画像に関するアクセシビリティ対応について
図やグラフなどの画像の内容の詳細については、総務省自治財政局財務調査課にお問い合わせください。
電話番号:03-5253-5111(内線5649)

平成26年版
地方財政白書
(平成24年度決算)

7 地方公営事業の状況

(1)地方公営企業

ア 概況

(ア)事業数[資料編:第114表

平成24年度末において、地方公営企業を経営している団体数は1,786団体(企業団・一部事務組合等でのみ地方公営企業を経営している4団体及び特別区を含む。)であり、その内訳は47都道府県、20政令指定都市、1,719市区町村となっている(地方公営企業を経営していない団体は3団体)。

これらの団体が経営している地方公営企業の事業数は8,724事業で、前年度末と比べると30事業減少している。これを事業別にみると、第79図のとおりであり、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業(簡易水道事業を含む。以下同じ。)、病院事業の順となっている。

第79図 地方公営企業の事業数の状況(平成24年度末)

(イ)業務の状況

地方公営企業は、住民の生活水準の向上を図る上で大きな役割を果たしている。各事業全体の中で地方公営企業が占める割合は、第20表のとおりである。

第20表 事業全体に占める地方公営企業の割合

平成24年度における主要な事業の業務の状況についてみると、次のとおりとなっている。

a 水道事業

水道事業(用水供給事業を除く。)においては、配水能力6,989万1千m3/日、導送配水管73万8,658kmを有し、年間155億m3(対前年度比0.9%減)の配水を行っている。また、給水人口は平成24年度末で1億2,459万3千人で、全国人口に対する割合は97.1%に達している。

b 工業用水道事業

工業用水道事業においては、配水能力2,161万7千m3/日、導送配水管8,652kmを有し、年間44億50百万m3(対前年度比0.6%減)の配水を行っている。また、契約水量は1,699万8千m3/日(同1.3%減)となっている。

c 都市高速鉄道事業

都市高速鉄道事業においては、車両4,554両、営業路線540kmを有している。また、年間輸送人員は29億65百万人(対前年度比2.5%増)となっている。

d バス事業

バス事業においては、車両7,942両、営業路線8,524kmを有している。また、年間輸送人員は9億28百万人(対前年度比0.9%減)となっている。

e 病院事業

病院事業においては、847病院、病床19万6,124床を有している。また、年延患者数は1億4,034万人(対前年度比2.2%減)であり、11年連続の減少となっている。

f 下水道事業

下水道事業においては、現在晴天時処理能力6,059万m3/日、下水管布設延長50万854kmを有している。また、年間有収水量(流域下水道分は除く。)は111億m3(対前年度比0.6%増)となっている。

(ウ)職員数[資料編:第115表

平成24年度末における地方公営企業に従事する職員の数は34万4,283人で、前年度末と比べると1.0%減となっている。

これを事業別にみると、第80図のとおりであり、病院事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、下水道事業、交通事業の順となっており、これら4事業で職員数全体の93.7%を占めている。また、行政改革の推進による定員管理の適正化等により、有料道路事業、駐車場整備事業以外の事業において職員数は減少している。

第80図 職員数の状況

(エ)決算規模等[資料編:第116表

決算規模は17兆246億円で、企業債元利償還金の減少等に伴う資本的支出の減少等により、前年度と比べると2,006億円減少(1.2%減)となっており、普通会計歳出決算額の17.7%(前年度17.8%)に相当する規模となっている。なお、「地方財政法」第33条の9の規定に基づく公的資金補償金免除繰上償還額(以下「補償金免除繰上償還額」という。)を除いたベースでは16兆7,120億円となっており、前年度と比べると2,679億円減少(1.6%減)となっている。

これを事業別にみると、第81図のとおりであり、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、病院事業、水道事業、交通事業の順となっている。

第81図 決算規模の推移

また、建設投資額の推移は、第82図のとおりであり、平成24年度の額は3兆5,518億円で、前年度と比べると1,032億円増加(3.0%増)となっており、13年ぶりに増加に転じている。これは、普通会計の普通建設事業費の28.5%(前年度27.5%)に相当する規模となっている。

第82図 建設投資額の推移

これを事業別にみると、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、病院事業、交通事業の順となっている。建設投資額が前年度より増加した主な事業は、水道事業(対前年度比455億円増加、4.6%増)、病院事業(同345億円増加、9.4%増)、交通事業(同163億円増加、8.9%増)、港湾整備事業(同81億円増加、22.3%増)となっている。

(オ)全体の経営状況

法適用企業と法非適用企業を合わせた全体の経営状況をみると、第21表のとおりであり、黒字事業数は全体の89.1%、赤字事業数は10.9%で、全体としては5,231億円の黒字となっている(前年度4,246億円の黒字)。また、黒字額が前年度に比べて増加した主な理由については、特定被災地方公共団体が経営する公営企業において収支が改善したことや、赤字を有する事業が廃止されたこと等が挙げられる。

第21表 地方公営企業全体の経営状況

(カ)料金収入

料金収入は8兆9,273億円で、前年度と比べると111億円減少(0.1%減)となっている。これを事業別にみると、第83図のとおりであり、病院事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、下水道事業、交通事業の順となっている。

第83図 料金収入の状況

(キ)企業債の状況

資本的支出に充当された企業債の発行額の状況は、第84図のとおりであり、発行額は2兆3,990億円で、前年度と比べると205億円減少(0.8%減)となっている。なお、補償金免除繰上償還に係る借換債を除いたベースでは2兆1,668億円となっており、前年度と比べると737億円減少(3.3%減)となっている。

第84図 企業債発行額の状況

これを事業別にみると、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、病院事業、宅地造成事業の順となっている。

企業債借入先別現在高の推移は、第85図のとおりであり、平成24年度末の額は49兆9,117億円で、前年度末と比べると1兆6,909億円減少(3.3%減)となっている。これを借入先別にみると、政府資金が最も大きな割合を占め、以下、地方公共団体金融機構、市場公募の順となっている。

第85図 企業債借入先別現在高の推移

(ク)他会計繰入金の状況

他会計からの繰入金は3兆1,594億円で、前年度と比べると1,108億円減少(3.4%減)となっている。

この内訳をみると、収益的収入として2兆629億円(収益的収入に対する割合17.3%)、資本的収入として1兆965億円(資本的収入に対する割合23.1%)となっている。

これを事業別にみると、下水道事業への繰入額が最も大きな割合(繰入額全体の55.8%)を占め、以下、病院事業(同22.3%)、水道事業(同6.9%)、交通事業(同5.1%)の順となっている。

(ケ)法適用企業の経営状況[資料編:第117表

a 損益収支

法適用企業の経営状況を表すものには、純損益、経常損益、総収支比率、経常収支比率等がある。純損益とは、当該年度の総合的な収支状況を表し、総収益が総費用を上回る場合の差額が純利益であり、逆に総費用が総収益を上回る場合の差額が純損失である。

経常損益とは、純損益から固定資産売却益等の臨時的な収益(特別利益)や、過年度の職員給与費等の費用(特別損失)を除いたものをいい、当該年度の経営活動の結果を表し、経常収益が経常費用を上回る場合の差額が経常利益であり、逆に経常費用が経常収益を上回る場合の差額が経常損失である。

総収支比率とは総費用に対する総収益の割合、ここでいう経常収支比率とは経常費用に対する経常収益の割合であり、それぞれ100%を下回ると費用が収益を上回っている状態を意味することになる。

法適用企業の総収益(経常収益+特別利益)は9兆9,963億円、総費用(経常費用+特別損失)は9兆5,589億円となっている。この結果、純損益は4,374億円の黒字となっており、総収支比率は104.6%と前年度より0.9ポイント上昇している。また、経常収益(営業収益+営業外収益)は9兆9,309億円、経常費用(営業費用+営業外費用)は9兆4,747億円となっている。この結果、経常損益は4,562億円の黒字となっており、経常収支比率は104.8%と前年度同数となっている。

経常収支比率の推移をみると、平成3年度以降100%を下回る状況が続いていたが、平成15年度からは10年連続で100%を上回っている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第22表のとおりである。

第22表 法適用企業の経営状況

b 累積欠損金

過去の年度から通算した純損益における損失の累積額である累積欠損金は4兆8,684億円で、前年度と比べると257億円減少(5.0%減)となっている。また、累積欠損金合計額に占める割合が大きい事業は、交通事業(累積欠損金合計額の44.2%)、病院事業(同40.2%)である。

c 不良債務

貸借対照表日現在において、流動負債の額が流動資産の額(翌年度へ繰り越される支出の財源充当額を除く。)を上回る場合の当該超過額である不良債務は1,849億円で、前年度と比べると172億円減少(8.5%減)となっている。不良債務の大きい事業は、交通事業(不良債務額全体の73.6%)、下水道事業(同11.5%)、病院事業(同5.7%)である。

d 資本収支

建設投資や企業債の償還金等の支出である資本的支出は5兆5,969億円で、前年度と比べると6億円増加(0.0%増)となっている。これに対する財源は、企業債等の外部資金が2兆9,516億円、損益勘定留保資金等の内部資金が2兆5,714億円、財源不足額は739億円となっている。

資本的支出のうち建設改良費は2兆5,408億円で、前年度と比べると1,172億円増加(4.8%増)となっている。建設改良費が大きい事業は、水道事業(建設改良費全体の37.8%)、下水道事業(同31.6%)、病院事業(同15.9%)である。

(コ)法非適用企業の経営状況[資料編:第119表

法非適用企業の実質収支をみると、黒字事業数は法非適用企業全体の97.7%、赤字事業数は2.3%を占めており、全体では857億円の黒字(前年度729億円の黒字)となっている。

(サ)経営健全化等の状況

地方公営企業の経営健全化、抜本改革の推進等に向けた取組については、「公営企業の経営に当たっての留意事項について」(平成21年7月8日付け総務省自治財政局公営企業課長、公営企業経営企画室長、地域企業経営企画室長通知)において、事業そのものの意義や必要性を再検討し、採算性を踏まえた上で、平成25年度までに抜本的改革を推進するよう要請している。各地方公共団体においては、同通知を踏まえ、民間への事業譲渡、地方独立行政法人制度、指定管理者制度、PFI事業、民間委託等の事業手法の導入など、さまざまな取組が進められているところである(詳細は第3部4(2)参照)。

イ 事業別状況[資料編:第114表第119表

(ア)水道事業

a 事業数

(a) 上水道事業

地方公共団体が経営する上水道事業で、平成24年度決算対象となるものは、1,354事業であり、このうち、末端給水事業は1,281事業、用水供給事業は73事業(うち建設中4事業)である。これを経営主体別にみると、末端給水事業は、都県営が4事業、政令指定都市営が19事業、市営が688事業、町村営が522事業、企業団営等が48事業であり、用水供給事業は、府県営が22事業、政令指定都市営が1事業、企業団営等が50事業となっている。

(b) 簡易水道事業

地方公共団体が経営する簡易水道事業で、平成24年度決算対象となるものは、769事業(うち法適用23事業)である。これを経営主体別にみると、町村営が500事業で全体の65.0%を占め、以下、市営が260事業、政令指定都市営が5事業、一部事務組合営等が3事業、県営が1事業となっている。

b 業務の状況

水道事業の給水人口(用水供給事業を除く。)は、平成24年度末で1億25百万人(上水道事業1億21百万人、簡易水道事業4百万人)であり、前年度と比べると微減となっている。また、平成24年度の年間総有収水量(用水供給事業を含む。)は185億34百万m3(前年度185億38百万m3)、給水人口1人当たり1日平均有収水量(用水供給事業を除く。)は前年度と同じく304lとなっている。

c 経営状況

(a) 法適用企業

(i) 損益収支

上水道事業及び法適用の簡易水道事業の総収益は2兆9,678億円、総費用は2兆7,362億円となっており、この結果、純損益は2,316億円の黒字(前年度2,051億円の黒字)、総収支比率は108.5%となっている。また、経常収益は2兆9,591億円、経常費用は2兆7,183億円となっており、この結果、経常損益は2,408億円の黒字、経常収支比率は108.9%となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第23表のとおりである。

第23表 水道事業(法適用企業)の経営状況

累積欠損金は1,571億円で、前年度と比べると5.1%減となっている。なお、不良債務を有する事業はない。(前年度3事業、2億円)。

(ii) 資本収支

資本的支出は、第86図のとおりであり、平成24年度の額は1兆7,289億円で、前年度と比べると2.6%増となっている。これに対する財源は、外部資金が6,024億円、内部資金が1兆1,251億円で、財源不足額は14億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は9,608億円で、前年度と比べると3.7%増、企業債償還金は6,763億円で、前年度と比べると4.1%増となっている。

第86図 水道事業(法適用企業)の資本的支出及びその財源

(iii) 給水原価と料金

有収水量1m3当たりの給水原価(用水供給事業を除く。)は173.29円で、前年度と比べると0.3%減となっている。給水原価の内訳をみると、資本費が64.96円、職員給与費が24.00円、受水費が29.91円、その他の経費が54.42円となっている。これに対して1m3当たりの供給単価は171.62円であり、給水原価が供給単価を1.67円上回る状態となっている。

また、平成24年度中に料金改定を実施した水道事業(用水供給事業を含む。)は73事業(前年度117事業)で、営業中の事業の5.3%となっている。

(b) 法非適用企業

簡易水道事業における法非適用企業は746事業で、実質収支をみると、黒字事業が738事業で57億円の黒字、赤字事業が8事業で1億円の赤字となっており、差引56億円の黒字となっている。

(イ)工業用水道事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する工業用水道事業で、平成24年度決算対象となるものは、153事業(うち建設中4事業)である。これを経営主体別にみると、都道府県営が40事業、政令指定都市営が9事業、市営が81事業、町村営が14事業、企業団営が9事業となっている。

施設数は258施設、給水先事業所数は6,040箇所、年間総配水量は44億50百万m3となっている。また、施設利用率(1日平均配水量を現在配水能力で除したもの。)の平均は55.9%(前年度57.0%)となっている。

b 経営状況

(a) 損益収支

工業用水道事業の総収益は1,453億円、総費用は1,230億円となっており、この結果、純損益は223億円の黒字(前年度228億円の黒字)、総収支比率は118.1%となっている。また、経常収益は1,436億円、経常費用は1,218億円となっており、この結果、経常損益は219億円の黒字、経常収支比率は117.9%となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第24表のとおりである。

第24表 工業用水道事業の経営状況

累積欠損金は550億円で、前年度と比べると3.0%減となっている。なお、不良債務を有する事業はない。

(b) 資本収支

資本的支出は1,361億円で、前年度と比べると25.5%増となっている。これに対する財源は、外部資金が594億円、内部資金が763億円で、財源不足額は5億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は380億円で、前年度と比べると12.0%増、企業債償還金は509億円で、前年度と比べると15.4%増となっている。

(c) 給水原価と供給単価

有収水量1m3当たりの給水原価は28.32円(資本費13.92円、職員給与費3.62円、その他の経費10.78円)となっており、これに対して1m3当たりの供給単価は30.13円となっている。

これを補助事業と単独事業に分けてみると、単独事業では供給単価(15.14円)が給水原価(13.06円)を2.08円上回っており、補助事業では供給単価(34.01円)が給水原価(32.25円)を1.76円上回っている。

c 経営健全化措置

工業用水道事業の経営健全化措置については、平成14年度から水利権の転用等を伴う未稼動資産等の整理により抜本的な経営健全化策に取り組む地方公共団体を対象として未稼動資産等整理経営健全化対策を講じたところであり、1団体2施設が取組を行っている(経営健全化団体の指定は平成18年度をもって終了している。)。

(ウ)交通事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する交通事業で、平成24年度決算対象となるものは、93事業(うち未開業1事業)である。これを事業別にみると、バスが31事業、都市高速鉄道が10事業、路面電車が5事業、モノレール等が2事業、船舶が45事業となっている。

これらによる年間輸送人員は40億499万人、1日平均1,097万人(対前年度比1.9%増)である。1日平均輸送人員を事業別にみると、バスが254万人(同0.8%減)、都市高速鉄道が812万人(同2.7%増)、路面電車が14万人(同0.0%減)、その他が17万人(同0.0%増)となっている。

公営交通が国内の旅客輸送機関に占める割合を輸送人員からみると、第87図のとおりであり、バスについては20.9%、鉄道については13.3%となっている。

第87図 バス、鉄道における公営交通事業の状況

b 経営状況

(a) 法適用企業

(i) 損益収支

法適用の交通事業の総収益は7,590億円、総費用は7,086億円となっており、この結果、純損益は504億円の黒字(前年度262億円の黒字)、総収支比率は107.1%となっている。また、経常収益は7,522億円、経常費用は6,992億円となっており、この結果、経常損益は529億円の黒字、経常収支比率は107.6%となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第25表のとおりである。

第25表 交通事業(法適用企業)の経営状況

累積欠損金は2兆1,542億円で、前年度と比べると1.7%減となっている。また、不良債務は1,362億円で、前年度と比べると5.9%減となっている。

これを事業別にみると、バス事業においては、経常損益は19億円の黒字となっており、純損益は61億円の黒字となっている。また、累積欠損金は1,275億円で、前年度と比べると9.7%減となっており、不良債務は143億円で、前年度と比べると31.3%減となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第26表のとおりである。

第26表 交通事業のうちバス事業の経営状況

都市高速鉄道事業においては、経常損益は532億円の黒字となっており、純損益は465億円の黒字となっている。また、累積欠損金は1兆9,628億円で、前年度と比べると1.3%減となっており、不良債務は805億円で、前年度と比べると2.6%減となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第27表のとおりである。

第27表 交通事業のうち都市高速鉄道事業の経営状況

(ii) 資本収支

資本的支出は4,955億円(うち都市高速鉄道事業4,542億円、バス事業295億円)で、前年度と比べると8.6%減となっている。これに対する財源は、外部資金が2,830億円、内部資金が1,742億円で、財源不足額は382億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は1,984億円(うち都市高速鉄道事業1,784億円、バス事業106億円)で、前年度と比べると8.8%増、企業債償還金は2,767億円(うち都市高速鉄道事業2,573億円、バス事業170億円)で、前年度と比べると16.7%減となっている。

(b) 法非適用企業

交通事業における法非適用企業は船舶運航事業の38事業で、実質収支をみると、黒字事業が36事業で2億円の黒字、赤字事業は2事業で1億円の赤字となっている。

c 地下鉄事業の経営健全化措置

地下鉄事業の経営健全化措置については、不良債務の計画的な解消及びその発生の抑制を図ること等を目的に、資金不足額について一般会計からの繰出し(一般会計出資)分を起債できることとする地下鉄事業経営健全化対策を講じており、平成24年度末現在において2団体が取組を行っている。

(エ)電気事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する電気事業で、平成24年度決算対象となるものは、65事業であり、法適用企業が26事業、法非適用企業が39事業である。これを経営主体別にみると、都道府県営が26事業、政令指定都市営が4事業、市営が15事業、町村営が16事業、一部事務組合等営が4事業となっている。施設数は369施設で、最大出力の合計は277万5千kW(建設中を含む。)、年間発電電力量は89億97百万kWh、年間売電電力量は84億86百万kWhとなっている。

上記のうち、各発電型式における稼働中の施設数、最大出力、年間発電電力量、年間売電電力量は第28表のとおりである。

第28表 公営電気事業における事業概況

b 経営状況

(a) 法適用企業

(i) 損益収支

法適用の電気事業の総収益は716億円、総費用は649億円となっており、この結果、純損益は67億円の黒字(前年度52億円の黒字)、総収支比率は110.3%となっている。また、経常収益は710億円、経常費用は645億円となっており、この結果、経常損益は65億円の黒字、経常収支比率は110.1%となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第29表のとおりである。

第29表 電気事業(法適用企業)の経営状況

累積欠損金は27億円で、前年度と比較すると12.2%減となっている。なお、不良債務を有する事業はない。

(ii) 資本収支

資本的支出は393億円で、前年度と比べると22.7%増となっている。これに対する財源は、外部資金が129億円、内部資金が265億円で、財源不足額は生じていない。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は151億円で前年度に比べると42.9%増、企業債償還金は120億円で、前年度と比べると4.8%減となっている。

(b) 法非適用企業

電気事業における法非適用企業は、ごみ発電事業、スーパーごみ発電事業、風力発電事業、水力発電事業及び太陽光発電事業の39事業(うち建設中1事業)で、実質収支をみると39事業において黒字であり、黒字額は21億円となっている。一方、赤字を生じた事業はない。

(オ)ガス事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営するガス事業で、平成24年度決算対象となるものは、29事業である。これを経営主体別にみると、政令指定都市営が1事業、市営が22事業、町村営が6事業となっている。公営ガス事業の供給戸数(契約数)は86万戸(対前年度比0.8%減)で、供給区域内戸数に対する普及率は65.8%となっている。また、販売量は365億27百万MJで、前年度と比べると3.7%増となっている。

ガス事業全体に占める公営ガス事業の割合をみると、事業数で13.9%、供給戸数で2.9%、販売量で2.4%となっている。なお、民間大手4社を除いた割合では、供給戸数で10.6%、販売量で8.7%となっている。

b 経営状況

(a) 損益収支

ガス事業の総収益は1,013億円、総費用は961億円となっており、この結果、純損益は52億円の黒字(前年度15億円の赤字)、総収支比率は105.5%となっている。また、経常収益は1,000億円、経常費用は959億円となっており、この結果、経常損益は40億円の黒字、経常収支比率は104.2%となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第30表のとおりである。

第30表 ガス事業の経営状況

累積欠損金は476億円で、前年度と比べると5.6%減となっている。なお、不良債務を有する事業はない。

(b) 資本収支

資本的支出は272億円で、前年度と比べると10.3%減となっている。これに対する財源は、外部資金が97億円、内部資金が175億円で、財源不足額は生じていない。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は138億円で、前年度と比べると17.8%減、企業債償還金は121億円で、前年度と比べると0.6%増となっている。

(カ)病院事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する病院事業(「地方公営企業法」を適用する病院事業)で、平成24年度決算対象となるものは、643事業(うち建設中2事業)であり、これらの事業が有する病院(以下「自治体病院」という。)数は847病院である。これを経営主体別にみると、都道府県立が161病院(37都道府県)、政令指定都市立が37病院(15政令指定都市)、市立が370病院(310市)、町村立が173病院(164町村)及び一部事務組合等立が106病院(76組合)となっている。

一般病院814病院のうち病床数300床以上の病院は、32.3%に当たる263病院となっており、地域における基幹病院、中核病院として地域医療を支えている。

一方、病床数が150床未満であり、直近の一般病院までの移動距離が15キロメートル以上となる位置に所在している等の条件下にある「不採算地区病院」は、一般病院の37.0%に当たる301病院となっており、民間医療機関による診療が期待できない離島、山間地等のへき地における医療の確保のため、重要な役割を果たしている。

さらに、自治体病院全体の84.9%に当たる719病院が救急病院として告示を受けており、地域の救急医療を担っている。

平成24年度末における病床数は19万6千床で、前年度と比べると2.2%減となり、入院、外来延患者数は1億4千万人で、2.2%減となっている。

また、病床利用率は73.9%(前年度74.4%)、外来入院患者比率(年延外来患者数を年延入院患者数で除したもの)は166.9%(前年度165.3%)となっている。なお、全国の病院に占める自治体病院の数及び病床数の推移は、第88図のとおりである。

第88図 全国の病院に占める自治体病院の状況

b 経営状況

(a) 損益収支

病院事業の総収益は3兆9,429億円、総費用は3兆9,386億円となっており、この結果、純損益は42億円の黒字(前年度11億円の赤字)、総収支比率は100.1%となっている。また、経常収益は3兆9,178億円、経常費用は3兆9,057億円となっており、この結果、経常損益は121億円の黒字、経常収支比率は100.3%となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第31表のとおりである。

第31表 病院事業の経営状況

累積欠損金は1兆9,581億円で、前年度と比べると3.7%減となっている。また、不良債務は106億円で、前年度と比べると31.5%減となっている。

また、医業費用に対する医業収益の割合である医業収支比率は92.7%(前年度92.3%)となっており、これを病院の種別にみると、一般病院が93.3%(同92.9%)、結核病院が50.8%(同39.6%)、精神科病院が68.2%(同68.7%)となっている。

平成24年度においては、昨年度、東日本大震災の影響による固定資産の除却損を特別損失に計上したことにより赤字決算となっていた特定被災地方公共団体の収支が改善していることや、大規模な病院の経営状況が、料金収入の増加等により引き続き良好であること等により、純損益は黒字となっている。

(b) 資本収支

資本的支出は7,682億円で、前年度と比べると5.5%増となっている。これに対する財源は、外部資金が5,484億円、内部資金が2,059億円で、財源不足額は140億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は4,032億円で、前年度と比べると9.3%増、企業債償還金は3,314億円で、前年度と比べると2.8%増となっている。

(キ)下水道事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する下水道事業で、平成24年度決算対象となるものは、3,633事業(うち建設中22事業)であり、法適用企業が502事業、法非適用企業が3,131事業である。これを経営主体別にみると、都道府県営が81事業、政令指定都市営が50事業、市営が1,893事業、町村営が1,585事業、一部事務組合等営が24事業となっている。

下水道事業の平成24年度末における現在処理区域内人口は1億173万人、現在処理区域面積は482万haとなっている。また、年間総処理水量(雨水処理水量と汚水処理水量の合計。ただし、流域下水道分は流域関連公共下水道として水量を計上しているため除く。)は147億m3で、前年度と比べると1.0%減となっており、年間有収水量は111億m3で、前年度と比べると0.6%増となっている。

b 経営状況

(a) 法適用企業

(i) 損益収支

法適用企業の下水道事業の総収益は1兆7,033億円で、前年度と比べると2.2%増となっている。その内訳をみると、料金収入が9,094億円(総収益に占める割合53.4%)、他会計繰入金(雨水処理負担金を含む。)が7,124億円(同41.8%)等となっている。一方、総費用は1兆6,363億円で、前年度と比べると2.0%増となっており、うち地方債利息が3,410億円(総費用に占める割合20.8%)となっている。この結果、純損益は670億円の黒字(前年度634億円の黒字)、総収支比率は104.1%となっている。また、経常収益は1兆6,958億円、経常費用は1兆6,259億円となっており、この結果、経常損益は699億円の黒字、経常収支比率は104.3%となっている。純損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第32表のとおりである。

第32表 下水道事業の経営状況

累積欠損金は1,983億円で、前年度と比べると0.6%減となっている。また、不良債務は212億円で、6.2%減となっている。

(ii) 資本収支

資本的支出は1兆9,780億円で、前年度と比べると0.9%増となっている。これに対する財源は、外部資金が1兆1,576億円、内部資金が8,019億円で、財源不足額は185億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は8,032億円で、前年度と比べると2.6%増、企業債償還金は1兆1,603億円で、前年度と比べると0.4%減となっている。

(b) 法非適用企業

下水道事業における法非適用企業の総収益は1兆3,877億円で、前年度と比べると3.4%減となっている。その内訳をみると、料金収入が5,895億円(総収益に占める割合42.5%)、他会計繰入金(雨水処理負担金を含む。)が6,006億円(同43.3%)等となっている。一方、総費用は9,532億円で、前年度と比べると3.4%減となっており、うち地方債利息が3,344億円(総費用に占める割合24.1%)となっている。

資本的支出は1兆6,469億円で、前年度と比べると3.0%減となっている。その内訳をみると、建設改良費は7,439億円で、前年度と比べると3.8%減、地方債償還金は8,870億円で、前年度と比べると3.5%減となっている。

実質収支をみると、黒字事業が3,071事業で782億円の黒字、赤字事業が41事業で188億円の赤字となっており、差引594億円の黒字となっている(第32表)。

(c) 全体の経営状況

法適用企業と法非適用企業を合計した下水道事業の黒字額は1,636億円、赤字額は373億円となっており、この結果、全体の収支(法適用企業の純損益と法非適用企業の実質収支の合計)は1,264億円の黒字となっている。このように、全体の収支は黒字となっているが、これは他会計からの繰入れが大きく影響している。

汚水処理原価(汚水処理費を年間有収水量で除したもの)は、154.71円/m3(維持管理費72.83円/m3、資本費81.88円/m3)で、前年度と比べると0.9%減となっており、使用料単価(使用料収入を年間有収水量で除したもの)は、136.51円/m3で、前年度と比べると0.4%増となっている。

その結果、経費回収率(使用料単価を汚水処理原価で除したもの)は88.2%となっており、前年度と比べると1.3%増加している。回収率が増加した要因としては、補償金免除繰上償還による企業債利子の減少等があるが、適正な回収率に達していない事業は依然として多いことから、引き続き経営の健全化に向けた取組を進めていく必要がある。

法適用企業と法非適用企業を合計した下水道事業の建設改良費は1兆5,471億円で、前年度と比べると0.5%減となっている。建設改良費は、平成11年度以来、年々減少しているが、24年度においては東日本大震災に伴う復旧・復興事業の影響により、その減少幅は小さくなっている。

(ク)その他の地方公営企業

a 事業数

地方公共団体は、以上の事業のほかにも各種の事業を経営している。これを事業別にみると、平成24年度決算対象となるものは、港湾整備事業が98事業、市場事業が168事業、と畜場事業が67事業、観光施設事業が337事業、宅地造成事業が458事業、有料道路事業が2事業、駐車場整備事業が229事業、介護サービス事業が593事業及びその他事業が37事業(診療所、廃棄物等処理施設、自動車学校等)となっている。

b 経営状況

その他の地方公営企業の純損益、経常損益、実質収支における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第33表のとおりである。なお、このうち、観光施設事業については全体の収支(法適用企業の純損益と法非適用企業の実質収支の合計)が6億円の黒字となっているが、法適用企業の累積欠損金は前年度と比べると2.8%増の302億円と、引き続き厳しい状況となっており、経営状況が悪化している事業について、事業の廃止を含め、抜本的な改革に積極的に取り組む必要がある。また、宅地造成事業については、全体の収支は502億円の黒字であり、法適用企業の累積欠損金は前年度と比べると40.0%減の1,979億円と改善されているものの、販売用土地の時価評価額が当該土地の地方債残高を下回っている事業が全体の5割以上を占めているなど、厳しい経営状況にある事業が極めて多く、経営状況が悪化している事業について、対応を先延ばしにすることなく、抜本的な改革に早急に着手する必要がある。

第33表 その他の地方公営企業の経営状況

(2)国民健康保険事業[資料編:第120表

平成24年度末の国民健康保険事業の総保険者数は、前年度末と同じ1,746団体(20政令指定都市、41中核市、40特例市、688都市、930町村、4一部事務組合等、23特別区)となっている。また、直営診療所を設置している団体は370団体(2政令指定都市、8中核市、11特例市、152都市、195町村、2一部事務組合)で、前年度末と比べると2団体増加している。

被保険者数は3,470万人であり、加入世帯数は2,028万世帯となっている。これらを前年度末と比べると、被保険者数は52万人減、加入世帯数は11万世帯減となっている。

なお、退職者医療制度の被保険者数及び被扶養者数は193万人で、前年度末と比べると18万人減少(8.5%減)している。

ア 事業勘定

(ア)歳入

事業勘定の歳入決算額は14兆1,856億円で、前年度と比べると4,448億円増加(3.2%増)している。

歳入の内訳をみると、第89図のとおりであり、国民健康保険税(料)及び国庫支出金の合計で歳入総額の44.4%を占め、前年度(46.9%)と比べると2.5ポイント低下となっている。

第89図 国民健康保険事業の歳入決算の状況(事業勘定)

それぞれの決算額をみると、国民健康保険税(料)は3兆666億円で、前年度と比べると224億円増加(0.7%増)、国庫支出金は3兆2,352億円で、国民健康保険制度の安定的な運営を確保するための制度改正に伴う定率国庫負担の割合の引下げ等により、前年度と比べると1,599億円減少(4.7%減)している。国庫支出金の主な内訳としては、療養給付費等負担金が2兆4,043億円、財政調整交付金等が8,309億円で、前年度と比べるとそれぞれ1,386億円減少(5.5%減)、213億円減少(2.5%減)している。

また、都道府県支出金は7,560億円で、上記制度改正に伴う都道府県調整交付金の割合の引上げ等により、前年度と比べると1,559億円増加(26.0%増)している。

さらに、他会計繰入金は1兆1,813億円で、前年度と比べると8億円減少(0.1%減)している。この内訳をみると、財源補填的な繰入金が3,220億円(対前年度比3.6%減)、国民健康保険の財政基盤の安定を図るための保険基盤安定制度による繰入金が4,505億円(同1.7%増)、高医療費基準超過額に係る繰入金が14億円(同1.4%増)等となっている。

なお、前期高齢者交付金は、3兆2,180億円で、前年度と比べると2,616億円増加(8.8%増)している。

(イ)歳出

歳出決算額は13兆9,211億円で、前年度と比べると4,143億円増加(3.1%増)している。

歳出の内訳をみると、第90図のとおりであり、保険給付費は9兆2,160億円で、前年度と比べると1,334億円増加(1.5%増)している。

第90図 国民健康保険事業の歳出決算の状況(事業勘定)

保険給付費の主な内訳をみると、療養諸費等が9兆304億円で、前年度と比べると1,341億円増加(1.5%増)、その他の給付費が1,597億円で、前年度と比べると0億円増加(0.0%増)している。

また、後期高齢者支援金等は1兆7,442億円で、前年度と比べると1,526億円増加(9.6%増)している。

(ウ)収支

実質収支は2,637億円の黒字(前年度2,326億円の黒字)であり、昭和40年度以降黒字基調が続いている。

しかし、実質収支から財源補填的な他会計繰入金及び都道府県支出金を控除し、繰出金を加えた再差引収支については、1,573億円の赤字(前年度1,886億円の赤字)となっており、19年連続して赤字となっている。

再差引収支を団体規模別にみると、政令指定都市が1,156億円の赤字(前年度1,272億円の赤字)、中核市が157億円の赤字(同269億円の赤字)、特例市が226億円の赤字(同221億円の赤字)、都市が395億円の赤字(同507億円の赤字)となる一方、町村が164億円の黒字(同176億円の黒字)、一部事務組合等が7億円の黒字(同5億円の黒字)、特別区が190億円の黒字(同202億円の黒字)となっている。

再差引収支を黒字・赤字の団体別にみると、黒字の団体数は前年度と比べると3団体減少の1,063団体で、その黒字額は96億円増加の1,835億円となっている。

一方、赤字の団体数は前年度と比べると3団体増加の683団体で、その赤字額は217億円減少の3,408億円となっている。

赤字の団体が占める割合を団体規模別にみると、政令指定都市が90.0%、中核市が61.0%、特例市が62.5%、都市が42.4%、町村が34.5%、特別区が8.7%となっており、特に政令指定都市、中核市及び特例市においては、厳しい財政運営が続いている。

イ 直診勘定

直診勘定の歳入決算額は637億円で、前年度と比べると13億円減少(1.9%減)している。

このうち、診療収入は397億円で、前年度と比べると23億円減少(5.5%減)しており、歳入総額に占める割合は62.4%(前年度64.7%)となっている。一方、他会計繰入金は140億円で、前年度と比べると3億円増加(2.1%増)しており、歳入総額に占める割合は22.1%(前年度21.2%)となっている。

直診勘定の歳出決算額は614億円で、前年度と比べると12億円減少(1.9%減)している。

このうち、総務費は344億円で、前年度と比べると0億円増加(0.0%増)している。また、医業費は205億円で、前年度と比べると14億円減少(6.3%減)しており、歳出総額に占める割合は33.4%(前年度34.9%)となっている。なお、医業費の診療収入に対する割合は51.6%で、前年度と比べて0.4ポイント低下している。

実質収支は22億円の黒字(前年度22億円の黒字)となっているが、この実質収支から他会計繰入金を控除し、繰出金を加えた再差引収支は、116億円の赤字(同113億円の赤字)となっている。

(3)後期高齢者医療事業[資料編:第121表

後期高齢者医療事業では、保険料の徴収や後期高齢者医療広域連合へ保険料等の納付を行う市町村(1,740団体(20政令指定都市、41中核市、40特例市、688都市、927町村、1広域連合、23特別区))及び後期高齢者医療事業を実施する都道府県区域ごとの後期高齢者医療広域連合(47団体)に特別会計が設けられている。

ア 市町村

市町村の特別会計の歳入決算額は1兆3,794億円で、前年度と比べると1,111億円増加(8.8%増)している。このうち、被保険者が支払う後期高齢者医療保険料は9,971億円で、前年度と比べると873億円増加(9.6%増)しており、歳入総額に占める割合は72.3%(前年度71.7%)となっている。

歳出決算額は1兆3,524億円で、前年度と比べると1,065億円増加(8.5%増)している。このうち、後期高齢者医療広域連合への納付金が、1兆2,764億円で、前年度と比べると1,048億円増加(8.9%増)しており、歳出総額に占める割合は94.4%(前年度94.0%)となっている。

イ 後期高齢者医療広域連合

(ア)歳入

後期高齢者医療広域連合の歳入決算額は13兆2,198億円で、前年度と比べると6,073億円増加(4.8%増)している。

歳入の内訳をみると、第91図のとおりであり、支払基金交付金が5兆3,677億円(歳入に占める割合40.6%)、国庫支出金が4兆1,891億円(同31.7%)、市町村支出金が2兆2,703億円(同17.2%)、都道府県支出金が1兆828億円(同8.2%)で、それぞれ前年度と比べると支払基金交付金が1,714億円増加(3.3%増)、国庫支出金が2,650億円増加(6.8%増)、市町村支出金が1,459億円増加(6.9%増)、都道府県支出金が521億円増加(5.1%増)している。

第91図 後期高齢者医療事業の歳入決算の状況

(イ)歳出

後期高齢者医療広域連合の歳出決算額は12兆9,222億円で、前年度と比べると4,172億円増加(3.3%増)している。

歳出の内訳をみると、第92図のとおりであり、保険給付費は12兆6,869億円で、前年度と比べると3,921億円増加(3.2%増)しており、歳出総額の98.2%(前年度98.3%)を占めている。

第92図 後期高齢者医療事業の歳出決算の状況

(ウ)収支

実質収支は47団体全て黒字となっており、その黒字額は2,976億円(前年度1,075億円の黒字)となっている。

(4)介護保険事業[資料編:第122表

介護保険制度を実施する保険者である市町村が設ける介護保険事業会計は、第1号被保険者(65歳以上の者)からの保険料や、第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)の介護納付金分に係る支払基金からの交付金である支払基金交付金等を財源として保険給付等を行う保険事業勘定と、介護給付の対象となる居宅サービス及び施設サービス等を実施する介護サービス事業勘定とに区分される。

なお、市町村が実施する指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、老人短期入所施設、老人デイサービスセンター、指定訪問看護ステーションの5施設により介護サービスを提供する事業は介護サービス事業として公営企業会計の対象とされている。

平成24年度末の介護保険事業の保険者は、1,582団体(20政令指定都市、41中核市、39特例市、634都市、785町村、40一部事務組合等、23特別区)で、前年度と比べると1団体増加している。また、介護サービス事業勘定を設置している団体は755団体(9政令指定都市、14中核市、18特例市、320都市、371町村、10一部事務組合等、13特別区)で、前年度と比べると15団体減少している。

ア 保険事業勘定

(ア)歳入

保険事業勘定の歳入決算額は8兆8,102億円で、前年度と比べると5,808億円増加(7.1%増)している。

歳入の内訳をみると、第93図のとおりであり、第1号被保険者が支払う保険料が1兆7,497億円(歳入総額に占める割合19.9%)、介護給付費負担金(介護給付及び予防給付に要する費用の額(以下「介護・予防給付額」という。)の100分の20(施設等給付費にあたっては100分の15)に相当する額)、調整交付金(介護・予防給付額の100分の5に相当する額)等の国庫支出金が1兆9,459億円(同22.1%)、支払基金交付金(第2号被保険者の介護給付金分に係る社会保険診療報酬支払基金からの交付金)が2兆3,940億円(同27.2%)、都道府県の法定負担(介護・予防給付額の100分の12.5(施設等給付費にあたっては100分の17.5)に相当する額)を含む都道府県支出金が1兆2,827億円(同14.6%)、市町村の法定負担分(介護・予防給付額の100分の12.5に相当する額)を含む他会計繰入金が1兆2,846億円(同14.6%)、介護保険制度の円滑な導入のために設置された基金等の取崩し額である基金繰入金が463億円(同0.5%)等となっている。

第93図 介護保険事業の歳入決算の状況(保険事業勘定)

また、それぞれ前年度と比べると保険料が3,380億円増加(23.9%増)、国庫支出金が1,086億円増加(5.9%増)、支払基金交付金が858億円増加(3.7%増)、都道府県支出金が1,227億円増加(10.6%増)、他会計繰入金が569億円増加(4.6%増)、基金繰入金が1,211億円減少(72.3%減)している。

(イ)歳出

保険事業勘定の歳出決算額は8兆6,764億円で、前年度と比べると5,461億円増加(6.7%増)している。

歳出の内訳をみると、第94図のとおりであり、保険給付費は8兆1,395億円で、前年度と比べると4,981億円増加(6.5%増)しており、歳出総額の93.8%(前年度94.0%)を占めている。

第94図 介護保険事業の歳出決算の状況(保険事業勘定)

(ウ)収支

実質収支は1,328億円の黒字(前年度953億円の黒字)となっており、実質収支から財源補填的な他会計繰入金及び都道府県支出金を控除し、繰出金を加えた再差引収支についても、798億円の黒字(同916億円の黒字)となっている。

再差引収支を黒字・赤字の団体別にみると、黒字の団体数は前年度と比べると262団体減少の1,251団体で、全団体に占める割合は79.1%(前年度95.7%)となっており、その黒字額は59億円減少の888億円となっている。

一方、赤字の団体数は前年度と比べると263団体増加の331団体で、全団体に占める割合は20.9%(前年度4.3%)となっており、その赤字額は59億円増加の90億円となっている。

イ 介護サービス事業勘定

介護サービス事業勘定の歳入決算額は303億円で、前年度と比べると9億円減少(2.8%減)している。このうち、利用者の支払う自己負担金を含むサービス収入は121億円(前年度比1.8%増)で、歳入総額に占める割合は40.0%(前年度38.1%)となっている。

普通会計等からの繰入金は157億円で、前年度と比べると11億円減少(6.6%減)しており、歳入総額に占める割合は51.7%(前年度53.8%)となっており、このうち、普通会計からのものが143億円で前年度と比べると11億円減少(7.2%減)している。

歳出決算額は287億円で、前年度と比べると11億円減少(3.6%減)している。このうち、サービス事業費が105億円で、前年度と比べると1億円増加(0.8%増)しており、歳出総額に占める割合は36.4%(前年度34.8%)となっている。

また、公債費の元利償還金は、96億円で、前年度と比べると9億円減少(8.6%減)しており、歳出総額に占める割合は33.3%(前年度35.1%)となっている。

なお、実質収支は15億円の黒字(前年度13億円の黒字)となっており、再差引収支は137億円の赤字(同147億円の赤字)となっている。

(5)その他の事業

ア 収益事業[資料編:第123表

収益事業を実施した地方公共団体の数は延べ290団体で、前年度と比べると4団体減少している。

これを事業別にみると、公営競技についてはモーターボート競走事業を施行した団体が105団体と最も多く、以下、自転車競走事業60団体、競馬事業51団体、小型自動車競走事業7団体の順となっている。

また、宝くじは、47都道府県及び20政令指定都市の67団体で発売されている。

これらを団体種類別にみると、都道府県においては延べ67団体、市町村においては延べ223団体が収益事業を実施している。

(ア)経営状況

収益事業の決算額は、歳入3兆334億円、歳出3兆180億円で、前年度と比べると歳入は464億円減少(1.5%減)、歳出は463億円減少(1.5%減)している。

実質上の収支(歳入歳出差引額から翌年度に繰り越すべき財源、他会計からの繰入金、過去の収益を積み立てた基金からの繰入金及び未払金を控除し、他会計への繰出金及び未収金を加えた額)は3,881億円の黒字(前年度4,267億円の黒字)となっている。

普通会計等への収益金の繰出しについて、事業別にみると、競馬事業が5億円(前年度6億円)、自転車競走事業が36億円(同32億円)、小型自動車競走事業が6億円(同6億円)、モーターボート競走事業が83億円(同81億円)、宝くじ事業が3,900億円(同4,215億円)となっている。

(イ)収益金の使途状況

収益金の大部分は普通会計等に繰り入れられ、道路、教育施設、社会福祉施設等の整備事業などの財源として活用されている。その繰入額は4,030億円で、前年度と比べると311億円減少(7.2%減)している。

収益金繰入額の使途状況を目的別にみると、土木費が998億円で最も大きな割合(収益金繰入額に占める割合24.8%)を占め、次いで、民生費の819億円(同20.3%)となっており、これらの費目で繰入総額の45.1%を占めている。

このほか、教育費が603億円(同15.0%)、衛生費が201億円(同5.0%)、商工費が113億円(同2.8%)等となっている。

イ 共済事業

(ア)農業共済事業[資料編:第125表

農業共済事業を実施した市町村の数は前年度と同じ56団体となっている。

農業共済事業会計の決算額は歳入135億円、歳出129億円で、前年度と比べると歳入は9億円減少(6.3%減)、歳出は8億円減少(5.9%減)している。

なお、実質上の収支(歳入歳出差引額から支払準備金積立額、責任準備金積立額、繰入金及び未払金を控除し、繰出金及び未収金を加えた額)は、35億円の赤字(前年度36億円の赤字)となっている。

(イ)交通災害共済事業[資料編:第126表

直営方式により交通災害共済事業を実施した地方公共団体は79団体(41市町村、38一部事務組合等)で、前年度と比べると2団体減少している。

また、加入者は平成24年度末で879万人(前年度末930万人)となっている。

交通災害共済事業会計の決算額は歳入68億円、歳出56億円で、前年度と比べると歳入は微増(0.3%増)、歳出は微増(0.3%増)となっている。

なお、実質上の収支(歳入歳出差引額から未経過共済掛金、繰入金及び未払金を控除し、繰出金及び未収金を加えた額)は14億円の黒字(前年度14億円の黒字)となっている。

ウ 公立大学附属病院事業[資料編:第124表

公立大学附属病院事業を実施した地方公共団体は1団体である。

公立大学附属病院事業会計の決算額は、収益的収支では総収益19億円、総費用19億円となり、前年度と比べると総収益は微減(0.4%減)し、総費用は微増(0.1%増)となっている。

また、資本的収支では資本的収入4億円、資本的支出4億円となり、前年度と比べると、資本的収入は0億円増加(15.3%増)し、資本的支出は1億円増加(16.3%増)となっている。

実質収支は1億円の黒字(前年度1億円の黒字)となっている。

(6)第三セクター等

第三セクター等の状況については、平成25年度の「第三セクター等の状況に関する調査」(平成25年3月31日現在)によると次のとおりである。

ア 第三セクター等の定義

第三セクター等とは、次の法人をいう。

(ア)第三セクター

a 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(平成18年法律第48号)等の規定に基づいて設立されている社団法人、財団法人及び特例民法法人(以下「社団法人・財団法人」という。)のうち、地方公共団体が出資を行っている法人

b 「会社法」(平成17年法律第86号)の規定に基づいて設立されている株式会社、合名会社、合資会社、合同会社及び特例有限会社(以下「会社法法人」という。)のうち、地方公共団体が出資を行っている法人

(イ)地方住宅供給公社、地方道路公社及び土地開発公社(以下「地方三公社」という。)

(ウ)地方独立行政法人

イ 第三セクター等の数

第三セクター等の数は第34表のとおりであり、法人数の総計は8,056法人で、前年度末(8,308法人)に比べ252法人減少している。

第34表 第三セクター等の数

ウ 第三セクター等の経常損益の状況

第三セクター等のうち、(1)地方公共団体等の出資割合が25%以上の社団法人・財団法人及び会社法法人(2)出資割合が25%未満であるものの財政的支援(注1)を受けている社団法人・財団法人及び会社法法人(3)地方三公社(4)地方独立行政法人の6,816法人から29法人(注2)を除いた6,787法人(以下「経営状況等調査対象法人」という。)の経常損益の状況については第35表のとおりであり、4,068法人(59.9%)が黒字、2,719法人(40.1%)が赤字となっている。

第35表 第三セクター等の経常損益の状況

(注1)ここで「財政的支援」とは、補助金、貸付金及び損失補償のことをいう。

(注2)第三セクター等のうち、清算手続中、休眠中、設立後間もない等の理由により財務諸表(損益計算書、収支計算書)が作成されていない法人。

エ 第三セクター等の純資産又は正味財産の状況

経営状況等調査対象法人の純資産又は正味財産の状況は、第36表のとおりである。

第36表 第三セクター等の純資産又は正味財産の状況

負債が資産を上回っている法人は315法人(4.6%)であり、当該法人の負債が資産を上回っている額の合計は2,713億円となっている。

オ 地方公共団体からの補助金交付額の状況

経営状況等調査対象法人の地方公共団体からの補助金交付額の状況は、第37表のとおりである。

第37表 地方公共団体からの補助金交付額の状況

地方公共団体から補助金を交付されている法人は、2,931法人(43.2%)であり、交付総額は5,452億円となっている。

カ 地方公共団体からの借入残高の状況

経営状況等調査対象法人の地方公共団体からの借入残高の状況は、第38表のとおりである。

第38表 地方公共団体からの借入残高の状況

地方公共団体からの借入残高を有する法人は879法人(13.0%)であり、借入残高は4兆9,963億円となっている。

キ 損失補償・債務保証の状況

経営状況等調査対象法人の損失補償・債務保証の状況は、第39表のとおりである。

第39表 損失補償・債務保証の状況

地方公共団体以外からの借入残高を有する法人は1,916法人であり、借入残高は7兆5,439億円となっている。また、地方公共団体による損失補償・債務保証が付されている債務残高を有する法人は882法人(46.0%)であり、債務残高は4兆9,635億円となっている。

ページトップへ戻る