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【関東総通】e−コムフォKANTO

平成29年1月17日
関東総合通信局

「戦略的情報通信研究開発セミナー2017」を開催

  関東総合通信局は、平成28年12月21日(水曜日)、東京都港区の機械振興会館において、電子情報通信学会東京支部と共催により、「戦略的情報通信研究開発セミナー2017《SCOPE(※1)による若手研究者の活躍に向けて》」を開催しました。
  セミナーでは、特別講演、SCOPEの若手研究者による研究開発成果発表、総務省からSCOPE及びI-Challenge!の公募概要説明を行い、参加した大学や民間企業の研究者等は、熱心に聴講していました。
 
 写真:主催者挨拶をする高崎関東総合通信局長(左)と伊丹次期東京支部長(右) 

≪特別講演≫

 本セミナーでは、始めに「M2Mネットワーク」と題し、京都大学大学院情報学研究科 教授 守倉 正博(もりくら まさひろ)氏から特別講演がありました。
 守倉氏は、M2Mネットワークへの期待として、人間の聴覚・視覚を基本とした通信を超越する機械間の通信ネットワークを構築することにより、安心安全で人と環境にやさしい持続可能な社会を目指すと述べられました。
 その上で、ヘルスケア分野での健康状態モニタリングシステムを想定した場合の、2.4GHz帯無線LANと複数無線PAN※2の共存方式として、両無線機器の統合端末H-STA※3を利用したHYSAC※4方式について提案を行い、その問題点と解決方法を踏まえて説明されました。
 また、無線機器の著しい増加に伴って問題となる電源について、無線LAN端末のバッテリーレス動作を目的としたマイクロ波送電の利用について、通信が給電に妨害される、給電中の伝送レート低下によるスループット減少などの問題点と解決方法を、実験結果を基に説明されました。
写真:守倉 正博 氏

≪平成27年度終了「SCOPE若手ICT研究者等育成型研究開発(関東総合通信局管内)」研究成果発表1≫

 続いて、東京大学大学院 情報理工学系研究科 講師 鳴海 拓志(なるみ たくじ)氏から、「視覚触覚間の感覚間相互作用を利用した形状伝送システムの研究開発」の研究成果発表がありました。
 鳴海氏の研究は、視覚触覚間相互作用を利用した触知覚提示手法を通信に応用し、簡易に高精細な触知覚の取得・伝送・再現を可能にするシステムを実現するものです。
 鳴海氏は、実世界の物理特性と人の知覚された脳内世界の特性は必ずしも一致しないことに着目し、人が直線を曲線に感じる、硬い物がやわらかく感じる、軽い物が重く感じるなど、物体を操作する映像に操作を加えるだけで触知覚を多様に変化させられる事象を、実験映像により説明されました。
 また、これらの人の感覚を利用して、遠隔共同作業における視点の共有・誘導や、博物館などでVR空間における鑑賞行動の誘導などが可能なことを、実験映像により説明されました。
 最後に、研究成果の発展・将来の可能性として、形状・物体知覚の操作から空間知覚の操作への応用と、触力覚がもたらす効果を利用した視線・注意誘導や、心理効果を活用した対面よりも効果的な遠隔共同作業の実現の可能性について述べ発表を終了しました。
 
写真:鳴海 拓志 氏

≪平成27年度終了「SCOPE若手ICT研究者等育成型研究開発(関東総合通信局管内)」研究成果発表2≫

 続いて、埼玉大学大学院 理工学研究科 准教授 辻 俊明(つじ としあき)氏から、「運動データベースのための力学モデルに基づく時空間データ解析技術」の研究成果発表がありました。
 辻氏の研究は、リハビリ支援ロボットを対象とした運動データベースの情報処理の実現と、能率の高いデータ解析技術の確立を目的とするものです。
 辻氏は、上肢の筋力計測と可視化技術について、運動療法のための上肢リハビリ支援ロボットを開発し、患者の運動能力に合わせて異なる制御則をロボットに実装して、目標と手先の位置を画面に可視化してトレーニングする方法を説明されました。
 次に、前脛骨筋遠心力収縮トレーニング装置を利用してデイサービス施設で実験を行い、可視化によりTUG※5が最大で39.2%向上したことを説明されました。
 最後に、研究成果の発展・将来の可能性として、空気圧人工筋駆動のリハビリ支援ロボットの開発、筋張力の推定と効果的リハビリへの応用、患者の筋力と可動範囲の多次元分布の定量化、臨床試験による効果確認について述べ発表を終了しました。
写真:辻 俊明 氏

≪総務省施策説明について≫

 最後に、「戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE) 平成29年度公募概要」について、総務省情報通信国際戦略局 技術政策課 技術企画調整官 岩間 司(いわま つかさ)が、「I-Challenge!」について、同 課長補佐 白壁 角崇(しらかべ すみたか)が、それぞれ説明を行いました。 

SCOPE公募概要(PDF:2.3GB)  I-Challenge!公募概要(PDF:3.9GB)
SCOPE成果事例集(PDF:3.4GB)  I-Challenge!簡易版(PDF:1.3GB)
 
写真:岩間調整官(左) 白壁課長補佐(右)
写真:閉会挨拶をする須田情報通信部長
(※1)戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)
Strategic Information Communications R&D Promotion Programme
(※2)PAN(Personal Area Network)
(※3)H-STA(Hybrid station)
(※4)HYSAC(Hybrid station-aided coexistence)
(※5)TUG(Timed Up and Go Test)

連絡先
総務省 関東総合通信局
 情報通信部 情報通信連携推進課
 担当者:道祖土、田村
 電話 :03-6238-1680
 

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