近年、医療機関では、患者のバイタルデータ(血圧や脈拍、体温などの生体データ)を遠隔監視するための医用テレメータなど、電波を利用する機会が増大するなか、電波による医療機器への影響や通信障害が生じるなど、トラブルの増加が懸念されています。
こういった状況を改善していくことを目的として、本説明会では、電磁波が医療機器に与える影響と対策方法などを「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」等に基づき専門の先生から説明していただきました。
説明会の冒頭に主催者を代表して、関東地域の医療機関における電波利用推進協議会構成員の前村道生氏(一般社団法人群馬県病院協会理事、独立行政法人国立病院機構沼田病院院長)から、医療機関で電波を利用する機会が増大するなか、電磁波が医療機器に与える影響と対策方法などの理解を深めていただきたい、とのあいさつが行われました。
一般社団法人群馬県病院協会理事
独立行政法人国立病院機構沼田病院院長
前村 道生氏
次に、「電波の安全性に関する総務省の取組」と題して、総務省関東総合通信局電波監理部長の田中純一から、ワイヤレスと家電との融合、地域活性化、医療分野への応用、環境問題への対応等の様々な新分野での電波利用が出現する中で「我が国における電波利用分野の拡大」がどのように生じているかについて説明しました。また、電波利用の普及・高度化に伴い、電波が人体や医療機器に与える影響への懸念が増大していることから、安全基準に関する総務省の取組状況、医療機関における電波利用に係る指針等について説明を行いました。
電波監理部長 田中 純一
続いて、関東地域の医療機関における電波利用推進協議会座長である、滋慶医療科学大学院大学医療管理学研究科教授・加納隆氏から、「医療機関において安心・安全に電波を利用するために」と題して、携帯電話等の電波利用機器による医療機器への影響調査と使用指針等策定の推移についてご説明いただき、平成28年4月に公表された「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」のポイントについて解説いただきました。
また、実際に病院等で発生した障害事例とその対策について具体的な例を示し解説していただきました。
滋慶医療科学大学院大学医療管理学研究科教授 加納 隆氏
説明後には質疑応答が行われ、「医療施設内での電磁波について、今後、医療機器動作保証や人体への影響等によるしきい値を決めて、定量管理していく動きはあるか?」や「医療機器には様々な無線形式が採用されていますが、添付文書等に無線規格を記載することなどは検討されているか。また、相互干渉の恐れがある場合などの但し書きが、注意項目に記載されることはあるか?」など質問が多数寄せられ、それぞれについて講師から説明を行いました。
参加者からのアンケートでは、「電波が色々なものに影響を与えているのだと知りました。なにげなく使用していましたが注意しなければならないと思います。」「医療機器テレメータに支障が出る電波について知ることができました。今後管理していく上でもっと知識をもたないといけないと思います。」などの感想が寄せられました。また、約9割の方が「理解できた」「ほぼ理解できた」と回答されており、有意義な説明会となりました。
説明会の模様
総務省関東総合通信局、関東地域の医療機関における電波利用推進協議会
公益社団法人群馬県医師会、公益社団法人群馬県看護協会、一般社団法人群馬県臨床工学技士会、一般社団法人群馬県病院協会
関東総合通信局では、引き続き電波の安全性に関する説明会を開催する予定です。
次回は、令和元年12月頃に茨城県内での開催を予定しています。なお、開催案内は、11月頃当局ホームページに掲載する予定です。