報道資料

平成14年4月19日
電気通信事業紛争処理委員会


ケイディーディーアイ株式会社に対する業務改善命令に係る答申


 電気通信事業紛争処理委員会は、昨日(4月18日)、別紙1のとおり、総務大臣からケイディーディーアイ株式会社に対する業務改善命令に係る諮問を受けました。
 これについて、慎重に審議した結果、諮問の趣旨により業務の改善を命ずることは適当であるとの結論に達し、別紙2のとおり、本日答申を行いました。




連絡先: 電気通信事業紛争処理委員会事務局
(担当: 藤野上席調査専門官、大角調査専門官)
電話: 03−5253−5686
FAX: 03−5253−5197
E-mail:hunso-shori@ml.soumu.go.jp






別紙1




諮問書

 ケイディーディーアイ株式会社(以下「KDDI」という。)は、子会社である第二種電気通信事業者(以下「子会社」という。)を通じ、別紙(略)記載の18の地方公共団体等に対し、届け出た料金を下回る料金により電気通信役務を提供していたことが判明した。子会社に対し、その赤字分は手数料という形式で補てんするなど、脱法的な方法を採っており、また、KDDIが子会社経由で提示している割引率は、各エンドユーザごとにさまざまであり、KDDIによると、競争事業者の提示条件を予測等し、これとそん色のない条件を提示することにより顧客を獲得することを目的として提示しているものである。その結果、本件エンドユーザへの割引率は、利用額の多寡等の条件とは無関係なものとなっている。このような業務の方法は、電気通信役務の利用の公平性等の観点から不適切であり、利用者の利益を阻害するものと考えられる。
 以上のことから、利用者の利益又は公共の利益を確保するために改善が必要であると認められることから、電気通信事業法(昭和59年法律第86号。以下「法」という。)第36条第4項に基づき、
1)  子会社がKDDIの「電話サービス等契約約款」に規定する「スーパーアカウントプラン代表者」又は「割引率逓増型選択料金制サービスI利用者」としての実態があるかのように装うことを始め、実際の提供条件と契約約款記載の提供条件とが齟齬を来たしていることを是正するとともに、今後同様の行為を再演しないこと
2)  高額利用割引としての割引を利用額の多寡に応じない割引としないこと
3)  1)及び2)について講じた措置について、1か月以内に総務省に報告すること
4)  本件の対象となった18の地方公共団体等以外にも、同様の事例が行われていないか調査を行い、同様の事例がみられた場合には、1)及び2)と同様の措置を講じるとともに、調査結果及び講じた措置について、併せて1か月以内に報告すること
を内容とする業務の改善を命ずることとしたい。
 上記について、法第88条の18の規定に基づき諮問する。





別紙2




答申書

 平成14年4月18日付け諮問第1号をもって諮問された事案について、審議の結果、下記のとおり答申する。


 ケイディーディーアイ株式会社に対し諮問の趣旨により業務の改善を命ずることは適当と認められる。
 ただし、命令にあたっては、以下の点を明示することを考慮されたい。

 同社が、届け出ていない料金により役務を提供することは、電気通信事業法第31条第9項に違反し、かつ、特定の利用者にのみこのような行為を行うことは、同法第7条に違反するものであること
 このような業務の方法は、第一種電気通信事業者の業務の方法が適切でないため利用者の利益を阻害している場合にあたると認められ、改善の措置を採るべきことを命ずることが利用者の利益を確保するために必要と認められること


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