総務省トップ > 組織案内 > 地方支分部局 > 北海道総合通信局 > トピックス記事 > 地方からイノベーションを巻き起こす! 「北海道IoT実装推進フォーラム@北見」を開催

地方からイノベーションを巻き起こす!
「北海道IoT実装推進フォーラム@北見」を開催

平成30年8月10日up
  7月17日(火曜日)、北見市ホテル黒部において、北見市、北海道テレコム懇談会との共催により「北海道IoT実装推進フォーラム@北見」を開催しました。北見市は、地域IoT官民ネット(※)に当初から参加しており、本州企業のサテライトオフィスによるテレワークが実施可能となっています。
  フォーラムには観光、農業、情報通信関係者や行政機関など北見市内はもとより、網走や札幌など遠方から93名の参加があり、参加者はIoT実装の説明に熱心に耳を傾けていました。
フォーラム会場の様子

(フォーラム会場の様子)

  • ※地域IoT官民ネット
      IoTの実装推進に意欲的な地方自治体、IoTビジネスの地域展開に熱心な民間企業、総務省等が連携し、地域におけるIoT実装を強力に推進するため設置された団体です。
    http://www.local-iot.jp/別ウィンドウで開きます
    《※上記URLは地域IoT官民ネットが運営管理するウェブサイトです》

【第1部  基調講演】

「ICT/IoTの地域実装によるデータ主導社会の実現」
総務省 情報流通行政局 地方情報化推進室長 松田 昇剛(まつだ しょうごう)


    データ主導社会の実現として、自動車事故を事前に予測し回避する自動運転の映像を紹介し、「一部には雇用がなくなるというマイナスの面もあるが、ビックデータやAIのシンギュラリティは、人類に大きな変革をもたらす。」とIoT実装の具体的事例を語りました。
松田室長の写真

松田(まつだ)室長

    また、働き方改革やロボット、AI、ビックデータ、IoT等による経済発展と社会的課題の解決を目指すSociety 5.0においても、「データ」というキーワードがあり「データの重要性が増しており、一昨年12月に官民データ活用推進基本法が策定され、得られたデータを根拠とする施策の企画、立案により効果的かつ効率的な行政の推進を図ることが明記され、法律で初めてEBPM(Evidence Based Policy Making)が示された。」と続けました。 更に、EUの個人情報保護の枠組みGDPR(General Data Protection Regulation)や、総務省と経済産業省が検討し、今秋にも誕生する情報銀行の情報信託機能についての説明もありました。自治体が公開するオープンデータに関しても、「明石高専のCode for KOSENが、名古屋市が公開する街路灯位置情報を活用し、地図上で明るいルートを表示することで防犯対策に役立っている。」とデータをオープン化する有用性を示しました。最後に、7月23日から始まるテレワークデイズの参加を呼びかけました。
「働き方改革を成功させるテレワーク」
株式会社テレワークマネジメント 株式会社ワイズスタッフ
代表取締役 田澤 由利(たざわ ゆり) 氏 (総務省地域情報化アドバイザー) 


    夫の転勤で北見に居住することとなり、テレワークの実践者となった田澤氏は、「こんな寒いところに来てどうしようと思ったが、北見に来て20年経った。会社を作ったり、テレワークを広めたりと今日に至っている。」と話を切り出し、働き方改革は目的ではなく手段、首相官邸HPで目的は経済成長であることが明記されていると説明がありました。
田沢さんの写真

田澤(たざわ)氏

    時間当たり、より多くの収益を上げるためには工夫が必要。介護離職や育児等で労働力を確保するのが困難な場合でも、「テレワークで、契約社員の労働参加率の向上、繁閑対応体制の構築が可能。」と、働く時間と場所の制約から開放されるテレワークには、生産性の低下を軽減させるとメリットがあるとの説明があり、最後に、「皆さんを私の会社に招待します。」と、会場からPCを通して、北見オフィスの社員や自宅で働いている社員と顔を見ながら簡単にネットワーク上のバーチャルオフィスで仕事ができることを示しました。

【第2部  講演】

講演1
「ふるさとテレワークからはじまるIoT活用による地方創生と人材育成」
北見市 商工観光部 工業振興課 工業係長 松本 武(まつもと たけし)
株式会社アイエンター 代表取締役 入江 恭広(いりえ やすひろ) 氏
講演2
「情報科学で地域未来を支援 情報科学的コンテンツツーリズムとカーリング情報学」
北見工業大学 地域未来デザイン工学科 准教授 桝井 文人(ますい ふみと) 氏
講演3
「灯油難民を救え!LPWAで灯油残量の可視化と地域の見守り」
ゼロスペック株式会社 代表取締役社長 多田 満朗(ただ みつお) 氏
講演4
「地域活性化の取組 〜ICT/ IoTでできること〜」
北海道総合通信局 情報通信振興課長 中嶋 英明(なかしま ひであき)

    北見市 工業振興課 松本工業係長から、北見工業大学との連携で「首都圏で採用された学生が、北見でも仕事ができるようテレワークの環境を整えた。」と、IT企業の誘致に取り組んできた経緯の説明があった後、北見でサテライトオフィスを所有するアイエンター入江社長が、「北見市からのふるさとテレワークの誘いがきっかけで、北見でテレワークをすることとなった。」と、自然の中で仕事ができる素晴らしさを熱く語りました。また、日本が元気になるためには、地方が元気になる必要性があるとの考えから、北見市にある自社のログハウスで仕事をする社員の写真を映しながら「笑顔になる社員が多くなった。場所が変わるだけで働き方が変わるのはテレワークの効果。」と付け加えました。

    北見工業大学 桝井氏からは、現代社会において「大量のデータをいかに収集して解析し、フィードバックすることが極めて重要。その手法の一つが情報科学。」と話し、大量のデータを整理、客観視して現場に結びつけることの事例として、「客観視の自動化による情報科学的コンテンツツーリズム」と「カーリング情報学」について説明がありました。オホーツクの具体的イメージを持っていない状況について、「観光資源に恵まれているにもかかわらず、人を引きつけるモデルがなく、生かし切れていない。」と鋭く切り込み、「情報が発散され、その情報にアクセスしにくい。情報のターゲティングも方向性が不明確。」であることから、情報を共有する枠組みとして地域コンテンツツーリズムの仕掛けを説きました。また、北見はカーリングのメッカで試合データも収集し易い環境にあることから、「オリンピッククラスの選手ではショットにほぼ差はなく戦術が重要。人工知能による戦術支援の研究結果が北京オリンピックで役に立った。」と言われることを期待したいと話しました。

    ゼロスペックの多田社長からは、LPWAで遠隔地の灯油タンク残量を可視化し、給油配送タイミングと配送ルートの最適化について、「1回の給油量を最大化し、人手を介さない配送ルート計画を生成し、配送回数を減らす。」ことでガソリンスタンドの減少と人手不足の解決が可能との説明がありました。昨冬、札幌、夕張、登別、新篠津、旭川等での実証実験結果において、時間当たりのコスト削減について新篠津の実験結果から示し、システムの有効性を説明しました。更に「1つの街全体にデバイスを付ける予定で、エネルギーの消費データや街全体でどういうことが起こっているのか実証してみたい。」と熱く語りました。同社のサービスインは今冬を予定とのことです。
    最後に、中嶋情報通信振興課長が災害、観光、教育分野におけるWi-Fiの有効性と国の補助事業について説明しました。
 
講師陣の写真


左から、松本(まつもと)氏、入江(いりえ)氏、桝井(ますい)氏、多田(ただ)氏

 

【第3部  パネルディスカッション】

【テーマ】
『地方からイノベーションを巻き起こすには何が必要か』

    冒頭、北海道大学大学院 特任教授 山本 強(やまもと つよし) 氏から、「地方が中央を追いかけるのではなく、地方が持つアドバンテージをどう最大化するか。イノベーションが起きた後にどうなりたいのか考える事が大事。」と話があり、山田 孝雄(やまだ たかお)北見市商工観光部長をパネリストに加えディスカッションが始まりました。
山本氏の写真

コーディネータの山本(やまもと)氏

    イノベーションを起こすためにICT、IoTの活用で地域の価値をどのように増幅させることができるか、地方からイノベーションを巻き起こすキーワードとして、パネリストから「北見工大、地元企業、テレワーク企業との連携で『地域の総合力』をつける」、「IoTは手段。IoTの導入でどんな『価値』があるのか見つけることが大切。明確な『価値』がないとIoTを導入しないのではないか」、「Cの3乗と書いたが、まず『Challenge』挑戦しなければ始まらない、好奇心の『Curiosity』、そして1人ではできないので道連れ『Companion』が必要」、「何かをやるには痛みを伴うが、リスクを負って『一歩』を踏む出すこと」、「地方にやりたい仕事がないのではなく、やりたい仕事ができるような環境のイノベーションとして『テレワーク』があるのでは」、最後に松田室長から、7月24日のオリンピック開会日の混雑を避けるためテレワークデイを進めていることを説明し、「海の日や体育の日を移動したので24日は休み。休みなのにテレワークとはどういうことか、ICT活用ありきではなく、まず、他の方法を考えることも必要なのでは」と話し、「課題を抱える街がICTで解決できる方法がわからない場合は、解決方法を『通訳』できる人材が必要、それが地域情報化アドバイザー」と結びました。

パネルディスカッションの写真
左から、コーディネータの山本(やまもと)氏、パネリストの松田(まつだ)室長、田澤(たざわ)氏、
入江(いりえ)氏、桝井(ますい)氏、多田(ただ)氏、山田(やまだ)氏
 

    参加者は、sli.doというサービスを使い、パネリストにリアルタイムに質問することができ、「灯油残油量のセンサーシステムの利用料は」の質問に、「今はお話しできませんが、お値段以上で」と、ニトリグルーブ企業に勤めていた多田氏のユーモアのある回答が参加者からの笑いを誘う場面もありました。
北見市長の写真

閉会の挨拶をする、
辻 直孝(つじ なおたか)北見市長

ページトップへ戻る