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平成27年版
地方財政白書
(平成25年度決算)

2 地方自治を取り巻く動向

(1)地方自治制度の見直し

地方自治制度の見直しについては、「地方自治法の一部を改正する法律」(平成26年法律第42号)が平成26年5月30日に公布された。改正法は、人口減少社会において、人々の暮らしを支え、経済をけん引していく核となる都市やその圏域を戦略的に形成し、国民がどこでも安心して快適な暮らしを営んでいけるようにするための制度の見直し等を提言した「第30次地方制度調査会答申」を踏まえ、立案されたものである。

同法においては、大都市制度の改革として、指定都市制度について、<1>区の事務所が分掌する事務を条例で定め、<2>区に代えて総合区を設け、議会の同意を得て選任される総合区長を置くことができる「総合区」制度を導入し、<3>「指定都市都道府県調整会議」を設置することとされた。また、<4>中核市制度と特例市制度を統合することとされた。

さらに、今後の基礎自治体の行政サービスの提供体制について、広域連携を一層進めていくため、新たな広域連携の制度として、<5>地方公共団体が相互に連携する際の基本的な方針等を定める「連携協約」制度の創設及び、<6>「事務の代替執行」制度の創設等が行われた。

(2)連携中枢都市圏構想の推進

「第30次地方制度調査会答申」において、「都市機能の「集約とネットワーク化」の取り組みを一層促進するためには、地方中枢拠点都市の担うべき役割を整理すべきである。その上で、圏域における役割に応じた適切な財政措置を講じる必要がある。」とされたことを踏まえ、平成26年8月25日に「地方中枢拠点都市圏構想推進要綱」を制定した。

地方中枢拠点都市圏構想は、地方圏において、相当の規模と中核性を備える圏域の中心都市が近隣の市町村と連携して、集約とネットワーク化の考え方に基づき、「経済成長のけん引」、「高次の都市機能の集積」及び「生活関連機能サービスの向上」といった役割を積極的に果たすことにより、いわば「地方が踏みとどまるための拠点」を形成することを目的としている。

圏域の中心都市が地方中枢拠点都市宣言を行い、近隣市町村と平成26年の「地方自治法の一部を改正する法律」により創設された連携協約を締結し、圏域の将来像や具体的な取組を記載した地方中枢拠点都市圏ビジョンを策定することにより都市圏を形成することとなる。

地方中枢拠点都市圏の形成を推進するため、平成26年度は、先行的なモデルを構築するため9圏域に対して国費による支援を行っている。

その後、「総合戦略」の中で、地方中枢拠点都市圏と国土交通省の「高次地方都市連合」及び経済産業省の「都市雇用圏」を統一することとされた。その結果、「地方中枢拠点都市圏」は「連携中枢都市圏」となり、地方中枢拠点都市圏構想推進要綱を平成27年1月28日に一部改正し、「連携中枢都市圏構想推進要綱」としたが、連携中枢都市圏の施策目的及び形成手続は地方中枢拠点都市圏と同じである。

具体的な都市圏は、平成27年度、地方公共団体の意向を踏まえた調査・検討を経て確定させることとしているが、従前の地方中枢拠点都市圏の要件に該当する61の都市圏は連携中枢都市圏の対象となる。

連携中枢都市圏構想を推進するため、平成27年度においても国費により連携中枢都市圏の形成の準備等を支援することとしているほか、連携中枢都市に対しては普通交付税措置及び特別交付税措置を、連携市町村に対しては特別交付税措置を講じることとしている。

また、関係各省の補助事業採択における配慮等による支援も行うこととしている。

こうした支援を通じ、連携中枢都市圏の形成は地方の自主性に基づくものであることを尊重しつつ、全ての対象都市圏において連携中枢都市圏が形成されるよう努めることとしている。

(3)定住自立圏構想の推進

我が国は、平成20年をピークとして人口減少局面に入っており、特に地方圏においては、今後、大幅な人口減少と急速な少子化・高齢化が見込まれている。このような状況を踏まえ、地方圏において安心して暮らせる地域を各地に形成し、地方圏から三大都市圏への人口流出を食い止めるとともに、三大都市圏の住民にもそれぞれのライフステージやライフスタイルに応じた居住の選択肢を提供し、地方圏への人の流れを創出することが求められている。

「定住自立圏構想」とは、中心市と近隣市町村が連携・協力することにより、圏域全体で必要な生活機能を確保し、地方圏への人口定住を促進する政策であり、平成21年度から全国展開を行っている。

定住自立圏形成の手続は、人口5万人以上(少なくとも4万人超)の市が、圏域として必要な生活機能の確保について中心的な役割を担う意思を有すること等を明らかにする中心市宣言を実施し、中心市と隣接し、経済、社会、文化又は住民生活等において密接な関係のある近隣市町村と定住自立圏形成協定を締結することとしている。中心市は、圏域の将来像や推進する具体的取組を記載した定住自立圏共生ビジョンを策定し、これに取り組むこととしている。

平成27年1月末現在では、101団体が中心市宣言済み、84圏域(延べ400団体)で定住自立圏形成協定締結又は定住自立圏形成方針策定済み、86団体が定住自立圏共生ビジョンを策定済みとなっており、全国で着実に定住自立圏構想による取組が進んでいる。

平成26年度は、地域住民の生活実態やニーズに応じ圏域ごとにその生活に必要な機能を確保して、圏域全体の活性化を図る取組を強力に推進するため、定住自立圏共生ビジョンを策定した中心市及びその近隣市町村の取組に対する地方交付税措置を拡充するとともに、定住自立圏を含む市町村域を越えた圏域において、人・モノ・金等の流れを生み出す拠点等を構築して圏域の活性化を図る取組を委託調査事業として実施した。平成27年度は、定住自立圏におけるこれまでの取組について、人口の観点を含め取組成果に係る検証を実施することとしている。また、前年度に引き続き、定住自立圏共生ビジョンを策定した中心市及びその近隣市町村の取組、外部人材の活用等に対する地方交付税措置を講じるとともに、市町村域を越えた圏域において、人・モノ・金等の流れを生み出す拠点等を構築して圏域の活性化を図る取組を支援することとしている。

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