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平成30年版
地方財政白書
(平成28年度決算)

6 地方公共団体の基金の積立状況等に関する調査

地方公共団体の積立金の状況については、「基本方針2017」において、「総務省は、各地方公共団体における財政状況の調査の一環として調査し、団体による積立金の現在高や増加幅の程度の差異を含め、その増加の背景・要因を把握・分析する。」とされたことを踏まえ、「基金の積立状況等に関する調査」を実施した。

この調査は、毎年度実施している「地方財政状況調査」と併せて実施され、全ての地方公共団体の、定額運用基金を除く全ての積立基金(財政調整基金、減債基金、その他特定目的基金)を対象として行われた。基金の種類ごとに、<1>平成18年度末と平成28年度末の残高の状況のほか、今後の中期的(3〜5年)な増減見込み、<2>積立ての理由、<3>基金の使途、財源(国費、合併特例債等)等を調査している。(第133図

第133図 基金残高の推移

平成18年度末と平成28年度末の全地方公共団体の基金残高(東日本大震災分及び平成28年熊本地震分を除く。)を比較すると、平成18年度末は13.6兆円、平成28年度末は21.5兆円であり、7.9兆円の増加(58.4%増)となっている(第58表)。

基金の種類別にみると、財政調整基金は平成18年度末が4.1兆円、平成28年度末が7.5兆円であり、3.5兆円の増加(84.8%増)、減債基金は平成18年度末が2.1兆円、平成28年度末が2.5兆円であり、0.4兆円の増加(18.9%増)、特定目的基金は平成18年度末が7.4兆円、平成28年度末が11.5兆円であり、4.1兆円の増加(55.3%増)となっている。

この基金増加の要因について、国の施策に基づく特定目的基金の増加や合併に伴う特例措置の終了に備えているもの等の増加といった国の制度に起因した基金の増加要因である「制度的な要因」と、「景気の動向による法人関係税等の変動」、「公共施設等の老朽化対策」等の「その他の将来の歳入減少・歳出増加への備え」に区分される(第59表)。

平成18年度末から平成28年度末までの増加額7.9兆円のうち、「制度的な要因」による増加額は2.3兆円であり、「国の施策に基づく特定目的基金の増加」が0.6兆円、「合併に伴う特例措置の終了に備えているもの等の増加」が1.7兆円となっている。また、「その他の将来の歳入減少・歳出増加への備え」による増加額は5.7兆円であり、このうち、歳入に関するものは、「景気の動向による法人関係税等の変動」が0.8兆円、「人口減少による税収減」が0.3兆円であり、歳出に関するものは、「公共施設等の老朽化対策等」が2.0兆円、「災害」が0.9兆円、「社会保障関係経費の増大」が0.7兆円となっている。

地方交付税の交付団体・不交付団体別でみると、交付団体の増加額は5.3兆円であり、このうち「制度的な要因」による増加額が2.1兆円、「その他の将来の歳入減少・歳出増加への備え」による増加額が3.1兆円となっている。また、不交付団体の増加額は2.7兆円であり、このうち、「制度的な要因」による増加額は0.1兆円、「その他の将来の歳入減少・歳出増加への備え」による増加額は2.5兆円となっている。

このほか、積立ての財源としては、行革、経費節減等により捻出した額を積み立てていると回答した団体が最も多く、さらに、中期的(3〜5年程度)な基金の増減見込みについては、具体的な増減見込額の回答のあった基金を合計すると、2.6兆円の減となっている。

なお、地方公共団体の基金残高について、東京都・特別区を除く全国の基金残高の水準(対標準財政規模比)でみると、現在、平成以降の平均と同程度で、近年はほぼ横ばいとなっている(第134図)。

第134図 東京都・特別区を除く基金残高の水準(標準財政規模に対する比率)の推移

この調査により、各地方公共団体が、国の施策や合併といった制度的な要因による積立てや、公共施設等の老朽化対策や災害など様々な将来への備えのための積立てを、様々な地域の実情を踏まえて、行革や歳出抑制に努めながら行っていることが把握された。

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