財政措置を講じる。

オ 地方公共団体の公債費負担の軽減を図るため、平成21年度までの3年間で5兆円程度の公的資金(平成21年度においては旧資金運用部資金及び旧簡易生命保険資金)の補償金免除繰上償還を行い、高金利の地方債の公債費負担を軽減する措置を講じる。

カ 地方公営企業の経営基盤の強化、上・下水道、交通、病院等住民生活に密接に関連した社会資本の整備の推進、公立病院における医療の提供体制や医師確保対策をはじめ、社会経済情勢の変化に対応した新たな事業の展開等を図るため、経費負担区分等に基づき、一般会計から公営企業会計に対し所要の繰出しを行うこととする。

キ 地方行財政運営の合理化を図ることとし、「基本方針2006」等に沿って、職員数の純減や給与構造改革等に引き続き取り組むとともに、事務事業の見直し、民間委託等の推進など行財政運営全般にわたる改革を推進する。

 以上のような方針に基づいて策定した平成21年度の地方財政計画の規模は、82兆5,557億円で、前年度と比べると8,457億円減少(1.0%減)となった。

 歳入についてみると、地方税は36兆1,860億円で、前年度と比べると4兆2,843億円減少(10.6%減)(道府県税18.1%減、市町村税4.0%減)、地方譲与税は1兆4,618億円で、前年度と比べると7,591億円増加(108.0%増)、地方特例交付金等は4,620億円で、前年度と比べると115億円減少(2.4%減)、地方交付税は15兆8,202億円で、前年度と比べると4,141億円増加(2.7%増)、国庫支出金は10兆3,016億円で、前年度と比べると2,185億円増加(2.2%増)、地方債(普通会計分)は11兆8,329億円で、前年度と比べると2兆2,274億円増加(23.2%増)となった。

 一方、歳出についてみると、給与関係経費は22兆1,271億円で、前年度と比べると800億円減少(0.4%減)となっている。なお、地方財政計画における職員数については、「基本方針2006」における5年間で5.7%の定員削減目標を踏まえ23,868人の純減としている。一般行政経費は27兆2,608億円で、前年度と比べると7,144億円増加(2.7%増)となり、一般行政経費にかかる地方単独事業費は13兆8,285億円で、前年度と比べると125億円減少(0.1%減)となっている。公債費は13兆2,955億円で、前年度と比べると841億円減少(0.6%減)、投資的経費のうち、公共事業費中の普通建設事業費は4兆8,966億円で、前年度と比べると4,244億円減少(8.0%減)となっている。なお、投資的経費に係る地方単独事業費は8兆808億円で、前年度と比べると2,499億円減少(3.0%減)となった。

 他方、平成21年度の地方債計画の規模は14兆1,844億円で、前年度当初計画と比べると1兆7,068億円増加(13.7%増)となった。平成21年度の地方債計画は、極めて厳しい地方財政の状況の下で、地方財源の不足に対処するための措置を講じるとともに、地方公共団体が、地域の活性化に積極的に取り組むとともに、生活関連基盤の整備を計画的に推進できるよう、所要の地方債資金の確保を図ることとして策定している。

 併せて、地方公共団体の資金ニーズへの適時・適切な対応が可能となるよう、地方公共団体金融機構を創設(地方公営企業等金融機構の改組)し、一般会計についても貸付対象とすることとしている。

(3)平成21年度補正予算

ア 平成21年度補正予算(第1号)

 平成21年度補正予算(第1号)は、平成21年4月27日に閣議決定され、同日第171回国会に提出され、5月29日に成立した。

 この補正予算においては、歳出面で、「経済危機対策」(平成21年4月10日「経済危機対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議決定)を実施するための経済危機対策関係経費14兆6,987億円等を追加計上したほか、経済緊急対応予備費の減額8,500億円の修正減少額を計上した。また、歳入面では、公債金10兆8,190億円(建設公債7兆3,320億円の増額及び特例公債3兆4,870億円の増額)、財政投融資特別会計受入金3兆1,000億円等を追加計上した。

イ 平成21年度補正予算(第1号)に係る地方財政措置等

 平成21年度補正予算(第1号)の編成により、歳出の追加に伴う地方負担の増加が生じた結果、以下の措置が講じられた。

(ア) 地方公共団体への配慮

 極めて厳しい地方財政の現状を踏まえ、「経済危機対策」に基づき、「地方公共団体への配慮」として「地域活性化・公共投資臨時交付金」(1兆3,790億円)及び「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」(1兆円)を交付する。

a 地域活性化・公共投資臨時交付金

 経済危機対策における公共事業及び施設費(以下「公共事業等」という。)の追加に伴う地方負担の軽減を図り、地方公共団体が国の施策と歩調を合わせ、地域における公共投資を円滑に実施できるよう、「地域活性化・公共投資臨時交付金」(総額1兆3,790億円)を交付する。

b 地域活性化・経済危機対策臨時交付金

 地方公共団体において、地球温暖化対策、少子高齢化社会への対応、安全・安心の実現、その他将来に向けた地域の実情に応じるきめ細かな事業を積極的に実施できるよう、「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」(総額1兆円)を交付する。

(イ) 公共事業等の追加に伴う地方負担に対する財政措置

 今回の補正予算により平成21年度に追加されることとなる公共事業、施設費等の投資的経費の地方負担額については、地域活性化・公共投資臨時交付金とは別に、原則として、地方負担額の100%まで地方債を充当できることとし、後年度において、その元利償還金の全額を基準財政需要額に算入する。

 その際、元利償還金の50%(義務教育施設改築事業等当初における地方負担額に対する算入率が50%を超えるものについては、原則として当初の算入率)については、公債費方式により各団体の地方債発行額に応じて基準財政需要額に算入することとし、残余については、単位費用により措置する。

a 国の補正予算により平成21年度に追加される公共事業等のうち法令に国の補助負担割合が規定されているものに係る地方負担額については、地域活性化・公共投資臨時交付金を充当することはできない。このため、地方負担額については、地方債を充当することとなるが、地方負担額に応じて交付限度額が算定される地域活性化・公共投資臨時交付金を追加地方単独事業又は既往地方単独事業の財源に振り替えることにより、実質的な負担軽減が図られるものである。

b 上記a以外の地方負担額については、地域活性化・公共投資臨時交付金又は地域活性化・経済危機対策臨時交付金を充当することができる。この場合において、地方債は交付金を充当した残余に充当することになる。

c 地域活性化・公共投資臨時交付金は、当該地方公共団体の財政事情や地方単独事業の事業量、追加公共事業等の執行予定等に応じ、その一部を基金に積み立て、平成22年度以降における地方単独事業等の財源とすることも可能である。ただし、経済危機対策の趣旨を踏まえ、早期の執行に努められたい。

 また、今回の補正予算により平成21年度に追加されることとなる地方債の対象とならない経費(普通会計分:1,500億円)については、法令に国の補助負担割合が規定されていないものについては地域活性化・経済危機対策臨時交付金を充当できるほか、追加財政需要額(5,700億円)の取り崩しにより対応することとしている。

(ウ) 基金造成事業

 今回の補正予算により創設することとされている交付金等を財源として、2兆1,318億円を基金に積み立てることとしており、その概要は次のとおりである。

a 地域医療再生臨時特例交付金(3,100億円)

 都道府県が地域の医療課題の解決に向けて策定する「地域医療再生計画」に基づいて行う医療圏単位での医療機能の強化、医師等の確保等の取組を支援するため、今回の補正予算において創設する。

 地域医療再生臨時特例交付金の総額は3,100億円であり、各都道府県においては、交付金を財源として地域医療再生のための基金を設置し、医療機関の連携強化、勤務医・看護師等の勤務環境の改善、大学病院等と連携した医師派遣機能の強化、医療機関・医療機器・IT基盤の整備など、地域の実情に応じた事業を実施する。

b 介護職員処遇改善等臨時特例交付金(4,773億円)

 介護職員の処遇改善やスキルアップの取組等を行う事業者に対し助成を行うため、今回の補正予算において、「介護職員処遇改善等臨時特例交付金」を創設する。

 介護職員処遇改善等臨時特例交付金の総額は4,773億円であり、各都道府県においては、交付金を財源として基金を設置し、介護職員等の賃金改善を行うことを含む処遇改善計画を提出する事業者等に対し、平成23年度までの期間にわたり交付金を交付する。

c 森林整備加速化・林業再生事業費補助金(1,238億円)

 森林整備の加速化と林業・木材産業等の地域産業の再生を目的として、今回の補正予算において、「森林整備加速化・林業再生事業費補助金」を創設する。

 森林整備加速化・林業再生事業費補助金の総額は1,238億円であり、各都道府県においては、補助金を財源として基金を設置し、間伐や路網の整備、製材施設・バイオマス利用施設等の整備、木質バイオマスや間伐材の流通の円滑化、学校の武道場等の公共施設等での地域材利用等を促進するための事業を、平成23年度までの期間にわたり実施する。

d 地域グリーンニューディール基金(550億円)

 環境保全型の地域づくりを推進し、地域環境事業を実施する地方公共団体や民間事業者を支援するため、「地域グリーンニューディール基金」を創設することとし、今回の補正予算において、「地域環境保全対策費補助金」及び「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」を計上する。

 地域グリーンニューディール基金の総額は550億円であり、各都道府県及び指定都市においては、補助金を財源として既存の「地域環境保全基金」に別勘定を設けて拡充又は新設し、平成23年度までの間において、地球温暖化対策に係る地方公共団体実行計画や廃棄物処理計画等に基づき、地球温暖化対策の推進、不法投棄・散乱ごみ等の処理の推進、アスベスト廃棄物や微量PCB廃棄物の処理、海岸漂着物等の回収・処理等を実施する。

e 施設整備関係の基金造成事業

 今回の補正予算においては、施設整備関係の基金造成事業として、次の交付金を創設し、各都道府県において、これらの交付金を財源として基金を設置する。

(a)災害拠点病院、救命救急センター及び二次救急医療機関の耐震化のための「医療施設耐震化臨時特例交付金」(1,222億円)

(b)障害者関連施設や児童関連施設などの社会福祉施設等の耐震化・スプリンクラーの整備のための「社会福祉施設等耐震化等臨時特例交付金」(1,062億円)

(c)地域の介護ニーズに対応するための特別養護老人ホーム等の整備やこれらの施設に係るスプリンクラーの整備のための「介護基盤緊急整備等臨時特例交付金」(2,495億円)

f その他の基金造成事業

 今回の補正予算においては、その他の基金造成事業として、次の交付金を創設し、各都道府県において、これらの交付金を財源として基金を設置する。

(a)相談体制の整備や人材の養成等を緊急に実施するための「地域自殺対策緊急強化交付金」(100億円)

(b)経済情勢の悪化により修学が困難な学生・生徒に対する授業料減免事業等への緊急支援等のための「高等学校授業料減免事業等支援臨時特例交付金」(486億円)

 また、今回の補正予算においては、次の交付金を計上し、それぞれの交付金を財源として設置している基金を拡充する。

(i)「地方消費者行政活性化交付金」(110億円)

(ii)「障害者自立支援対策臨時特例交付金」(1,523億円)

(iii)「高齢者医療制度円滑運営臨時特例交付金」(131億円)

(iv)「緊急雇用創出事業臨時特例交付金」(3,000億円)

(v)「子育て支援対策臨時特例交付金」(1,500億円)

(vi)「森林整備地域活動支援交付金」(31億円)

ウ 平成21年度補正予算(第1号)の執行の見直し

 平成21年9月に発足した新内閣による9月18日の閣議において、総理から、「平成21年度第1次補正予算の事業に係る執行の見直しについて」発言があり、平成21年度補正予算(第1号)に係る事業のうち、各大臣が所管するすべてについて、その執行の是非を点検することとされた。その見直しの結果に基づき、平成21年10月16日に「平成21年度第1次補正予算の執行の見直しについて」を閣議決定し、「第1次補正予算の執行については、別紙の事業につき、掲げられた額を目途に、執行停止又は交付を予定している法人等に対する交付辞退若しくは自主返納の要請等を行うこととし、その見直しの結果を平成21年度第2次補正予算又は平成22年度予算に反映する。このため、交付辞退又は自主返納の手続が必要なものについては、その手続に直ちに着手する」こととされた。

 これを受けて、補正予算(第1号)にかかる事業の全部又は一部の執行停止等が行われ、補正予算に計上された14兆6,987億円のうち、独立行政法人等への基金造成等を中心に2兆8,369億円が執行停止又は返納とされた。

 平成21年度補正予算(第1号)の執行停止等とされた、2兆8,369億円の内訳については以下のとおりである。

(ア) 基金事業(地方向け基金を除く) 9,781億円
(イ) 独立行政法人等官庁施設費等 2,523億円
(ウ) 公共事業関係費(金融対策除く) 4,792億円
(エ) 地方向け支出(基金) 780億円
 (地域医療再生臨時特例交付金 750億円、地方消費者行政活性化交付金 30億円)
(オ) 地方向け支出(基金以外) 2,715億円
(カ) 金融対策 5,588億円
(キ) その他の施策 2,191億円

 なお、この他に、地域活性化・公共投資臨時交付金について、追加公共事業等の停止に伴い890億円程度が執行停止とされたため、合わせて2兆9,259億円の執行停止・返納とされた(その後、当該臨時交付金の執行停止額は900億円で確定した。)。

エ 平成21年度補正予算(第2号)

 平成21年度補正予算(第2号)の概算は、平成21年12月15日に閣議決定され、平成22年1月18日に第174回国会に提出され、1月28日に成立した。

 この補正予算においては、歳出面で、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」(平成21年12月8日閣議決定)を実施するための明日の安心と成長のための緊急経済対策費7兆2,013億円等を追加計上するほか、既定経費の節減7兆3,441億円の修正減少額を計上している。また、歳入面で、税収を9兆2,420億円等を減額計上する一方、公債金9兆3,420億円(建設公債1,000億円及び特例公債9兆2,420億円の増額)を追加計上した。

 この結果、一般会計予算の規模は、歳入歳出とも平成21年度の補正予算(第1号)による補正後予算に対し、846億円増加し、102兆5,582億円となった。

 平成21年度補正予算(第2号)の明日の安心と成長のための緊急経済対策の7兆2,013億円の内訳については以下のとおりである。

(ア) 雇用 6,140億円
 (緊急対応 2,640億円、成長戦略への布石 3,500億円)
(イ) 環境 7,768億円
 (「エコ消費3本柱」の推進 5,945億円、成長戦略への布石 1,822億円)
(ウ) 景気 15,742億円
 (金融対策 11,742億円、住宅投資 4,000億円)
(エ) 生活の安心確保 7,849億円
(オ) 地方支援 34,515億円

オ 平成21年度補正予算(第2号)に係る地方財政措置等

 平成21年度補正予算(第2号)の編成により、国税の減額補正に伴い地方交付税が減額されるとともに、歳出の追加に伴う地方負担の増加が生じた結果、以下の措置が講じられた。

(ア) 国税の減額補正に伴う地方交付税の減額に対する補てん措置

 今回の補正予算においては、平成21年度の国税の減収に伴い地方交付税が2兆9,515億円の減額となったところであるが、これについては、平成21年度当初における地方財政対策に準じ、次のとおり措置する。この結果、平成21年度の当初予算の地方交付税の総額が確保されるものである。

a 地方交付税の減2兆9,515億円については、全額を国の一般会計からの加算により措置する。

b aの加算のうち2分の1の国負担分については、臨時財政対策加算とし、2分の1の地方負担分については臨時財政対策債を発行することに代えて措置するものであることを踏まえ、後年度精算する。

(イ) 追加の財政需要等に対する財政措置

a 国の補正予算により平成21年度に追加されることとなる災害復旧事業等投資的経費に係る地方負担額(普通会計分225億円)については、原則として、地方債(充当率100%)を充当することとし、後年度においてその元利償還金の全額を基準財政需要額に算入する。

 その際、元利償還金の50%(当初における地方負担額に対する算入率が50%を超えるものについては、原則として当初の算入率)については、公債費方式により各団体の地方債発行額に応じて基準財政需要額に算入することとし、残余については単位費用により措置する。

b 地方債の対象とならない経費については、地方負担の追加は生じない見込みである。

(ウ) 地方公共団体によるきめ細かなインフラ整備等を支援する交付金の創設

 地方公共団体において、危険な橋梁の補修、景観保全の必要性の高い地域における電線の地中化や都市部の緑化、森林における路網整備等投資的経費に係る事業について、「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」(総額5,000億円)を交付する。

カ 地方税の減収に対する措置

 本年度の地方税については、大幅な減収が生じる見込みとなっており、道府県民税法人税割、利子割、法人事業税及び地方法人特別譲与税並びに市町村民税法人税割及び利子割交付金における減収額に対しては、減収補てん債による補てん措置を講じる。

(4)地方公共団体の予算

 平成21年度の地方公共団体の普通会計予算(9月補正後)の状況は、第40表のとおりであり、普通会計予算の総額(都道府県及び市区町村の単純合計)は、前年度と比べると2.1%増となった。

 主な内訳をみると、歳入では、地方税が前年度と比べると10.1%減、地方譲与税103.8%増、地方交付税2.3%増、国庫支出金32.3%増、地方債20.1%増となった。一方、歳出では、人件費が前年度と比べると5.6%減、扶助費3.4%増、普通建設事業費2.4%増となった。

 なお、第40表の数値は、前年度からの繰越事業に係るものを含んでいる。

(5)不交付団体の状況

 地方公共団体の自由と責任を実現するには、地方交付税に依存しない自立した団体を増やすことが重要である。

 平成21年度の不交付団体数は、都道府県は1団体(東京都)、市町村は1,777団体中151団体(うち政令指定都市5団体(さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市及び名古屋市))であり、不交付団体の割合は、団体数では8.5%と平成20年度の9.9%からは減少し、人口割合では27.5%と平成20年度の29.5%からは減少している。

 平成21年度において、人口20万人以上の地方公共団体(113団体)のうち不交付団体数は33団体(29.2%)となっている。

(6)個別団体における財政健全化

 近年の地方財政は、バブル経済崩壊後の数次の景気対策による公共事業の追加や、減税の実施等により、借入金残高が累積しており、厳しい財政運営を余儀なくされている状況にある。平成20年度決算における経常収支比率については、前年度(93.4%)と比べると0.6ポイント低下の92.8%となっている。実質公債費比率については、前年度(12.8%)と比べると0.5ポイント低下の12.3%となっている。また、実質収支が赤字の団体数は前年度から6団体減少し、19団体となっている。

 各地方公共団体においては、このような厳しい財政状況を踏まえて、一層の事務事業の見直し、組織・機構の簡素効率化、外郭団体の統廃合等、定員管理・給与の適正化、民間委託等の推進など、自主的な行財政改革に積極的に取り組むとともに、独自課税の検討、地方税の徴収確保、使用料・手数料の適正化等を通じて歳入の確保を図るなど、財政運営の健全化に努めている。

 個別団体についてみると、夕張市においては、人口急減などに伴う歳入の減少が続くことへの対応が遅れ、組織のスリム化が進まず、観光振興等に多大な財政支出を行ってきたこと、さらに、不適正な財務処理を行い多額の赤字の実態を表面化させず拡大を招いたことにより、財政状況が極めて深刻な状態に悪化していることが平成18年度に明らかにされたことから、同年度中に平成36年度までの財政再建計画を作成し、財政再建に取り組んできたところである。

 夕張市は赤字の解消にあたり、歳入面では、市民の負担増に一定の配慮をしながら、税率の見直しによる市税の増収を図るほか、受益者負担の見直しによる歳入の増加、さらに、税や使用料などの徴収率の向上に向けた対策を講じることにより歳入確保に努めてきた。また、歳出面では、高い比率を占める高齢者や子どもたちに一定の配慮をしながら、行政のスリム化と事務事業の抜本的な見直しを図ることとし、特に、人件費については、職員の給与水準の引き下げや各種手当ての見直しにより削減を図り、全国の市町村で最も低い給与水準とするほか、類似団体と比較して2倍程度であった職員数の大幅な削減を進め、同程度の規模の市町村で最も少ない職員数の水準となるよう削減してきたところである。

 また、夕張市は平成21年4月1日に全面施行された健全化法の規定に基づき公表された、平成20年度決算に基づく再生判断比率が財政再生基準以上であったことから、平成21年度中に財政再生計画を策定し、引き続き、財政の再生に取り組むこととなっている。

(7)地方公営企業等に関する財政措置

ア 地方公営企業

 地方公営企業については、経営基盤の強化、上・下水道、交通、病院等住民生活に密接に関連した社会資本の整備の推進、公立病院における医療の提供体制や医師確保対策をはじめ、社会経済情勢の変化に対応した新たな事業の展開等を図る必要がある。

 このため、平成21年度においては、次のような措置を講じた。

 公営企業会計と一般会計との間における経費負担区分の原則等に基づく公営企業繰出金については、地方財政計画において2兆6,628億円(前年度2兆6,352億円)を計上した。

 地方公営企業の建設改良等に要する地方債については、地方債計画において公営企業会計等分2兆3,515億円(前年度2兆8,721億円)を計上した。

 また、公債費負担対策として行う公的資金補償金免除繰上償還の公営企業債分については、旧資金運用部資金約2兆7,000億円、旧簡易生命保険資金約3,500億円、公営企業金融公庫資金約1兆1,900億円(公営企業借換債による措置約4,000億円を含む。)の計画を平成19年度から平成21年度において承認した。

 なお、事業別には、上水道(簡易水道含む。)約1兆3,000億円、工業用水道約500億円、地下鉄約4,100億円、下水道約2兆2,300億円、病院約2,600億円となっている。

 さらに、各事業における財政措置のうち主なものは以下のとおりである。

(ア) 簡易水道事業及び下水道事業(流域下水道、小規模集合排水処理施設及び個別排水処理施設に係るものに限る。)については、前年度に引き続き、事業年度における一般会計からの繰出しに代えて、臨時的に公営企業債(臨時措置分)を措置することとし、当該臨時措置分に係る公営企業債の元利償還金については、その全額(流域下水道のうち地方単独事業に係るものを除く。)を後年度において基準財政需要額に算入することとした。

(イ) 水道事業において、水道施設の耐震化を早急に推進するため、上水道安全対策事業のうち災害対策事業の対象事業を拡充することとし、新たに浄水場、配水池等の基幹水道構造物及び水道管路の耐震化に要する経費について地方財政措置を講じることとした。

(ウ) 平成21年度以降の病院事業に係る地方財政措置については、「公立病院に関する財政措置のあり方等検討会」の報告及び平成21年度の地方財政対策を踏まえ、平成20年12月に「公立病院に関する財政措置の改正要綱」を決定し、過疎地や産科、小児科、救急医療などの不採算部門における医療の提供、公立病院における医師確保対策の推進等に係る地方交付税措置を大幅に拡充することとした。

 具体的には、(1)過疎地の医療確保のため、「不採算地区病院」の要件の緩和や単価増、(2)産科、小児科、救急医療等の充実のため、救急告示病院の普通交付税措置への移行、周産期病床、小児病床の単価増など、不採算部門における医療の提供体制や医師確保対策の充実に向け、地方交付税措置額を700億円程度増額するとともに、経営形態の多様化を踏まえ、公的病院、有床診療所等に関する地方交付税措置を拡充することとした。

イ 国民健康保険事業

 国民健康保険事業の厳しい財政状況に配意し、平成17年度に決定された医療制度改革大綱や、健康保険法等の改正などを踏まえ、国民健康保険に対して、財政基盤の強化のための支援措置を次のとおり講じることとした。

(ア) 都道府県が、市町村の国保財政安定のために必要な取組等に対し交付する都道府県調整交付金(給付費等の7%)の所要額(4,796億円)について、地方交付税措置を講じることとした。

(イ) 国保被保険者の保険料負担の緩和を図る観点から、市町村(一部事務組合等を除く。)が保険料軽減相当額に応じて、一般会計から国民健康保険特別会計への繰入れを行う際に、当該費用に対し、都道府県が一部を負担することとし、その所要額(3,267億円(都道府県3/4、市町村1/4))について地方交付税措置を講じることとした。

(ウ) 低所得者を多く抱える保険者を支援する観点から、市町村(一部事務組合等を除く。)が低所得者数に応じて、一般会計から国民健康保険特別会計への繰入れを行う際に、当該費用に対し、国及び都道府県が一部を負担することとし、その所要額(730億円(国1/2、都道府県1/4、市町村1/4))について地方交付税措置を講じることとした。

(エ) 高額医療費共同事業については、市町村国保の拠出金に対し、国及び都道府県が一部を負担することとし、その所要額(2,274億円(国1/4、都道府県1/4、市町村国保1/2))について地方交付税措置を講じることとした。また、都道府県内の市町村国保間の保険料の平準化、財政の安定化を図るため、一件30万円以上の医療費について、市町村国保の拠出による保険財政共同安定化事業を実施することとした。

(オ) 国保財政安定化支援事業については、国保財政の健全化に向けた市町村一般会計からの繰出しについて、所要の地方交付税措置(1,000億円)を講じることとした。

(カ) 国民生活の質の維持・向上を確保しつつ、医療費の適正化を図るため、40歳から74歳までの国民健康保険加入者に対して糖尿病等の予防に着目した健診及び保健指導を行うため、特定健康診査・保健指導事業に対して、国及び都道府県が一部を負担することとし、その所要額(892億円(国1/3、都道府県1/3、市町村国保1/3))について地方交付税措置を講じることとした。

ウ 後期高齢者医療制度

 医療制度改革の一環として、平成20年4月から施行された後期高齢者医療制度については、実施主体である広域連合の財政基盤の強化のための支援措置を次のとおり講じることとした。

(ア) 保険料軽減制度については、低所得者に対する配慮として、後期高齢者の被保険者の保険料負担の緩和を図る(均等割2割・5割・7割軽減)とともに、被用者保険の被扶養者であった被保険者の保険料軽減を行うため、都道府県及び市町村が負担することとし、その所要額(2,373億円(都道府県3/4、市町村1/4))について地方交付税措置を講じることとした。

 なお、「高齢者医療の円滑な運営のための負担の軽減等について」(平成20年6月12日政府・与党)により創設されることとなった保険料軽減措置(均等割9割軽減・所得割5割軽減)に伴う平成21年度分の財政措置については、平成20年度第2次補正予算において、全額国費により対応することとした。

 さらに、「経済危機対策」(平成21年4月10日「経済危機対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議)において、平成20年度に均等割8.5割軽減であった被保険者が平成21年度に均等割7割軽減となる場合については、平成21年度においても均等割8.5割軽減を継続することとされたが、このための財政措置については、平成21年度第1次補正予算において、全額国費により対応することとした。

(イ) 高額医療費負担金については、広域連合の拠出金に対し、国及び都道府県が一部を負担することとし、その所要額(977億円(国1/4、都道府県1/4、広域連合1/2))について地方交付税措置を講じることとした。

(ウ) 財政安定化基金については、保険料未納や給付増リスク等による後期高齢者医療広域連合の財政影響に対応するため、都道府県に基金を設置しその拠出金に対して国及び都道府県が一部を負担することとし、その所要額(289億円(国1/3、都道府県1/3、広域連合1/3))について地方交付税措置を講じることとした。

(エ) 不均一保険料助成については、医療給付の実績が低い広域連合内の市町村に対して、平成26年度まで他の市町村とは異なる不均一の保険料を設けることに対して国及び都道府県が負担することとし、その所要額(13億円(国1/2、都道府県1/2))について地方交付税措置を講じることとした。

(オ) 実施主体である広域連合に対する市町村分担金、市町村の事務経費及び都道府県の後期高齢者医療審査会関係経費等について所要の地方交付税措置を講じることとした。