電波伝搬障害防止制度

 電波伝搬障害防止制度は、31mを超える高層建築物等の建築により、重要無線通信が突然遮断されるのを未然に防ぐことを目的としています。

1 電波伝搬障害防止制度の概要

 電波伝搬障害防止制度は、電気通信の確保、人命・財産の保護や治安の維持などの重要無線通信について、総務大臣が必要の範囲内で電波の伝搬障害防止区域を指定し、その指定区域内において、高層建築物等による通信の突然の遮断を回避することを目的としています。【根拠法令:電波法第102条の2〜第102条の10】

 伝搬障害防止区域内に建築を予定している高層建築物が、重要無線通信に障害を及ぼすと判断される場合には、建築主に対して障害原因部分に係る工事について一定期間(2年間)制限が課せられることになります。

 この一定期間において、当事者となる重要無線通信の無線局免許人と建築主が相互に必要な措置に関して協議すべき旨を求めることができること、当事者の一方から申出があった場合は総務大臣が必要なあっせんを行うことなども定めており、重要無線通信の確保と高層建築物等に係る財産権の行使との調和を図っています。
2 電波伝搬障害防止制度に関する手続の流れ
 電波伝搬障害防止制度に関する手続の流れは以下のとおりです。

(1)伝搬障害防止区域の指定
 伝搬障害防止区域の指定は、890MHz以上の周波数の電波による特定の固定地点間の無線通信を行う次の無線局の伝搬路を対象としています。
  ア 電気通信業務のもの
  イ 放送業務のもの
  ウ 人命若しくは財産の保護又は治安の維持のためのもの
  エ 気象業務のもの
  オ 電気事業における電気の供給業務のもの
  カ 鉄道事業における列車の運行業務のもの

(2)窓口での伝搬障害防止区域図の縦覧
 伝搬障害防止区域を表示した図面(伝搬障害防止区域図)は、全国の総合通信局(沖縄総合通信事務所を含む。)と都道府県や建築物の建築確認申請を受け付ける市町村(特定行政庁)の事務所で縦覧できます。
 電波伝搬障害防止区域図が配置されている関係機関で電波伝搬障害防止区域内に該当するかどうかご確認下さい。
 高層建築物等の建築を予定している建築主は、工事着手前に高層建築物等の施工地又は所在地を管轄する総合通信局又は特定行政庁の事務所において、高層建築物等が伝搬障害防止区域にかかるかどうか確認してください。
 なお、上記のほか一般社団法人電波産業会においても確認が可能です。

(3)インターネットを利用した伝搬障害防止区域図の縦覧
 総合通信局及び特定行政庁の事務所で縦覧できる伝搬障害防止区域図はインターネット上でも提供しています。
 インターネット縦覧の利用に当たっては、これまで電子証明書等の取得が必要でしたが、平成26年3月から、ID及びパスワードのみで利用することができるようになりました。
 詳細については、伝搬障害防止区域図縦覧システムの「初めて利用される方へ」内の「システムを利用するまでの流れ」及び「ヘルプ」の説明で御確認ください。
 なお、高層建築物等が伝搬障害防止区域にかかるかどうか判断が難しい場合は、管轄する総合通信局に御相談ください。
 
〈伝搬障害防止区域図縦覧システム〉
https://www.juran.denpa.soumu.go.jp/gis/index.html
〈システムの利用準備作業に係る問合せ先〉
ヘルプデスク 0120-850-221
(一部のIP電話からおかけの場合、接続することができません。)
 
(4)高層建築物等の届出
ア 伝搬障害防止区域内において高層建築物等を建築しようとするとき
(ア) 届出書類
 表1の高層建築物等を建築しようとする建築主は、工事着手前に「高層建築物等予定工事届」に表2の図面を添えて高層建築物等の施工地又は所在地を管轄する総合通信局に届け出てください。
 なお、届出に当たっては管轄する総合通信局へお問合せください。

表1 高層建築物等予定工事届の提出が必要な高層建築物等
A 地表からの高さが31mを超える建築物等の新築
B 増築又は移築で、工事後に地表からの高さが31mを超える建築物等となるもの
C 地表からの高さが31mを超える建築物等の増築、移築、改築、修繕又は模様替えにより、高層部分の位置、高さ、大きさ、形状、構造又は主要材料に変更を及ぼす範囲のもの

表2 高層建築物等予定工事届に添付する図面
A 敷地付近見取図(方位、道路及び目標となる地物を明示すること。)
B 配置図(縮尺、方位及び敷地内における位置を明示すること。)
C 高層部分の外形を示す立面図及び平面図(縮尺、方位、高さ及び幅を明示すること。)

(イ) 届出時期
 建築工事の工事請負人及び工事下請人(工事請負人等)がいる場合には、その住所、氏名、工事の種別、敷地の位置(地名・地番)、高層建築物等の最 部の地表高及び海抜高、高層部分の構造及び主要材料、工事着手予定年月日及び工事完了予定年月日をすべて記載できる段階で提出してください。
 なお、工事請負人等を「未定」として早期に届け出ることもできますが、表3に掲げるいずれかの書類を添付できる場合に限られます。

表3 工事請負人等が未定の場合の添付書類
A 都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第4号の規定に基づく特定街区の都市計画の決定の告示の写し及び当該告示に係る都市計画の図書の総括図の写し
B 都市計画法第12条の5第3項の規定に基づく再開発等促進区内の地区整備計画の決定又は変更の告示の写し及び当該告示に係る都市計画の図書の総括図の写し
C 都市再生特別措置法(平成14年法律第22号)第36条第1項の規定に基づく都市再生特別地区における都市計画の決定の告示の写し及び当該告示に係る都市計画の図書の総括図の写し
D 都市再開発法(昭和44年法律第38号)第2条第1号の規定に基づく市街地再開発事業の都市計画決定の告示の写し及び当該告示に係る都市計画の図書の総括図の写し
E 建築基準法(昭和25年法律第201号)第59条の2第1項の規定に基づく総合設計の許可の通知の写し
F 地方公共団体において定められる「中高層建築物紛争予防条例」に基づいて提出された標識設置届の写し及び当該届出に係る建設用地の案内図の写し又はこれらに類するもの
 
高層建築物等予定工事届 様式
(WORD)WORD
様式
(PDF)PDF
記載要領
(PDF)PDF

イ 「高層建築物等予定工事届」により届け出た事項を変更しようとするとき
 上記アの「高層建築物等予定工事届」により届け出た事項を変更するときは、「高層建築物等変更届」に上記表2の図面(変更後の図面)を添えて管轄する総合通信局に提出してください。
 なお、届出に当たっては管轄する総合通信局へお問い合わせください。
(5)伝搬障害の有無の通知
 総務大臣は、届け出された高層建築物等が重要無線通信の障害原因となるかどうかを判定し、(1)障害原因とならない場合はその旨を建築主に、(2)障害原因となる場合はその旨を建築主、工事請負人等及び重要無線通信の無線局免許人に通知します。また、仮設物等による伝搬障害の可能性がある場合、建築主及び重要無線通信の無線局免許人にその旨を通知します。
 なお、障害の有無は、総合通信局に届出があった日から3週間以内(判定に当たり、追加資料を基に詳細な審査を行う場合はこの限りではありません。)に通知されます。
 
(6)建築工事の制限
 障害原因とならない旨の通知を受けた建築主は、予定どおり建築工事ができますが、障害原因となる旨の通知を受けた建築主は、通知を受けた日から2年間は障害原因となる部分に関して工事を行うことはできなくなります。
 ただし、工事の計画を変更してこれを届け出た結果、障害原因とならない旨の通知を受けたとき又は重要無線通信の無線局免許人との間に協議が調ったときには工事制限は解除されます。
 
(7)当事者間の協議
  障害原因となる旨の通知を受けた場合、高層建築物等の建築主及び重要無線通信の無線局免許人は、重要無線通信の確保と高層建築物等財産権の行使との調整をはかるため、必要な措置に対して協議すべき旨を相互に求めることができます。また、当事者の一方から申出があった場合は総務大臣が必要なあっせんを行うこととしています。
 なお、協議が調った時点で工事制限は解除されます。
 
(8)協議後の変更届等の提出
 協議の結果、建築主が工事の計画を変更することとなり、「高層建築物等予定工事届」により届け出た事項に変更が生じる場合は、「高層建築物等変更届」に変更後の図面を添えて管轄する総合通信局に提出してください。
 
3 情報提供の促進
 電波伝搬障害防止制度の円滑な運用のために、具体的に高層建築物等の建築を計画している建築主には、伝搬障害防止区域の指定予定情報等を提供し、また、重要無線通信の無線局免許人には、決定された都市計画等の情報(総合通信局が把握しているものに限る。)を提供しています。
 
4 事前協議の促進
 伝搬障害防止区域内に高層建築物等の建築を予定している建築主が、「高層建築物等予定工事届」を総合通信局に提出する前に事前協議を行うため、重要無線通信への障害の可能性を確認したい場合は、「伝搬障害可能性判定依頼書」を管轄する総合通信局に提出してください。障害発生の可能性の有無を事前に調査し通知いたします。
 なお、「伝搬障害可能性判定依頼書」の提出の有無に関わらず、伝搬障害防止区域内に高層建築物等を建築する場合は、上記(4)の届出が必要となります。
5 よくある質問
Q1:伝搬障害防止区域内であれば、地表高31m以下の場合でも手続は必要ですか。
A1:伝搬障害防止区域内であっても、屋上の看板、工作物等を含めた地表高が31m以下であれば、手続は必要ありません。
 
Q2:伝搬障害防止区域に該当するかどうかを電話、FAX、電子メールで教えてくれますか。
A2:電話、FAX、電子メールでは、お答えできません。電波伝搬障害防止区域図が配置されている機関(総合通信局等)で直接ご覧いただくか、インターネット縦覧(伝搬障害防止区域図縦覧システム)でご覧ください。
 
Q3:届出はいつ出せばよいのですか。
A3:工事着手前に届け出る必要があります。
 
Q4:届出には、どのような資料が必要ですか。
A4:精密な地図、建築物等の設計図等が必要です。具体的に必要な資料は記載要領で確認できます。
 
Q5:伝搬障害の有無は、どのように通知されますか。
A5:総務大臣は、届出の内容を検討し、当該高層建築物等が当該回線の障害原因となるかどうかを判定し、障害原因とならない場合はその旨を建築主に、障害原因となる場合はその旨を建築主と当該回線を構成する無線局の免許人に通知します。
 
Q6:障害原因となる場合の工事計画の取扱いは。
A6:障害原因となる旨の通知を受けた建築主は、次の場合を除くほか、その通知を受けた日から2年間は、障害原因部分に係る工事を行うことができません。
・工事の計画を変更して、これを届け出た結果、障害原因とならない旨の通知を受けたとき。
・無線局の免許人との間に協議が調ったとき。
 
Q7:屋上の看板部分を含めると、地表高が31mを越えるのですが、届出は必要ですか。
A7:伝搬障害防止区域内であれば、届出が必要です。
 
Q8:建築用のクレーンは届出が必要ですか。
A8:建築用クレーンは工作物に該当しないので届出の必要はありませんが、高層建築物等の建設の使用するクレーンについては、工事の状況によっては、重要無線通信に障害を与える場合があるので、「その他参考となる事項」としてクレーンの使用予定、最高部の高さ等を記載する必要があります。
 
Q9:増改築の場合は、届出が必要ですか。
A9:次の全てに当てはまる場合、届出が必要です。
・伝搬障害防止区域内であること。
・増改築の結果、屋上の看板、工作物等を含め、地表高31mを越えること。
 
なお、増改築前の状態で、障害のない旨の通知を受けている場合でも届出が必要となります。
 
Q10:鉄塔は、届出が必要ですか。
A10:31mを超える部分の形状によります。詳細は、総合通信局にご相談ください。
 
Q11:風車を建てるのですが、届出は必要ですか。
A11:風車は、工作物に該当しますので、次の全てに当てはまる場合、届出が必要になります。
・伝搬障害防止区域内であること。
・風車の最高部(羽根の最高部)が31mを越える場合。
 
Q12:高層建築物等予定工事届提出前に、伝搬障害になるか確認することは可能ですか。
A12:建築計画が固まり、建物の形と建てる場所の座標が明確になっていれば、届出前に「伝搬障害可能性判定依頼書」を提出していただくことにより、事前に伝搬障害になるかどうか確認することが可能です。
なお、当該判定依頼書を提出するに当たっては、高層建築物等予定工事届と同様の添付資料が必要となります。詳細については記載要領で確認できます。
伝搬障害可能性判定依頼書 様式
(WORD)WORD
様式
(PDF)PDF
記載要領
(PDF)PDF

電波伝搬障害防止制度に関するお問い合わせ先

〒920-8795 金沢市広坂2-2-60 金沢広坂合同庁舎
北陸総合通信局 無線通信部 無線通信課 陸上担当
電話:076-233-4473
※電話でのお問い合わせ時間は、土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月29日から1月3日まで)を除く、8時30分から12時まで、13時から17時までです。

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