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デジタル業務用無線通信システムの実証試験を公開
− 業務用無線通信システムに関する調査検討会 −

平成26年12月10日up

  「業務用無線通信システムに関する調査検討会」では、平成26年11月27日(木曜日)、夕張郡長沼町内のながぬま温泉及びその周辺において、デジタル業務用無線通信システムの公開実証試験を実施しました。

  簡易無線やMCA無線等の無線システムのデジタル化が先行する中、業務用無線においても、クリアーな音声通信やデータ伝送、通信制御等が可能なデジタル通信方式の本格的な導入と市町村程度の中規模エリアをカバーする共同利用型中継システムの実現が期待されています。
  このようなことから、北海道総合通信局は、平成26年4月に「業務用無線通信システムに関する調査検討会」を設置し、デジタル通信方式の高機能な通信サービスや共同利用型中継システムの技術的条件等について調査検討を行っていますが、本公開実証試験は、この一環として実施されたもので、定員の50名を超える参加者がありました。

  公開実証試験の開会にあたり、本調査検討会座長 大鐘 武雄(おおがね たけお)氏(北海道大学大学院情報科学研究科インテリジェント情報通信研究室 准教授)からあいさつと本調査検討会の概要についての説明を受けました。

調査検討会の概要イメージ図

  続いて、実証試験実施機関である株式会社JVCケンウッドから、これまで実施してきた実証試験の概要説明、アナログとデジタルの音質通話品質の比較、また、携帯型、車載型及び中継型の実験試験局を使った次のようなデモンストレーションが行われました。

  • (1) 隣接チャネル干渉
        複数の無線局が同時に運用した場合
  • (2) 中継動作のフィルタリング機能
        免許人による通信のみを中継
  • (3) 共同利用システム関連機能
        複数ユーザーが中継局を共同利用する場合
  • (4) 相互接続性
        複数のメーカーの無線設備が混在
  • (5) 利便性を向上させる機能
        GPSデータを利用した位置管理やメッセージの伝送、緊急通報、静止画伝送等

  ボコーダ(音声圧縮技術の一つ)による4値FSK方式のデジタル無線通信システムは、一定の条件下においては複数の電波が干渉し、良好な通信が出来なくなることがあるため、共同利用型中継システムを設置する場合は注意が必要なこと、また、アナログ無線と比べ雑音が無い通信エリアが大幅に広がるため、実用的には支障ないことが示されました。

  会場では、実証試験で使用した各種無線機器や周辺装置等の展示も有り、参加者からは、共同利用型中継システムの早期実現、アナログ方式からの移行に係る経費を抑えるための低価格化、移行期限を早期に打出しデジタル化の促進を図るべき等の声も聞かれ、デジタル業務用無線通信システムの関心の高さや期待が伺えました。

  今後は、これまでの実証試験や無線ユーザーへのヒアリング調査の結果等をもとに、平成27年1月末を目処に報告書を取りまとめることとしており、業務用無線のデジタル化に向けた技術資料として役立てられることとなります。

機器の説明画像
会場全体の画像

<参考>

  1. 業務用無線通信システムに関する調査検討会
    座長:大鐘 武雄 氏(北海道大学大学院情報科学研究科インテリジェント情報通信研究室 准教授)

      業務用無線のデジタル化の普及促進に向けて、デジタル通信方式の高機能な通信サービスや共同利用型中継システムの構築等に関し、実証試験を含めた調査検討を行うため、主な業務用無線関係のメーカー、ユーザー、団体等により構成されています。
  2. 業務用無線
      主に、事務所等に設置した基地局と車両等に設置した陸上移動局により構成されています。
      一般企業等が効率的な業務遂行等を目的として開設するもので、現在は、多くがアナログ方式の音声通信を中心とした自営無線システムとして利用されています。
  3. 業務用無線のデジタル化
      様々な無線システムのデジタル化が先行する中、業務用無線においても、クリアーな音声通信やデータ伝送、通信制御等が可能なデジタル通信方式の本格的な導入と合わせて、一の市町村程度の中規模エリアをカバーする共同利用型中継システムの実現が期待されています。
      業務用無線のデジタル化が実現すると、運輸、観光、警備、医療、福祉等の様々な分野において、音声通信だけでなく位置情報や緊急通報、グループ選択等の機能の活用、また、複数免許人による中継局の共同設置等により、効率的、経済的な無線利用が可能となります。

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