− G空間情報(地理空間情報)を活用した農業分野における実証事業 −
平成27年3月12日up
北海道総合通信局は、岩見沢市、一般社団法人北海道総合研究調査会、株式会社はまなすインフォメーションとの共催で、平成27年2月17日(火曜日)、「G空間シティ構築事業 地域報告会」を、全国5箇所開催のトップバッターとして岩見沢市で開催しました。
「G空間シティ構築事業」は、平成26年から、先進的なG空間の利活用モデルとして全国で10件の実証プロジェクトを実施しており、北海道管内では、岩見沢市が道内外の産学官の連携により岩見沢市、秋田県大館(おおだて)市、鹿角(かづの)市を実証フィールドとして、特に農業分野への活用に向けたプロジェクトを行っています。
本地域報告会は、その実証成果を報告するとともに、G空間情報のICTによる利活用方策や地域活性化策について参加者全体で考え、事業成果を他の地域へ普及展開させることを目的としたもので、農業・自治体関係者や高校生等236名の方々が参加されました。
基調講演では、「G空間情報の利活用による地域創生」と題して、総務省「G空間×ICT推進会議」の構成員としてもご活躍いただいている 名古屋大学未来社会創造機構 教授 河口 信夫(かわぐち のぶお)氏から、G空間情報の最新動向や地域創生に向けた活用策などついてご講演いただきました。
具体的には、
などのお話をいただきました。
続いて、本事業の成果報告として『高精度測位やビッグデータを活用したネットワークロボットに関する地域利活用モデル実証事業』について、北海道総合研究調査会 調査部長 星野 克紀(ほしの かつのり)氏から事業の概要を、北海道大学大学院農学研究院 教授 野口 伸(のぐち のぼる)氏から、ネットワークロボットや高精度測位技術PPP-AR方式を活用したトラクタの無人自動走行の実験について説明がありました。当事業により、道内でも深刻となっている農業従事者の減少という課題を解決し、さらに農業の効率化にも寄与できる可能性があることが説明されました。
最後は、「G空間プラットフォームの開発・実証」と題して、独立行政法人情報通信研究機構 翁長 久(おなが ひさし)氏から、G空間プラットフォームの目的や運用までのスケジュールについて説明がありました。また、秋田県や神戸市における機能検証例についても説明がありました。
星野 氏
野口 氏
翁長 氏
【コーディネーター】
【パネリスト】
最初に北海道の主要産業である農業分野における課題解決のため、G空間情報やICTをどのように利活用できるかについて議論されました。
各パネリストからは、「ベテラン農業従事者の『匠の技』の伝承をICTにより行うべき」等の提案や、今回の実証プロジェクトにおいて秋田県大館市等で実施した「無人航空機(UAV)」の完全自動飛行実験等の取組により、秋田県でもICTの活用が注目されていることなどが紹介されました。また、機体のコスト面の要望、専用周波数割当の問題、危険性に対する保険制度の確立についても意見が出されました。
次に行政分野において、防災や除雪作業などのG空間情報活用策が報告されました。
最後に、同事業を普及展開させる課題や方策について議論されました。そこでは、このような新しい技術をユーザー、自治体、企業等様々な立場の方に理解していただく機会を作ること、また、例えば、G空間情報を消防現場で活用してみるなど少し視点を変え、異なる分野を覗いてみること、あるいは海外へも積極的に売り込む必要性があること等の提案が出されました。
コーディネーターからは、今回の話を聞いて刺激を受けた人達が、それを各分野へ広げていくきっかけとなれば、このパネルディスカッションも価値があるものになる、ということでまとめられ、終了しました。