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4 行財政改革の推進

(1)給与の適正化及び公正な定員管理の推進

地方公共団体においては、現下の厳しい財政状況において、計画的に行政改革を推進するとともに住民への説明責任を果たす見地から、目標の数値化やわかりやすい指標の活用を図りつつ、給与情報等公表システムにより給与及び定員の公表を行うなど、定員管理や給与の適正化などの取組を行っている。また、給与については、国の給与構造改革の取組を踏まえ、ほぼ全ての地方公共団体で給料表水準の引下げ等の改革を実施している。

なお、平成25年度における地方公共団体に対する国家公務員の給与減額支給措置に準じた取組の要請については、「第2部 2 平成25年度の地方財政 (2)地方財政計画 ア 通常収支分 (エ)a」を参照のこと。

定員管理については、第50表のとおり、平成19年4月1日から平成24年4月1日までの5年間で、都道府県4.4%減、政令指定都市2.1%減、政令指定都市を除く市区町村9.6%減となっており、全地方公共団体では6.2%の減少となった。

第50表 地方公共団体の定員管理の状況について

(2)地方公営企業等の改革

ア 地方公営企業の抜本改革の推進

地方公営企業が、将来にわたり本来の目的である公共サービスの供給を行っていくためには、経営環境の変化に適切に対応し、事業の在り方を絶えず見直していくことが求められており、地方公共団体においては、下記に掲げる事項等について取組が進められているところである。

(ア)地方公営企業が供給しているサービス自体の必要性を検討する。また、サービスが必要な場合であっても、地方公営企業として実施する必要性があるのかを検討し、公共性の確保等の意義が薄れているなどの場合は、民間への事業譲渡を検討する。

(イ)地方公営企業として事業を継続する場合であっても、公の施設の指定管理者制度、地方独立行政法人制度、PFI事業、民間委託等の民間的経営手法の導入を促進する。

第124図に示されるように、平成23年4月2日以降に民営化・民間譲渡した事業数は19事業、平成16年度以降における民営化・民間譲渡の実施事業数は233事業となっている。一方、指定管理者制度については、第125図に示されるように、平成24年度時点での導入済事業数は707事業(都道府県・政令指定都市等110事業、市町村等597事業)となっており、第126図に示されるように、主なものは、介護サービス事業(199事業)、観光施設事業・その他事業(154事業)、駐車場整備事業(148事業)が挙げられる。

第124図 過去5年間の民営化・民間譲渡の実施状況
第125図 指定管理者制度の導入状況(4月1日現在)
第126図 指定管理者制度の導入事業

なお、全ての地方公共団体に対し、平成25年度までに、地方公営企業の抜本改革の推進、一層の経営の健全化等に集中的に取り組むことを要請している。

イ 第三セクター等の抜本的改革の推進

(ア)第三セクター等の抜本的改革

平成24年度の「第三セクター等の状況に関する調査」によれば、第51表のとおり、地方公社及び第三セクターの数は8,214法人で、前年比187法人減となっている。なお、平成23年度においては、廃止が160件、統合が39件、出資引き揚げが28件行われている。

第51表 第三セクター等の状況

地方公社及び地方公共団体等の出資割合が25%以上又は財政支援を受けている地方公社及び第三セクターのうち、約41%が赤字であり、平成23年度に法的整理を申し立てた法人は23となるなど、依然として厳しい経営状況にある。うち、土地開発公社については、平成23年度末における土地保有総額は第127図に示されるように、前年度と比べると2,965億円減の2兆5,222億円となり、15年連続の減少となった。

第127図 土地保有総額の推移

地方公共団体が損失補償等を行っている第三セクター等に係る債務については、民間企業と同様の市場規律やガバナンスが働かないケースも多くあり、その経営状況が著しく悪化した場合は、地方公共団体の財政に深刻な影響を及ぼすことが予想される。このため、地方公共団体が自らの決定と責任の下、第三セクター等の抜本的改革を推進し、財政規律の強化に資することが重要である。

そのため、地方公共団体に対し、地方公営企業、地方公社及び第三セクターの事業の意義、採算性等について、改めて検討の上で、事業継続の是非を判断し、債務調整を伴う処理が必要な場合は、法的整理等の活用を図るとともに、事業を継続する場合でも、最適な事業手法の選択、民間的経営手法の導入の検討を行うなど、第三セクター等改革推進債の活用も念頭に置きつつ、存廃を含めた抜本的改革に集中的かつ積極的に取り組むことを助言している。特に、抜本的改革を集中的に行うこととされている期間の終期である平成25年度末が近づいていることから、抜本的改革に未着手の地方公共団体や、対応方針が決まっていない地方公共団体においては、速やかに着手・検討を行い、対応方針を決定するように助言・情報提供を行っている。

(イ)第三セクター等改革推進債の状況

地方公営企業、地方公社及び第三セクターの改革については、地方公共団体が「地方公共団体財政健全化法」の全面施行から5年間で抜本的改革を集中的に行えるよう、平成21年度から平成25年度までの間の時限措置として、その整理又は再生のために特に必要となる一定の経費を議会の議決等の手続を経て地方債の対象とできることとされている。

平成23年度において第三セクター等改革推進債を起債した団体は21団体、許可額は922億円となっており、平成21年度からの累計額は、2,889億円となっている。

ウ 地方公営企業会計制度等の見直し

地方公営企業の会計制度については、昭和41年以来のほぼ半世紀ぶりとなる全面的な見直しを進めている。その内容は、「地方公営企業会計制度等研究会」の報告書(平成21年12月)を踏まえたものであり、大きく三段階に分かれる。

第一段階は、資本制度の見直しであり、利益処分や資本の取扱い等に関する制約を廃止し、議会の議決又は条例のもとで、経営判断に基づく処分等が可能となった。「地域の自主性及び自立性を高めるための改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(平成23年法律第37号)によって「地方公営企業法」が改正され、平成24年4月から施行されている。この改正により、これまでは公営企業の経営に法による様々な制約があったが、経営の自由度を高めるとともに、住民等への情報開示や議会の関与を強め、地方公共団体が自らの責任において経営を行っていくことができるような仕組みが整備された。

第二段階は、会計基準の見直しである。主な見直し内容は、借入資本金を負債に計上すること、みなし償却制度を廃止すること、退職給付引当金等の引当てを義務化することなどであり、地方公営企業の特性等を適切に勘案しながら、現行の企業会計原則の考え方を最大限取り入れたものとなっている。関係政省令の一部改正については、平成24年2月1日から施行され、新しい会計基準は平成26年度の予算及び決算から適用(早期適用も可能)される。

新会計基準の適用によって、損益計算書及び貸借対照表が他のセクターや他の地方公営企業と比較しやすく、住民等にも分かりやすいものになるとともに、地方公営企業の経営実態をより適確に把握できるようになる。各地方公営企業においては、どの程度の赤字・黒字の構造か、どの程度公的支援に依存しているかなどを検証するとともに、経費縮減や適切な料金水準の検討などの経営改革に活用していくことが重要である。

第三段階は、財務規定等の適用範囲の拡大である。会計基準の見直しにより、地方公営企業の会計基準は企業会計原則の考え方をできる限り取り入れたものとなるが、新会計基準が適用される地方公営企業は、「地方公営企業法」で当然適用とされた8事業(上水道、工業用水、バス、軌道、地下鉄、電気、ガス、病院)及び財務規定等を任意適用することとした事業に限られている。これを平成23年度末事業数でみると、全地方公営企業8,754事業のうち2,959事業となっており、全体のほぼ3分の1程度にとどまっている。

財務規定等の適用は、ストック情報を含む財務状況の開示の拡大が要請される中で、経営成績や財務状態の明確化、弾力的な企業経営の面でメリットが大きい。今後、資産評価やシステム構築、人材の確保等の課題を踏まえつつ、地方公共団体等と十分に意見交換を行いながら、更に検討を重ねていくこととしている。

(3)地方公会計改革の推進

現金主義では見えにくい費用や資産に関する財務情報の開示といった観点から、発生主義を活用し複式簿記の考え方を導入した公会計の推進は重要な課題である。

近年の公会計整備において、平成18年5月に地方公共団体が参考とすべき財務書類のモデルとして「基準モデル」と「総務省方式改訂モデル」を提示し、全ての地方公共団体に対して連結財務書類4表の整備を要請してきたところである。

さらに、平成20年6月には、「地方公会計の整備促進に関するワーキンググループ」を設置し、中小規模の団体でも円滑に財務書類の整備を進めることができるよう、実務上の課題となっている事項に対する解決方策の検討や財務書類の作成のより詳細な手順などの検討を行い、「新地方公会計モデルにおける資産評価実務手引」、「新地方公会計モデルにおける連結財務書類作成実務手引」、「地方公共団体における財務書類の活用と公表について」などの各種手引書を、順次とりまとめ、公表してきたところである。

平成24年3月末時点での財務書類の整備状況は、第52表のとおりであり、全国の9割以上の団体が財務書類の作成に着手済み(作成済又は作成中)となっている。

第52表 平成22年度決算に係る財務書類の整備状況

このような状況の下、今後更に新地方公会計を推進するため、平成22年9月に、「今後の新地方公会計の推進に関する研究会」を設置し、財務書類の作成状況についての検証や国際公会計基準及び国の公会計等の動向を踏まえた新地方公会計の推進方策などについて検討しているところである。

地方公会計の推進にあたっては、住民等に対する情報開示や財政の効率化・適正化を一層進める観点から、全ての地方公共団体において連結財務書類4表を早期に整備するとともに、必要な分析や説明を加えた分かりやすい公表や内部管理への活用に配慮することが重要である。

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