【関東総通】e−コムフォKANTO

平成30年3月7日
関東総合通信局

「防災非常通信セミナー」を開催

 関東総合通信局は、関東地方非常通信協議会との共催により、平成30年2月14日(水曜日)、日比谷コンベンションホール(東京都千代田区)において、「防災非常通信セミナー《災害から命を守る ICTを活用した防災・減災の取組》」を開催しました。
 本セミナーは、防災・減災に関する産学官の取組や最新の研究事例を取り上げ、防災・減災についての正しい知識の習得とノウハウを学び、今後の災害対策に役立てることを目的に開催したもので、当日は130名の参加をいただき、防災・減災に対する関心の高さがうかがえました。

主催者挨拶をする、関東総合通信局 関局長(関東地方非常通信協議会会長)
関東総合通信局 関局長(関東地方非常通信協議会会長)

【講演1】

演題: 越水破堤のタイムラグと緊急時コミュニケーション 《鬼怒川決壊後、緊急情報はどう変わるか》
講師: NHK 放送文化研究所 メディア研究部 特任研究員 福長 秀彦 氏
概要:
 近年全国的に豪雨災害が多発し、川の水が防波堤を乗り越えることで起きる「越水破堤」の危険性が増している。平成27年9月に発生した「関東・東北豪雨」など過去の豪雨災害の事例を検証したところ、住民にリスクの高まりが的確に伝えられていなかったことが分かった。
 関東・東北豪雨を踏まえ国土交通省では、堤防を越水しても決壊しにくい構造に補強し、越水から決壊までのタイムラグを引き延ばす「危機管理型ハード対策」を導入した。これを受け、各地域において、河川管理者・都道府県・市町村等からなる協議会を新たに設置して減災のための目標を共有し、ハード・ソフト対策を一体的・計画的に推進することとしている。 
NHK 放送文化研究所 メディア研究部 特任研究員 福長 秀彦 氏
 越水破堤のタイムラグを予測するのは難しく、近年の事例では約30分から5時間20分とばらつきが見られた。安全を見越しタイムラグは常に短いものと考えてかからなければならない。危機管理型ハード対策の引き延ばしの効果は未知数であるが、これを減災に生かす情報が必要である。
 タイムラグを生かす課題として、データ収集の高度化と情報量増加など緊急情報の変化への対応や切迫性・危機感が伝わる情報表現とするなどリスクの高まりを確実に伝え、「起こりうる」心証を高めてゆく工夫が必要である。

【講演2】

演題: 防災行政無線等を取り巻く現状について
講師: 総務省 総合通信基盤局 電波部重要無線室 室長 村上 聡 氏
概要:
 住民等への災害に関する予報又は警報の伝達のために様々な情報手段が台頭しているなか、「市町村防災行政無線(同報系)」は従来から主要な役割を継続している。同システムによる伝達方法は、屋外スピーカー(拡声子局)によるものと戸別受信機によるものがあるが、前者は大雨や建物の構造等により屋内にいる住民等に聞こえない場合があると指摘されている。一方、戸別受信機は1台あたりの価格が高価であり受信状況により屋外アンテナの設置が必要になるなどの課題がある。これらの課題解決のため、総務省では戸別受信機の普及促進に関する調査研究会を開催した。これを受け、戸別受信機の量産化・低廉化を図るため必要な機能を整理し、標準モデルの検討を行っている。また、簡易無線メーカーでも独自に簡易無線による戸別受信機を開発できる環境を整備すべく、防災行政無線と簡易無線を接続するインタフェースの規格化を検討している。
電波部重要無線室 室長 村上 聡 氏
 総務省では災害、非常災害時における重要通信の確保を目的として、移動通信機器を全国11箇所に備蓄し、地方公共団体(災害対策本部等)に貸出しを行う体制を整備している。平成29年九州北部豪雨においても、衛星携帯電話や簡易無線の貸出しを行い、被災地における避難状況や必要な物資に関する連絡用として利用された。

【講演3】

演題: 防災行政無線を利用した多言語化システムの開発
講師: 株式会社 日立国際電気 ソリューション本部 IoTプロジェクト
概要:
 総務省は地方公共団体を対象に災害情報伝達手段等の高度化事業の公募を行ったところ、茨城県常総市が「戸別受信機等の情報伝達手段に係る実証事業」に選定された。本事業では、高齢者、外国人、市外からの来訪者に的確に防災情報を伝達するために、(1)防災行政無線の戸別受信機とテレビ・文字表示器等を連動させて分かりやすく表示する機能拡充や(2)防災情報のプッシュ通知(多言語対応)等を行うスマートフォンアプリの整備を行って、各機能の有用性の検証や課題抽出及び対策の検討を行う。
 平成30年1月常総市防災訓練に合わせ、本システムの実証実験を行った結果、多言語による音声データや文字情報を表示することにより、高齢者、外国人等の災害弱者に対して情報伝達能力があることが実証された。また、防災アプリについても、防災無線の屋外拡声装置からの音声が聞き取りにくい場合等に有効であることが確認された。今後は、文字情報と同様音声情報も子局ごとに言語選択ができるようにするなど、システムの機能拡充をめざす。
 
日立国際電気 ソリューション本部 IoTプロジェクト

【機器展示】

セミナー会場では併せて、防災関係通信機器の展示が行われた。
機器展示の様子

連絡先
総務省関東総合通信局
無線通信部
担当:伊藤、川口
電話:03-6238-1771

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