北海道の情報通信(北海道総合通信局)
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平成22年4月27日発表

平成21年度の北海道管内における電波監視の概要


  北海道総合通信局(局長 大久保 明  (おおくぼ あきら))では、平成21年度における電波監視の概要を次のとおり取りまとめました。
  当局は、今後もクリーンな電波環境を保護するための取組を強化していきます。

1  無線局に対する混信妨害、電波環境申告の状況

(1)申告受付状況

   平成21年度における申告の受付総件数は279件であり、重要無線通信妨害申告(重要無線通信(電気通信、消防・救急、防災行政等の無線)に対する混信妨害など)が33件で横ばい状態、一般申告(一般無線局に対する混信妨害など)が158件で減少傾向、電波環境申告(電話機、音響機器などへの障害など)が88件で増加傾向となっています。

混信等申告件数の状況

(2)申告受付の内訳

   ア 重要無線通信妨害申告
        重要無線通信に対する混信妨害など、33件の申告があり、電気通信(携帯電話)や消防無線に対する混信が多くなっています。

重要無線通信妨害申告件数

   重要無線通信妨害申告33件の内、調査により妨害源を特定できた26件については、原因者に対して、速やかに措置するよう指導しました。
   また、妨害源を特定するまでに自然消滅した4件については、申告のあった周波数と、その周辺の周波数も確認した上で、調査を完了としています。
   残る3件のうち、2件については、緊急又は非常用周波数の誤発射に関し、海上保安庁から発射位置の確認依頼があったものであり、1件については、障害原因をメーカー等で対策中です。
   なお、重要無線通信妨害申告に係る主な事例は、次のとおりです。

【主な事例】

・電気通信(携帯電話)  :  テレビの受信ブースターが異常発振し、携帯電話の電波を妨害したため、発振源周辺において携帯電話がつながりにくくなった。

・防災行政  :  自己設備の不良(送受信機マイクコード)によりキャリア(無変調波)が断続的に発射され、防災無線の運用に支障をきたした

・海上  :  投棄された衛星EPIRBが電波を発射しながら川で浮揚しているのを確認し、陸揚げ後、電源を切断して電波を停波させた。

・消防  :  アマチュア無線局(移動する局)の無線設備からのスプリアス発射(注1)によって、消防無線の運用に支障をきたした。

注1 スプリアス発射とは、送信周波数の外側に発射される不要な電波。

   イ 一般申告(「重要無線通信妨害」以外の申告)

 一般無線局に対する混信妨害など、158件の申告があり、アマチュア無線に対する混信が130件と多く、全体の82%を占めています。

一般申告件数

   アマチュア無線に関しては、運用方法(使用区分、識別信号不送出など)に係る申告が多く、電波監視により違反を確認した場合は、電波規正用無線局(注2)を活用し、正常化を図っています。
   なお、一般申告に係る主な事例は、次のとおりです。

 注2 電波規正用無線局は、総務省自ら開設する特別業務の無線局です。
違法な運用をしている無線局に対し、直接その周波数にて、電波の規正(注意・警告)に関する通報を送信し、違反者に対して電波法違反であることを自覚させることにより、違反電波の発射の抑制を図ります。

【主な事例】

・各種業務、簡易無線  :  不要・冗長通信により他の無線局の運用に支障をきたした。

・アマチュア無線  :  違反無線局による混信により正規な無線局の運用に支障をきたした。

・その他  :  日本国内での使用が認められていない外国規格無線機の使用に関する情報提供があった。

   ウ 電波環境申告

 電話機、音響機器などへの障害など、88件の申告がありますが、1件の申告で複数の事例があるため、電波環境申告事例数は95事例になります。
 事例としては、電波防護指針や電波による人体への影響に関する相談(生体電磁環境)が46事例と最も多い結果となっています。

電波環境申告件数

 

また、生体電磁環境に係る相談を除いた場合、電波環境申告事例数は49事例となり、電子機器等(微弱な電波を使用した機器や無線局免許を要さない機器など)に関するものが16事例と最も多い結果となっています。
なお、電波環境申告に係る主な事例は、次のとおりです 。

【主な事例】

・ 電話機  :  アマチュア無線の電波や商用電源からの雑音などが電話機に障害を起こした。

・ テレビ、ラジオ  :  アマチュア無線の電波がテレビ画面を乱し、音声を混入させるなどの障害を起こした。

・ 電子機器等  :  人感センサーの小型発信器(微弱な無線局)が故障して電波が連続送信状態となり、その周辺において、同じ発信周波数を使っているキーレスエントリーやインテリジェントキーが使用できない障害を発生させた。
(この人感センサーは、センサーに反応があった場合に内蔵された送信部の小型発信器から電波を送って、別に設置した受信部のチャイム等を動作させるシステムです。)

・ 人体への影響  :  携帯電話基地局等の電波の安全性に関する問い合わせ。

 2 電波監視に基づく対応状況

(1)アマチュア無線の違反に対する対応

   電波監視により確認した違反に対しては、電波規正用無線局を運用し、直接、電波による規正を行い、違反している無線局に対して正常な運用に戻すよう注意・警告を行っています。(平成21年度は309回、平成20年度は573回。)
   また、電波による規正に応じない悪質な違反に対しては、調査を行った上で、行政指導を行っています。(平成21年度は4件4局、平成20年度は2件3局。)

(2) 業務用無線(各種業務、簡易無線)の違反に対する対応

   電波監視により確認した違反に対しては、調査を行った上で、行政指導を行っています。(平成21年度は20件112局、平成20年度は29件87局。)

(3) 外国規格無線の使用に対する対応

   日本国内での使用が認められていない外国規格無線機については、海外からの観光客の増加に伴って、外国人が使用する事例や日本人がインターネットオークションなどで購入して使用する事例が増加しています。
   電波監視により確認した違反に対しては、調査を行った上で、行政指導を行っています。(平成21年度は36件110局、平成20年度は11件27局。)

【外国規格無線機の指導状況】

指導内訳

平成20年度

平成21年度

外国規格無線機(注)

11件

27局

36件

110局

(内訳) 法人(国内)

2社

6局

10社

63局

     個人(日本人)

3名

4局

10名

25局

     個人(外国人)

5名

13局

13名

16局

     その他(国内・任意団体)

1団体

4局

3団体

6局

 注:行政指導は、すべてFRS又はGMRSに対するもので、UHF-CB及びPRSに対するものはなかった。

<外国規格無線機>

外国規格無線機のイメージ図

      FRS  :  Family Radio Service(主として、アメリカで使用されている)
      GMRS  :  General Mobile Radio Service(主として、アメリカで使用されている)
      UHF-CB  :  Ultra High Frequency – Citizen Band(主として、オーストラリアで使用されている)
      PRS  :  Personal Radio Service(主として、ニュージーランドで使用されている)

3 捜査機関との協力状況(不法無線局の取締り状況)

    不法無線局の対策として、路上や港湾において、捜査機関(北海道警察や第一管区海上保安本部)と共同で取締りを実施しています。(平成21年度は17名17局を摘発し11名11局を行政指導。平成20年度は8名10局を摘発し4名4局を行政指導。)。
    なお、主な不法無線局の概要及び妨害事例は別紙のとおりです。

4 周知啓発

(1)電波利用環境保護周知啓発強化期間 (6月1日から6月10日まで)

   電波利用環境保護周知啓発強化期間において、テレビCMの放映、新聞広告の掲載及び公共交通機関の額面若しくは中吊り広告の掲出を行うとともに、官公庁など関係団体に対するポスター等の掲示依頼や自治体及び関係団体の広報誌への掲載依頼を行うなど、集中的な広報活動を行いました。

(2)ホームページによる周知啓発

   電波利用環境保護の取組(電波利用のルール、相談・申告窓口の案内ほか)、電波の安全性、電波監視の目的、外国規格無線機に関する注意など、当局のホームページに掲載し、周知啓発を図りました。

(3)公共工事、除排雪業務の安全大会における周知啓発

・ 公共工事の請負業者を対象とした安全大会(6会場)に当局職員を派遣し、周知・啓発を行いました。
・ 除排雪業務の請負業者を対象とした安全大会(5会場)に当局職員を派遣し、周知・啓発を行いました。

(4)免許担当課との連携

    当局内の免許担当課(企画調整課、航空海上課、陸上課)と連携を図り、申請書類の返送時や各種会合等において、電波利用環境保護に関するリーフレットを配付しました。

(5)外国規格無線

    FRS、GMRSの国内使用禁止に係る周知・啓発として、さっぽろ雪まつり期間中に、地下鉄の全車両(378両)に車内広告を掲出するとともに、地下鉄駅構内のフリーボード(13駅19か所)にポスターを掲出し、新千歳空港ターミナルビルの地下1階コンコース(ANA・国際線側)に電飾広告を掲出しました。
    UHF-CB、PRSの国内使用禁止に係る周知・啓発として、ニセコ地区のスキー場を中心に、外国人観光客が多く利用する施設などに対して、ポスターの掲示やリーフレットの配付についての協力を要請するとともに、3つのスキー場内において、5か国語によるアナウンス(1日3回、延べ120日間)を実施しました。

5 混信等申告受付窓口

北海道総合通信局 電波監理部 電波利用環境課
電話 011-737-0099
(受付時間は、土曜日、日曜日、祝日を除く8時30分から12時まで、13時から17時までです。)

【本件報道発表に関するお問い合わせ先】
担当 : 電波監理部 電波利用環境課、監視課、調査課 
電話 : 011-709-2311(内線 4742)

  

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別紙


主な不法無線局の概要及び妨害事例

1 不法市民ラジオ

   国内で使用が認められている市民ラジオの空中線電力は、0.5ワット以下であり、総務省の技適マークが貼付されています。
   不法市民ラジオの多くは、この技適マークがありません。空中線電力が数ワットのもので国内では免許を受けることはできず、また、電力増幅器を付加して、数千ワットの出力を出す悪質な事例もあります。

テレビが見えない!ラジオが聞こえない

<妨害事例>

2 不法パーソナル無線

   不法パーソナル無線機は、適法なパーソナル無線機を改造し、指定されたチャンネル以外の周波数で電波を発射したり、空中線電力を定格以上に増力した無線機です。
   一般的に「チャンネル固定可能」、「スペシャル機能付き」等として販売されており、この改造機にも技適マークがそのまま貼付されています。
   技適マークが貼付されていても何らかの改造を施したパーソナル無線機は、すべて不法パーソナル無線となり、国内では使用することができません。

携帯電話が使えない!

<妨害事例>

3 不法アマチュア無線

   アマチュア無線局を開設するには、無線従事者資格及びアマチュア無線局の免許が必要です。
   これらの資格及び免許がないと不法アマチュア無線となります。
   アマチュア無線局は、運用する周波数帯が決められていますが、不法アマチュア無線の中にはこの周波数帯以外の周波数を使用できるように改造して他の無線局に妨害を与える悪質な事例が多発しています。

消火活動や救急業務ができない!

<妨害事例>

   重要無線通信(警察用無線、消防用無線、鉄道用無線など)を妨害し、人命の安全等に支障を来す。

不法無線局に係る法律の適用条項(抜粋)

電波法第4条(無線局の開設)

  「無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。」

電波法第110条第1号(罰則)

  「電波法第4条の規定による免許がないのに、無線局を開設した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。」

電波法第108条の2(罰則)

  「国民生活に重要な影響を与える重要無線通信を妨害した者は、5年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処する。」


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